説明

コンテナーの内装バッグ

【課題】シート素材によって形成されるコンテナー用の内装バッグの使用時における剛性を高め、コンテナーに対する装着状態の安定化を図ると共に装着の作業性を改善した内装バッグを提供する。
【解決手段】バッグ主体2を構成するシート素材からなる前後の面部、上下の面部及び左右の側面部の6面部によって直方体形に形成される内装バッグ1のバッグ主体部2の少なくとも前記上面部の左右の縁部6a、6bに素材のシートを折り重ねて肉厚補強縁部10を縁に沿って形成し、該肉厚補強縁部10により前記バッグ主体部2に剛性を付与して前記上面部乃至左右の側面部の弛みの発生を回避し、使用時の展開において皺の発生、シートの引きつれのない安定した直方体形をなす立体的な展開を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汎用型の貨物のコンテナーを穀物輸送等に使用する場合に装着するコンテナーの内装バッグに関する。
【背景技術】
【0002】
汎用型のコンテナーを利用して穀物等の粒状乃至粉状をなす貨物を輸送することは従来から広く知られている。
このコンテナー用の内装バッグは、汎用型のコンテナー(以下、単に「コンテナー」と言う。)を使って穀物等を輸送する場合の不可欠な備品であり、この内装バッグをコンテナーの内部に吊設し、内壁面の全面に亘って張り巡らすことによって穀物類を直接コンテナーに投入し、その積み込みを可能にしている。
【0003】
通常、この内装バッグは、後部に開閉扉を備えたコンテナーの直方体形をなす形状に合せて、略同一の直方体形の袋状に形成してあり、使用時にはコンテナーの内部に持ち込んでコンテナーの内部の隅角部等に備える係止環を使って掛け止め、上下、左右及び前後の各面部をコンテナーの内部のそれぞれの面に添わせて内側からコンテナーの内壁面を被うようにして、この装着作業(セット作業)を終えた後、バッグの後面部分に開設する投入口から貨物となる穀物類を投入し、これが満杯となったところでコンテナー後部の開閉扉を閉じて積み込み作業を終了するようにしている。
【0004】
この内装バッグは、布製のシートを素材にして上述したように直方体形の大型の袋に形成され、使用されるまでの間は折り畳んでコンパクトに纏め、保管される。
そして、実際に使用する場合は、コンテナーの内部に持ち込んだのち、バッグの前端側から順に折り畳みを解きながら広げ、バッグの適所に設ける吊りフックや吊り紐を使ってコンテナーに予め備える前記係止環に掛け止め、或は結び付けてコンテナーの内壁面に添って立体的に広げ、その装着作業を行う様にしている。
【0005】
従来、例えばこの種のコンテナーの内装バッグとしては、次に掲げる、例えば特許文献1、或は2の様なものが知られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平06−2510号公報。
【特許文献2】特公平06−10021号公報。
【0007】
特許文献1に記載の発明は、バッグ主体10の上部隅部に設ける掛け紐11をコンテナー1の内部隅角部に設けるフックに係止することで、また特許文献2に記載の発明では、バッグ主体10の上面部10cの四隅角部に止着する吊り紐13の先端に設けるフック23をコンテナー11のコーナー部に備える係止部に掛け止めることによってそれぞれバッグ主体をコンテナーに装着することができるものとしている。
言うまでもなく、ここでの作業は、折り畳まれた内装バッグを広げる作業と、このバッグに取付けられた掛け紐、吊り紐をコンテナーに備えた係止部に掛け止める作業によって行われるもので、従ってその作業はどちらかと言えば容易なものであり、また簡単に装着することができるものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記従来の内装バッグは、ポリエステル等の合成繊維製のシートを素材にして成形し、製造されるものであることから、その素材の柔軟性から容易に折り畳むことができると同時に、使用時にはこれを簡単に開いてコンテナーの内部で立体的に広げることができる利点がある反面、コンテナーに前記掛け止めを通してセットしたとき、シートを素材にした単なる大型の袋であることから、コンテナーの係止部に吊り紐等を介して直接掛け止めた部分については、これを一定位置に固定することができるものの、他の大部分、つまり吊り具から離れた部分については弛みが発生して垂れ下り、これによって位置移動が自由になることからバッグ全体の各部に皺を作る問題があった。
【0009】
また、この様にコンテナーに直接掛け止めた一部についてのみ固定されて、その他の部分についてはシートの柔軟性やバッグの寸法の余裕等からある程度の範囲で自由に動けるものとなったとき、コンテナーに対してバッグ全体を一定位置に固定することができないと言った問題がある。
【0010】
この様な事情のある中で、近時行われている穀物類の積み込み作業は、コンテナー内に内装バッグを装着したのち、コンテナーの後部を持ち上げて傾斜を付け、この状態においてバッグ後面部の投入口から一気に穀物を投入する方法が採られるに至っている。このため、上記の様にコンテナーを傾けると、この傾きによって装着した内装バッグがその弛みによって位置ずれを起すことがあり、またその後、投入される穀物の重量を受けることによってバッグが歪み、これを原因にして破損することがあったり、或は吊り紐によって固定された部分に過荷重が作用してこれが破断し、更には装着状態が破壊されると言った事態が発生する問題がある。
【0011】
また、コンテナーに対する内装バッグの装着状態の不安定性は、コンテナーの傾きによって、或は貨物の投入圧力によって位置移動を起してバッグの破損や装着状態の不完全性を誘導することになると同時に、破損に至らないまでも引きつれを起してシート面に皺を作り、この皺の中に穀物を貯めて荷降しの際にコンテナーを逆に傾けて後部開口部から放出する際に、穀物の滑り出しの妨げとなって作業を滞らせ、またコンテナー内に穀物を残留させると言ったことになり、損失を発生させる問題がある。
【0012】
本発明は、この様な点に鑑み、その改善を目的として開発されたものである。ことに、その主たる目的は、職編製したシートを素材にして作られる内装バッグに対して所要の剛性を付与し、使用に当ってコンテナーの内部で袋状に展開したとき、バッグ自体に自立性を持たせると同時に型崩れしない状態での装着を可能にし、またこれによってコンテナーとの一体性を図って装着状態における取付位置の位置移動を抑制し、貨物の積み込み時における吊り紐の取付部所に対する無用な負荷等を排除してバッグを破損等から有効に保護するようにした改善されたコンテナーの内装バッグを提供しようとするものである。
【0013】
また、本発明は、内装バッグ自体に剛性を付与することによって、バッグを構成する各面部、ことに底面部を中心にして貨物である穀物を直接受けることになる左右の側面部、そして後面部について引きつれによって生ずる皺の発生を防ぎ、荷降し時の貨物の放出の妨げとなったり、皺の間に貨物が残留するのを有効に回避するようにした内装バッグを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上述の目的を達成するため、シートを素材にしてコンテナーの内部形状に適合した直方体形の袋に形成される内装バッグにおいて、このバッグ主体部を構成する上面部、更には下面部の左右側縁部に沿って肉厚な補強縁部を形成し、この肉厚補強縁部によってバッグ主体部に剛性を付与し、使用時には立体的に展開して袋状に広げたとき、自立性を持たせてコンテナー内部に対して一体性を図ると同時に、各面部の緊張を図ってシート面に皺の発生を防止し、貨物となる穀物等の侵入、滞留を阻止するようにしたことにある。
【0015】
更に詳述すれば、本発明はコンテナーの内部形状に適合した直方体形をなすバッグ主体部をシート素材による上下の面部、左右の側面部、前後の面部の6面部によって形成するようにしたコンテナーの内装バッグにおいて、前記6面部の少なくとも上面部の左右の縁部にその長さ方向に沿って該上面部のシート素材の肉厚より大となる肉厚補強縁部を形成することを特徴としたコンテナーの内装バッグを提供することにある(請求項1に記載の発明)。
【0016】
この発明によると、シート素材によって直方体形をなす袋状に形成されるバッグ主体部の上面部の左右の縁部に沿って肉厚の補強縁部が形成されることから、使用においてコンテナーの内部で広げられたとき、上面部の左右の縁部に沿って形成された肉厚補強縁部が一つの骨格部となって上面部の偏平な広がりを助けることになり、またこれに伴ってこれら左右の縁部から垂れる状態となって広げられる左右の側面部が上記肉厚補強縁部によって支えられ、その各上縁部を一線状に揃えて部分的な垂れ下りを防止するため、シート面、つまり左右の側面部自体に弛みから生じる皺の発生を始めとする歪み、引きつれを自動的に抑制することになる。
【0017】
従って、コンテナー内部に本発明内装バッグを吊設するとき、上面部の左右の縁部に設ける肉厚補強縁部を基準にして簡単に広げることができると共に、複数箇所で吊り紐等の連結手段を以てコンテナーに吊設支持した場合に、吊設する支持位置相互の間に肉厚補強縁部が渡ることから左右側面部の部分的な垂れ下りが防止され、この結果設計時の直方体形の姿で展開することになり、コンテナーの内壁面に添って安定した状態で装着されることになる。
【0018】
この様にコンテナーの内壁面に添って安定して内装バッグが装着されると、貨物の投入時に位置移動が抑えられ、歪みの発生が回避されることから引きつれによるバッグの破損や荷降し時の貨物の滞留等が自動的に解消され、作業の迅速性や貨物運搬の安全性等が確保されることになる。
【0019】
また、本発明は、前記肉厚補強縁部は上面部の左右の縁部、並びに下面部の左右の縁部に沿って形成することを特徴としたコンテナーの内装バッグを提供することにある(請求項2に記載の発明)。
【0020】
この発明によると、肉厚補強縁部がバッグ主体部の上面部のみならずコンテナーの床面と接する下面部の左右の縁部にも形成されることから左右の側面部は更に安定してコンテナーの左右の内壁面に添うことになり、更には皺の発生し易い下面部がその左右の縁部の肉厚補強縁部による剛性によって緊張することから皺の発生が抑制され、フラットな状態を作って貨物の滞留を未然に解消することになる。
【0021】
尚、本発明に係る全ての内装バッグは、バッグ主体部の上面部、更には下面部の左右の縁部に沿って形成する肉厚補強縁部は、バッグ主体部を形成するシート素材を複数に折り畳み重ね合せにすると共に、この重り状態に接合方法等を通して固定することによってその主体部分を形成するものであり、従って、シート素材を以てバッグ主体部を形成する作業に併せて一体に形成することができるものとなる。
【0022】
また、本発明は、前記上面部の左右の縁部及び或は下面部の左右の縁部に沿って形成される肉厚補強縁部は、各縁部から外に向けて張り出す帯状の肉厚片であることを特徴としたコンテナーの内装バッグを提供することにある(請求項3に記載の発明)。
【0023】
この発明によると、肉厚補強縁部が上面部の左右の縁部、或は更に下面部の左右の縁部の全長に亘って形成される肉厚補強縁部がこれら縁部の外に向けて張り出す構造とすることによって成形が容易になり、作業性が向上すると共に、肉厚補強縁部自体の形状を任意に設計することができることになる。
つまり、大型であるバッグの成形に当って、この肉厚補強縁部が外に突き出た状態にあることはバッグの外側で成形作業ができることであり、作業そのものが容易になる。そして、同時にこの作業空間が確保されることは求める形状の肉厚補強縁部の成形を可能にすることからその設計の自由度を広げることになる。
【0024】
また、本発明は前記肉厚補強縁部は、バッグ主体部を形成する面部のシート素材の一部を手繰り出し、且つこれを折り重ねて所要厚さに接合することによって形成することを特徴としたコンテナーの内装バッグを提供することにある(請求項4に記載の発明)。
【0025】
この発明によると、肉厚補強縁部がバッグ主体部の一部となることに加えて、素材がバッグ主体部を形成するシート素材そのものからなるため一体性が高く、また他から別素材を調達する必要がなくなることから製造製を高めることができる。しかも、バッグ主体部の一部を折り重ねて一体に接合する構造を採ることから、防水性を阻害されることもなく信頼性の高い製品を提供することができる。
【0026】
また、本発明は、前記肉厚補強縁部は上面部の左右の縁部にあっては上面部の左右の縁部と左右側面部の各上縁部との、また下面部の左右の縁部にあっては下面部の左右の縁部と左右側面部の各下縁部との各端縁を外方向に向けて接面状に揃え、且つ該接面部分を折り返して二重重ね状態にして一体に接合することにより形成することを特徴としたコンテナーの内装バッグを提供することにある(請求項5に記載の発明)。
【0027】
本発明によると、肉厚補強縁部が上下の面部において左右の側面部のそれぞれの縁部との衝き合せと、この衝き合せる縁部同士を折り重ねて接面させ、更にこの接面させた状態において一体に接合することによって形成できるものとしているもので、結局本発明における肉厚補強縁部はバッグ主体部を形成するシート素材を利用すると同時に、各面部の接合を通して形成できるものとしていることから効率的に製造できるものとなっている。
【0028】
また、本発明は、前記肉厚補強縁部は端縁部に沿って膨径補強部を一体に形成することを特徴としたコンテナーの内装バッグを提供することにある(請求項6に記載の発明)。
【0029】
この発明によると、肉厚補強縁部に沿って膨径補強部が形成されることによって肉厚補強縁部の強度並びに剛性が高められることになり、バッグ主体部を広げたときその展開状態における立体形状を更に安定化させることになる。
【0030】
また、本発明は、前記膨径補強部は肉厚補強縁部に紐状芯材を埋設することによって形成することを特徴としたコンテナーの内装バッグを提供することにある(請求項7に記載の発明)。
【0031】
この発明によると、膨径補強部が紐状の芯材を埋設することで簡単に形成されることになる。ことに、肉厚補強縁部は前述したようにシート素材を折り重ね重合させることを通して形成されることから上記芯材の埋設はこの折り重ねの間に閉じ込めれば容易に形成することができ、特段の手間を要することなく肉厚補強縁部に沿って膨径補強部を設けることができる。
【0032】
また、本発明は、前記膨径補強部に止め具の取付用スライダーを摺動自由に滑合し、上記止め具を肉厚補強縁部の長さ方向に沿って移動自由に取付けることを特徴としたコンテナーの内装バッグを提供することにある(請求項8に記載の発明)。
【0033】
この発明によると、吊り紐や吊り具等の止め具を備える取付用のスライダーを肉厚補強縁部に設ける膨径補強部に摺動自由に滑合支持することによって上記止め具を自由に位置移動させ、これによって予めコンテナー内部の所定位置に設けられる係止環に向けて最適位置で掛け止められるようにすることから、装着時にバッグ主体部が引きつられて歪むことがなく、安定した状態で、しかも確実に吊設支持することができることになる。
【0034】
また、本発明は、前記肉厚補強縁部の適所に取付用透孔を穿ち、該取付用透孔に掛け止め用の止め具を取付けることを特徴としたコンテナーの内装バッグを提供することにある(請求項9に記載の発明)。
【0035】
この発明によると、コンテナーに対し、これに装着する内装バッグの取付位置を確定することになる固定止め具の取付用透孔を肉厚補強縁部に形成することから、最も強固で安定した部所において固定止め具を支持することになり、例えば貨物の投入圧力によってバッグ主体部が引きつれを受けた場合にも確実にこれを支えることができることになる。
【0036】
ところで、上記それぞれの発明に係る内装バッグは、布製のシート、更に具体的に言えば、ポリエステル等の合成繊維糸の織編製シートを素材にしてコンテナーの内部形状に合せて直方体形をなす袋として形成することになる。この場合、内装バッグ自体の成形は6面部をシート素材から個別に形成して、それぞれの面部同士を両縁部同士の接合によって組立てても、またシート素材によって上下の面部及び左右の側面部を含む円筒形に形成し、この円筒形の中から上下の面部と左右の側面部を割り出して角筒形にしてその両開口端に別に形成する前後の面部を組付け、6面部を備えた直方体形のバッグ主体部を形成するようにしてもよい。
【0037】
この場合、前者においては上面部と左右の側面部との接合において、また下面部と左右の側面部との接合において、縁部同士の重ね合せを利用して肉厚補強縁部を形成し、バッグ主体部の強度と剛性を付与することになる。また後者においては上面部と左右の側面部との境界部に、また下面部と左右の側面部との境界部にシートの一部を襞状に突出させ、これを折り重ねて肉厚な状態に接合し、それぞれの境界部に沿って肉厚補強縁部を形成することになる。
【0038】
上記肉厚補強縁部の形成に当っての接合は、シート素材を折り重ねて肉厚にしたのち重なった状態に縫着しても、また加熱融着が可能な例えば熱可塑性繊維製のシートを素材とした場合には熱融着によって一体的に接合してもよい。この熱融着による場合は重り合う肉厚補強縁部の全体を一体的に接合することができることから剛性が高まり、面部の広がりをしっかり支えることができる。
【発明の効果】
【0039】
上記構成に係る本発明によれば、シート素材によって形成される内装バッグにおいて、上面部の左右の縁部に沿って、或は更に下面部の左右の縁部に沿って肉厚の補強縁部が形成され、これが上面部、更には下面部の左右の縁部に沿って緊張状態を作り、シート面の弛みの発生を抑えることから、この内装バッグをコンテナーの内部に吊設状に装着したとき、左右の側面部等に発生する弛みを自然解消して直方体形の広り状態を確保し、コンテナーの内壁面に添った装着を実現することができる。特に、上面部の左右の縁部に沿って設けられる肉厚補強縁部は、内装バッグに剛性を付与することからコンテナーに装着したとき形崩れを防止すること、つまり皺の発生を抑えることができる。
【0040】
従って、本発明の内装バッグによれば、肉厚補強縁部が上記の弛みを解消すると共に、各面部における皺の発生を抑えてフラットな面に整えることから、貨物の投入時に投入圧力による抵抗を受けることが少なくなり、従って形崩れによって正常な貨物の受け入れができなくなったり、或はこれが原因に内装バッグが破損し、使用不能になったりすることから有効に解放されることになる。
【0041】
また、本発明内装バッグは、肉厚補強縁部に備える膨径補強部によって更に強度と剛性が付与されることに加えて、この膨径補強部が吊り具の取付手段となるスライダーの移動自由な支持手段となってコンテナーに予め設けられる係止環に対して上記吊り具を常に正常な位置で掛け止められる構造とすることから、引きつれを起すことのない安定した装着状態を作ることができると共に、装着作業を容易化する利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る内装バッグの使用時における展開した状態を説明する一部欠截した斜視図。
【図2】バッグ主体部の一部欠截した分解斜視図。
【図3】バッグ主体部の後面部から補強用シートを取り外した状態の部分の拡大縦断側面図。
【図4】図1のA−A線に沿って断面とした一部欠截の拡大縦断面図。
【図5】肉厚補強縁部に対して吊り具のスライダーを滑合する関係を説明した一部断面とする説明斜視図。
【図6】コンテナーの係止環に対して内装バッグの吊設状態を説明する拡大縦断面図。
【図7】肉厚補強縁部に対する止め具の取付け関係を説明する一部断面とした説明図。
【図8】第2の実施例におけるバッグ主体部の一部欠截する拡大縦断面図。
【図9】第2の実施例におけるバッグ主体部に形成される肉厚補強縁部の成形過程を説明した拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0043】
添付する図面の図1〜図7は、本発明に係る内装バッグの第1の実施例を示したものである。以下、本発明をこれら図面に示す実施例に基づき説明し、その特徴とするところを明らかにする。
図面において、符号1は本発明に係る内装バッグであり、2はバッグ主体部を示す。
バッグ主体部2は6つの面部からなり、前後方向に長さを有する直方体形をなし、その大きさは使用対象となる汎用型コンテナー3(以下、単に「コンテナー3」という。)の内部形状に適合したものとなる。
【0044】
このバッグ主体部2は、全体を構成する前後の面部4,5と、上下の面部6,7及び左右の側面部8,9の6つの面部を、ここではそれぞれ熱可塑性の合成樹脂製繊維糸を素材にしたシートによって形成している。そして、それぞれの面部の衝き合せになる縁部同士を接面し重なり合った状態にして熱融着し、これらを一体に接合することによって組立て、図1に示すように全体の形状が前後方向(図面上では左右方向)に長さを有する直方体形となるようにしてある。
【0045】
図2は、上記本発明の内装バッグ1のバッグ主体部2を構成するそれぞれの面部を分解して示したものである。この実施例では、図示したように前面部4を中心にして上面部6と下面部7が1枚の連続したシートからなるようにしてあり、更に上記上面部6の後端部と下面部7の後端部からそれぞれ補助後面部5a,5bを延設してこれら補助後面部5a,5bを介して後述するバッグ主体部2の後面部分を塞ぐ後面部5を接合するようにしている。
【0046】
尚、ここで上記各面部4,6,7、そして補助後面部5a,5bを一連に連続させているのは、素材であるシート原反の形状を活かしてできるだけ切断に伴う接合個所を少なくするためで、これにより製造時の作業性を良くすると共に、強度を落さないようにしている。
【0047】
また、このことに伴って、ここでは、前面部4を中心にして上面部6、下面部7の3面を一連に連続したものとすることで、これら3面部4,6,7のそれぞれの左右の縁部と、前記左右の側面部8,9の前縁部、そして上下の縁部とをそれぞれ衝き合わせ状に添わせ、次に、上面部6の左右の後端部から前端部に向けて、その後前面部4の上端部から下端部に向けて、更に下面部7の前端部から後端部に向けるように、つまり全体として「コの字型」をなすように連続的に接合し、これによって5つの面部が同時に且つ一連に接合するようにしてある。従って、バッグ主体部2は簡潔に、且つ強靭に組立られるものとなっている。
尚、上記接合の順序については、上記とは逆に下面部7側から行っても同じものであることは言うまでもなく、その選択は自由である。
【0048】
さて、上記面部同士の接合について更に説明すると、ここでの上面部6と左右の側面部8,9との接合は、先ず上面部6の左右の縁部6a,6bに対して左右の側縁部8,9の各上縁部8a,9aを互いの端縁が同一方向を向いて揃うようにして接面させ、これにより縁部に沿って所要の幅で互いに重合する部分を作り、次にこの重合する部分を2つ折りに重ね合せ、素材のシートが4枚重ねとなるようにし、そうした後、この重ね合せ状態において一体に熱融着し、上面部6と左右の側面部8,9とを接合している。この様な接合の結果、上面部6の左右の縁部6a,6bには外に向けて肉厚な帯状(鍔状)に張り出す肉厚補強縁部10が前後方向に沿って形成されることになる。
【0049】
上記左右の側面部8,9と前面部4との接合についても、また下面部7との接合についても同様の接合が行われている。この結果、これらの左右の縁部についても帯状の肉厚補強縁部10が長さの全長に亘り形成されることになる。
【0050】
図4乃至図7には、この上面部6と左右の側面部8,9との接合と、この接合によって形成される肉厚補強縁部10の構造が示される。更にここでは、上記肉厚補強縁部10の形成において、2枚重ねにしたシートを4枚重ねに折り重ねる際にこの重ね合せの間にロープ製の補強芯材11を巻き込み、これを前記熱融着を通して包持させ、肉厚補強縁部10の端縁部に沿って全長に亘り膨径補強部12が併せて形成されることが示されている。
【0051】
上記膨径補強部12は、肉厚補強縁部10の強度並びに剛性を更に高めるものとなり、更に本発明内装バッグにおいては、後述するように吊り具或は固定用の連結具を取付ける手段として利用される。
【0052】
尚、この実施例では前述したように上面部6と下面部7の後端にそれぞれ補助後面部5a,5bを連続して設けることから、これら補助後面部5a,5bの左右の縁部が衝き合う左右の側面部8,9の縁部との間においても前記同様の接合が行われ、これによって肉厚補強縁部10が作られ、同時に、補強芯材11を巻込むことによって膨径補強部12も併せて形成されるようになっている。
【0053】
尚、ここで前記肉厚補強縁部10をバッグ主体部2の外に向けて張り出す様に形成するが、この様にして形成すると、バッグ主体部2の外においてその成形作業が行えることから、大型のバッグの成形にも拘わらず極めて作業を正確に、且つ円滑に行うことができることになる。
【0054】
一方、バッグ主体部2の後部開口部13を塞ぐ前記後面部5は、上記各面部とは別体に形成してバッグ主体部2の上記部分の組立を完成させた後にこれに組付け、バッグ主体部2の全体を形成することになる。
独立した状態で形成される上記後面部5は、図2,3に示したように上半部分に貨物の投入口14を形成し、この投入口14の下に補強用シート15を繋ぎ止める連結部16を形成する。
【0055】
後面部5について更に説明すると、矩形に切り出すシート素材の上半部分に投入口14を倒U字形に切り込んで形成し、切り離した部分を蓋17にして、これを接続する下縁18を支点にこの蓋17を自由に開閉できるようにしてある。また、切り離した倒U字形をなす縁部に沿ってファスナーの歯務19a,19bをそれぞれ止着し、これに滑合するスライダー20を操作することによって投入口14を開閉することができるようにしてある。
【0056】
前記連結部16は、後面部5と同一素材の合成樹脂製のシートによって形成し、後面部の外側面に接面させ、熱融着することによって投入口14の下に襞状をなすように取付けてあり、この連結部16を介して前記補強用シート15を吊設状に連結できるようにしている。
補強用シート15は、上端部15aに前記連結部16に備える連結部材たる連結紐21に結び付ける同様の連結紐22を備え、また上端部15aに近い位置と、高さの略中央部の2箇所に幅方向に沿って支持バー(図示せず)を刺し通し、これを支持する筒形をなすバー装着部23,24を設けている。
【0057】
前記後面部5は、独立した状態で上記投入口14の開設や連結部16の取付けを行ったところで、その上縁部を前記補助後面部5aの内側に添わせ接面させた状態で熱融着し、また下縁部を補助後面部5bの上縁部に添わせて同様にして接合し、更に左右の縁部をそれぞれ左右の側面部8,9の各後縁部に添わせて熱融着し接合するようにしてあり、この接合を通してバッグ主体部2の後部開口部13に一体に組付け、閉ざしている。そして、この組付けによってバッグ主体部2の後部を形成すると同時に、本発明の内装バッグ1を完成させているのである。
【0058】
内装バッグ1は、この完成ののち、後面部5に前記補強用シート15を添わせ、前述したように連結紐21,22の結び付けによってこれを組付けることになる。
図1は、完成した内装バッグ1の主体部2に前記補強用シート15を組付け、使用に備えた姿を示している。このとき、補強用シート15は下端部15bを補助後面部5bの下端部を超えて垂れ下った状態となる。
【0059】
図中、25はバッグ主体部2の上面部6の前後4つの隅部に設けた固定手段となる吊設用の吊り具であり、26は上面部6の左右の縁部6a,6bに沿って設けられる前記膨径補強部12に移動自由に滑合し、取付た中間の固定用の吊り具である。
【0060】
吊り具25は、図7に拡大して示したようにS字形の金属製のフックにしてあり、バッグ主体部2に対して結束紐27を結び付けることによって取付けてある。
また、結束紐27は、上面部6の縁部に沿って設けられる肉厚補強縁部10の前後の端部にこれを貫いて形成する取付透孔28に鳩目29を装着した取付部に通して結び付けてあり、これにより吊り具25をバッグ主体部2の前後の隅部にしっかり取り付くようにしてある。
【0061】
一方、中間の吊り具26は、バッグ主体部の長さに合せて複数個用意されるもので、この吊り具26はコンテナー3に対してバッグ主体部2を取付ける際、バッグの上面部6の左右の縁部6a,6bの長さの途中を間隔を置いて掛け止めることにより支えるものであり、図5,6に示したようにホルダー30に組付けて一体にしてある。
上記ホルダー30は、円筒体の一側に切欠き部31を設けて断面C字形に形成する滑合体30aと、切欠き部31の反対側から突出する係止片30bとを一体に有する合成樹脂製の部品であって、上記係止片30bに形成する透孔30cにS字形に形成する金属製の吊り具26を掛け止める構造にしてある。
【0062】
この中間の吊り具26は、図5に示すようにホルダー30の切欠き部31に肉厚補強縁部10を差し入れ、滑合体30aの中空部分に前記膨径補強部12を挿通してこの膨径補強部12に滑合支持させることによりその長さ方向に沿って自由に移動できるようにしてある。
【0063】
一方、バッグ主体部2の下面部7側、つまり底面側には前記吊り具25,26と同様にバッグ主体部2をコンテナー3に固定するための固定用の連結具32と、可動の連結具33が取付けてある(図1を参照)。
固定用の連結具32は、ここでは強靭な紐からなり、下面部7の左右の縁部7a,7bに沿って形成される前記肉厚補強縁部10の前端部と後端部に前記取付透孔28と同じ取付透孔を形成してこれに結び付けることによって取付けてある。また可動の固定用連結具33は、前記中間の吊り具26におけるホルダー30と同一のホルダー30に連結用の紐を結び付けることによって形成している。
【0064】
上記の如く構成される本発明の内装バッグ1は、不使用時にはバッグ主体部2を偏平な状態に折り畳み、段ボール箱等に収納して保管し、或は運搬されることになる。そして、使用に当っては、折り畳んだ状態でコンテナー3に持ち込み、内部で広げて立体的に展開し、コンテナーの内壁面に添うようにして装着することになる。
【0065】
コンテナーの内部において内装バッグ1は、先ずその前面部4側から広げ、コンテナー3の前面壁に添わせて上面部6の左右の肉厚補強縁部10,10の前端部に備える吊り具25,25をコンテナーの前面壁の左右の上端隅部に設ける係止環34に掛け止め、吊り下げた状態に支持する。次に、下面部7の同じく左右の肉厚補強縁部10,10の前端部に設ける前記固定用の連結具32,32をコンテナーの前面壁の左右の下端隅部に設ける図示しない係止環に繋ぎ止め、これによって前面部4をコンテナー3の前面壁に添った状態に固定する。
上記4箇所の固定によってコンテナー3とバッグ主体部2との位置関係が定まることになるので、次にこのバッグ主体部2をコンテナー3の後方開口部(図示せず)に向けて引き出すようにして広げるのである。
【0066】
上記バッグ主体部2の前面部4が固定されると、この段階で上面部6、左右の側面部8,9と下面部7の向きがそれぞれ定まることになり、これと同時に、上面部6の左右の縁部6a,6bと下面部7の左右の縁部7a,7bの位置が定まることになるので、これらの縁部に沿って設けた肉厚補強縁部10の位置が定まることになる。そして、この肉厚補強縁部10は、前述したように肉厚であって剛性を有することから柔軟性を有するシートの中で真直ぐに伸び出してその存在をハッキリさせるため、前記開口部に向けて引き出す際にはこの肉厚補強縁部10が誘導基準となって引き出すことができ、従ってその作業を迅速に、且つ円滑に行うことができることになる。
【0067】
この引き出し作業に伴わせて、更にバッグ主体部の上面部6の左右の縁部6a,6bと、下面部7の左右の縁部7a,7bのそれぞれの途中に備えた前記中間の吊り具26と連結具33をコンテナー3の側面壁の上縁と下縁にそれぞれ間隔をおいて適宜付設する係止環34に順次掛け止めて広げ、このバッグ主体部2を立体的な袋となるように広げてコンテナーに対する装着作業を進めることになる。
このとき、コンテナー3の隅部に付設される係止環34は、予め一定位置に固定されるが、中間の吊り具26と固定用の連結具33はそれぞれホルダー30を滑らせて肉厚補強縁部10に対し移動が自由にしてあることから、それぞれ対応する係止環34に向けて膨径補強部12を伝わらせて移動させ、各係止環34と対面した位置で掛け止めることになる。
【0068】
バッグ主体部2の後端部をコンテナー3の後部開口部まで引き出したところで、後面部5の上部左右に設ける吊り具25,25をコンテナーの後部開口部の上部左右に設ける図示しない係止環(34)に掛け止め、コンテナー3の内部でバッグ主体部2の全体が広った状態にする。
【0069】
次に、この実施例では上記後面部5に補強用シート15を備える構造とすることから、このシート15の下端部15bを下面部7の下に差し入れると共に、この補強用シート15に設けるバー装着部23,24に支持バーを挿通してその両端をコンテナーの後部開口部の左右の縁に沿って形成する縦の係止溝(図示せず)に突き入れて支持させ、コンテナー3に対するバッグ主体部2のセット作業を完了することになる。
尚、上記補強用シート15は、下端部15aを予め下面部7に紐35等で接面した状態に固定して置き、前記バッグ主体部2の吊設作業に併せて下面部7とコンテナー3の床との間に自動的に介挿するようにしてもよい。
【0070】
この様にしてコンテナーの内部に内装バッグ1セットしたのち、近年の実際の使用においては、貨物の積み込みに当ってコンテナーの後部を持ち上げ、約45度程の傾斜角を付けた状態に保持して上向きになった貨物投入口14から穀物等の貨物を流し込む状態で投入することになる。
この投入作業に当っては、補助後面部5aから更に延設するカバー片36を捲り上げてコンテナー3の後部開口部から上面(屋根)に乗せ、これによってバッグ主体部2とコンテナー開口部との隙間を塞いで貨物投入装置から噴き込まれる貨物がバッグ主体部の上面に侵入するのを防止する。
【0071】
この様にして、内装バッグに対する貨物の積み込みが略満杯となったところで終了し、コンテナーの前記傾斜を戻して水平になったところでファスナー19a,19bを締め、投入口14を閉塞する。
ここでコンテナーが水平に戻されると、投入された貨物が後面部5に向けて移動することに伴いこの後面部5を後方に押し出し、補強用シート15を圧迫することになる。この時、圧迫を受けた補強用シート15は、上部のバー装着部23と中間の装着部24に挿通する支持バーと、下面部7の下に差し入れによって固定した下端部15bとの間で緊張することになり、この緊張を通して後面部5を支えることになる。この結果、後面部5がコンテナーの後部開口部に向けて膨出するのを抑えられることになり、扉と接触しない範囲で膨出を止めてコンテナーの開口部を閉ざす扉の閉塞作業の妨げとなるのを防止することになる。
【0072】
以上説明した様に、本発明の内装バッグは、上面部6、更には下面部7の左右の縁部に沿って形成する肉厚補強縁部10がバッグ主体部の展開に当ってバッグ主体部2の骨格となる如く作用し、形状の保持に働くことから、コンテナーに対する装着作業に当ってはその作業を円滑にすることになる。特に、装着作業時には前後のコーナー部(隅部)に備える吊り具25及び固定用の連結具32が強度と共に剛性を高めた肉厚補強縁部10に取付くことからしっかりコンテナーに固定することになり、更には、上面部6と下面部7のそれぞれ左右の縁部に沿って設ける複数の吊り具26及び可動の連結具33がこの肉厚補強縁部10に沿って適宜間隔をおいて設けられ、これらを介してしっかり固定されることから、貨物の投入による衝撃をバッグ主体部2に受けてもコンテナーの内部でずれ動くことがなく安定した状態を保つことができることになる。
【0073】
更に言えば、上記吊り具26及び連結具33によって支えられる肉厚補強縁部10は、その剛性によって真直に緊張して撓みが抑えられることから左右の側面部8,9をしっかり吊り下げ支持することができ、吊り具26によって直接支持されない部分が弛んで皺を作ること等を防止することができるものとなっているのである。このため、本発明の内装バッグによると、従来この弛みが原因となって正常な装着状態を妨げ、貨物の投入時のバッグの変形や、皺の発生をもたらしてその損傷を起したり、荷降ろしの際に皺の間に貨物を残留させたりする問題がなく、極めて取扱い易いものとなっている。
【0074】
尚、ここに示す本発明の内装バッグ1は、前述の通りコンテナーに対して確実に、且つ安定した状態にセットすることができると同時に、この内装バッグ1のバッグ主体2は、全体が合成樹脂製シートを素材にして成形されることから雨水等の侵入を有効に防止することができ、また各面部相互を繋ぐ接合をシートの接面とこの接面部分の熱融着による一体的な接合構造とするため、従来のように縫製による針穴からの浸水と言った問題を有効に回避することができることにもなっている。
【0075】
そして、上記熱融着を通してシートの接面させた状態における接合は、充分な強度を出すことができ、引きつれによって接合部分が破損するようなことがなく、バッグ主体の安定化を図ることができるものとなっている。
ことに、本発明においては、使用時に最も負荷がかゝるバッグ主体部2の隅部、特に吊設の基点となる上面部6の前後の隅部と、左右の縁部6a,6bにおいて、また、下面部7の同様の隅部においてシートが重合することによって形成される肉厚補強縁部10によって強化されることから堅牢で耐衝撃性の高い内装バッグが提供されることになる。
【実施例2】
【0076】
図8及び図9は、本発明の第2の実施例を示したものである。この実施例は、バッグ主体部2を構成する上面部6と下面部7及び左右の側面部8,9の4面部を一体に筒形に形成し、この筒形の中からそれぞれ4面部を割出してバッグ主体部2を形成するようにした例である。
ここにはバッグ主体部2を構成する前面部4と後面部5が除かれているが、これらは別体に形成して上記4面部による組立が完成した後、角筒形に形成される両開口部に添わせて一体に接合することで直方体形の本発明の内装バッグに形成することになる。
【0077】
さて、図中の符号102は、前記上面部6、下面部7及び左右の側面部8,9からなる角筒形に形成した内装バッグ1のバッグ主体部であり、110は上面部6の左右の縁部6a,6bと左右の側面部8,9の各上縁部との間、そして下面部7の左右の縁部7a,7bと左右の側面部8,9の各下縁部との間にそれぞれ形成した肉厚補強縁部である。
【0078】
肉厚補強縁部110は、連続するそれぞれの面部の境界部分を折り曲げるようにして外に引き出し、この引き出したシート部分を重ね合わせると共に、重ね合わせた部分を2つに折り重ねてシートを4重重ねにしてこの重なり部分を熱融着によって固定し、形成したものである。
【0079】
図9は、この肉厚補強縁部110を形成する過程を説明したもので、ここには上面部6となる部分と、左側面部8となる部分を示しており、図(A)には上面部6に対して左側面部8の上縁部を折り曲げて重ねる過程が、そして図(B)には折り曲げた左側面部8の途中を再び折り返して両面部6,8の間に重なり合った重合部分110aが形成されることが、更に図(C)には上記重合部分110aを2つに折り曲げ重ね合わせると共にこれを一体に熱融着して固定し、肉厚補強縁部110とする過程が示される。
この肉厚補強縁部110の形成は、4つの隅部において同一の方法で行われ、それぞれ外に向けて鍔形に突き出る形状に形成される。
【0080】
つまり、ここに示す実施例は、肉厚補強縁部について前記第1の実施例において説明した様に、各面部の縁部同士を接合するのを利用して形成する場合に限られるものでなく、予め各面部が一体に連続している場合にもこれらの境界部分に沿って前記肉厚補強縁部110を形成するのと同様にして設けることができることを示したものである。
勿論、第2の実施例による場合は、4つの面部を一体にした大型の筒形シートを製造する装置を要することになるが、筒形を製造することができない場合は、二分割型或は三分割型にして形成することも可能であり、任意選択することができるものである。
【0081】
ところで、前記実施例では、前記肉厚補強縁部10,110については素材であるシートを4重に重ねたものとしたが、更に重ねて肉厚を増加してもよく、厚みの選択は自由である。
要するに、この肉厚補強縁部は柔軟性のあるシート素材に剛性を付与して装着時の作業性、装着された状態の安定性を得るためのものとなるが、同時にこの肉厚補強縁部は内装バッグを折り畳む場合にその畳み込みの障害とならないことが求められるもので、従って、両者を満足できる範囲において厚みを選択し、剛性を選択することになる。
【0082】
また、シート素材として熱融着が可能な合成樹脂製のシートを使用しているが、布製のシートを排除するものではなく、また面部相互の接合において熱融着のみによるものではなく縫製による接合も含まれることになる。
尚、合成樹脂製のシートとする場合には、例えば、延伸糸を職編した布材料に樹脂を被膜したシート材も選択の範囲に含まれることになる。そしてここで、シート素材としての合成樹脂材料を具体的に挙げるならば、例えばポリエステルやポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン等の熱可塑性の合成樹脂材料を挙げることができる。
また、膨径補強部12を形成する補強芯部11については、ローブ状のものの他、厚手のテープ状のものであってもよい。ここで求められることは、補強接合部10に所定の膨らみを長さ方向に沿って形成できること、そして、バッグ主体2の折り畳みに当って折り曲げが可能な所要の柔軟性を有することであり、これを基準にして材料を選択することができる。
【符号の説明】
【0083】
1 内装バッグ
2 バッグ主体部
3 コンテナー
4 バッグ主体部の前面部
5 バッグ主体部の後面部
6 バッグ主体部の上面部
6a,6b バッグ主体部の上面部の左右の縁部
7 バッグ主体部の下面部
7a,7b バッグ主体部の下面部の左右の縁部
8 バッグ主体部の左側面部
8a,8b バッグ主体部の左側面部の上下の縁部
9 バッグ主体部の右側面部
9a,9b バッグ主体部の右側面部の上下の縁部
10 肉厚補強縁部
11 補強芯材
12 肉厚補強縁部に形成される膨径補強部
14 貨物の投入口
15 補強用シート
16 補強用シートの連結部
25,26 吊り具
28 補強接合部に形成される取付透孔
30 膨径補強部に滑合させる吊り具のホルダー
32,33 固定用の連結具
34 コンテナーに設ける係止環

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナーの内部形状に適合した直方体形をなすバッグ主体部をシート素材による上下の面部、左右の側面部、前後の面部の6面部によって形成するようにしたコンテナーの内装バッグにおいて、
前記6面部の少なくとも上面部の左右の縁部にその長さ方向に沿って該上面部のシート素材の肉厚より大となる肉厚補強縁部を形成することを特徴としたコンテナーの内装バッグ。
【請求項2】
請求項1に記載のコンテナーの内装バッグにおいて、肉厚補強縁部は上面部の左右の縁部、並びに下面部の左右の縁部に沿って形成することを特徴としたコンテナーの内装バッグ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のコンテナーの内装バッグにおいて、上面部の左右の縁部及び或は下面部の左右の縁部に沿って形成される肉厚補強縁部は、各縁部から外に向けて張り出す帯状の肉厚片であることを特徴としたコンテナーの内装バッグ。
【請求項4】
請求項1乃至3に記載のコンテナーの内装バッグにおいて、肉厚補強縁部は、バッグ主体部を形成する面部のシート素材の一部を手繰り出し、且つこれを折り重ねて所要厚さに接合することによって形成することを特徴としたコンテナーの内装バッグ。
【請求項5】
請求項1乃至4に記載のコンテナーの内装バッグにおいて、肉厚補強縁部は上面部の左右の縁部にあっては上面部の左右の縁部と左右側面部の各上縁部との、また下面部の左右の縁部にあっては下面部の左右の縁部と左右側面部の各下縁部との各端縁を外方向に向けて接面状に揃え、且つ該接面部分を折り返して二重重ね状態にして一体に接合することにより形成することを特徴としたコンテナーの内装バッグ。
【請求項6】
請求項1乃至5に記載のコンテナーの内装バッグにおいて、肉厚補強縁部は端縁部に沿って膨径補強部を一体に形成することを特徴としたコンテナーの内装バッグ。
【請求項7】
請求項6に記載のコンテナーの内装バッグにおいて、膨径補強部は肉厚補強縁部に紐状芯材を埋設することによって形成することを特徴としたコンテナーの内装バッグ。
【請求項8】
請求項6又は7に記載のコンテナーの内装バッグにおいて、膨径補強部に止め具の取付用スライダーを摺動自由に滑合し、上記止め具を肉厚補強縁部の長さ方向に沿って移動自由に取付けることを特徴としたコンテナーの内装バッグ。
【請求項9】
請求項1乃至8に記載のコンテナーの内装バッグにおいて、肉厚補強縁部の適所に取付用透孔を穿ち、該取付用透孔に掛け止め用の止め具を取付けることを特徴としたコンテナーの内装バッグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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