説明

コンテナ容器

【課題】内袋を用いたコンテナ容器において、液体収納物の収納の際に、収納物の泡立ちを抑えることで収納時の静電気の発生を抑え、収納物やその揮発成分への引火や発火による爆発事故の無いような安全なコンテナ容器を提供する。
【解決手段】容器本体3と、容器本体3の開口部4に嵌め込まれた蓋部材5と、容器本体3の下部に接続された排出筒6と、容器本体3内に固定される内袋11とからなるコンテナ容器において、蓋部材5の下面に垂直方向に伸び蓋部材5を容器本体3に取り付けた際に下端が容器本体3の内部底面付近に達する導入筒9が設けられ、該導入筒9の上端は蓋部材5の充填口8と導通し下端に噴出孔10を有するコンテナ容器1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、各種液体や粘体等の流動体の輸送や収納に使用するコンテナ容器であって、内部に内装体としての内袋を収納したコンテナ容器に関し、更に詳しくは、収納物の収納時に静電気が発生して爆発事故を起こすことの無い安全なコンテナ容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体や粘体等の各種流動体の輸送や収納に使用するコンテナ容器は、主に金属製の容器本体の上部に開口部を下部に排出筒を内部と連通して設けており、上部の開口部は収納物を取り入れるための充填口を有する蓋部材で閉鎖され、排出筒には排出筒の開閉用のバルブ管を接続した構造を有している。
【0003】
このコンテナ容器の内部に各種液体、粘体、粒状体等の流動体からなる収納物を収納する際は、上部の蓋部材の充填口から容器本体に収納物を落とし込んで導入し、収納物の取り出しの際は、排出筒に接続されたバルブ管の開閉バルブを開くことにより、排出筒を通じて下部から収納物の取り出しを行うようになっている。
【0004】
ところで、コンテナ容器は、保存や輸送後に収納物を取り出した後に容器内に以前の収納物が残っていると、他の種類の新たな収納物を収納した場合、古い収納物と混ざって新たな収納物を汚染してしまうので、収納物取り替え前にコンテナ容器の内部の洗浄が行われていた。
【0005】
しかしながら、近年、世界的に飲料水不足等の水不足問題が発生しており、コンテナ容器の洗浄のために大量の水を使用するのは世界的に困難になってきている。また、コンテナを洗浄した後の排水は、そのまま流すと水質汚染や土壌汚染となり環境汚染に繋がることになる。
【0006】
そこで、コンテナ容器の内側に装着し、内部に各種液体や粘体を収納して保存や輸送を行う可撓性のコンテナ容器用の合成樹脂製の内袋が既に提案されており、この内袋に収納物を収納することで、収納物が直接コンテナ容器の内壁に接触しないので、収納物の種類を取り替える際には内袋を取り替えればよく、コンテナ容器の内壁を洗浄する手間が省ける等の利点がある(例えば、特許文献1、2参照)。
【0007】
このようなコンテナ容器は、収納物が内袋内に収納されることによりコンテナ容器の内壁や排出筒の内壁との直接的な接触の発生が無く、充填搬送せんとする収納物の種類の変更時には内袋を取り替える替えるだけでよく、容器の内壁の洗浄が不要となり、洗浄コストの低減が図れるという利点がある。
【0008】
なお、使用済みの内袋は、高温で焼却することにより有毒物質を出さずに処理する方法や、最近行われているプラズマを用いた焼却方法があり、洗浄を行う場合のように汚水の問題が無く、焼却屑中に有毒物質が発生しないので、水不足問題や環境汚染防止の観点からコンテナには内袋を用いることが世界的な潮流となってきている。
【特許文献1】特許第2915342号公報、図1
【特許文献2】特開平2005−280841号公報、図1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、コンテナ容器に収納物を収納する際、容器本体の上部にある蓋体の充填口を通じて収納物を入れるが、収納物が液体の場合、容器本体の高さ分を落下して容器内部の底面にぶつかり、激しく廻りに飛び散ることで泡を発生させる。この際、液体に粘性が高ければ高いほど泡はすぐには消えず暫く存在し、この泡の体積分収納物の容量が低下し、収納物の液面の高さから推定される容量と実際に収納される容量とに差が生じてしまう。
【0010】
また、泡の発生時には同時に静電気も発生しており、従来の金属容器に直接液体を導入していた場合、容器自体がアースの役目をして静電気は直ちに解消されるが、内袋を用いたコンテナ容器の場合、静電気が直ちに解消せず、3日間程度そのまま容器内に静電気がたまっていることになる。
【0011】
静電気がたまっているまま保存や輸送を行うと、少しの衝撃で静電気による火花が発生することがあり、収納物が発火性の溶剤等の場合、溶剤自体に引火、又は容器内に存在する空間での溶剤の揮発成分に引火してしまい、コンテナ容器が爆発するという大きな事故に繋がるおそれがあった。
【0012】
そのため、発火性のある溶剤等は内袋に入れずに従来の金属製の容器で運んだり、溶剤を一部取り出して容器内に空間ができた場合、窒素を導入して空間内で溶剤の揮発分が爆発するのを防ぐようにしていた。
【0013】
なお、内袋に使用される合成樹脂について、ある程度の導電性を持たせた材料を用いることで静電気を逃がすようにしたものもあるが、静電気の電圧の低下も金属を介した場合のように一瞬で低下するものではなく、徐々にゆっくりと電圧低下が進行するので、引火性、発火性を有する溶剤等の場合にはこの対策だけでは不十分であった。
【0014】
そこで、この発明の課題は、今後、水不足問題や環境問題の点から主流となっていく内袋を用いたコンテナ容器において、液体収納物の収納の際に、収納物の泡立ちを抑えることで収納時の静電気の発生を抑え、収納物やその揮発成分への引火や発火による爆発事故の無いような安全なコンテナ容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記のような課題を解決するため、請求項1の発明は、
上部の開口部と下部の排出筒とを有する容器本体と、
容器本体の開口部を閉鎖し開閉自在の充填口を有する蓋部材と、
容器本体の排出筒に導通して接続され開閉バルブを内蔵するバルブ管と、
可撓性材料で構成され、容器本体内壁に沿って収納可能な形状をし、上端に容器本体の開口部内側に適合する上部筒状部と、下端に排出筒内に適合して排出筒から突出する長さの排出用筒状部とが設けられ、上部筒状部が容器本体の開口部と蓋部材とに挟まれ、排出用筒状部が排出筒とバルブ管とに挟まれて容器本体内に固定される内袋とからなるコンテナ容器において、
蓋部材の下面に垂直方向に伸び蓋部材を容器本体に取り付けた際に下端が容器本体の内部底面付近に達する導入筒が設けられ、該導入筒の上端は蓋部材の充填口と導通し下端に噴出孔を有する構成を採用したものである。
【0016】
ここで、内袋は、合成樹脂製を用いた可撓性材料からなり、容器本体内壁に沿って装着され、上端に容器本体の開口部内側に適合する上部筒状部と、下端に排出筒内に適合して排出筒から突出する長さの排出用筒状部とが設けられており、かつ、上部筒状部と排出用筒状部を開口部や排出筒から突出させて蓋部材やバルブ管で挟んで固定しているので、内袋内に収納される収納物は、容器本体の内壁や排出筒の内壁には全く接触せず、内袋を取り替えた際に、容器本体や排出筒の内壁を洗浄する手間が要らない。
【0017】
また、そのために収納物が導電性の悪い内袋にしか接触していないので、収納物が液体の場合に導入の際の泡立ちが生じると発生する静電気が逃げられなくなり、収納物の性質によっては引火、爆発事故を生じるおそれがあるが、この発明によれば、収納物を導入筒を通じてコンテナの容器本体内に導入することで、収納物はコンテナ容器の容器本体の底面付近で導入筒の下端部の噴出孔から噴出し、落下した収納物が底面で反射して飛び散ることが無く、従って泡立ちも防止することができ、静電気も殆ど発生しない。
【0018】
収納物の収納作業中は、蓋部材の充填口から落下させると、下に溜まった収納物と落下する収納物のぶつかりで常に泡が生産されるが、この発明のように容器内部の底面付近から噴出させることで、収納物の収納作業中は収納物の液面が上昇してゆくだけで、泡立ちは生じない。
【0019】
請求項2の発明は、上記請求項1に記載のコンテナ容器において、バルブ管の下部に、排出筒の先端部にバルブ管を接続した状態におけるバルブ管の中央の最大径となる大径部の下部を支えることができる溝状の受け部と、バルブ管が排出筒に取り付けられた状態でバルブ管の大径部の外側段差部分の端面に接するように前記受け部の下部から立ち上がり状に設けられたストッパとからなるバルブ受け具を設けてある構成を採用したものである。
【0020】
前記バルブ受け具の受け部は、断面が略U字状やその他の形状(四角、多角形)の溝状とすることで、バルブ管の中央の大径部を下から支えるとともに、大径部の側面側から保持することでバルブ管が横に落ちるのを防ぐようになっている。
【0021】
また、前記バルブ受け具のストッパは、前記受け部下部から立ち上がり状に設けられているので、バルブ管を受け部内に入れると、排出筒とバルブ管が離れている時はこのストッパ上にバルブ管の大径部が載るが、バルブ管を排出筒側に押していって排出筒と接続される定位置に来ると、この状態でストッパはバルブ管の大径部の外側段差部分の端面に接することになっているため、大径部の外側端部がストッパより内側となってバルブ管全体が受け部内に落ち込み、バルブ管が排出筒と接続される位置にて仮固定される。
【発明の効果】
【0022】
請求項1の発明によると、導入筒の存在により、収納物が液体や粘体のような流動体であっても、収納に際して容器本体の底面付近から導入されるので、収納物の落下による泡立ちが発生せず、この泡立ちに伴う静電気も発生しないので、内袋を用いたコンテナ容器であっても、静電気がたまることによる引火、爆発等の事故が生じない。
【0023】
静電気については、液体収納物を充填口から落下させる場合、約10kV以上の電圧の静電気が発生しており、内袋の存在で暫くこの電圧が維持されるが、この発明の導入筒を使用した場合、泡立ちが無く、発生する静電気も1kV未満であった。
【0024】
5kV以下であれば、ほぼ静電気による火花の発生による爆発事故は生じず、現在存在する静電気の安全基準の一例として5kV以下とする規定があるが、これも下回っているので、爆発事故はほぼ完全に防げ、引火性、発火性のある溶剤を収納物としても、問題なく保存や輸送ができることがわかった。
【0025】
請求項2の発明によると、上記請求項1の発明の効果に加えて、排出筒へのバルブ管を接続する作業が、一人の作業者で容易に取り付け作業ができると共に、断面U字状の受け部にバルブ管を入れて、排出筒側に押し込むというだけの作業にてバルブ管を定位置に仮固定することができ、その仮固定状態のまま排出筒とバルブ管との合わさった鍔部に別途接続部材を外嵌装するという簡単な作業で接続固定することができるので、高度の技量が要らず、確実に作業をすることができる。
【0026】
また、バルブ管を排出筒から取り外す作業においても、接続部材を取り外してもバルブ管は仮固定されたままの状態であり、一人の作業者が接続部材を取り去り後にバルブ管を容易に取り去ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、この発明の実施形態のコンテナ容器を説明する。図1は本発明のコンテナ容器の断面正面図、図2はコンテナ容器の蓋部材付近の拡大図、図3はコンテナ容器の排出筒付近の拡大図である。
【0028】
本発明のコンテナ容器1は、複数の支持脚2で自立するようにした金属製の容器本体3と、この容器本体3の上部中央部に形成された開口部4に嵌め込まれた蓋部材5と、容器本体3の底部に設けた排出筒6とからなり、排出筒6は、円筒パイプを用い、容器本体3の底部から垂下して途中から水平に屈曲し、端部では水平方向になるように設置され、この排出筒6の端部に別途用意した開閉バルブを内蔵したバルブ管7の一方端部を適宜な接続部材により接続することにより、排出筒6の端部開口を閉鎖している。
【0029】
容器本体3の上部開口部4に嵌め込まれた蓋部材5は、その中央部に収納物を容器本体3内に導入するための充填口8が設けられており、普段はキャップ等により閉鎖されている。
【0030】
本発明では、蓋部材5の下面には垂直方向に伸びた導入筒9が一体に設けられており、この導入筒9は蓋部材5を容器本体3の開口部4に取り付けた際に、下端が容器本体3の内部底面付近に達するようになっている。
【0031】
この導入筒9の上端の蓋部材5と接続された部分では蓋部材5の充填口8と導入筒9の内部は導通状態となっており、また、導入筒9の下端には、水平方向に向けて複数の噴出孔10が設けられている。
【0032】
容器本体3内に収納される内袋11は、PE、PA、PP等の可撓性を有する合成樹脂製であり、大きさ及び形状が容器本体3の内壁に沿って収納可能なようなっており、上端に容器本体の開口部内側に適合する上部筒状部12と、下端に排出筒6内に適合して排出筒6から突出する長さの排出用筒状部13とが設けられている。
【0033】
この内袋11のコンテナ容器1への固定は、上部筒状部12を容器本体3の開口部4に沿って突出させた状態で蓋部材5を開口部4に嵌め込むことで、上部筒状部12が容器本体3の開口部4の周縁部と蓋部材5とによって挟まれて固定され、更に、下部の排出用筒状部13を排出筒6を通じて排出筒6の外側に突出させてから排出筒6の外側に折り返し、この状態で排出筒6にバルブ管7を接続することで排出筒6の端部でバルブ管7とに挟まれて固定される。
【0034】
排出筒6にて内袋11の排出用筒状部13を突出させた状態で、この排出筒6の端部に別途用意したバルブ管7の一方端部を接続し、排出筒6の端部の鍔部とバルブ管7の鍔部を外側から接続部材にて外嵌装してこの接続部材を締結することによりバルブ管7を排出筒6に固定して排出筒6の端部開口の閉鎖と、内袋11の排出用筒状部13の挟み込みによる固定を行い、バルブ管7の上部に設けられたハンドルやレバー等の適宜部材の操作によりバルブ管7の開閉作用を行い、コンテナ容器1の容器本体3内の収納物を排出筒6及びバルブ管7を通じて排出するようになっている。
【0035】
バルブ管7は全体が筒状であるが、中央部が内部に開閉バルブ等の機構を有しているため他の部分より太い大径部14となっており、コンテナ容器1に対して外側となる他方端部に着脱自在な蓋15を有し、この蓋15を閉鎖し、内部の開閉バルブを閉じた状態でコンテナ容器内に収納物を充填して輸送や格納を行うと共に、収納した収納物の取り出しは、バルブ管7の蓋を取り外した後、開閉バルブを操作することによって行うことができる。
【0036】
そして、バルブ管7の下側には、バルブ管7を保持することにより排出筒6との接続を容易にするためのバルブ受け具16が排出筒6に対して固定されている。
【0037】
バルブ管7自体は前記接続部材により排出筒6に対して最終的に固定されるが、排出筒6との位置関係が変わらないように固定されたバルブ受け具16の上にバルブ管7が載置されることでバルブ管7は仮固定が可能となっており、接続部材の取り付け前、及び接続部材の取り外し後もバルブ管7はバルブ受け具16上で仮固定されることになる。
【0038】
バルブ受け具16は、図4に示すように、下側に湾曲した断面U字状の受け部17と、受け部17の一方側(コンテナ容器側)に設けられ、前記接続部材の取り付け取り外しに支障の無いように下側に一旦湾曲した延長部18に、排出筒6に外嵌合して固定する固定具19と、固定具19の下で位置の微調整のためのバネ部材20(図3参照)と、受け部17の下部の他方側(コンテナ容器1に対して外側)に設けられたストッパ21とからなる。
【0039】
この実施形態におけるバルブ受け具16は金属製であり、受け部17及び固定具19とが一体に接続され、同じく金属製のストッパ21を溶接等により取り付けており、受け部17はバルブ管7の大径部14が嵌る程度の大きさの断面U字状に湾曲し、図示では排出筒6の中心から見て下方に約180度の範囲を保持できるようにU字形であるが、バルブ管7を保持できる程度の形状であればよく、90度程度の範囲で保持できる形状でもよい。
【0040】
この受け部17は、図示のように幅方向両側が盛り上がって湾曲することで排出筒6の軸方向に延びる深い溝状となっているため、バルブ管7の設置の際、バルブ管7を側面側に落とすこと無くスムーズに排出筒6に取り付けることができる。
【0041】
前記受け部17の中央最下部の外端部に設けられたストッパ21は、バルブ管7を排出筒6と接続される所定位置に設置した際、バルブ管の大径部14の外側端部の段差部分の端面に接する位置となるようバルブ受け具16全体を固定具19により位置調整しておく。
【0042】
なお、ストッパ21における受け部17の最下部の上面とストッパ21の最上部との上下方向の高さHは、バルブ管7の大径部14の外側端部での段差寸法より小さい寸法としておく。
【0043】
なお、上記説明したバルブ受け具16の固定方法は図示のものに限定されるものではなく、排出筒6との位置関係を保持できる方法であればどのような手段を用いてもよい。
【0044】
上記した受け部17、延長部18、固定具19、ストッパ21とからなるバルブ受け具16の材料は、バルブ管7の積載や摺動に耐える剛性を有するものであれば実施形態の金属に限定されるものではなく、硬質の合成樹脂やその他のものも使用できる。
【0045】
また、この発明のバルブ受け具16としては図示のものに限定されず、受け部17やストッパ21の形状や大きさも使用されるバルブ管7の大きさにあわせて適宜変更して実施できる。
【0046】
次に、この発明のバルブ受け具16を用いたバルブ管7の排出筒6への接続作業を図5に基づいて説明すれば、まず一人の作業者がバルブ受け具16の受け部17の湾曲面内にバルブ管7の大径部14を入れるようにするが(図5(a)参照)、その際、排出筒6とバルブ管7とが干渉しないように本来の接続位置より外側に載せるため、バルブ受け具16のストッパ21の上面にバルブ管7の大径部14が載る形になる(図5(b)参照)。
【0047】
次に、作業者はバルブ管7全体を内袋11の排出用筒状部13が突出して外側に折り返された排出筒6の方向へ摺動スライドさせて進行させるが、その際、バルブ管7の大径部14は両側部が断面U字状となった受け部17が存在することにより、横側に落ちたりせずに進行させることができる(図5(c)参照)。
【0048】
その後、バルブ管7の鍔部が排出筒6の鍔部に接触する程度接近すると、バルブ管7の大径部14の外側端部がストッパ21の内側に到達するようになり(図5(d)参照)、そのままバルブ管7を排出筒側に押し込めば、大径部14の外側端部がストッパ21から下側の受け部17に落ち込み、大径部14は受け部17により下部から側部にかけて保持され、また軸方向内側には排出筒6の鍔部とバルブ管7の鍔部が接触しているため動きが制限され、また軸方向外側にはストッパ21が大径部14の端部の段差部分の端面に接触してバルブ管7が仮固定されることになる(図5(e)参照)。
【0049】
この状態になれば作業者は仮固定されたバルブ管7から手を離し、排出筒6の鍔部とバルブ管7の鍔部との重なり部分に対して、外側からリング状の接続部材(図示しない)を外嵌装して嵌め合わせてから、適宜の締結手段を用いて接続部材全体を締結すると、バルブ管7は排出筒6に接合・固定され、内袋11の排出用筒状部13も固定されることになる。
【0050】
なお、バルブ管7を排出筒6から取り外す際は、作業者は接続部材の締結を解除して接続部材を完全に取り去って前記状態とするが、この場合でもバルブ管7はバルブ受け具16の存在により仮固定されており落下等せず、作業者はこの状態よりバルブ管7を引き上げて排出筒6よりバルブ管7を完全に取り外せばよい。
【0051】
以上説明した排出筒6へのバルブ管7の取り付け作業及び取り外し作業は、全て一人の作業者にて作業を行うことができ、また、バルブ管7の仮固定作業と接続部材の外嵌装作業が別作業となるので取り付け作業が簡単で取り付け作業のミスが極めて少なくなる。
【0052】
この発明のコンテナ容器1は、上記のような構成であり、次に、このコンテナ容器1に収納物aとして液体を収納する場合について図6に基づいて説明する。
【0053】
この発明のコンテナ容器1に収納物を収納する際、蓋部材5の充填口8を封鎖しているキャップを外し、ここに適宜ホースを接続して収納物aをホースを通じて容器本体3内に導入するか、又は漏斗状の器具を充填口8にかませてから、その上方から重力を利用して収納物aを落下させて収納するようにする。
【0054】
その際、充填口8から内に入った収納物aは、充填口8と連通する導入筒9の内部に導入され、収納物aは導入筒9の下端にある噴出孔10から容器本体3の底面付近に導入され、噴出孔10は横向きに多数放射状に設けられているため、容器本体3の底面に平行な方向に導入筒9を中心に均等に広がるので、収納物aが底面等にぶつかって泡立つということが生じない。
【0055】
また、収納物aの充填が進むと、容器内部の底面付近から周りに均等に噴出する収納物aは、泡立つことなく収納物aの液面がだんだんと上昇するようになり、泡立ちのための収納物aの収納空間を減らすことなしに充填されていく。
【0056】
この際、泡立ちが無いので静電気も殆ど発生せず、火花が生じて危険とされる10kVを遥かに下回る1kV程度の静電気であり、充填中、及びその後の保存中、輸送中に爆発事故を生じることを防ぐことができる。
【0057】
コンテナ容器1から収納物aを取り出す際は、バルブ管7の開閉バルブを操作して、重力を利用して排出筒6を通じてバルブ管7から収納物aを完全に取り出し、他の種類の収納物を入れる場合、バルブ管7と蓋部材5を取り外し、内袋11の固定を解き、容器本体3の開口部4から使用済みの内袋11全体を取り出し、使用後の内袋11は焼却等により安全に処分する。
【0058】
その後、新たな内袋11をコンテナ容器1に収納し、新たな収納物の収納に備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明のコンテナ容器の断面正面図である。
【図2】図1の蓋部材付近の拡大図である。
【図3】図1の排出筒付近の拡大図である。
【図4】バルブ受け具の斜視図である。
【図5】(a)(b)(c)(d)(e)はバルブ受け具を使用したバルブ管の取り付け作業を示す正面図である。
【図6】本発明のコンテナ容器への収納物の収納状態を示す断面正面図である。
【符号の説明】
【0060】
1 コンテナ容器
2 支持脚
3 容器本体
4 開口部
5 蓋部材
6 排出筒
7 バルブ管
8 充填口
9 導入筒
10 噴出孔
11 内袋
12 上部筒状部
13 排出用筒状部
14 大径部
15 蓋
16 バルブ受け具
17 受け部
18 延長部
19 固定具
20 バネ部材
21 ストッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部の開口部と下部の排出筒とを有する容器本体と、
容器本体の開口部を閉鎖し開閉自在の充填口を有する蓋部材と、
容器本体の排出筒に導通して接続され開閉バルブを内蔵するバルブ管と、
可撓性材料で構成され、容器本体内壁に沿って収納可能な形状をし、上端に容器本体の開口部内側に適合する上部筒状部と、下端に排出筒内に適合して排出筒から突出する長さの排出用筒状部とが設けられ、上部筒状部が容器本体の開口部と蓋部材とに挟まれ、排出用筒状部が排出筒とバルブ管とに挟まれて容器本体内に固定される内袋とからなるコンテナ容器において、
蓋部材の下面に垂直方向に伸び蓋部材を容器本体に取り付けた際に下端が容器本体の内部底面付近に達する導入筒が設けられ、該導入筒の上端は蓋部材の充填口と導通し下端に噴出孔を有することを特徴とするコンテナ容器。
【請求項2】
バルブ管の下部に、排出筒の先端部にバルブ管を接続した状態におけるバルブ管の中央の最大径となる大径部の下部を支えることができる溝状の受け部と、バルブ管が排出筒に取り付けられた状態でバルブ管の大径部の外側段差部分の端面に接するように前記受け部の下部から立ち上がり状に設けられたストッパとからなるバルブ受け具を設けてあることを特徴とする請求項1に記載のコンテナ容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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