説明

コンテナ

【課題】個体識別用の表示媒体が外部からの衝撃を受け難くいコンテナを提供する。
【解決手段】本発明のコンテナ10は、コンテナ本体11と、コンテナ本体11に設けられ、少なくとも表示部13および制御部14を有する表示媒体12とを備え、コンテナ本体11は、少なくとも1つの側壁11Aが外側板15と内側板16から構成される二重構造をなし、表示媒体12は、内側板16に一体化されかつ外側板15と内側板16の間に配置され、外側板15は、表示部13に対応する領域に、表示部13を外側に露出するための窓部21,22が設けられ、内側板16は、コンテナ本体11に取り外し可能に嵌合されたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物を梱包せずに収容して搬送(運送)するために用いられるコンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
荷物を梱包せずに収容して搬送(運送)するために、コンテナ(箱状の容器)が用いられることがある。コンテナは、同種のものが多数用いられることが多い上に、重ね置きされることが多い。そのため、コンテナの外見からでは、コンテナに収容されているものを識別することが難しい。
【0003】
そこで、近年、コンテナおよびその収容物を識別するために、コンテナの外側面に情報表示媒体を貼付して、その情報表示媒体により、コンテナおよび収容物に関する情報を表示する方法が採用されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−233786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、コンテナの外側面に情報表示媒体を貼付した場合、情報表示媒体が外部からの衝撃を受けやすく、その衝撃によって、情報表示媒体の制御部が損傷することがあるという問題があった。そこで、情報表示媒体が衝撃を受け難くするための方法としては、情報表示媒体を筐体(枠体)に収容した状態で、コンテナの外側面に貼付する方法が挙げられる。しかしながら、情報表示媒体を筐体(枠体)に収容すると、筐体の分の厚さが増したり、表示部による表示のコントラストが低下したりするなどの問題があった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、個体識別用の表示媒体が外部からの衝撃を受け難いコンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のコンテナは、コンテナ本体と、該コンテナ本体に設けられ、少なくとも表示部および制御部を有する表示媒体とを備えたコンテナであって、前記コンテナ本体は、少なくとも一側壁が外側板と内側板から構成される二重構造をなし、前記表示媒体は、前記内側板に一体化されかつ前記外側板と前記内側板の間に配置され、前記外側板は、前記表示部に対応する領域に、前記表示部を外側に露出するための窓部が設けられ、前記内側板は、前記コンテナ本体に取り外し可能に嵌合されたことを特徴とする。
【0008】
前記外側板は、その厚さ方向に貫通し、外部から前記内側板を押圧可能とする貫通穴が設けられたことが好ましい。
【0009】
前記表示媒体は、ICチップと動作電力を供給するアンテナコイルを兼ね備えた制御部を有する電子ペーパー表示媒体であることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のコンテナによれば、表示媒体が、外側板と内側板の間に配置されているので、表示媒体の制御部が外部からの衝撃を直接受けることがなく、制御部が損傷することを防止できる。また、内側板をコンテナ本体から取り外すことができるので、万一、表示媒体が壊れたとしても、内側板ごと表示媒体を交換すれば、コンテナ本体をそのまま使用することができる。一方、コンテナ本体が壊れても、表示媒体が使用可能である場合、内側板ごと表示媒体を別のコンテナ本体に適用すれば、再利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のコンテナの一実施形態を示す概略斜視図である。
【図2】本発明のコンテナの一実施形態を示す概略分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のコンテナの実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0013】
図1は、本発明のコンテナの一実施形態を示す概略斜視図である。図2は、本発明のコンテナの一実施形態を示す概略分解斜視図である。
本実施形態のコンテナ10は、コンテナ本体11と、コンテナ本体11に配設された表示媒体12とから概略構成されている。
表示媒体12は、表示部13と、表示部13の表示内容などを制御する制御部14とから概略構成されている。
【0014】
コンテナ本体11の形状は特に限定されるものではないが、例えば、略直方体形状、略立方体形状をなしている。
コンテナ本体11は、1つの側壁11Aが外側板15と内側板16から構成される二重構造をなしている。すなわち、側壁11Aは、コンテナ本体11の4つの側壁を構成するうちの1つをなす外側板15と、この外側板15に対して、コンテナ本体11の内側から重なるように設けられた内側板16とから構成されている。
【0015】
内側板16は、コンテナ本体11の内側に配置された場合、コンテナ本体11の内側の底面(以下、「内底面」と言う。)11aと対向する端面16aの中央部に、内底面11a側に凸の嵌合凸部17が設けられている。
一方、コンテナ本体11は、内底面11aにおいて、外側板15の中央部に、内側板16の嵌合凸部17を嵌合するための嵌合凹部18が設けられている。コンテナ本体11の嵌合凹部18の形状は、内側板16の嵌合凸部17の外形形状とほぼ等しくなっている。
【0016】
内側板16を、外側板15に沿ってコンテナ本体11内に配置するとともに、内側板16の嵌合凸部17を、コンテナ本体11の嵌合凹部18に嵌合することにより、内側板16がコンテナ本体11内の所定に位置に固定される。すなわち、内側板16が外側板15に重なるように配置されて、外側板15と内側板16から構成される二重構造の側壁11Aが形成される。
また、コンテナ本体11の嵌合凹部18から、内側板16の嵌合凸部17を引き抜くことにより、コンテナ本体11から内側板16を容易に取り外すことができる。
【0017】
内側板16は、外側板15の内側面(コンテナ本体11の内側の側面)15aとほぼ大きさが等しくなっている。すなわち、外側板15における内側板16と接する面の面積と、内側板16における外側板15と対向する面(以下、「一方の面」と言う。)16bの面積と、がほぼ等しくなっている。
これにより、コンテナ本体11の内側から外側板15に重なるように、内側板16が配置された場合、内側板16は、側壁11Aをなす外側板15にほぼ垂直に交わり、外側板15とは異なり、側壁11Bをなす外側板19と側壁11Cをなす外側板20の間に挟まれるので、内側板16がコンテナ本体11の内側においてがたつくことなく、安定に固定される。
【0018】
表示媒体12は、内側板16の一方の面16b上に接着剤などを介して固定され、内側板16と一体化されている。したがって、コンテナ本体11の内側から外側板15に重なるように、内側板16が配置された場合、表示媒体12は、外側板15と内側板16の間に挟まれるように配置される。
これにより、表示媒体12は、外側板15と内側板16の間に固定されるとともに、後述する表示部13以外の部分が外側板15によって覆われるので、制御部14が外部からの衝撃を直接受けることがない。
【0019】
外側板15は、コンテナ本体11の内側から外側板15に重なるように、内側板16が配置された場合、表示媒体12の表示部13が配置される位置に対応する領域に、表示部13のみを外側に露出するための窓部21,22が設けられている。
窓部21,22は、外側板15を厚さ方向に貫通する穴であり、その形状や大きさは特に限定されるものではなく、表示部13の形状や大きさなどに応じて適宜設定される。
これにより、コンテナ本体11の内側から外側板15に重なるように、内側板16が配置された場合、コンテナ本体11の外部から、表示媒体12の表示部13が視認可能となる。
【0020】
また、外側板15は、その厚さ方向に貫通し、コンテナ本体11の外部から、外側板15に重なるように配置された内側板16を押圧可能とする貫通穴23が設けられていることが好ましい。
貫通穴23を介して、指などで、外側板15に重なっている内側板16を押圧することによって、内側板16を外側板15から容易に離隔させることができ、結果として、内側板16をコンテナ本体11から容易に取り外すことができる。
【0021】
コンテナ本体11には、対向する側壁にそれぞれ、コンテナ10を把持するための把持部24,25が設けられている。
把持部24,25は、コンテナ本体11を厚さ方向に貫通する穴であり、その形状や大きさは特に限定されるものではなく、コンテナ本体11の形状や大きさなどに応じて適宜設定される。
【0022】
さらに、内側板16は、コンテナ本体11の内側から外側板15に重なるように、内側板16が配置された場合、コンテナ本体11の把持部24と重なる領域に、把持部24と形状および大きさがほぼ等しく、かつ把持部24と連通する把持部26が設けられている。
このように、コンテナ本体11に把持部24,25が設けられ、内側板16に把持部26が設けられているので、これらの把持部24,25,26に手を掛けることにより、人間の手でコンテナ10を容易に運搬することができる。
【0023】
コンテナ本体11の材料は、特に限定されるものではなく、一般的に人間の手で運搬可能なコンテナに適用される金属、プラスチック、木材などの材料が用いられる。
【0024】
表示媒体12としては、表示部13が電子ペーパー表示媒体、表示部13が液晶表示素子から構成される液晶表示装置、表示部13が有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)から構成される有機EL表示装置などが挙げられるが、これらの中でも、厚さが薄く、可撓性に優れ、かつ駆動に要する電力が少ないことから、ICチップと動作電力を供給するアンテナコイルを兼ね備えた制御部を有する電子ペーパー表示媒体が好ましい。
【0025】
表示媒体12は、表示部13として電子ペーパー、液晶表示素子、有機EL素子などを備えたRFID用途のモジュールであってもよい。
表示媒体12がRFID用途のモジュールである場合、表示媒体12は、アンテナおよびICチップを備える。
また、表示媒体12は、バーコードを備えていてもよい。表示媒体12がバーコードを備える場合、外側板15は、コンテナ本体11の内側から外側板15に重なるように、内側板16が配置された場合、表示媒体12のバーコードが配置される位置に対応する領域に、バーコードのみを外側に露出するための窓部が設けられる。
【0026】
コンテナ10によれば、表示媒体12は、外側板15と内側板16の間に挟まれるように配置されているので、表示媒体12の制御部14が外部からの衝撃を直接受けることがなく、制御部14が損傷することを防止できる。
また、内側板16をコンテナ本体11から容易に取り外すことができるので、万一、表示媒体12が壊れたとしても、内側板16ごと表示媒体12を交換すれば、コンテナ本体11をそのまま使用することができる。一方、コンテナ本体11が壊れても、表示媒体12が使用可能である場合、内側板16ごと表示媒体12を別のコンテナ本体に適用すれば、再利用することができる。したがって、低コストでコンテナを使用することができる。これに対して、従来のように、コンテナ本体の外側面に表示媒体を貼付した場合は、コンテナ本体あるいは表示媒体のいずれか一方が壊れたら、両方を交換しなければならず、コストが増加する。
【0027】
さらに、表示媒体12が、外側板15と内側板16の間に挟まれるように配置され、コンテナ本体11の外側面に設けられていないので、表示媒体12の分だけコンテナ10の側壁の厚さが増すことがないので、コンテナ10を整然と並べることができる。
そして、表示媒体12が、筐体などに収容されることなく、表示部13がコンテナ本体11の窓部21,22を介して、外部から視認可能であるので、表示部13による表示のコントラストが低下して、表示が見難くなるなどの不具合が生じることがない。
【0028】
なお、本実施形態では、コンテナ本体11の1つの側壁11Aが外側板15と内側板16から構成される二重構造をなし、外側板15と内側板16の間に表示媒体12が配置された場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、コンテナ本体において、2つ以上の側壁が外側板と内側板から構成される二重構造をなしていてもよく、それぞれの側壁において、外側板と内側板の間に表示媒体が配置されていてもよい。また、二重構造をなす側壁を構成する外側板のそれぞれに、その厚さ方向に貫通し、外部から内側板を押圧可能とする貫通穴が設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0029】
10・・・コンテナ、11・・・コンテナ本体、12・・・表示媒体、13・・・表示部、14・・・制御部、15・・・外側板、16・・・内側板、17・・・嵌合凸部、18・・・嵌合凹部、19,20・・・外側板、21,22・・・窓部、23・・・貫通穴、24,25,26・・・把持部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナ本体と、該コンテナ本体に設けられ、少なくとも表示部および制御部を有する表示媒体とを備えたコンテナであって、
前記コンテナ本体は、少なくとも一側壁が外側板と内側板から構成される二重構造をなし、
前記表示媒体は、前記内側板に一体化されかつ前記外側板と前記内側板の間に配置され、
前記外側板は、前記表示部に対応する領域に、前記表示部を外側に露出するための窓部が設けられ、
前記内側板は、前記コンテナ本体に取り外し可能に嵌合されたことを特徴とするコンテナ。
【請求項2】
前記外側板は、その厚さ方向に貫通し、外部から前記内側板を押圧可能とする貫通穴が設けられたことを特徴とする請求項1に記載のコンテナ。
【請求項3】
前記表示媒体は、ICチップと動作電力を供給するアンテナコイルを兼ね備えた制御部を有する電子ペーパー表示媒体であることを特徴とする請求項1または2に記載のコンテナ。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−67412(P2013−67412A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207799(P2011−207799)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】