説明

コンテンツセントリックネットワークにおけるエネルギ効率のよいコンテンツ検索

【課題】エネルギ効率のよいコンテンツ検索を容易とする携帯機器及びコンテンツ検索エージェントを含むシステムを提供する。
【解決手段】携帯機器は、ユーザからコンテンツの一部についての要求を受信する。要求に応答して、携帯機器の代わりにリモート装置から要求されたコンテンツを取得するように構成されたコンテンツ検索エージェントに対して要求を転送する。システムは、コンテンツ検索エージェントが携帯機器についての要求されたコンテンツを取得しており且つ携帯機器に対してコンテンツを伝送していないときに携帯機器の受信機が省エネスリープモードに設定されるのを許容する。コンテンツ検索エージェントが携帯機器に対してコンテンツを伝送しているときに携帯機器の受信機が起動するのを許容する。携帯機器は、コンテンツ検索エージェントからコンテンツを受信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、コンテンツセントリックネットワークにおけるコンテンツルーティングに関する。より具体的には、本開示は、コンテンツセントリックネットワーク(CCN)におけるエネルギ効率のよいコンテンツ検索に関する。
【発明の概要】
【0002】
本発明の1つの実施形態は、エネルギ効率のよいコンテンツ検索を容易とする携帯機器及びコンテンツ検索エージェントを含むシステムを提供する。動作中において、携帯機器は、ユーザからコンテンツの一部についての要求を受信する。要求に応答して、携帯機器は、携帯機器の代わりにリモート装置から要求されたコンテンツを取得するように構成されたコンテンツ検索エージェントに対して要求を転送する。システムは、コンテンツ検索エージェントが携帯機器についての要求されたコンテンツを取得しており且つ携帯機器に対してコンテンツを伝送していないときに携帯機器の受信機が省エネスリープモードに設定されるのを許容する。システムは、コンテンツ検索エージェントが携帯機器に対してコンテンツを伝送しているときに携帯機器の受信機が起動するのを許容する。携帯機器は、コンテンツ検索エージェントからコンテンツを受信する。
【0003】
この実施形態における1つの変形例において、携帯機器、コンテンツ検索エージェント、及び/又は、リモート装置は、コンテンツセントリックネットワーク(CCN)を介して互いに接続されている。
【0004】
この実施形態におけるさらなる変形例において、コンテンツ検索エージェントに対して要求を転送することは、携帯機器がコンテンツの名称に基づいて検索を実行することを含み、そして、コンテンツは、コンテンツがコンテンツ検索エージェントに記憶されているか否かにかかわらず、コンテンツ検索エージェントに対してマッピングされる。
【0005】
さらなる変形例において、リモート装置からコンテンツを取得することは、コンテンツ検索エージェントがコンテンツの名称に基づいて検索を実行することによってリモート装置を識別することを含む。
【0006】
この実施形態における1つの変形例において、受信機は、起動前に所定時間だけエネルギ効率のよいスリープモードに設定される。
【0007】
この実施形態における1つの変形例において、システムは、受信機が起動してコンテンツを受信する準備ができていることをコンテンツ検索エージェントに通知する。
【0008】
この実施形態における1つの変形例において、携帯機器は、コンテンツ検索エージェントがコンテンツの少なくとも一部を取得した後に、コンテンツ検索エージェントからのコンテンツの受信を開始する。
【0009】
この実施形態における1つの変形例において、携帯機器は、さらに、その後にコンテンツ検索エージェントからキャッシュに格納されたコンテンツのコピーを受信するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の実施形態にかかるエネルギ効率のよいコンテンツ検索のための典型的なシステムアーキテクチャの概略図を示している。
【図2】図2は、本発明の実施形態にかかる典型的なコンテンツ検索エージェントのアーキテクチャの概略図を示している。
【図3】図3は、本発明の実施形態にかかる典型的な携帯機器のアーキテクチャの概略図を示している。
【図4】図4は、本発明の実施形態にかかるコンテンツ検索エージェントを介してリモート装置からコンテンツの一部を取得する携帯機器のプロセスの時空間概略図を示している。
【図5】図5は、本発明の実施形態にかかるそのコンテンツ検索エージェントからデータをストリーミングする携帯機器のプロセスの時空間概略図を示している。
【図6】図6は、本発明の実施形態にかかるCCNにわたるカストディアンベースのルーティングにおけるエネルギ効率のよいコンテンツ検索を容易とする典型的なコンピュータシステムを示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の説明は、いかなる当業者も本発明を実施して使用することが可能なように示されており、特定のアプリケーション及びその要件との関連で提供される。開示される実施形態に対する様々な変更は、当業者にとって容易に明らかなはずであり、本願明細書において定義される一般的原則は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、他の実施形態及びアプリケーションに適用されてもよい。それゆえに、本発明は、示される実施形態に限定されるものではなく、本願明細書において開示される原理及び特徴と一致する最も広い範囲と一致する。
【0012】
この詳細な説明において開示されるデータ構造及びコードは、通常、コンピュータシステムによって使用するためにコード及び/又はデータを記憶することができる任意の装置又は媒体であり得るコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶されている。コンピュータ読み取り可能な媒体は、それらに限定されるものではないが、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ディスクドライブ、磁気テープ、CD(コンパクトディスク)、DVD(ディジタル多用途ディスク又はディジタルビデオディスク)等の磁気及び光記憶装置、又は、現在知られている若しくは後に開発されるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を記憶することができる他の媒体を含む。
【0013】
本発明の実施形態は、携帯機器がエネルギ効率のよい方法でコンテンツを取得するための解決策を提供する。電力制限された携帯機器がリモートサーバ又は装置から大きなコンテンツの検索を試みるとき、携帯機器の受信機を始終電源が投入されたままとする代わりに、携帯機器は、その受信機を所定の省エネスリープ/スリープ解除サイクルに設定することができる。受信機がスリープ中に、到来するパケットの受け損ないを回避するために、携帯機器は、携帯機器の代わりにコンテンツを検索して記憶することができるそのコンテンツ検索エージェントとして、ほとんど電力制限を有しない又は電力制限を全く有しない固定型装置を指定することができる。コンテンツ検索エージェントは、携帯機器の受信機のスリープサイクルを知っており、その受信機がスリープ解除したときに携帯機器に対してコンテンツを伝送することができる。さらに、携帯機器は、指定されたコンテンツ検索エージェントに対して、コンテンツセントリックネットワーク(CCN)インタレストのバッチ等、ダウンロード要求のバッチを送信することができ、その受信機をスリープモードに設定することができる。エージェントは、携帯機器の代わりに要求されたコンテンツをダウンロードし、ダウンロードの終了後に携帯機器を起動し、そして、携帯機器に対してコンテンツを提供する。
【0014】
本開示はCCNに基づく例を使用して示されるものの、本発明の実施形態は、CCNに限定されるものではない。
【0015】
用語「カストディアン」とは、インタレストに対応するコンテンツを記憶する装置をいう。カストディアンは、揮発性又は不揮発性記憶装置にデータを記憶することが可能な任意の種類の装置とすることができる。カストディアンは、ラップトップコンピュータ、タブレット若しくはスレートコンピュータ、スマートフォン、若しくは、携帯情報端末機(PDA)等の携帯型計算装置、又は、デスクトップコンピュータ若しくはホームメディアサーバ等の固定型計算装置とすることができる。
【0016】
用語「コンテンツ検索エージェント」とは、他の装置の代わりにコンテンツ検索を実行する装置をいう。コンテンツ検索エージェントは、ネットワークを介して他のリモートサーバ及び装置に対して接続され且つ他のリモートサーバ及び装置からデータを検索するのを可能とする任意のタイプの装置とすることができる。さらに、コンテンツ検索エージェントは、揮発性又は不揮発性記憶装置にデータを記憶する。電力制限の要件のために、コンテンツ検索エージェントは、デスクトップコンピュータ又はホームメディアサーバ等の固定型計算装置であるのが望ましい。代わりに、携帯計算装置は、他の携帯機器についてのコンテンツ検索エージェントの機能を果たすことができる。携帯機器の例は、それらに限定されるものではないが、ラップトップコンピュータ、タブレット又はスレートコンピュータ、スマートフォン、及び、携帯情報端末(PDA)を含む。ここで留意すべきは、コンテンツ検索エージェント及びカストディアンは、同じ又は異なるエンティティとすることができるということである。
【0017】
用語「通信エンドポイント」とは、リモート装置がそれを介して計算装置と通信することができる計算装置にある通信インターフェースをいう。「通信エンドポイント」は、それらに限定されるものではないが、WiFi(商標)(Wi−Fiアライアンスの商標)インターフェース、第3世代携帯電話インターフェース、及び、ブルートゥース(商標)(ワシントン州カークランドのブルートゥース・スペシャル・インタレスト・グループの商標)インターフェースを含む任意の種類の通信インターフェースとすることができる。
【0018】
CCN名称は、意味のわからない、明確に特定された数のコンポーネントからなるバイナリオブジェクトである。さらに、CCN名称は、持続的でコンテンツに固有である。すなわち、ファイル又はデータオブジェクトのコンテンツを変えた場合には、コンテンツは、事実上、新たな名称と関連付けられる。この持続性は、例えば新たなコンテンツが所定名称の「バージョン4」であり得るという明確なバージョニング機構によって実現されることができる。バージョンは、大抵はタイムスタンプである。持続性はまた、暗に実現されることもできる。例えば、コンテンツは、それらの人が定めた名称のみならず、認証メタデータ(例えば、コンテンツの発行者によるディジタル署名)と関連付けられることができる。結果として、完全なコンテンツ名称は、所定名称と関連付けられたデータが変化したときに変化する。
【0019】
コンテンツセントリック・ネットワーク(CCN)において、通信は、データの需要者によって動かされる。CCNにおいて、インタレスト及びデータという2つのパケット種別がある。インタレストパケット(「クエリー」とも称される)は、いくつかのコンテンツへの要求である。インタレストパケットは、どのようなコンテンツが望まれるか及びどのようなコンテンツが望まれないかを表現するクエリーの特別な形式を符号化する。データパケット(「コンテンツパケット」とも称される)は、コンテンツのユニットである。データパケットは、内部にそれらの完全な名称を持つことによって自己識別している。需要者は、全ての利用可能な接続性にわたってそのインタレストをブロードキャストすることによってコンテンツを要求する。そのインタレストを聞き且つそれを満たすデータを有する任意のノードは、データパケットによって応答することができる。データは、インタレストに応答してのみ送信され、そのインタレストを消費する。インタレスト及びデータの双方は、コンテンツ名称(又はCCN名称)によって交換されるコンテンツを識別する。1つの実施形態において、データは、インタレストパケットにおけるCCN名称がデータパケットにおけるCCN名称のプリフィックスである場合に、インタレストを「満たす」ことができる。インタレストは、検索するための正確なバージョンを規定してもよく、又は、「最新バージョン取得インタレスト」として知られる指定されたバージョンよりも大きい任意のバージョンを規定してもよい。
【0020】
機能的には、CCNは、様々な名称とそれらが表すコンテンツとの間の関連性を保有することができる。名称は、階層的に構築され、可変長を有し、多くの状況においてユーザによって理解されることができる。例えば、「/abcd/bob/papers/ccn/news」は、記事の名称、すなわち、「ABCD」という名前の組織における「ボブ」という名前のユーザについての文書の「ccn」集合体からの「ニュース」記事であり得る。CCNにおいて、アプリケーションの視点からすれば、コンテンツ需要者は、「ABCD」組織の見つけ方又はどのホストがボブのCCN刊行物を保持するかの見つけ方を判定する必要はない。1つの実施形態において、コンテンツの一部を要求するために、CCNにおける装置は、その名称によってそのコンテンツに関心のあるネットワークに登録し、ローカルネットワークにおいて利用可能である場合には、コンテンツは、それに対して返送される。ルーティングインフラストラクチャは、予想される発行者に対してインタレストをインテリジェントに伝播し、そして、インタレストが通過した経路に沿って任意の利用可能なコンテンツを戻すように対処する。
【0021】
CCNは、それらを特に魅力的にするさらなる特性を有する。全てのコンテンツは、暗号的に認証されることができ、それは、ネットワーク上のノードのいくつかの小集団(例えばコンテンツの適正な質問者)がコンテンツの一部の信頼性を検証することができることを意味する。CCNはまた、発行者から独立して、データが名称によってアクセスされるのを許容する。同時に、ある発行者によってデータについての特殊な要求を調整することができる。例えば、「foo.txt」又は「ボブによって署名された「foo.txt」を求めることができる。いかなる形式の自己検証名称も、生成者と需要者との間で規約として使用されることができる。ハイブリッド自己検証名称を使用することもまた可能である。ここで、名称の前半コンポーネントは、組織及び効率的なルーティングのためにあり、名称の後半コンポーネントは、自己検証である。最後に、CCNは、コンテンツ及び信頼の分離を許容し、異なるデータの需要者がコンテンツの同じ一部における信頼を確立するために異なる機構を使用するのを可能とする。コンテンツが単一の発行者によって署名されているかもしれない、それは異なる理由のために信頼されることができる。例えば、1人のユーザは、その署名者との直接の個人的接続のために、コンテンツの所定の一部を信頼するかもしれないのに対して、他のユーザは、そのユーザが信頼するように選択した公開鍵基盤(PKI)へのコンテンツの署名者の参加のために、同じコンテンツを信頼するかもしれない。
【0022】
ソーシャルネットワークグループ内での様々なユーザ装置間でのコンテンツの共有を可能とするために、様々なユーザ装置を含むCCNベースのコンテンツデリバリネットワーク(CDN)にわたってカストディアンベースのルーティングが実装されてきた。CDNで実装するカストディアンベースのルーティングにおいて、コンテンツは、カストディアンと称されるコンテンツを記憶する装置と関連付けられる。コンテンツの特定の一部についての要求は、カストディアンの物理的位置にかかわらず、そのカストディアンに対して常に送られることができる。
【0023】
コンテンツの一部の要求側がそのコンテンツのカストディアンに正確に接続することができるのを確実にするために、CCNベースのCDNは、コンテンツ・プリフィックス・ツー・カストディアン・マッピング、カストディアン・ツー・通信エンドポイント・マッピング、及び、通信エンドポイント・ツー・物理アドレス・マッピングを含む3つの異なるマッピングを保持する。装置が他の装置と相互に作用するたびに、それらは、ルーティング情報がCDNにわたって割り当てられるのを確認するために、3つのマッピングを互いに交換する。代わりに、通信エンドポイント・ツー・物理アドレス・マッピング情報は、要求側とカストディアンとの間におけるランデブーサービスを提供する公開セッション開始プロトコル(SIP)サーバ等の第三者のサービスにおいて記憶されることができる。
【0024】
カストディアンベースのルーティングについての詳細は、出願日未定の発明者ジェームズ D. ソーントン、ヴァン L. ジェーコブソン、及び、マーク モスコによる「コンテンツセントリックネットワークにおけるカストディアンベースのルーティング」と題された米国特許出願番号未定(代理人整理番号PARC−20100498−US−NP)においてみられることができ、その開示は、本願明細書においてその全体を引用することによって盛り込まれる。
【0025】
携帯機器の長期にわたるエネルギ消費は、大部分は、その受信機に起因することがあり得る。例えば、WiFi可能な携帯電話について、WiFi受信機(又は無線機)が、電話がアイドリング中に可能性があるパケットを受信するのを待機しているときに電話によって消費される電力であるアイドルリスニング電力は、無線機が長期間電源の入った状態でいると、相当なバッテリ浪費の一因となり得る。この問題は、携帯電話が他のリモートサーバ又は装置から映画等の大きなコンテンツの検索を試みるときに生じ得る。到来するパケットの受け損ないを回避するために、携帯機器の無線機は、コンテンツ受信処理中にわたって電源が入った状態でいる必要がある。ここで留意すべきは、携帯機器がコンテンツを受信するのに必要とされる時間は、主として、コンテンツプロバイダがコンテンツを伝送するのを可能とするデータレートによって決定されるということである。コンテンツプロバイダがトラフィックジャムを体験するとき(例えば、コンテンツプロバイダが多数のコンテンツ要求に圧倒されるとき)、伝送は比較的長時間かかり得、その間ダウンロードしている携帯機器の無線機はパケットを積極的に受信しているかどうかにかかわらず電源が入った状態にあり、それゆえに、不要な電力消費をもたらす。
【0026】
携帯機器が積極的にパケットの伝送又は受信等の通信を行っていないときにおける省エネスリープモードへの携帯機器の受信機の設定可能性を含む様々なエネルギ管理アプローチが過去に提案されている。しかしながら、そのために、携帯機器は、他のリモートサーバ又は装置がいつ携帯機器に対してデータを送信しているか推定し且つ適時に起動することが可能である必要がある。次のパケットについての到達時間の推定は、発信元装置の現在の伝送データレート等の携帯機器にとって不知の要因が次のパケットの実際の到達時間を決定することから、大きなコンテンツを検索する携帯機器にとって困難であり得る。判断が悪い場合、到来するパケットは欠失されることがあり、又は、コンテンツプロバイダが他の携帯機器である場合には、その携帯機器は、受信機がスリープしている携帯機器に到達しようとする絶え間ない試みのために、バッテリが切れることがある。
【0027】
そのような問題を解決するために、本発明の実施形態において、携帯機器は、そのコンテンツ検索エージェントとして別個の装置を指定し、そのエージェントに対してコンテンツ検索タスクを委託することができる。コンテンツ検索エージェントは、コンテンツ検索タスクを受信すると、携帯機器の代わりにコンテンツを検索し、検索したコンテンツを記憶することになる。その一方で、携帯機器は、そのバッテリ寿命を延ばすために、その受信機を省エネスリープモードに設定することができる。1つの実施形態において、コンテンツ検索エージェントは、ダウンロードを終了し、携帯機器を起動し、エージェントのフルデータレートで携帯機器に対してコンテンツを伝送する。代わりに、コンテンツ検索エージェントは、携帯機器が勝手に起動するのを待機し、そして、携帯機器に対してコンテンツを伝送する。ビデオのストリーミング及び再生等、携帯機器がエージェントから一斉にコンテンツを受信して表示している場合には、携帯機器は、大量のビデオがそのバッファに受信された後に、その受信機をスリープモードに設定し、そのバッファからビデオを再生し、その後、所定時間後にビデオの次の部分を受信するように起動することができる。このプロセスは、全映画が再生されるまで繰り返すことができる。受信機がデータパケットの受信間にスリープモードに設定されることができる時間量は、バッファの深さに依存する。ここで留意すべきは、コンテンツ検索エージェントは、携帯機器のスリープ/スリープ解除サイクルを知っており、携帯機器の受信機がスリープ解除したときに伝送するのみであるということである。
【0028】
カストディアンベースのルーティングにおいて、コンテンツカストディアンは、他の要求元装置に対するコンテンツの提供に関与する。1つの実施形態において、そのコンテンツ検索エージェントに対して全てのコンテンツ検索タスクを委託するために、携帯機器は、コンテンツ検索エージェントに対して全ての名称空間を完全にマッピングすることができる。その結果、全てのコンテンツ要求は、全てのコンテンツについてのカストディアンとしてみなされるコンテンツ検索エージェントに対して向けられる。コンテンツ要求を受信すると、エージェントは、最初に、要求されたコンテンツがローカルに利用可能であるかを確認し、利用可能である場合には、要求元携帯機器に対してコンテンツを提供することになる。利用可能でない場合には、エージェントは、要求が、エージェントが代理となる携帯機器からのものであることを検証し、その後、要求元携帯機器の代わりにコンテンツを実際に記憶する装置又はサーバからコンテンツを検索する。
【0029】
図1は、本発明の実施形態にかかるエネルギ効率のよいコンテンツ検索のための典型的なシステムアーキテクチャの概略図を示している。システム100は、メディアサーバ102、スマートフォン104−108、及び、リモートコンテンツサーバ110等の多数の装置を含む。メディアサーバ102及びスマートフォン104−108は、CCN120と、IPベースのネットワーク等の従来のネットワーク130との双方に対して接続されている。リモートコンテンツサーバ110は、従来のネットワーク130に対して接続されている。
【0030】
例えば、スマートフォン104のユーザであるボブは、彼の妻アリスのスマートフォン106に記憶された家族休暇のビデオクリップを鑑賞したいとする。ここで留意すべきは、ボブのスマートフォン104及びアリスのスマートフォン106は、双方とも、CCN120に対して接続されているということである。家族休暇のビデオクリップは、コンテンツ・プリフィックス/home_CCN/content/Alice’s_phone/video/vacationを有する。カストディアンベースのルーティングにより、スマートフォン104は、ビデオクリップについてのカストディアンを判定するために、コンテンツ・プリフィックス・ツー・カストディアン・マッピングを実行する。従来の設定において、マッピング結果は、アリスの電話106が要求されたビデオクリップのカストディアンであることを示す。したがって、ボブの電話104は、ビデオクリップをダウンロードするために、アリスの電話106に対して接続しようとすることになる。しかしながら、アリスの電話106は、他の装置からの接続要求の応答等の他の活動に同時に携わっていることがある。したがって、ビデオのダウンロードは長期間継続し得て、その間、ボブの電話104の受信機は、アリスの電話106から到来する任意のパケットの受け損ないを回避するように電源が入った状態でいる必要がある。受信機をそのような長期間オン状態に維持することは、ボブの電話104のバッテリ浪費の一因となり得る。
【0031】
ボブの電話104のバッテリ寿命を引き延ばすために、本発明の1つの実施形態において、ボブの電話104は、アリスの電話106からビデオクリップを検索するために、そのコンテンツ検索エージェントとして、メディアサーバ102等の電力制限されていない装置を委託する。そのために、ボブの電話104は、そのローカルのコンテンツ・プリフィックス・ツー・カストディアン・マッピングテーブルにおいて、任意のコンテンツ名称空間をメディアサーバ102に対してマッピングすることができるプリフィックス・ツー・カストディアン・エントリ(PCE)を設定することができる。通常の最長プリフィックス・マッチング条件下で最初にこのPCEが選択されることができるかを確実にするために、1つの実施形態において、システムは、異なる種類のルーティングエントリについて「アドミニストレーティブディスタンス」を割り当て、昇順にルーティングエントリを決定する。例えば、標準のカストディアンルーティングエントリ(通常のPCE)は、コンテンツ名称空間をメディアサーバ102に対してマッピングするローカルのPCEが50等のより小さいアドミニストレーティブディスタンスを割り当てられるのに対して、100等のより大きいアドミニストレーティブディスタンスを割り当てられることができる。その結果として、ボブの電話104のカストディアンルーティングエージェントは、100のアドミニストレーティブディスタンスを有するルーティングエントリの決定前に、50のアドミニストレーティブディスタンスを有するルーティングエントリを最初に決定することになる。最大のアドミニストレーティブディスタンスのルーティングエントリを決定する試みが失敗した場合には、ルーティングエージェントは、一致をみつけるために外部のエージェントに接触する必要があってもよい。ローカルのルーティングエントリが最初に決定されることから、メディアサーバ102は、メディアサーバ102が要求されたビデオクリップを実際には有しないという事実にかかわらず、ビデオクリップについてのカストディアンとしてマーキングされる。メディアサーバ102がビデオについてのカストディアンであるという決定に応じて、ボブの電話104は、ビデオクリップを要求するためにメディアサーバ102との接続を確立する。
【0032】
いくつかの実施形態において、PCEを受信する装置は、署名者に基づいてCCNから受信されたPCEを検証し、信頼できないPCEを破棄する。そのような検証は、何が装置のプリフィックス・ツー・カストディアンテーブルに既に記憶されているかを要求されなくてもよい。さらに、カストディアンは、それ自身のPCEを生成することができるのみである。すなわち、PCEの「装置」は、カストディアン自身の装置でなければならない。そのような制限は、偽りのPCEの伝播を防止する。例えば、全てのコンテンツをメディアサーバ102に対してマッピングするPCEは、ボブの電話104においてローカルに定義され、CCN内で伝播しないはずである。一般に、そのようなPCEエントリは、ボブの電話104におけるローカルテーブルに記憶され、他の通常のPCEとともにカストディアンルーティングプロトコルによって発行されて交換されない。
【0033】
メディアサーバ102がビデオクリップについての要求を受信したとき、それは、要求されたビデオクリップを有しないことを判定する。しかしながら、メディアサーバ102がそのコンテンツ検索エージェントとして委託されているボブの電話104から要求が到来していることを知って、「コンテンツがみつからない」とボブの電話104に応答する代わりに、メディアサーバ102は、ボブの電話の代わりにビデオクリップを検索する。1つの実施形態において、メディアサーバ102は、ビデオクリップのプリフィックスに基づいて、コンテンツ・プリフィックス・ツー・カストディアン・マッピングを実行し、マッピングは、ビデオクリップのカストディアンとしてアリスの電話106を戻す。その後、メディアサーバ102は、アリスの電話106における許容可能な通信エンドポイントを識別し、識別された通信エンドポイントに対して接続を確立し、アリスの電話106からビデオクリップを取得する。メディアサーバ102がアリスの電話106からビデオクリップをダウンロードしている間、ボブの電話104は、その受信機を省エネスリープモードに設定することができ、その間、受信機の電気回路の少なくとも一部は電源切断される。場合によっては、アリスの電話106における到達可能なエンドポイントは、制限の組と関連付けられる。例えば、1つの制限は、ボブの電話104以外の装置を、それらのエンドポイントに対する接続から排除してもよい。したがって、通常の条件下では、アリスの電話106は、メディアサーバ102からの接続要求を拒否することになる。そのような問題を克服するために、1つの実施形態において、メディアサーバ102は、その接続要求に対してこの接続要求がボブの電話104の代わりに行われたことを特定するタグを添付することができ、それゆえに、アリスの電話106に対するアクセスを得る。このようにして、携帯機器は、カストディアンに対して、その所定のリソースへのアクセス許可を委託することができる。
【0034】
1つの実施形態において、メディアサーバ102は、アリスの電話106からのビデオクリップのダウンロードを終了し、ビデオクリップをローカルに記憶する。その後、ボブの電話104は、メディアサーバ102からビデオクリップを受信するように、その受信機の電源を入れることができ、アリスの電話106によって可能であるであろうよりもはるかに高いデータレートで、ボブの電話104に対してビデオクリップを送信する。その結果として、同じビデオクリップを受信するために、ボブの電話104の受信機は、より短期間だけ電源投入されたままでいる必要があるのみであり、したがって、そのバッテリ寿命を延ばす。
【0035】
CCN120に対して接続された装置に記憶されたコンテンツを要求するのに加えて、携帯機器はまた、CCN120に対して接続されていない装置におけるコンテンツを要求してもよい。例えば、ボブは、CCN120に対して接続されていないリモートコンテンツサーバ110から彼のスマートフォン104に映画をダウンロードして鑑賞したいとする。従来、スマートフォン104は、リモートコンテンツサーバ110に対して接続するためにIPベースのルーティングを使用して映画を取得し、映画のストリーミングを開始することができる。ここで留意すべきは、用語「ストリーミング」は、再生前に事前に配信されることではなく、リアルタイムで、必要な場合に、マルチメディアデータがネットワークを介してボブの電話104等のクライアントコンピュータ装置に対して提供されることを示すのに使用されるということである。結果として、ボブの電話104は、映画の全ての「ファイル」が配信されるのを待機するのではなく、リモートコンテンツサーバ110から受信されたとき、ストリーミングデータをレンダリングする。ストリーミング速度及び到来する各パケットの到達時間は、リモートコンテンツサーバ110のトラフィック負荷に依存し、ボブの電話104にとって不知である。到来するパケットの欠失可能性を回避するために、ボブの電話104の受信機は、映画を再生するのにかかるほぼ全時間電源が入った状態でいる必要があり、バッテリ電力の著しい低下をもたらし得る。
【0036】
バッテリ電力を節約するために、本発明の1つの実施形態において、リモートコンテンツサーバ110からのビデオストリーミングを要求する代わりに、ボブの電話104は、リモートコンテンツサーバ110のユニフォームリソースロケータ(URL)を含む要求を作成する。ストリーミング要求を受信すると、メディアサーバ102は、ビデオをダウンロードするようにリモートコンテンツサーバ110に対して接続する。メディアサーバ102がダウンロードを完了するのを待機する間、ボブの電話104は、バッテリ電力を節約するために、その受信機をスリープモードに設定することができる。一旦メディアサーバ102がビデオのダウンロードを完了すると、メディアサーバ102は、ボブの電話104の受信機を起動させ、ボブの電話104に対するビデオのストリーミングを開始する。
【0037】
ビデオストリーミングプロセス中において、ビデオを再生するのにかかる時間は、通常、ビデオを受信するのにかかる時間よりも長いことから、ボブの電話104は、その受信機を周期的なスリープ/スリープ解除サイクルに設定することができる。その受信機がスリープ解除したとき、ボブの電話104は、フルデータレートでメディアサーバ102からビデオと関連付けられたパケットを受信し、受信したパケットをバッファに収容し、ボブが鑑賞するようにビデオを再生する。所定時間後に、ボブの電話104は、その受信機をスリープモードに設定し、メディアサーバ102からパケットを受信するのを停止するが、バッファからビデオを再生し続ける。所定時間のスリープ後に、受信機は、メディアサーバ102からビデオと関連付けられたその後のパケットの受信を開始するように起動する。受信機がスリープモードのままであり得る持続時間は、バッファの深さによって決定されることができる。ここで留意すべきは、メディアサーバ102がボブの電話104の受信機のスリープ/スリープ解除サイクルの存在を知っていることから、メディアサーバ102は、受信機がスリープ状態であるときにボブの電話104に対する送信を停止し、受信機が起動したときに送信を再開するということである。その受信機がビデオのストリーミング中に周期的にスリープ状態になることから、ボブの電話104は、そのバッテリ寿命を大幅に延ばすことができる。1つの実施形態において、メディアサーバ102は、リモートコンテンツサーバ110からビデオをダウンロードし、ボブの電話104に対してビデオを一斉にストリーミングすることができる。
【0038】
さらなる実施形態において、ボブの電話104は、CCNインタレスト又はURLのいずれかの形式で、メディアサーバ102に対して複数のコンテンツ要求を同時に送信してもよい。複数の要求を受信すると、メディアサーバ102は、ボブの電話104の代わりに、そのコンテンツを検索するのを開始する。それと同時に、ボブの電話104は、その受信機をスリープモードに設定し、コンテンツ要求は、保留のままである。メディアサーバ102がコンテンツの検索を終了した後、ボブの電話104の受信機は、起動して、保留中の要求に対応するコンテンツ部分をメディアサーバ102から受信する。
【0039】
さらに、ボブの電話104は、メディアサーバ102に対して単一のCCNインタレスト等の単一の要求を送信してもよい。そのような単一のインタレストは、ボブの電話104の代わりに、複数のCCNインタレストを生成するようにメディアサーバ102に信号を送ることができる。例えば、ボブの電話104は、ボブの家族CCN内の多数の装置に記憶されているかもしれない家族休暇写真を要求する単一のインタレストをメディアサーバ102に対して送信してもよい。それに応答して、メディアサーバ102は、ボブの電話104の代わりに、装置にコンテンツの様々な部分を要求するために、複数のインタレストを生成する。これらのコンテンツ部分を受信して保存した後、メディアサーバ102は、受信機を起動し、これらのコンテンツ部分をボブの電話104に対して送信する。
【0040】
図2は、本発明の実施形態にかかる典型的なコンテンツ検索エージェントのアーキテクチャの概略図を示している。コンテンツ検索エージェント200は、受信機構202と、CCNデーモンモジュール204と、ルーティングエージェント206と、ルーティングテーブル208と、ローカルキャッシュ210と、伝送機構212とを含む。
【0041】
動作中において、受信機構202は、それが代理となる携帯機器からコンテンツ要求を受信する。受信機構202は、CCNについてのバックグラウンドプロセスを実行するように構成されたCCNデーモンモジュール204に対して受信された要求を渡す。1つの実施形態において、要求は、CCNインタレストの形式である。さらなる実施形態において、携帯機器は、コンテンツ検索エージェント200が要求されたコンテンツを記憶しているか否かにかかわらず、携帯機器が要求する全てのコンテンツをそのコンテンツ検索エージェント200に対してマッピングする。CCNデーモンモジュール204は、コンテンツがローカルに利用可能であるかどうかを判定するためにローカルキャッシュ210を確認する。利用可能である場合、伝送機構212は、要求されたコンテンツをリモート装置に対して伝送する。利用可能でない場合、CCNデーモンモジュール204は、そのカストディアンを識別するために、要求されたコンテンツと関連付けられたルーティング情報を取得するようにルーティングエージェント206に接触する。1つの実施形態において、ルーティングエージェント206は、ルーティングテーブル208から、コンテンツ・プリフィックス・ツー・カストディアン・マッピングを含むルーティング情報を取得する。
【0042】
一旦コンテンツの実際のカストディアンが識別されると、コンテンツ検索エージェント200は、実際のカストディアンとの接続を確立し、要求元携帯機器の代わりに、要求されたコンテンツを取得する。コンテンツ検索エージェント200は、コンテンツをローカルキャッシュ210に記憶し、伝送機構212は、要求されたコンテンツを携帯機器に対して伝送する。コンテンツをローカルキャッシュ210に記憶することにより、コンテンツ検索エージェント200は、その後、任意の要求元携帯機器に対して、キャッシュに格納されたコンテンツのコピーを提供することができる。
【0043】
図3は、本発明の実施形態にかかる典型的な携帯機器のアーキテクチャの概略図を示している。携帯機器300は、ユーザコマンド受信機構302と、CCNデーモンモジュール304と、ルーティングエージェント306と、ルーティングテーブル308と、接続機構310と、受信機312と、電力管理モジュール314と、バッファ316と、表示機構318とを含む。
【0044】
動作中において、ユーザコマンド受信機構302は、ユーザからコンテンツ要求を受信し、CCNについてのバックグラウンドプロセスを実行するように構成されたCCNデーモンモジュール304に対して受信された要求を渡す。1つの実施形態において、要求は、CCNインタレストの形式である。CCNデーモンモジュール304は、要求されたコンテンツと関連付けられたルーティング情報を取得するようにルーティングエージェント306に接触する。1つの実施形態において、ルーティングエージェント306は、ルーティングテーブル308から、コンテンツ・プリフィックス・ツー・カストディアン・マッピングを含むルーティング情報を取得する。さらなる実施形態において、ルーティングテーブル308は、要求されたコンテンツ・プリフィックスをコンテンツ検索エージェントの役目を果たす携帯機器300に対してマッピングするPCEを含む。マッピングに応じて、接続機構310は、コンテンツを要求するようにコンテンツ検索エージェントとの接続を確立する。コンテンツ検索エージェントは、順次、携帯機器300の代わりにコンテンツの実際のカストディアンからコンテンツを取得し、電力管理モジュール314に対して接続された受信機312を介してコンテンツを携帯機器300に対して伝送する。コンテンツ検索エージェントが実際のコンテンツカストディアンからコンテンツを取得している間、電力管理モジュール314は、受信機312を省エネスリープモードに設定する。コンテンツ検索エージェントがコンテンツの取得を終了したとき、電力管理モジュール314は、受信機312がコンテンツを受信するために、受信機312を起動する。1つの実施形態において、受信機312は、コンテンツ検索エージェントがそのカストディアンからのコンテンツの取得を終了する前に、コンテンツ検索エージェントからのコンテンツのストリーミングを開始することができる。ストリーミングプロセス中に、受信機312は、コンテンツの受信された部分をバッファ316に記憶し、表示機構318は、バッファ316からユーザに対してコンテンツを表示する。ここで留意すべきは、コンテンツ検索エージェントからのコンテンツのストリーミング中に、受信機312は、省エネスリープモードに周期的に設定されるということである。
【0045】
図4は、本発明の実施形態にかかるコンテンツ検索エージェントを介してリモート装置からコンテンツの一部を取得する携帯機器のプロセスの時空間概略図を示している。動作中において、携帯機器402は、そのユーザから、ローカルに利用可能ではないコンテンツの一部についての要求を受信する(工程408)。要求を受信すると、携帯機器402は、コンテンツ検索エージェント404に対してコンテンツ要求を転送する(工程410)。バッテリ電力を節約するために、携帯機器402は、その受信機を省エネスリープモードに設定する(工程412)。コンテンツ要求を受信すると、コンテンツ検索エージェント404は、コンテンツのコピーを実際に有するかどうかを判定する(工程414)。有する場合、コンテンツ検索エージェント404は、携帯機器402に対して要求されたコンテンツを提供するために、携帯機器402の受信機を起動させる(工程416)。有さない場合、コンテンツ検索エージェント404は、要求されたコンテンツの実際のカストディアンを識別する(工程418)。1つの実施形態において、コンテンツ検索エージェント404は、実際のカストディアンを識別するために、コンテンツ・プリフィックス・ツー・カストディアンの検索を実行する。ここで留意すべきは、非CCN環境においては、コンテンツ検索エージェント404は、URLを介してコンテンツを記憶するリモート装置を識別してもよいということである。
【0046】
一旦コンテンツ検索エージェント404が要求されたコンテンツをリモート装置406が記憶していることを識別すると、コンテンツ検索エージェント404は、コンテンツを要求するために、リモート装置406に対する接続を確立する(工程420)。1つの実施形態において、コンテンツ検索エージェント404は、カストディアン・ツー・通信エンドポイント・マッピング及び通信エンドポイント・ツー・物理アドレス・マッピングを実行することによってリモート装置406に対して接続を確立する。カストディアン・ツー・通信エンドポイント・マッピング情報は、カストディアンと、所定のカストディアンに対する可能性のある経路を可能とするエンドポイントとの間におけるマッピングを提供する。1つの実施形態において、カストディアン・ツー・通信エンドポイント・マッピング情報は、CCN内の装置間において交換されるカストディアン・ツー・通信エンドポイント・マッピングテーブルに含まれる。カストディアン・ツー・通信エンドポイント・マッピングテーブルにおいて、CCN内の各装置は、装置に属する全てのエンドポイントに対応するカストディアン・エンドポイント・エントリ(CEE)のアレイを含む対応するエントリを有する。例えば、リモート装置406に対応するエントリは、WiFiインターフェース、第3世代携帯電話インターフェース、及び、ブルートゥースインターフェースを含んでもよい。
【0047】
通信エンドポイント・ツー・物理アドレス・マッピングは、装置間におけるランデブーのために必要とされる情報を提供する。そのようなマッピング情報は、カストディアン・ツー・通信エンドポイント・マッピングテーブル内に記憶されることができるか、又は、ランデブーサービスを提供する公開SIPサーバ等の第三者サービスに記憶されることができる。例えば、リモート装置406は、公開SIPサーバにそのSIPアドレスを登録することができる。
【0048】
接続の確立に応じて、リモート装置406は、要求されたコンテンツをコンテンツ検索エージェント404に対して提供する(工程422)。コンテンツを受信すると、コンテンツ検索エージェント404は、コンテンツを記憶し(工程424)、携帯機器402に対してコンテンツを提供するように携帯機器402の受信機を起動させる(工程426)。
【0049】
長期間かかり得るコンテンツ検索エージェント404がコンテンツを取得している間、携帯機器402の受信機をスリープモードに設定することにより、携帯機器402は、そのバッテリ電力を大幅に節約することができる。
【0050】
図5は、本発明の実施形態にかかるそのコンテンツ検索エージェントからデータをストリーミングする携帯機器のプロセスの時空間概略図を示している。動作中において、携帯機器502は、その受信機をスリープ解除モードに設定することにより、そのコンテンツ検索エージェント504からのマルチメディアファイルのストリーミングを開始する準備を行う(工程506)。ここで留意すべきは、コンテンツ検索エージェント御504は、携帯機器502の代わりに、リモート装置からマルチメディアファイルの全部又は一部のいずれかを取得しているということである。その後、携帯機器502は、スリープ解除タイマを開始し(工程508)、コンテンツをストリーミングする用意があることをコンテンツ検索エージェント504に通知する(工程510)。1つの実施形態において、携帯機器502は、受信の準備ができていることを示す「準備」信号をコンテンツ検索エージェント504に対して送信する。通知を受信すると、コンテンツ検索エージェント504はまた、スリープ解除タイマを開始し(工程512)、マルチメディアファイルの伝送を始める(工程514)。
【0051】
携帯機器502は、受信されたマルチメディアファイルをバッファに格納し、メディアコンテンツを一斉に表示する(工程516)。そのスリープ解除タイマが終了したとき、コンテンツ検索エージェント504は、伝送するのを停止する(工程518)。その一方で、携帯機器502におけるスリープ解除タイマもまた終了し、携帯機器502は、その受信機を省エネスリープモードに設定する(工程520)。その受信機がスリープ解除である間、携帯機器502は、そのバッファからのメディアコンテンツを表示し続け、スリープタイマを開始する(工程522)。コンテンツ検索エージェント504はまた、携帯機器502におけるスリープタイマと同期されたスリープタイマを開始する(工程524)。
【0052】
そのスリープタイマが終了したとき、携帯機器502は、その受信機を起動し(工程526)、そのスリープ解除タイマを開始する(工程528)。その一方で、コンテンツ検索エージェント504におけるスリープタイマもまた終了し(工程530)、コンテンツ検索エージェント504は、スリープ解除タイマを開始し(工程532)、携帯機器502に対するメディアファイルの伝送を再開する(工程534)。プロセスは、全てのメディアファイルが携帯機器502によって受信されるまで繰り返す。ここで留意すべきは、コンテンツ検索エージェント504において同期されたスリープタイマを保持する代わりに、携帯機器502が、その受信機が起動したときにコンテンツ検索エージェント504に対して「準備」信号を伝送するのもまた可能であるということである。
【0053】
コンテンツのストリーミング中にその受信機を周期的にスリープモードに設定することにより、携帯機器502は、そのバッテリ寿命を大幅に延ばすことができる。
【0054】
図6は、本発明の実施形態にかかるCCNにわたるカストディアンベースのルーティングにおけるエネルギ効率のよいコンテンツ検索を容易とする典型的なコンピュータシステムを示している。図6において、コンピュータ及び通信システム600は、プロセッサ602と、メモリ604と、記憶装置606とを含む。記憶装置606は、プロセッサ602によって実行されることになるプログラムを記憶する。 具体的には、記憶装置606は、アプリケーション610及び612等の他のアプリケーションとともに、エネルギ効率のよいコンテンツ検索アプリケーション608を記憶する。動作中において、エネルギ効率のよいコンテンツ検索アプリケーション608は、記憶装置606からメモリ604にロードされ、その後、プロセッサ602によって実行される。プログラムを実行するとともに、プロセッサ602は、上述した機能を実行する。コンピュータ及び通信システム600は、任意のディスプレイ614、キーボード616、及び、ポインティングデバイス618に対して接続されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯機器において、ユーザからコンテンツの一部についての要求を受信することと、
要求に応答して、携帯機器の代わりにリモート装置から要求されたコンテンツを取得するように構成されたコンテンツ検索エージェントに対して要求を転送することと、
コンテンツ検索エージェントが携帯機器についての要求されたコンテンツを取得しており且つ携帯機器に対してコンテンツを伝送していないときに携帯機器の受信機が省エネスリープモードに設定されるのを許容することと、
コンテンツ検索エージェントが携帯機器に対してコンテンツを伝送しているときに携帯機器の受信機が起動するのを許容することと、
携帯機器において、コンテンツ検索エージェントからコンテンツを受信することとを備える、コンピュータ実行可能な方法。
【請求項2】
携帯機器、コンテンツ検索エージェント、及び/又は、リモート装置が、コンテンツセントリックネットワーク(CCN)を介して互いに接続されている、請求項1記載の方法。
【請求項3】
コンテンツ検索エージェントに対して要求を転送することが、携帯機器がコンテンツの名称に基づいて検索を実行することを含み、
コンテンツがコンテンツ検索エージェントに記憶されているか否かにかかわらず、コンテンツがコンテンツ検索エージェントに対してマッピングされる、請求項2記載の方法。
【請求項4】
リモート装置からコンテンツを取得することが、コンテンツ検索エージェントがコンテンツの名称に基づいて検索を実行することによってリモート装置を識別することを含む、請求項2記載の方法。
【請求項5】
受信機が、起動前に所定時間だけエネルギ効率のよいスリープモードに設定される、請求項1記載の方法。
【請求項6】
さらに、受信機が起動してコンテンツを受信する準備ができていることをコンテンツ検索エージェントに通知することを備える、請求項1記載の方法。
【請求項7】
コンテンツ検索エージェントがコンテンツの少なくとも一部を取得した後に、携帯機器がコンテンツ検索エージェントからのコンテンツの受信を開始する、請求項1記載の方法。
【請求項8】
さらに、その後にコンテンツ検索エージェントからキャッシュに格納されたコンテンツのコピーを受信することを備える、請求項1記載の方法。
【請求項9】
コンピュータによって実行されたときに、コンピュータに方法を実行させる命令を記憶する持続性コンピュータ読み取り可能な記憶媒体において、方法が、
携帯機器において、ユーザからコンテンツの一部についての要求を受信することと、
要求に応答して、携帯機器の代わりにリモート装置から要求されたコンテンツを取得するように構成されたコンテンツ検索エージェントに対して要求を転送することと、
コンテンツ検索エージェントが携帯機器についての要求されたコンテンツを取得しており且つ携帯機器に対してコンテンツを伝送していないときに携帯機器の受信機が省エネスリープモードに設定されるのを許容することと、
コンテンツ検索エージェントが携帯機器に対してコンテンツを伝送しているときに携帯機器の受信機が起動するのを許容することと、
携帯機器において、コンテンツ検索エージェントからコンテンツを受信することとを備える、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項10】
携帯機器、コンテンツ検索エージェント、及び/又は、リモート装置が、コンテンツセントリックネットワーク(CCN)を介して互いに接続されている、請求項9記載のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−128849(P2012−128849A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−264047(P2011−264047)
【出願日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【出願人】(502096543)パロ・アルト・リサーチ・センター・インコーポレーテッド (393)
【氏名又は名称原語表記】Palo Alto Research Center Incorporated
【Fターム(参考)】