説明

コンテナヤードのコンテナ搬送機器用の無線通信設備及び無線通信方法

【課題】電波状態が悪くなったり、無線通信が途切れたりすることがないコンテナヤードのコンテナ搬送機器用の無線通信設備及び無線通信方法を提供する。
【解決手段】走行路19a〜19cに対して、AGV15の走行方向に向けて、指向性のある無線電波を送受信する平板型アンテナ21a〜21cを配置し、走行路19dに対して、AGV15の走行方向に沿って、漏洩同軸ケーブルの周囲で無線電波を送受信する漏洩同軸型アンテナ22を延設し、AGV15に、平板型アンテナ21a〜21cに対応する機上アンテナ25と漏洩同軸型アンテナ22に対応する機上アンテナ27とを設け、走行路19a〜19cを走行しているときは、平板型アンテナ21a〜21cと機上アンテナ25とを用いて、走行路19dを走行しているときは、漏洩同軸型アンテナ22と機上アンテナ27とを用いて、無線通信を行うようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナヤードにおけるコンテナ搬送機器用の無線通信設備及び無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンテナヤードにおける荷役作業の無人化が求められている。図9に、港湾のコンテナターミナルにおけるコンテナヤードを示し、図9を用いて、コンテナの荷役作業について説明する。
【0003】
図9に示すように、コンテナターミナル50の岸壁には、コンテナ船52が係留される。例えば、コンテナ船52に積載した多数のコンテナ53を荷揚げする場合には、岸壁に設けたガントリークレーン(Gantry Crane;以降、GCと略す。)54を用いて、コンテナヤード51内を自走する多数の自動搬送台車(Automated Guided Vehicle;以降、AGVと略す。)55への積み替えを行う。AGV55に積載されたコンテナ53は、その後、コンテナヤード51のコンテナ蔵置部57へ搬送される。コンテナ蔵置部57には、門型のタイヤ式ガントリークレーン(Rubber Tired Gantry Crane;以降、RTGと略す。)56が複数配置されており、AGV55により搬送されたコンテナ53は、RTG56を用いて、コンテナ蔵置部57の所望の位置へ載置される。
【0004】
一方、コンテナ船52に多数のコンテナ53を積載する場合には、コンテナヤード51のコンテナ載置部57へ載置してあるコンテナ53を、RTG56を用いて、AGV55へ積載する。AGV55へ積載されたコンテナ53は、その後、GC54へ搬送されて、GC54を用いて、コンテナ船52へ積み込まれる。
【0005】
上記荷役作業の際、AGV55、RTG56は、コンテナヤード51上に各々配置された走行路に沿って走行している。そして、管理棟58側との無線通信により、位置情報、映像情報、走行制御情報等の送受信が行われて、管理棟58からの指令に基づく遠隔制御が行われることにより、荷役作業の無人化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−180141号公報
【特許文献2】特開2003−226437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
中央制御室58側とAGV55側との無線通信のため、コンテナヤード51全体をカバーできるように、無線通信設備のアンテナ(図示省略)が複数配置されている。ところが、コンテナ53の筐体が金属製であるため、コンテナ53の載置状態、AGV55の位置によっては、無線通信用の電波が反射したり、干渉したりして、電波状態が悪くなるという問題がある。特に、多数のコンテナ53が蔵置されるコンテナ蔵置部57同士の間、例えば、図9中に示す谷間部分Aにおいては、電波が反射したり、干渉したりすることが多く、電波状態が悪くなるだけでなく、最悪の場合、無線通信が途切れることがある。無線通信が途切れないまでも、電波状態が悪くなると、無線通信における通信速度が遅くなり、AGV55の応答が遅れてしまい、遠隔制御により緊急停止させたいときに、停止できないという事態も発生しうる。
【0008】
そのため、例えば、特許文献1には、コンテナ蔵置部同士の間の走行路方向にビーム状に無線電波を放射することにより、電波干渉を防止する技術が開示されている。しかしながら、AGV55は、同じ走行路に同時に複数台進入して荷役作業を行うことがあり(図中B部分)、その場合、AGV55に備えたアンテナが、前後するAGV55、そして、積載するコンテナ53の影になり、電波が到達せず、無線通信が途切れることがある。なお、特許文献1では、無線通信のチャンネルを切り換えることにより、AGVが縦列した場合でも、他のAGVの影響なく、通信可能としているが、実際、AGVのアンテナが他のAGV等の影に入った場合には、電波自体が到達しなくなるため、チャンネルを切り換えたとしても、無線通信は途切れてしまう。
【0009】
又、例えば、特許文献2には、アンテナを地面に複数個設置して、電波障害を回避する技術が開示されているが、アンテナ間においては、電波が弱まり、無線通信が途切れることがある。特に、AGVのように、その位置が連続的に変化するものは、無線通信が途切れるような状態が生じることは好ましくない。
【0010】
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、電波状態が悪くなったり、無線通信が途切れたりすることがないコンテナヤードのコンテナ搬送機器用の無線通信設備及び無線通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決する第1の発明に係るコンテナヤードのコンテナ搬送機器用の無線通信設備は、
コンテナを蔵置する領域として区画された複数のコンテナ蔵置部と、前記複数のコンテナ蔵置部の外周を囲うように設けられた複数の直線路からなる第1の走行路と、前記コンテナ蔵置部同士の間に各々設けられた第2の走行路とを有するコンテナヤードに設けられ、前記第1の走行路及び前記第2の走行路を自走して、前記コンテナを搬送するコンテナ搬送機器と、前記コンテナ搬送機器を遠隔制御する遠隔制御装置との通信を無線で行うコンテナヤードのコンテナ搬送機器用の無線通信設備において、
前記第1の走行路における各直線路には、当該直線路における前記コンテナ搬送機器の走行方向又は当該走行方向の逆方向に向けて、指向性のある無線電波を送受信する平板型アンテナを配置し、
前記第2の走行路では、前記第2の走行路における前記コンテナ搬送機器の走行方向に沿って、漏洩同軸ケーブルからなり、当該漏洩同軸ケーブルの周囲で無線電波を送受信する漏洩同軸型アンテナを延設し、
前記コンテナ搬送機器には、前記平板型アンテナに対応する第1のアンテナと前記漏洩同軸型アンテナに対応する第2のアンテナとを設け、
前記コンテナ搬送機器が前記第1の走行路を走行しているときは、前記平板型アンテナと前記第1のアンテナとを用いて、前記遠隔制御装置との無線通信を行うと共に、前記コンテナ搬送機器が前記第2の走行路を走行しているときは、前記漏洩同軸型アンテナと前記第2のアンテナとを用いて、前記遠隔制御装置との無線通信を行うようにしたことを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決する第2の発明に係るコンテナヤードのコンテナ搬送機器用の無線通信設備は、
コンテナを蔵置する領域として区画された複数のコンテナ蔵置部と、前記複数のコンテナ蔵置部の外周を囲うように設けられた複数の直線路からなる第1の走行路と、前記コンテナ蔵置部同士の間に各々設けられた第2の走行路とを有するコンテナヤードに設けられ、前記第1の走行路及び前記第2の走行路を自走して、前記コンテナを搬送するコンテナ搬送機器と、前記コンテナ搬送機器を遠隔制御する遠隔制御装置との通信を無線で行うコンテナヤードのコンテナ搬送機器用の無線通信設備において、
前記第1の走行路における各直線路には、指向性があり、互いに異なるチャンネルの無線電波を送受信する1対の平板型アンテナを設けると共に、当該直線路を走行する前記コンテナ搬送機器に対して、互いに対向する方向を含む、互いに異なる方向から無線電波を送受信できるように、当該1対の平板型アンテナを配置し、
前記第2の走行路では、前記第2の走行路における前記コンテナ搬送機器の走行方向に沿って、漏洩同軸ケーブルからなり、当該漏洩同軸ケーブルの周囲で互いに異なるチャンネルの無線電波を送受信する2本の漏洩同軸型アンテナを延設し、
前記コンテナ搬送機器には、前記1対の平板型アンテナに各々対応する第1のアンテナを前記コンテナ搬送機器の前後に独立して設けると共に、前記2本の漏洩同軸型アンテナに各々対応する第2のアンテナを前記コンテナ搬送機器の前後に独立して設け、
前記第1の走行路において、前記平板型アンテナの1つと対応する前記第1のアンテナの1つからなる第1の無線回線と、前記平板型アンテナの他の1つと対応する前記第1のアンテナの他の1つからなる第2の無線回線とを構築すると共に、前記第2の走行路において、前記漏洩同軸型アンテナの1つと対応する前記第2のアンテナの1つからなる第3の無線回線と、前記漏洩同軸型アンテナの他の1つと対応する前記第2のアンテナの他の1つからなる第4の無線回線とを構築し、
前記コンテナ搬送機器が前記第1の走行路を走行しているときは、前記第1の無線回線及び前記第2の無線回線の両方を用いて、前記遠隔制御装置との無線通信を行うと共に、前記コンテナ搬送機器が前記第2の走行路を走行しているときは、前記第3の無線回線及び前記第4の無線回線の両方を用いて、前記遠隔制御装置との無線通信を行うようにしたことを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決する第3の発明に係るコンテナヤードのコンテナ搬送機器用の無線通信設備は、
上記第2の発明に記載のコンテナヤードのコンテナ搬送機器用の無線通信設備において、
前記コンテナ搬送機器及び前記遠隔制御装置は、同じ通信内容を受信した場合、先に受信した通信を採用し、後に受信した通信は破棄するようにしたことを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決する第4の発明に係るコンテナヤードのコンテナ搬送機器用の無線通信方法は、
コンテナを蔵置する領域として区画された複数のコンテナ蔵置部と、前記複数のコンテナ蔵置部の外周を囲うように設けられた複数の直線路からなる第1の走行路と、前記コンテナ蔵置部同士の間に各々設けられた第2の走行路とを有するコンテナヤードにおいて、前記第1の走行路及び前記第2の走行路を自走して、前記コンテナを搬送するコンテナ搬送機器と、前記コンテナ搬送機器を遠隔制御する遠隔制御装置との通信を無線で行うコンテナヤードのコンテナ搬送機器用の無線通信方法であって、
前記第1の走行路において、互いに独立する第1の無線回線と第2の無線回線とを構築すると共に、前記第2の走行路において、互いに独立する第3の無線回線と第4の無線回線とを構築し、
前記コンテナ搬送機器が前記第1の走行路を走行しているときは、前記第1の無線回線及び前記第2の無線回線の両方を用いて、前記遠隔制御装置との無線通信を行うと共に、前記コンテナ搬送機器が前記第2の走行路を走行しているときは、前記第3の無線回線及び前記第4の無線回線の両方を用いて、前記遠隔制御装置との無線通信を行い、
前記コンテナ搬送機器及び前記遠隔制御装置では、同じ通信内容を受信した場合、先に受信した通信を採用し、後に受信した通信は破棄することを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決する第5の発明に係るコンテナヤードのコンテナ搬送機器用の無線通信方法は、
上記第4の発明に記載のコンテナヤードのコンテナ搬送機器用の無線通信方法において、
前記第1の走行路における各直線路には、指向性があり、互いに異なるチャンネルの無線電波を送受信する1対の平板型アンテナを設けると共に、
当該直線路を走行する前記コンテナ搬送機器に対して、互いに対向する方向を含む、互いに異なる方向から無線電波を送受信できるように、当該1対の平板型アンテナを配置し、
前記第2の走行路では、前記第2の走行路における前記コンテナ搬送機器の走行方向に沿って、漏洩同軸ケーブルからなり、当該漏洩同軸ケーブルの周囲で互いに異なるチャンネルの無線電波を送受信する2本の漏洩同軸型アンテナを延設し、
前記コンテナ搬送機器には、前記1対の平板型アンテナに各々対応する第1のアンテナを前記コンテナ搬送機器の前後に独立して設けると共に、前記2本の漏洩同軸型アンテナに各々対応する第2のアンテナを前記コンテナ搬送機器の前後に独立して設け、
前記第1の無線回線を、前記平板型アンテナの1つと対応する前記第1のアンテナの1つから構成し、前記第2の無線回線を、前記平板型アンテナの他の1つと対応する前記第1のアンテナの他の1つから構成し、前記第3の無線回線を、前記漏洩同軸型アンテナの1つと対応する前記第2のアンテナの1つから構成し、前記第4の無線回線を、前記漏洩同軸型アンテナの他の1つと対応する前記第2のアンテナの他の1つから構成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
第1の発明によれば、コンテナヤードの走行路に応じて、無線通信用の平板型アンテナと漏洩同軸型アンテナとを使い分けるので、コンテナ搬送機器の走行位置やコンテナの蔵置状態に依らず、電波状態が悪くなることを抑制して、通信速度が低下する確率を減らすことができ、コンテナヤード全体で、より安定した高速通信を行うことができる。その結果、安全車間時間を短くすることができ、コンテナ搬送機器の周回周期、つまり、コンテナの処理能力を向上させることができる。又、無線通信のチャンネル数を有効に利用することもできる。
【0017】
第2〜第5の発明によれば、コンテナヤードの走行路に応じて、無線通信用の平板型アンテナと漏洩同軸型アンテナとを使い分けると共に、無線通信の回線を二重化したので、コンテナ搬送機器の走行位置やコンテナの蔵置状態に依らず、電波状態が悪くなることを抑制して、通信速度が低下する確率を減らすと共に、故障時のバックアップを速やかに行うことができ、コンテナヤード全体で、より安定した高速通信を行うことができる。その結果、安全車間時間を短くすることができ、コンテナ搬送機器の周回周期、つまり、コンテナの処理能力を向上させることができる。又、無線通信のチャンネル数を有効に利用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るコンテナヤードのコンテナ搬送機器用の無線通信設備の一例を説明する上面図である。
【図2】図1に示したコンテナヤードにおけるコンテナ蔵置部を説明する上面図である。
【図3】図1に示したコンテナヤードの自動搬送台車を説明する図であり、(a)は、上面図、(b)は、側面図である。
【図4】本発明に係るコンテナヤードのコンテナ搬送機器用の無線通信設備の他の一例を説明する上面図である。
【図5】図4に示したコンテナヤードにおけるコンテナ蔵置部を説明する上面図である。
【図6】図4に示したコンテナヤードの自動搬送台車を説明する図であり、(a)は、上面図、(b)は、側面図である。
【図7】図4に示したコンテナヤードのコンテナ搬送機器用の無線通信設備における無線通信方法を説明する図である。
【図8】図4に示したコンテナヤードのコンテナ搬送機器用の無線通信設備の変形例を説明する上面図である。
【図9】一般的なコンテナターミナルのコンテナヤードを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係るコンテナヤードのコンテナ搬送機器用の無線通信設備及び無線通信方法について、図1〜図8を参照して、以下に詳細に説明を行う。なお、以下に示す実施例においては、コンテナ搬送機器であるAGVを例にとって説明を行うが、本発明は、コンテナ搬送機器であるRTGへも適用可能である。
【0020】
(実施例1)
図1〜図3を参照して、本発明に係るコンテナヤードのコンテナ搬送機器用の無線通信設備の一例を説明する。
【0021】
港湾のコンテナターミナル10には、多数のコンテナ20を一時的に貯蔵保管するためのコンテナヤード11と、コンテナターミナル10の岸壁に係留されたコンテナ船12に積載したコンテナ20を荷揚げしたり、コンテナ船12にコンテナ20を積み込んだりするためのGC14が設けられている。このGC14は、岸壁に沿って移動可能なものである。なお、GC14は、複数設けられているが、ここでは、図を簡略にするため、1つのみ図示している。
【0022】
コンテナヤード11は、コンテナ20を重ねて蔵置する領域として区画された複数のコンテナ蔵置部18と走行路19a〜19eから構成されている。走行路19a〜19dは、AGV15が自走して、コンテナ20を搬送する走行路であり、走行路19eは、RTG17が走行する走行路である。走行路19a〜19c(第1の走行路)は、複数のコンテナ蔵置部18の外周を囲うように設けられた複数の直線路からなり、その内側に、複数のコンテナ蔵置部18が互いに並行に配置されている。そして、走行路19d(第2の走行路)は、コンテナ蔵置部18同士の間に、コンテナ蔵置部18の長手方向に沿って各々配置されている。AGV15の走行路19a〜19dは、進行方向を一方向とすることにより、AGV15同士が対向して走行することなく、コンテナヤード11全体を周回できるようになっている(図1、図2中の実線矢印参照)。
【0023】
RTG17の走行路19eも、各コンテナ蔵置部18の長手方向に沿って配置されている。但し、RTG17が門型のクレーンであるため、走行路19eは、コンテナ蔵置部18及び走行路19dの両脇に、対になって配置されている。RTG17は、図2中に示す点線矢印の方向に、走行路19eを移動可能であり、AGV15が搬送してきたコンテナ20を吊り上げて、コンテナ蔵置部18の所望の位置に搬送して、載置している。又、RTG17は、他のコンテナ蔵置部18の走行路19eへ移動することも可能であり、その場合、AGV15に優先して走行することにより、AGV15側との衝突を回避している。
【0024】
AGV15及びRTG17は、バッテリー、モータ、ブレーキ、ステアリング等の走行に必要な機器を備えているものである。又、遠隔制御のため、位置情報取得用センサやカメラ等を備えると共に、管理棟13側の上位コンピュータ(遠隔制御装置)との通信を無線で行うための無線機器も有している。
【0025】
例えば、AGV15は、図3に示すように、機上無線機23と、この機上無線機23に接続された機上アンテナ25、27(第1のアンテナ、第2のアンテナ)を有している。この機上アンテナ25は、後述する平板型アンテナ21a〜21cに対応するものであり、又、機上アンテナ27は、後述する漏洩同軸型アンテナ22に対応するものである。なお、図3に示すAGV15は、コンテナ20を積載していない状態を示しているが、コンテナ20を積載する場合には、AGV15の積載部15aにコンテナ20を積載することになる。又、図中の白抜き矢印が、AGV15の進行方向であり、白抜き矢印がある方が、AGV15の前方側である。
【0026】
そして、これらの機上アンテナ25、27を介して、位置情報や映像情報を管理棟13側の上位コンピュータへ送信したり、管理棟13側の上位コンピュータからの指令を受信したりして、図示していない機器コンピュータの制御により、AGV15を遠隔走行させている。
【0027】
前述したように、AGV15は、その位置やコンテナ20の蔵置状態により、無線通信に使用する電波の反射や干渉の影響は避けられない。そこで、本実施例では、無線通信用のアンテナをコンテナヤード11の場所に応じて使い分けることで、無線通信に使用する電波の反射や干渉の影響を避けて、安定して高速通信を行えるようにしている。なお、無線通信には、所謂、無線LAN(Local Area Network)が使用されており、マイクロ波帯の電波を用い、デジタル化した信号により通信が行われている。
【0028】
本実施例では、図1に示すように、コンテナ20等の障害物が無く、見通しがよく、移動範囲が長い走行路19a〜19cでは、指向性のある無線電波を送受信する平板型アンテナ21a〜21cを設けている。
【0029】
例えば、走行路19aに対しては、AGV15の走行方向に向けて平板型アンテナ21aが配置されており、走行路19bに対しても、AGV15の走行方向に向けて平板型アンテナ21bが配置されており、走行路19cに対しても、AGV15の走行方向に向けて平板型アンテナ21cが配置されている。これは、AGV15における機上アンテナ25が台車後方側に設けられているからであり、機上アンテナ25が台車前方側に設けられている場合には、AGV15の走行方向の逆方向に向けて各平板型アンテナを設ければよい。
【0030】
一方、走行路19dに対しては、コンテナ蔵置部18に蔵置したコンテナ20が無線通信の障害となりえるので、アンテナとして、平板型アンテナではなく、漏洩同軸ケーブルからなり、当該漏洩同軸ケーブルの周囲で無線電波を送受信する漏洩同軸型アンテナ22が用いられており、走行路19dにおけるAGV15の走行方向に沿って、漏洩同軸型アンテナ22が延設されている。
【0031】
平板型アンテナ21a〜21cは、各々地上無線機(図示省略)に接続されており、平板型アンテナ21a〜21cで受信した無線通信は、各地上無線機を介して、光ファイバケーブル等の有線通信により、管理棟13側の上位コンピュータへ送信される。又、管理棟13側の上位コンピュータからの指令は、光ファイバケーブル等の有線通信により、各地上無線機へ送信され、各地上無線機により、平板型アンテナ21a〜21cを介して、無線通信として送信される。例えば、AGV15が走行路19aを走行しているときには、平板型アンテナ21aとAGV15の機上アンテナ25との間で無線通信を受信することになる。同様に、AGV15が走行路19bを走行しているときには、平板型アンテナ21bとAGV15の機上アンテナ25との間で無線通信を送受信することになる。同様に、AGV15が走行路19cを走行しているときには、平板型アンテナ21cとAGV15の機上アンテナ25との間で無線通信を送受信することになる。
【0032】
同様に、漏洩同軸型アンテナ22は、地上無線機34に接続されており、漏洩同軸型アンテナ22で受信した無線通信は、地上無線機34を介して、光ファイバケーブル等の有線通信により、管理棟13側の上位コンピュータへ送信される。又、管理棟13側の上位コンピュータからの指令は、光ファイバケーブル等の有線通信により、地上無線機34へ送信され、地上無線機34により、漏洩同軸型アンテナ22を介して、無線通信として送信される。例えば、AGV15が走行路19dを走行しているときには、漏洩同軸型アンテナ22とAGV15の機上アンテナ27との間で無線通信を送受信することになる。
【0033】
又、漏洩同軸型アンテナ22は、自動搬送台車15に設けた機上アンテナ27の位置に対応して配置されている。例えば、図3に示すように、自動搬送台車15の側面に機上アンテナ27を設けた場合には、機上アンテナ27に対応する高さ位置に漏洩同軸型アンテナ22を設ければよく、又、自動搬送台車15の底面に機上アンテナ27を設けた場合には、漏洩同軸型アンテナ22を走行路19dの地面上に敷設すればよい。
【0034】
又、図2に示した地上無線機34は、漏洩同軸型アンテナ22の一方の端部に接続されているが、漏洩同軸型アンテナ22から出力される電波強度は、他方の端部に行くに従って弱くなるので、漏洩同軸型アンテナ22の中心位置に地上無線機34を設けるようにして、漏洩同軸型アンテナ22の端部における電波強度をできるだけ弱くならないようにしてもよい。
【0035】
このように、コンテナヤード11の場所に応じて、無線通信用のアンテナを使い分けているので、平板型アンテナ21a〜21cと漏洩同軸型アンテナ22との間で、無線通信の干渉が起こることは考えられない。
【0036】
但し、走行路19a〜19cにおいて、平板型アンテナ21aと平板型アンテナ21b、平板型アンテナ21bと平板型アンテナ21cとの間で、無線通信の干渉が考えられる。従って、少なくとも、[平板型アンテナ21a、21c]と[平板型アンテナ21b]の2つに分類されるアンテナ群において、チャンネルが互い異なれば、無線通信の干渉を防止することができる。
【0037】
なお、漏洩同軸型アンテナ22からの電波強度は強くはないので、走行路19dにおいて、隣り合う漏洩同軸型アンテナ22同士で無線通信が干渉する可能性は小さい。しかしながら、念のため、隣り合う漏洩同軸型アンテナ22同士のチャンネルが異なれば、無線通信の干渉を確実に防止することができる。
【0038】
以上のことから、コンテナヤード11全体で、2チャンネル以上使用すれば、干渉を起こすことなく、安定して、無線通信を行うことができる。
【0039】
以上述べたように、コンテナヤード11の場所に応じて、無線通信用のアンテナを使い分けるので、AGV15の走行位置やコンテナ20の蔵置状態に依らず、電波状態が悪くなることを抑制して、通信速度が低下する確率を減らすことができ、コンテナヤード11全体で、より安定した高速通信を行うことができる。その結果、AGV15同士が衝突しないように確保する安全車間時間(=安全車間距離)を、例えば、従来は3秒程度だったものを、0.1〜0.2秒程度と1桁短くすることができ、AGV15の周回周期、つまり、コンテナの処理能力を向上させることができる。
【0040】
加えて、コンテナヤード11の場所に応じて、無線通信用のアンテナを使い分けるので、限りがある無線通信のチャンネル数を有効に利用することができる。
【0041】
(実施例2)
図4〜図7を参照して、本発明に係るコンテナヤードのコンテナ搬送機器用の無線通信設備の他の一例及び無線通信方法を説明する。なお、図4〜図7において、実施例1(図1〜図3)に示したものと同等の構成については、同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
【0042】
本実施例は、実施例1をベースに無線通信の系統を二重化したものである。
具体的には、図4に示すように、コンテナ20等の障害物が無く、見通しがよく、移動範囲が長い走行路19a〜19cでは、各々の走行路19a〜19cに対応して、指向性があり、互いに異なるチャンネルの無線電波を送受信する1対の平板型アンテナを設けており、該当する走行路を走行するAGV15に対して、互いに異なる方向(ここでは、対向する方向)から無線電波を送受信できるように、該当する走行路の側端に互いに対向して各平板型アンテナを配置している。
例えば、走行路19aに対しては、走行路19aにおけるAGV15の走行方向及び当該走行方向の逆方向に向けて、互いに対向するように配置された1対の平板型アンテナ21a、21dが設けられており、走行路19bに対しても、走行路19bにおけるAGV15の走行方向及び当該走行方向の逆方向に向けて、互いに対向するように配置された1対の平板型アンテナ21b、21eが設けられており、走行路19cに対しても、走行路19cにおけるAGV15の走行方向及び当該走行方向の逆方向に向けて、互いに対向するように配置された1対の平板型アンテナ21c、21fが設けられている。
【0043】
対となる平板型アンテナ同士は、互いに独立した通信回線に属しており、各々異なる地上無線機に接続され、更に、互いに干渉しないチャンネルが使用されている。従って、対向配置していても、互いの無線通信が干渉することはない。例えば、後述の図7を参照すると、平板型アンテナ21aは、通信回線S1に属し、地上無線機32へ接続されており、一方、平板型アンテナ21dは、通信回線S2に属し、地上無線機33へ接続されており、各々独立して、管理棟13側の上位コンピュータ30(遠隔制御装置)と接続されている。このような構成とすることにより、走行路19a〜19cに対応する無線通信を二重化している。
【0044】
又、走行路19dに対しても、漏洩同軸ケーブルからなり、当該漏洩同軸ケーブルの周囲で互いに異なるチャンネルの無線電波を送受信する2本の漏洩同軸型アンテナ22a、22bが、走行路19dにおけるAGV15の走行方向に沿って、並列に延設されている。これらの漏洩同軸型アンテナ22a、22bは、互いに独立した通信回線に属しており、各々異なる地上無線機に接続され、更に、互いに干渉しないチャンネルが使用されている。従って、並列に配置していても、互いの無線通信が干渉することはない。例えば、後述の図7を参照すると、漏洩同軸型アンテナ22aは、通信回線S1に属し、地上無線機34へ接続されており、一方、漏洩同軸型アンテナ22bは、通信回線S2に属し、地上無線機35へ接続されており、各々独立して、管理棟13側の上位コンピュータ30と接続されている。このような構成とすることにより、走行路19dに対応する無線通信を二重化している。
【0045】
上記構成に対応して、AGV15側の無線通信の系統も二重化している。具体的には、図6に示すように、台車後方側に、機上無線機23と、この機上無線機23に接続された機上アンテナ25、27(第1のアンテナ、第2のアンテナ)を設けると共に、台車前方側に、機上無線機24と、この機上無線機24に接続された機上アンテナ26、28(第1のアンテナ、第2のアンテナ)を、機上アンテナ25、27とは独立して設けている。機上アンテナ25、26は、平板型アンテナ21a〜21fに対応しており、機上アンテナ27、28は、漏洩同軸型アンテナ22a、22bに対応している。
【0046】
なお、漏洩同軸型アンテナ22a、22bは、実施例1と同様に、自動搬送台車15に設けた機上アンテナ27、28の位置に対応して配置すればよい。又、地上無線機34、35も、実施例1と同様に、漏洩同軸型アンテナ22a、22bの中心位置に各々設けるようにしてもよいし、更には、漏洩同軸型アンテナ22a、22bにおいて、互いに異なる端部に地上無線機34、35を設けるようにしてもよい。
【0047】
このように、コンテナヤード11の場所に応じて、無線通信用のアンテナを使い分けているので、平板型アンテナ21a〜21fと漏洩同軸型アンテナ22a、22bとの間で、無線通信の干渉が起こることは考えられない。
【0048】
但し、走行路19a〜19cにおいて、平板型アンテナ21aと平板型アンテナ21b、平板型アンテナ21aと平板型アンテナ21d、平板型アンテナ21aと平板型アンテナ21e、平板型アンテナ21bと平板型アンテナ21d、平板型アンテナ21bと平板型アンテナ21c、平板型アンテナ21bと平板型アンテナ21e、平板型アンテナ21dと平板型アンテナ21e、平板型アンテナ21cと平板型アンテナ21e、平板型アンテナ21cと平板型アンテナ21fとの間で、無線通信の干渉が考えられる。従って、少なくとも、[平板型アンテナ21a、21f]と[平板型アンテナ21c、21d]と[平板型アンテナ21b]と[平板型アンテナ21e]の4つに分類されるアンテナ群において、チャンネルが互いに異なれば、無線通信の干渉を防止することができる。
【0049】
なお、漏洩同軸型アンテナ22a、22bからの電波強度は強くはないので、走行路19dにおいて、漏洩同軸型アンテナ22a、22bの組の隣り合う組同士で無線通信が干渉する可能性は小さい。しかしながら、漏洩同軸型アンテナ22a、22b同士は、無線通信の干渉が考えられる。従って、少なくとも、漏洩同軸型アンテナ22a、22b同士のチャンネルが互いに異なれば、無線通信の干渉を防止することができ、念のため、漏洩同軸型アンテナ22a、22bの組の隣り合う組同士のチャンネルも異なれば、無線通信の干渉を確実に防止することができる。つまり、漏洩同軸型アンテナ22a、22b同士、且つ、漏洩同軸型アンテナ22a、22bの組の隣り合う組同士のチャンネルが互いに異なれば、無線通信の干渉を確実に防止することができる。
【0050】
以上のことから、コンテナヤード11全体で、4チャンネル以上使用すれば、干渉を起こすことなく、安定して、無線通信を行うことができる。なお、コンテナヤード11の配置の関係により、平板型アンテナ21a〜21fと漏洩同軸型アンテナ22a、22bとの間において干渉が起こるおそれがある場合には、平板型アンテナ21a〜21fと漏洩同軸型アンテナ22a、22bとの間で、互いにチャンネルが異なればよいので、コンテナヤード11全体で、6チャンネル以上使用すれば、干渉を起こすことなく、安定して、無線通信を行うことができる。
【0051】
ここで、無線通信の系統を二重化した本実施例の無線通信設備における無線通信方法を、図7を参照して説明する。
【0052】
管理棟13には、コンテナヤード11を走行する全てのAGV15、RTG17を遠隔制御する上位コンピュータ30が設置されている。上位コンピュータ30は、AGV15、RTG17の位置や動作状態に応じて、AGV15、RTG17へ適宜指令を送信することにより、AGV15、RTG17を遠隔制御している。
【0053】
そして、本実施例における無線通信設備においては、上述したように、無線通信の系統が二重化されることにより、各々独立する通信回線S1、S2を備えている。上位コンピュータ30からの通信は、同時に、並行して、通信回線S1、S2に送信される。
【0054】
例えば、通信M1〜M7を上位コンピュータ30から送信した場合には、通信回線S1においては、地上無線機32及び平板型アンテナ21a、又は、地上無線機34及び漏洩同軸型アンテナ22aを介して、AGV15側へ送信され、AGV15の位置に応じて、AGV15の機上アンテナ25又は機上アンテナ27のいずれか一方で受信され、機上無線機23を介して、AGV15の機器コンピュータ31へ送信される。
【0055】
同時に、通信回線S2においては、地上無線機33及び平板型アンテナ21d、又は、地上無線機35及び漏洩同軸型アンテナ22bを介して、AGV15側へ送信され、AGV15の位置に応じて、AGV15の機上アンテナ26又は機上アンテナ28のいずれか一方で受信され、機上無線機24を介して、AGV15の機器コンピュータ31へ送信される。
【0056】
具体的には、AGV15が走行路19aを走行しているときには、通信回線S1では、平板型アンテナ21aとAGV15の機上アンテナ25との間の無線回線(第1の無線回線)が構築され、通信回線S2では、平板型アンテナ21dとAGV15の機上アンテナ26との間の無線回線(第2の無線回線)が構築されて、これらの無線回線両方を用いて、上位コンピュータ30との無線通信を行うことになる。
【0057】
同様に、AGV15が走行路19bを走行しているときには、通信回線S1では、平板型アンテナ21bとAGV15の機上アンテナ25との間の無線回線(第1の無線回線)が構築され、通信回線S2では、平板型アンテナ21eとAGV15の機上アンテナ26との間の無線回線(第2の無線回線)が構築されて、これらの無線回線両方を用いて、上位コンピュータ30との無線通信を行うことになる。
【0058】
同様に、AGV15が走行路19cを走行しているときには、通信回線S1では、平板型アンテナ21cとAGV15の機上アンテナ25との間の無線回線(第1の無線回線)が構築され、通信回線S2では、平板型アンテナ21fとAGV15の機上アンテナ26との間の無線回線(第2の無線回線)が構築されて、これらの無線回線両方を用いて、上位コンピュータ30との無線通信を行うことになる。
【0059】
一方、AGV15が走行路19dを走行しているときには、通信回線S1では、漏洩同軸型アンテナ22aとAGV15の機上アンテナ27との間の無線回線(第3の無線回線)が構築され、通信回線S2では、漏洩同軸型アンテナ22bとAGV15の機上アンテナ28との間の無線回線(第4の無線回線)が構築されて、これらの無線回線両方を用いて、上位コンピュータ30との無線通信を行うことになる。
【0060】
そして、機器コンピュータ31においては、先に受信した通信を採用し、後に受信した通信は破棄している。これを具体的に説明する。通信には順に番号が付されて送信されているが、1番目の通信M1が通信回線S1、S2に同時に送信されると、機器コンピュータ31では、1番目の通信M1を通信回線S1、S2各々から受信、つまり、同じ1番目の通信M1を2回受信することになる。但し、1番目の通信M1を受信するタイミングは全く同時であることはないため、図7に示すように、先に受信した通信回線S1からの1番目の通信M1を採用し、後に受信した通信回線S2からの1番目の通信M1は破棄している。これを、通信番号毎に行うことにより、上位コンピュータ30からの通信M1〜M7を、高速かつ安定して受信可能となる。
【0061】
電波状態が悪い場合には、通信速度が遅くなるため、先に受信した通信を選択することは、より通信速度が早い、安定した通信回線を選択する意味も持つ。又、一方の通信回線に故障等の不具合がある場合には、他方の通信回線は、そのバックアップとして機能することになる。更には、AGV15の機上アンテナ25、26は、通常時には、平板型アンテナ21a〜21fとの無線通信に使用しているが、非常時には、前方にいるAGV15の機上アンテナ25と後方にいるAGV15の機上アンテナ26同士で無線通信を行うことにより、車−車間無線通信として用いてもよい。
【0062】
なお、図7では、上位コンピュータ30から機器コンピュータ31への無線通信のみ図示しているが、機器コンピュータ31から上位コンピュータ30への無線通信も、同様のことを行っており、機器コンピュータ31から通信回線S1、S2に同時に送信された通信も、上位コンピュータ30では、先に受信した通信を採用し、後に受信した通信は破棄している。
【0063】
上記無線通信を行うことにより、位置情報や走行制御情報等の送受信が高速かつ確実に行わることになり、AGV15は、管理棟13の上位コンピュータ30からの指令に基づいて、遠隔制御されて、コンテナ20が、コンテナ蔵置部18〜GC14の間を無人で搬送されることになる。
【0064】
このように、コンテナヤード11の場所に応じて、無線通信用のアンテナを使い分けると共に、無線通信の回線を二重化したので、AGV15の走行位置やコンテナ20の蔵置状態に依らず、電波状態が悪くなることを抑制して、通信速度が低下する確率を減らすと共に、故障時のバックアップを速やかに行うことができ、コンテナヤード11全体で、より安定した高速通信を行うことができる。その結果、AGV15同士が衝突しないように確保する安全車間時間を短くすることができ、AGV15の周回周期、つまり、コンテナの処理能力を向上させることができる。
【0065】
加えて、コンテナヤード11の場所に応じて、無線通信用のアンテナを使い分けるので、限りがある無線通信のチャンネル数を有効に利用することができる。
【0066】
なお、実施例2で示した図4においては、各走行路19a〜19cに対して、各々1対の平板型アンテナ(平板型アンテナ21a〜21f)を、該当する走行路の側端に互いに対向して配置しているが、場合によっては、平板型アンテナを対向配置できないこともありうる。そのような場合には、各走行路19a〜19cの同じ側端の方に1対の平板型アンテナを配置すると共に、各走行路19a〜19cを走行するAGV15に対して、互いに異なる方向から無線電波を送受信できるように、1対の平板型アンテナを配置すればよい。
例えば、図8に示すように、平板型アンテナ21a、21dを、走行路19aの同じ側端の方(図中上側)に互いに距離を置いて配置すると共に、AGV15に対して、互いに異なる方向から無線電波を送受信できるように配置している。同様に、平板型アンテナ21b、21eを、走行路19bの同じ側端の方(図中左側)に互いに距離を置いて配置すると共に、AGV15に対して、互いに異なる方向から無線電波を送受信できるように配置しており、又、平板型アンテナ21c、21fを、走行路19cの同じ側端の方(図中上側)に互いに距離を置いて配置すると共に、AGV15に対して、互いに異なる方向から無線電波を送受信できるように配置している。
このような場合でも、1対の平板型アンテナがカバーする無線の範囲は、同じ領域(走行路)となるようにしなければならないので、各走行路の長手方向に対する各平板型アンテナの指向角度は、浅い角度(鋭角)にすることが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、多数のコンテナを蔵置するコンテナヤードに好適なものであり、港湾のコンテナターミナルの施設等に適用可能である。
【符号の説明】
【0068】
10 コンテナコンビナート
11 コンテナヤード
12 コンテナ船
13 管理棟
14 GC(ガントリークレーン)
15 AGV(自動搬送台車)
17 RTG(タイヤ式ガントリークレーン)
18 コンテナ蔵置部
19a〜19e 走行路
20 コンテナ
21a〜21f 平板型アンテナ
21a’〜21f’ 平板型アンテナ
22、22a、22b 漏洩同軸型アンテナ
23、24 機上無線機
25、26、27、28 機上アンテナ
30 上位コンピュータ
31 機上コンピュータ
32、33、34、35 地上無線機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナを蔵置する領域として区画された複数のコンテナ蔵置部と、前記複数のコンテナ蔵置部の外周を囲うように設けられた複数の直線路からなる第1の走行路と、前記コンテナ蔵置部同士の間に各々設けられた第2の走行路とを有するコンテナヤードに設けられ、前記第1の走行路及び前記第2の走行路を自走して、前記コンテナを搬送するコンテナ搬送機器と、前記コンテナ搬送機器を遠隔制御する遠隔制御装置との通信を無線で行うコンテナヤードのコンテナ搬送機器用の無線通信設備において、
前記第1の走行路における各直線路には、当該直線路における前記コンテナ搬送機器の走行方向又は当該走行方向の逆方向に向けて、指向性のある無線電波を送受信する平板型アンテナを配置し、
前記第2の走行路では、前記第2の走行路における前記コンテナ搬送機器の走行方向に沿って、漏洩同軸ケーブルからなり、当該漏洩同軸ケーブルの周囲で無線電波を送受信する漏洩同軸型アンテナを延設し、
前記コンテナ搬送機器には、前記平板型アンテナに対応する第1のアンテナと前記漏洩同軸型アンテナに対応する第2のアンテナとを設け、
前記コンテナ搬送機器が前記第1の走行路を走行しているときは、前記平板型アンテナと前記第1のアンテナとを用いて、前記遠隔制御装置との無線通信を行うと共に、前記コンテナ搬送機器が前記第2の走行路を走行しているときは、前記漏洩同軸型アンテナと前記第2のアンテナとを用いて、前記遠隔制御装置との無線通信を行うようにしたことを特徴とするコンテナヤードのコンテナ搬送機器用の無線通信設備。
【請求項2】
コンテナを蔵置する領域として区画された複数のコンテナ蔵置部と、前記複数のコンテナ蔵置部の外周を囲うように設けられた複数の直線路からなる第1の走行路と、前記コンテナ蔵置部同士の間に各々設けられた第2の走行路とを有するコンテナヤードに設けられ、前記第1の走行路及び前記第2の走行路を自走して、前記コンテナを搬送するコンテナ搬送機器と、前記コンテナ搬送機器を遠隔制御する遠隔制御装置との通信を無線で行うコンテナヤードのコンテナ搬送機器用の無線通信設備において、
前記第1の走行路における各直線路には、指向性があり、互いに異なるチャンネルの無線電波を送受信する1対の平板型アンテナを設けると共に、当該直線路を走行する前記コンテナ搬送機器に対して、互いに対向する方向を含む、互いに異なる方向から無線電波を送受信できるように、当該1対の平板型アンテナを配置し、
前記第2の走行路では、前記第2の走行路における前記コンテナ搬送機器の走行方向に沿って、漏洩同軸ケーブルからなり、当該漏洩同軸ケーブルの周囲で互いに異なるチャンネルの無線電波を送受信する2本の漏洩同軸型アンテナを延設し、
前記コンテナ搬送機器には、前記1対の平板型アンテナに各々対応する第1のアンテナを前記コンテナ搬送機器の前後に独立して設けると共に、前記2本の漏洩同軸型アンテナに各々対応する第2のアンテナを前記コンテナ搬送機器の前後に独立して設け、
前記第1の走行路において、前記平板型アンテナの1つと対応する前記第1のアンテナの1つからなる第1の無線回線と、前記平板型アンテナの他の1つと対応する前記第1のアンテナの他の1つからなる第2の無線回線とを構築すると共に、前記第2の走行路において、前記漏洩同軸型アンテナの1つと対応する前記第2のアンテナの1つからなる第3の無線回線と、前記漏洩同軸型アンテナの他の1つと対応する前記第2のアンテナの他の1つからなる第4の無線回線とを構築し、
前記コンテナ搬送機器が前記第1の走行路を走行しているときは、前記第1の無線回線及び前記第2の無線回線の両方を用いて、前記遠隔制御装置との無線通信を行うと共に、前記コンテナ搬送機器が前記第2の走行路を走行しているときは、前記第3の無線回線及び前記第4の無線回線の両方を用いて、前記遠隔制御装置との無線通信を行うようにしたことを特徴とするコンテナヤードのコンテナ搬送機器用の無線通信設備。
【請求項3】
請求項2に記載のコンテナヤードのコンテナ搬送機器用の無線通信設備において、
前記コンテナ搬送機器及び前記遠隔制御装置は、同じ通信内容を受信した場合、先に受信した通信を採用し、後に受信した通信は破棄するようにしたことを特徴とするコンテナヤードのコンテナ搬送機器用の無線通信設備。
【請求項4】
コンテナを蔵置する領域として区画された複数のコンテナ蔵置部と、前記複数のコンテナ蔵置部の外周を囲うように設けられた複数の直線路からなる第1の走行路と、前記コンテナ蔵置部同士の間に各々設けられた第2の走行路とを有するコンテナヤードにおいて、前記第1の走行路及び前記第2の走行路を自走して、前記コンテナを搬送するコンテナ搬送機器と、前記コンテナ搬送機器を遠隔制御する遠隔制御装置との通信を無線で行うコンテナヤードのコンテナ搬送機器用の無線通信方法であって、
前記第1の走行路において、互いに独立する第1の無線回線と第2の無線回線とを構築すると共に、前記第2の走行路において、互いに独立する第3の無線回線と第4の無線回線とを構築し、
前記コンテナ搬送機器が前記第1の走行路を走行しているときは、前記第1の無線回線及び前記第2の無線回線の両方を用いて、前記遠隔制御装置との無線通信を行うと共に、前記コンテナ搬送機器が前記第2の走行路を走行しているときは、前記第3の無線回線及び前記第4の無線回線の両方を用いて、前記遠隔制御装置との無線通信を行い、
前記コンテナ搬送機器及び前記遠隔制御装置では、同じ通信内容を受信した場合、先に受信した通信を採用し、後に受信した通信は破棄することを特徴とするコンテナヤードのコンテナ搬送機器用の無線通信方法。
【請求項5】
請求項4に記載のコンテナヤードのコンテナ搬送機器用の無線通信方法において、
前記第1の走行路における各直線路には、指向性があり、互いに異なるチャンネルの無線電波を送受信する1対の平板型アンテナを設けると共に、当該直線路を走行する前記コンテナ搬送機器に対して、互いに対向する方向を含む、互いに異なる方向から無線電波を送受信できるように、当該1対の平板型アンテナを配置し、
前記第2の走行路では、前記第2の走行路における前記コンテナ搬送機器の走行方向に沿って、漏洩同軸ケーブルからなり、当該漏洩同軸ケーブルの周囲で互いに異なるチャンネルの無線電波を送受信する2本の漏洩同軸型アンテナを延設し、
前記コンテナ搬送機器には、前記1対の平板型アンテナに各々対応する第1のアンテナを前記コンテナ搬送機器の前後に独立して設けると共に、前記2本の漏洩同軸型アンテナに各々対応する第2のアンテナを前記コンテナ搬送機器の前後に独立して設け、
前記第1の無線回線を、前記平板型アンテナの1つと対応する前記第1のアンテナの1つから構成し、前記第2の無線回線を、前記平板型アンテナの他の1つと対応する前記第1のアンテナの他の1つから構成し、前記第3の無線回線を、前記漏洩同軸型アンテナの1つと対応する前記第2のアンテナの1つから構成し、前記第4の無線回線を、前記漏洩同軸型アンテナの他の1つと対応する前記第2のアンテナの他の1つから構成することを特徴とするコンテナヤードのコンテナ搬送機器用の無線通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−189128(P2010−189128A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−34710(P2009−34710)
【出願日】平成21年2月18日(2009.2.18)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)