説明

コンテンツデータ伝送システム及びコンテンツデータ伝送方法

【課題】コンテンツ再生装置からコンテンツ出力装置にコンテンツデータを伝送するシステムにおいて、複雑な信号処理の必要がなく、また、設定変更操作を簡略化でき、音質やビデオデータの画質を劣化させることを防止する。
【解決手段】コンテンツ出力装置から動作クロック伝送ケーブルを介して伝送されてきた動作クロック信号を受信し、当該動作クロック信号に基づいて動作し、再生部が再生したコンテンツデータをマルチメディア伝送ケーブルを介してコンテンツ出力装置に送信するコンテンツ再生装置と、出力装置動作クロック信号に基づいてコンテンツ再生装置に送信する動作クロック信号を生成して動作クロック伝送ケーブルを介してコンテンツ再生装置に送信すると共に、コンテンツ再生装置からマルチメディア伝送ケーブルを介して送信されてきたコンテンツデータを受信して信号処理を施し、外部装置に出力するコンテンツ出力装置とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツ再生装置(例えば、ディスクプレーヤ)とコンテンツ出力装置との間でコンテンツデータを伝送するコンテンツデータ伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
DVD(Digital Versatile Disc)やBD(Blu-ray Disc)等の記録媒体に記録された、或いは、ネットワークを介してサーバ等からダウンロードされたコンテンツデータ(ビデオデータ、オーディオデータ等)を再生するコンテンツ再生装置(例えば、ディスクプレーヤ)と、コンテンツ再生装置により再生され出力されたデジタルデータを受信し、当該デジタルデータのオーディオデータを増幅してスピーカに出力したり、オーディオデータ及びビデオデータをモニタやテレビ等の表示装置に出力するコンテンツ出力装置(例えば、アンプ)とを備えるシステムがある。
【0003】
近年、このシステムにおいて、コンテンツ再生装置からコンテンツ出力装置へのコンテンツデータの伝送には、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)1394インターフェースやHDMI(High-Definition Multimedia Interface)などのデジタルインターフェースが用いられ、コンテンツ再生装置により再生されたオーディオデータやビデオデータを高品質のデジタルデータでコンテンツ出力装置へ伝送することができる。
【0004】
デジタルインターフェースを用いてコンテンツ再生装置からコンテンツ出力装置にコンテンツデータの伝送を行うシステムにおいて、コンテンツ出力装置のクロック生成部が生成したマスタークロックとコンテンツ再生装置のクロック生成部が生成したマスタークロックは同期しない。このため、コンテンツ再生装置から受信するコンテンツデータ(デジタルデータ)にジッターが発生するため、コンテンツ出力装置は、受信したデジタルデータを正しく復調することができず、スピーカから出力したオーディオ信号にノイズが発生したり、オーディオ信号が途切れたり、或いは、ビデオ信吾の画質が劣化したりすることがある。
【0005】
コンテンツ再生装置とコンテンツ出力装置のマスタークロックの同期をとる方法として、コンテンツ出力装置がコンテンツ再生装置から送信されるオーディオデータに同期したマスタークロックを生成し、当該マスタークロックを用いて再生装置から送信されるオーディオデータを復調する方法(送信装置クロック制御モード)が、特許文献1に開示されている。
【0006】
また、別な方法として、コンテンツ出力装置は、クロック生成部により生成されたマスタークロックとコンテンツ再生装置から送信されるデジタルデータとが同期しているか否かを検出し、生成したマスタークロックとオーディオデータとの同期のずれを補正するための補正情報を生成し、コンテンツ再生装置に送信する方法(受信装置クロック制御モード)が特許文献2に開示されている。この方法において、コンテンツ再生装置は、コンテンツ出力装置から受信した補正情報に基づいてマスタークロックの周波数を調整し、調整後のマスタークロックを用いてオーディオデータを符号化しコンテンツ出力装置に送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−296173号公報
【特許文献2】特開2003−32572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示された増幅装置が再生装置のマスタークロックに同期したマスタークロックを生成して再生装置と増幅装置のマスタークロックの同期をとる方法(送信装置クロック制御モード)では、増幅装置におけるマスタークロックの生成にVCO(Voltage Controlled Oscillator)回路から発振されるクロックを使用したPLL(Phase Locked Loop)回路が用いられる。このVCO回路は、クロック同期の許容範囲がクロックの中心周波数に対し±1000ppm(Parts Per Million)であるため、生成されるマスタークロックにジッターが発生する。このため、増幅装置において、VCO回路により生成されたマスタークロックを用いて、再生装置から送信されたオーディオデータを復調するとオーディオデータにジッターが発生し、増幅装置から出力されるオーディオデータの音質が劣化するという問題がある。また、これは、ビデオデータの場合、画質の劣化につながる。
【0009】
特許文献2に開示された増幅装置が生成したマスタークロックに同期するように、再生装置のマスタークロックの周波数を調整して再生装置と増幅装置のマスタークロックの同期をとる方法(受信装置クロック制御モード)では、増幅装置において再生装置のマスタークロックが増幅装置のマスタークロックに同期するように調整する。再生装置から送信されるオーディオデータは増幅装置のマスタークロックに同期しているため、増幅装置において、再生装置から受信するオーディオデータにジッターが発生しない。このため、増幅装置は、再生装置から受信したオーディオデータを高音質で再生することができる。しかしながら、再生装置のオーディオ送信用のマスタークロックは、増幅装置のマスタークロックに同期したものとなるため、再生装置においてビデオ用マスタークロックとオーディオ用マスタークロックとの同期がとれなくなり、再生されるビデオデータの動画が一瞬停止する、または、1コマ分の画像を飛ばして再生する等の問題が発生する。
【0010】
すなわち、従来のデジタルインターフェースを用いてコンテンツ再生装置とコンテンツ出力装置の間でコンテンツデータの伝送を行うシステムにおいて、上述した受信装置クロック制御モードによりコンテンツ再生装置とコンテンツ出力装置のマスタークロックを同期させた場合、DVD‐AUDIOやCD‐DA(Compact Disc-Digital Audio)等のオーディオデータのみが記録された記録媒体を再生する際に、コンテンツ出力装置がコンテンツ再生装置から受信したオーディオデータを高音質で再生することができる。しかし、DVD‐VIDEO等のオーディオデータおよびビデオデータが記録された記録媒体を再生する際には、再生されるビデオデータの動画が一瞬停止する、または、1コマ分の画像を飛ばす等の問題が発生する。
【0011】
一方、上述した送信装置クロック制御モードにより再生装置と増幅装置のマスタークロックを同期させた場合、オーディオデータおよびビデオデータが記録された記録媒体を再生する際、再生されたビデオデータの動画が一瞬停止する、または、1コマ分の画像を飛ばして再生する等の問題の発生を防ぐことができる。しかし、コンテンツ出力装置がVCO回路により生成されたマスタークロックを用いてコンテンツ再生装置から送信されたオーディオデータを復調するので、オーディオデータにジッターが発生し、音質が劣化するという問題が発生する。
【0012】
このように、デジタルインターフェースを用いてコンテンツ再生装置からコンテンツ出力装置にビデオデータ及びオーディオデータ等のコンテンツデータの伝送を行うシステムにおいて、コンテンツ再生装置から、オーディオデータのみを伝送する場合でも、或いは、オーディオデータとビデオデータの両方のデータを伝送する場合でも、数多くの回路を追加したり、複雑な信号処理を施したり、オーディオデータの音質やビデオデータの画質が劣化するという問題がある。
【0013】
また、上述した受信装置クロック制御モードや送信装置クロック制御モードを使用する場合、コンテンツ再生装置及びコンテンツ出力装置がそれらのモードに対応しているかを確認する必要があり、そのためには両装置間で相互通信により、モードに対応しているか否かを確認しなければならないため、通信手順が複雑になったり、回路やプログラムを追加する必要があった。
【0014】
また、これらのモードを選択する場合には、ユーザが、コンテンツ再生装置及びコンテンツ出力装置の設定をそれぞれのモードに対応するように変更する必要がある。これは、このモードについて熟知しているユーザであれば、比較的簡単に設定できるが、熟知していないユーザにとっては、設定が難しい場合がある。更に、モード設定する場合、両方の装置をそれぞれ操作して設定することになるため、操作に手間がかかる。
【0015】
以上のことから、本願発明は、デジタルインターフェースを用いてコンテンツ再生装置からコンテンツ出力装置にビデオデータ及びオーディオデータ等のコンテンツデータの伝送を行うシステムにおいて、数多くの回路の追加や複雑な信号処理の必要なく、また、ユーザによる設定変更の操作を簡略化できると共に、オーディオデータの音質やビデオデータの画質を劣化させることなくデータを伝送することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願発明は、コンテンツデータを再生するコンテンツ再生装置と、当該コンテンツ再生装置が再生したコンテンツデータを入力し信号処理を施し出力するコンテンツ出力装置とからなるコンテンツデータ伝送システムにおいて、コンテンツ再生装置は、再生装置基準動作クロック信号を発生する再生装置基準動作クロック発生部と、前記コンテンツ出力装置から動作クロック伝送ケーブルを介して伝送されてきた動作クロック信号を受信し当該動作クロック信号に同期した受信動作クロック信号を出力する動作クロック受信部と、前記基準動作クロックと前記受信動作クロック信号のいずれかを用いて再生装置動作クロック信号に変換する再生装置動作クロック変換部と、前記再生装置動作クロック信号に基づいて動作しコンテンツデータを再生するコンテンツ再生部と、前記再生装置動作クロック信号に基づいて動作しコンテンツデータをマルチメディア伝送ケーブルを介してコンテンツ出力装置に送信するデータ出力部と、前記コンテンツ再生装置全体を制御すると共に前記再生装置動作クロック信号を制御する再生装置制御部とを備え、前記コンテンツ出力装置は、出力装置基準動作クロック信号を発生する出力装置基準動作クロック発生部と、前記出力装置基準動作クロック信号に基づいて前記コンテンツ再生装置に送信する動作クロック信号を生成して動作クロック伝送ケーブルを介して前記コンテンツ再生装置に送信する動作クロック送信部と、前記出力装置基準動作クロック信号に基づいて動作し前記コンテンツ再生装置からマルチメディア伝送ケーブルを介して送信されてきたコンテンツデータが入力されるデータ入力部と、前記出力装置基準動作クロック信号に基づいて動作しコンテンツデータを外部に出力する出力部と、コンテンツ出力装置全体を制御すると共に前記コンテンツ再生装置に出力装置基準動作クロック信号に同期した動作クロック信号を動作クロック送信部から送信するよう制御する出力装置制御部とを備え、前記コンテンツ再生装置の前記出力装置制御部は、前記動作クロック送信部が動作クロックを前記動作クロック受信部に送信する場合、予め定めた信号を動作クロック信号に重畳して送信するよう前記動作クロック送信部を制御し、前記再生装置制御部は、前記動作クロック受信部が受信した動作クロックに予め定めた信号が重畳されているか否かを判別し、予め定めた信号が重畳されている場合は前記再生装置動作クロック変換部が前記動作クロック受信部が出力する前記受信動作クロック信号を用いて再生装置動作クロック信号に変換するよう前記再生装置動作クロック変換部を制御し、予め定めた信号が重畳されていない場合は前記再生装置動作クロック変換部が前記再生装置基準動作クロック発生部が発生する再生装置基準動作クロック信号を用いて再生装置動作クロック信号に変換するよう前記再生装置動作クロック変換部を制御することを特徴とする。
【0017】
また、本願発明は、コンテンツデータを再生するコンテンツ再生装置と当該コンテンツ再生装置が再生したコンテンツデータを入力し信号処理を施し出力するコンテンツ出力装置との間をコンテンツデータを伝送するマルチメティアデータ伝送ケーブルと動作クロック信号を伝送する動作クロック伝送ケーブルで接続し、コンテンツ再生装置からコンテンツ出力装置にコンテンツデータを伝送する方法であって、前記コンテンツ再生装置内で再生装置基準動作クロック信号を発生するステップと、前記コンテンツ出力装置から動作クロック伝送ケーブルを介して伝送されてきた動作クロック信号を受信し当該動作クロック信号に同期した受信動作クロック信号を出力するステップと、前記基準動作クロックと前記受信動作クロック信号のいずれかを用いて再生装置動作クロック信号に変換するステップと、前記再生装置動作クロック信号に基づいて動作しコンテンツデータを再生するステップと、前記再生装置動作クロック信号に基づいて動作しコンテンツデータをマルチメディア伝送ケーブルを介してコンテンツ出力装置に送信するステップと、前記コンテンツ再生装置全体を制御すると共に前記再生装置動作クロック信号を制御するステップを備え、前記コンテンツ出力装置は、出力装置基準動作クロック信号を発生するステップと、前記出力装置基準動作クロック信号に基づいて前記コンテンツ再生装置に送信する動作クロック信号を生成して動作クロック伝送ケーブルを介して前記コンテンツ再生装置に送信するステップと、前記出力装置基準動作クロック信号に基づいて動作し前記コンテンツ再生装置からマルチメディア伝送ケーブルを介して送信されてきたコンテンツデータが入力されるステップと、前記出力装置基準動作クロック信号に基づいて動作しコンテンツデータを外部に出力するステップと、コンテンツ出力装置全体を制御すると共に前記コンテンツ再生装置に出力装置基準動作クロック信号に同期した動作クロック信号を動作クロック送信部から送信するよう制御するステップとを備え、前記コンテンツ再生装置の前記出力装置制御部は、前記動作クロック送信部が動作クロックを前記動作クロック受信部に送信する場合、予め定めた信号を動作クロック信号に重畳して送信するよう前記動作クロック送信部を制御し、前記再生装置制御部は、前記動作クロック受信部が受信した動作クロックに予め定めた信号が重畳されているか否かを判別し、予め定めた信号が重畳されている場合は前記再生装置動作クロック変換部が前記動作クロック受信部が出力する前記受信動作クロック信号を用いて再生装置動作クロック信号に変換するよう前記再生装置動作クロック変換部を制御し、予め定めた信号が重畳されていない場合は前記再生装置動作クロック変換部が前記再生装置基準動作クロック発生部が発生する再生装置基準動作クロック信号を用いて再生装置動作クロック信号に変換するよう前記再生装置動作クロック変換部を制御するステップとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本願発明によれば、デジタルインターフェースを用いてコンテンツ再生装置からコンテンツ出力装置にビデオデータ及びオーディオデータのデジタルデータの伝送を行うシステムにおいて、数多くの回路の追加や複雑な信号処理の必要なく、また、ユーザによる設定変更の操作を簡略化できると共に、オーディオデータの音質やビデオデータの画質を劣化させることなくデータを伝送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本願発明のコンテンツデータ伝送システムの一実施形態の概略構成を示す図である。
【図2】本願発明の一実施形態のコンテンツデータ伝送システムにおけるモード確認処理を示す図である。
【図3】本願発明の一実施形態のコンテンツデータ伝送システムにおけるコンテンツデータ伝送に係る処理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本願発明のコンテンツデータ伝送システムの一実施形態の概略構成を示す図である。
図1において、コンテンツデータ伝送システム100は、コンテンツ再生装置200、コンテンツ出力装置300を備える。
コンテンツ再生装置200は、例えば、DVDプレーヤBDプレーヤなどのディスクプレーヤや、半導体メモリに記憶されたコンテンツデータを再生するメモリプレーヤや、ネットワーク接続し、ネットワークを介してサーバ等からデジタルデータをダウンロードするネットワークプレーヤなどである。コンテンツ再生装置200は、ディスク等の記録媒体から再生したビデオデータやオーディオデータ、或いは、ネットワークを介して取得したビデオデータやオーディオデータに対しデコード等の信号処理を施し、デジタルデータとして出力する。
【0021】
また、コンテンツ出力装置300は、例えば、AV(Audio Visual)アンプ、AVレシーバ、ネットワークレシーバなどである。コンテンツ出力装置300は、コンテンツ出力装置300にコード等で直接接続された外部装置やネットワークを介して入力するビデオデータやオーディオデータに、オーディオ信号を増幅したり、サラウンドのための信号処理を施したり、ビデオデータをテレビやモニターが表示可能なビデオ信号に変換する信号処理等を施し出力する。
【0022】
また、コンテンツデータは、ビデオデータ、オーディオデータ、コンピュータプログラムなどのデータである。本実施例においては、コンテンツデータをビデオデータとオーディオデータが含まれているデータとして説明する。
【0023】
本実施例のコンテンツデータ伝送システム100において、コンテンツ再生装置200とコンテンツ出力装置300は、マルチメディアデータ伝送ケーブル400及び動作クロック伝送ケーブル500により接続されている。コンテンツ再生装置200とコンテンツ出力装置300は、コンテンツデータを伝送するため、マルチメディアデータ伝送ケーブル400で接続されている。本実施例においては、このコンテンツデータを伝送するマルチメディア伝送ケーブル400としてHDMIケーブル400を用いる。コンテンツ再生装置200のデータ出力部及びコンテンツ出力装置300のデータ入力部は、HDMIに対応したインターフェース機能を有し、HDMIケーブル400を使用することにより、コンテンツ再生装置200とコンテンツ出力装置300との間の機器認証やデータ転送の保護を行えると共に、オーディオデータ・ビデオデータを1本のケーブルにより伝送することができる。
【0024】
また、コンテンツ再生装置200とコンテンツ出力装置300は、動作クロック信号を伝送するため、動作クロック伝送ケーブル500で接続されている。本実施例においては、動作クロック伝送ケーブルとしてSPDIF対応のケーブル(SPDIFケーブル500)を用いる。コンテンツ再生装置200のデータ出力部及びコンテンツ出力装置300のデータ入力部は、SPDIFインターフェース機能を有する。SPDIFインターフェースは、一般的にオーディオデータの伝送に利用されるものであり、安価に、且つ、複雑な回路構成をとることなく利用できる。
【0025】
本実施例において、当該動作クロック伝送ケーブル500(SPDIFケーブル500)では、コンテンツ出力装置300からコンテンツ再生装置200に動作クロック信号を伝送することが目的であるため、このSPDIFケーブル500の伝送クロックとして、コンテンツ出力装置300の基準動作クロック発生部が発生した基準動作クロック信号に基づいた動作クロック信号を用い、オーディオデータとして0データを伝送する。このことにより、コンテンツ再生装置200では、不要なオーディオデータに対してデコード等の処理を行う必要がなく、コンテンツ出力装置300が発生した動作クロック信号を正確に受信することができる。
【0026】
なお、本実施例においては、コンテンツ出力装置300からコンテンツ再生装置200への動作クロック信号の伝送として動作クロック伝送ケーブル500を用いたが、HDMIケーブル400を利用することもできる。HDMIケーブル400において、使用していないデータ線を利用してコンテンツ出力装置300からコンテンツ再生装置200に動作クロック信号を伝送するようにしてもよい。さらにコンテンツ再生装置200とコンテンツ出力装置300に電源を供給する電源ケーブルを利用することもできる。このことにより、動作クロック伝送ケーブル、当該ケーブルの接続部、インターフェース部を省略することができ、回路構成を簡単にすることができる。
【0027】
次に、本実施例のコンテンツ再生装置及びコンテンツ出力装置の構成について説明する。最初にコンテンツ再生装置200について説明する。
コンテンツ再生装置200は、再生装置基準動作クロック発生部210、動作クロック受信部220、再生装置動作クロック変換部230、コンテンツ発生部240、再生装置信号処理部250、データ出力部260、再生装置制御部270を備える。
【0028】
再生装置基準動作クロック発生部210は、水晶発振器(図示せず)を備え、コンテンツ再生装置200内の各部が動作する際の動作クロック信号の基準となる基準動作クロック信号を発生する。基準動作クロック信号は、再生装置動作クロック変換部230に出力される。
【0029】
動作クロック受信部220は、後述するコンテンツ出力装置300の動作クロック送信部350からSPDIFケーブル500を介して伝送される動作クロック信号を受信し、内蔵する周波数変換器(図示せず)により、受信した動作クロック信号の周波数を所定の周波数に変換し、その周波数変換した動作クロック信号(受信動作クロック信号)を再生装置動作クロック変換部230に出力する。具体的には、動作クロック受信部220は、コンテンツ出力装置から48kHzの動作クロック信号を受信し、その動作クロック信号を内蔵の周波数変換器により、24MHzの動作クロック信号に変換し、その24MHzの動作クロック信号を再生装置動作クロック変換部230に出力する。
【0030】
再生装置動作クロック変換部230は、再生装置基準動作クロック発生部210から出力された基準動作クロック信号、または、動作クロック受信部220から出力された受信動作クロック信号が入力され、後述する再生装置制御部270の制御に基づいて、いずれの動作クロック信号を用いて所定の周波数の動作クロック信号に変換し、変換した動作クロック信号を後述するコンテンツ発生部240、信号処理部250、データ出力部260等に出力する。
【0031】
再生装置動作クロック変換部230は、第1周波数変換部(図示せず)、第2周波数変換部(図示せず)、信号切換部(図示せず)を備える。第1周波数変換器は、周波数の変動が大きい信号にも対応可能な入力周波数ゲインの高い周波数変換器である。第2周波数変換器は、周波数の変動が比較的小さい信号に対応し、所定の周波数に対して誤差が小さい周波数の動作クロック信号に変換することが可能な入力周波数ゲインの低い周波数変換器である。信号切換器は、再生装置動作クロック変換部230に入力する再生装置基準動作クロック発生部210から出力された基準動作クロック信号と動作クロック受信部220から出力された受信動作クロック信号とを、後述する再生装置制御部270の制御に基づいて切り換える。
【0032】
具体的には、再生装置動作クロック変換部230において、信号切換部は、再生装置制御部270の制御に基づいて、動作クロック受信部220から出力される24MHzの受信動作クロック信号、或いは、再生装置基準動作クロック発生部210が発生した24MHzの基準動作クロック信号のいずれかに入力元を切り換える。第1周波数変換器は、入力した24MHzの動作クロック信号を13.5MHzの動作クロック信号に変換し、その13.5MHzの動作クロック信号を第2周波数変換器に出力する。第2周波数変換器は、13.5MHzの動作クロック信号を更に27MHzの動作クロック信号に変換し、コンテンツ発生部240、再生装置信号処理部250、データ出力部260等に出力する。なお、第1周波数変換器は、入力した24MHzの動作クロック信号を27MHzの動作クロック信号に変換して、その27MHzの動作クロック信号を第2周波数変換器に出力し、第2周波数変換器は、27MHzの動作クロックを更に27MHzの動作クロック信号に変換するようにしてもよい。
【0033】
動作クロック受信部220から入力する24MHzの動作クロック信号は、SPDIFケーブル500で伝送された48kHzの動作クロック信号に基づいて生成された受信動作クロック信号であり、基準の周波数に対して周波数の変動が大きい信号になる。このため、最初に、入力周波数ゲインが高い第1周波数変換器により基準となる周波数に対して周波数変動幅が狭い動作クロック信号に変換する。つまり、24MHzの動作クロック信号を13.5MHz±5%の周波数範囲の動作クロック信号に変換する。その後、第1周波数変換器から出力された13.5MHz±5%の周波数範囲の動作クロック信号は、入力周波数ゲインの低い第2周波数変換器により、所定周波数に対して更に周波数変動幅が狭い精度の高い動作クロック信号に変換される。つまり、13.5MHz±5%の周波数範囲の動作クロック信号は27KHz±0.5%の周波数範囲の動作クロック信号に変換され、その動作クロック信号は、コンテンツ発生部240、再生装置信号処理部250、データ出力部260等に出力される。コンテンツ発生部240、再生装置信号処理部250、データ出力部260等は、所定周波数に対し誤差が小さい動作クロック信号に同期して動作する。このため、コンテンツ発生部240、再生装置信号処理部250、データ出力部260等は、同期ずれ等がなく動作する。
【0034】
コンテンツ発生部240は、ディスクに記録されているコンテンツデータや半導体メモリに記憶されているコンテンツデータを読み出し、後段の再生装置信号処理部250に出力する。また、コンテンツ発生部240は、ネットワーク接続部(図示せず)を備え、ネットワークを介してサーバ等に記録されているコンテンツデータをダウンロードしたり、ストリーミングすることによりコンテンツデータを取得し、そのコンテンツデータを後段の再生装置信号処理部250に出力する。
【0035】
再生装置信号処理部250は、コンテンツ発生部240から入力したコンテンツデータに、デコード処理や様々な信号処理を施す。例えば、オーディオデータやビデオデータに対してデコード処理を施したり、オーディオデータについてマルチチャンネル処理を施したり、ビデオデータについて3D変換等の処理を施したりする。
【0036】
データ出力部260は、再生装置信号処理部250から出力されたコンテンツデータを、後段のコンテンツ出力装置300に伝送するために、コンテンツ再生装置200とコンテンツ出力装置300との間で接続されているケーブルで伝送可能なデータフォーマットに変換し出力する。本実施例においては、コンテンツ再生装置200及びコンテンツ出力装置300は、HDMIケーブル400で接続されている。データ出力部260は、HDMIインターフェース機能を有し、HDMIインターフェースのデータ伝送に適合したデータに変換するとともに、HDMIケーブル400を介してコンテンツデータをコンテンツ出力装置300に伝送する。
【0037】
再生装置制御部270は、コンテンツ再生装置200全体を制御する。再生装置制御部270は、コンテンツ出力装置300から受信した動作クロック信号に基づいて、再生装置動作クロック変換部230において動作クロック信号の周波数を変換し、当該動作クロック信号に基づいてコンテンツ発生部240、再生装置信号処理部250、データ出力部260等を動作させ、コンテンツデータをコンテンツ出力装置300に伝送する制御を行う。
【0038】
再生装置制御部270は、電源のオンオフ、ユーザによる設定、HDMIケーブル400の接続等に基づいて、コンテンツ出力装置300から動作クロック信号を受信できるか否かを検出し、コンテンツ出力装置300から動作クロック信号を受信できる場合は、再生装置動作クロック変換部230の信号切換部を制御し、動作クロック受信部220が受信した受信動作クロック信号に基づいて動作クロック信号が生成され、装置内の各部が動作するように制御する。また、コンテンツ出力装置300から動作クロック信号を受信できるか否かを検出し、コンテンツ出力装置300から動作クロック信号を受信したことを検出できない場合は、再生装置動作クロック変換部230の信号切換部を制御し、再生装置基準動作クロック発生部210から出力された基準動作クロック信号に基づいて動作クロック信号を生成し、装置内の各部が動作するように制御する。
【0039】
次に、コンテンツ出力装置300について説明する。
コンテンツ出力装置300は、データ入力部310、出力装置信号処理部320、出力部330、出力装置基準動作クロック発生部340、動作クロック送信部350、出力装置制御部360を備える。
【0040】
データ入力部310は、HDMIケーブル400を介してコンテンツ再生装置200から伝送されてきたコンテンツデータを受信する。データ入力部310は、受信したコンテンツデータを後段の出力装置信号処理部320に出力する。
【0041】
出力装置信号処理部320は、データ入力部310から出力されたコンテンツデータに対し信号処理を施し出力部330に出力する。信号処理は、例えば、オーディオデータについてサラウンド変換処理を施したり、ビデオデータについてOSD(On-Screen Display)信号を重畳する信号処理を施したりする。
【0042】
出力部330は、オーディオデータを増幅する増幅部(図示せず)や、ビデオデータをテレビやモニターに表示するためのビデオ信号形式に変換するビデオエンコーダ(図示せず)等を備え、出力装置信号処理部320から出力されたコンテンツデータをビデオデータとオーディオデータに分けて、それぞれ出力する。オーディオデータの場合は、増幅部を介して出力端子からスピーカ等に出力される。ビデオデータの場合は、ビデオエンコーダを介してテレビやモニターに出力される。
【0043】
出力装置基準動作クロック発生部340は、水晶発振器(図示せず)を備え、基準動作クロック信号を発生する。本実施例においては、当該基準動作クロック信号は、コンテンツ出力装置300の動作クロック信号の基準となると共に、コンテンツ再生装置200に伝送する動作クロック信号の基準となる。具体的には、出力装置基準動作クロック発生部340は、24MHzの基準動作クロック信号を発生し、その基準動作クロック信号をデータ入力部310、出力装置信号処理部320、出力部330等に出力する。
【0044】
動作クロック送信部350は、出力装置基準動作クロック発生部340が発生した基準動作クロック信号を所定の周波数に変換した後、SPDIFケーブル500を介してコンテンツ再生装置200に動作クロック信号を伝送する。本実施例においては、出力装置基準動作クロック発生部340が発生した24MHzの基準動作クロック信号を48kHzの周波数の動作クロック信号に変換し、SPDIFケーブル500によりコンテンツ再生装置200に伝送する。
【0045】
出力装置制御部360は、コンテンツ出力装置300全体を制御する。出力装置制御部360は、出力装置基準動作クロック発生部340が発生した基準動作クロック信号を動作クロック送信部350からSPDIFケーブル500を介してコンテンツ再生装置200に送信する制御を行うと共に、コンテンツ再生装置200から伝送されてきたコンテンツデータを受信し、信号処理を施した後、出力部330から外部に出力する制御を行う。
【0046】
次に、本実施例において、コンテンツ出力装置200とコンテンツ再生装置300の動作を説明する。
本実施例においては、コンテンツ出力装置300が発生した動作クロック信号によりコンテンツ再生装置200が動作する出力装置クロック動作モードで両装置が動作するために、互いの装置が、出力装置クロック動作モードに対応可能か否かを確認する必要がある。
【0047】
出力装置クロック動作モードは、コンテンツ再生装置200及びコンテンツ出力装置300の両装置が対応していなければ動作できず、出力装置クロック動作モードのオンオフは、ユーザが設定することもできる。コンテンツ再生装置200及びコンテンツ出力装置300のデフォルトの設定では、出力装置クロック動作モードはオフ状態になっている。本実施例においては、この出力装置クロック動作モードはオンオフを自動的に設定する動作について説明する。なお、この動作モードは、コンテンツ再生装置又はコンテンツ出力装置の電源がオンした時に確認するようにしてもよい。
【0048】
コンテンツ再生装置200とコンテンツ出力装置300は、両装置間がHDMIケーブル400で接続され、それぞれの装置の電源がオンされた場合、或いは、電源がオンされ、その後に両装置間でHDMIケーブル400が接続された場合に、再生装置制御部270又は出力装置制御部360が、電源オン及びHDMIケーブル400の接続の検出に基づいて、HDMIインターフェースを介してモード確認処理を行う。
【0049】
モード確認処理について説明する。ここでは、HDMIケーブル400が接続され、モード確認処理時の通信方式としてHDMIインターフェース機能のCEC(Consumer Electronics Control)を利用する場合を例に挙げて説明する。
図2は、本願発明の一実施形態のコンテンツデータ伝送システムにおけるモード確認処理を示す図である。
コンテンツ再生装置200とコンテンツ出力装置300とをHDMIケーブル400が接続されると、コンテンツ再生装置200の再生装置制御部270は、HDMIケーブル400が接続されたことを検出し、モード確認処理を実行する。コンテンツ出力装置300の出力装置制御部360もHDMIケーブル400が接続されたことを検出する。
【0050】
コンテンツ再生装置200において、再生装置制御部270は、データ出力部260のHDMIインターフェース機能を利用し、HDMIケーブル400を介して、コンテンツ再生装置200の機器情報をコンテンツ出力装置300に送信する。機器情報は、自らの機器を特定するための情報(例えば、メーカー名、モデル番号、など)である。ここで、コンテンツ再生装置200の機器情報の送信は、CEC通信設定によらず、HDMIケーブル400が接続された時に実行される。
【0051】
コンテンツ出力装置300は、HDMIケーブル400を介して、データ入力部310によりコンテンツ再生装置200からの機器情報を受信する。ここで受信したコンテンツ再生装置200からの機器情報が内部メモリ(図示せず)に記憶されているテーブルを参照し、コンテンツ再生装置が所定のメーカーの機器であった場合は、コンテンツ出力装置300のCEC通信設定によらず、一時的に内部のCEC通信設定を有効にする。出力装置制御部360は、データ入力部310のHDMIインターフェース機能のCEC機能を利用して、HDMIケーブル400介して、コンテンツ出力装置300の機器情報をコンテンツ再生装置200に送信する。
【0052】
一方、コンテンツ再生装置200において、再生装置制御部270は、データ出力部260がコンテンツ出力装置300からの機器情報を受信すると、再生装置制御部270の内部メモリに記憶されているテーブルを参照し、コンテンツ出力装置300が所定のメーカーの機器であるかを確認する。
【0053】
コンテンツ再生装置200は、コンテンツ出力装置300が所定のメーカーの機器である場合、コンテンツ再生装置200は自身が出力装置クロック動作モードに対応しているか否かをHDMIインターフェース機能のCEC機能を利用してコンテンツ出力装置300に通知する。同時にコンテンツ出力装置300は、コンテンツ再生装置200からの通知内容を確認すると同時に自身が出力装置クロック動作モードに対応しているどうかをHDMIインターフェース機能のCEC機能を利用してコンテンツ再生装置200に通知する。
【0054】
コンテンツ再生装置200は、コンテンツ出力装置300が出力装置クロック動作モードに対応していることを確認できたら、当該モードによる動作開始の要求をコンテンツ出力装置300に送信する。コンテンツ出力装置300は、コンテンツ再生装置200からの要求に基づいて、出力装置クロック動作モードに設定を切り替える。コンテンツ出力装置300は動作モードを切り替えたら、一時的に有効にした内部のCEC通信設定を無効にする。
【0055】
ここで機器情報の取得についてはHDMIケーブル400内のHDMIインターフェース機能のCEC機能を使用して相互にやり取りする方法に加えて、コンテンツ再生装置200の機器情報をHDMI上のPACKET情報により伝送し、コンテンツ出力装置300の機器情報をEDID情報により伝送する方法も可能でもある。また出力装置クロック動作モードに対応しているかの確認についても、コンテンツ出力装置300のSPDIF出力のチャンネルビットステータス情報により伝送し、コンテンツ再生装置200の機器情報をHDMI上のPACKET情報により伝送する方法でも可能である。
【0056】
コンテンツ再生装置200は、コンテンツ出力装置300からの出力装置クロック動作モードで動作を開始することを示す情報を受信すると、コンテンツ再生装置200のモードの設定も出力装置クロック動作モードに変更する。ここで、モード確認処理が終了する。モード確認処理が終了すると共に、コンテンツ再生装置200及びコンテンツ出力装置300は、出力装置クロック動作モードでの動作に移る。
【0057】
次に、コンテンツ再生装置200とコンテンツ出力装置300との間でのコンテンツデータの伝送の処理について説明する。
図3は、本願発明の一実施形態のコンテンツデータ伝送システムにおけるコンテンツデータ伝送に係る処理を示す図である。
【0058】
前述のとおり、モード確認処理が終了すると、コンテンツ再生装置200及びコンテンツ出力装置300は、出力装置クロック動作モードで動作可能な状態に設定される(ステップ101)。出力装置クロック動作モードで動作可能な状態になると、コンテンツ出力装置300は、コンテンツ再生装置200に、HDMIケーブル400を介して、動作クロック信号を送信する旨を送信し、SPDIFケーブル500を介しての動作クロック進行の送信を開始する(ステップ102)。
【0059】
具体的には、コンテンツ出力装置300は、モードの切り替えに伴い、動作クロック送信部350が、出力装置基準動作クロック発生部340から発生した基準動作クロック信号に基づいて48kHzの動作クロック信号を生成し、SPDIFケーブル500を介して、コンテンツ再生装置200に動作クロックの送信を開始する。
【0060】
コンテンツ再生装置200の再生装置制御部270は、動作クロック受信部220がコンテンツ出力装置300から48kHzの動作クロック信号を受信したか否かを確認し(ステップ103)、動作クロック信号を受信すると、受信した動作クロック信号に基づいて24MHzの受信動作クロック信号に変換し、後段の再生装置動作クロック変換部230に出力する(ステップ104)。
【0061】
ここで、もしSPDIFケーブル500の不具合等により、出力装置クロック動作モードでの動作が開始した後、予め定めた時間内に、動作クロック受信部220がコンテンツ出力装置300からの動作クロック信号を受信できなかった場合(ステップ105)、再生装置制御部270は、出力装置クロック動作モードを切り替え、再生装置基準動作クロック発生部210が発生した基準動作クロック信号に基づいて再生装置動作クロック信号を生成し、装置を動作させるように制御する(ステップ106)。予め定めた時間は、例えば、5秒程度である。
【0062】
再生装置制御部270が、予め定めた時間内に、コンテンツ出力装置360からの動作クロック信号を受信できない場合、コンテンツ再生装置210内の基準動作クロック信号に基づいて生成された再生装置動作クロック信号により動作するように制御するため、長時間にわたり、コンテンツデータがコンテンツ再生装置200から出力されないことがない。このことにより、ユーザは、コンテンツ再生装置200とコンテンツ出力装置300との間で動作クロック信号の伝送エラーが生じた場合でも、複雑な設定変更等をする必要なく、コンテンツデータをコンテンツ出力装置300を介して聴取することができる。
【0063】
また、上述のような動作クロック信号の伝送エラー等により出力装置クロック動作モードから設定を切り換えた場合には、再生装置制御部270は、コンテンツ再生装置200の表示部(図示せず)にモード設定を変更した旨を表示し、ユーザに通知される。このことにより、ユーザは、出力装置クロック動作モードでなく動作していることを認識することができる。また、もしSPDIFケーブル500に断線の不具合があったり、或いは、接続先の端子を間違えていたりした場合に、ユーザに認識させることができる。
【0064】
再生装置動作クロック変換部230は、24MHzの受信動作クロック信号に基づいて同期した27MHzの動作クロック信号(再生装置動作クロック信号)を生成し、コンテンツ発生部240、再生装置信号処理部250、データ出力部260に出力する(ステップ107)。
【0065】
コンテンツ発生部240は、再生装置動作クロック変換部230から供給された動作クロック信号で動作し、装填されているディスクからコンテンツデータを読み出し、或いは、ネットワークを介してコンテンツデータをダウンロードし、再生装置信号処理部250に出力する(ステップ108)。
【0066】
再生装置信号処理部250も再生装置動作クロック変換部230から供給された動作クロック信号で動作し、コンテンツ発生部240から入力したコンテンツデータに所定の信号処理を施し、データ出力部260に出力する(ステップ109)。
【0067】
データ出力部260も再生装置動作クロック変換部230から供給された動作クロック信号で動作し、再生装置信号処理部250から入力したコンテンツデータを所定の信号フォーマットに変換し、HDMIケーブル400を介してコンテンツデータをコンテンツ出力装置300に送信する(ステップ110)。
【0068】
コンテンツ出力装置300において、データ入力部310は、コンテンツ再生装置200から出力されたコンテンツデータを受信し、信号フォーマットを所定のフォーマットに変換した後に、出力装置信号処理320に出力する(ステップ111)。ここで、コンテンツ出力装置300の各部(図1のコンテンツ出力装置300のデータ入力部310、出力装置信号処理部320、出力部330)は、出力装置基準動作クロック発生部340が発生した動作クロック信号に基づいて動作する。
【0069】
出力装置信号処理部320は、データ入力部310から出力されたコンテンツデータに所定の信号処理を施し、出力部330に出力する(ステップ112)。出力部330は、オーディオデータを増幅したり、ビデオデータにビデオエンコード処理を施した後、外部装置に、それぞれビデオ信号オーディオ信号として出力する(ステップ113)。
【0070】
以上のように、本実施例のコンテンツデータ伝送システム100は、コンテンツ再生装置200及びコンテンツ出力装置300のそれぞれの装置の電源がオンした場合、或いは、HDMIケーブル400が接続された場合、自動的に、出力装置クロック動作モードに対応しているかを確認し、両装置がこのモードに対応していることの確認ができた場合、自動的に出力装置クロック動作モードに設定され、当該モードで動作する。このことにより、電源をオンする毎に、或いはHDMIケーブル400を接続する毎に、ユーザがモード設定をする必要がなく、手間がかからない。また、自動的に設定されることにより、ユーザが設定を間違うことがない。さらに、コンテンツ出力装置300の動作クロック信号に基づいてコンテンツ再生装置200が動作し、コンテンツ再生装置200が再生したコンテンツデータをコンテンツ出力装置300で出力する出力装置クロック動作モードで動作することにより、両装置間でのジッターが低減され、データ伝送に悪影響がなく、コンテンツデータを伝送することができる。
【0071】
また、本実施例のコンテンツデータ伝送システム100は、コンテンツ出力装置300が出力装置クロック動作モードに対応していることを示す信号を送信し、その信号を受信した後、予め定めた時間(例えば、5秒、など)経過しても動作クロック受信部220が動作クロック信号を受信しなかった場合、出力装置クロック動作モードを中止し、再生装置動作クロック変換部230の信号切換部を切り換え、再生装置基準動作クロック発生部210が発生した基準動作クロック信号に基づいて再生装置動作クロック信号を生成し、当該再生装置動作クロック信号に基づいて動作する。このことにより、コンテンツ出力装置300からの動作クロック信号の出力エラー、ケーブル断線、ケーブルの接続ミス等が発生した場合でも、コンテンツデータの再生不能な状態が継続することなく、短時間で、コンテンツ再生装置200においてコンテンツデータの再生が可能となる。
【0072】
本実施例のコンテンツデータ伝送システム100は、コンテンツ出力装置200とコンテンツ再生装置300が、それぞれ出力装置クロック動作モードに対応可能か否かを確認するために、モード確認処理を行う構成について説明したが、このようなモード確認処理を行わずに、動作クロック受信部220に入力されるクロック信号の信頼性を確認するために、動作クロック信号にコンテンツ出力装置300からの信号であることを示すデータを重畳し、コンテンツ再生装置200側で受信した動作クロック信号にコンテンツ出力装置300からの信号であることを示すデータが重畳されている場合のみ、出力装置クロック動作モードで動作する構成としても良い。例えば、出力装置制御部360は、動作クロック送信部350が動作クロックを動作クロック受信部220に送信する場合、予め定めたバイフェーズの信号を動作クロック信号に重畳して送信するよう動作クロック送信部350を制御し、再生装置制御部270は、動作クロック受信部220が受信した動作クロックに予め定めたバイフェーズの信号が重畳されているか否かを判別し、バイフェーズの信号が重畳されている場合は出力装置クロック動作モードで動作するよう制御し、バイフェーズの信号が重畳されていない場合は、再生装置動作クロック変換部230の信号切換部を切り換え、再生装置基準動作クロック発生部210が発生した基準動作クロック信号に基づいて再生装置動作クロック信号を生成し、当該再生装置動作クロック信号に基づいて動作するよう制御しても良い。これにより、モード確認処理に必要な回路構成を省略することができ、また、モード確認処理に必要な時間を短縮することができる。また、万一、動作クロック伝送ケーブル500をコンテンツ出力装置300でない装置と接続した状態で、コンテンツ出力装置300でない装置から送信された動作クロック信号を受信してしまい、再生するオーディオデータにジッターが発生したり、音質や画質が劣化してしまうことを防止することができる。
【0073】
本実施例のコンテンツデータ伝送システム100は、動作クロック送信部350が動作クロック受信部220に対して48KHzの動作クロック信号を送信し、その48KHzの動作クロック信号から27MHzの動作クロック信号を生成し、この27MHzの動作クロック信号から48KHz系の動作クロック信号である24MHzの動作クロック信号及び44.1KHz系の動作クロック信号である22MHzの動作クロック信号を生成する構成としたが、例えば、複数のクロック信号を切換えて送信できる構成としても良い。例えば、動作クロック送信部350は、48kHzの動作クロック信号と44.1kHzの動作クロック信号とを切換えて送信できるような構成とし、動作クロック受信部220は受信した動作クロック周波数に基づいて動作する構成とする。これにより、例えば、DVDやBD等の記録媒体に記録されたビデオデータを含むコンテンツデータを再生する場合は、48kHzの動作クロック信号で動作するように切換えることができ、また、CD等の記録媒体に記録されたビデオデータを含まないコンテンツデータを再生する場合は、44.1kHzの動作クロック信号で動作するように切換えることができるため、再生するコンテンツデータに応じて複数の動作クロックのうちから任意の動作クロックを選択して動作させることができる。
【0074】
本実施例のコンテンツデータ伝送システム100は、動作クロック信号の周波数の値として24MHz、13.5MHz、27MHz、48kHz、44.1kHz等の周波数の値を用いて説明したが、本実施例で説明した効果を奏するのであれば、他の任意の周波数の値を用いた伝送システムとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、コンテンツデータを再生するコンテンツ再生装置と、コンテンツデータに信号処理や増幅を施して出力するコンテンツ出力装置とからなるコンテンツデータ伝送システムに利用できる。
【符号の説明】
【0076】
100・・・コンテンツデータ伝送システム
200・・・コンテンツ再生装置、210・・・再生装置基準動作クロック発生部、220・・・動作クロック受信部、230・・・再生装置動作クロック変換部、240・・・コンテンツ発生部、250・・・再生装置信号処理部、260・・・データ出力部
300・・・コンテンツ出力装置、310・・・データ入力部、320・・・出力装置信号処理部、330・・・出力部、340・・・出力装置基準動作クロック発生部、350・・・動作クロック送信部、360・・・出力装置制御部
400・・・マルチメディアデータ伝送ケーブル
500・・・動作クロック伝送ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツデータを再生するコンテンツ再生装置と、当該コンテンツ再生装置が再生したコンテンツデータを入力し信号処理を施し出力するコンテンツ出力装置とからなるコンテンツデータ伝送システムにおいて、
コンテンツ再生装置は、再生装置基準動作クロック信号を発生する再生装置基準動作クロック発生部と、
前記コンテンツ出力装置から動作クロック伝送ケーブルを介して伝送されてきた動作クロック信号を受信し当該動作クロック信号に同期した受信動作クロック信号を出力する動作クロック受信部と、
前記基準動作クロックと前記受信動作クロック信号のいずれかを用いて再生装置動作クロック信号に変換する再生装置動作クロック変換部と、
前記再生装置動作クロック信号に基づいて動作しコンテンツデータを再生するコンテンツ再生部と、
前記再生装置動作クロック信号に基づいて動作しコンテンツデータをマルチメディア伝送ケーブルを介してコンテンツ出力装置に送信するデータ出力部と、
前記コンテンツ再生装置全体を制御すると共に前記再生装置動作クロック信号を制御する再生装置制御部とを備え、
前記コンテンツ出力装置は、出力装置基準動作クロック信号を発生する出力装置基準動作クロック発生部と、前記出力装置基準動作クロック信号に基づいて前記コンテンツ再生装置に送信する動作クロック信号を生成して動作クロック伝送ケーブルを介して前記コンテンツ再生装置に送信する動作クロック送信部と、
前記出力装置基準動作クロック信号に基づいて動作し前記コンテンツ再生装置からマルチメディア伝送ケーブルを介して送信されてきたコンテンツデータが入力されるデータ入力部と、
前記出力装置基準動作クロック信号に基づいて動作しコンテンツデータを外部に出力する出力部と、コンテンツ出力装置全体を制御すると共に前記コンテンツ再生装置に出力装置基準動作クロック信号に同期した動作クロック信号を動作クロック送信部から送信するよう制御する出力装置制御部と
を備え、
前記コンテンツ再生装置の前記出力装置制御部は、前記動作クロック送信部が動作クロックを前記動作クロック受信部に送信する場合、予め定めた信号を動作クロック信号に重畳して送信するよう前記動作クロック送信部を制御し、
前記再生装置制御部は、前記動作クロック受信部が受信した動作クロックに予め定めた信号が重畳されているか否かを判別し、予め定めた信号が重畳されている場合は前記再生装置動作クロック変換部が前記動作クロック受信部が出力する前記受信動作クロック信号を用いて再生装置動作クロック信号に変換するよう前記再生装置動作クロック変換部を制御し、予め定めた信号が重畳されていない場合は前記再生装置動作クロック変換部が前記再生装置基準動作クロック発生部が発生する再生装置基準動作クロック信号を用いて再生装置動作クロック信号に変換するよう前記再生装置動作クロック変換部を制御することを特徴とするコンテンツデータ伝送システム。
【請求項2】
コンテンツデータを再生するコンテンツ再生装置と当該コンテンツ再生装置が再生したコンテンツデータを入力し信号処理を施し出力するコンテンツ出力装置との間をコンテンツデータを伝送するマルチメティアデータ伝送ケーブルと動作クロック信号を伝送する動作クロック伝送ケーブルで接続し、コンテンツ再生装置からコンテンツ出力装置にコンテンツデータを伝送する方法であって、
前記コンテンツ再生装置内で再生装置基準動作クロック信号を発生するステップと、
前記コンテンツ出力装置から動作クロック伝送ケーブルを介して伝送されてきた動作クロック信号を受信し当該動作クロック信号に同期した受信動作クロック信号を出力するステップと、
前記基準動作クロックと前記受信動作クロック信号のいずれかを用いて再生装置動作クロック信号に変換するステップと、
前記再生装置動作クロック信号に基づいて動作しコンテンツデータを再生するステップと、
前記再生装置動作クロック信号に基づいて動作しコンテンツデータをマルチメディア伝送ケーブルを介してコンテンツ出力装置に送信するステップと、
前記コンテンツ再生装置全体を制御すると共に前記再生装置動作クロック信号を制御するステップを備え、
前記コンテンツ出力装置は、出力装置基準動作クロック信号を発生するステップと、前記出力装置基準動作クロック信号に基づいて前記コンテンツ再生装置に送信する動作クロック信号を生成して動作クロック伝送ケーブルを介して前記コンテンツ再生装置に送信するステップと、
前記出力装置基準動作クロック信号に基づいて動作し前記コンテンツ再生装置からマルチメディア伝送ケーブルを介して送信されてきたコンテンツデータが入力されるステップと、
前記出力装置基準動作クロック信号に基づいて動作しコンテンツデータを外部に出力するステップと、
コンテンツ出力装置全体を制御すると共に前記コンテンツ再生装置に出力装置基準動作クロック信号に同期した動作クロック信号を動作クロック送信部から送信するよう制御するステップとを備え、
前記コンテンツ再生装置の前記出力装置制御部は、前記動作クロック送信部が動作クロックを前記動作クロック受信部に送信する場合、予め定めた信号を動作クロック信号に重畳して送信するよう前記動作クロック送信部を制御し、
前記再生装置制御部は、前記動作クロック受信部が受信した動作クロックに予め定めた信号が重畳されているか否かを判別し、予め定めた信号が重畳されている場合は前記再生装置動作クロック変換部が前記動作クロック受信部が出力する前記受信動作クロック信号を用いて再生装置動作クロック信号に変換するよう前記再生装置動作クロック変換部を制御し、予め定めた信号が重畳されていない場合は前記再生装置動作クロック変換部が前記再生装置基準動作クロック発生部が発生する再生装置基準動作クロック信号を用いて再生装置動作クロック信号に変換するよう前記再生装置動作クロック変換部を制御するステップとを備えることを特徴とするコンテンツデータ伝送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−31087(P2013−31087A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166974(P2011−166974)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(309039716)株式会社ディーアンドエムホールディングス (37)
【Fターム(参考)】