説明

コンテナターミナル

【課題】コンテナターミナルと物流センター等との行き来をなくし、また物流センターにおける車路を不要とするようなコンテナターミナルを提供する。
【解決手段】コンテナ19を格納する棚を備えた立体倉庫13と、立体倉庫13内を移動してコンテナ19を所定の棚12に出し入れするクレーン装置と、立体倉庫13に併設して設けられると共に荷捌きが可能なフロワを少なくとも一層備えてなる荷捌棟15と、荷捌棟15と立体倉庫13との間に設けられコンテナ19の受渡しを行うための受渡ゾーン45とを備え、受渡ゾーン45においてクレーン装置が立体倉庫13から搬出されるコンテナ19を荷捌棟15側へ受渡し、また荷捌棟15から搬出されるコンテナ19をクレーン装置で受け取るようにしたことを特徴とするコンテナターミナル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナの荷役、保管、搬入、搬出等を行うコンテナターミナルに関する。
【背景技術】
【0002】
コンテナターミナルは、荷主から受け取った輸出される荷物を詰め込んだコンテナを船積みまで貯蔵保管し、コンテナ輸送船に対してコンテナの積み込み行い、またコンテナ輸送船によって運ばれてきた輸入される荷物を詰め込んだコンテナの荷揚げし、コンテナを荷主に引き渡すまで貯蔵保管するという機能を有する施設である。
このような機能を有するコンテナターミナルの一例が、特許文献1に示されている。特許文献1に示されたコンテナターミナルは、上記の機能を果すために、コンテナ輸送船に対してコンテナの船積みをしたり、荷揚げをしたりする岸壁クレーン、コンテナを貯蔵保管するコンテナ蔵置ブロック、コンテナ蔵置ブロック内でのコンテナの移載を行うヤードクレーン、ヤードクレーンと岸壁クレーンとの間にあってコンテナの受け渡しを行う無人搬送車を備えてなるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−48625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示されるように、従来のコンテナターミナルにおいては、コンテナターミナルに搬入されたコンテナの搬入後の保管、保管されているコンテナのコンテナ船への積み込み、またはコンテナ船から荷揚げされたコンテナの保管、保管されているコンテナの搬出を行っている。
しかしながら、コンテナへの荷の詰め込み作業、コンテナからの荷の取り出し作業、コンテナから取り出された荷やコンテナへ積み込む荷の分別作業、トラック出荷などの流通加工、あるいは、食品の輸入などでは、燻蒸などの滅菌工程などの流通加工は行われていなかった。
そのため、輸出の場合には、コンテナターミナルの外にあるメーカ工場や後背地にある物流センターで、荷を集荷して向け先の方面(輸出先)別に荷を分別した上で、同じ向け先のコンテナに荷を詰め込み、その後、コンテナターミナルに送り込んでいた。
また、輸入の場合には、輸入されたコンテナはそのままの状態で、後背地の物流センターに運び、そこでコンテナから荷を取り出し、向け先別に分別してトラックなどで出荷していた。もっとも、場合によっては、物流センターを経由せずにそのまま、最終目的地に搬送するケースもある。
【0005】
このように、コンテナターミナルと最終目的地との間に物流センター等を経由するため、そのための費用と時間を要し、港湾の競争力を失う原因にもなっていた。
【0006】
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、コンテナターミナルと物流センター等との行き来を不要とし、費用の削減と時間の節約を可能とするコンテナターミナルを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の第1の形態に係るコンテナターミナルは、コンテナを格納する棚を備えた立体倉庫と、該立体倉庫内を移動して前記コンテナを所定の棚に出し入れするクレーン装置と、前記立体倉庫に併設して設けられると共に荷捌きが可能なフロワを少なくとも一層備えてなる荷捌棟と、該荷捌棟と前記立体倉庫との間に設けられ前記コンテナの受渡しを行うための受渡しゾーンとを備え、該受渡しゾーンにおいて前記クレーン装置が前記立体倉庫から搬出される前記コンテナを前記荷捌棟側へ受渡し、また前記荷捌棟から搬出される前記コンテナを前記クレーン装置で受け取るようにしたことを特徴とするものである。
【0008】
(2)本発明の第2の形態に係るコンテナターミナルは、第1の形態に係るものにおいて、前記立体倉庫は空コンテナの格納が可能になっており、前記立体倉庫に格納された前記空コンテナを前記荷捌棟側へ受渡し、前記荷捌棟から搬出される前記空コンテナを前記立体倉庫に格納するようにしたことを特徴とするものである。
【0009】
(3)本発明の第3の形態に係るコンテナターミナルは、第1の形態又は第2の形態に係るものにおいて、前記荷捌棟における荷捌きが可能なフロワが複数階であることを特徴とするものである。
【0010】
(4)本発明の第4の形態に係るコンテナターミナルは、第1の形態乃至第3の形態に係るものにおいて、前記クレーン装置は、前記コンテナを保持して昇降する昇降体と、該昇降体と前記棚との間を移動して前記コンテナの移載を行う移載台車とを備えてなることを特徴とするものである。
【0011】
(5)本発明の第5の形態に係るコンテナターミナルは、第4の形態に係るものにおいて、前記受渡しゾーンは、前記荷捌棟との間を行き来する自走台車が走行するための自走台車走行路を備え、該走行路を走行する自走台車が前記昇降体から抜け出した前記移載台車との間でコンテナの受渡しを行うことを特徴とするものである。
【0012】
(6)本発明の第6の形態に係るコンテナターミナルは、第1の形態乃至第5の形態のいずれかに係るものにおいて、前記立体倉庫が前記荷捌棟を挟んで両側に設けられていることを特徴とするものである。
【0013】
(7)本発明の第7の形態に係るコンテナターミナルは、第1の形態乃至第6の形態のいずれかに係るものにおいて、コンテナシャーシを保管するコンテナシャーシ自動倉庫を、前記荷捌棟に併設させたことを特徴とするものである。
【0014】
(8)本発明の第8の形態に係るコンテナターミナルは、第7の形態に係るものにおいて、前記コンテナシャーシ自動倉庫は、コンテナシャーシを一台ずつ個別に棚に保管すると共に、シャーシ用クレーンが所望のコンテナシャーシの出し入れを行えるようにしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明においては、コンテナを格納する棚を備えた立体倉庫と、該立体倉庫内を移動して前記コンテナを所定の棚に出し入れするクレーン装置と、前記立体倉庫に併設して設けられると共に荷捌きが可能なフロワを少なくとも一層備えてなる荷捌棟と、該荷捌棟と前記立体倉庫との間に設けられ前記コンテナの受渡しを行うための受渡ゾーンとを備え、該受渡ゾーンにおいて前記クレーン装置が前記立体倉庫から搬出される前記コンテナを前記荷捌棟側へ受渡し、また前記荷捌棟から搬出される前記コンテナを前記クレーン装置で受け取るようにしたので、コンテナターミナル内に、荷捌き機能とコンテナ保管機能を集中させることができ、これにより物流センター等を経由する必要がなくなり、また荷物の詰め込みと保管の効率的な運用ができるようになり、費用の削減と時間の節約を実現できる。
なお、荷捌棟の1階をトレーラ等の車両の通行路とし、2階を荷捌きが可能なフロワにしたような場合には、1階と2階との間のコンテナの移動を立体倉庫に設置したクレーン装置で行うことができるので、コンテナを異なる階層間に亘って移動するための例えばループ状の車路が不要となり、荷捌棟の小スペース化、低コスト化が実現される。
【0016】
本発明の第2の形態に係るコンテナターミナルは、立体倉庫は空コンテナの格納が可能になっており、前記立体倉庫に格納された前記空コンテナを荷捌棟側へ受渡し、荷捌棟から搬出される空コンテナを前記立体倉庫に格納するようにしたので、立体倉庫が空コンテナの保管庫として機能し、また立体倉庫に荷捌棟が併設されているため、荷物を詰めるのに必要なときに直ぐに必要な空コンテナを荷捌棟側に搬送できる。これによって、空コンテナの保管庫を別途設ける必要がなく、また仮に別途設けた場合にはその搬送等に時間を要するが、本発明によれば、そのような搬送の時間も極めて短時間で済むことになり、物流の効率アップを図ることができる。
【0017】
本発明の第3の形態に係るコンテナターミナルは、荷捌棟における荷捌きが可能なフロワが複数階であることにより、荷捌きが可能なフロワを各階層で機能別に分けることが可能になる。
なお、コンテナが搬出入される物流センターにおいて、多層階の荷捌きフロアを有する場合には、コンテナを搬出入するトレーラがいずれの階へも行き来できるようにするために多層階を構成する建物の側面にループ状の車路を設置するのが一般的である。
しかしながら、ループ状の車路は大きな面積を必要とし、また建築コストが高いという問題がある。
この点、本発明の第3の形態によれば、荷捌きが可能なフロワが複数階に亘ったとしても、各階層間のコンテナの移動を立体倉庫に設置したクレーン装置で行うことができるので、コンテナを各階層間に亘って移動するためのループ状の車路を必要とせず、省スペース化、低コスト化が実現される。
【0018】
本発明の第4の形態に係るコンテナターミナルは、クレーン装置は、コンテナを保持して昇降する昇降体と、該昇降体と前記棚との間を移動して前記コンテナの移載を行う移載台車とを備えてなるので、受渡ゾーンにおけるコンテナの受渡しを移載台車によって行うことができ、別途移載装置を設ける必要がないので、装置全体をコンパクト化できる。
【0019】
本発明の第5の形態に係るコンテナターミナルにおいては、受渡しゾーンが、荷捌棟との間を行き来する自走台車が走行するための自走台車走行路を備え、該走行路を走行する自走台車が前記昇降体から抜け出した前記移載台車との間でコンテナの受渡しを行うようにしたので、移載台車と自走台車との連携によりコンテナの受渡しが容易かつ円滑に行なうことができると共に装置全体をコンパクト化できる。
【0020】
本発明の第6の形態に係るコンテナターミナルは、立体倉庫が荷捌棟を挟んで両側に設けられているので、荷捌棟へ両側の立体倉庫から同時にアクセスすることができ、物流の効率化が実現される。
【0021】
本発明の第7の形態に係るコンテナターミナルは、コンテナシャーシを保管するコンテナシャーシ自動倉庫を、荷捌棟に併設させたことにより、コンテナシャーシをコンテナの入出庫との関係で必要なときに適宜入出庫可能となり、効率的な運用が可能となる。
【0022】
本発明の第8の形態に係るコンテナターミナルは、コンテナシャーシ自動倉庫は、コンテナシャーシを一台ずつ個別に棚に保管すると共に、シャーシ用クレーンが所望のコンテナシャーシの出し入れを行えるようにしたので、異なる会社のコンテナシャーシを格納していても所望の会社のものを選定して取り出すことができ、各社が自社のコンテナシャーシのみを使用するような運用にも対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施の形態に係るコンテナターミナルの全体構成の説明図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係るコンテナターミナルの平面図である。
【図3】図2におけるA部の説明図である。
【図4】図2における矢視B−B図である。
【図5】図2における矢視C−C図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係るコンテナターミナルに設置された移載装置の説明図である。
【図7】図2の丸で囲んだD部の拡大図である。
【図8】本発明の一実施の形態に係るコンテナターミナルに設置された立体倉庫のスタッカークレーンの説明図である。
【図9】本発明の一実施の形態に係るコンテナターミナルにおける荷の流れの説明図である。
【図10】本発明の一実施の形態に係るコンテナターミナルにおける荷の流れの他の態様の説明図である。
【図11】本発明の他の実施の形態に係るコンテナターミナルを模式的に示した図である。
【図12】本発明の他の実施の形態に係るコンテナターミナルを模式的に示した図である。
【図13】本発明の他の実施の形態に係るコンテナターミナルを模式的に示した図である。
【図14】本発明の他の実施の形態に係るコンテナターミナルを模式的に示した図である。
【図15】本発明の他の実施の形態に係るコンテナターミナルを模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[実施の形態1]
図1は本発明の一実施の形態に係るコンテナターミナルの全体構成を説明する説明図、図2は本実施の形態に係るコンテナターミナルの平面図、図3は図2におけるA部の説明図であり、図3(a)が2階乃至4階の各部分の平面図を示し、図3(b)が1階部分の平面図を示している。また、図4は図2における矢視B−B図、図5は図2における矢視C−C図をそれぞれ示している。
以下、図1乃至図5に基づいて本発明の一実施の形態を説明する。
【0025】
本実施の形態に係るコンテナターミナル1は、岸壁クレーン3と、岸壁クレーン3との間でコンテナの受け渡しを行う無人搬送台車5と、無人搬送台車5が走行する無人搬送台車走行路7と、無人搬送台車5と後述するスタッカークレーン9との間でコンテナの移載を行う移載装置11と、コンテナを格納する棚12を備えた立体倉庫13と、立体倉庫13内を移動してコンテナを所望の棚12に格納するスタッカークレーン9と、立体倉庫13における岸壁側と反対側(陸側)において立体倉庫13に併設された荷捌棟15と、を備えている。
以下、各構成を詳細に説明する。
【0026】
<岸壁クレーン>
岸壁クレーン3は、コンテナ船17に積まれているコンテナ19を荷揚げし、またコンテナ船17へコンテナ19を積み込むクレーンである。岸壁クレーン3は、図1の例では4台設けられ、図2の例では、6台設けられている。いずれの例でも、岸壁クレーン3は岸壁に沿う方向に移動可能になっている。
【0027】
<無人搬送台車>
無人搬送台車5は、運転席のないトレーラのような形をしており、無人搬送台車走行路7に埋め込まれたセンサーをトレースし、また無線の指示に従って、立体倉庫13と岸壁との間を走行する。そして、無人搬送台車5は、岸壁クレーン3から受け取ったコンテナ19を移載装置11へ受渡し、または移載装置11から受け取ったコンテナ19を岸壁クレーン3に受け渡す。
【0028】
<無人搬送台車走行路>
無人搬送台車走行路7は、図2に示されるように、岸壁と立体倉庫13との間を周回するように設けられている。図2に示されるように、岸壁にコンテナ船17が2隻同時に着岸する場合もあるので、無人搬送台車走行路7は、平面視したときに立体倉庫13の設けられている範囲を超えて設けられる場合もある。
【0029】
<移載装置>
移載装置11は、無人搬送台車5と、立体倉庫13の岸壁側の側部に設けられた載置台50との間でコンテナ19の移載を行う装置であり、図2及び図4に示されるように立体倉庫13の岸壁側の側部に設けられている。
図6は、図4に示された移載装置11を拡大して示す図である。移載装置11は、図6に示すように、側面視したときに門型をしており、両側の脚部21には走行輪23を有し、立体倉庫13の側部に沿って設けられた軌条25を走行できるように構成されている。両脚部21間には、その上端部を連結するビーム27が設けられている。また、移載装置11におけるスタッカークレーン9側の脚部21の上端部には、前記脚部21の上端部を基端としてスタッカークレーン9側に向けて旋回できる旋回ビーム29が設けられている。
旋回ビーム29は、垂直状態からスタッカークレーン9側に向かって回動して、水平になるようになっている。回動のための機構は種々考えられるが、この例では、図6に示すように、脚部21と旋回ビーム29との間にジャッキ31を設け、該ジャッキ31のロッド33の伸縮によって旋回ビーム29を回動するようになっている。
旋回ビーム29を旋回させて立体倉庫13側に延出させた状態では、旋回ビーム29は、図4に示すように、側面視でスタッカークレーン9の走行エリアと重なるようになっている。そして、このとき旋回ビーム29の先端部が立体倉庫13に設けられた支持部35に支持される。
【0030】
ビーム27及び旋回ビーム29には、これらビーム27及び旋回ビーム29上を走行できるトロリ37が設けられている。トロリ37にはコンテナ19を吊り上げて保持すると共に吊り上げたコンテナ19を旋回させてその向きを90度変えることができるコンテナ吊具39が設けられている。
図4に示すように、トロリ37が旋回ビーム29上へ移動することによりスタッカークレーン9の走行エリアに進入することが可能となり、コンテナ吊具39に保持されているコンテナ19をスタッカークレーン9に受け渡す前に載置台50に載置し、あるいはスタッカークレーン9からコンテナ19を受け渡された載置台50から、そのコンテナ19を受け取ることができる。
【0031】
ところで、移載装置11は、図2に示される例では6基設けられており、各移載装置11はそれぞれ2台のスタッカークレーン9との間でコンテナ19の移載を行うように構成されている。そのため、移載装置11は、立体倉庫13に沿って移動させる必要があるが、スタッカークレーン9側に延びる旋回ビーム29がそのままの状態ではスタッカークレーン9と干渉してしまうことがある。そこで、移載装置11が移動する際には旋回ビーム29を上方に向けて旋回させ、スタッカークレーン9の走行エリアから退避させるようにする。
【0032】
<立体倉庫>
立体倉庫13は、コンテナ19を収容できる棚12を多段でかつ多数列有している。
図7は図2の丸で囲んだD部を拡大して示す拡大図である。図7に示すように、スタッカークレーン9は4列の棚12毎にクレーン走行路43が設けられており、各スタッカークレーン9は、クレーン走行路43の両側2列の棚12へのコンテナ19の出し入れが可能になっている。つまり、図7において、図中の右側に記載されたスタッカークレーン9について言えば、図中のaで示す範囲にある棚12へのコンテナ19の出し入れが可能になっており、図中の左側に記載されたスタッカークレーン9について言えば、図中のbで示す範囲にある棚12へのコンテナ19の出し入れが可能になっている。
立体倉庫13に格納されるコンテナ19は荷物が詰まっているものの他、荷物が詰まっていない空コンテナも含まれる。
【0033】
立体倉庫13における荷捌棟15に隣接する部分には、図5に示されるように、コンテナ19を荷捌棟15側に受け渡したり、荷捌棟15から受け取ったりするための受渡ゾーン45が設けられている。受渡ゾーン45は荷捌棟15の各階(フロア)と同じレベルにおいて、図3(a)に示すように、自走台車47の自走台車走行路49が設けられており、自走台車47が荷捌棟15と立体倉庫13側を行き来できるようになっている。
【0034】
<スタッカークレーン>
スタッカークレーン9は、立体倉庫13内に設けられたクレーン走行路43に沿って、陸側から海側に向かって走行し、クレーン走行路43の両側の2列の棚12へのコンテナ19の出し入れが可能になっている。
このような機能を有するスタッカークレーン9は、図4及び図8に示すように、走行台車51と、走行台車51上に設けられたコンテナ載置台55と、コンテナ載置台55上に設けられレール57Aに沿ってコンテナ19を移動させる移載台車57と、走行台車51上に走行方向に所定の間隔を離して設置された門型のマスト53と、該マスト53間を、コンテナ19を把持して昇降する昇降体34と、昇降体34をワイヤーケーブルWにより昇降させる昇降装置54とを備えている。
【0035】
移載台車57は、レール57Aと、載置台50に設けられているレール50Aとの間を双方向に乗り継ぎできるように構成されているので、載置台50とスタッカークレーン9のコンテナ載置台55との間でコンテナ19を行き来させることができる。
昇降体34は、把持手段34Aと、把持手段34Aを軌道34Cに沿って移動させる把持手段移動装置34Bを備えている。把持手段34Aは、コンテナ19の長さ方向に移動可能で、コンテナ19の上部四隅を把持する把持機構を備えており、昇降体34の昇降との組み合わせにより、コンテナ19の把持と解放を行うことができる。把持手段移動装置34Bは、軌道34C上を走行する車輪34Dを備え、軌道34Cと、各棚12に設けられた軌道(図示せず)との間を双方向に乗り継ぎができるように構成されているので、把持手段34Aを昇降体34と棚12との間で行き来させることができる。また、把持手段移動装置34Bは、把持手段34Aを小さな距離だけ昇降させる短距離昇降機構(図示せず)を備えているので、把持手段34Aは、棚12に設けられた載置部に載置されたコンテナ19を取り出すために降下し、その上部四隅を把持した後上昇するという動作や、コンテナ19を棚12に載置するために当該コンテナ19の上部四隅を把持したまま降下し、棚12に設けられた載置部に着床したコンテナ19の上部四隅の把持を止めて解放した後上昇するといった動作を行うことができる。
【0036】
<荷捌棟>
荷捌棟15は、立体倉庫13における岸壁側と反対側(陸側)において立体倉庫13に隣接して設けられている。荷捌棟15は、複数階の建屋であり、この例では図5に示すように、4階建てになっている。
荷捌棟15における立体倉庫13側の壁には開口部が設けられて、開口部を介して自走台車47が立体倉庫13の受渡ゾーン45と行き来できるようになっている。
【0037】
荷捌棟15の1階には、図5に示すように、天井クレーン67が設けられており、トレーラ69へのコンテナ19の積み込み、トレーラ69からのコンテナ19の積み下ろしを行えるようになっている。
また、荷捌棟15の2階乃至4階の各階(フロア)にはフォークリフト71が配置され、自走台車47によって立体倉庫13から搬入されたコンテナ19の荷捌棟15内での移動をフォークリフト71によって行うようになっている。
また、荷捌棟15には、図示しないエレベータが設けられており、コンテナ19に詰めるバラ荷を各階に移動することができる。
また、荷捌棟15の各階には、図3に示すようにトレーラ69やトラックなどの有人車が走行できる有人車走行路73が設けられており、トレーラ69やトラックなどの有人車はいずれの階にも出入りができるようになっている。
【0038】
荷捌棟15の各階に対応する受渡ゾーン45の各階には、把持手段移動装置34Bが備える車輪34Dが走行可能な軌道(図示せず)が設けられている。そのため、スタッカークレーン9が受渡ゾーン45に位置しているとき、把持手段移動装置34Bは、当該軌道と軌道34Cとの間を双方向に乗り継ぎができ、把持手段34Aを昇降体34と受渡ゾーン45の各階にある自走台車47との間で、ひいてはコンテナ19をスタッカークレーン9と受渡ゾーン45との間で行き来させることができる。
【0039】
以上のように構成された本実施の形態に係るコンテナターミナル1におけるコンテナ19及びコンテナ19に詰められる荷物の輸出入時の流れについて説明する。
【0040】
<輸入時の流れ>
コンテナ船17によって運ばれてきたコンテナ19は、岸壁クレーン3によってコンテナ船17から吊り上げられて無人搬送台車5に載せられる。
他方、当該コンテナ19を格納するスタッカークレーン9が、図4に示すように、立体倉庫13の岸壁側に移動する。また、そのスタッカークレーン9にコンテナ19を移載するための移載装置11が、走行してスタッカークレーン9の側方近傍まで移動する。移載装置11は、その移動の際には、旋回ビーム29を垂直になる位置に旋回させているので、移動時にスタッカークレーン9と干渉することはない。移載装置11が所定の位置に停止すると、図4に示すように、旋回ビーム29を旋回させて立体倉庫13側に延出させ、その端部を立体倉庫13側の支持部35で支持させる。
【0041】
コンテナ19を載せた無人搬送台車5が無人搬送台車走行路7に沿って移載装置11側に移動して、移載装置11のビーム27の下方に停車する。この状態で、トロリ37を無人搬送台車5の直上に移動し、コンテナ吊具39によって無人搬送台車5上のコンテナ19を吊り上げる。そして、吊り上げたコンテナ19の向きを90度回転させ、トロリ37を立体倉庫13側に走行させる。このとき、スタッカークレーン9においては、移載台車57を昇降体55から側方の載置台50に移動させておき、移載装置11から運ばれるコンテナ19を移載台車57に載置できるように待機させておく。トロリ37が移載台車57の直上に来たときに、コンテナ吊具39を下降させてコンテナ19を移載台車57に載せる。
【0042】
コンテナ19を載せた移載台車57は、載置台50から、スタッカークレーン9のコンテナ載置台55に移動する。移載台車57がコンテナ載置台55上に戻ると、スタッカークレーン9を走行させてコンテナ19を所定の棚12のある列まで走行させ、走行中あるいは所定の列に到着すると収納する棚12の段位置まで昇降体55を移動させる。この移動の前若しくは後又は過程において、昇降体34は、把持手段34Aによりコンテナ19を把持する。
昇降体34がコンテナ19を所定の棚12のある段位置まで移動させると、把持手段移動装置34Bがコンテナ19を把持したままの把持手段34Aを棚12側へ移動させ、棚12に設けられた載置部へコンテナ19を受け渡す。コンテナ19を棚12に受け渡たすと、把持手段移動装置34Bは把持手段34Aをスタッカークレーン9側に戻す。その状態でスタッカークレーン9はクレーン走行路43を走行して所定の位置まで戻り、以後無人搬送台車5から載置台50を経由してコンテナ19を受け取る作業を繰り返す。
【0043】
所定の棚12に格納されたコンテナ19は、出荷の指示があったときに、スタッカークレーン9によって取り出される。即ち、出庫指示のあったコンテナ19が格納されている棚12に対するコンテナ19の出し入れを行うスタッカークレーン9を走行させ、出庫指示のあったコンテナ19が格納されている棚12の列まで移動させる。そして、さらに昇降体55を上下動して所定の棚12の段位置まで移動させる。次いで、把持手段移動装置34Bにより、把持手段34Aを棚12内に送り込み、把持手段34Aがコンテナ19を把持した後、当該コンテナ19を把持した状態の把持手段34Aをスタッカークレーン9側に戻す。次いでスタッカークレーン9をクレーン走行路43に沿って荷捌棟15側の受渡ゾーン45の所定位置まで移動させる。
【0044】
荷捌棟15は、コンテナ19の荷物、向け先等により階(フロア)が分かれている場合が多く、故に受渡ゾーン45も同様に階が分かれている。そこでコンテナ19をそれ相応の階に位置させるために、上記の所定に位置において昇降体34を昇降させて、その階内に設けられた、把持手段移動装置34Bが備える車輪34Dが走行可能な軌道(図示せず)と、軌道34Cとを同じレベルにさせる。その後、把持手段移動装置34Bにより、コンテナ19を把持した状態の把持手段34Bをその階内に移動させ、当該コンテナ19を、待機している自走台車47に受け渡す。コンテナ19を受け取った自走台車47をコンテナ19を支持して荷捌棟15へ移動させる。
荷捌棟15においてはコンテナ19を、例えばフォークリフト71などによって所望の位置まで移動させる。その所望の位置において当該コンテナ19内の荷物77を取り出して、荷物77の向け先ごとに仕分けする作業を行う。仕分けされた荷物はトラック75などによってそれぞれの向け先に出荷される。
【0045】
所定の棚12に格納されたコンテナ19を、出荷の指示に応じて、スタッカークレーン9により取り出して、載置台50に移動させることもできる。即ち、出庫指示のあったコンテナ19が格納されている棚12に対するコンテナ19の出し入れを行うスタッカークレーン9を走行させ、出庫指示のあったコンテナ19が格納されている棚12の列まで移動させる。そして、さらに昇降体55を上下動して所定の棚12の段位置まで移動させる。次いで、把持手段移動装置34Bにより、把持手段34Aを棚12内に送り込み、把持手段34Aがコンテナ19を把持した後、当該コンテナ19を把持した状態の把持手段34Aをスタッカークレーン9側に戻す。次いでスタッカークレーン9をクレーン走行路43に沿って載置台50脇の所定位置まで移動させ、コンテナ19を載置した状態の移載台車57を移動させることにより、当該コンテナ19を載置台50に載置させる。載置台50に載置されたコンテナ19を、移載装置11により更に岸壁側に移動させる。
【0046】
なお、荷物77が取り出されて空になった空コンテナは、自走台車47によって受渡ゾーン45に搬送される。そして、受渡ゾーン45においてスタッカークレーン9に受け渡されて立体倉庫13の所定の棚12に格納される。このように、立体倉庫13は空コンテナの格納庫としても機能する。
【0047】
以上のように、本実施の形態の立体倉庫13においては、輸入コンテナの荷物を国内に配送するに際して、コンテナターミナル1内において荷捌することができ、向け先別に配送することができる。従来であれば、荷捌のための施設がコンテナターミナルから離れた場所にあるため、荷捌棟15とコンテナターミナルとの間をトレーラによって移動する必要があったが、それがなくなる。
また、空コンテナを立体倉庫13に格納できるので、別途格納庫を設ける必要がなく、かつ立体倉庫13に空コンテナを格納することで、輸出時に荷物を詰めるコンテナとして使用することができる。
【0048】
<輸出時の流れ>
荷捌棟15に到着する輸出用の荷物の形態として、バラの荷物をトラックにて搬入する場合と、既に荷物の詰め込み作業が完了している実コンテナを搬入する場合がある。以下、それぞれの場合について説明する。
図9及び図10はバラ荷の状態で荷捌棟15に搬入する場合における荷物の動きを説明する説明図である。以下においては、図9、図10並びに図1乃至図8を参照しながら輸出の場合の荷物の動きについて説明する。
【0049】
〔バラ荷の場合(1)〕
輸出用の荷物77を搭載したトラック75をコンテナターミナル1に入場させて、荷捌棟15の荷物移動用のエレベータ付近に停車させる。停車中のトラック75から荷物77を降ろして、エレベータによって荷物77を所望の階に移動させる。図9に示す例では、荷物77を方面別に2階と3階に分けて移動させる例が示されている(図9(a)乃至(c)参照)。荷物77を移動させる各階には、その移動の前若しくは後又は過程で、空のコンテナ19を立体倉庫13側から搬入させる。例えば、空のコンテナ19を2階に搬入する場合は、立体倉庫13の棚12に格納されている空のコンテナ19を、スタッカークレーン9の昇降体34が備える把持手段34A及び把持手段移動装置34Bによって取り出し、スタッカークレーン9により受渡ゾーン45に移動させ、当該空のコンテナ19を把持した状態の昇降体34を2階に向けて移動させる。2階において、把持手段移動装置34Bにより把持手段34Aを階内に移動させ、空のコンテナ19を、待機している自走台車47に受け渡し、自走台車47により荷捌棟15側に移動させる(図9(d)参照)。空のコンテナ19の荷捌棟15への搬入後、当該空のコンテナ19に荷物77を詰める。その後、荷物77が詰められた状態のコンテナ19をスタッカークレーン9に受け渡し、スタッカークレーン9によって所定の棚12に格納させる。
【0050】
上記「バラ荷の場合(1)」の説明では、荷捌棟15において向け先別に異なる階にバラ荷を搬入する場合において、空のコンテナ19を立体倉庫13側から容易に所望の階に移動することができ、極めて便利である。これは、空のコンテナ19が隣接する立体倉庫13に保管可能であることと、立体倉庫13で使用するスタッカークレーン9を荷捌棟15の各階への搬送に利用できるようにしたことによる効果である。
【0051】
〔バラ荷の場合(2)〕
図10はバラ荷をコンテナ19に詰め込む場合の他の例の説明図である。この例では、荷物77を、トラック75に積んで荷捌棟15まで搬入させ(図10(a))、荷卸し後にエレベータによって2階に移動させ、更にフォークリフト71などで同階の所定の場所に運び込む(図10(b)(c))。荷物77の2階への移動の前若しくは後又はその過程で、空のコンテナ19を同階に搬入させ(図10(d))、2階に運び込まれている荷物77を当該空のコンテナ19に詰め込む(図10(e))。図10(e)に示す状態は、量の少ない荷物77を空のコンテナ19の半分くらいに詰め込んだ状態を示している。この状態で、コンテナ19を、自走台車47により受渡ゾーン45に移動させ、スタッカークレーン9に移動させ、立体倉庫13に一旦格納させる。その後、先にコンテナ19に詰め込んだ荷物77と向け先が同じバラ荷を荷捌棟15に搬入させ、エレベータによって3階に移動させる(図3(f))。バラ荷の3階への移動の前若しくは後又はその過程で、先に半詰め込み状態で立体倉庫13に格納されていたコンテナ19を、スタッカークレーン9により再び立体倉庫13から取り出して、受渡ゾーン45の3階に搬入させ、自走台車47により荷捌棟15の3階に移動させる。そして、そのバラ荷を、半詰め込み状態のコンテナ19の残余の空間に追加で詰め込む(図10(h))。この状態のコンテナ19を、自走台車47により受渡ゾーン45に移動させ、スタッカークレーン9に移動させ、立体倉庫13に再び格納させる(図10(i))。
【0052】
上記「バラ荷の場合(2)」の説明から分かるように、立体倉庫13に荷捌棟15を併設し、立体倉庫13からコンテナ19を荷捌棟15の所望の階に搬入及び搬出ができるようにコンテナターミナルを構成すれば、バラ荷をコンテナ19に詰める際に一度に満杯にできない場合であっても、その状態でのコンテナ19の保管が容易になり、また次に残りを詰める場合に、先に詰めたのと異なる階に荷物77が搬入された場合でも容易にコンテナ19を所望の階に搬入することができる。
このように、本実施の形態に係るコンテナターミナルによれば、種々の態様の荷物77の詰め込みが可能となり、それによる遅れなども出ないので円滑な物流を実現することができる。
【0053】
〔実コンテナ搬入の場合〕
荷を詰めたコンテナ19をトレーラ69により搬入させる場合には、図3(b)に示すように、荷が詰められたコンテナ19が積載されているトレーラ69を1階に設けられた天井クレーン67の下方に配置させて、図5に示されるように、当該コンテナ19を天井クレーン67により吊り上げて、自走台車47に載置させ、自走台車47により受渡ゾーン45の所定位置に移動させる。ここで、受渡ゾーン45の1階には、他の階同様、把持手段移動装置34Bが備える車輪34Dが走行可能な軌道(図示せず)が設けられているので、昇降体34を昇降させることにより、当該軌道と軌道34Cとを同じレベルにさせる。その後、把持手段移動装置34Bにより、把持手段34Bをその階内に移動させ、自走台車47に載置されたコンテナ19を把持させて、スタッカークレーン9側へ移動させる。引き続き、当該コンテナ19をスタッカークレーン9によって立体倉庫13側へ移動させ、そこの所定の棚12に格納させる。
【0054】
上記「バラ荷の場合(1)」、「バラ荷の場合(2)」、「実コンテナ搬入の場合」で説明したようにして荷物77が詰められたコンテナ19が立体倉庫13の所定の棚12に格納される。そして、所定の棚12に格納されているコンテナ19をコンテナ船17に積み込む場合には、そのコンテナ19をスタッカークレーン9によって棚12から取り出して、岸壁側に移動させ、移載装置11との受渡しのために載置台50に載置させる。
移載装置11が、載置台50側に移動して、所定の位置にくると、旋回ビーム29を旋回させて立体倉庫13側の支持部35に旋回ビーム29の先端を支持させる。このとき、旋回ビーム29の下方にコンテナ19が配置されている。その状態でトロリ37をコンテナ19側に移動させて、コンテナ吊装置によってコンテナ19を吊り上げ、90度回転させ、待機している無人搬送台車5に搭載させる。無人搬送台車5に搭載されたコンテナ19を、その無人搬送台車5により所定の軌道を走行させ、岸壁側に移動させ、岸壁クレーン3によってコンテナ船17に積み込ませる。
【0055】
以上のように、荷物77を輸出する場合において、空のコンテナ19を立体倉庫13に格納しておけば、荷捌棟15に搬入された荷物77をコンテナ19に詰め込むに際して、適宜必要な数の空のコンテナ19を荷捌棟15の所望の階に搬入させることができるので、きわめて便利である。
【0056】
このように、本実施の形態に係るコンテナターミナルによれば、次のような効果が得られる。即ち:
コンテナターミナル1内に、荷捌棟15が設けられ、荷捌き機能とコンテナ保管機能とが集中する構成となるので、荷物77の詰め込みと保管の効率的な運用が可能になる。
荷物77の詰め込みが完了しているコンテナ19や荷が半詰め込み状態のコンテナ19をそのまま直接立体倉庫13に保管することができ、それ故にコンテナの立体倉庫13を、バラ荷を保管するための物流倉庫として機能させることができる。
バラ荷状態で搬入されてきたトラック積みの荷物77であっても、これを荷捌棟15における向け先別の階(フロア)に搬入させるとともに、立体倉庫13から空のコンテナ19をその階(フロア)に搬入させることにより、当該階(フロア)において、そのバラ荷状態の荷物77のコンテナ19への詰め込みを行うことができる。そのため、コンテナ19をトレーラ69により移動させる必要がなくなり、その移動のために従来必要であったトレーラの通行路や運転手などの削減が可能になる。
【0057】
輸入コンテナの場合には、コンテナ19を荷捌棟15の階(フロア)に搬出させ、そこで荷物77をコンテナ19から取り出して分別の上、トラック75により出荷させることができ、しかも空になったコンテナ19を再び立体倉庫13に格納させることができる。したがって、この場合においてもコンテナの移動のために従来必要であったのトレーラの通行路や運転手などの削減が可能になる。
【0058】
荷捌棟15のいずれの階(フロア)においてもコンテナの出し入れができることから、ある階で一部の荷物77をコンテナに積み込み、そのコンテナをスタッカークレーン9によって立体倉庫13に一旦収納させた後に、再度出庫させて別の階で残りの荷物77の積み増しを行う、といった態様をはじめとする様々な態様の荷物77の詰め込みが可能になり、円滑で効率的な物流を実現することができる。
【0059】
従来の荷捌の施設においては、コンテナを別の階に移動させるために、これをトレーラにより運搬する必要があり、そのため施設には螺旋道路が必要であった。これに対して、本実施の形態に係るコンテナターミナルにおいては、コンテナ19をスタッカークレーン9によって昇降させることにより別の階へ移動させるので、そのような道路が不要となる。
【0060】
空コンテナを立体倉庫13に格納させておけば、空コンテナ格納用の倉庫や場所を別途確保しておく必要がなくなり、輸出時には必要な空コンテナを直ぐに使用することができるので、合理的、効率的な運用が可能になる。
【0061】
従来、空コンテナは、放置されたり、トレーラで牽引されてコンテナターミナルの外部に搬出されたりしており、放置の場合は、コンテナターミナルの稼動を阻害原因となり、外部に搬出する場合には、余計な手間となると言った弊害があった。これに対して、本実施の形態においては、立体倉庫13を空コンテナの格納庫として使用可能となるので、放置や外部搬出に起因する弊害がない。
【0062】
荷捌棟15の荷捌きフロアで作業を行うと、空になったコンテナの処理が問題になる。これに対して、本実施の形態においては、立体倉庫13に荷捌きフロアを併設させているので、立体倉庫13から荷捌きフロアに取り出されたコンテナを、荷捌きフロアにおける作業後に、直ちに、空コンテナとして再び立体倉庫13に格納することができるという格段のメリットがある。
【0063】
なお、上記の説明においては、荷捌棟15にトラック75で搬入された荷物77をエレベータによって所望の階に移動する例を示したが、前述したように荷捌棟15の各階には有人車が走行できる有人車走行路73が設けられているので、搬入した荷物77をトラック等の有人車によって直接所望の階へ運ぶようにしてもよい。
【0064】
また、上記の荷捌棟15は1階フロワにトラック等の走行路が設けられ、2階から4階に荷捌のフロワを設けた例を示したが、1階フロワにトラック等の走行路が設けられ、2階が荷捌のためのフロワになっているような2階建ての建屋であってもよい。この場合でも、1階と2階の間でのコンテナ19の移動を、スタッカークレーン9を用いてできるので、コンテナ移動のために別途螺旋道路を設ける必要がないという効果を奏することができる。
【0065】
また、上記の説明においては、クレーン装置の例としてスタッカークレーン9を例に挙げて説明したが、コンテナを昇降させると共に立体倉庫13の所望の棚への出し入れを行うことができるものであれば他の形態のクレーン装置でもよく、例えば立体倉庫13の棚への出し入れを天井クレーンによって行うような形態のものであってもよい。
【0066】
[実施の形態2]
図11は本発明の他の実施の形態に係るコンテナターミナル1を模式的に示した図であり、図1乃至図8で示したのと同一の部分には同一の符号が付してある。
この実施の形態においては、荷捌棟15の陸側に荷捌棟15に隣接して第2立体倉庫83を設けている。そして、無人搬送台車5が走行する無人搬送台車走行路7を荷捌棟15の1階部分まで延長して設けている。このため、荷捌棟15においては、トレーラ69やトラック75などの有人車は荷捌棟15の2階以上の階を走行することになる。図11において破線で示す矢印はトレーラ69やトラック75などの有人車が走行する有人車走行路73を示している。
【0067】
図11に示す例では、立体倉庫13側へ着く有人車の走行方向と第2立体倉庫83側へ着く有人車の走行方向は同一方向になっている。しかし、図12に示すように、立体倉庫13側へ着く有人車の走行方向と第2立体倉庫83側へ着く有人車の走行方向が逆向きになるようにしてもよい。いずれの場合であれ、荷捌棟15において有人車と無人搬送台車5の走行エリアを階層によって分離したので、両者間で交通事故が起こることがなく、安全である。
【0068】
本実施の形態によれば、実施の形態1の効果に加えて次のような効果が得られる。即ち、荷捌棟15の両側にそれぞれ立体倉庫13、第2立体倉庫83を配置していることから、同時に稼動できるスタッカークレーン9の台数を増やすことができ、故に物流のより効率化を実現することができる。
【0069】
[実施の形態3]
コンテナの陸送の際には、トレーラヘッドにコンテナシャーシを連結してトレーラを形成する場合が多い。ところが、従来、コンテナシャーシの置き場は、コンテナターミナルから離れた後背地にあり、複数のコンテナターミナルへの供給を行っていることから、コンテナシャーシの過不足が生じることがあり、スムーズなコンテナの陸送に支障を来たしていた。
また、コンテナシャーシの保管台数が多くなると後背地の置き場が不足し、トレーラヘッドだけが他の仕事に使われ、道路上にコンテナシャーシが置き去りにされてしまうことがおきて社会問題となっていた。
【0070】
また、コンテナターミナル外からコンテナを搬入する際には、コンテナを荷卸した後に残る空のコンテナシャーシを置き場まで、道路を走行して搬送しなければならなかった。
更に、従来のシャーシ自動倉庫(特開平10−140871、特開平10−220059等参照)は、下から積み上げるため、先入れ後出しとなり、所望の(例えば、自社の)シャーシを選定して出すことはできなかった。そのため各社、自社のシャーシだけを使用したい場合は、各社が各棟毎に使用するゾーンを固定せざるを得なかった。
【0071】
本実施の形態は上記のような課題を解決するためになされたものであり、図13に示すように、コンテナシャーシを保管するコンテナシャーシ自動倉庫85を、荷捌棟15の陸側に併設させたものである。そして、コンテナシャーシ自動倉庫85においては、所定の棚へのコンテナシャーシの出し入れを行うシャーシ用スタッカークレーン87と、棚外の所定の場所(コンテナシャーシの出入場所)とシャーシ用スタッカークレーン87との間でコンテナシャーシの出し入れを行う移載装置(図示せず)とを備えることにより、コンテナシャーシを一台ずつ個別に棚に保管するようにしている。
【0072】
なお、コンテナシャーシ自動倉庫85は、パレットを用いてコンテナシャーシ89の出し入れを行うものであってもよい。その場合、上記の「所定の場所」とは、コンテナシャーシ89をパレット(駐車台又は駐車板)に載置させる場所又はパレットに載置されたコンテナシャーシ89をトレーラヘッド69aにより牽引させ、当該パレットを空にさせる場所を意味し、シャーシ用スタッカークレーン87及び図示しない移載装置は、空のパレット又はコンテナシャーシ89を載置させたパレットを搬送するものとなる。
【0073】
図14及び図15はコンテナシャーシ自動倉庫85を荷捌棟15に併設させた場合のコンテナ19の搬出入作業の流れを説明する説明図であり、図14はコンテナ19を搬入する場合の作業の流れを示し、図15はコンテナ19を搬出する場合の作業の流れを示している。
【0074】
コンテナ19の搬入の際には、図14に示すように、コンテナ19を、トレーラヘッド69aに連結されたコンテナシャーシ89に搭載させて、荷捌棟15に移動させる。コンテナシャーシ89にコンテナ19が搭載されたトレーラ69が荷捌棟15に到着したら、そこでコンテナシャーシ89からコンテナ19を下す。コンテナ19が下されたトレーラ69を、コンテナシャーシ自動倉庫85に移動させ、所定の場所でコンテナシャーシ89を切り離させる。そして、トレーラ69から切り離されたコンテナシャーシ89を、図示しない移載装置によりシャーシ用スタッカークレーン87に受け渡して、当該シャーシ用スタッカークレーン87によりコンテナシャーシ自動倉庫85に格納させる。コンテナシャーシ89が切り離された残りのトレーラヘッド69aをコンテナターミナル1から出場させる。
【0075】
コンテナ19の搬出の際には、図15に示すように、コンテナターミナル1に入場したトレーラヘッド69aを、コンテナシャーシ自動倉庫85に移動させ、所定の場所でコンテナシャーシ89に連結させ、コンテナ19をコンテナシャーシ89に未搭載のトレーラ69の状態させる。そのトレーラ69を荷捌棟15に移動させて、そこでコンテナ19をコンテナシャーシ89に搭載させる。そして、コンテナ19をコンテナシャーシ89に搭載したトレーラ69をコンテナターミナル1から出場させる。
なお、当該所定の場所でトレーラヘッド69aにより連結されるコンテナシャーシ89は、コンテナシャーシ自動倉庫85の棚からシャーシ用スタッカークレーン87により取り出され、図示しない移載装置に受け渡され、当該所定の場所に搬送されたものである。
【0076】
以上のように、本実施の形態によれば、コンテナシャーシ89をいつでも、収納、搬出、保管が自動でできるので、コンテナターミナルの効率的な運用が可能になる。より具体的には 次のような効果を得ることができる。即ち:
コンテナ19を立体倉庫13に格納した後に空のコンテナシャーシ89を直ぐにコンテナシャーシ自動倉庫85に入れることができ、コンテナシャーシ自動倉庫85から出した後の空のコンテナシャーシ89に直ぐにコンテナ19を載せることができる。
コンテナ19の数量とコンテナ19のコンテナターミナル1外への搬出入予定計画から、タイムリーにコンテナシャーシ89の必要在庫数が分かることから、事前にコンテナシャーシ89の補充を計画することができる。
また、コンテナシャーシ自動倉庫85においては、コンテナシャーシ89を一台ずつ個別に棚に保管するようにし、シャーシ用スタッカークレーン87が所定の棚へのコンテナシャーシ89の出し入れを行えるようにしているので、自社のシャーシを選定して取り出すことができ、コンテナシャーシ89が各社運送会社の持ち物で、自分の会社のコンテナシャーシ89のみを使用するような運用にも対応することができる。
【0077】
以上の各実施の形態においては、コンテナ等の荷動きに関し、輸出入の場合について説明したが、荷動きとしてはこれに限られるものではなく、国内貨物の荷動きや、船同士の積み替えの荷動きであって、海側から自動倉庫に入って陸側へ出ずに海側へ戻るような荷動きや、空コンテナの荷動きとして陸内での荷動きなどについても本発明を適用できることは言うまでもない。
また、以上の各実施の形態(特に実施の形態1)においては、立体倉庫13における受渡ゾーン45と荷捌棟15との間を自走台車47が行き来できるようにした例を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、立体倉庫13と荷捌棟15との間でのコンテナ19の受渡しができればよく、例えば、自走台車47が荷捌棟15内へ進入できなくても、自走台車47が受渡ゾーン45における荷捌棟15との境界までコンテナ19を搬送し、その位置で荷捌棟15側にある搬送機器にコンテナ19を受渡すようにしてもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 コンテナターミナル 3 岸壁クレーン 5 無人搬送台車
7 無人搬送台車走行路 9 スタッカークレーン 11 移載装置
12 棚 13 立体倉庫 15 荷捌棟
17 コンテナ船 19 コンテナ 21 脚部
23 走行輪 25 軌条 27 ビーム
29 旋回ビーム 31 ジャッキ 33 ロッド
35 支持部 37 トロリ 39 コンテナ吊具
43 クレーン走行路 45 受渡ゾーン 47 自走台車
49 自走台車走行路 50 載置台 51 走行台車
53 マスト 55 昇降体 57 移載台車
67 天井クレーン 69 トレーラ 69a トレーラヘッド
71 フォークリフト 73 有人車走行路 75 トラック
77 荷物 83 第2立体倉庫
85 コンテナシャーシ自動倉庫
87 シャーシ用スタッカークレーン
89 コンテナシャーシ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナを格納する棚を備えた立体倉庫と、該立体倉庫内を移動して前記コンテナを所定の棚に出し入れするクレーン装置と、前記立体倉庫に併設して設けられると共に荷捌きが可能なフロワを少なくとも一層備えてなる荷捌棟と、該荷捌棟と前記立体倉庫との間に設けられ前記コンテナの受渡しを行うための受渡しゾーンとを備え、該受渡しゾーンにおいて前記クレーン装置が前記立体倉庫から搬出される前記コンテナを前記荷捌棟側へ受渡し、また前記荷捌棟から搬出される前記コンテナを前記クレーン装置で受け取るようにしたことを特徴とするコンテナターミナル。
【請求項2】
前記立体倉庫は空コンテナの格納が可能になっており、前記立体倉庫に格納された前記空コンテナを前記荷捌棟側へ受渡し、前記荷捌棟から搬出される前記空コンテナを前記立体倉庫に格納するようにしたことを特徴とする請求項1記載のコンテナターミナル。
【請求項3】
前記荷捌棟における荷捌きが可能なフロワが複数階であることを特徴とする請求項1又は2記載のコンテナターミナル。
【請求項4】
前記クレーン装置は、前記コンテナを保持して昇降する昇降体と、該昇降体と前記棚との間を移動して前記コンテナの移載を行う移載台車とを備えてなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のコンテナターミナル。
【請求項5】
前記受渡しゾーンは、前記荷捌棟との間を行き来する自走台車が走行するための自走台車走行路を備え、該走行路を走行する自走台車が前記昇降体から抜け出した前記移載台車との間でコンテナの受渡しを行うことを特徴とする請求項4記載のコンテナターミナル。
【請求項6】
前記立体倉庫が前記荷捌棟を挟んで両側に設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のコンテナターミナル。
【請求項7】
コンテナシャーシを保管するコンテナシャーシ自動倉庫を、前記荷捌棟に併設させたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のコンテナターミナル。
【請求項8】
前記コンテナシャーシ自動倉庫は、コンテナシャーシを一台ずつ個別に棚に保管すると共に、シャーシ用クレーンが所望のコンテナシャーシの出し入れを行えるようにしたことを特徴とする請求項7に記載のコンテナターミナル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−260718(P2010−260718A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−86324(P2010−86324)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【出願人】(000004123)JFEエンジニアリング株式会社 (1,044)