説明

コンテナスプレッダ

【課題】 コンテナキャリアやコンテナ吊り上げ機械等の港湾荷役機械に適用されてコンテナを吊り上げる際に用いられるコンテナスプレッダに於て、除去専用の駆動源を必要とせず、それでいてコンテナ上に付着した雪氷を簡単且つ短時間で除去できる様にする。
【解決手段】 昇降可能なスプレッダ本体2と、これに旋動可能に設けられてコンテナAの掛止穴Bに挿入されて掛止されるツイストロック3と、スプレッダ本体2に設けられてコンテナAの掛止穴B付近に付着した雪氷Cを破砕し得る錐体4とで構成し、とりわけ、スプレッダ本体2に錐体4を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばコンテナキャリアやコンテナ吊り上げ機械等の港湾荷役機械に適用されてコンテナを吊り上げる際に用いられ、とりわけコンテナの掛止穴付近に積もった雪やこれが凍って付着した氷等の所謂雪氷を除去し得るコンテナスプレッダの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のコンテナスプレッダとしては、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。
当該コンテナスプレッダは、基本的には、昇降可能なスプレッダ本体と、スプレッダ本体に旋動可能に設けられてコンテナの掛止穴に挿入されて掛止されるツイストロックと、スプレッダ本体に設けられてコンテナの掛止穴付近に積もった雪を除去し得る積雪除去装置とから構成されて居り、積雪除去装置は、積雪を除去し得る回転ブラシと、回転ブラシを回転させる回転駆動手段と、回転ブラシをツイストロックの下方に位置する除去位置からツイストロックと掛止穴との掛合に支障がない回避位置まで移動させる移動手段とを備えている。
【0003】
コンテナスプレッダは、この他に、スプレッダ本体がコンテナに着床した事を検出する着床検出器と、ツイストロックを所定角度だけ旋動させてロック位置になった事を検出するロック検出器と、ツイストロックを所定角度だけ旋動させてアンロック位置になった事を検出するアンロック検出器等を備えている。
【0004】
而して、この様なものは、積雪除去装置を備えているので、コンテナ上に積もった雪を除去して安全且つ確実にコンテナを吊上げる事ができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−76766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、従来のものは、積雪除去装置を備えているものの、これは、回転ブラシと回転駆動手段と移動手段とから成る所謂回転ブラシ式であったので、除去専用の駆動源が必要であると共に、コンテナスプレッダの操作とは別の除去操作を行わねばならなかった。この為、構造が複雑化してコスト高になると共に、オペレータの操作負担が大きかった。
加えて、従来のものは、コンテナ上に単に積もった雪を除去できるものの、例えば積もった雪が融けて凍る事に依りコンテナ上に付着した雪や氷等の所謂雪氷を簡単且つ短時間に除去する事が難しかった。
【0007】
本発明は、叙上の問題点に鑑み、これを解消する為に創案されたもので、その課題とする処は、除去専用の駆動源を必要とせず、それでいてコンテナ上に付着した雪氷を簡単且つ短時間で除去できる様にしたコンテナスプレッダを提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のコンテナスプレッダは、基本的には、昇降可能なスプレッダ本体と、スプレッダ本体に旋動可能に設けられてコンテナの掛止穴に挿入されて掛止されるツイストロックと、スプレッダ本体に設けられてコンテナの掛止穴付近に付着した雪氷を破砕し得る錐体とを具備している事に特徴が存する。
【0009】
スプレッダ本体が昇降されてコンテナに対して着床と離床が適数回繰り返されると、スプレッダ本体に設けられた錐体に依りコンテナの掛止穴付近に付着された雪氷が破砕されて除去される。
雪氷が除去されると、スプレッダ本体がコンテナ上に適正に着床されてツイストロックがコンテナの掛止穴に挿入されると共に、所定角度だけ旋動されてロック位置にされ、スプレッダ本体がコンテナに装着される。
スプレッダ本体がコンテナに装着されると、スプレッダ本体が上昇されてコンテナが吊上げられる。
【0010】
スプレッダ本体の昇降運動を利用して雪氷を除去する様にしたので、除去専用の駆動源が不要になる。その結果、構造の簡単化とコストの低減を図る事ができる。
スプレッダ本体の昇降運動を利用して雪氷を除去する様にしたので、コンテナスプレッダの操作と除去操作とを統一できる。その結果、オペレータの操作負担を軽減できる。
スプレッダ本体に錐体を設けるだけであるので、構造が極めて簡単であると共に、コストも余り掛からない。
【0011】
錐体は、スプレッダ本体の着床部の下面に設けられていると共に、スプレッダ本体に昇降可能な検出ロッドの下面に設けられているのが好ましい。この様にすれば、スプレッダ本体の着床部の下面と検出ロッドの下面に夫々対向するコンテナの掛止穴付近の上面に付着した雪氷を錐体に依り破砕して除去する事ができる。
【0012】
錐体は、尖端が下向きの円錐状を呈しているのが好ましい。この様にすれば、錐体の底面を上にしてスプレッダ本体の下面に当合させて垂設する事ができ、極めて丈夫で雪氷に対して破砕力が大きい錐体にする事ができる。
【0013】
錐体は、スプレッダ本体に対して着脱可能に設けられているのが好ましい。この様にすれば、錐体が損耗した場合には、新規なものに容易に交換できると共に、冬季以外の雪氷が付着しない時期には、取外して置く事もできる。
【0014】
錐体は、スプレッダ本体に対して昇降可能に螺合されているのが好ましい。この様にすれば、錐体を螺動させてスプレッダ本体に対して昇降させる事に依り下突量を調整する事ができ、雪氷の厚さ等に容易に対応する事ができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に依れば、次の様な優れた効果を奏する事ができる。
(1) スプレッダ本体、ツイストロック、錐体とで構成し、とりわけ、スプレッダ本体にコンテナの掛止穴付近に付着した雪氷を破砕し得る錐体を設けたので、除去専用の駆動源を必要とせず、それでいてコンテナ上に付着した雪氷を簡単且つ短時間で除去できる。
(2) スプレッダ本体にコンテナの掛止穴付近に付着した雪氷を破砕し得る錐体を設けるだけなので、構造が頗る簡単で、コストも余り掛からず、直ちに実施する事ができると共に、既存のものへも容易に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第一例に係るコンテナスプレッダを示す側面図。
【図2】図1の要部拡大側面図。
【図3】本発明の第二例に係るコンテナスプレッダを示す要部拡大側面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
図1及び図2に於て、コンテナスプレッダ1は、スプレッダ本体2、ツイストロック3、錐体4とからその主要部が構成されて居り、コンテナキャリアやコンテナ吊り上げ機械等の港湾荷役機械に適用される。
【0018】
スプレッダ本体2は、昇降可能なもので、この例では、コンテナAの大きさに呼応した四枠状を呈し、四隅には下方に突出してコンテナAの上面に当合して着床し得る着床部5を備えて居り、図略しているが、コンテナスキャリアやコンテナ吊り上げ機械等の車体に設けられたリフトシリンダやウインチに依りチェーンやワイヤを介して昇降される様になっている。
【0019】
コンテナAは、直方体状を呈し、上側の四隅には、ツイストロック3が挿入されて掛止される掛止穴Bを備えている。
【0020】
ツイストロック3は、スプレッダ本体2に設けられてコンテナAの掛止穴Bに挿入されて掛止されるもので、この例では、茸状を呈し、スプレッダ本体2の着床部5から下方へ突出すべくこれに縦軸廻りに旋動可能に設けられて居り、ツイストロックシリンダ6に依りリンク機構7を介してアンロック位置からロック位置まで略90度だけ旋動される様になっている。
【0021】
而して、スプレッダ本体2には、スプレッダ本体2がコンテナAに当合して着床した事を検出する着床検出器8と、図略しているが、ツイストロック3がロック位置になった事を検出するロック検出器と、ツイストロック3がアンロック位置になった事を検出するアンロック検出器とが設けられている。
【0022】
着床検出器8は、スプレッダ本体2に設けられてスプレッダ本体2の着床部5がコンテナAに当合して着床した事を検出するもので、この例では、ツイストロック3の近傍にこれと同数(四つ)だけ設けられて居り、スプレッダ本体2の着床部5に昇降可能に設けられてその下端がコンテナAの上面に当合し得る検出ロッド9と、スプレッダ本体2に設けられて検出ロッド9を常時下方に付勢する弾性体10と、検出ロッド9に設けられたドッグ(ターゲット)11と、スプレッダ本体2に設けられて検出ロッド9がコンテナAに当合してドッグ11が着床位置になった時に作動する着床スイッチ(図示せず)とから構成されている。
【0023】
検出ロッド6は、スプレッダ本体2の上下に離間したプレート12を貫通して昇降可能に設けられていると共に、上部の雄螺子にはロックナット13が螺合されてスプレッダ本体2からの下突長さを調節できる様にしてある。
弾性体10は、圧縮型のコイルスプリングにしてあり、スプレッダ本体2の上側プレート12とドッグ11との間の検出ロッド6に遊嵌されている。
ドッグ11は、環状を呈し、検出ロッド6の中程に嵌挿固定されている。
着床スイッチは、近接スイッチにしてあり、スプレッダ本体2の下側プレート12に取付けられた略L型のブラケット14の垂直片に設けられている。
【0024】
錐体4は、スプレッダ本体2に設けられてコンテナAの掛止穴B付近に付着した雪氷Cを破砕し得るもので、この例では、スプレッダ本体2の着床部5の下面に設けられていると共に、スプレッダ本体2に昇降可能な検出ロッド9の下面に設けられている。
錐体4は、尖端が下向きの円錐状を呈し、ツイストロック3の近傍に設けられて居り、これを除くスプレッダ本体2の着床部5の下面や検出ロッド9の下面に設けられている。つまり、錐体4の底面が上向きにされて、この底面がスプレッダ本体2の着床部5の下面や検出ロッド9の下面に当合されて溶接等で固着される事に依り垂設されている。
【0025】
次に、この様な構成に基づいてその作用を述解する。
図1は、スプレッダ本体2がコンテナAの上方に所定距離だけ離間して位置された着床前の状態を示している。
この様な状態から、スプレッダ本体2が昇降されてコンテナAに対して着床と離床が適数回繰り返されると、スプレッダ本体2に設けられた錐体4に依りコンテナAの掛止穴B付近に付着された雪氷Cが破砕されて除去される。
【0026】
雪氷Cが除去されると、スプレッダ本体2がコンテナA上に適正に着床されてツイストロック3がコンテナAの掛止穴Bに挿入されると共に、所定角度だけ旋動されてロック位置にされ、スプレッダ本体2がコンテナAに装着される。
スプレッダ本体2がコンテナAに装着されると、スプレッダ本体2が上昇されてコンテナAが吊上げられる。
【0027】
次に、本発明の第二例を図3に基づいて説明する。
第二例は、錐体4をスプレッタ本体2に対して昇降可能に螺合に依り着脱可能に設けた点が、第一例と異なる。
つまり、錐体4は、底面側に雄螺子15を備えて居り、スプレッダ本体2の着床部5の下部や検出ロッド9の下部に形成した螺孔16に螺合されている。
【0028】
この様にすれば、錐体4が損耗した場合には、新規なものに容易に交換できると共に、冬季以外の雪氷が付着しない時期には、錐体4を取外して置く事もできる。
加えて、錐体4を螺動させてスプレッダ本体2に対して昇降させる事に依り下突量を調整する事ができ、雪氷Cの厚さ等に容易に対応する事ができる。
【0029】
尚、錐体4は、先の例では、円錐状であったが、これに限らず、例えば角錐状や截頭錐状や各種のドライバ先端形状と同様のものでも良い。
錐体4は、先の例では、スプレッダ本体2の着床部5の下面と検出ロッド9の下面とに夫々一つづつ設けたが、これに限らず、例えば何れか一方だけに設けたり、複数づつ設けても良い。
【符号の説明】
【0030】
1…コンテナスプレッダ、2…スプレッダ本体、3…ツイストロック、4…錐体、5…着床部、6…ツイストシリンダ、7…リンク機構、8…着床検出器、9…検出ロッド、10…弾性体、11…ドッグ、12…プレート、13…ロックナット、14…ブラケット、15…雄螺子、16…螺孔、A…コンテナ、B…掛止穴、C…雪氷。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降可能なスプレッダ本体と、スプレッダ本体に旋動可能に設けられてコンテナの掛止穴に挿入されて掛止されるツイストロックと、スプレッダ本体に設けられてコンテナの掛止穴付近に付着した雪氷を破砕し得る錐体とを具備している事を特徴とするコンテナスプレッダ。
【請求項2】
錐体は、スプレッダ本体の着床部の下面に設けられていると共に、スプレッダ本体に昇降可能な検出ロッドの下面に設けられている請求項1に記載のコンテナスプレッダ。
【請求項3】
錐体は、尖端が下向きの円錐状を呈している請求項1に記載のコンテナスプレッダ。
【請求項4】
錐体は、スプレッダ本体に対して着脱可能に設けられている請求項1に記載のコンテナスプレッダ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−162365(P2012−162365A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24665(P2011−24665)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(000003241)TCM株式会社 (319)
【Fターム(参考)】