説明

コンテナターミナルとその制御方法

【課題】ヤードクレーンの移動を極力減らし、荷役効率を上げるコンテナターミナルとその制御方法を提供する。
【解決手段】蔵置レーン20の一方の端部の外側に第1受渡領域を設け、第1受渡領域で周回搬送台車31と往復台車32とにコンテナkの受け渡しを行う受渡架台50を設け、前記往復台車32が、蔵置レーン20に設けたヤードクレーン13、14と前記受渡架台50との間で、蔵置レーン20に隣接する領域を往復してコンテナkを運搬するように構成された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナターミナルにおいて、蔵置レーンを跨ぐヤードクレーンの移動距離を短くして荷役効率を高めると共に、エネルギーの消費を抑えたコンテナターミナルと制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンテナターミナルは船舶に対してコンテナを積み込み又は積み卸し、陸上輸送用の外来シャーシでコンテナを搬入および搬出する施設である。また、積み卸し又は搬入されたコンテナを一時的に保管する施設でもある。
【0003】
現在、国際航路におけるコンテナ輸送システムの急速な進展に伴い、コンテナターミナル内での荷役や蔵置作業の自動化や省力化が望まれている。すなわち船舶とコンテナターミナル間のコンテナの搬送およびコンテナターミナルでのコンテナの蔵置部分での自動化や高能率化、ならびに低コスト化などが重要になっている。
【0004】
そこで、蔵置レーンを岸壁に対して略直交する向きに延在させ、蔵置レーン間をスイッチバック走行する無人搬送台車を備え、岸壁側と反対側にゲートを設けて外来シャーシとトランスファークレーン(ヤードクレーン)とが荷役を行う領域を設けたコンテナターミナルがある(例えば特許文献1参照)。このコンテナターミナルは、外来シャーシが蔵置領域に有人の外来シャーシが進入することがないため、蔵置面積率が上昇すると共に、コンテナターミナルをさらに自動化することができるとしている。
【0005】
しかし、特に蔵置レーンに保管されたコンテナを外来シャーシへの搬出および外来シャーシから搬入して蔵置レーンに保管する際に、ヤードクレーンがコンテナを掴みながら蔵置レーン上を移動するため、荷役効率が悪くなるという問題がある。これはヤードクレーンの移動速度が約18km/hと遅いためである。
【0006】
また、岸壁に対して略直交する方向、つまり海陸方向に延在する蔵置レーンを設ける場合、外来シャーシから搬入され、船舶へ積み込まれるコンテナを蔵置レーンの海側に配置し、船舶から積み卸しされて外来シャーシへ搬出されるコンテナを蔵置レーンの陸側に配置すると荷役効率は上がる。しかし、特許文献1に記載のコンテナターミナルでは、蔵置レーンに荷役効率の高い配置でコンテナを蔵置するとヤードクレーンの移動距離を多くしなければならない。特に外来シャーシへの搬出および搬入の際に、ヤードクレーンがコンテナを掴み上げ、蔵置レーンを走行するため、効率が落ちる。
【0007】
さらに、ヤードクレーンがコンテナを吊って運搬する方法は荷役効率が悪く、そのため、無駄なエネルギーを消費しているという問題が発生する。
【0008】
一方で、蔵置レーンの長手方向に移動するヤードクレーンを備え、搬出されるコンテナと搬入されたコンテナを区分して蔵置するコンテナターミナルにおいて、図8に示すように、蔵置レーン110を跨ぐヤードクレーン111と、そのヤードクレーン111を跨ぐ大きなヤードクレーン112を設けたコンテナターミナルがある。このコンテナターミナルはヤードクレーン111とヤードクレーン112とが衝突せずにすれ違うことができるため、蔵置レーン110で効率的にコンテナkを配置することができる。しかし、やはりヤードクレーン111および112を長距離移動させなければならないため、その分時間が掛かってしまう。加えて大型のヤードクレーン112の製造コストや維持コストが高くなるという問題も発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第4418195号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで本発明の目的は、ヤードクレーンの移動距離(走行距離)を減少し、荷役効率を上げると共にエネルギーの消費を抑えることができるコンテナターミナルとその制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の問題を解決するための本発明のコンテナターミナルは、岸壁クレーンと、コンテナを所定の位置に配置する蔵置レーンとを備え、周回搬送台車がコンテナを運搬するコンテナターミナルにおいて、前記蔵置レーンの隣接する領域を長手方向に往復し、コンテナを運搬する少なくとも1台の往復台車と、前記蔵置レーンの端部の外側に前記周回搬送台車と前記往復台車とがコンテナを受け渡す第1受渡領域とを設け、前記第1受渡領域で前記周回搬送台車と前記往復台車とが共有する経路を跨ぐように、コンテナを上げ下げする吊り具を備えた受渡架台を設けて構成される。
【0012】
この構成によれば、蔵置レーンの端部の外側に設けた第1受渡領域に、周回搬送台車と往復台車とが共有する経路を跨ぐ受渡架台を設けることによって、受渡架台がコンテナの受け渡しを行うことができる。そして、往復台車が受渡架台と蔵置レーンに設けられたヤードクレーンとの間を往復してコンテナを運搬することができる。
【0013】
そのため、ヤードクレーンがコンテナを運搬することがなくなり、ヤードクレーンの移動距離(走行距離)を減らすことができ、コンテナターミナルの荷役効率を上げることができる。また、ヤードクレーンよりも、エネルギー消費の少ない受渡架台で、周回搬送台車と往復台車のコンテナの受け渡しを行うため、よりエネルギーの消費を抑えることができる。加えて、受渡架台はコンテナを掴む動作とコンテナを巻上げ下げする動作ができる機能を備えるだけでよく、ヤードクレーンより小型に形成することができ、コンテナの巻上げ下げする高さもヤードクレーンよりも短くすることができる。そのため、ヤードクレーンよりも安価で製造でき、且つ、維持コストも安くすることができる。
【0014】
また、上記のコンテナターミナルは、隣接する前記蔵置レーンと前記往復台車を、第1蔵置レーンと第1往復台車と第2往復台車と第2蔵置レーンの順番に配置し、前記周回搬送台車と前記第1往復台車とが共有する経路と、前記周回搬送台車と前記第2往復台車とが共有する経路とを跨ぐように、1台の前記受渡架台を設け、前記受渡架台が、前記周回搬送台車と前記第1往復台車又は前記第2往復台車に対してコンテナの受け渡しを行うように、前記吊り具を前記第1往復台車及び前記第2往復台車の走行方向と略直交する方向に横行させる移動装置を備えて構成される。
【0015】
この構成によれば、隣接する2列の蔵置レーンの間に、2台の往復台車を配置する。そして、2台の往復台車を跨ぐように受渡架台を形成し、また、2台の往復台車の間で吊り具を移動させることができる。そのため、隣接する2列の蔵置レーンで1台の受渡架台を共有することができ、受渡架台の台数を減らすことができる。
【0016】
加えて、上記のコンテナターミナルは、前記蔵置レーンの両端部の外側に、前記周回搬送台車と前記往復台車とに対してコンテナの受け渡しを行う第1受渡架台と、前記往復台車と外来シャーシとに対してコンテナの受け渡しを行う第2受渡架台とを設けて構成され
る。
【0017】
この構成によれば、蔵置レーンの一方の端部の外側の第1受渡領域で第1受渡架台が周回搬送台車と往復台車にコンテナの受け渡しを行い、もう一方の端部の外側の第2受渡領域で第2受渡架台が往復台車と外来シャーシにコンテナの受け渡しを行う。そして、第1受渡架台又は第2受渡架台とヤードクレーンの間を往復台車がコンテナを運搬することができ、ヤードクレーンの移動を減らすことができる。また、各蔵置レーンに設けるヤードクレーンの台数は少なくとも1台あればよく、ヤードクレーンよりも安価で製造することができる受渡架台を代わりに使用するため、製造コストも削減することができる。
【0018】
上記の目的を達成するための本発明のコンテナターミナルの制御方法は、岸壁クレーンと、コンテナを所定の位置に配置する蔵置レーンと、該蔵置レーンを跨ぐ少なくとも1台のヤードクレーンとを備え、周回搬送台車がコンテナを運搬するコンテナターミナルの制御方法において、各前記蔵置レーンの端部の外側で、受渡架台が吊り具の巻上げ下げと吊り具の横行の少なくともどちらか一方によって、前記周回搬送台車と往復台車とのコンテナの受け渡しを行う工程と、各前記蔵置レーンの隣接する領域を長手方向に前記往復台車が往復して前記受渡架台と前記ヤードクレーンとにコンテナを運搬する工程を有する。
【0019】
この方法によれば、往復台車によって、蔵置レーンのコンテナの運搬を行うため、ヤードクレーンがコンテナを掴み走行することがなく、ヤードクレーンの移動距離を減らすことができるので、荷役効率を上げることができる。また、ヤードクレーンよりもコンテナの受け渡し作業が迅速に行える受渡架台を使うことで、さらに荷役効率を上げることができる。また、ヤードクレーンの移動を減らし、ヤードクレーンよりも消費されるエネルギーが少ない受渡架台を使用することで、エネルギーの消費を抑えることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、効率のよい荷役を行うコンテナターミナルでヤードクレーンの移動を減少することができる。また、ヤードクレーンの移動を減少させたことと、ヤードクレーンよりも消費されるエネルギーが少ない受渡架台を使用することで、コンテナターミナルのエネルギーの消費を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る第1の実施の形態のコンテナターミナルを示した平面図である。
【図2】図1のII−IIで示した側面図であり、船舶からコンテナを積み卸す動作を示した矢視図である。
【図3】図1の海側受渡領域44を示した拡大図である。
【図4】図3のIV−IVで示した正面図である。
【図5】本発明に係る第2の実施の形態のコンテナターミナルを示した平面図である。
【図6】図5のVI−VIを示した矢視図である。
【図7】本発明に係る第3の実施の形態のコンテナターミナルを示した図である。
【図8】従来のコンテナターミナルの一部を示した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る実施の形態のコンテナターミナルとコンテナターミナルの制御方法について、図面を参照しながら説明する。
【0023】
図1に示すように、コンテナターミナル10は岸壁1に接岸する船舶11と、岸壁エプロン領域41に岸壁クレーン12と、蔵置領域42に岸壁クレーン12の走行方向に直交
する方向に長手方向を持つ蔵置レーン20とを備える。また、蔵置領域42に、複数の蔵置レーン20と、各蔵置レーン20を跨ぎ、その長手方向に往復可能な海側寄りに設けた第1ヤードクレーン13(以下海側ヤードクレーン13という)と、陸側寄りに設けた第2ヤードクレーン14(以下陸側ヤードクレーン14という)とを備える。さらに、ゲートヤード43に、管理棟15や、外部への出入り口になるゲート16を備える。
【0024】
ここでは1例として岸壁クレーン12の走行方向に直交する方向に長手方向を持つ蔵置レーンを6レーンとしたが、コンテナターミナル10によっては、岸壁クレーン12の走行方向に長手方向を持つ蔵置レーンや、また様々なレーン数にすることができる。さらに、岸壁クレーン12も1隻の船舶11に対して何台設置してもよく、船舶11も1隻とは限らない。コンテナkは幅8フィート、高さ8フィート、長さ20フィートまたは40フィートのISO規格コンテナであるが、それ以外の規格のコンテナでもよい。
【0025】
また、コンテナターミナル10には、周回搬送台車31が岸壁エプロン領域42を走行し、往復台車32が蔵置領域42を走行し、外来シャーシ33がゲートヤード43を走行している。周回搬送台車31が岸壁エプロン領域41内を環状に走行する周回経路34と、往復台車32が各蔵置レーン20の隣接する領域を長手方向に往復する往復経路35とを設ける。
【0026】
図2に示すように、岸壁エプロン領域41に第1受渡領域44(以下海側受渡領域44という)を設け、蔵置領域42を海側よりの主に搬入されたコンテナを蔵置する搬入コンテナ領域45と、陸側よりの主に搬出されるコンテナを蔵置する搬出コンテナ領域46とを設け、ゲートヤード43に第2受渡領域47(以下陸側受渡領域47という)を設ける。また、陸側受渡領域47には、外来シャーシ33が蔵置領域42へ侵入しないように安全柵17を備える。
【0027】
搬入コンテナ領域45は、コンテナターミナル10の外部から外来シャーシ33が搬入し、船舶11へ積み込まれるコンテナkを配置する領域であり、搬出コンテナ領域46は、船舶11から積み卸しされ、外来シャーシ33がコンテナターミナル10の外部へ搬出するコンテナkを配置する領域である。このように蔵置レーン20に配置されるコンテナkを分類することで、効率のよい荷役を行うことが可能となる。
【0028】
そして、海側受渡領域44に受渡架台50を設ける。海側受渡領域44は周回搬送台車31と往復台車32とが受渡架台50を介してコンテナkを受け渡す領域であり、陸側受渡領域47は往復台車32と外来シャーシ33とが陸側ヤードクレーン14を介してコンテナkを受け渡す領域である。
【0029】
図3に示すように、周回搬送台車31が往復経路35への進入を可能にする進入路36と、往復経路35から周回搬送台車31がスイッチバック走行して、周回経路34への脱出を可能にする脱出路37とを設ける。往復経路35の海側受渡領域44の範囲内が周回搬送台車31と往復台車32とが共有する経路となり、その経路を跨いで受渡架台50を設ける。
【0030】
周回搬送台車31はスイッチバック走行可能な無人搬送台車(以下、AGVという)で形成され、また、スイッチバック走行するため、車両の前後に衝突防止用の安全確認センサー(図示しない)を搭載している。また、往復台車32もAGVで形成することができるが、往復台車32は往復走行ができればよく、例えば安全確認センサーなどが不要であるため、周回搬送台車31よりも安価に製造することができる。周回搬送台車31と往復台車32は上記の構成に限らず、例えば有人搬送台車を使用することもできる。周回経路34、往復経路35、進入路36及び脱出路37は電磁テープやレールなどで形成する。
【0031】
次に本発明の第1の実施の形態のコンテナターミナル10で行われるコンテナkの荷役動作を説明する。船舶11からコンテナkを蔵置レーン20の搬出コンテナ領域46に積み卸しするときは、周回搬送台車31が受渡架台50まで、コンテナkを運搬する。周回搬送台車31は進入路36から海側受渡領域44内の往復経路35を走行し、受渡架台50の下で停車する。すると、受渡架台50がコンテナkを掴み、巻き上げる。周回搬送台車31は脱出路37をスイッチバック走行で走行し、周回経路34へ戻る。周回搬送台車31が受渡架台50の下から移動すると、往復台車32が受渡架台50の下に移動して、停車する。
【0032】
受渡架台50がコンテナkを往復台車32へ渡す。そして、コンテナkを受け取った往復台車32は往復経路35上を走行し、搬出コンテナ領域46内のコンテナkを配置する指定の位置で待機している海側ヤードクレーン13又は、陸側ヤードクレーン14まで走行し、ヤードクレーン13、14にコンテナkを渡す。そして、ヤードクレーン13、14にコンテナkを受け渡した往復台車32は再度コンテナを運搬するために受渡架台50へ戻る。以上で船舶11からコンテナkを積み卸しする動作が完了する。この動作を船舶11の指定されたコンテナk全てに対して行う。船舶11へのコンテナkの積み込み動作も上記の動作と逆の動作を行う。
【0033】
上記の動作により、コンテナターミナル10は蔵置レーン20に荷役効率の高い配置を行っても、ヤードクレーン13、14の移動を減少させることができる。これは海側受渡領域44で周回搬送台車31と往復台車32とが受渡架台50を介してコンテナkの受け渡しを行うため、海側ヤードクレーン13を海側受渡領域44へ移動することがないことと、ヤードクレーン13、14がコンテナkを掴み走行することがないからである。加えて、ヤードクレーン13、14の移動を低減することで、コンテナターミナルの消費するエネルギーを抑えることができる。
【0034】
図4に示すように、受渡架台50は脚部51と上部装置52と吊り具53を備える。脚部51を、周回搬送台車31と往復台車32が脚部51の間に侵入できるように形成する。脚部51は周回搬送台車31と往復台車32とを跨ぐだけでよく、ヤードクレーン13、14よりも小型に形成することができる。また、受渡架台50はヤードクレーンのように門型に形成されるが、走行する必要はないため、走行装置は備える必要がない。
【0035】
上部装置52は吊り具53を巻上げ下げすることができる。吊り具53は、コンテナkを巻上げ下げする場合はスプレッダが適しているが、フックブロックやグラブバケット、又はリフチングマグネットなどに換えることができる。コンテナkを巻上げ下げする高さは、周回搬送台車31と往復台車32とに対してコンテナkの受け渡しを行えればよいため、ヤードクレーン13、14がコンテナkを巻上げ下げする高さよりも低くすることができる。また、受渡架台50は上記の構成に限らず、周回搬送台車31と往復台車32とへコンテナkの受け渡しが行うことができればよく、トップリフターやリーチスタッカーなどを使用することもできる。
【0036】
受渡架台50はヤードクレーン13、14に比べて小型なことと、またコンテナkを巻上げ下げする高さが低いこと、さらには移動する必要がないことより、ヤードクレーン13、14を使用してコンテナkの受け渡しを行うよりもエネルギーの消費を少なくすることができる。また、受渡架台50はコンテナkを掴んで上げ下げする動作のみのため、操作が容易であり、無人で制御することも可能である。受渡架台50は上記の構成に限らず、周回搬送台車31と往復台車32とからコンテナkを掴み上げ下げすることができればよい。
【0037】
次に、本発明に係る第2の実施の形態のコンテナターミナル10について説明する。図5、図6に示すように、隣接する第1蔵置レーン20aと第2蔵置レーン20bとの間に、第1往復台車32aが走行する第1往復経路35aと、第2往復台車32bが走行する第2往復経路35bとを設ける。その他の各蔵置レーン20も同様に、隣接する蔵置レーン20の間に2台の往復台車32と2本の往復経路35を設ける。また、第1蔵置レーン20aと第1往復経路35aとを跨ぐヤードクレーン13aと、第2蔵置レーン20bと第2往復経路35bとを跨ぐヤードクレーン13bを設ける。
【0038】
また、コンテナターミナル10は受渡架台60を、第1往復台車32aと第2往復台車32bとを跨ぐように設ける。受渡架台60は脚部61とトロリ(上部装置)62と吊り具63とを備える。脚部61は、2台の往復台車32a、32bと往復経路35a、35bとを跨ぐように、また、周回搬送台車31が進入できるように形成されている。トロリ62は吊り具63を伴い、脚部61上を往復台車32a、32bの走行方向に略直交する方向に移動する。
【0039】
本発明に係る第2の実施の形態のコンテナターミナル10の動作は、上記で説明した第1の実施の形態のコンテナターミナル10の動作とほぼ同様であり、1台の受渡架台60がトロリ62を横行させることで、第1往復台車32aと第2往復台車32bに対して、コンテナkの受け渡しを行うことができる。
【0040】
上記の構成によれば、2列の蔵置レーン20a、20bに対して、1台の受渡架台60を設ければ吊り具63が横行することで、前述と同様の荷役動作を行うことができる。そのため、コンテナターミナル10に設ける受渡架台60の台数を減らすことができ、製造コストを抑えることができる。
【0041】
本発明に係る第3の実施の形態は、図7に示すように、蔵置レーン20の海側受渡領域44に第1受渡架台70と陸側受渡領域47に第2受渡架台80とを設け、蔵置レーンに1台のヤードクレーン13を設ける。第1受渡架台70は、船舶11からのコンテナkの積み卸しと船舶11へのコンテナkの積み込みの際に、周回搬送台車31と往復台車32とのコンテナkの受け渡しを行う。また、第2受渡架台80は、外来シャーシ33へのコンテナkの搬出と外来シャーシ33からのコンテナkの搬入の際に、往復台車32と外来シャーシ33とのコンテナの受け渡しを行う。
【0042】
上記のコンテナターミナル10の動作は、前述した第1の実施の形態の船舶11からのコンテナkの積み込みと積み卸し動作に加えて、外来シャーシ33への搬出と外来シャーシ33からの搬入作業に第2受渡架台80を用いて行うことができる。動作は前述の積み込みと積み卸し動作の周回搬送台車31の代わりに外来シャーシ33を用いれば、同様となる。
【0043】
上記の動作により、蔵置レーン20に設けるヤードクレーン13の台数を少なくすることができる。また、ヤードクレーン13を稼働させるよりも消費エネルギーの少ない受渡架台70、80を代わりに使用することでエネルギーの消費を低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明のターミナルコンテナは、コンテナを荷役する際に、ヤードクレーンの移動を極力減らし、代わりに消費エネルギーの少ない受渡架台を使用することで、荷役効率を上げると共にエネルギーの消費を抑えることができる。そのため、岸壁などに設け、海上輸送と陸上輸送との拠点として用いることができる。
【符号の説明】
【0045】
1 岸壁
10 コンテナターミナル
11 船舶
12 岸壁クレーン
13 海側ヤードクレーン
14 陸側ヤードクレーン
20 蔵置レーン
31 周回搬送台車
32 往復台車
33 外来シャーシ
34 周回経路
35 往復経路
41 岸壁エプロン領域
42 蔵置領域
43 ゲートヤード
44 海側受渡領域(第1受渡領域)
45 搬入コンテナ領域
46 搬出コンテナ領域
47 陸側受渡領域(第2受渡領域)
50、60、70、80 受渡架台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
岸壁クレーンと、コンテナを所定の位置に配置する蔵置レーンとを備え、周回搬送台車がコンテナを運搬するコンテナターミナルにおいて、
前記蔵置レーンの隣接する領域を長手方向に往復し、コンテナを運搬する少なくとも1台の往復台車と、前記蔵置レーンの端部の外側に前記周回搬送台車と前記往復台車とがコンテナを受け渡す第1受渡領域とを設け、
前記第1受渡領域で前記周回搬送台車と前記往復台車とが共有する経路を跨ぐように、コンテナを上げ下げする吊り具を備えた受渡架台を設けたことを特徴とするコンテナターミナル。
【請求項2】
隣接する前記蔵置レーンと前記往復台車を、第1蔵置レーンと第1往復台車と第2往復台車と第2蔵置レーンの順番に配置し、前記周回搬送台車と前記第1往復台車とが共有する経路と、前記周回搬送台車と前記第2往復台車とが共有する経路とを跨ぐように、1台の前記受渡架台を設け、前記受渡架台が、前記周回搬送台車と前記第1往復台車又は前記第2往復台車に対してコンテナの受け渡しを行うように、前記吊り具を前記第1往復台車及び前記第2往復台車の走行方向と略直交する方向に横行させる移動装置を備えたことを特徴とする請求項1に記載のコンテナターミナル。
【請求項3】
前記蔵置レーンの両端部の外側に、前記周回搬送台車と前記往復台車とに対してコンテナの受け渡しを行う第1受渡架台と、前記往復台車と外来シャーシとに対してコンテナの受け渡しを行う第2受渡架台とを設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のコンテナターミナル。
【請求項4】
岸壁クレーンと、コンテナを所定の位置に配置する蔵置レーンと、該蔵置レーンを跨ぐ少なくとも1台のヤードクレーンとを備え、周回搬送台車がコンテナを運搬するコンテナターミナルの制御方法において、
前記蔵置レーンの端部の外側で、受渡架台が吊り具の巻上げ下げと吊り具の横行の少なくともどちらか一方によって、前記周回搬送台車と往復台車とのコンテナの受け渡しを行う工程と、前記蔵置レーンの隣接する領域を長手方向に前記往復台車が往復して前記受渡架台と前記ヤードクレーンとにコンテナを運搬する工程を有することを特徴とするコンテナターミナルの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−206806(P2012−206806A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72441(P2011−72441)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)