説明

コンテナ運搬具

【課題】コンテナ運搬具へのコンテナの積み込み、積み下ろし作業の労力を軽減し得るコンテナ運搬具を提供すること。
【解決手段】底部1aと背部1bと左右側部1c、1cとを有していて、前方及び上方が開放したコンテナ運搬具本体1の前記背部1bの背面に、ローダ装置3のブーム3aの先端にチルト・ダンプ動作可能に取り付けるための取付部1d,1eを設けており、前記底部1aにコンテナ4を前後方向に移動可能に載置するローラコンベア2を敷設している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タマネギやニンジンなどの農作物をコンテナ(上方が開放した四角形箱状の樹脂製容器)に収穫し、このコンテナを圃場から集荷場所などに搬送するためにフロントローダやホイールローダ等のローダ装置の先端に取り付けて使用可能としたコンテナ運搬具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、圃場で収穫機により収穫された農作物を、収穫機に伴走するトラクタ牽引トレーラに積み替えて搬出するハンドリング搬送装置が公知である(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−254975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1のものは、ハンドリング搬送装置をトラクタに別設する必要がある。しかも、このハンドリング搬送装置は、コンテナの搭載位置に応じて位置調整可能なアーム機構を装備させ、トラクタの外部出力により駆動され、トラクタの操縦席に設けた操作装置により操作されてコンテナの持ち上げ、移動、着地をシーケンス制御により自動化させているため、複雑高価なものとなる。
本発明は、コンテナ運搬具へのコンテナの積み込み、積み下ろし作業の労力を軽減し得るコンテナ運搬具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために本発明は、底部と背部と左右側部とを有していて、前方及び上方が開放したコンテナ運搬具本体の前記背部の背面に、ローダ装置のブーム先端にチルト・ダンプ動作可能に取り付けるための取付部を設けており、前記底部に、コンテナを前後方向に移動可能に載置するローラコンベアを敷設していることを特徴としている。
この構成によれば、コンテナ運搬具本体をローダ装置のブームに取り付けて、移動及びチルト・ダンプ動作をさせることができると共に、コンテナ運搬具本体の底部に敷設したローラコンベアにより、コンテナ運搬具本体の手前にコンテナを乗せるだけでコンテナ運搬具本体の奥部までスムーズに滑り入れる(積み込む)ことができる。
【0006】
また、コンテナをコンテナ運搬具本体から下ろす場合やトラックに載せ替える場合は、コンテナ運搬具本体を前部が低くなるように若干傾けるだけで、コンテナをその自重で滑り下ろす(送り出す)ことができ、人力は不要である。
このように、本発明によれば、コンテナのコンテナ運搬具本体への積み込み、積み下ろし作業を簡単な手段で実現することができる。
前記ローラコンベアは、複数のローラをその支軸の軸線をコンテナ運搬具本体の左右方向に平行にして、かつ、前後方向に間隔をおいて配置してあることが望ましい。
【0007】
また、前記ローラは、コンテナ運搬具本体の左右方向に複数列配置してあることが望ましい。
さらに、前記取付部は、ローダ装置のブーム先端へ取付ける支持ブラケットと、前記ブームに装備された作業具シリンダに連結する連結ブラケットとを備えていることが望ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コンテナ運搬具へのコンテナの積み込み、積み下ろし作業の労力を軽減し得るコンテナ運搬具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係るコンテナ運搬具の概略斜視図である。
【図2】コンテナ運搬具の底部へのローラコンベアの取付構造例の説明図である。
【図3】本発明に係るコンテナ運搬具へのコンテナの積み込み作業の概略説明図である。
【図4】本発明に係るコンテナ運搬具へのコンテナの積み下ろし作業の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
本発明に係るコンテナ運搬具は、図1に示すように、コンテナ運搬具本体1の底部1aにローラコンベア2を敷設したものである。
コンテナ運搬具本体1は、底部1aと、底部1aの後端から立ち上がる背部1bと、底部1aの左右両側から立ち上がり背部1bに連結された側部1c、1cとからなり、前方及び上方が開放した形状とされている。
背部1bの背面(外面)にフロントローダ又はホイールローダ等のローダ装置3へ取り付けるための取付部1d、1eが設けられている。
【0011】
ローラコンベア2は、コンテナ運搬具本体1の底部1aに載置されるコンテナ4(図2、図3参照)をコンテナ運搬具本体1の前後方向に移動可能とするため、複数の自由回転するローラ2aを、図1及び図2に示すように、その支軸2bの軸線をコンテナ運搬具本体1の左右方向に平行にして、かつ、前後方向に間隔をおいて配置してある。また、このローラコンベア2は、コンテナ運搬具本体1の左右方向に複数列配置してある。
本実施形態において、コンテナ運搬具本体1の底部1aは、図1及び図2に示すように、左右両側の外側桟1a1、1a2と複数の中間桟1a3、1a4と、前後の連結板1a5、1a6とで枠状に構成されている。そして、各ローラ2aの支軸2bは、左右両側の外側桟1a1、1a2の間に複数の中間桟1a3、1a4を貫通して配置され、各桟間にローラ2aが複数個(図1、図2は2個の場合を例示している)配置されている。
【0012】
なお、図2においては、ローラ2aによるコンテナ支持面高さは、各桟の上面と同じとした場合を例示しているが、各桟の上面を低くしてもよく、高くしてもよい。例えば、各桟の上面をローラ2aの上面より低くした場合では、コンテナ4をコンテナ運搬具本体1に左右方向の積み込み巾の制約を受けずに積み込むことができる。また、各桟の上面をローラ2aの上面より高くした場合では、各桟の配置間隔巾内にコンテナ4を整列させて積み込むことができる。
前記取付部1d、1eは、コンテナ運搬具本体1の背部1bの下端付近に取り付けられたものと、背部1bの上下方向途中に取り付けられたものとに分けて構成されており、これらのうち、下端付近のものは、図3及び図4に示すように、ローダ装置3の昇降自在なブーム3aの先端へ取り付ける支持ブラケット1dとされ、また、上下方向途中のものは、前記ブーム3aに装備された作業具シリンダ3bに連結する連結ブラケット1eとされている。
【0013】
これらの取付部1d、1eと、ブーム3aの先端及び作業具シリンダ3bとは、抜き差し可能なピン5、6によって着脱可能に連結されており、これによって、コンテナ運搬具本体1は、ローダ装置3のブーム3a先端に対して着脱自在に、かつ、チルト・ダンプ動作可能に連結されている。
本発明に係るコンテナ運搬具の実施形態は、以上の構成からなり、次に、その動作を説明する。
本発明のコンテナ運搬具を使用するには、図1に示すコンテナ運搬具本体1の取付部1d、1eを、図3及び図4に示すように、ローダ装置3のブーム3aの先端及び作業具シリンダ3bにピン5、6によって連結する。そして、ローダ装置3のブーム3aの昇降操作及び作業具シリンダ3bの伸縮操作によってコンテナ運搬具本体1の昇降動作及びチルト・ダンプ動作や傾斜動作を行わせる。
【0014】
例えば、コンテナ4をコンテナ運搬具本体1に積み込む場合には、図3に示すように、作業具シリンダ3bを動作させてコンテナ運搬具本体1の底部1aの前側が後側よりも若干高くなるように傾けておく。この場合、水平面に対する傾斜角度αを、例えば、α=5〜25°程度傾けておく。この状態で、作業者7が人手でコンテナ4を圃場の地面から持ち上げてコンテナ運搬具本体1の手前側に載せる。これにより、コンテナ4は、自重によりローラコンベア2上を滑ってコンテナ運搬具本体1の奥側に移動する。
なお、コンテナ4の積み込みは、コンテナ運搬具本体1の底部1aを水平にしておき、作業者7が人手で押し込むか、コンテナ4の積み込み後に図3のように傾斜させて移動させるようにしてもよい。
【0015】
また、コンテナ運搬具本体1に積み込んだコンテナ4をトラック8の荷台8aに載せ替える場合には、図4に示すように、コンテナ4を積み込んだコンテナ運搬具本体1をトラック8の荷台8aの上部に移動させる。これには、ローダ装置3を運転して移動させる。そして、ブーム3aを下げ、さらに、作業具シリンダ3bを動作させてコンテナ運搬具本体1の底部1aの前側が後側よりも低くなるように傾斜角度αだけ傾斜させてトラック8の荷台8aに当接させる。これにより、コンテナ4は、自重によりローラコンベア2上を滑ってコンテナ運搬具本体1の底部1aからトラック8の荷台8a上に移動する。
【0016】
以上説明したように、本発明によれば、コンテナ運搬具本体1の底部1aに敷設したローラコンベア2により、コンテナ運搬具本体1の手前にコンテナ4を乗せるだけでコンテナ4を、傾斜を利用して自重でコンテナ運搬具本体1の奥部までスムーズに滑り入れる(積み込む)ことができる。即ち、コンテナ4のコンテナ運搬具本体1への積み込み時、コンテナ4をコンテナ運搬具本体1の奥まで押し込む必要がないので、整列させたコンテナ4の積み込みの作業労力を低減することができる。
また、コンテナ4をコンテナ運搬具本体1から下ろす場合やトラック8に載せ替える場合は、コンテナ運搬具本体1を前部が低くなるように若干傾けるだけで、コンテナ4をその自重で滑り下ろす(送り出す)ことができ、人力は不要である。
【0017】
このように、本発明によれば、コンテナ4のコンテナ運搬具本体1への積み込み、積み下ろし作業を簡単な手段で実現することができる。
本発明の実施形態は以上であるが、本発明は、この実施形態にのみ制約されるものではなく、種々変形して実施することができる。例えば、コンテナ運搬具本体1は、底板付きであってもよく、また、側壁や背壁を設けてもよい。さらに、ローラコンベア2は、各桟間で独立した支軸2bで支持させてもよい。
【符号の説明】
【0018】
1 コンテナ運搬具本体
2 ローラコンベア
3 ローダ装置
4 コンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部と背部と左右側部とを有していて、前方及び上方が開放したコンテナ運搬具本体の前記背部の背面に、ローダ装置のブーム先端にチルト・ダンプ動作可能に取り付けるための取付部を設けており、前記底部に、コンテナを前後方向に移動可能に載置するローラコンベアを敷設していることを特徴とするコンテナ運搬具。
【請求項2】
前記ローラコンベアは、複数のローラをその支軸の軸線をコンテナ運搬具本体の左右方向に平行にして、かつ、前後方向に間隔をおいて配置してあることを特徴とする請求項1に記載のコンテナ運搬具。
【請求項3】
前記ローラコンベアは、コンテナ運搬具本体の左右方向に複数列配置してあることを特徴とする請求項2に記載のコンテナ運搬具。
【請求項4】
前記取付部は、ローダ装置のブーム先端へ取付ける支持ブラケットと、前記ブームに装備された作業具シリンダに連結する連結ブラケットとを備えていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のコンテナ運搬具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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