説明

コンテンツ処理装置及びコンテンツ処理方法

【課題】コンテンツの途中でパレンタルレートが変更される場合であっても、その変更に対応した視聴制限を確実に反映させる。
【解決手段】コンテンツ処理装置1は、入力されたコンテンツにかかるストリームから、オーディオストリーム及びビデオストリームを分離するデマルチプレクサ13と、オーディオストリームと、ビデオストリームとをもとに、オーディオ出力と、ビデオ出力とを行うオーディオデコーダ16及びビデオデコーダ17と、ストリームに所定の時間間隔で含まれる、視聴制限にかかる情報であるパレンタルレートを読み取るセクションデータ読取部19と、読み取られたパレンタルレートが自装置に予め設定された視聴制限の条件を満たすか否かを判定するパレンタル判定部202と、その判定結果に応じて、パイレンタルレートが含まれるストリームのオーディオ出力とビデオ出力との有無を設定するフィルタ設定部201と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、コンテンツ処理装置及びコンテンツ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、BS、CS放送の一部有料放送や、IPTV(Internet Protocol Television)などのテレビジョン放送においては、番組(コンテンツ)の内容に応じて、視聴年齢制限を設定している。具体的には、テレビジョン放送で放送されるコンテンツデータに視聴を制限するためのレイティング情報(パレンタルレート)を付加している。そして、DVD(Digital Versatile Disc)やHDD(Hard Disk Drive)レコーダ、テレビジョン放送受信装置などの、放送されたコンテンツデータを視聴するための処理を行うコンテンツ処理装置では、コンテンツごとに、そのコンテンツに付加されたパレンタルレートが自装置に設定されたパレンタル設定の条件を満たすか否かを判定し、パレンタルレートによる視聴年齢制限に当てはまらない、条件を満たすコンテンツにのみ視聴のための処理を行っている。なお、上述した条件を満たさず、パレンタルレートによる視聴年齢制限が当てはまるコンテンツについては、暗証番号などによる視聴制限機能(パレンタルロック)を解除しなければ視聴のための処理は行われない。このような視聴制限機能により、コンテンツ処理装置では、子供などが不用意に暴力的なコンテンツを視聴してしまうことを防止している。
【0003】
コンテンツごとに設定されたパレンタルレートをもとに、そのコンテンツを視聴するための処理を行うか否かを制御する従来技術としては、特許文献1が知られている。特許文献1には、放送局から放送されるコンテンツについて、予め設定されたパレンタルレートを含むコンテンツデータを記憶する。そして、ユーザによって記憶されたコンテンツデータの視聴が指示された場合は、パレンタルレートと、装置に予め設定される基準値とに基づいて視聴制限されたコンテンツか否かを判定し、その判定結果に従って視聴の許可/不許可を各部に指示することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−7514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術では、コンテンツの途中からパレンタルレートが変更される場合には、その変更に追従した視聴の許可/不許可を行うことができない。例えば、コンテンツごとのパレンタルレートによる判定により視聴が許可されるコンテンツであっても、そのコンテンツの一部の視聴区間に視聴制限が設けられることがある。ところが、上記従来技術では、コンテンツごとのパレンタルレートによる判定により視聴が許可されてしまうことから、一部の視聴区間に設けられた視聴制限が正しく反映されない場合があった。
【0006】
本発明の実施形態は、上記に鑑みてなされたものであって、コンテンツの途中でパレンタルレートが変更される場合であっても、その変更に対応した視聴制限を確実に反映させることを可能とするコンテンツ処理装置及びコンテンツ処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の実施形態のコンテンツ処理装置は、入力されたコンテンツにかかるストリームから、オーディオストリーム及びビデオストリームを分離する分離手段と、前記オーディオストリームと、前記ビデオストリームとをもとに、オーディオ出力と、ビデオ出力とを行う出力手段と、前記ストリームに所定の時間間隔で含まれる、視聴制限にかかる情報であるパレンタルレートを読み取る読取手段と、読み取られた前記パレンタルレートが自装置に予め設定された視聴制限の条件を満たすか否かを判定する判定手段と、前記判定結果に応じて、前記パイレンタルレートが含まれるストリームの前記オーディオ出力と前記ビデオ出力との有無を設定する設定手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の実施形態は、入力されたコンテンツにかかるストリームから、オーディオストリーム及びビデオストリームを分離する分離手段、前記オーディオストリームと、前記ビデオストリームとをもとに、オーディオ出力と、ビデオ出力とを行う出力手段を有するコンテンツ処理装置のコンテンツ処理方法であって、読取手段が、前記ストリームに所定の時間間隔で含まれる、視聴制限にかかる情報であるパレンタルレートを読み取る読取ステップと、判定手段が、読み取られた前記パレンタルレートが自装置に予め設定された視聴制限の条件を満たすか否かを判定する判定ステップと、設定手段が、前記判定結果に応じて、前記パイレンタルレートが含まれるストリームの前記オーディオ出力と前記ビデオ出力との有無を設定する設定ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態によれば、コンテンツの途中でパレンタルレートが変更される場合であっても、その変更に対応した視聴制限を確実に反映させることを可能とする、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本実施形態にかかるコンテンツ処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、PMTの構造を示す図である。
【図3】図3は、限定受信方式記述子のデータ構造を示す図である。
【図4】図4は、パレンタルレートの設定値の定義を示す図である。
【図5】図5は、本実施形態にかかるコンテンツ処理装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図6】図6は、本実施形態にかかるコンテンツ処理装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図7】図7は、早送り再生・早戻し再生を説明する図である。
【図8】図8は、変形例にかかるコンテンツ処理装置の構成を示すブロック図である。
【図9】図9は、サーチテーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるコンテンツ処理装置及びコンテンツ処理方法の実施形態を詳細に説明する。このコンテンツ処理装置及びコンテンツ処理方法は、DVD(Digital Versatile Disc)やHDD(Hard Disk Drive)レコーダ、テレビジョン放送受信装置、チューナやセットトップボックス等、放送や録画されたコンテンツデータを視聴するための処理を行う装置であればいずれに用いられてもよい。
【0012】
以下では、コンテンツデータとして入力されたMPEG TS(Moving Picture Experts Group Transport Stream)を視聴するための処理を行うコンテンツ処理装置を例に説明する。MPEG TSを扱う具体的な事例としては、地上波デジタル放送コンテンツや衛星(BS、CS)デジタル放送コンテンツ、又はインターネット通信網を使用したIPTVなどのストリームを、DVDやHDDなどの記憶媒体に録画し、再生する場合が挙げられる。
【0013】
図1は、本実施形態にかかるコンテンツ処理装置1の構成を示すブロック図である。図1に示すように、コンテンツ処理装置1は、データ読取部11、ストリームバッファ12、デマルチプレクサ13、オーディオデータバッファ14、ビデオデータバッファ15、オーディオデコーダ16、ビデオデコーダ17、セクションデータバッファ18、セクションデータ読取部19、MPU20を備え、各部はバス21により接続される。
【0014】
データ読取部11は、DVDなどに代表される光ディスク、SDカードなどの不揮発性メモリ、HDD等の記憶媒体に記憶(録画)された、MPEG TSであるコンテンツデータ10を読み取る。例えば、光ディスクからコンテンツデータ10を読み取る場合は、光ピックアップ装置がデータ読取部11に相当する。なお、コンテンツデータ10が放送されたデータである場合、データ読取部11はチューナなどであってもよい。ストリームバッファ12は、データ読取部11により読み取られたストリームを一時記憶するバッファである。
【0015】
コンテンツデータ10の再生を行う場合、データ読取部11で読み取られたストリームは一旦ストリームバッファ12に記憶される。ストリームバッファ12に記憶されたストリームは、PCR(Program Clock Reference)などのタイムスタンプ情報を元に、MPU20の制御部203の制御によってデマルチプレクサ13に出力される。
【0016】
デマルチプレクサ13は、ストリームからオーディオデータ及びビデオデータを分離するためのPIDフィルタ131と、ストリームからセクションデータを分離するためのセクションフィルタ132とを備え、ストリームバッファ12に記憶されたストリームをオーディオデータ、ビデオデータ、セクションデータに分離する。具体的には、ストリームバッファ12に記憶されたストリームの各パケット(TSパケット)に付加されているパケット識別情報(PID)を参照して、各TSパケットのペイロードに含まれる映像(ビデオ)、音声(オーディオ)、その他のデータ(セクション)の種類を判別することで、オーディオデータ、ビデオデータ、セクションデータへの分離を行う。
【0017】
PIDフィルタ131は、ストリームバッファ12に記憶されたストリームに対して、MPU20のフィルタ設定部201により設定されたPIDによるフィルタリングを行い、オーディオデータとビデオデータを分離する。具体的には、フィルタ設定部201により設定されたPIDと同じ値のTSパケットのペイロードに含まれるオーディオデータ、ビデオデータを分離する。このように、フィルタ設定部201によりPIDを設定することで、PIDフィルタ131は、ストリームに含まれるデータの中から所望のオーディオデータ、ビデオデータを分離できる。
【0018】
PIDフィルタ131によって分離されたオーディオデータは、オーディオデータバッファ14に一時記憶され、出力手段としてのオーディオデコーダ16でデコードされて出力される。また、PIDフィルタ131によって分離されたビデオデータは、ビデオデータバッファ15に一時記憶され、出力手段としてのビデオデコーダ17でデコードされて出力される。このオーディオデコーダ16、ビデオデコーダ17におけるデコードは、DTS(Decoding Time Stamp)やPTS(Presentation Time Stamp)といったデータに付与されているタイムスタンプ情報を元にしたMPU20の制御部203の制御の下で実施される。この制御部203の制御により、オーディオデコーダ16からのオーディオ出力とビデオデコーダ17からのビデオ出力とが同期される。
【0019】
セクションフィルタ132は、ストリームをフィルタリングすることで、セクション形式でストリーム内に存在するPMT(Program Map Table)を出力する。セクションフィルタ132から出力されたPMTはセクションデータバッファ18に一時記憶される。セクションデータバッファ18に一時記憶されたPMTは、セクションデータ読取部19によって読み出されて解釈(パース)される。セクションデータ読取部19は、セクションデータバッファ18に記憶されたPMTを読み出して解釈し、その解釈した結果をMPU20へ出力する。
【0020】
ここで、PMTの詳細について説明する。PMTは、ARIB(社団法人電波産業会)規格のSTD−B10に規定されるPSI(Program Specific Information)の一つであり、様々な情報が多重化されているストリームからコンテンツを構成するビデオデータやオーディオデータなどを分離するためのPIDにかかる情報や、コンテンツの視聴制限にかかるパレンタルレートを含むデータである。このPMTは、上述したSTD−B10の規定により、例えば100msなどの所定の時間間隔でストリームに含まれている。
【0021】
図2は、PMTの構造を示す図である。具体的には、PMTは図2に示すような構造となっており、ビデオデータやオーディオデータなどを分離するためのPIDは、PMTで繰り返されるエレメンタリPIDなどに記述される。また、コンテンツの視聴制限にかかるパレンタルレートは、記述子領域(1)に限定受信方式記述子として記述される。
【0022】
図3は、限定受信方式記述子のデータ構造を示す図である。図3に示すように、限定受信方式記述子にはプライベートデータを格納するプライベートデータ領域が設けられている。パレンタルレートは、プライベートデータ領域の先頭1バイトに記述される。
【0023】
図4は、パレンタルレートの設定値の定義を示す図である。プライベートデータ領域の先頭1バイトには、図4に示すような定義に従って、コンテンツの視聴可能な最低年齢を示す設定値がパレンタルレートとして記述される。例えば、プライベートデータ領域の先頭1バイトが「0x11」である場合には、コンテンツの視聴可能な最低年齢が20歳となる。
【0024】
図1に戻り、コンテンツ処理装置1の説明を続ける。セクションデータ読取部19では、所定の時間間隔でストリームに含まれる、上述した構造のPMTをセクションデータバッファ18から読み出して解析し、ビデオデータやオーディオデータなどを分離するためのPIDや、パレンタルレートをMPU20へ出力している。このため、所定の時間間隔でストリームに含まれるPMTにおいて、パレンタルレートの設定が変更される場合であっても、MPU20ではその変更を検出することができる。
【0025】
MPU20(マイクロプロセッサユニット)は、コンテンツ処理装置1の動作を中央制御する。具体的には、MPU20は、演算器、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備えており(いずれも図示しない)、ROMに記憶されたプログラムをRAMの作業領域に展開し、その展開したプログラムを演算器が順次実行している。そして、MPU20は、プログラムの実行に応じた制御信号をバス21を介して各部に出力することでコンテンツ処理装置1の中央制御を実現している。
【0026】
MPU20は、上述したプログラムの実行により実現される機能部としてのフィルタ設定部201、パレンタル判定部202、制御部203を有する。フィルタ設定部201は、PIDフィルタ131へのPIDの設定を行う。具体的には、フィルタ設定部201は、パレンタル判定部202の判定結果に応じて、視聴可能なストリームである場合にのみPIDをPIDフィルタ131へ設定する。したがって、デマルチプレクサ13では、視聴可能なストリームである場合にのみ、オーディオデータ、ビデオデータの分離が行われることとなる。すなわち、フィルタ設定部201は、デマルチプレクサ13へのPIDの設定の有無により、オーディオデコーダ16によるオーディオ出力とビデオデコーダ17によるビデオ出力との有無を設定している。
【0027】
パレンタル判定部202は、セクションデータ読取部19から出力されたパレンタルレートと、不揮発性メモリ(図示しない)などに予め設定された自装置のパレンタル設定22とを比較して視聴制限の条件を満たすか否かを判定して、視聴可能なストリームであるか否かを判定する。例えば、パレンタル設定22には、視聴を行うユーザの年齢などの、視聴制限の条件に関する情報が操作部(図示しない)などにより予め設定されている。パレンタル判定部202は、パレンタル設定22として予め設定されたユーザの年齢がパレンタルレートとして記述されたコンテンツの視聴可能な最低年齢を上回る場合に、視聴制限の条件を満たし、視聴可能なストリームであると判定する。逆に、パレンタル設定22として予め設定されたユーザの年齢がパレンタルレートとして記述されたコンテンツの視聴可能な最低年齢より低い場合には、視聴制限の条件を満たさず、視聴できないストリームであると判定する。
【0028】
制御部203は、データ読取部11によるコンテンツデータ10の読み取りからオーディオデコーダ16、ビデオデコーダ17によるオーディオ出力、ビデオ出力までの一連の動作など、コンテンツ処理装置1の動作を統括制御する。
【0029】
ここで、データ読取部11で読み取ったコンテンツデータ10のストリームを順次再生する通常再生を例に、主にフィルタ設定部201、パレンタル判定部202、制御部203によるコンテンツ処理装置1の動作を説明する。図5は、本実施形態のかかるコンテンツ処理装置1の動作の一例を示すフローチャートであり、より具体的には通常再生を行う場合の動作を示している。
【0030】
図5に示すように、操作部をユーザが操作するなどして通常再生が開始されると、制御部203は、セクションデータ読取部19からの出力をもとに、所定の時間間隔でストリームに含まれるPMTをセクションデータ読取部19が読み取ったか否かを判定する(S1)。
【0031】
PMTの読み取りがない場合(S1:NO)、制御部203は、操作部による停止操作などにより通常再生を終了するか否かを判定する(S6)。S6において通常再生を継続する場合(S6:NO)、制御部203はS1へ処理を戻す。したがって、通常再生の継続中でPMTの読み取りがない場合には、S1、S6の処理が繰り返されることとなる。なお、通常再生の開始前においては、PIDフィルタ131へのPIDが設定されていないため、以後の処理でPIDフィルタ131へのPIDの設定が行われるまではデマルチプレクサ13によるオーディオデータ、ビデオデータの分離は行われない。
【0032】
PMTの読み取りがある場合(S1:YES)、フィルタ設定部201は、PIDフィルタ131におけるPIDの設定をクリアする(S2)。これにより、デマルチプレクサ13によるオーディオデータ、ビデオデータの分離は、その分離が行われている場合には停止される。次いで、セクションデータ読取部19でPMTのパレンタルレートの読み出しが行われ(S3)、パレンタル判定部202は、読み出されたパレンタルレートがパレンタル設定22による視聴制限の条件を満たすか否かを判定する(S4)。
【0033】
視聴制限の条件を満たす場合(S4:YES)、フィルタ設定部201は、セクションデータ読取部19からの出力をもとに、ストリームからオーディオデータ、ビデオデータを分離するためのPIDをPIDフィルタ131に設定する(S5)。これにより、デマルチプレクサ13に入力されたストリームからオーディオデータ、ビデオデータが分離され、制御部203の制御の下でのデコードが開始される。デコードの開始の後、制御部203はS1へ処理を戻す。したがって、次のPMTの読み取りまで、ストリームからのオーディオデータ、ビデオデータの分離と、そのデコードとが継続された状態で待機される。
【0034】
なお、視聴制限の条件を満たさない場合(S4:NO)、制御部203は、フィルタ設定部201によるPIDの設定をPIDフィルタ131へ行うことなく、S1へ処理を戻す。したがって、所定の時間間隔でストリームに含まれるPMTのパレンタルレートの変更により、視聴制限の条件を満たさなくなった場合には、デマルチプレクサ13によるオーディオデータ、ビデオデータの分離が停止されて、その後のデコードが行われなくなり、視聴が制限されることとなる。この視聴制限は、その後のPMTによるパレンタルレートの変更により、視聴制限の条件を満たす(S4:YES)と判定されるまで継続される。
【0035】
次に、データ読取部11で読み取ったコンテンツデータ10のストリームを特殊再生する場合を例に、フィルタ設定部201、パレンタル判定部202、制御部203によるコンテンツ処理装置1の動作を説明する。ここで、特殊再生とは、ストリームによる連続したフレームの中から間欠的にフレームを抜き出して視聴を行うための再生であり、早送り再生・早戻し再生等が相当する。図6は、本実施形態のかかるコンテンツ処理装置1の動作の一例を示すフローチャートであり、より具体的には特殊再生を行う場合の動作を示している。
【0036】
図6に示すように、操作部をユーザが操作するなどして特殊再生が開始されると、フィルタ設定部201は、PIDフィルタ131におけるPIDの設定をクリアする(S10)。これにより、デマルチプレクサ13によるオーディオデータ、ビデオデータの分離は、その分離が行われている場合には停止される。
【0037】
次いで、制御部203は、特殊再生で再生するフレームにかかるストリームからPMTをセクションデータ読取部19が読み取ったか否かを判定し(S11)、PMTの読み取りがあるまで(S11:YES)処理を待機する。
【0038】
特殊再生で再生するフレームは、順次再生されるべきフレームから早送り再生・早戻し再生する速度に応じて、抜出手段としての制御部203の制御の下で抜き出した一部のフレームであり、主にIピクチャのフレームである。前述したとおり、PMTは100ms等の所定の時間間隔でストリームに含まれる。したがって、制御部203の制御の下、特殊再生で再生するフレーム位置よりも、PMTが含まれると推定される時間間隔分だけ前のストリームから読み出しを開始する。このようにストリームの読み出しを開始する位置をPMTが含まれると推定される時間間隔分だけ前にすることで、PMTを確実に取得できる。なお、早送り再生・早戻し再生する速度に応じたフレームの抜き出しの詳細については後述する。
【0039】
PMTの読み取りがある場合(S11:YES)、セクションデータ読取部19でPMTのパレンタルレートの読み出しが行われ(S12)、パレンタル判定部202は、読み出されたパレンタルレートがパレンタル設定22による視聴制限の条件を満たすか否かを判定する(S13)。
【0040】
視聴制限の条件を満たす場合(S13:YES)、フィルタ設定部201は、セクションデータ読取部19からの出力をもとに、ストリームからオーディオデータ、ビデオデータを分離するためのPIDをPIDフィルタ131に設定する(S14)。これにより、デマルチプレクサ13に入力されたストリームからオーディオデータ、ビデオデータが分離され、特殊再生で再生するフレーム(Iピクチャ)に関するストリームのデコードが制御部203の制御の下で行われる。
【0041】
次いで、制御部203は、特殊再生するフレーム(Iピクチャ)のデコードが完了した否かを判定し(S15)、そのフレームのデコードが完了するまで(S15:YES)処理を待機する。したがって、特殊再生で再生するフレームが視聴制限の条件を満たす場合は、そのフレームに関するストリームのデコードが行われて特殊再生による視聴が行われることとなる。
【0042】
なお、視聴制限の条件を満たさない場合(S13:NO)、制御部203は、フィルタ設定部201によるPIDの設定をPIDフィルタ131へ行うことなく、S16へ処理を進める。したがって、特殊再生で再生するフレームが視聴制限の条件を満たさない場合には、デマルチプレクサ13によるオーディオデータ、ビデオデータの分離が停止されて、そのフレームの関するストリームのデコードが行われなくなり、視聴が制限されることとなる。
【0043】
S16において、制御部203は、操作部による停止操作などにより特殊再生を終了するか否かを判定する。S16において特殊再生を継続する場合(S16:NO)、制御部203はS10へ処理を戻し、次に特殊再生するフレームについての処理を開始する。
【0044】
ここで、早送り再生・早戻し再生する速度に応じたフレームの抜き出しの詳細について説明する。図7は、早送り再生・早戻し再生を説明する図である。
【0045】
図7に示すように、早送り再生・早戻し再生などの特殊再生では、ストリーム全体300から、早送り再生・早戻し再生する速度に応じたストリーム310、320、330、340を順次データ読取部11が読み出し、ストリームバッファ12に記憶させる。そして、ストリームバッファ12に記憶されたストリーム310、320、330、340に前述した処理が行われることで、各ストリームに含まれるPMTのパレンタルレートに応じてIピクチャのデコードが行われる場合がある。
【0046】
PMTのパレンタルレートに応じてIピクチャのデコードが行われる場合は、ストリーム310、320、330、340の間隔を短くすることにより、時間的に近接するフレームが表示されるため、見かけ上は低速な早送り再生・早戻し再生を行うことが可能である。逆に、ストリーム310、320、330、340の間隔を長くすることにより、時間的に離れたフレームが表示されるため、見かけ上は高速な早送り再生・早戻し再生を行うことが可能である。
【0047】
図示例のように、120分のコンテンツを120倍速で早送り再生する場合には、コンテンツ全編を1分間で再生しなくてはならない。通常の動画コンテンツは1秒間に30フレームを表示する。したがって、120分間のコンテンツであれば、コンテンツ全編が216000フレームで構成されることとなる。早送り再生・早戻し再生を行う場合は、再生速度に合わせてIピクチャのフレームを再生させる。しかしながら、この表示時間を1/30秒間にしてしまうと、映像が早く切り替わりすぎてユーザが映像を認識しづらくなり、品位の悪い早送り再生・早戻し再生となってしまう。そこで、1フレームの表示時間を0.5秒〜1秒程度にすることにより、品位の良い早送り再生・早戻し再生を行う。
【0048】
120分のコンテンツを1分間で再生させるためには、1フレームの表示時間を0.5秒とした場合、コンテンツ全編から120フレームを選択して再生させる必要がある。よって、120分のコンテンツの中から等間隔に120フレームを選択して抜き出し、1800フレームおきに1フレームを再生させる。具体的には図示例のとおり、フレーム311、321、331、341と、そのフレームに対応するPMTとを抜き出し、PMTのパレンタルレートに応じて、それぞれを0.5秒間、時間軸の順方向に再生することで早送り再生を行う。逆に、時間軸の逆方向に再生することで早戻し再生を行う。
【0049】
[変形例]
次に、上述した実施形態の変形例を説明する。この変形例では、コンテンツデータとして入力されたMPEG TSを、DVDなどに代表される光ディスク、SDカードなどの不揮発性メモリ、HDD等の記憶媒体に記憶(録画)して視聴する場合を説明する。
【0050】
図8は、変形例にかかるコンテンツ処理装置1aの構成を示すブロック図である。図8に示すように、コンテンツ処理装置1aは、前述したコンテンツ処理装置1において、パーシャルストリームバッファ23、ストリーム解析部24、ストリーム書込部25、コンテンツデータ記憶部26を加え、MPU20が実現する機能としてサーチテーブル生成部204を加えた構成である。
【0051】
入力されたMPEGストリーム10aを、ストリーム書込部25により光ディスク、不揮発性メモリ、HDD等の記憶媒体であるコンテンツデータ記憶部26に記憶する場合には、入力されたMPEGストリーム10aの中から必要なデータのみを抜き出す処理を行う。この処理をパーシャライズ(パーシャル化)という。このパーシャライズは、制御部203の制御の下、デマルチプレクサ13で行われる。デマルチプレクサ13のパーシャライズによりパーシャル化されたデータ(ストリーム)はパーシャルストリームバッファ23に一時記憶され、ストリーム書込部25によりコンテンツデータ記憶部26に記憶される。コンテンツデータ記憶部26に記憶されたコンテンツデータは、データ読取部11により読み出され、前述したコンテンツ処理装置1と同様の通常再生が行われる。
【0052】
コンテンツデータ記憶部26に記憶されたコンテンツデータの特殊再生を行う場合には、ストリーム全体から一部のフレームを抜き出して再生を行う、ストリームの途中から再生を開始するなどのケースがある。特にMPEG TSの特殊再生では、フレーム内で復号可能なIピクチャのフレームのみをデコードすることにより早送り・早戻し再生を行うことが一般的である。このため、ストリームの時間軸とピクチャ情報の位置とのマッピング情報が必要となる。
【0053】
ストリーム解析部24は、上述したマッピング情報を生成するため、パーシャルストリームバッファ23に一時記憶されたパーシャル化されたデータを解析(パース)してストリームの時間軸とピクチャ情報の位置とを取得し、MPU20へ出力する。
【0054】
サーチテーブル生成部204は、ストリーム解析部24がパースして出力したストリームの時間軸とピクチャ情報の位置とをもとに、マッピング情報としてのサーチテーブル27を生成する。生成されたサーチテーブル27はコンテンツデータ記憶部26などに書き出される。このサーチテーブル27を生成する際に、サーチテーブル生成部204は、SI(Service Information)のEIT(Event Information Table)を検出し、マッピング情報に含まれるストリーム位置におけるコンテンツの切れ目やコンテンツ内のシーンの切れ目などを示すイベントIDと、前述したパレンタルレートとをサーチテーブル27に含めて記載する。すなわち、サーチテーブル生成部204は、コンテンツデータ記憶部26へのストリームの書き込みを行う際に、所定のストリーム位置においてセクションデータ読取部19により読み取られたパレンタルレートと、そのストリーム位置との対応を示すデータテーブルであるサーチテーブル27を生成している。例えば、コンテンツの切れ目やコンテンツ内のシーンの切れ目などのイベント単位で、そのイベントを識別するためのイベントIDを付与し、そのイベントIDごとの、ストリーム位置とパレンタルレートとの対応を示すサーチテーブル27を生成する。
【0055】
図9は、サーチテーブル27の一例を示す図である。図9に示すように、サーチテーブル27は、コンテンツの切れ目やコンテンツ内のシーンの切れ目などを示す「EVENT_ID」ごとに、そのストリーム位置である「格納アドレス」と、そのコンテンツの「パレンタルレート」とが記載されたテーブルデータである。
【0056】
このように生成されたサーチテーブル27を参照することで、単一の録画ファイルとしてコンテンツデータ記憶部26に記憶された各コンテンツを、論理的に分割することが可能となる。また、MPU20の制御の下でコンテンツデータ記憶部26に記憶されたコンテンツデータの特殊再生を行う場合には、サーチテーブル27から各コンテンツとそのストリーム位置のパレンタルレートを参照して、パレンタル判定部202がストリーム位置における視聴条件の判定を行い、フィルタ設定部201によるPIDフィルタ131へのPIDの設定を行うことで、コンテンツごとの視聴制限を確実に実施できる。
【0057】
なお、本発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0058】
1、1a コンテンツ処理装置
10 コンテンツデータ
10a MPEGストリーム
11 データ読取部
12 ストリームバッファ
13 デマルチプレクサ
14 オーディオデータバッファ
15 ビデオデータバッファ
16 オーディオデコーダ
17 ビデオデコーダ
18 セクションデータバッファ
19 セクションデータ読取部
20 MPU
21 バス
22 パレンタル設定
23 パーシャルストリームバッファ
24 ストリーム解析部
25 ストリーム書込部
26 コンテンツデータ記憶部
27 サーチテーブル
131 PIDフィルタ
132 セクションフィルタ
201 フィルタ設定部
202 パレンタル判定部
203 制御部
204 サーチテーブル生成部
300 ストリーム全体
310、320、330、340 ストリーム
311、321、331、341 フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力されたコンテンツにかかるストリームから、オーディオストリーム及びビデオストリームを分離する分離手段と、
前記オーディオストリームと、前記ビデオストリームとをもとに、オーディオ出力と、ビデオ出力とを行う出力手段と、
前記ストリームに所定の時間間隔で含まれる、視聴制限にかかる情報であるパレンタルレートを読み取る読取手段と、
読み取られた前記パレンタルレートが自装置に予め設定された視聴制限の条件を満たすか否かを判定する判定手段と、
前記判定結果に応じて、前記パイレンタルレートが含まれるストリームの前記オーディオ出力と前記ビデオ出力との有無を設定する設定手段と、
を備えることを特徴とするコンテンツ処理装置。
【請求項2】
前記設定手段は、前記判定結果が視聴制限の条件を満たす場合、当該判定結果にかかるパレンタルレートの読み取りから次にパレンタルレートが読み取られるまでの期間については、前記判定結果にかかるパイレンタルレートが含まれるストリームの前記オーディオ出力と前記ビデオ出力とを行うように設定し、前記期間以外については前記オーディオ出力と前記ビデオ出力とを行わないように設定すること、
を特徴とする請求項1に記載のコンテンツ処理装置。
【請求項3】
前記ストリームによる連続したフレームの中から間欠的にフレームを抜き出す抜出手段を更に備え、
前記読取手段は、抜き出されるフレームにかかるストリームから前記パレンタルレートを読み取り、
前記設定手段は、前記判定結果が視聴制限の条件を満たす場合、当該判定結果にかかるフレームの前記オーディオ出力と前記ビデオ出力とを行うように設定し、前記判定結果が視聴制限の条件を満たさない場合、当該判定結果にかかるフレームの前記オーディオ出力と前記ビデオ出力とを行わないように設定すること、
を特徴とする請求項1に記載のコンテンツ処理装置。
【請求項4】
前記設定手段は、前記判定結果に応じて、前記オーディオストリーム及び前記ビデオストリームの分離を開始する設定、又は当該分離を停止する設定を行うことで、前記オーディオ出力と前記ビデオ出力との有無を設定すること、
を特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のコンテンツ処理装置。
【請求項5】
前記分離手段は、前記ストリームに含まれる各パケットを識別するパケット識別情報の設定に応じて、当該設定されたパケット識別情報にかかるパケットから前記オーディオストリーム及び前記ビデオストリームを分離し、
前記設定手段は、前記パケット識別情報の設定の有無で前記分離の開始、又は前記分離の停止を設定すること、
を特徴とする請求項4に記載のコンテンツ処理装置。
【請求項6】
分離された前記オーディオストリーム及び前記ビデオストリームを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に前記オーディオストリーム及び前記ビデオストリームを記憶する際に、所定のストリーム位置において前記読取手段により読み取られたパレンタルレートと、当該ストリーム位置との対応を示すデータテーブルを生成する生成手段と、を更に備え、
前記判定手段は、記憶された前記オーディオストリーム及び前記ビデオストリームをもとに前記オーディオ出力と、前記ビデオ出力とを行う場合に、前記テーブルデータを参照して所定のストリーム位置におけるパレンタルレートを取得し、当該ストリーム位置における前記判定を行うこと、
を特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のコンテンツ処理装置。
【請求項7】
入力されたコンテンツにかかるストリームから、オーディオストリーム及びビデオストリームを分離する分離手段、前記オーディオストリームと、前記ビデオストリームとをもとに、オーディオ出力と、ビデオ出力とを行う出力手段を有するコンテンツ処理装置のコンテンツ処理方法であって、
読取手段が、前記ストリームに所定の時間間隔で含まれる、視聴制限にかかる情報であるパレンタルレートを読み取る読取ステップと、
判定手段が、読み取られた前記パレンタルレートが自装置に予め設定された視聴制限の条件を満たすか否かを判定する判定ステップと、
設定手段が、前記判定結果に応じて、前記パイレンタルレートが含まれるストリームの前記オーディオ出力と前記ビデオ出力との有無を設定する設定ステップと、
を含むことを特徴とするコンテンツ処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−217053(P2011−217053A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−82172(P2010−82172)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】