説明

コンテンツ再生装置、コンテンツ再生方法、プログラム、及び記録媒体

【課題】デジタルコンテンツを再生中に、その再生中のデジタルコンテンツに対する売値情報を提示することが可能なコンテンツ再生装置を提供する。
【解決手段】コンテンツ再生装置1は、デジタルコンテンツを再生するコンテンツ再生部と、デジタルコンテンツに関する売値情報を取得する売値情報取得部と、取得した売値情報を提示する売値情報提示部とを備える。この売値情報提示部は、デジタルコンテンツを再生中に、そのデジタルコンテンツに関する売値情報の提示を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルコンテンツを再生するコンテンツ再生装置、コンテンツ再生方法、プログラム、及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、書籍、音楽や映画などのコンテンツをデジタル化したデジタルコンテンツを、電子書籍端末やメディアプレーヤ(音楽プレーヤやAVプレーヤ)といったコンテンツ再生装置を用いて視聴を楽しむような利用形態が、ユーザに広く普及している。
【0003】
デジタルコンテンツには、視聴するために対価を必要とする有料デジタルコンテンツと、対価を必要としない無料デジタルコンテンツがある。有料デジタルコンテンツは、旧来の非デジタルコンテンツである書籍、CD、DVDなどを購入するのと同じように、著作権保有者と契約した出版社やレコード会社などが販売権を保有し、実店舗やオンラインストアを介してユーザに販売するものである。
【0004】
有料デジタルコンテンツをユーザが購入する主な方法として、インターネットを利用してオンラインストアからダウンロード購入することが行われている。一方で、ユーザがデジタルデータをインターネット上で公開することは、深い専門知識が無くても容易に行うことが可能であるため、販売権を持つ出版社やレコード会社などしか有料デジタルコンテンツを販売できないようにするために、厳密に視聴権を管理したり、ユーザが無断で複製したり配布したりできないようにするための著作権保護技術が使われていることが一般的である。
【0005】
こうした著作製保護技術の進化やインターネット技術の進化によって、ユーザが視聴したい時に対価を支払うことで、オンラインですぐにデジタルコンテンツを購入して視聴できるようになってきたが、近い将来、更にデジタルコンテンツの流通量が増加すると、ユーザはデジタルコンテンツを購入するだけではなく、不要になったデジタルコンテンツを他のユーザに転売(つまり換金)する要望が大きくなってくることは容易に想像できる。
【0006】
デジタルコンテンツを頻繁に売買するような世界が訪れると、デジタルコンテンツを一種の有価証券のような価値があるものとして扱うことも可能となってくる。
【0007】
特許文献1には、著作権を有価証券化し、価格変動するデジタルコンテンツの時価額表示や著作権関連情報の閲覧によるデジタルコンテンツの電子取引を可能にするデジタルコンテンツ取引システムが公開されている。また、特許文献2には、特許文献1と同様に有価証券化されたデジタルコンテンツに対して、売買取引を行うための端末装置の画面例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−132209号公報
【特許文献2】特開2007−11806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載されているデジタルコンテンツ取引は、デジタルコンテンツが株式証券などの有価証券と異なりデジタルコンテンツ自体を再生して視聴を楽しむメディアであることを勘案していない。そのため、ユーザが保有しているデジタルコンテンツを再生している間に、そのデジタルコンテンツの時価額が時々刻々と変化する場合に、視聴しているユーザがそれを知ることができないという課題がある。
【0010】
例えば、片道1時間の通勤電車に乗る時に、時価額1,000円で購入していた電子書籍の続きを読み始めるとする。なお、このユーザは、もし800円になったら途中までしか読んでいなくても売却してしまいたいと考えている。しかし、読書を始めた直後から、15分に100円のペースで時価額が下落し始め、乗車から1時間経過して下車するまでに時価額が600円まで下がってしまったとする。
【0011】
このケースにおいては、従来技術では電子書籍の再生を一旦中断して時価総額を確認しない限り、読書中の電子書籍の時価額下落を知る手段が無いため、多くの場合は希望していた価格で売却する機会を逃してしまうことになる。
【0012】
本発明は、上述のごとき実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、デジタルコンテンツを再生中に、その再生中のデジタルコンテンツに対する売値情報を提示することが可能なコンテンツ再生装置、コンテンツ再生方法、プログラム、及び記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、デジタルコンテンツを再生するコンテンツ再生部と、前記デジタルコンテンツに関する売値情報を取得する売値情報取得部と、前記売値情報を提示する売値情報提示部とを備え、該売値情報提示部は、前記デジタルコンテンツを再生中に、前記デジタルコンテンツに関する前記売値情報の提示を行うことを特徴としたものである。
【0014】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記売値情報提示部は、予め設定された売値情報提示条件を満たす場合に前記売値情報を提示することを特徴としたものである。
第3の技術手段は、第1又は第2の技術手段において、前記コンテンツ再生装置は、前記デジタルコンテンツの再生中に、前記売値情報提示部による提示を実行するための提示操作を受け付ける操作受付部を備え、前記売値情報提示部は、前記提示操作が受け付けられたときに前記売値情報の提示を実行することを特徴としたものである。
【0015】
第4の技術手段は、第1〜第3のいずれか1の技術手段において、前記コンテンツ再生装置は、前記デジタルコンテンツの再生状態を示す再生状態情報を、前記デジタルコンテンツ毎に蓄積する状態蓄積部を備え、前記売値情報取得部は、再生中の前記デジタルコンテンツに関する前記再生状態情報に対応した売値情報を取得することを特徴としたものである。
第5の技術手段は、第4の技術手段において、前記売値情報提示部で提示する前記売値情報には、前記再生状態情報から推測した推測売値情報を含むことを特徴としたものである。
第6の技術手段は、第1〜第5のいずれか1の技術手段において、前記売値情報取得部は、前記デジタルコンテンツに関する前記売値情報を、前記コンテンツ再生装置にネットワークを介して接続されたサーバ装置から取得することを特徴としたものである。
【0016】
第7の技術手段は、デジタルコンテンツをコンテンツ再生装置で再生するコンテンツ再生方法であって、売値情報取得部が、前記デジタルコンテンツに関する売値情報を取得する取得ステップと、売値情報提示部が、前記取得ステップで取得された前記売値情報を提示する提示ステップとを含み、該提示ステップは、前記デジタルコンテンツを再生中に、前記デジタルコンテンツに関する前記売値情報の提示を行うことを特徴としたものである。
【0017】
第8の技術手段は、デジタルコンテンツを再生するためのプログラムであって、コンピュータに、前記デジタルコンテンツに関する売値情報を取得する取得ステップと、該取得ステップで取得された前記売値情報を提示する提示ステップとを実行させるためのプログラムであり、前記提示ステップは、前記デジタルコンテンツを再生中に、前記デジタルコンテンツに関する前記売値情報の提示を行うことを特徴としたものである。
第9の技術手段は、第8の技術手段におけるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、デジタルコンテンツを再生中に、その再生中のデジタルコンテンツに対する売値情報を提示することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るコンテンツ再生装置を含むコンテンツ売買システムの一構成例を示す図である。
【図2】本発明に係るコンテンツ再生装置の一構成例を示すブロック図である。
【図3】図2のコンテンツ再生装置の表示部における売値情報の提示画面の例を示す図である。
【図4】図2のコンテンツ再生装置における制御部に組み込まれるプログラムの構成要素の一例を示す図である。
【図5】図2のコンテンツ再生装置における売値情報提示処理の一例を説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係るコンテンツ再生装置は、映像及び/又は音声のデジタルコンテンツを再生するコンテンツ再生部を備えた装置である。本発明に係るコンテンツ再生装置としては、例えば電子書籍端末、モバイルPC、携帯電話機、携帯情報端末(PDA)、ポータブル音楽プレーヤ、ポータブルAVプレーヤなどの携帯型装置が挙げられるが、それに限らず、例えばデスクトップ型のPC、設置型の音楽プレーヤ、設置型のAVプレーヤやレコーダ、テレビ装置などの設置型装置も挙げられる。
【0021】
また、本発明に係るコンテンツ再生装置は、デジタルコンテンツの時価額を含む売価情報が時々刻々と変化するようなデジタルコンテンツ売買取引市場を想定し、デジタルコンテンツを再生しながら売値情報を提示可能にした装置である。本発明に係るコンテンツ再生装置を含み、このような市場を形成するためのコンテンツ売買システムについて、図1を参照しながら説明する。
【0022】
図1は、本発明に係るコンテンツ再生装置を含むコンテンツ売買システムの一構成例を示す図である。図1で例示するコンテンツ売買システムは、コンテンツ再生装置1とサーバ装置の一例であるコンテンツ売買サーバ2とが、それぞれインターネットなどの通信ネットワークNに有線若しくは無線で接続されている。このシステムでは、1つのコンテンツ売買サーバ2に対して複数のコンテンツ再生装置1が接続されており、各コンテンツ再生装置1はコンテンツ売買サーバ2と通信可能に構成されており、それぞれ異なるユーザが利用できるようになっている。
【0023】
コンテンツ売買サーバ2は、デジタルコンテンツの売買取引処理を行うサーバである。なお、コンテンツ売買サーバ2は、デジタルコンテンツを売買するためにデジタルコンテンツ自体の送受の処理を行うコンテンツ売買システムに含まれることを前提とするが、コンテンツ送受のためのシステムと独立して通信ネットワークで接続し、そのシステムと連動して動作してもよい。
【0024】
コンテンツ売買サーバ2について具体的に説明する。コンテンツ売買サーバ2は、コンテンツ再生装置1や図示しない一般的なインターネット端末(PCや携帯電話機など)といった売買実行端末からの売買注文要求を受け付け、各デジタルコンテンツにおいて、売買条件(売買希望価格や数量など)が合致したら、買い注文が成立した場合に当該デジタルコンテンツを再生可能にし、逆に売り注文が成立した場合に当該デジタルコンテンツを再生不可にする。つまり、買い注文が成立してから売り注文が成立するまでの間が、当該デジタルコンテンツを再生する権利を有することとなる。
【0025】
ここで、各デジタルコンテンツの再生の可否を制御する方法は、一般的に実用化されている著作権保護の仕組みを利用する。例えば、コンテンツ再生装置1でデジタルコンテンツを再生開始する時に、当該デジタルコンテンツを再生する権利があるか否かをコンテンツ売買サーバ2に問い合わせる。コンテンツ売買サーバ2は、問い合わせを行ったコンテンツ再生装置1が当該デジタルコンテンツに対して再生する権利がある場合のみ、再生を可能にするライセンスキーを内部の記憶装置又は図示しないライセンスサーバから取得し、ライセンスキーを取得できた時のみ、当該デジタルコンテンツを再生可能とする方法がある。
【0026】
なお、売買取引を行った売買実行端末と、デジタルコンテンツを再生するコンテンツ再生装置1が異なることを想定し、上述したデジタルコンテンツの売買取引処理開始時や再生可否問い合わせ開始時において、ユーザを一意に特定することができるユーザIDをコンテンツ売買サーバ2に通知して、ユーザID毎に各デジタルコンテンツの再生権利を管理するのが望ましい。
【0027】
また、コンテンツ売買サーバ2は、各デジタルコンテンツの売値情報を蓄積する売値情報データベースを有する。売値情報データベースは、デジタルコンテンツ毎に、コンテンツを識別するためのコンテンツ特定情報(コンテンツID)と売値情報をテーブル管理するものである。売値情報は、デジタルコンテンツを売る時に必要な売価や参考できる情報であり、例えば、時価額、時価額変動履歴(時価額変動チャート)、市場流通総数、売買出来高などを示す。売値情報データベースは売買取引処理の結果をもとにコンテンツ特定情報毎の売値情報を蓄積する。また、一般的なインターネット端末などから投稿された書評などのユーザコメントや出版社やオンラインストア運営者が設定する評価レートも併せて管理してもよい。無論、売値情報としては、これらの複数種の組み合わせであってもよいが、売買するために、少なくとも時価額を含むことが好ましい。但し、言い値での売りも想定できるため必ずしも時価額を含むことを必須とするものではない。
【0028】
また、売値情報データベースには、コンテンツの再生状態に応じて変更された売値情報、例えばコンテンツの再生状態に応じて増減された時価額がさらに登録されていてもよい。ここで、コンテンツの再生状態を示すレベル毎に売値情報を登録しておいてもよい。これにより、各デジタルコンテンツの再生状態履歴に応じて売値情報(例えば時価額)を変動させるようなことも可能になる。
【0029】
再生状態と時価額とは、例えば再生回数が多いほど売値が下がるような関係、すなわちデジタルコンテンツであっても現在の古本などの中古市場と同じ考え方で新品は価値が高く何度も視聴された品は価値が下がるような関係を採用するなどすればよい。なお、基本的に、デジタルコンテンツの再生済みの長さに応じて時価額は変わらず且つ転売しても最初から視聴できることを想定している。また、衝撃が加わったデジタルコンテンツについては視聴がし難くなることや劣化した映像となることも想定されるため、これらの履歴から判断できるようにして時価額を下げるようにしてもよい。つまり、衝撃のレベルについては、衝撃の回数をコンテンツ再生装置1から受けて、回数が多いほど衝撃レベルが高いものとすればよい。再生回数と受けた衝撃のレベルとの組み合わせ毎に、時価額を登録しておくか、1つのデジタルコンテンツ(例えば、ある映画「A」の高画質バージョンなど)について1つの時価額を登録しておき、再生回数に応じて所定額だけ下げたり、受けた衝撃のレベルに応じて所定額だけ下げたりしてもよい。
【0030】
また、コンテンツを再生した場所に応じた時価額等の売値情報を登録しておいてもよい。場所に応じた売値情報と再生回数や衝撃レベルに応じた売値情報との組み合わせについては、再生回数と衝撃レベルとの関係で述べたのと同様である。場所に応じた時価額とは、デジタルコンテンツであっても、例えば常に屋内で視聴していればコンテンツの劣化が小さいと考え、屋外で視聴すればコンテンツの劣化が大きくなると想定して決定するなどすればよい。また、この仕組みを逆に利用して、コンサート会場に持っていくとそのアーティストのコンテンツの価値が上がったり、映画の舞台となった地元場所に持っていくと価値が上がったりするような新しいデジタルコンテンツの買い方や視聴の仕方を実現することも可能になる。
【0031】
さらに、コンテンツ売買サーバ2は、コンテンツ再生装置1からの要求に応じて各デジタルコンテンツの売値情報データを提供する売値情報配信機能を有する。売値情報配信機能は、売値情報データベースから各売値情報を読み出して、数値や文字列としてコンテンツ再生装置1に送信するか、各売値情報をもとにグラフや文字を用いて可視化したJPEGやPNGなどの画像データや、HTMLなどの記述言語を用いた文書データを生成して送信してもよい。
【0032】
さらに、コンテンツ売買サーバ2は、上述した売買処理以外に、デジタルコンテンツ配信機能、売買代金の決済処理機能、及び、売買注文状況を売買実行端末に提供する機能などを有する。なお、コンテンツ売買サーバ2は、複数のサーバで構成し、各機能をそれらサーバに分散させてもよい。
【0033】
一方、コンテンツ再生装置1は、少なくともデジタルコンテンツを再生する機能と、デジタルコンテンツに関する売値情報を通信ネットワークNによりコンテンツ売買サーバ2から取得して、コンテンツ再生装置1にて提示する機能を有している。なお、コンテンツ再生装置1内の各機能やモジュール構成例及び処理の流れについては後述する。
すなわち、本発明に係るコンテンツ再生装置1は、デジタルコンテンツを再生するコンテンツ再生部と、デジタルコンテンツに関する売値情報を取得する売値情報取得部と、売値情報をユーザに提示する売値情報提示部とを備える。
【0034】
そして、本発明の主たる特徴として、上記売値情報提示部は、デジタルコンテンツを再生中に、デジタルコンテンツに関する売値情報の提示を行う。コンテンツ再生装置1においてデジタルコンテンツを再生中(ストリーミングによる再生中でも可)に、売値情報提示部が売値情報取得部に指示を行い、売値情報取得部が、再生中のデジタルコンテンツに対応するコンテンツ特定情報を含む要求をコンテンツ売買サーバ2へ送信し、その応答として売値情報を取得し、売値情報提示部がそれを提示することで、デジタルコンテンツを再生しながらでも売値情報を提示できるようになる。
【0035】
ここで、コンテンツ特定情報とは、デジタルコンテンツに内包されるか、デジタルコンテンツの購入時にデジタルコンテンツデータと同時に取得して、デジタルコンテンツ再生装置内で対応付けて管理する情報であり、コンテンツ売買サーバが、このコンテンツ特定情報を元にして対応する売値情報を特定することを可能にするものである。また、コンテンツ売買サーバ2は、上述したように各デジタルコンテンツの売値情報を管理しており、少なくとも、コンテンツ再生装置1からの要求に応じて指定されたコンテンツ特定情報に対応する売値情報を応答するデータベースを備えている。
【0036】
なお、コンテンツ再生装置1側からの要求により、再生中のデジタルコンテンツに関する売値情報をコンテンツ売買サーバ2から取得することを前提に説明しているが、売値情報を取得するためには、コンテンツ売買サーバ2側から自発的に売値情報を送信することもできる。但し、コンテンツ売買サーバ2側から、膨大な数となることが予想されるデジタルコンテンツ全ての売値情報をある程度の更新頻度(例えば数分に1回程度)で送信すると、送受信データ量が膨大になり、コンテンツ売買サーバ2側の送信処理の負荷やコンテンツ再生装置1側のメモリ容量及び処理負荷を考慮すると、コンテンツ特定情報をコンテンツ売買サーバ2へ送信することが好ましい。
【0037】
また、コンテンツ再生装置1における売値情報の提示は、デジタルコンテンツ若しくはデジタルコンテンツのタイトルや作者などのメタ情報を表示している表示画面に表示すること、イヤホンやスピーカから音声出力することで提示すること、それらの組み合わせで提示することなどが挙げられるが、これに限定するわけではなく、振動で伝えるなど、それ以外のユーザに認知可能な方法に置き換えてもよい。
【0038】
以上、本発明によれば、デジタルコンテンツを再生しながら、時々刻々と変化する売値情報を提示することが可能になるため、ユーザは常に時価額などを把握しながらデジタルコンテンツを視聴することができる。
【0039】
次に、図2を参照しながら、コンテンツ再生装置1のハードウェア構成例について説明する。図2は、本発明に係るコンテンツ再生装置の一構成例を示すブロック図で、図1のシステムにおけるコンテンツ再生装置1のハードウェア構成の一例を示す図である。
図2で例示するコンテンツ再生装置1は、バス11、通信部12、操作部13、制御部14、メモリ部15、映像・音声デコード部16、音声出力部17、売値情報提示処理部18、画面合成部19、及び表示部20を有している。上述した売値情報取得部は主に制御部14及び通信部12で例示できる。また、上述した売値情報提示部は、主に売値情報提示処理部18と、画面合成部19及び表示部20や音声出力部17で例示することができる。
【0040】
バス11は、各部12〜20を直接又は間接的に接続するためのものである。通信部12は、インターネットなどの通信ネットワークNに接続して通信を行う。操作部13は、ユーザ操作を受け付ける。制御部14は、各部の呼び出しなどを行なって各部を制御する。メモリ部15は、ダウンロードしたデジタルコンテンツを格納したり、コンテンツ状態情報の履歴を格納したり、コンテンツ再生装置1を使用しているユーザのユーザIDを格納する。映像・音声デコード部16は、デジタルコンテンツの映像データや音声データをデコードする。音声出力部17は、映像・音声デコード部16でデコードされた音声信号を出力する。売値情報提示処理部18は、メモリ部15に格納された売値情報を提示するための処理を行う。画面合成部19は、映像・音声デコード部16でデコードされた映像信号と売値情報提示処理部18で処理された売値情報表示データを合成する。表示部20は、画面合成部19で合成された画面を表示する。
なお、制御部14は、再生を開始するデジタルコンテンツが著作権保護技術で保護されている場合は、そのデジタルコンテンツを再生する前に、前述したような著作権保護方法に従った再生手順を実行し、再生可能な場合のみ、映像・音声デコード部16に再生処理を要求する。
【0041】
また、図2のコンテンツ再生装置1はメモリカードI/F部21を有する。メモリカードI/F部21は、SD(secure digital)メモリカード、MMC(multimedia card)及びメモリスティック等のメモリカードからデジタルコンテンツを読み出すことができるインターフェースで、これを備えることで、別のコンテンツ再生装置1や一般的なインターネット端末で購入したデジタルコンテンツを再生することも可能になる。
さらに、図2のコンテンツ再生装置1は、コンテンツ再生装置1が置かれた状況をセンシングして、メモリ部15に蓄積するセンサ部22を有している。センサ部22の例としては、加速度センサ、衝撃センサ、照度センサ、温度センサ、湿度センサ、GPS(Global Positioning system)センサ、紫外線センサなどがあり、複数のセンサを備えてもよい。
【0042】
このような構成により、コンテンツ再生装置1は、ユーザ操作によりインターネット上のデジタルコンテンツやメモリカードに格納されたデジタルコンテンツを再生する機能と、コンテンツ売買サーバ2から取得した売値情報を提示する機能を実現することができる。
【0043】
次に、コンテンツ再生装置1における売値情報提示部での売値情報の提示例を、図3を参照しながら説明する。図3は、図2のコンテンツ再生装置の表示部における売値情報の提示画面の例を示す図で、図3(A)、図3(B)では、それぞれ異なる提示画面の例を示している。
【0044】
図3(A)に示す画面例では、コンテンツ再生装置1の表示部20上にデジタルコンテンツの一例である電子書籍コンテンツを再生表示しているコンテンツ表示領域20aと、その電子書籍に関する売値情報を表示している売値情報表示領域20bとが、別々の領域に重ならないように表示している。この例では、売値情報表示領域20bに、時価額の経時変化を示すチャートとその実際の値を示す表とが表示されている。この例の場合、画面合成部19では、コンテンツ表示領域20aと売値情報表示領域20bとを別々の領域として合成する処理を行う。これにより、デジタルコンテンツを視聴しながら、同時に当該デジタルコンテンツの売値情報を確認することができる。
【0045】
また、操作部13が売値情報表示操作イベントを受けた時にはじめて、制御部14が売値情報提示処理部18に売値情報表示要求を行うことで、売値情報表示領域20bを表示するように表示を切り替えてもよい。例えば、コンテンツ表示領域20aを表示部20の画面全体としておき、操作部13により売値情報表示操作がなされたときだけ、売値情報表示領域20bを確保するようにコンテンツ表示領域20aを縮小して、両領域20a,20bを合成して表示すればよい。一方で、操作部13が売値情報非表示操作イベントを受けた時に、制御部14が売値情報提示処理部18に売値情報非表示要求を行うことで、売値情報表示領域20bを表示しないように表示を切り替えればよい。この場合、コンテンツ表示領域20aは表示部20の画面全体に戻せばよい。
【0046】
このように、コンテンツ再生装置1は、デジタルコンテンツの再生中に、売値情報提示部による提示を実行するための提示操作を受け付ける操作受付部を備えることが好ましい。そして、売値情報提示部は、提示操作が受け付けられたときに売値情報の提示を実行すればよい。これにより、ユーザが売値情報を確認したいときだけ売値情報を表示できるため、コンテンツ視聴を妨げないという効果がある。
【0047】
図3(B)に示す画面例では、コンテンツ表示領域20cの上に、売値情報表示領域20dを重なるように表示している。この例の場合、画面合成部19では、コンテンツ表示領域20cと売値情報表示領域20dとを重ね合わせる処理を行う。そして、この画面例は売値情報表示領域20dがポップアップ画面のように表示させることができるため、上述したような提示操作時に提示を行うといった形態に好適に利用できる。無論、常に、売値情報表示領域20dがコンテンツ表示領域20cに重なって表示されていてもよい。
【0048】
また、コンテンツ再生装置1における上記売値情報提示部は、予め設定された売値情報提示条件を満たす場合に売値情報を提示することが好ましい。ここで、売値情報提示条件は、少なくともコンテンツ再生装置1のユーザが設定できるものとし、コンテンツ再生装置1を操作したり、コンテンツ売買サーバ2に接続可能な別の装置を操作したりすることで、デジタルコンテンツ毎に設定することができるものとする。以下、売値情報を表示により提示する例を主に説明しているため、この売値情報提示条件を売値情報表示条件と呼ぶ。売値情報表示条件としては、例えば逐次売値情報を取得しておき時価額が所定値や元の価格の所定割合の額を下回ったこと、デジタルコンテンツの再生が所定割合済んだこと(例えば1/3既読になったこと)など、様々な条件が挙げられる。
【0049】
図2の例で説明すると、予めユーザが設定し例えばメモリ部15に格納した売値情報表示条件を満たす状態に、売値情報がなったことを、売値情報提示処理部18が判定した場合のみ、売値情報表示領域を表示するようにしてもよい。これにより、ユーザが売値情報を表示したい条件になった時のみ売値情報が表示されるので、コンテンツ視聴を妨げないという効果がある。
【0050】
このように、デジタルコンテンツを再生中に、予め設定された売値情報表示条件を満たした場合のみ売値情報を提示するように構成することで、希望する条件になるまではデジタルコンテンツの視聴を妨げずに、売値情報を提示することができる。つまり、ユーザは視聴を必要以上に妨げられることなく、タイムリーに時価額などを知ることができる。
【0051】
また、売値情報の表示方法は、上述した画面例に限定するものではなく、同様の効果を生じる表示方法であってもよい。例えば、コンテンツ表示領域と売値情報表示領域の位置関係や領域の大小関係が異なるパターンや、操作部13が売値情報表示操作イベントを受けるか、予めユーザが設定した売値情報表示条件を満たす状態に売値情報がなったと売値情報提示処理部18が判定した場合に、コンテンツ表示領域20aが全画面表示から図3(A)で示すサイズに縮小し、空いた領域に売値情報表示領域20bが下からスロットインするような表示を行うパターンや、売値情報表示領域20dが図3(B)に示すサイズよりも小さなサイズから拡大して図3(B)の状態になるようなパターンなどが考えられる。また、売値情報提示操作がなされたときだけ売値情報を提示する形態と売値情報表示条件を満たす場合のみ提示する形態との組み合わせについて、双方の処理が独立した処理として搭載した例を挙げたが、例えば売値情報提示操作がなされたときだけ上記売値情報表示条件の判定を行うようにしてもよい。
【0052】
また、図示はしないが、売値情報を読み上げる音声や売値情報が更新されたことが分かるような効果音として、売値情報提示処理部18が売値情報を音声信号に変換して、音声出力部17から出力するようにしてもよい。さらにこの場合も、デジタルコンテンツの視聴を妨げないように、操作部13が売値情報表示操作イベントを受けるか、予めユーザが設定した売値情報表示条件を満たす状態に売値情報がなったと売値情報提示処理部18が判定した場合にのみ行うようにするのが望ましい。
【0053】
また、コンテンツ再生装置1は、デジタルコンテンツの再生状態を示す再生状態情報(コンテンツ状態情報)を、デジタルコンテンツ毎に蓄積する状態蓄積部を備え、且つ、上記売値情報取得部は、再生中のデジタルコンテンツに関する再生状態情報に対応した売値情報を取得するようにすることが好ましい。上記状態蓄積部は、例えば蓄積先であるメモリ部15と蓄積処理を行う制御部14とで例示できる。なお、取得は基本的に上記売値情報提示部からの指示に基づき実行する。このように、コンテンツ再生装置1は、コンテンツ状態情報とコンテンツ特定情報とをコンテンツ売買サーバ2へ送信することで、その応答として再生状態に応じた売値情報を取得して提示することができるようになる。
【0054】
このような取得の方法は、上述した売値情報表示条件や売値情報提示操作に従って提示する形態と独立する処理として組み込むことができる。つまり、上述した売値情報表示条件を満たす場合や、売値情報提示操作がなされた場合に、再生状態情報に対応した売値情報を取得するようにしてもよい。
【0055】
なお、再生状態情報(コンテンツ状態情報)とは、デジタルコンテンツをどのように再生したかの履歴情報であり、例えば、デジタルコンテンツの再生回数を記録した履歴や、コンテンツ再生装置1に備えられたセンサ部22により、デジタルコンテンツを再生した場所や、再生中に一定以上の衝撃が加わったことを記録した履歴である。これらについては、コンテンツ売買サーバ2におけるコンテンツの再生状態に応じた売値情報の登録に関して説明した通りである。コンテンツ売買サーバ2の売値情報データベースは、コンテンツ再生装置1から送信されるコンテンツ状態情報から、売値情報が要求されているデジタルコンテンツについての再生状態を得る。そして、売値情報データベースは、その再生状態に応じて、各デジタルコンテンツの時価額を増減して応答するなど、受信したコンテンツ状態情報に応じて売値情報を変更することが可能になっている。
【0056】
このように、デジタルコンテンツを再生しながらそのデジタルコンテンツの再生状態に応じた時価額等が提示することで、ユーザは時価額がなるべく下がらないように気をつけながら視聴したり、なるべく高くなったタイミングで売却したりすることが可能になる。
【0057】
図4は、図2のコンテンツ再生装置における制御部に組み込まれるプログラムの構成要素の一例を示す図である。なお、図4で示す各手段は、本発明に係るコンテンツ再生装置の一構成例を示す機能ブロックであるとも言える。
【0058】
図2のコンテンツ再生装置1における制御部14は、操作受付手段31、コンテンツ取得手段32、コンテンツ記憶手段33、コンテンツ再生手段34、画面表示制御手段35、コンテンツ状態記憶手段36、売値情報取得手段37、売値情報記憶手段38、売値情報表示条件設定手段39、売値情報表示条件記憶手段40、売値情報表示条件判定手段41として、制御部14の演算装置を機能させるためのプログラム(ファームウェア)を、その演算装置から読み出して実行することが可能になっている。このプログラムは、制御部14内に格納しておいてもよいし、メモリ部15に格納しておいてもよい。
【0059】
操作受付手段31は、操作部13から通知されるユーザ操作イベントを受け付けるものである。この操作イベントには4種類ある。1つ目はデジタルコンテンツを新たに取得するためのコンテンツ取得操作イベントであり、2つ目は取得済みのデジタルコンテンツを選択して再生したり、再生を終了したりするコンテンツ再生操作イベントであり、3つ目は、売値情報をユーザ操作によって取得するための売値情報表示操作イベントと、ユーザ操作によって売値情報の表示を止めるための売値情報非表示操作イベントとである。4つ目は、売値情報を表示する条件を設定するための売値情報表示条件設定操作イベントである。以下にこの4つの操作イベントを処理の起点とした処理の流れに基づいて、各手段31〜42について説明する。
【0060】
1つ目のコンテンツ取得操作イベントが発生した場合は、コンテンツ取得手段32が通信部12を用いてコンテンツ売買サーバ2に対して、デジタルコンテンツの取得要求を行う。取得したデジタルコンテンツデータは、コンテンツ記憶手段33がメモリ部15にコンテンツを特定できるコンテンツ特定情報(コンテンツID)とともに格納する。
【0061】
2つ目のコンテンツ再生操作イベントが発生した場合は、コンテンツ再生手段34がコンテンツ再生操作イベントにより指定されたデジタルコンテンツを、メモリ部15やメモリカードI/F部21から読み出して、映像・音声デコード部16に対してデコード要求を行う。次に画面表示制御手段35が画面合成部19によりそのデコード結果と売値情報の表示とを合成して表示部20に表示する。また、デジタルコンテンツに関する再生制御要求(ページ送りや早送り、一時停止や終了要求)についても、コンテンツ再生手段34によって再生制御処理を行い、要求された再生状態になるように映像・音声デコード部16にデコード要求する。また、著作権保護されたコンテンツの再生処理も、コンテンツ再生手段34にて行う。
【0062】
さらに、コンテンツ再生手段34は、再生しているデジタルコンテンツのコンテンツIDや、再生状態をコンテンツ状態記憶手段36に渡し、メモリ部15に蓄積する。
なお、コンテンツ状態記憶手段36は、コンテンツ再生手段34から通知される再生状態だけでなく、センサ部22から取得したセンシング情報もコンテンツIDと関連付けて格納する。これにより、コンテンツ毎の再生履歴がより詳細に蓄積可能となる。
【0063】
また、コンテンツ再生手段34は、再生しているデジタルコンテンツのコンテンツIDを売値情報取得手段37に通知する。売値情報取得手段37は、3つ目の売値情報表示操作イベントが発生した場合に、コンテンツIDを元に売値情報を、通信部12を介してコンテンツ売買サーバ2に要求する。コンテンツ売買サーバ2からの応答である売値情報は、通信部12を介して取得され、売値情報記憶手段38により、メモリ部15にコンテンツIDと関連付けて格納され、売値情報表示条件判定手段41に売値情報を取得したことが通知される。また、売値情報取得手段37は、売値情報非表示操作イベントが発生した場合に、現在要求して逐次取得中の売値情報について取得を止める。
ここでは、売値情報表示操作イベントが発生してから売値情報を取得するものとして説明したが、予め売値情報を取得済みの場合(例えば、前回売値情報を取得してから1分以内等の所定時間以内の場合など)は、売値情報取得をスキップして売値情報の表示処理を行うこともできる。
【0064】
また、売値情報取得手段37は、売値情報表示操作イベントによって処理を開始するだけではなく、コンテンツ状態記憶手段36に蓄積されるコンテンツ状態が所定の状態になった時に、コンテンツ状態記憶手段36から売値情報取得要求を発行し、それによって売値情報の取得を開始してもよい。つまり、売値情報取得手段37は、売値情報表示操作イベントが発生した時や、得売値情報を取得する所定の状態になった時といった、売値情報取得条件が満たされた時に、売値情報の取得を行う。売値情報取得条件を満たす所定の状態としては、例えば、再生を開始してから一定時間経過した状態、表示しているコンテンツの表示内容が切り替わる状態、再生中のコンテンツを一時停止した状態、前回のコンテンツ状態の変化から一定時間経過した状態、などが挙げられる。
【0065】
また、売値情報取得手段37は、売値情報の要求時にコンテンツIDを要求パラメータとして渡すだけでなく、コンテンツ状態記憶手段36が格納した再生状態のうち、当該コンテンツIDに関連する再生状態をメモリ部15から読み出して、要求パラメータに付加してもよい。これにより、コンテンツの再生状態によって変動する売値情報を取得することが可能になる。
これによって、ユーザが売値情報を取得するための特別操作をしなくても売値情報を取得することが可能になり、例えば電子書籍のページを送る度に新しい売値情報を取得することができる。
【0066】
4つ目の売値情報表示条件設定操作イベントが発生した場合は、売値情報表示条件設定手段39によって、売値情報を表示する条件を取得し、売値情報表示条件記憶手段40がメモリ部15に指定された条件を格納し、売値情報表示条件判定手段41に条件が設定されたことを通知する。
【0067】
売値情報表示条件判定手段41は、売値情報記憶手段38によって売値情報を取得したことを通知されるか、売値情報表示条件判定手段41によって表示条件が設定されたことを通知された場合に、売値情報と表示条件を比較し、条件に合致した場合に、売値情報表示手段42によって、売値情報提示処理部18を用いて表示部20に提示するための表示信号に変換し、画面表示制御手段35によって、画面合成部19によりコンテンツ再生データと売値情報の表示データとを合成して表示部20に表示する。
【0068】
次に、主に図4及び図5を参照しながら、どのように売値情報が提示されるかについて、つまり売値情報提示手順について説明する。図5は、図2のコンテンツ再生装置における売値情報提示処理の一例を説明するためのフロー図である。なお、ここでは、前述したように、再生するデジタルコンテンツは既にコンテンツ再生装置1のメモリ部15又はメモリカードI/F部21に挿入されたメモリカード内にあるものとする。また、売値情報表示条件も予めメモリ部15に格納されていることとする。
【0069】
まず、操作受付手段31がコンテンツ再生操作イベントを受けた場合に、処理が開始され、コンテンツ再生手段34を用いてデジタルコンテンツの再生を開始する(ステップS1)。次に、売値情報取得条件を満たすかについて判定する(ステップS2)。ステップS2で満たすと判定された場合に、次のステップS3に遷移する。満たさない場合には満たすまで待つことになる。
【0070】
ステップS2で満たすと判定された場合、売値情報取得手段37が、コンテンツ状態記憶手段36からコンテンツ状態を取得し(ステップS3)、続けて、売値情報取得手段37が、そのコンテンツ状態情報を含む取得要求を行う処理、つまり売値情報をコンテンツ売買サーバ2から取得する処理を行い(ステップS4)、売値情報記憶手段38を用いて売値情報をメモリ部15に格納する(ステップS5)。
【0071】
ステップS5において売値情報記憶手段38によって売値情報が格納された通知を受けると、売値情報表示条件判定手段41が判定を行うために、売値情報表示条件を売値情報表示条件記憶手段40から読み出す(ステップS6)。続いて、売値情報表示条件判定手段41が、売値情報記憶手段38が記憶した売値情報と売値情報表示条件記憶手段40によって記憶された売値情報表示条件とから、売値情報表示条件を満たしているか否かを判定する(ステップS7)。もし条件を満たしていなければ、ステップS2に遷移して上述の処理を繰り返す。もし条件を満たしている場合は、売値情報表示手段42と画面表示制御手段35を用いてデジタルコンテンツ再生画面と売値情報を表示し(ステップS8)、再びステップS2に遷移する。
【0072】
ここで、ステップS2,S7について補足する。ステップS2,S7における売値情報の取得条件と表示条件の組み合わせとしては、例えば次の(1)〜(3)のような3通りのケースが考えられる。
(1)売値情報表示操作イベントによって(必要に応じて)売値情報を取得し、自動的に売値情報表示条件の判定でもYESと判定する(つまり、同イベント受取若しくは売値情報取得といった売値情報表示条件を採用する)ことで、売値情報を表示する。つまり、手動操作で、売値情報の取得及び表示を実行させる。図3(A)で例示したような表示をユーザ操作によって実現する場合がこれに該当する。そのためには、ステップS2で判定に関して売値情報表示操作イベントが発生した時には、ステップS7での売値情報表示条件による判定で常にYESと判定して、ステップS8での売値情報の表示を実行すればよい。無論、ステップS2で判定に関して売値情報表示操作イベントが発生した時に、ステップS7の判定を経ないようにし、ステップS8での売値情報の表示を実行してもよい。
【0073】
(2)コンテンツ状態が所定の状態になったなどの売値情報取得条件を満たすことによって売値情報を取得し、売値情報表示操作イベントによって売値情報表示条件判定でYESと判定する(つまり、同イベント受取といった売値情報表示条件を採用する)ことで、売値情報を表示する。つまり、売値情報を取得条件に基づいて自動的に取得しておき、売値情報の表示は手動操作で実行させる。
(3)コンテンツ状態が所定の状態になったなどの売値情報取得条件を満たすことによって売値情報を取得する。売値情報の取得により売値情報表示条件判定でYESと判定する(つまり、売値情報の取得といった売値情報表示条件を採用する)ことで、売値情報を表示する。つまり、自動的に、売値情報の取得及び表示を実行させる。
【0074】
以上、本発明の様々な形態について、売値情報として現在の売値情報の値を提示することを前提に説明した。つまり、上述の各形態では、コンテンツ売買サーバ2内のデータベースにおいて、各デジタルコンテンツの時価額や時価額の変動履歴などに加えて、デジタルコンテンツの再生状態による時価額の増減データについても管理し、コンテンツ再生装置1から売値情報を要求する際に、デジタルコンテンツのコンテンツIDと再生状態をパラメータとして通知することで、再生状態に応じた売値情報を提供する場合について述べた。
【0075】
しかし、本発明に係るコンテンツ再生装置1は、予測(推測)した売値情報を提示するようにしてもよい。つまり、コンテンツ売買サーバ2は、売値情報を要求したデジタルコンテンツの再生状態に応じて、将来の時価額を推測して売値情報として提供することもできる。そして、コンテンツ再生装置1の売値情報提示部で提示する売値情報には、再生状態情報から推測した推測売値情報を含むようにすればよい。推測売値情報は、再生状態情報から推測した再生終了時刻に基づき推測することが好ましい。予測は特に時価額において有益に運用できるが、他の情報についても適用できる。
【0076】
具体的な処理例を説明する。コンテンツIDに対応するコンテンツのメタ情報から、コンテンツの総ページ数や総再生時間を取得し、コンテンツ再生装置1からパラメータ通知されたコンテンツ再生状態から、現在の再生経過ページや再生経過時間を取得することで、再生完了推定時刻を推測する。時価額の変動履歴や他のユーザの再生完了推定時刻を元にした売り注文数の予測により、この再生完了推定時刻における時価額の推測を行い、売値情報に含めて応答することができる。
【0077】
このように、再生中のデジタルコンテンツの再生経過を含むコンテンツ状態情報を元に、コンテンツ再生完了推定時刻を推測し、コンテンツ再生完了推定時刻における時価額を算出することで、コンテンツ再生完了時の時価額だけでなく将来の時価額の予測値を提示することができる。ここで、コンテンツ再生完了推定時刻は、デジタルコンテンツのメタ情報に格納された総ページ数や総再生時間などからコンテンツ再生装置1で算出するか、コンテンツ状態情報とコンテンツ特定情報に基づいて、同じくコンテンツの総ページ数や総再生時間などからコンテンツ売買サーバ2で算出する。
【0078】
また、売値情報の推測をコンテンツ売買サーバ2内で行う場合について述べたが、コンテンツ再生装置1側で推測を行ってもよい。すなわち、コンテンツ再生装置1内にて、コンテンツIDに対応するコンテンツのメタ情報から、コンテンツの総ページ数や総再生時間を取得し、またコンテンツ再生状態から、現在の再生経過ページや再生経過時間を取得することで、再生完了推定時刻を推測することも可能である。さらに、コンテンツ売買サーバ2から取得する売値情報に含まれる時価額の変動履歴から、再生完了推定時刻における時価額の推測を行い、推測時価額を売値情報に追加することも可能である。
【0079】
このように、コンテンツ再生完了推定時刻における時価額の予測値も提示することで、ユーザはできるだけ時価額が高い状態で売却できるように、デジタルコンテンツの視聴ペースを調整しながら視聴することが可能になる。
【0080】
以上、主に本発明に係るコンテンツ再生装置について説明したが、処理の流れを説明したように、本発明は、このコンテンツ再生装置でデジタルコンテンツを再生するコンテンツ再生方法としての形態も採り得る。このコンテンツ再生方法は、売値情報取得部が、デジタルコンテンツに関する売値情報を取得する取得ステップと、売値情報提示部が、取得ステップで取得された売値情報を提示する提示ステップとを有する。そして、提示ステップは、デジタルコンテンツを再生中に、デジタルコンテンツに関する売値情報の提示を行う。その他の応用例については、コンテンツ再生装置について説明した通りであり、その説明を省略する。
【0081】
例えば、本発明に係るコンテンツ再生方法は、上述したコンテンツ再生装置(専用の装置や汎用PCやPDA等)にコンテンツ再生プログラムとして組み込むことで実現することができる。例えば、図5の処理手順を実現するプログラムなどのコンテンツ再生プログラムは、上述したように、予め制御部14自身に若しくは予めメモリ部15に格納して、制御部14で実行される。
また、本発明はこのようなコンテンツ再生プログラムやそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体としての形態も採り得る。
【0082】
このコンテンツ再生プログラムは、デジタルコンテンツを再生するためのコンテンツ再生プログラムであって、コンピュータに、デジタルコンテンツに関する売値情報を取得する取得ステップと、取得ステップで取得された売値情報を提示する提示ステップとを実行させるためのプログラムである。そして、提示ステップは、デジタルコンテンツを再生中に、デジタルコンテンツに関する売値情報の提示を行う。その他の応用例については、コンテンツ再生装置について説明した通りであり、その説明を省略する。
【0083】
このコンテンツ再生プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して流通させることができる。記録媒体としては、例えばCD−ROMやDVD−ROMなどの光ディスクやメモリカード等の不揮発性の半導体メモリなど、様々なものが挙げられる。また、このコンテンツ再生プログラムは、通信ネットワーク経由で、若しくは放送波でも流通させることができる。そして、コンテンツ再生プログラムはコンテンツ再生装置の内部の記憶装置(メモリ部15又は制御部14内のメモリ)に、コンテンツ再生装置の制御部(CPU等)でRAM等の実行領域に読み出すことで、このプログラムを実行可能な状態で格納しておけば、本発明に係る売値情報提示の機能が実現できる。例えば記録媒体で流通させた場合には、この記録媒体をメモリカードI/F部21に挿入するか、コンテンツ再生装置1に外部接続した図示しないドライブなどを介して記録媒体から読み出して制御部14で実行するか、メモリ部15にインストールしてから制御部14で実行するようにしてもよい。また、通信ネットワーク経由で流通させる場合には、通信部12を用いてインターネットなどからダウンロードしたプログラムを、例えばメモリ部15にインストールして制御部14で実行すればよい。放送波で流通させる場合には図示しない放送受信部で受信したプログラムを、例えばメモリ部15にインストールして制御部14で実行すればよい。
【0084】
以上、本発明についてその効果とともに説明した。本発明では、基本的には現在の非デジタルコンテンツと同じように、デジタルコンテンツもユーザがいつでも自由に売買できるシステムであって、売り先は証券取引所のようなデジタルコンテンツ取引所に限定してどのユーザも公平に売買できるシステムを想定している。また、この市場には証券会社に相当するようなデジタルコンテンツの売買を仲介する会社やその会社のシステムが存在してもよい。デジタルコンテンツが株式と同じように売買できることは、例えば、複数のコンテンツを買って、価値が上がったら利益確定のために売るとか、価値が高い時に売買仲介会社から借りて空売りを行い、価値が下がった時に買い戻して差額の利益を得るというような、純粋な投資を行うこともできることを指す。このような市場が形成された場合、本発明によるコンテンツ再生中の売値情報提示は非常に有益となる。
【符号の説明】
【0085】
1…コンテンツ再生装置、2…コンテンツ売買サーバ、11…バス、12…通信部、13…操作部、14…制御部、15…メモリ部、16…映像・音声デコード部、17…音声出力部、18…売値情報提示処理部、19…画面合成部、20…表示部、20a,20c…コンテンツ表示領域、20b,20d…売値情報表示領域、21…メモリカードI/F部、22…センサ部、31…操作受付手段、32…コンテンツ取得手段、33…コンテンツ記憶手段、34…コンテンツ再生手段、35…画面表示制御手段、36…コンテンツ状態記憶手段、37…売値情報取得手段、38…売値情報記憶手段、39…売値情報表示条件設定手段、40…売値情報表示条件記憶手段、41…売値情報表示条件判定手段、42…売値情報表示手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタルコンテンツを再生するコンテンツ再生部と、前記デジタルコンテンツに関する売値情報を取得する売値情報取得部と、前記売値情報を提示する売値情報提示部とを備え、該売値情報提示部は、前記デジタルコンテンツを再生中に、前記デジタルコンテンツに関する前記売値情報の提示を行うことを特徴とするコンテンツ再生装置。
【請求項2】
前記売値情報提示部は、予め設定された売値情報提示条件を満たす場合に前記売値情報を提示することを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ再生装置。
【請求項3】
前記コンテンツ再生装置は、前記デジタルコンテンツの再生中に、前記売値情報提示部による提示を実行するための提示操作を受け付ける操作受付部を備え、前記売値情報提示部は、前記提示操作が受け付けられたときに前記売値情報の提示を実行することを特徴とする請求項1又は2に記載のコンテンツ再生装置。
【請求項4】
前記コンテンツ再生装置は、前記デジタルコンテンツの再生状態を示す再生状態情報を、前記デジタルコンテンツ毎に蓄積する状態蓄積部を備え、前記売値情報取得部は、再生中の前記デジタルコンテンツに関する前記再生状態情報に対応した売値情報を取得することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンテンツ再生装置。
【請求項5】
前記売値情報提示部で提示する前記売値情報には、前記再生状態情報から推測した推測売値情報を含むことを特徴とする請求項4に記載のコンテンツ再生装置。
【請求項6】
前記売値情報取得部は、前記デジタルコンテンツに関する前記売値情報を、前記コンテンツ再生装置にネットワークを介して接続されたサーバ装置から取得することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のコンテンツ再生装置。
【請求項7】
デジタルコンテンツをコンテンツ再生装置で再生するコンテンツ再生方法であって、売値情報取得部が、前記デジタルコンテンツに関する売値情報を取得する取得ステップと、売値情報提示部が、前記取得ステップで取得された前記売値情報を提示する提示ステップとを含み、該提示ステップは、前記デジタルコンテンツを再生中に、前記デジタルコンテンツに関する前記売値情報の提示を行うことを特徴とするコンテンツ再生方法。
【請求項8】
デジタルコンテンツを再生するためのプログラムであって、コンピュータに、前記デジタルコンテンツに関する売値情報を取得する取得ステップと、該取得ステップで取得された前記売値情報を提示する提示ステップとを実行させるためのプログラムであり、前記提示ステップは、前記デジタルコンテンツを再生中に、前記デジタルコンテンツに関する前記売値情報の提示を行うことを特徴とするプログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−257829(P2011−257829A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129771(P2010−129771)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】