説明

コンテナ内装容器

【課題】コンテナ容器の内側に内袋を収納したコンテナ内装容器において、収納物のスムーズな導入及び排出を得ることができ、更に、内袋の破損による事故が生じないようなコンテナ内装容器を提供すること。
【解決手段】上部に開口部16を有する容器本体13と、該開口部16を閉鎖し収納物を導入する開閉自在の充填口19を有する内蓋17と、容器本体13の下部に接続された収納物排出用の排出筒14と、容器本体13内部に設けられた可撓性材料からなる取り替え自在の内袋24とからなり、前記開口部16と内蓋17により内袋24の開口部を挟んで固定したコンテナ内装容器11において、前記内蓋17にコンテナ容器内の空気の吸排気用のノズル21,22を設けたコンテナ内装容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、各種流体の輸送や収納に使用するコンテナ容器であって、内部に内装体としての内袋を収納したコンテナ内装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
図4は、従来のコンテナ容器であり、各種流体の輸送や収納に使用するコンテナ容器1は、複数の支持脚2で自立するようにした金属製の容器本体3の底部に排出筒4を設け、排出筒4に開閉バルブ5を接続した構造を有し、また、容器本体3の上部には、蓋部材6と、コンテナ容器内に予め入っていた空気を収納物の収納と交換に外部に取り出すための空気抜き用の内圧逃がしノズル7、並びに、同じく内圧の逃がし用及び収納物の排出筒からの取り出しの際に容器内に大気圧を取り入れて収納物の取り出しをスムーズにするための空気取り入れ用の役目も果たすエアー出入りノズル8が設けられている。
【0003】
この容器本体3の内部に液体や粒状体等の流動物からなる収納物を収納する際は、上部の蓋部材6から容器本体3内に収納物を落とし込んで導入し、収納物の取出しの際は、排出筒4に接続された開閉バルブ5を開くことにより、排出筒4を通じて下部から収納物の取り出しを行うようになっている。
【0004】
図5(A)は、コンテナ容器1に直接、液体や粒状体の流動物からなる収納物aを収納する際、図5(B)はコンテナ容器から収納物aを取り出す際の内圧逃がしノズル7及びエアー出入りノズル8の働きを示すものである。
【0005】
まず、図5(A)のように容器本体3の上部にある蓋部材6から収納物を導入する際は、蓋部材6に設けてある充填口9にホースを接続するか又は直接手作業で、この充填口9を通じて収納物aを容器本体3内に収納してゆくが、この際、容器本体3内への収納物aの収納に伴う容器本体3の内部空気が、内圧逃がしノズル7とエアー出入りノズル8を通じて外部に排出され、収納物aのスムーズな収納が可能となる。
【0006】
次に、図5(B)に示すように、収納物aを容器本体3の下部の排出筒4を通じて開閉バルブ5から取り出す際は、容器本体3内での収納物aの減少に伴う減圧を、エアー出入ノズル8を通じて外部空気を導入することによって解決する。なお、収納物aが爆発等の危険性があるものであれば、エアー出入ノズル8を直接窒素等不活性ガスのタンクに接続して不活性ガスを容器本体3内に導入することもある。
【0007】
ところで、最近は、コンテナ容器本体3の内部に装着した内袋に流動物を収納し、内袋本体の底部に内部と連通する状態で取付けられた筒状のノズルを排出筒4内に位置させ、内袋内に収納物を収納することにより、収納物と容器本体3及び排出筒4との直接的な接触の発生がないようにしたものがあり、これらコンテナ容器用の内袋を用いたものは、収納物の種類を変更する場合には内袋を取り換えればよいので、容器本体の洗浄が不要になり、洗浄コストの低減が可能になるという利点がある(例えば、特許文献1や特許文献2)。
【特許文献1】特許第2915342号公報、図1
【特許文献2】特開2000−168888号公報、図1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記したコンテナ容器用の内袋を用いたものであっても、従来のコンテナ容器にそのまま内袋を使用した場合、以下の問題点が生じていた。
【0009】
図4に示したような、従来の内袋の収納を考慮しないコンテナ容器1に内装容器として内袋10を導入すると、まず、収納物aの収納の際は、図6(A)のように、収納物aの導入と交換に内圧逃がしノズル7やエアー出入りノズル8を通じて外部に出すべき空気が、内袋10の存在により外部に排出できず、空気抜きが出来ないために、蓋部材6に設けた収納物aを収納中の充填口9で図中矢印で示すような空気の吹き返しが起こり、収納物aの導入がスムーズに行かなくなり、特に、充填口9にホースを繋いで密閉状態で行う収納では、送り込みが出来なくなるおそれがある。
【0010】
また、収納物aの取り出しの際は、図6(B)のようにエアー出入ノズル8からの導入空気が容器本体3の内壁と内袋10の外側の間に入り込み、収納物aの排出筒4からの排出に伴い内袋10が収縮して容器本体3の内壁から離れてゆくことになる。
【0011】
そのまま収納物aの取り出しを続けて内袋10があまり収縮しすぎると、それ以上内袋10が収縮しなくなり、その場合、収納物aが取り出せなくなる。
【0012】
なお、図6(B)の収納物が減った状態で内袋10をそのままに再度蓋部材6から収納物aを収納すれば、ある程度までは容器本体3の内壁と内袋10の間の空気をノズル7,8から逃がせるが、それではそのたびに容器本体3内で内袋10が膨張、収縮を繰り返すことになる。
【0013】
このように、収納物aの出し入れ毎にコンテナ容器1内で内袋10がの容器本体3の内壁から離れて膨張・収縮を繰り返すと、内袋10との容器本体3の内壁、または内袋10同士の摩擦により内袋10が破損し、収納物aが内袋10から出てしまい、収納物aのコンテナ容器本体との直接的な接触の発生がないようにした目的が失われることがある。
【0014】
また、コンテナ容器1内で内袋10がの容器本体3の内壁から離れた状態でコンテナ容器1を輸送したりしても、同様に内袋10との容器本体3の内壁、または内袋10同士の摩擦により内袋10が破損するおそれがあった。
【0015】
そこで、この発明の課題は、コンテナ容器の内側に内袋を収納したコンテナ内装容器において、収納物のスムーズな導入及び排出を得ることができ、更に、内袋の破損による事故が生じないようなコンテナ内装容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記のような課題を解決するため、この発明は、上部に開口部を有する容器本体と、該開口部を閉鎖し収納物を導入する開閉自在の孔を有する蓋部材と、容器本体の下部に接続された収納物排出用の排出筒と、容器本体内部に設けられた可撓性材料からなる取り替え自在の内袋とからなり、前記開口部と蓋部材により内袋の開口部を挟んで固定したコンテナ内装容器において、前記蓋部材にコンテナ容器内の空気の吸排気用ノズルを設けたコンテナ内装容器である。
【0017】
この発明の構成によれば、コンテナ容器への収納物の出し入れに伴うコンテナ容器内の空気の出入りが、コンテナの容器本体と収納物との間に内袋が存在しない蓋部材に設けた吸排気用ノズルによって行われるので、内袋の存在によって空気の排出が邪魔されたり、また、コンテナ容器内壁と内袋の隙間に外気が入り込んで内袋がコンテナ容器内で萎むといったことがない。
【発明の効果】
【0018】
この発明によると、内袋を内蔵したコンテナ内装容器において、内袋を用いても収納物の収納及び排出に伴うコンテナ容器内の空気の入れ替わりが支障なく行われるので、収納物の出し入れがスムーズに行える。
【0019】
また、収納物の出し入れに伴って内袋がコンテナ容器内で収縮、膨張を繰り返したりすることがなく、内袋とコンテナ容器内壁、または内袋同士の摩擦が原因の内袋の破損による収納物のこぼれ出しといった事故が生じない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、この発明の実施形態のコンテナ内装容器を説明する。
【0021】
図1のように、本発明のコンテナ内装容器11は、複数の支持脚12で自立するようにした金属製の容器本体13と、この容器本体13の底部に設けた排出筒14とからなり、排出筒14は、円筒パイプを用い、容器本体13の底部から垂下して途中から水平に屈曲し、端部では水平方向になるように設置され、この排出筒14の端部に別途用意した開閉バルブ15の一方端部を適宜な接続部材により接続することにより、排出筒14の端部開口を閉鎖している。
【0022】
容器本体13の上部中央部は開口部16が形成され、この開口部16に内蓋17が嵌め込まれ、更に内蓋17の上部に外蓋18が設置され、内蓋17と外蓋18で蓋部材を形成している。
【0023】
図2は、内蓋17及び外蓋18からなる蓋部材付近を拡大した正面断面図で、(A)は内蓋17を容器本体13の開口部16に嵌め込んだ状態、(B)は更に外蓋18を装着した状態を示す。
【0024】
容器本体13の上部開口部16に嵌め込まれた内蓋17は、その中央部に収納物を容器本体13内に導入するための外部に突出した短筒状の充填口19が設けられており、普段はキャップ20により閉鎖されている。
【0025】
また、充填口19を挟んだ左右には、それぞれ外部に突出した短筒状の内蓋内圧逃がしノズル21と内蓋エアー出入りノズル22が設けられている。
【0026】
なお、内蓋17の容器本体13への嵌め込みは、容器本体13の開口部16の周囲に設けた内蓋止めストッパー23により内蓋17の容器内部への落ち込みを防止しており、この内蓋止めストッパー23と内蓋17の間に、PE製などの可撓性材料からなる内袋24の上部開口部付近を挟み込んで内袋24の固定を図っている。
【0027】
内蓋17の上に外蓋18を設置するが、外蓋18には内蓋17の内蓋内圧逃がしノズル21と内蓋エアー出入りノズル22に対応する位置に、それぞれ外蓋内圧逃がしノズル25と外蓋エアー出入りノズル26が設けられており、それぞれのノズル25,26を図2(B)に示すように内蓋17側のノズル21,22に嵌め込んで固定する。
【0028】
なお、外蓋18の上面における外蓋内圧逃がしノズル25直上にはこの外蓋内圧逃がしノズル25と繋がる単動式安全弁27が、外蓋エアー出入りノズル26直上にはこの外蓋エアー出入りノズル26に繋がり水平方向に屈曲し、適宜接合手段からなる窒素・エアー出入口28が設けられている。
【0029】
内蓋内圧逃がしノズル21、外蓋内圧逃がしノズル25、及び単動式安全弁27が組み合わされた部分では、コンテナ容器内から外方への一方通行の弁となり、コンテナ内装容器11の容器本体13内の内圧が高まった時の内部空気の放出に使われる。
【0030】
また、内蓋エアー出入りノズル22、外蓋エアー出入りノズル26、及び窒素・エアー出入口28が組み合わされた部分では、外方からコンテナ容器内への出入り両方向への空気の流れを許容しており、前述のコンテナ内装容器11の容器本体13内の内圧が高まった時の内部空気の放出に使用される以外に、窒素・エアー出入口28に窒素タンクやエアータンク等を繋ぎ、容器本体13内の内圧が減少した時に、空気等を送り込んで内圧を所定の範囲に保つようになっている。なお、収納物が起爆性の場合は、窒素等の不活性ガスを導入するようになっている。
【0031】
なお、容器本体13の上面には、従来のコンテナ容器と同様に、エアー出入りノズル29が設けられており、容器本体13内に内袋24を装着する際、容器本体13の開口部16に内袋24を入れた後、内袋24内にエアーを充填して膨張させて容器本体13の内壁に密着するようにするが、その際、容器本体13の内壁と内袋24との間にある空気をこのエアー出入りノズル29を通じて外部に排出するようになっている。
【0032】
また、内袋24を取り替える際には、このこのエアー出入りノズル29に外部から空気を導入して内袋24を容器本体13内で収縮させて、収縮させた内袋24は容器本体13の開口部16から外部へ取り出される。
【0033】
この発明のコンテナ内装容器11は、上記のような構成であり、次に、このコンテナ内装容器11に収納物を収納する様子を図3に基づいて説明する。
【0034】
図3(A)は、この発明のコンテナ内装容器11に収納物aを収納する際の正面断面図であり、外蓋18を取り去り、内蓋17の充填口19を封鎖しているキャップ20を外し、ここに適宜ホースを接続して収納物aをホースを通じて容器本体13内に導入するか、又は図示していないが漏斗状の器具を充填口19にかませてから、その上方から重力を利用して収納物aを落下させて収納するようにする。
【0035】
その際、容器本体13内に入った収納物aと交換に内部の空気は、外部との間に内袋24が介在していない内蓋17の内蓋内圧逃がしノズル21と内蓋エアー出入りノズル22から外部に放出されるので、充填口19における空気の吹き戻し等がなく、収納物aのスムーズな収納が行われる。
【0036】
収納物aの収納後は、内蓋17の上に外蓋18を嵌め込んで、この状態で収納物aの保管や場合によっては輸送が行われるが、保管中に気温の上昇や収納物aの揮発等により容器本体13内部の内圧が高まった時は、内蓋内圧逃がしノズル21及び内蓋エアー出入りノズル22を通じて内部エアーが外部に放出され、コンテナ内部の圧力を一定に保つようになる。
【0037】
図3(B)は、この発明のコンテナ内装容器11から収納物aを取り出す際の正面断面図であり、開閉バルブ15を操作して、重力を利用して排出筒14を通じて開閉バルブ15から収納物aを取り出すが、容器本体13内での収納物aの減少による減圧は、内蓋エアー出入りノズル22、外蓋エアー出入りノズル26、及び窒素・エアー出入口28を通じて外部空気または図示していないタンク内の空気や窒素が容器本体13内に入り込むことで減圧を防止し、収納物aのスムーズな排出が行われる。
【0038】
なお、この発明の実施形態の一例は上記のようなものであるが、この発明は、上記説明及び図面で示した構成に限定されるものではなく、蓋部材を構成する内蓋や外蓋の構成、及びノズル部分の構成や構造は、この発明の構成・目的の範囲内で適宜変更して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明のコンテナ内装容器全体の一部切欠正面図
【図2】(A)(B)は本発明のコンテナ内装容器の蓋部材の正面断面図
【図3】コンテナ内装容器全体の正面断面図で、(A)は収納物導入時、(B)は収納物排出時の様子を示す
【図4】従来のコンテナ容器の正面図
【図5】従来のコンテナ容器の正面断面図で、(A)は収納物導入時、(B)は収納物排出時の様子を示す
【図6】従来のコンテナ容器に内袋を用いた正面断面図で、(A)は収納物導入時、(B)は収納物排出時の様子を示す
【符号の説明】
【0040】
a 収納物
1 コンテナ容器
2 支持脚
3 容器本体
4 排出筒
5 開閉バルブ
6 蓋部材
7 内圧逃がしノズル
8 エアー出入りノズル
9 充填口
10 内袋
11 コンテナ内装容器
12 支持脚
13 容器本体
14 排出筒
15 開閉バルブ
16 開口部
17 内蓋
18 外蓋
19 充填口
20 キャップ
21 内蓋内圧逃がしノズル
22 内蓋エアー出入りノズル
23 内蓋止めストッパー
24 内袋
25 外蓋内圧逃がしノズル
26 外蓋エアー出入りノズル
27 単動式安全弁
28 窒素・エアー出入口
29 エアー出入りノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に開口部を有する容器本体と、該開口部を閉鎖し収納物を導入する開閉自在の孔を有する蓋部材と、容器本体の下部に接続された収納物排出用の排出筒と、容器本体内部に設けられた可撓性材料からなる取り替え自在の内袋とからなり、前記開口部と蓋部材により内袋の開口部を挟んで固定したコンテナ内装容器において、前記蓋部材にコンテナ容器内の空気の吸排気用ノズルを設けたことを特徴とするコンテナ内装容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2007−302274(P2007−302274A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−130888(P2006−130888)
【出願日】平成18年5月9日(2006.5.9)
【出願人】(505443399)日本コンテナ株式会社 (4)
【出願人】(594010674)日新産商株式会社 (11)
【Fターム(参考)】