説明

コンテンツ再生装置及びプログラム

【課題】テレビ電話機能を搭載したコンテンツ再生装置について、コンテンツ視聴中に電話着信時の報知用音声が鳴っても、報知音をクリアに聞かせることができ、かつ、コンテンツ音声の視聴を妨げにくいコンテンツ再生装置を提供する。
【解決手段】コンテンツ音声の周波数特性と報知用音声の周波数特性との比較結果により両者の差分が所定範囲内となる場合に、コンテンツ音声の該当周波数部分を小さくする処理をする機能を実現可能なコンテンツ再生装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビ電話着信等を知らせる報知用音声の再生機能を備えたコンテンツ再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビにネットワーク機能が追加されるようになったことにより、SKYPE(登録商標)をはじめとして、テレビ電話機能を搭載したテレビが存在する。このようなテレビ電話機能を有するテレビ等では、コンテンツ視聴中に電話着信時の報知用音声が鳴っても、コンテンツ音声にまぎれて聞き取りにくいという課題がある。
【0003】
そこで特許文献1では、電話の着信音の登録が自動的に行え、着信音の登録後に電話がかかってくると、本体の音声出力を消音または減音するテレビ受像機が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−158942
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、着信音が鳴っている間は、コンテンツ音声は消音されて聞くことができないか、減音されて聞き取り難くなるため、コンテンツの視聴に問題が生じる。
【0006】
そこで、コンテンツ音声全体の音量を変更せずに、かつ、着信音が聞き取りやすいコンテンツ再生装置が必要であった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するため、本願出願人は、次のコンテンツ再生装置を提案する。
【0008】
すなわち、第一の発明として、報知部と、報知部動作有無判断部と、コンテンツ音声の周波数特性を取得するコンテンツ音声周波数特性取得部と、報知部動作有無判断部により報知ありとされた場合に、取得したコンテンツ音声の周波数特性と報知用音声の周波数特性とを比較する比較部と、比較結果により両者の差分が所定範囲内となる場合に、コンテンツ音声の該当周波数部分を小さくする処理をするゲイン調整部と、を有するコンテンツ再生装置、を提案する。
【0009】
第二の発明として、ゲイン調整部は、報知用音声のピーク周波数帯での比較結果により両者の差分が所定範囲内となる周波数帯について前記コンテンツ音声の該当周波数部分を小さくする処理をするピーク部分調整手段を有する第一の発明に記載のコンテンツ再生装置、を提案する。
【0010】
第三の発明として、ゲイン調整部は、比較結果が所定以上のゲインを有する周波数帯全体について前記コンテンツ音声の該当周波数部分を小さくする処理をする全体調整手段を有する第一の発明に記載のコンテンツ再生装置、を提案する。
【0011】
第四の発明として、比較部は、あらかじめ報知用音声の周波数特性を分析した結果を用いて前記比較をする事前分析結果利用手段をさらに有する第一の発明から第三の発明のいずれか一に記載のコンテンツ再生装置、を提案する。
【0012】
第五の発明として、第一の発明から第四の発明のいずれか一に記載のコンテンツ再生装置を含むテレビ受像装置、を提案する。
【0013】
第六の発明として、コンテンツ再生装置の報知音をクリアに聞かせるための装置の動作プログラムであって、報知部動作有無判断ステップと、コンテンツ音声の周波数特性を取得するコンテンツ音声周波数特性取得ステップと、報知部動作有無判断ステップにより報知ありとされた場合に、取得したコンテンツ音声の周波数特性と報知用音声の周波数特性とを比較する比較ステップと、比較結果により両者の差分が所定範囲内となる場合に、コンテンツ音声の該当周波数部分を小さくする処理をするゲイン調整ステップと、をコンテンツ再生装置に実行させるための動作プログラム、を提案する。
【0014】
第七の発明として、第六の発明に記載のコンテンツ再生装置の報知音をクリアに聞かせるための装置の動作プログラムを記憶した記憶媒体、を提案する。
【発明の効果】
【0015】
本件発明により、報知音をクリアに聞かせることができ、かつ、コンテンツ音声の視聴を妨げにくいコンテンツ再生装置の実現が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本件発明の実施の形態について、添付の図面を用いて説明する。なお、本件発明は、これら実施の形態に何ら限定されるべきものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。なお、実施形態1は、主に請求項1、5、6及び7などに関する。実施形態2は、主に請求項2などに関する。実施形態3は、主に請求項3などに関する。実施形態4は、主に請求項4などに関する。
<<実施形態1>>
<実施形態1:概要>
【0017】
本実施形態のコンテンツ再生装置は、コンテンツ音声全体の音量ではなく、特定の周波数部分について小さくする処理をすることによって、報知用音声を聞き取りやすくするものである点に特徴がある。
<実施形態1:機能的構成>
【0018】
図1は、本実施形態のコンテンツ再生装置の機能ブロックの一例を示す図である。この図を用いて、本実施形態のコンテンツ再生装置の機能的構成を説明する。
【0019】
本実施形態のコンテンツ再生装置(0101)は、報知部(0102)と、報知部動作有無判断部(0103)と、コンテンツ音声周波数特性取得部(0104)と、比較部(0105)と、ゲイン調整部(0106)と、を有する。
【0020】
(報知部)
「報知部」は、テレビ電話着信音などの報知用音声を出力する機能を有する。「報知用音声」には、火災警報、緊急地震速報、予定時刻であることを知らせるアラーム音など、種々の情報を知らせるための音声が含まれる。
【0021】
(報知部動作有無判断部)
「報知部動作有無判断部」は、報知部にて報知音が出力されているか否かを判断する機能を有する。例えば、テレビドラマ視聴中に、ドラマ内で電話の着信音が鳴る場合があるが、このような場合にまで後述するゲイン調整部における処理がされることを回避するため、報知部の動作有無を判断する構成が必須となる。
【0022】
(コンテンツ音声周波数特性取得部)
「コンテンツ音声周波数特性取得部」は、コンテンツ音声の周波数特性を取得する。「コンテンツ音声」は、コンテンツ再生装置にて再生されるコンテンツの音声である。「周波数特性」は、ある時点のコンテンツ音声について、周波数ごとにゲインをプロットして描かれるグラフとして認識できる。例えば後述する図4(a)は、x軸に周波数を、y軸にゲインをとり、周波数ごとにゲインをプロットして描画したコンテンツ音声周波数特性の一例である。本明細書では、このようなグラフの元となる周波数ごとのゲインを周波数特性という。
【0023】
コンテンツ音声周波数特性取得部は、報知部動作有無判断部によって報知ありとされる場合にのみ動作することとしても良い。
【0024】
(比較部)
「比較部」は、報知部動作有無判断部により報知ありとされた場合に、取得したコンテンツ音声の周波数特性と、あらかじめ保持しているかあるいは取得する報知用音声の周波数特性とを比較する。「報知ありとされた場合に、」とは、報知ありとされない場合については、比較が行われても行われなくても良いとの趣旨である。すなわち、報知の有無を問わず、常時比較する態様も、本件発明に含まれる。
【0025】
「取得したコンテンツ音声の周波数特性」は、前述したコンテンツ音声周波数特性取得部にて取得されるコンテンツ音声の周波数特性である。
【0026】
「報知用音声の周波数特性」は、報知部において説明した報知用音声の周波数特性である。報知用音声の周波数特性は、あらかじめコンテンツ再生装置に記憶されていても良い。また、比較部は、報知用音声の周波数特性を取得する機能を備えていてもよい。
【0027】
「周波数特性の比較」は、周波数ごとのゲインの比較である。すべての周波数帯について比較する場合も、一部の周波数帯について比較する場合も含む。
【0028】
(ゲイン調整部)
「ゲイン調整部」は、比較結果により両者の差分が所定範囲内となる場合に、コンテンツ音声の該当周波数部分を小さくする処理をする。これにより、報知音が聞き取りやすくなる。ただし、本件発明には、該当周波数部分以外にも全ての周波数帯域でコンテンツ音声を小さくする(あるいは消す)処理を行う構成は含まれない。コンテンツ音声の視聴を著しく妨げることとなるためである。「コンテンツ音声の該当周波数部分を小さくする処理」には、ゲインを低減する処理だけでなく、当該周波数部分をカットする(ゲインをゼロにする)処理を含む。
【0029】
(テレビ受像装置)
本件発明には、本実施形態のコンテンツ再生装置を含むテレビ受像装置も含まれる。テレビ受像装置は、以上に述べたところの本実施形態のコンテンツ再生装置の各機能的構成に加えて、さらに、放送されたコンテンツデータを受信する機能と、受信したコンテンツデータをコンテンツ再生装置にて表示可能となるよう処理する機能とを備える。
<実施形態1:ハードウェア構成>
【0030】
(ハードウェア構成の一例)
次に、本実施形態のコンテンツ再生装置のハードウェア構成について説明する。図2Aは、本実施形態のコンテンツ再生装置のハードウェア構成の一例を示す概略図である。この図に示すように、本実施形態の電子機器は、「CPU」(0201)と、「主メモリ」(0202)と、「記憶装置」(0203)と、「I/O」(0204)と、から構成され、それらが「システムバス」(0205)などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。本実施形態に必須の構成ではないが、コンテンツを再生表示等するための、ディスプレイ(0206)や、スピーカー(0207)を、さらに備えていても良い。
【0031】
記憶装置はCPUによって実行される各種プログラムなどを記憶している。また主メモリは、プログラムがCPUによって実行される際の作業領域であるワーク領域を提供する。また、この主メモリや記憶装置にはそれぞれ複数のメモリアドレスが割り当てられており、CPUで実行されるプログラムは、そのメモリアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやりとりを行い、処理を行うことが可能になっている。
【0032】
本実施形態のコンテンツ再生装置の電源が入れられると、記憶装置に保持されている報知プログラム、報知部動作有無判断プログラム、コンテンツ音声周波数特性取得プログラム、比較プログラム、ゲイン調整プログラム等のプログラムが主メモリ上に展開される。
【0033】
そして、報知部を構成するCPUは、主メモリ上に展開された報知プログラムに従って、I/Oに接続されたスピーカーに対して、報知用音声に関する情報を出力する。
【0034】
報知部動作有無判断部を構成するCPUは、主メモリ上に展開された報知部動作有無判断プログラムに従って、報知部が動作しているかを判断する。
【0035】
コンテンツ音声周波数特性取得部を構成するCPUは、主メモリ上に展開されたコンテンツ音声周波数特性取得プログラムに従って、コンテンツ音声周波数特性を取得する。取得されたコンテンツ音声周波数特性は、主メモリに保持される。
【0036】
比較部を構成するCPUは、主メモリ上に展開された比較プログラムに従って、主メモリに保持されたコンテンツ音声周波数特性と、報知用音声周波数特性とを比較する。報知用音声周波数特性は、場合によっては、報知用音声周波数特性取得プログラムに従ったCPUの演算処理により取得される。例えば、スピーカーから報知音が出るタイミングを起点として、コンテンツ音声と同期して出力される報知用音声の周波数特性を分析して取得することができる。周波数特性の比較は、同期されたコンテンツ音声と報知用音声との各周波数のゲインの差分を演算することにより行われる。
【0037】
ゲイン調整部を構成するCPUは、比較部にて演算されたコンテンツ音声と報知用音声との差分が所定範囲内であるかを判断し、所定範囲内である場合には、コンテンツ音声の該当周波数部分を小さく(例えば、ゲインを1/2にするなど)する処理をする。
【0038】
そして、ゲイン調整部において調整されたコンテンツ音声と、報知用音声とが合成されて、スピーカーから出力される。
【0039】
(ハードウェア構成の他の一例)
次に図2Bを参照する。図2Bは、本実施形態のコンテンツ再生装置をマイコン(MPU)制御と半導体回路を利用するハードウェア処理によって実現するハードウェア構成の一例を示す概略図である。コンテンツ再生装置の各部と、マイコン(MPU)との間で各種情報がやりとりされて制御が行われる(マイコンと各部との各種情報のやりとりの流れを点線で示している。)。
【0040】
まず、チューナー、ネットワークケーブルなどを介してコンテンツ再生装置に入力されるコンテンツデータは、音声と映像とに分離される。コンテンツ映像データは、コンテンツ映像制御回路を利用するハードウェア処理により、ディスプレイ等の表示デバイスに表示される。MPUは、コンテンツ音声データに関し、コンテンツ音声周波数特性取得回路を利用するハードウェア処理により、コンテンツ音声周波数特性を取得する。(すなわち、コンテンツ音声周波数取得回路は、コンテンツ音声周波数特性取得部の機能を実現する。)同様に、ネットワークケーブル等を介して取得された報知用音声データについて、報知用音声周波数特性取得回路を利用するハードウェア処理により、報知用音声周波数特性を取得する。(報知用音声周波数特性取得回路は、機能的構成において説明した比較部に含まれていても良い)。MPUは、コンテンツ音声周波数特性と報知用音声周波数特性とを比較して、比較結果により、コンテンツ音声制御回路を利用したハードウェア処理により、コンテンツ音声を制御する。(コンテンツ音声制御回路は、機能的構成において説明したゲイン調整部そのものであってもよい。)コンテンツ音声制御回路を利用したハードウェア処理にて制御されたコンテンツ音声と、報知用音声とは、それぞれコンテンツ音量制御回路と、報知用音声音量制御回路とを利用するハードウェア処理を経て合成され、スピーカー等の音声出力デバイスから出力される。
<実施形態1:処理の流れ>
【0041】
図3は、本実施形態のコンテンツ再生装置における処理の流れの一例を表すフロー図である。なお、以下に示すステップは、上記のような計算機の各ハードウェア構成によって実行されるステップであっても良いし、あるいは媒体に記録され計算機を制御するためのプログラムを構成する処理ステップであっても構わない。以下、コンテンツ再生装置の報知音をクリアに聞かせるための装置の動作プログラムとして説明を行う。なお、このプログラムを記憶したコンピュータに読み取り可能な記憶媒体も本件発明に含まれる。
【0042】
図3を参照する。本実施形態のコンテンツ再生装置の報知音をクリアに聞かせるための装置の動作プログラムの処理の流れは、報知部動作有無判断ステップ(0301)と、コンテンツ音声周波数特性取得ステップ(0302)と、比較ステップ(0303)と、ゲイン調整ステップ(0304)と、をコンテンツ再生装置に実行させるための動作プログラムである。
【0043】
まず、報知部動作有無判断ステップにて、報知部が動作しているか、繰り返し判定される。
【0044】
次に、コンテンツ音声周波数特性取得ステップにて、コンテンツ音声周波数特性が取得される。
【0045】
次に、比較ステップにて、コンテンツ音声周波数特性と、報知用音声周波数特性とが、比較される。
【0046】
次に、ゲイン調整ステップにて、両者の差分が所定範囲内となる場合に、コンテンツ音声の該当周波数部分を小さくする処理をする。
【0047】
これらのステップは、報知部が動作していると判定されている限り、音声出力処理が行われるごとに繰り返されることが好ましい。そして、報知部の動作が終了すると、本実施形態の装置の動作プログラムによる処理は終了する。
<実施形態1:効果>
【0048】
本実施形態のコンテンツ再生装置により、報知音をクリアに聞かせることができ、かつ、コンテンツ音声の視聴を妨げにくいコンテンツ再生装置の実現が可能となる。
<<実施形態2>>
<実施形態2:概要>
【0049】
本実施形態のコンテンツ再生装置は、実施形態1を基本としつつ、報知用音声のピーク周波数帯での比較結果に基づいて該当周波数部分を小さくする処理を行う点に特徴がある。ピーク周波数帯部分をクリアに聞き取れるように処理を行うことで、報知音をクリアに聞かせるという本件発明の効果を奏しつつ、コンテンツ音声を大幅に(大部分の周波数帯で)調整してコンテンツ音声が大きく変化するのを避けることができる。
<実施形態2:機能的構成>
【0050】
再び図1を参照する。本実施形態のコンテンツ再生装置(0101)は、報知部(0102)と、報知部動作有無判断部(0103)と、コンテンツ音声周波数特性取得部(0104)と、比較部(0105)と、ゲイン調整部(0106)と、を有する。これらの各構成については、以下に述べる点をのぞき、実施形態1と同様であるので説明を省略する。
【0051】
ゲイン調整部は、ピーク部分調整手段を有する。図4は、ピーク部分調整手段における調整について説明するための図である。(a)がコンテンツ音声周波数特性のグラフ、(b)が報知用音声周波数特性のグラフであり、(c)が両者を重ね合わせたグラフである。「ピーク部分調整手段」は、報知用音声のピーク周波数帯での比較結果により両者(コンテンツ音声の周波数特性と報知用音声の周波数特性との両者)の差分が所定範囲内となる周波数帯についてコンテンツ音声の該当周波数部分を小さくする処理をする。
【0052】
「ピーク部分」は、周波数特性のグラフにおいて、急峻な山形になっている頂点付近の周波数帯である。「ピーク」は、例えば、以下の数式を満たすxの値を算出することによって検出可能である。
<数式1>
f'(x)=f(x+1)-f(x)<0.0001,f''(x)=f'(x+1)-f'(x)<0
【0053】
また、「ピーク部分」の周波数帯の幅は、例えば、上記数式で算出された頂点(x,f(x))からf(x)の値が−3dB(デシベル)低下するまでの範囲の周波数帯としてもよい。さらに、f(x)が所定値以上のゲインである場合に限ってピーク部分としてもよい。ピーク部分を限定することで、報知音をクリアに聞かせるという本件発明の効果を奏しつつ、コンテンツ音声が調整されることとなる周波数帯の幅を狭くして、コンテンツ音声が大きく変化するおそれをさらに軽減できる。
【0054】
図4(b)を参照する。この図では、点線で丸く囲まれた部分がピーク部分である。これらのピーク部分をそれぞれf1、f2とする。図4(c)において、太線で示された報知用音声周波数特性と、細線で示されたコンテンツ音声周波数特性とを比較すると、f1の部分では差分が所定範囲内でなく、f2の部分では差分が所定範囲内となっている。
【0055】
「コンテンツ音声の該当周波数部分を小さくする処理」の具体的一例を説明する。両者の差分が所定範囲内となる報知用音声のピーク周波数帯でのコンテンツ音声周波数特性を観察する。図5は、コンテンツ音声周波数特性の観察結果のパターンを示している。報知用音声のピーク周波数部分をFとすると、コンテンツ音声周波数特性は、上昇(a)、下降(b)、平坦(c)、急峻(d)のいずれかのパターンを示すこととなる。図6及び図7は、ゲイン調整部による調整の一例を説明するための図である。例えば図6のように、上昇、下降、平坦パターンの場合には、コンテンツ音声の該当周波数部分のゲインを下げる。急峻パターンの場合には、図7のように、LPF(ローパスフィルタ)とHPF(ハイパスフィルタ)とを組み合わせて用いることによりゲインをカットする。具体的には、該当周波数部分付近(例えば500Hzから510Hz)をカットする場合には、LPF(例えば500Hz以下の周波数帯を通過させるフィルタ)と、HPF(例えば510Hz以上の周波数帯を通過させるフィルタ)を経た音声を合成することで、該当周波数部分付近(例えば500Hzから510Hz)をカットすることができる。このようにゲインをカットして、該当周波数部分の音を小さく(ゼロに)しても、急峻パターンの場合、コンテンツ音声の該当周波数部分の周辺帯域には音がないと判断できるので、コンテンツ音声の小さくするべき周波数帯の周辺帯域に影響を与えるおそれが小さい。
【0056】
図8は、コンテンツ音声の該当周波数部分を小さくする構成を電気回路により実現する場合の一例を示す図である。バンドパスフィルタによってゲインを下げる(ゼロにはしない)構成と、とLPF/HPFを組み合わせてゲインをカットする(ゼロにする)構成とをスイッチによって切り替えることが可能な構成となっている。また、図9は、このようなバンドパスフィルタとLPF/HPFを組み合わせた電気回路におけるスイッチの切り替え処理の流れを示すフロー図である。まず、報知用音声周波数特性のピーク周波数帯での比較結果により、報知用音声周波数特性と、コンテンツ音声周波数特性との差分が所定範囲内かを判定する。所定範囲内でない場合には処理は終了する。所定範囲内である場合、ピーク周波数帯付近のコンテンツ音声の波形パターンを取得する。次に、取得された波形パターンを判定し、上昇、下降、平坦パターンの場合は、バンドパスフィルタでピーク周波数付近の周波数帯のコンテンツ音声のゲインを下げる。急峻パターンの場合は、LPF/HPFを組み合わせてピーク周波数付近の周波数帯のコンテンツ音声のゲインをカットする。
<実施形態2:効果>
【0057】
本実施形態のコンテンツ再生装置により、報知音をクリアに聞かせることができ、かつ、コンテンツ音声の視聴を妨げにくいコンテンツ再生装置の実現が可能となる。
<<実施形態3>>
<実施形態3:概要>
【0058】
本実施形態のコンテンツ再生装置は、実施形態1を基本としつつ、所定以上のゲインを有する周波数帯全体について前記コンテンツ音声の該当周波数部分を小さくする処理をする全体調整手段を有する点に特徴を有する。実施形態2との違いは、調整される周波数部分の抽出条件である。実施形態2では、報知用音声のピーク周波数帯での比較結果に応じてコンテンツ音声の該当周波数部分が小さく処理される。これに対し、実施形態3では、コンテンツ音声の周波数特性と報知用音声の周波数特性との比較結果により両者の差分が所定範囲内となる場合に、かつ、比較結果が所定以上のゲインを有する周波数帯全体について、コンテンツ音声の該当周波数部分を小さくする処理が行われる。
<実施形態3:機能的構成>
【0059】
再び図1を参照する。本実施形態のコンテンツ再生装置(0101)は、報知部(0102)と、報知部動作有無判断部(0103)と、コンテンツ音声周波数特性取得部(0104)と、比較部(0105)と、ゲイン調整部(0106)と、を有する。これらの各構成については、以下に述べる点を除き、実施形態1で述べたところと同様であるので説明を省略する。
【0060】
ゲイン調整部は、全体調整手段を有する。「全体調整手段」は、コンテンツ音声の周波数特性と報知用音声の周波数特性との比較結果により両者の差分が所定範囲内となる場合に、比較結果が所定以上のゲインを有する周波数帯全体について前記コンテンツ音声の該当周波数部分を小さくする処理をする。図10は、全体調整手段による調整の一例を説明するための図である。図10(a)(b)において細い線がコンテンツ音声周波数特性を、太い線が報知用音声周波数特性を示している。図10(a)において、点線で挟まれた周波数帯では、両者(コンテンツ音声の周波数特性と報知用音声の周波数特性の両者)の差分が所定範囲内となり、かつ、比較結果が所定値α以上のゲインを有する。全体調整手段は、当該周波数帯全体について、(b)で示すようにコンテンツ音声の該当周波数部分を小さくする処理をする。この図では、所定値αまでゲインを小さくすることとしているが、もっと小さく(例えばゲインをゼロに)しても良いし、あるいは、報知用音声の視聴を妨げない範囲で所定値αより大きくしても良い。
<実施形態3:効果>
【0061】
本実施形態のコンテンツ再生装置により、報知音をクリアに聞かせることができ、かつ、コンテンツ音声の視聴を妨げにくいコンテンツ再生装置の実現が可能となる。
<<実施形態4>>
<実施形態4:概要>
【0062】
本実施形態のコンテンツ再生装置は、実施形態1から3のいずれか一を基本としつつ、比較部は、あらかじめ報知用音声の周波数特性を分析した結果を用いて比較をする点に特徴がある。
<実施形態4:機能的構成>
【0063】
再び図1を参照する。本実施形態のコンテンツ再生装置(0101)は、報知部(0102)と、報知部動作有無判断部(0103)と、コンテンツ音声周波数特性取得部(0104)と、比較部(0105)と、ゲイン調整部(0106)と、を有する。これらの各構成については、以下に述べる点を除き、実施形態1から3で述べたところと同様であるので説明を省略する。
【0064】
比較部は、事前分析結果利用手段を有する。「事前分析結果利用手段」は、あらかじめ報知用音声の周波数特性を分析した結果を用いて前記比較をする機能を有する。
【0065】
「事前分析」は、報知部動作有無判断部にて報知部が動作していると判定されるより前にという意味である。事前分析を行うことで、報知部が動作してから行われる処理を軽くすることができる。「事前分析結果」は、報知用音声の音声周波数特性である。経時的に音声周波数特性が変化する場合(断続的なアラーム音や、旋律ある楽曲を報知音として利用する場合など)には、報知開始からの時間経過情報と共に関連づけられた音声周波数特性であってもよい。
<実施形態4:効果>
【0066】
本実施形態のコンテンツ再生装置により、報知音をクリアに聞かせることができ、かつ、コンテンツ音声の視聴を妨げにくいコンテンツ再生装置の実現が可能となる。さらに、事前分析を行うことで、報知部が動作してから行われる処理を軽くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】実施形態1のコンテンツ再生装置の機能ブロックの一例を示す図
【図2A】実施形態1のコンテンツ再生装置のハードウェア構成の一例を示す概略図
【図2B】実施形態1コンテンツ再生装置をマイコン(MPU)制御と半導体回路を利用するハードウェア処理によって実現するハードウェア構成の一例を示す概略図
【図3】実施形態1のコンテンツ再生装置における処理の流れの一例を表すフロー図
【図4】ピーク部分調整手段における調整について説明するための図
【図5】コンテンツ音声周波数特性の観察結果のパターンを示す図
【図6】ゲイン調整部による調整の一例を説明するための図
【図7】ゲイン調整部による調整の一例を説明するための図
【図8】コンテンツ音声の該当周波数部分を小さくする構成を電気回路により実現する場合の一例を示す図
【図9】バンドパスフィルタとLPF/HPFを組み合わせた電気回路におけるスイッチの切り替え処理の流れを示すフロー図
【図10】全体調整手段による調整の一例を説明するための図
【符号の説明】
【0068】
コンテンツ再生装置 0101
報知部 0102
報知部動作有無判断部 0103
コンテンツ音声周波数特性取得部 0104
比較部 0105
ゲイン調整部 0106

【特許請求の範囲】
【請求項1】
報知部と、
報知部動作有無判断部と、
コンテンツ音声の周波数特性を取得するコンテンツ音声周波数特性取得部と、
報知部動作有無判断部により報知ありとされた場合に、取得したコンテンツ音声の周波数特性と報知用音声の周波数特性とを比較する比較部と、
比較結果により両者の差分が所定範囲内となる場合に、コンテンツ音声の該当周波数部分を小さくする処理をするゲイン調整部と、
を有するコンテンツ再生装置。
【請求項2】
ゲイン調整部は、
報知用音声のピーク周波数帯での比較結果により両者の差分が所定範囲内となる周波
数帯について前記コンテンツ音声の該当周波数部分を小さくする処理をするピーク部分調整手段を有する請求項1に記載のコンテンツ再生装置。
【請求項3】
ゲイン調整部は、
比較結果が所定以上のゲインを有する周波数帯全体について前記コンテンツ音声の該当周波数部分を小さくする処理をする全体調整手段を有する請求項1に記載のコンテンツ再生装置。
【請求項4】
比較部は、
あらかじめ報知用音声の周波数特性を分析した結果を用いて前記比較をする事前分析
結果利用手段をさらに有する
請求項1から3のいずれか一に記載のコンテンツ再生装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一に記載のコンテンツ再生装置を含むテレビ受像装置。
【請求項6】
コンテンツ再生装置の報知音をクリアに聞かせるための装置の動作プログラムであって、
報知部動作有無判断ステップと、
コンテンツ音声の周波数特性を取得するコンテンツ音声周波数特性取得ステップと、
報知部動作有無判断ステップにより報知ありとされた場合に、取得したコンテンツ音声の周波数特性と報知用音声の周波数特性とを比較する比較ステップと、
比較結果により両者の差分が所定範囲内となる場合に、コンテンツ音声の該当周波数部分を小さくする処理をするゲイン調整ステップと、をコンテンツ再生装置に実行させるための動作プログラム。
【請求項7】
請求項6に記載のコンテンツ再生装置の報知音をクリアに聞かせるための装置の動作プログラムを記憶した記憶媒体。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−115523(P2013−115523A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258306(P2011−258306)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】