コンテナのアクティブ中性子問いかけを行う方法及び装置
貨物専用コンテナの内容物を検査する装置が、ジュウテリウム又はトリチウムイオンを与えるべく構成されたイオン源と、ジュウテリウム又はトリチウムの少なくとも一つを有する標的に向けて当該イオンを加速するべく構成された加速器とを有する中性子源とを含む。本装置はさらに放射線検出器を含み、当該中性子源は、当該コンテナ内に中性子束を送達するべく構成され、当該放射線検出器は、当該コンテナ内への当該中性子束の送達に引き続き当該コンテナから出る放射線を検出するべく構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨物専用コンテナの内容物を検査する装置に関する。
【0002】
関連特許出願の相互参照
本願は、2009年12月15日出願の米国仮特許出願第61/286,690号の利益を主張する。当該米国仮特許出願はそのすべてが本明細書において参照として組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
貨物専用コンテナ(例えば運送用コンテナ、シーカン(sea cans)、又はコネックスボックスとしても知られるインターモーダルコンテナのような、船舶、列車、又はトラックを介して物品を輸送するのに使用されるマルチ輸送モードコンテナ)が目下安全上のリスクを与えている。かかるコンテナに、様々な好ましくない物質が置かれ得るからである。また、港等の国境通関で国内に入るコンテナの正確な内容物を決定することについて著しい困難が存在するからである。主な困難の一つは、混雑した港に毎日到着するコンテナの数の多さ、及びかかる港での物品の流れを過度に妨げないように当該コンテナを迅速にスキャンしなければならない必要性に関する。特殊核物質(SNM)(例えば核分裂性物質)の検出が特に重要であるが、他の好ましくない物質には爆発物、ドラッグ、及び他の輸出入禁制品も含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2002/0171042(A1)号明細書
【特許文献2】米国特許第5,135,704号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/0220247(A1)号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2003/0165213(A1)号明細書
【特許文献5】国際公開第2008/012360(A1)号パンフレット
【特許文献6】米国特許出願公開第2003/0201394(A1)号明細書
【特許文献7】米国特許5,200,626号明細書
【発明の概要】
【0005】
本発明は、貨物専用コンテナの内容物を検査する装置に関する。中性子源が、ジュウテリウム又はトリチウムイオンを与えるべく構成されたイオン源と、当該イオンを、ジュウテリウム又はトリチウムイオンの少なくとも一つを含む標的に向けて加速するべく構成された加速器とを含む。本装置はさらに放射線検出器を含む。中性子源は当該コンテナ内に中性子束を送達するべく構成され、放射線検出器は、当該コンテナ内への中性子束の送達に引き続き当該貨物専用コンテナから出る放射線を検出するべく構成される。
【0006】
本発明はまた、貨物専用コンテナ内の物質を識別する方法に関する。本方法は、中性子源装置により中性子束を生成するステップを含む。当該中性子源装置は、イオンビームを生成するべく、イオンビーム加速器に動作可能に接続されたイオン源を有する。当該加速器は、イオンビームを受け取り、当該イオンビームを加速して加速イオンビームをもたらす。当該中性子装置はさらに、当該加速器に動作可能に接続された標的システムを含む。当該加速器は、当該加速ビームと反応して当該中性子束を放出する標的物質を含む。本方法はさらに、当該中性子束で貨物専用コンテナを照射することを含む。これにより、当該中性子束の当該物質との接触後に、当該物質により生成される放射線シグネチャが生成される。本方法はさらに、当該放射線シグネチャを検出し、当該物質を識別するべく当該放射線シグネチャを評価することを含む。
【0007】
本発明は、他の実施例が可能であり、様々な方法で実施又は実行することができる。代替的な実施例が、特許請求の範囲に一般的に記載される他の特徴及び特徴の組み合わせに関連する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明は、添付の図面と組み合わせることで以下の詳細な説明から十分に理解される。ここで、同じ参照番号は同じ要素を参照する。
【0009】
【図1】一実施例に係る中性子源の概略図である。
【図2】加速されかつ形成されたイオンビームの概略図である。
【図3】標的チャンバ内のガス標的と相互作用するイオンビームの概略図である。
【図4】いくつかの高中性子収率反応の概略図である。
【図5】様々な成分に対する炭素、窒素、酸素、及び水素の概算元素比を列記するチャートである。
【図6】100cm3の高濃縮ウラン試料を有する及び有しない空気充填コンテナに対する3He検出器の相対計数を示すプロットである。
【図7】SNMを含む貨物専用コンテナに接続された中性子スキャニングシステムの概略図である。
【図8】6つの遅発中性子グループに対する半減期及び相対存在量を示すチャートである。
【図9】1秒の照射中における遅発中性子集団の予測される成長を示すプロットである。
【図10】60秒の照射中における遅発中性子集団の予測される成長を示すプロットである。
【図11】照射後の予測される中性子放射能を示すプロットである。
【図12】一実施例に係る、設置されたアクティブ中性子問いかけシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施例を詳細に示す図面に戻る前に、本願が当該説明に記載された又は当該図面に示された詳細又は方法に限定されるわけではないことを理解されたい。また、当該用語が説明のみを目的とするものであって限定と認めてはならないことも理解されたい。
【0011】
特殊核物質(SNM)のための従来型パッシブ検出システムは、貨物専用コンテナを迅速にスキャンすることができず、SNMと他の自然発生する放射性成分のホストとを区別することもできない。X線技術を使用するアクティブシステムは、SNMと高密度又は高原子番号の他の物質とを有効に区別することができない。いずれの場合も、物品の通常の流れを著しく妨げることなく高信頼性をもってSNMを検出することが困難である。
【0012】
一実施例では、SNMを検出する方法が、アクティブ検査ツールとして中性子の使用を含む。X線と同様中性子も、コンテナ内容物の放射線撮影画像を生成するべく使用される。しかし、X線とは異なり、中性子は重金属の厚い層に浸透してその中の軽い元素の薄い層と相互作用する。さらに中性子は、当該コンテナ内の原子核からの、固有の放射線シグネチャを放出する各種類の原子核との特徴的な応答を励起する。このため、中性子照射により、スキャナは当該コンテナ中の貨物の物理的及び原子核的双方の組成を決定することができる。SNMは、進行中の核分裂により応答するときに、中性子照射によって特に検出可能である。当該核分裂は、非定型的であって検出容易な放射線シグネチャを生成する。本発明の一実施例では、中性子を使用するSNM検出法が、放射線撮影システムの心臓部として高効率、高出力、長寿命な中性子源を利用する。当該システムは、SNM、ドラッグ、輸出入禁制品、急造爆発物装置、地雷、及び他の脅威を検出するべく使用される。同様に、X線が有用でない場合に放射線撮影画像を生成するための広く一般的な目的の用途も有する。付加的な用途はさらに、潜水艦及び他の海軍艦艇、高性能弾薬、ロケットモータノズル、ミサイルケーシング、複合材料から作られた航空機体、複合ヘリコプターブレード及びロータ、タービン等の溶接検査を含む。
【0013】
いくつかの実施例では、本発明に係る方法は新規な問いかけシステムを作るべく、高度な放射線撮影及び検査技術を、2008年12月29日に出願された「高エネルギー陽子源又は中性子源」という名称の米国特許出願第12/810,958号明細書(「‘958出願」)に記載の革新的な中性子源と組み合わせる。‘958出願はその全体が本明細書に組み入れられる。物質を検出又は識別するべくスキャニングシステムが使用される。当該物質は、少なくとも一の元素を含む任意の組成である。具体的な元素及び元素比が特定の物質を示す。
【0014】
図1を参照すると、本発明のいくつかの実施例に係る中性子検査の方法が、‘958出願に記載された高出力中性子源10の使用により可能となる。中性子源10は、短時間で高品質の放射線撮影及び原子核アッセイを作るのに十分明るい「中性子光」(すなわち中性子束)を与えるものとみなすことができる。中性子は、典型的には核分裂反応と称される原子核反応によって作られる。中性子源は、ジュウテリウム又はトリチウム粒子の中程度のエネルギーのイオン流(例えば100から500keV)を作ることで機能し、当該イオン流をガス又はプラズマの標的に衝突させる。当該ガス又はプラズマの標的も、ジュウテリウム又はトリチウム粒子を含む。中性子源10の可能な一実施例を図1に示す。中性子源10は、固体の代わりにガス又はプラズマからなる中性子誘導標的を利用する。中性子源10は、イオン流を加速するべく及び当該高速流を中性子誘導標的に衝突させるべく別個の空間領域を導入する。
【0015】
詳細には、イオン源12、加速器14、及び標的チャンバ16を有する中性子源10の一の具体的実施例が以下の態様で機能する。
【0016】
標的チャンバ16は一の典型的実施例において、イオンビームの標的を与えるべく約133.3−1333Pa(1−10torr)の圧力のジュウテリウム又はトリチウムガスで充填される。他実施例は、標的チャンバ16において異なる圧力を利用する。
【0017】
標的チャンバ16から加速器14に向かって漏れるジュウテリウム又はトリチウムは、差動排気段18によりコールドトラップ20に引き込まれる。各段18が10から1000の倍率で圧力を低減し、一実施例において加速器14内の圧力を13.3mPa(100μtorr)に維持する。
【0018】
コールドトラップ20に入るガスは液体窒素温度(約−196℃)まで冷却される。この温度にて、水のような不純物及び大気ガスが凝縮し、再循環ガス流から除去される。当該精製ガスがコールドトラップ20から標的チャンバ16に還流される。コールドトラップ20は、例えば自動化システムにより、周期的に排気される必要がある。
【0019】
ジュウテリウム又はトリチウムガスがイオン源12内に供給される。イオン源12は、電源によって正の高電圧(典型的には100−500keV)まで駆動される。一実施例においてイオン源12内のプラズマが、高周波又はマイクロ波励起により作られる。イオン源12内の動作中のガス圧力は一実施例において、数ミリtorr(mtorr)のオーダーである。源12内の高プラズマ密度ゆえに、二原子(D2+又はT2+)及び三原子(D3+又はT3+)の核種に対する高比率の単原子ジュウテリウム(D)又はトリチウム(T)のイオン(D3+又はT3+イオン)が作られる。
【0020】
イオン源12の加速器端部では、強い電圧勾配が当該プラズマからの正イオンを加速し、イオン流を生成かつ整形する。これにより、当該イオン流は、差動排気段18を最小の損失で通過することができる。当該電界により電子又は負イオンのような負の粒子が反発されてイオン源12にトラップされる。
【0021】
イオン流が加速器14に入り、通過に従ってエネルギーを得る。加速器14の最終ギャップは小さな抑制電圧を有する。当該抑制電圧は、当該流にわずかに影響を与えるが、差動排気段18又は標的チャンバ16において作られる電子が加速器14に還流してエネルギーを浪費し当該源10にダメージを与え得ることを防止する。図2は、形成かつ加速されたイオン流22の一例を示す。
【0022】
図1をさらに参照すると、当該イオン流は次に差動排気セクション18に入りほとんど影響を受けずに通過する。
【0023】
当該イオン流は次に標的チャンバ16に入り、ここでジュウテリウム又はトリチウム標的ガスと衝突して中性子が作られる。図3は標的ガスと相互作用するイオン流22を示す。
【0024】
図4を参照すると、原子核反応の種類、収率、及びエネルギーが標的ガスと同様に当該ビームの構成要素にも依存する。中性子を作る反応の階級には、ジュウテリウム流とジュウテリウム標的との間(D−D)、ジュウテリウム流とトリチウム標的との間(D−T)、トリチウム流とジュウテリウム標的との間(T−D)、及びトリチウム流とトリチウム標的との間(T−T)で生じる反応が含まれる。ジュウテリウムとトリチウム原子核との反応を図4に示す。
【0025】
図1に示す種類の中性子源の出力は、厚い標的収率法(thick target yield method)を使用して計算される。この方法は、イオン流が、もはや顕著な反応を生成することのないエネルギーまで減速するまで、当該ガスとの衝突を受ける際に非減衰(粒子損失なし)であると仮定する。イオンビームが標的に衝撃を与える増分反応率は、以下の式1で与えられる。ここで、df(E)は差分エネルギー区間dEにおける反応率(反応/s)であり、nbは標的密度(粒子/m3)であり、Iionはイオン電流(A)であり、eは電気素量1.6022×10−19クーロン/粒子であり、σ(E)はエネルギー依存反応断面積(m2)であり、S(E)はエネルギー依存阻止能である。粒子は標的チャンバ内で一旦減速するので、無限小ステップ長に対してエネルギーEにて出る。
【数1】
【0026】
標的におけるビーム停止から厚い標的の収率を決定するべく式1は、その最大であるEiからそれが停止するところ(式2)まで粒子エネルギーに対して積分される。ここで、F(Ei)は、初期エネルギーEiのビームが当該標的内で停止する総反応率である。
【0027】
単原子のイオン化したDの流れがエネルギー350keV及び強度50mAにてTのガスに衝突する一例の場合では、反応率は約4.6×1013反応/sとなり、毎秒同数の中性子が作られる。かかる同じ基準であれば、D−D反応に関して収率6.5×1011n/s、T−T反応に関して収率1.1×1012n/sとなる。
【0028】
問いかけを目的として(例えば中性子束を与えて結果的な放射線シグネチャを検出することを目的として)貨物専用コンテナ内に高中性子束を送達する高いソース強度に加え、本発明のいくつかの実施例に係る方法により、定常状態(連続)出力の又は短いパルス(例えば約10μ秒程度の短さ)の中性子が作られる。これは、放射線撮影の目的のみならず、核物質を発見する目的のために使用される専門的な検出スキームにおいても有用である。
【0029】
‘958出願に記載された中性子源10等の実施例は、フィルムに基づく中性子放射線撮影、電子検出器に基づく放射線撮影、原子核アッセイ、特殊核物質のアッセイを含むがこれらに限られない検出技術と対にされる。これらは以下で詳しく説明される。
【0030】
フィルムに基づく中性子放射線撮影:この技術では、物体を通過する中性子束又は「光」を捕捉するべく中性子高感度フィルムを有するフィルムが使用される。この技術は、X線との相互作用がごく弱い現代的な複合材料のような軽い元素が支配的な物質の内部の詳細な画像を作ることに有効である。加えて、中性子は重い元素が支配的な物質に対して浸透するので、高性能弾薬及び潜水艦の溶接のような厚い金属物体のような金属物体の内部深くに見出される詳細の画像を与えることができる。
【0031】
電子検出器に基づく放射線撮影:この技術は、フィルムに基づく放射線撮影と酷似する機能を有する。当該フィルムのみが、中性子感度が高い検出器のアレイで置換される。これにより、フィルムの代わりにコンピュータ画面に直接画像が送信される。
【0032】
原子核アッセイ:この技術は、異なる原子核により放出される特徴的な放射線シグネチャを検出するべく複数の検出器種類を使用する。これらには中性子検出器、半導体検出器、及びシンチレーション検出器が含まれる。中性子による衝撃を受けると、原子核は最終的に不安定状態となり、その特定原子核に固有の放射線を放出することによって緩和し得る。これらの放射線放出は、色とみなすことができる。すべての元素のすべての同位体は、それ自体の固有色を有する。これにより、スキャナで物体の正確な原子核構成を決定することができる。所定の原子核が正しい比で存在する場合、当該物質について決定を下すことができる。図5に、水素、炭素、窒素、及び酸素の特徴的な比により識別できるいくつかの成分の一例を示す。
【0033】
特殊核物質のアッセイ:SNMは、その存在を検出するべく使用できる特定の固有信号を放出する。この技術の詳細な説明は以下のとおりである。
【0034】
中性子に基づくSNMの検出は極めて感度が高い。これは、中性子が当該SNMの、2つの検出可能信号を作る核分裂を引き起こすからである。第1の信号は当該核分裂事象自体により作られ、第2の信号は、当該核分裂プロセスにおいて放出される不安定生成物により作られる。これらの信号はそれぞれ、時間差消滅及び遅発中性子アッセイのような検出法によって検出することができる。
【0035】
時間差消滅分析法は、核物質を検出する高感度な方法である。熱中性子から遮蔽された中性子検出器を使用することにより、熱中性子の大集団の存在にもかかわらず核分裂中性子を検出することができる。高速中性子集団の存在なしに熱中性子集団を作る一の方法は、中性子源10をパルス駆動して数十μ秒間待つことである。このとき、当該パルスからの高速熱外中性子束が「消滅」する一方、当該熱中性子束は維持される。次に当該熱中性子束はSNMに核分裂を引き起こし、延長された高速中性子束を作り得る。中性子検出器が熱中性子から遮蔽されるので、当該検出器は、当該核分裂特殊核物質から中性子のみを検出する。図6は、高濃縮ウラン(HEU)を有する及び有しない空気充填輸送コンテナのための一の可能な検出器設定における中性子カウントの減少を示す。これは、MCNP5(中性子輸送及び物質との相互作用をシミュレーションするべくロスアラモス国立研究所が開発したソフトウェアプログラムであるモンテカルロ中性粒子(Monte-Carlo Neutral Particle))ソフトウェアによるシミュレーションである。MCNPモデルの視覚的表現及びHEUを有して及び有しないで行われた場合の視覚的表現を作るべくVisEdと称されるソフトウェアプログラムも使用される。図7を参照すると、図6を参照して説明されたシミュレーションに対する基礎として使用された中性子問いかけシステムの構造の概略的なモデルが示される。中性子源24が、少量の高濃縮ウラン28を保持する貨物専用コンテナ26に近接して配置される。遮蔽水30が中性子源24を囲み、所定数のカドミウム被覆中性子検出器32もコンテナ26の近くに配置される。
【0036】
遅発中性子の検出に加え、核分裂に起因するガンマ線シグネチャによって所定の貨物種類におけるSNMの存在の検出が補助される。したがって、核分裂に起因するガンマ線を検出するべくシンチレーション又は半導体検出器も使用できる。
【0037】
一実施例に係るSNM検出に使用される他の技術は遅発中性子アッセイである。この技術は、核分裂生成物が典型的に中性子過剰であり不安定となる事実を利用する。核分裂生成物は、緩和するべく一連の放射性崩壊を起こす。これらの崩壊のいくつかは、遅発中性子先行核として知られるものを形成する。これ自体不安定であり、中性子放出により緩和する。一例は、クリプトン87にベータ崩壊する核分裂生成物臭素87である。これは、時々準安定状態となる。当該準安定臭素は、中性子を放出することにより緩和する。当該中性子は、臭素87の半減期54.5秒ゆえに問いかけ中性子パルスの十分後になって検出することができる。この例の反応を以下に示す。
【数2】
【0038】
遅発核分裂中性子は、SNMの核分裂にて生成された中性子総数の約0.65パーセントを占める。当該総遅発中性子集団に寄与する同位体は数十存在するが、これらの同位体の半減期は図8に示す6つのグループを使用して記載することができる。各グループは、特徴的な半減期及びこれに対応する相対的な放出確率を有する。
【0039】
図8に与えられるデータポイントは、照射中の遅発中性子集団の成長及び減衰を計算するべく使用される。図9及び10は、中性子照射中の遅発中性子の成長を示す。1秒後、総集団はその安定状態値の25パーセント超過まで安定的に到達する。しかし、その最大値の95パーセントに到達するまでには、さらに60秒の照射が必要である。照射が止まると、図11に示すように遅発中性子の放射能は迅速に低下する。
【0040】
貨物に迅速な問いかけをする目的に対しては、飽和の約70%をはるかに超過する時間の間の照射をするよりも、もう1回の照射を開始する方が統計的に価値があろう。いくつかの実施例によれば、中性子源のパルス時間は10秒未満であり、引き続き5秒程度までの放射線検出器を「聞く」ことが行われる。他実施例によれば、検出時間に先立ち長い(例えば10秒から1分の間、1分超過等)又は短い(例えば1−10μ秒、10−100μ秒、100−1000μ秒、1−10m秒、10−100m秒、100−1000m秒等)パルスが使用される。
【0041】
時間差消滅法とちょうど同じように、本発明の一実施例では、遅発中性子アッセイ法によるSNM検出に対してガンマ線シグネチャも使用される。短命の核分裂生成物は、特殊核物質にのみ存在する特徴的な崩壊シグネチャを有する遅発ガンマ線を放出する。
【0042】
中性子源10と組み合わせて使用される検出器システムは、一以上の検出器を有する他の放射線検出システムと同様の構成を有する。当該検出システムにより生成された信号は、検出された放射線の量及びエネルギーの指示を与えるべく構成された適切なエレクトロニクスに与えられる。当該エレクトロニクスには、当該データを評価するべく使用されるコンピュータに関連付けられたプロセッサを含み出力を与え得る。当該出力は、検出された放射線に関するデータであり得るが、スキャンされているコンテナ(又は他の構造物)の内容物の画像であってもよい。当該画像は、業界にて周知の放射線イメージングシステム(例えば従来技術を使用する画像再構築)により与えられる。同様に、当該コンピュータシステムは、上述の原子核アッセイ法にて使用される対比のような他の評価ステップを行うべく構成されたソフトウェアを有する。
【0043】
図12を参照すると、中性子源10及び検出器システムが、貨物の有効かつ非侵襲的なスキャニングを目的とするスキャニングシステムに組み入れられ得る。一実施例では、中性子源10は、インターモーダルコンテナ36を貨物船舶へ又は船舶から載せる又は降ろすべく使用されるクレーン34に接続される。クレーン34の位置は、当該コンテナの内容物をスキャンすることができる一方でコンテナ36が当該船舶へ又は当該船舶から移動されるので、港において物品の流れが妨げられないという利点を表す。さらにクレーン34の構成により、港の人員から実質的に離れた場所(例えば空中)において中性子スキャンを行うことができる。これにより、システム全体により必要とされる放射線遮蔽の量を低減することができる。他の実施例では、鉄道車両に又は鉄道車両からかかるコンテナを載せる又は降ろすべく使用されるインターモーダルコンテナクレーンに関して同じアプローチがとられる。
【0044】
他の実施例では、コンテナ問いかけシステム(中性子源及び検出システムの双方を含む)が貨物船舶内に又は港、空港等に配置された貨物専用コンテナのコンベア上に配置される。さらなる他の実施例では、当該問いかけシステムは、列車の軌道(例えば、当該軌道の上方に配置された中性子源10であって、インターモーダルコンテナを運搬する列車が当該中性子源の下方を移動できるように配置された中性子源10、及び当該軌道の下方に配置された検出器を有する)に近接して配置される。かかる構成は、(例えば輸送港を出る又は輸送港に入る)列車上の貨物専用コンテナの有効なスキャニングを可能とするべく意図される。(例えば船舶、国境検問所等において載せるコンテナを有して港を出る、港に入る)トラック上の貨物専用コンテナのスキャニングを目的としても同様の構成が使用される。
【0045】
当該中性子源及び放射線検出システムが、貨物専用コンテナ内の物質を識別する問いかけシステムとして組み合わせて使用される場合、これを行う本発明の一実施例に係る方法には、最初に当該中性子源により中性子束を生成することが含まれる。上述のように所定の好ましい実施例では、中性子束は定常状態束としてよりもむしろパルスの態様で生成される。問いかけ対象の貨物専用コンテナが当該中性子束で照射される。上述のように、当該コンテナ内の物質は、特殊核物質の場合の核分裂によるような様々な態様で当該中性子束と反応する。上述の様々な検出器の一つであり得る検出器システムが使用されて、当該コンテナ内の物質の照射に起因する放射線シグネチャが検出される。放射線シグネチャを検出することには、結果的な中性子束、結果的なガンマ束を検出すること、結果的な放射線のエネルギーを検出すること等が含まれる。放射線検出器は放射線シグネチャデータを、データストレージのためのメモリを含む計算エレクトロニクスに与える。次に当該放射線シグネチャが、当該コンテナ内の一の又は複数の物質を識別するべく評価される。当該評価ステップには、当該コンテナ内の所定原子核の比、例えば水素、炭素、窒素、及び酸素の2つ以上の比を決定すること、及びその比に基づいて当該物質を識別することが含まれる。中性子源が、設定持続時間の中性子束が与えられるようなパルスの態様で動作する場合、当該検出ステップは、当該中性子束が中性子源によって当該コンテナ内に与えられない間に、当該照射ステップの後に行われる。
【0046】
様々な実施例において示される本システム及び方法の構造及び構成は、例示にすぎない。本開示においていくつかの実施例のみが詳細に説明されたが、多くの修正例(例えばサイズ、寸法、構造、形状、及び様々な元素の比、パラメータ値、搭載構成、物質の使用、色、配向等のバリエーション)も可能である。例えば、元素の位置を反転するか又は変更してよく、分散する元素又は位置の性質又は数を変化又は変更してよい。したがって、かかる修正のすべてが本開示の範囲内に含まれるものと意図される。任意のプロセス又は方法ステップの順序又は配列を代替実施例に応じて変更又は再配列してよい。本開示の範囲から逸脱することなく当該実施例の設計、動作、条件、及び構成において他の置換、修正、変更、及び省略をしてよい。
【0047】
本開示は、様々な動作を遂行するための任意の機械可読媒体上の方法、システム、及びプログラム製品を意図する。本開示の実施例は、既存のコンピュータプロセッサを使用して、又は、この目的又は他の目的のために組み入れられる所定システム専用のコンピュータプロセッサにより若しくはハードワイヤードシステムにより実装できる。本開示の範囲内の実施例は、機械実行可能命令又はデータ構造を保持し又は格納する機械可読媒体を含むプログラム製品を含む。かかる機械可読媒体は、汎用若しくは専用コンピュータ等のプロセッサを有する機械がアクセスできる任意の入手可能な媒体であり得る。例えば、かかる機械可読媒体は、RAM、ROM、EPROM、EEPROM、CD−ROM等の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージ等の磁気ストレージデバイス、又は所望のプログラムコードを機械実行可能命令の形態若しくはデータ構造の形態で保持若しくは格納するべく使用できる若しくは汎用若しくは専用コンピュータ等のプロセッサを有する機械がアクセスできる任意の他の媒体を含み得る。ネットワーク等の通信接続(ハードワイヤード、ワイヤレス、又はハードワイヤードとワイヤレスとの組み合わせのいずれか)を介して情報が機械に送られ又は与えられる場合、当該機械は適切に当該接続を機械可読媒体とみなす。したがって、任意の当該接続は機械可読媒体と称するのが適切である。上述の組み合わせもまた機械可読媒体の範囲内に含まれる。機械実行可能命令は例えば、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は所定機能若しくは複数機能のグループを果たす専用処理機械をもたらす命令及びデータを含む。
【0048】
方法ステップの具体的順序が図面に示され又は説明されたが、当該ステップの順序は記載されたものと異なってよい。また、2以上のステップが同時に又は部分的に競合して行われてよい。かかるバリエーションは、選択されたソフトウェア及びハードウェアシステムを含む様々な因子に及び設計者の選択に依存する。かかるバリエーションのすべてが本開示の範囲内にある。同様に、ソフトウェアの実装は、様々な接続ステップ、処理ステップ、対比ステップ、及び決定ステップを遂行するルールベース論理等の論理による標準のプログラミング技術によって遂行できる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨物専用コンテナの内容物を検査する装置に関する。
【0002】
関連特許出願の相互参照
本願は、2009年12月15日出願の米国仮特許出願第61/286,690号の利益を主張する。当該米国仮特許出願はそのすべてが本明細書において参照として組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
貨物専用コンテナ(例えば運送用コンテナ、シーカン(sea cans)、又はコネックスボックスとしても知られるインターモーダルコンテナのような、船舶、列車、又はトラックを介して物品を輸送するのに使用されるマルチ輸送モードコンテナ)が目下安全上のリスクを与えている。かかるコンテナに、様々な好ましくない物質が置かれ得るからである。また、港等の国境通関で国内に入るコンテナの正確な内容物を決定することについて著しい困難が存在するからである。主な困難の一つは、混雑した港に毎日到着するコンテナの数の多さ、及びかかる港での物品の流れを過度に妨げないように当該コンテナを迅速にスキャンしなければならない必要性に関する。特殊核物質(SNM)(例えば核分裂性物質)の検出が特に重要であるが、他の好ましくない物質には爆発物、ドラッグ、及び他の輸出入禁制品も含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2002/0171042(A1)号明細書
【特許文献2】米国特許第5,135,704号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/0220247(A1)号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2003/0165213(A1)号明細書
【特許文献5】国際公開第2008/012360(A1)号パンフレット
【特許文献6】米国特許出願公開第2003/0201394(A1)号明細書
【特許文献7】米国特許5,200,626号明細書
【発明の概要】
【0005】
本発明は、貨物専用コンテナの内容物を検査する装置に関する。中性子源が、ジュウテリウム又はトリチウムイオンを与えるべく構成されたイオン源と、当該イオンを、ジュウテリウム又はトリチウムイオンの少なくとも一つを含む標的に向けて加速するべく構成された加速器とを含む。本装置はさらに放射線検出器を含む。中性子源は当該コンテナ内に中性子束を送達するべく構成され、放射線検出器は、当該コンテナ内への中性子束の送達に引き続き当該貨物専用コンテナから出る放射線を検出するべく構成される。
【0006】
本発明はまた、貨物専用コンテナ内の物質を識別する方法に関する。本方法は、中性子源装置により中性子束を生成するステップを含む。当該中性子源装置は、イオンビームを生成するべく、イオンビーム加速器に動作可能に接続されたイオン源を有する。当該加速器は、イオンビームを受け取り、当該イオンビームを加速して加速イオンビームをもたらす。当該中性子装置はさらに、当該加速器に動作可能に接続された標的システムを含む。当該加速器は、当該加速ビームと反応して当該中性子束を放出する標的物質を含む。本方法はさらに、当該中性子束で貨物専用コンテナを照射することを含む。これにより、当該中性子束の当該物質との接触後に、当該物質により生成される放射線シグネチャが生成される。本方法はさらに、当該放射線シグネチャを検出し、当該物質を識別するべく当該放射線シグネチャを評価することを含む。
【0007】
本発明は、他の実施例が可能であり、様々な方法で実施又は実行することができる。代替的な実施例が、特許請求の範囲に一般的に記載される他の特徴及び特徴の組み合わせに関連する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明は、添付の図面と組み合わせることで以下の詳細な説明から十分に理解される。ここで、同じ参照番号は同じ要素を参照する。
【0009】
【図1】一実施例に係る中性子源の概略図である。
【図2】加速されかつ形成されたイオンビームの概略図である。
【図3】標的チャンバ内のガス標的と相互作用するイオンビームの概略図である。
【図4】いくつかの高中性子収率反応の概略図である。
【図5】様々な成分に対する炭素、窒素、酸素、及び水素の概算元素比を列記するチャートである。
【図6】100cm3の高濃縮ウラン試料を有する及び有しない空気充填コンテナに対する3He検出器の相対計数を示すプロットである。
【図7】SNMを含む貨物専用コンテナに接続された中性子スキャニングシステムの概略図である。
【図8】6つの遅発中性子グループに対する半減期及び相対存在量を示すチャートである。
【図9】1秒の照射中における遅発中性子集団の予測される成長を示すプロットである。
【図10】60秒の照射中における遅発中性子集団の予測される成長を示すプロットである。
【図11】照射後の予測される中性子放射能を示すプロットである。
【図12】一実施例に係る、設置されたアクティブ中性子問いかけシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施例を詳細に示す図面に戻る前に、本願が当該説明に記載された又は当該図面に示された詳細又は方法に限定されるわけではないことを理解されたい。また、当該用語が説明のみを目的とするものであって限定と認めてはならないことも理解されたい。
【0011】
特殊核物質(SNM)のための従来型パッシブ検出システムは、貨物専用コンテナを迅速にスキャンすることができず、SNMと他の自然発生する放射性成分のホストとを区別することもできない。X線技術を使用するアクティブシステムは、SNMと高密度又は高原子番号の他の物質とを有効に区別することができない。いずれの場合も、物品の通常の流れを著しく妨げることなく高信頼性をもってSNMを検出することが困難である。
【0012】
一実施例では、SNMを検出する方法が、アクティブ検査ツールとして中性子の使用を含む。X線と同様中性子も、コンテナ内容物の放射線撮影画像を生成するべく使用される。しかし、X線とは異なり、中性子は重金属の厚い層に浸透してその中の軽い元素の薄い層と相互作用する。さらに中性子は、当該コンテナ内の原子核からの、固有の放射線シグネチャを放出する各種類の原子核との特徴的な応答を励起する。このため、中性子照射により、スキャナは当該コンテナ中の貨物の物理的及び原子核的双方の組成を決定することができる。SNMは、進行中の核分裂により応答するときに、中性子照射によって特に検出可能である。当該核分裂は、非定型的であって検出容易な放射線シグネチャを生成する。本発明の一実施例では、中性子を使用するSNM検出法が、放射線撮影システムの心臓部として高効率、高出力、長寿命な中性子源を利用する。当該システムは、SNM、ドラッグ、輸出入禁制品、急造爆発物装置、地雷、及び他の脅威を検出するべく使用される。同様に、X線が有用でない場合に放射線撮影画像を生成するための広く一般的な目的の用途も有する。付加的な用途はさらに、潜水艦及び他の海軍艦艇、高性能弾薬、ロケットモータノズル、ミサイルケーシング、複合材料から作られた航空機体、複合ヘリコプターブレード及びロータ、タービン等の溶接検査を含む。
【0013】
いくつかの実施例では、本発明に係る方法は新規な問いかけシステムを作るべく、高度な放射線撮影及び検査技術を、2008年12月29日に出願された「高エネルギー陽子源又は中性子源」という名称の米国特許出願第12/810,958号明細書(「‘958出願」)に記載の革新的な中性子源と組み合わせる。‘958出願はその全体が本明細書に組み入れられる。物質を検出又は識別するべくスキャニングシステムが使用される。当該物質は、少なくとも一の元素を含む任意の組成である。具体的な元素及び元素比が特定の物質を示す。
【0014】
図1を参照すると、本発明のいくつかの実施例に係る中性子検査の方法が、‘958出願に記載された高出力中性子源10の使用により可能となる。中性子源10は、短時間で高品質の放射線撮影及び原子核アッセイを作るのに十分明るい「中性子光」(すなわち中性子束)を与えるものとみなすことができる。中性子は、典型的には核分裂反応と称される原子核反応によって作られる。中性子源は、ジュウテリウム又はトリチウム粒子の中程度のエネルギーのイオン流(例えば100から500keV)を作ることで機能し、当該イオン流をガス又はプラズマの標的に衝突させる。当該ガス又はプラズマの標的も、ジュウテリウム又はトリチウム粒子を含む。中性子源10の可能な一実施例を図1に示す。中性子源10は、固体の代わりにガス又はプラズマからなる中性子誘導標的を利用する。中性子源10は、イオン流を加速するべく及び当該高速流を中性子誘導標的に衝突させるべく別個の空間領域を導入する。
【0015】
詳細には、イオン源12、加速器14、及び標的チャンバ16を有する中性子源10の一の具体的実施例が以下の態様で機能する。
【0016】
標的チャンバ16は一の典型的実施例において、イオンビームの標的を与えるべく約133.3−1333Pa(1−10torr)の圧力のジュウテリウム又はトリチウムガスで充填される。他実施例は、標的チャンバ16において異なる圧力を利用する。
【0017】
標的チャンバ16から加速器14に向かって漏れるジュウテリウム又はトリチウムは、差動排気段18によりコールドトラップ20に引き込まれる。各段18が10から1000の倍率で圧力を低減し、一実施例において加速器14内の圧力を13.3mPa(100μtorr)に維持する。
【0018】
コールドトラップ20に入るガスは液体窒素温度(約−196℃)まで冷却される。この温度にて、水のような不純物及び大気ガスが凝縮し、再循環ガス流から除去される。当該精製ガスがコールドトラップ20から標的チャンバ16に還流される。コールドトラップ20は、例えば自動化システムにより、周期的に排気される必要がある。
【0019】
ジュウテリウム又はトリチウムガスがイオン源12内に供給される。イオン源12は、電源によって正の高電圧(典型的には100−500keV)まで駆動される。一実施例においてイオン源12内のプラズマが、高周波又はマイクロ波励起により作られる。イオン源12内の動作中のガス圧力は一実施例において、数ミリtorr(mtorr)のオーダーである。源12内の高プラズマ密度ゆえに、二原子(D2+又はT2+)及び三原子(D3+又はT3+)の核種に対する高比率の単原子ジュウテリウム(D)又はトリチウム(T)のイオン(D3+又はT3+イオン)が作られる。
【0020】
イオン源12の加速器端部では、強い電圧勾配が当該プラズマからの正イオンを加速し、イオン流を生成かつ整形する。これにより、当該イオン流は、差動排気段18を最小の損失で通過することができる。当該電界により電子又は負イオンのような負の粒子が反発されてイオン源12にトラップされる。
【0021】
イオン流が加速器14に入り、通過に従ってエネルギーを得る。加速器14の最終ギャップは小さな抑制電圧を有する。当該抑制電圧は、当該流にわずかに影響を与えるが、差動排気段18又は標的チャンバ16において作られる電子が加速器14に還流してエネルギーを浪費し当該源10にダメージを与え得ることを防止する。図2は、形成かつ加速されたイオン流22の一例を示す。
【0022】
図1をさらに参照すると、当該イオン流は次に差動排気セクション18に入りほとんど影響を受けずに通過する。
【0023】
当該イオン流は次に標的チャンバ16に入り、ここでジュウテリウム又はトリチウム標的ガスと衝突して中性子が作られる。図3は標的ガスと相互作用するイオン流22を示す。
【0024】
図4を参照すると、原子核反応の種類、収率、及びエネルギーが標的ガスと同様に当該ビームの構成要素にも依存する。中性子を作る反応の階級には、ジュウテリウム流とジュウテリウム標的との間(D−D)、ジュウテリウム流とトリチウム標的との間(D−T)、トリチウム流とジュウテリウム標的との間(T−D)、及びトリチウム流とトリチウム標的との間(T−T)で生じる反応が含まれる。ジュウテリウムとトリチウム原子核との反応を図4に示す。
【0025】
図1に示す種類の中性子源の出力は、厚い標的収率法(thick target yield method)を使用して計算される。この方法は、イオン流が、もはや顕著な反応を生成することのないエネルギーまで減速するまで、当該ガスとの衝突を受ける際に非減衰(粒子損失なし)であると仮定する。イオンビームが標的に衝撃を与える増分反応率は、以下の式1で与えられる。ここで、df(E)は差分エネルギー区間dEにおける反応率(反応/s)であり、nbは標的密度(粒子/m3)であり、Iionはイオン電流(A)であり、eは電気素量1.6022×10−19クーロン/粒子であり、σ(E)はエネルギー依存反応断面積(m2)であり、S(E)はエネルギー依存阻止能である。粒子は標的チャンバ内で一旦減速するので、無限小ステップ長に対してエネルギーEにて出る。
【数1】
【0026】
標的におけるビーム停止から厚い標的の収率を決定するべく式1は、その最大であるEiからそれが停止するところ(式2)まで粒子エネルギーに対して積分される。ここで、F(Ei)は、初期エネルギーEiのビームが当該標的内で停止する総反応率である。
【0027】
単原子のイオン化したDの流れがエネルギー350keV及び強度50mAにてTのガスに衝突する一例の場合では、反応率は約4.6×1013反応/sとなり、毎秒同数の中性子が作られる。かかる同じ基準であれば、D−D反応に関して収率6.5×1011n/s、T−T反応に関して収率1.1×1012n/sとなる。
【0028】
問いかけを目的として(例えば中性子束を与えて結果的な放射線シグネチャを検出することを目的として)貨物専用コンテナ内に高中性子束を送達する高いソース強度に加え、本発明のいくつかの実施例に係る方法により、定常状態(連続)出力の又は短いパルス(例えば約10μ秒程度の短さ)の中性子が作られる。これは、放射線撮影の目的のみならず、核物質を発見する目的のために使用される専門的な検出スキームにおいても有用である。
【0029】
‘958出願に記載された中性子源10等の実施例は、フィルムに基づく中性子放射線撮影、電子検出器に基づく放射線撮影、原子核アッセイ、特殊核物質のアッセイを含むがこれらに限られない検出技術と対にされる。これらは以下で詳しく説明される。
【0030】
フィルムに基づく中性子放射線撮影:この技術では、物体を通過する中性子束又は「光」を捕捉するべく中性子高感度フィルムを有するフィルムが使用される。この技術は、X線との相互作用がごく弱い現代的な複合材料のような軽い元素が支配的な物質の内部の詳細な画像を作ることに有効である。加えて、中性子は重い元素が支配的な物質に対して浸透するので、高性能弾薬及び潜水艦の溶接のような厚い金属物体のような金属物体の内部深くに見出される詳細の画像を与えることができる。
【0031】
電子検出器に基づく放射線撮影:この技術は、フィルムに基づく放射線撮影と酷似する機能を有する。当該フィルムのみが、中性子感度が高い検出器のアレイで置換される。これにより、フィルムの代わりにコンピュータ画面に直接画像が送信される。
【0032】
原子核アッセイ:この技術は、異なる原子核により放出される特徴的な放射線シグネチャを検出するべく複数の検出器種類を使用する。これらには中性子検出器、半導体検出器、及びシンチレーション検出器が含まれる。中性子による衝撃を受けると、原子核は最終的に不安定状態となり、その特定原子核に固有の放射線を放出することによって緩和し得る。これらの放射線放出は、色とみなすことができる。すべての元素のすべての同位体は、それ自体の固有色を有する。これにより、スキャナで物体の正確な原子核構成を決定することができる。所定の原子核が正しい比で存在する場合、当該物質について決定を下すことができる。図5に、水素、炭素、窒素、及び酸素の特徴的な比により識別できるいくつかの成分の一例を示す。
【0033】
特殊核物質のアッセイ:SNMは、その存在を検出するべく使用できる特定の固有信号を放出する。この技術の詳細な説明は以下のとおりである。
【0034】
中性子に基づくSNMの検出は極めて感度が高い。これは、中性子が当該SNMの、2つの検出可能信号を作る核分裂を引き起こすからである。第1の信号は当該核分裂事象自体により作られ、第2の信号は、当該核分裂プロセスにおいて放出される不安定生成物により作られる。これらの信号はそれぞれ、時間差消滅及び遅発中性子アッセイのような検出法によって検出することができる。
【0035】
時間差消滅分析法は、核物質を検出する高感度な方法である。熱中性子から遮蔽された中性子検出器を使用することにより、熱中性子の大集団の存在にもかかわらず核分裂中性子を検出することができる。高速中性子集団の存在なしに熱中性子集団を作る一の方法は、中性子源10をパルス駆動して数十μ秒間待つことである。このとき、当該パルスからの高速熱外中性子束が「消滅」する一方、当該熱中性子束は維持される。次に当該熱中性子束はSNMに核分裂を引き起こし、延長された高速中性子束を作り得る。中性子検出器が熱中性子から遮蔽されるので、当該検出器は、当該核分裂特殊核物質から中性子のみを検出する。図6は、高濃縮ウラン(HEU)を有する及び有しない空気充填輸送コンテナのための一の可能な検出器設定における中性子カウントの減少を示す。これは、MCNP5(中性子輸送及び物質との相互作用をシミュレーションするべくロスアラモス国立研究所が開発したソフトウェアプログラムであるモンテカルロ中性粒子(Monte-Carlo Neutral Particle))ソフトウェアによるシミュレーションである。MCNPモデルの視覚的表現及びHEUを有して及び有しないで行われた場合の視覚的表現を作るべくVisEdと称されるソフトウェアプログラムも使用される。図7を参照すると、図6を参照して説明されたシミュレーションに対する基礎として使用された中性子問いかけシステムの構造の概略的なモデルが示される。中性子源24が、少量の高濃縮ウラン28を保持する貨物専用コンテナ26に近接して配置される。遮蔽水30が中性子源24を囲み、所定数のカドミウム被覆中性子検出器32もコンテナ26の近くに配置される。
【0036】
遅発中性子の検出に加え、核分裂に起因するガンマ線シグネチャによって所定の貨物種類におけるSNMの存在の検出が補助される。したがって、核分裂に起因するガンマ線を検出するべくシンチレーション又は半導体検出器も使用できる。
【0037】
一実施例に係るSNM検出に使用される他の技術は遅発中性子アッセイである。この技術は、核分裂生成物が典型的に中性子過剰であり不安定となる事実を利用する。核分裂生成物は、緩和するべく一連の放射性崩壊を起こす。これらの崩壊のいくつかは、遅発中性子先行核として知られるものを形成する。これ自体不安定であり、中性子放出により緩和する。一例は、クリプトン87にベータ崩壊する核分裂生成物臭素87である。これは、時々準安定状態となる。当該準安定臭素は、中性子を放出することにより緩和する。当該中性子は、臭素87の半減期54.5秒ゆえに問いかけ中性子パルスの十分後になって検出することができる。この例の反応を以下に示す。
【数2】
【0038】
遅発核分裂中性子は、SNMの核分裂にて生成された中性子総数の約0.65パーセントを占める。当該総遅発中性子集団に寄与する同位体は数十存在するが、これらの同位体の半減期は図8に示す6つのグループを使用して記載することができる。各グループは、特徴的な半減期及びこれに対応する相対的な放出確率を有する。
【0039】
図8に与えられるデータポイントは、照射中の遅発中性子集団の成長及び減衰を計算するべく使用される。図9及び10は、中性子照射中の遅発中性子の成長を示す。1秒後、総集団はその安定状態値の25パーセント超過まで安定的に到達する。しかし、その最大値の95パーセントに到達するまでには、さらに60秒の照射が必要である。照射が止まると、図11に示すように遅発中性子の放射能は迅速に低下する。
【0040】
貨物に迅速な問いかけをする目的に対しては、飽和の約70%をはるかに超過する時間の間の照射をするよりも、もう1回の照射を開始する方が統計的に価値があろう。いくつかの実施例によれば、中性子源のパルス時間は10秒未満であり、引き続き5秒程度までの放射線検出器を「聞く」ことが行われる。他実施例によれば、検出時間に先立ち長い(例えば10秒から1分の間、1分超過等)又は短い(例えば1−10μ秒、10−100μ秒、100−1000μ秒、1−10m秒、10−100m秒、100−1000m秒等)パルスが使用される。
【0041】
時間差消滅法とちょうど同じように、本発明の一実施例では、遅発中性子アッセイ法によるSNM検出に対してガンマ線シグネチャも使用される。短命の核分裂生成物は、特殊核物質にのみ存在する特徴的な崩壊シグネチャを有する遅発ガンマ線を放出する。
【0042】
中性子源10と組み合わせて使用される検出器システムは、一以上の検出器を有する他の放射線検出システムと同様の構成を有する。当該検出システムにより生成された信号は、検出された放射線の量及びエネルギーの指示を与えるべく構成された適切なエレクトロニクスに与えられる。当該エレクトロニクスには、当該データを評価するべく使用されるコンピュータに関連付けられたプロセッサを含み出力を与え得る。当該出力は、検出された放射線に関するデータであり得るが、スキャンされているコンテナ(又は他の構造物)の内容物の画像であってもよい。当該画像は、業界にて周知の放射線イメージングシステム(例えば従来技術を使用する画像再構築)により与えられる。同様に、当該コンピュータシステムは、上述の原子核アッセイ法にて使用される対比のような他の評価ステップを行うべく構成されたソフトウェアを有する。
【0043】
図12を参照すると、中性子源10及び検出器システムが、貨物の有効かつ非侵襲的なスキャニングを目的とするスキャニングシステムに組み入れられ得る。一実施例では、中性子源10は、インターモーダルコンテナ36を貨物船舶へ又は船舶から載せる又は降ろすべく使用されるクレーン34に接続される。クレーン34の位置は、当該コンテナの内容物をスキャンすることができる一方でコンテナ36が当該船舶へ又は当該船舶から移動されるので、港において物品の流れが妨げられないという利点を表す。さらにクレーン34の構成により、港の人員から実質的に離れた場所(例えば空中)において中性子スキャンを行うことができる。これにより、システム全体により必要とされる放射線遮蔽の量を低減することができる。他の実施例では、鉄道車両に又は鉄道車両からかかるコンテナを載せる又は降ろすべく使用されるインターモーダルコンテナクレーンに関して同じアプローチがとられる。
【0044】
他の実施例では、コンテナ問いかけシステム(中性子源及び検出システムの双方を含む)が貨物船舶内に又は港、空港等に配置された貨物専用コンテナのコンベア上に配置される。さらなる他の実施例では、当該問いかけシステムは、列車の軌道(例えば、当該軌道の上方に配置された中性子源10であって、インターモーダルコンテナを運搬する列車が当該中性子源の下方を移動できるように配置された中性子源10、及び当該軌道の下方に配置された検出器を有する)に近接して配置される。かかる構成は、(例えば輸送港を出る又は輸送港に入る)列車上の貨物専用コンテナの有効なスキャニングを可能とするべく意図される。(例えば船舶、国境検問所等において載せるコンテナを有して港を出る、港に入る)トラック上の貨物専用コンテナのスキャニングを目的としても同様の構成が使用される。
【0045】
当該中性子源及び放射線検出システムが、貨物専用コンテナ内の物質を識別する問いかけシステムとして組み合わせて使用される場合、これを行う本発明の一実施例に係る方法には、最初に当該中性子源により中性子束を生成することが含まれる。上述のように所定の好ましい実施例では、中性子束は定常状態束としてよりもむしろパルスの態様で生成される。問いかけ対象の貨物専用コンテナが当該中性子束で照射される。上述のように、当該コンテナ内の物質は、特殊核物質の場合の核分裂によるような様々な態様で当該中性子束と反応する。上述の様々な検出器の一つであり得る検出器システムが使用されて、当該コンテナ内の物質の照射に起因する放射線シグネチャが検出される。放射線シグネチャを検出することには、結果的な中性子束、結果的なガンマ束を検出すること、結果的な放射線のエネルギーを検出すること等が含まれる。放射線検出器は放射線シグネチャデータを、データストレージのためのメモリを含む計算エレクトロニクスに与える。次に当該放射線シグネチャが、当該コンテナ内の一の又は複数の物質を識別するべく評価される。当該評価ステップには、当該コンテナ内の所定原子核の比、例えば水素、炭素、窒素、及び酸素の2つ以上の比を決定すること、及びその比に基づいて当該物質を識別することが含まれる。中性子源が、設定持続時間の中性子束が与えられるようなパルスの態様で動作する場合、当該検出ステップは、当該中性子束が中性子源によって当該コンテナ内に与えられない間に、当該照射ステップの後に行われる。
【0046】
様々な実施例において示される本システム及び方法の構造及び構成は、例示にすぎない。本開示においていくつかの実施例のみが詳細に説明されたが、多くの修正例(例えばサイズ、寸法、構造、形状、及び様々な元素の比、パラメータ値、搭載構成、物質の使用、色、配向等のバリエーション)も可能である。例えば、元素の位置を反転するか又は変更してよく、分散する元素又は位置の性質又は数を変化又は変更してよい。したがって、かかる修正のすべてが本開示の範囲内に含まれるものと意図される。任意のプロセス又は方法ステップの順序又は配列を代替実施例に応じて変更又は再配列してよい。本開示の範囲から逸脱することなく当該実施例の設計、動作、条件、及び構成において他の置換、修正、変更、及び省略をしてよい。
【0047】
本開示は、様々な動作を遂行するための任意の機械可読媒体上の方法、システム、及びプログラム製品を意図する。本開示の実施例は、既存のコンピュータプロセッサを使用して、又は、この目的又は他の目的のために組み入れられる所定システム専用のコンピュータプロセッサにより若しくはハードワイヤードシステムにより実装できる。本開示の範囲内の実施例は、機械実行可能命令又はデータ構造を保持し又は格納する機械可読媒体を含むプログラム製品を含む。かかる機械可読媒体は、汎用若しくは専用コンピュータ等のプロセッサを有する機械がアクセスできる任意の入手可能な媒体であり得る。例えば、かかる機械可読媒体は、RAM、ROM、EPROM、EEPROM、CD−ROM等の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージ等の磁気ストレージデバイス、又は所望のプログラムコードを機械実行可能命令の形態若しくはデータ構造の形態で保持若しくは格納するべく使用できる若しくは汎用若しくは専用コンピュータ等のプロセッサを有する機械がアクセスできる任意の他の媒体を含み得る。ネットワーク等の通信接続(ハードワイヤード、ワイヤレス、又はハードワイヤードとワイヤレスとの組み合わせのいずれか)を介して情報が機械に送られ又は与えられる場合、当該機械は適切に当該接続を機械可読媒体とみなす。したがって、任意の当該接続は機械可読媒体と称するのが適切である。上述の組み合わせもまた機械可読媒体の範囲内に含まれる。機械実行可能命令は例えば、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は所定機能若しくは複数機能のグループを果たす専用処理機械をもたらす命令及びデータを含む。
【0048】
方法ステップの具体的順序が図面に示され又は説明されたが、当該ステップの順序は記載されたものと異なってよい。また、2以上のステップが同時に又は部分的に競合して行われてよい。かかるバリエーションは、選択されたソフトウェア及びハードウェアシステムを含む様々な因子に及び設計者の選択に依存する。かかるバリエーションのすべてが本開示の範囲内にある。同様に、ソフトウェアの実装は、様々な接続ステップ、処理ステップ、対比ステップ、及び決定ステップを遂行するルールベース論理等の論理による標準のプログラミング技術によって遂行できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨物専用コンテナの内容物を検査する装置であって、
ジュウテリウム又はトリチウムイオンを与えるべく構成されたイオン源と、ジュウテリウム又はトリチウムの少なくとも一つを含む標的に向けて前記イオンを加速するべく構成された加速器とを含む中性子源と、
放射線検出器と
を含み、
前記中性子源は、前記コンテナ内に中性子束を送達するべく構成され、
前記放射線検出器は、前記コンテナ内への前記中性子束の送達に引き続き前記コンテナから出る放射線を検出するべく構成される装置。
【請求項2】
前記標的は、トリチウム又はジュウテリウムの少なくとも一つを含む標的ガスを保持するべく構成された標的チャンバを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記放射線検出器は中性子を検出するべく構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記放射線検出器は、前記コンテナの内部をイメージングする中性子感度のあるフィルムである、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記検出器はカドミウム被覆中性子検出器である、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記放射線検出器は熱中性子から遮蔽される、請求項3に記載の装置。
【請求項7】
前記放射線検出器は光子を検出するべく構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記放射線検出器はシンチレーション又は半導体ガンマ線検出器である、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記中性子源は定常状態の中性子束を与えるべく構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記中性子源は、前記中性子束が設定時間の間与えられるパルスとなるべく構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記設定時間は約10マイクロ秒である、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記設定時間は5から60秒である、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記放射線検出器は、画面上の表示又は画像への再構築を目的としてイメージングコンピュータにデータを送るべく構成された複数の中性子検出器を含む電子検出器である、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記中性子源及び放射線検出器は、船舶から貨物専用コンテナを降ろすべく構成されたクレーンに接続される、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記中性子源及び放射線検出器は、貨物専用コンテナを検査するべく構成されたコンベアに接続される、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
貨物専用コンテナ内の物質を識別する方法であって、
中性子源装置により中性子束を生成するステップと、
前記中性子束を前記貨物専用コンテナに照射するステップであって、前記中性子束が前記物質と接触した後に前記物質により放射線シグネチャが発生するステップと、
前記放射線シグネチャを検出するステップと、
前記物質を識別するべく前記放射線シグネチャを評価するステップと
を含み、
前記中性子源装置は、
イオンビームの発生を目的としかつイオンビーム加速器に動作可能に接続されるイオン源であって、前記加速器は前記イオンビームを受け取り、かつ、前記イオンビームを加速して加速イオンビームをもたらすイオン源と、
前記加速ビームと反応して前記中性子束を放出する標的物質を含むべく前記加速器に動作可能に接続された標的システムと
を含む方法。
【請求項17】
前記評価するステップは、前記コンテナ内の識別された異なる元素の比を決定することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記比は、水素、炭素、窒素、及び酸素の2以上の比として計算される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記評価するステップは、前記コンテナ内の特殊核物質を識別するべく核分裂事象を検出することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記照射するステップは、設定持続時間の中性子束を与えることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記設定持続時間は10秒未満である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記検出するステップは、前記中性子束が与えられない間に行われる、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記検出するステップは5秒未満の間行われる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記検出するステップは、特殊核物質を識別することを目的として遅発中性子を検出することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項25】
評価するステップは、特殊核物質を識別することを目的として時間差消滅評価を使用することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項26】
前記検出するステップは、熱中性子から遮蔽された中性子検出器を使用する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記照射するステップは前記中性子源をパルスにすることを含み、前記検出するステップは前記照射するステップの後に開始される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記検出するステップはガンマ線検出器を使用し、前記評価するステップは、前記物質を識別するべく前記ガンマ線シグネチャを評価することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項1】
貨物専用コンテナの内容物を検査する装置であって、
ジュウテリウム又はトリチウムイオンを与えるべく構成されたイオン源と、ジュウテリウム又はトリチウムの少なくとも一つを含む標的に向けて前記イオンを加速するべく構成された加速器とを含む中性子源と、
放射線検出器と
を含み、
前記中性子源は、前記コンテナ内に中性子束を送達するべく構成され、
前記放射線検出器は、前記コンテナ内への前記中性子束の送達に引き続き前記コンテナから出る放射線を検出するべく構成される装置。
【請求項2】
前記標的は、トリチウム又はジュウテリウムの少なくとも一つを含む標的ガスを保持するべく構成された標的チャンバを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記放射線検出器は中性子を検出するべく構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記放射線検出器は、前記コンテナの内部をイメージングする中性子感度のあるフィルムである、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記検出器はカドミウム被覆中性子検出器である、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記放射線検出器は熱中性子から遮蔽される、請求項3に記載の装置。
【請求項7】
前記放射線検出器は光子を検出するべく構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記放射線検出器はシンチレーション又は半導体ガンマ線検出器である、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記中性子源は定常状態の中性子束を与えるべく構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記中性子源は、前記中性子束が設定時間の間与えられるパルスとなるべく構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記設定時間は約10マイクロ秒である、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記設定時間は5から60秒である、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記放射線検出器は、画面上の表示又は画像への再構築を目的としてイメージングコンピュータにデータを送るべく構成された複数の中性子検出器を含む電子検出器である、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記中性子源及び放射線検出器は、船舶から貨物専用コンテナを降ろすべく構成されたクレーンに接続される、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記中性子源及び放射線検出器は、貨物専用コンテナを検査するべく構成されたコンベアに接続される、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
貨物専用コンテナ内の物質を識別する方法であって、
中性子源装置により中性子束を生成するステップと、
前記中性子束を前記貨物専用コンテナに照射するステップであって、前記中性子束が前記物質と接触した後に前記物質により放射線シグネチャが発生するステップと、
前記放射線シグネチャを検出するステップと、
前記物質を識別するべく前記放射線シグネチャを評価するステップと
を含み、
前記中性子源装置は、
イオンビームの発生を目的としかつイオンビーム加速器に動作可能に接続されるイオン源であって、前記加速器は前記イオンビームを受け取り、かつ、前記イオンビームを加速して加速イオンビームをもたらすイオン源と、
前記加速ビームと反応して前記中性子束を放出する標的物質を含むべく前記加速器に動作可能に接続された標的システムと
を含む方法。
【請求項17】
前記評価するステップは、前記コンテナ内の識別された異なる元素の比を決定することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記比は、水素、炭素、窒素、及び酸素の2以上の比として計算される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記評価するステップは、前記コンテナ内の特殊核物質を識別するべく核分裂事象を検出することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記照射するステップは、設定持続時間の中性子束を与えることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記設定持続時間は10秒未満である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記検出するステップは、前記中性子束が与えられない間に行われる、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記検出するステップは5秒未満の間行われる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記検出するステップは、特殊核物質を識別することを目的として遅発中性子を検出することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項25】
評価するステップは、特殊核物質を識別することを目的として時間差消滅評価を使用することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項26】
前記検出するステップは、熱中性子から遮蔽された中性子検出器を使用する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記照射するステップは前記中性子源をパルスにすることを含み、前記検出するステップは前記照射するステップの後に開始される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記検出するステップはガンマ線検出器を使用し、前記評価するステップは、前記物質を識別するべく前記ガンマ線シグネチャを評価することを含む、請求項16に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2013−514536(P2013−514536A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−544715(P2012−544715)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2010/060318
【国際公開番号】WO2011/081940
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(510290588)フェニックス ニュークリア ラブズ エルエルシー (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2010/060318
【国際公開番号】WO2011/081940
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(510290588)フェニックス ニュークリア ラブズ エルエルシー (2)
【Fターム(参考)】
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