説明

コンテンツ制作管理装置、コンテンツ制作装置、コンテンツ制作管理プログラム、及びコンテンツ制作プログラム

【課題】コンテンツの共同制作を容易に実現する。
【解決手段】ネットワークに接続された複数のコンテンツ制作装置を用いてコンテンツを制作するためのコンテンツ制作管理装置において、前記コンテンツを構成する台本データを前記複数のコンテンツ制作装置に配信する台本データ配信手段と、前記複数のコンテンツ制作装置から得られる予め設定された各役割に対応する演出スクリプト情報を取得するスクリプト取得手段と、前記スクリプト取得手段により取得されたスクリプトを、前記複数のコンテンツ制作装置に配信するスクリプト配信手段と、前記コンテンツ制作装置の増減又は各コンテンツ制作装置が担当する役割の変更を管理する制作装置管理手段を有することにより、上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツ制作管理装置、コンテンツ制作装置、コンテンツ制作管理プログラム、及びコンテンツ制作プログラムに係り、特に、コンテンツの共同制作を容易に実現するためのコンテンツ制作管理装置、コンテンツ制作装置、コンテンツ制作管理プログラム、及びコンテンツ制作プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、番組等のコンテンツの制作において、立案、制作、制作したコンテンツの蓄積、公開、配信等といった各分野を統合して、一連のコンテンツ制作を行うシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
なお、コンテンツの提供については、主にインターネット等の通信ネットワーク等を介して、HTML(HyperText Markup Language)やXML(eXtensible Markup Language)等のマークアップ言語や、画像や映像、音声、テキスト情報等の素材データ等がWeb上に公開されているため、ユーザは所望する情報を取得することができる。
【0004】
また、上述したコンテンツを提供するツールとしては、例えば番組の制作、提示に用いられるスクリプトの一例として、TVML(TV program Marking Language)を用いた自動番組制作システム(TV4U)がある。TVMLとは、テレビ番組を制作するためのオブジェクトベース記述言語であり、テレビ番組の映像や音声等を、素材データと台本(演出内容等)とに分けて記述することができ、台本を記述すればパソコン等で動作するソフトウェア等がこれを読取り、即座にテレビ番組として再生・視聴することができる。
【0005】
なお、TV4Uは、ワープロ(エディタ)型のユーザインタフェースを用いて番組の台本を記述し、その台本に任意の番組制作エンジンを適用して番組を制作し、その台本や素材データ、番組制作エンジンをサーバ等にアップロードすることにより番組を公開する。
【0006】
なお、番組制作エンジンとは、番組に登場するCG(Computer Graphics)キャラクタや番組における1つの動作の単位で「タイトル表示」、「ズームイン」、「CGキャラクタの動作」等のイベントが予め定義されたものであり、この番組制作エンジンを用いることにより、効率的に番組制作を実現することができる。
【0007】
一方、視聴者(クライアント)側では、上述したサーバ等にアップロードされた台本、素材、番組制作エンジンをダウンロードし、クライアントでCGや音声合成等を使用して番組を再生して視聴を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−318254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述したような従来技術では、1つの台本にコンテンツの全てを記述する必要があり、その台本に含まれるスクリプトを各キャラクタや番組を構成する他の要素(例えば、照明、カメラ、小道具、音声等)等の役割毎に分割することができない。したがって、視聴者は、配信されている台本にしたがって視聴することしかできず、視聴者毎に異なる映像を生成することができなかった。
【0010】
また、制作側において、ネットワーク経由で番組を共同制作しようとする場合には、従来ではサーバ側でリアルタイムに映像を生成し、それを各端末へ配信することにより行われるが、現在、どのような端末がどのような役割を分担しているかを管理しないと、どの端末にどのようなスクリプトを送ればよいか、多くの端末から送られてきたスクリプトからビューアーがどのように映像を再生するか等を予め詳しく決めておく必要があり、煩雑な処理となる。また、端末の数を変更した場合には、再設計するのに多くの労力が必要となる。つまり、従来技術では、スクリプトの送受を個々の制作管理装置と制作装置との間で決めておく必要があり、カメラの台数や出演者の数が変わった場合、その都度、送受の取り決めを変更するのが煩雑になる。
【0011】
本発明は、上述した問題点に鑑みなされたものであり、コンテンツの共同制作を容易に実現するためのコンテンツ制作管理装置、コンテンツ制作装置、コンテンツ制作管理プログラム、及びコンテンツ制作プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本件発明は、以下の特徴を有する課題を解決するための手段を採用している。
【0013】
請求項1に記載された発明は、ネットワークに接続された複数のコンテンツ制作装置を用いてコンテンツを制作するためのコンテンツ制作管理装置において、前記コンテンツを構成する台本データを前記複数のコンテンツ制作装置に配信する台本データ配信手段と、前記複数のコンテンツ制作装置から得られる予め設定された各役割に対応する演出スクリプト情報を取得するスクリプト取得手段と、前記スクリプト取得手段により取得されたスクリプトを、前記複数のコンテンツ制作装置に配信するスクリプト配信手段と、前記コンテンツ制作装置の増減又は各コンテンツ制作装置が担当する役割の変更を管理する制作装置管理手段を有することを特徴とする。
【0014】
請求項1記載の発明によれば、コンテンツの共同制作を容易に実現することができる。
【0015】
請求項2に記載された発明は、前記スクリプト配信手段は、前記スクリプト取得手段にて得られたスクリプトを生成したコンテンツ制作装置以外のコンテンツ制作装置に配信することを特徴とする。
【0016】
請求項3に記載された発明は、前記制作装置管理手段は、新たに参加するコンテンツ制作装置に対して、今までに制作されたスクリプトを配信することを特徴とする。
【0017】
請求項4に記載された発明は、ネットワークに接続されたコンテンツ制作管理装置から得られる台本データに基づいてコンテンツを制作するコンテンツ制作装置において、前記台本データから予め設定された役割情報に基づいて台本内容を選別する台本内容選別手段と、前記台本情報選別手段により得られる内容に基づいて、前記役割情報に対応する演出を行う演出生成手段と、前記役割情報に対応する演出の内容と、前記台本データに含まれる演出の内容とを切り替えて再生する切替再生手段とを有することを特徴とする。
【0018】
請求項4記載の発明によれば、役割に対応する演出を容易に行うことができる。また、コンテンツ制作管理装置によりコンテンツの共同制作を容易に実現することができる。
【0019】
請求項5に記載された発明は、前記演出生成手段は、前記台本データを表示する台本データ表示領域と、前記役割情報に基づく映像を再生する再生表示領域と、役割表示領域とを含む画面を生成する画面生成手段を有することを特徴とする。
【0020】
請求項6に記載された発明は、ネットワークに接続された複数のコンテンツ制作装置を用いてコンテンツを制作するためのコンテンツ制作管理プログラムにおいて、コンピュータを、前記コンテンツを構成する台本データを前記複数のコンテンツ制作装置に配信する台本データ配信手段、前記複数のコンテンツ制作装置から得られる予め設定された各役割に対応する演出スクリプト情報を取得するスクリプト取得手段、前記スクリプト取得手段により取得されたスクリプトを、前記複数のコンテンツ制作装置に配信するスクリプト配信手段、及び、前記コンテンツ制作装置の増減又は各コンテンツ制作装置が担当する役割の変更を管理する制作装置管理手段として機能させる。
【0021】
請求項6記載の発明によれば、コンテンツの共同制作を容易に実現することができる。また、実行プログラムをコンピュータにインストールすることにより、容易にコンテンツ制作管理を実現することができる。
【0022】
請求項7に記載された発明は、ネットワークに接続されたコンテンツ制作管理装置から得られる台本データに基づいてコンテンツを制作するコンテンツ制作プログラムにおいて、前記台本データから予め設定された役割情報に基づいて台本内容を選別する台本内容選別手段、前記台本情報選別手段により得られる内容に基づいて、前記役割情報に対応する演出を行う演出生成手段、及び、前記役割情報に対応する演出の内容と、前記台本データに含まれる演出の内容とを切り替えて再生する切替再生手段として機能させる。
【0023】
請求項7記載の発明によれば、コンテンツの共同制作を容易に実現することができる。また、実行プログラムをコンピュータにインストールすることにより、容易にコンテンツ制作を実現することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、コンテンツの共同制作を容易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施形態におけるコンテンツ制作管理システムの概略構成例を示す図である。
【図2】コンテンツ制作管理装置の機能構成の一例を示す図である。
【図3】本実施形態におけるコンテンツ制作装置の機能構成の一例を示す図である。
【図4】コンテンツ制作管理システムの第1の具体例を説明するための図である。
【図5】第1の具体例におけるコンテンツ制作の概略を説明するための図である。
【図6】台本データの一例を示す図である。
【図7】全ての制作クライアントによって生成されたTVMLスクリプトを時系列に記述した一例を示す図である。
【図8】本実施形態における画面生成の一例を示す図である。
【図9】本実施形態におけるコンテンツ制作管理処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】本実施形態におけるコンテンツ制作処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<本発明について>
本発明は、例えば配信されてくる台本に対してフィルタリングを行い、視聴者が好みの状態を維持したまま、視聴することができる機能を有する。つまり、本発明では、クライアントが受信したスクリプトの内容を判別し、好みの状態を維持するのに不要となるスクリプトを排除し、必要となるスクリプト映像コンテンツを生成する。これによって、視聴クライアントは、好みの状態を維持したまま視聴することができる。なお、このとき不要なスクリプトは、バックグラウンドで処理され続けているため、視聴者は好みの状態から本来のオンエア状態にいつでも戻すことができる。
【0027】
また本発明は、コンテンツ制作装置がコンテンツの制作途中に参加したり、途中で止める等の増減があった場合に、その旨をコンテンツ制作管理装置に通知すし、コンテンツ制作管理装置にて1つの役割を複数の制作装置が担当したり、スクリプトを不要なコンテンツ制作装置に送信するといったことがないように制御を行う。
【0028】
以下に、上述したような特徴を有する本発明におけるコンテンツ制作管理装置、コンテンツ制作装置、コンテンツ制作管理プログラム、及びコンテンツ制作プログラムを好適に実施した形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0029】
なお、本実施形態では、制作するコンテンツの一例として番組を用いることとし、複数のコンテンツ制作装置が通信ネットワークにより接続された通信環境において、複数のコンテンツ制作装置が協力して1つの番組を制作し、配信するTV4Uシステムについて説明する。また、本実施形態では、番組の生成や提示等に用いられるスクリプトの一例としてTVMLを用いる。
【0030】
<コンテンツ制作管理システム:概略構成例>
図1は、本実施形態におけるコンテンツ制作管理システムの概略構成例を示す図である。図1に示すコンテンツ制作管理システム10は、コンテンツ制作管理装置11と、複数のコンテンツ制作装置12−1〜12−nと、複数のコンテンツ視聴装置13−1〜13−nとを有するよう構成されている。また、コンテンツ制作管理装置11、コンテンツ制作装置12−1〜12−n、及びコンテンツ視聴装置13−1〜13−nは、それぞれインターネット等の通信ネットワーク14を介してデータの送受信が可能な状態で接続されている。
【0031】
ここで、コンテンツ制作管理装置11は、例えば予め制作された若しくはコンテンツ制作管理装置11で制作された台本データ又は各コンテンツ制作装置12−1〜12−nに対して予め設定された役割毎にワープロ(エディタ)型のユーザインタフェースを用いて制作される番組の演出スクリプトを生成し、その台本データや演出(スクリプト)、素材データ、番組制作エンジン等を、通信ネットワーク14を介して他の装置がダウンロードして再生できるように公開したり、コンテンツ視聴装置13−1〜13−nに配信することにより番組を提供する。
【0032】
コンテンツ制作装置12−1〜12−nは、コンテンツ制作管理装置11から得られる番組全体の台本データから予め設定された自分の役割に相当する部分を選別し、選別した台本の内容に基づいて演出を行う。また、コンテンツ制作装置12−1〜12−nは、役割に相当する演出を行った後、その演出情報に対応するスクリプトを生成し、生成したスクリプトを、通信ネットワーク14を介してコンテンツ制作管理装置11に送信する。
【0033】
ここで、役割とは、番組を制作する上で分担可能な1要素を示し、例えばカメラ、CGキャラクタ、カメラスイッチ、音声等があり、カメラやキャラクタ等については、カメラ1、カメラ2、キャラクタA、キャラクタB等、番組において必要な複数の役割を設定することができる。なお、それぞれには、所定の性質、性格等を有しており、例えば「カメラ1」であれば「きれのある、スピード感を持ったカメラワーク」を演出し、「カメラ2」であれば「ゆっくりとしていて、たどたどしい素人のようなカメラワーク」を演出し、キャラクタAであれば「メリハリのある機敏な動きの女性キャラクタ」、キャラクタBであれば「ぎこちない動きのロボットキャラクタ」等のようにそれぞれが異なる演出目的を有していることが好ましい。したがって、本実施形態では、役割毎に個性化された演出を行うことができる。更に、台本記述を元にコンテンツ制作装置側で使用者が操作して演出することも可能となる。
【0034】
なお、コンテンツ制作装置12−1〜12−nについては、各役割に相当する画面の再生表示と、コンテンツ制作管理装置11やコンテンツ視聴装置13−1〜13−nが視聴する再生表示とを切り替えて再生することができる。つまり、コンテンツ制作装置12−1〜12−nは、分担された役割に対する演出を行う場合には、その対応する部分の演出がしやすい画面が表示され、使用者は、その画面を見ながら番組の役割に応じた演出を制作することができる。
【0035】
コンテンツ視聴装置13−1〜13−nは、コンテンツ制作管理装置11から得られるコンテンツ制作装置12−1〜12−nにより生成された演出情報を受信し、番組を再生表示する。
【0036】
ここで、図1におけるコンテンツ制作管理装置11、コンテンツ制作装置12−1〜12−n、コンテンツ視聴装置13−1〜13−nの数については、本発明においてはこれに限定されず、例えばコンテンツ制作装置12及びコンテンツ視聴装置13は、同一の機能を有して1台に統合されていてもよく、また、コンテンツ制作管理装置11、コンテンツ制作装置12−1〜12−n、及びコンテンツ視聴装置13−1〜13−nは、それぞれ個々のPC(Personal Computer)により実現されてもよい。
【0037】
次に、上述したコンテンツ制作管理システム10におけるコンテンツ制作管理装置11及びコンテンツ制作装置12の機能構成例について具体的に説明する。
【0038】
<コンテンツ制作管理装置11:機能構成例>
図2は、コンテンツ制作管理装置の機能構成の一例を示す図である。図2に示すコンテンツ制作管理装置11は、入力手段21と、出力手段22と、蓄積手段23と、台本データ生成手段24と、台本データ配信手段25と、スクリプト取得手段26と、スクリプト配信手段27と、再生手段28と、制作装置管理手段29と、送受信手段30と、制御手段31とを有するよう構成されている。
【0039】
入力手段21は、番組制作管理者等の使用者等からの台本データ生成指示や台本データ配信指示、スクリプト生成指示、スクリプト配信指示、再生指示、制作装置管理指示、送受信指示等のコンテンツ制作管理における各入力を受け付ける。なお、入力手段21は、例えばキーボードや、マウス等のポインティングデバイス、マイク等の音声入力デバイス等からなる。
【0040】
出力手段22は、入力手段21により入力された指示内容や、各指示内容に基づいて生成された制御データや台本データ、スクリプト、番組、制作装置接続情報等の内容を表示したり、音声を出力する。なお、出力手段22は、ディスプレイ等の画面表示機能やスピーカ等の音声出力機能等を有する。
【0041】
蓄積手段23は、コンテンツである所定の番組を制作するために必要な台本データ生成手段24において生成された台本データ41、生成された台本データ41に記述されている演出を行い、番組を生成するために必要なキャラクタ、セット、音声、動作、静止画、動画、テキストデータ等の各種データからなる複数の素材データ42、番組の演出内容や番組を構成する上で必要な番組制作エンジン43、スクリプト取得手段26において生成されたTVMLスクリプトやコンテンツ制作装置13から得られる役割毎のスクリプト情報からなるスクリプト44、再生手段28により再生される番組45、制作装置管理手段29においてコンテンツ制作管理装置11に通信ネットワーク14を介して接続されるコンテンツ制作装置12−1〜12−nの接続状況と番組制作上の役割分担を管理する制作装置接続情報46等の各種設定情報等を蓄積する。
【0042】
また、蓄積手段23は、送受信手段30を介して外部装置等から受信した制御データや、台本データ、素材データ、番組制作エンジン、スクリプト、番組、制作装置接続情報等の各種データを蓄積することができる。なお、蓄積手段23は、上述した各種データを通信ネットワーク14等に接続された外部装置等から取得することもできる。
【0043】
台本データ生成手段24は、実際の番組を生成するための演出情報等を含む台本データを生成する。具体的には、台本データ生成手段24は、カメラの動きや切り替え、画像や映像等の表示、音楽や観客の拍手や笑い声、ため息等の各種演出情報等を用いて番組を構成する台本データを生成する。なお、台本データは、所定のテキストフォーマットで生成され、例えばXML形式やHTML等で生成される。
【0044】
台本データ配信手段25は、通信ネットワーク14に接続されたコンテンツ制作装置12−1〜12−nのうち、台本データ生成手段24により生成された台本データに記述された役割に対応する演出を行うコンテンツ制作装置又は全てのコンテンツ制作装置に対して台本データを配信する。
【0045】
スクリプト取得手段26は、台本データを配信したコンテンツ制作装置12から得られる役割毎に生成されたスクリプト情報を取得する。また、スクリプト取得手段26は、得られた複数のスクリプトを収集して台本データの記述順序等に併せて並べ替え等を行い、素材データ42や番組制作エンジン43を用いて番組に対応するTVMLスクリプトを生成する。なお、スクリプト取得手段26は、既にコンテンツ制作装置側でTVMLスクリプトを生成している場合には、そのTVMLスクリプトをそのまま利用する。また、スクリプト取得手段26は、複数のスクリプト情報を纏めてTVMLスクリプトを生成してもよく、生番組等のリアルタイム性を有する番組に対するTVMLスクリプトの場合には、順序に関係なく、役割毎に対応するコンテンツ制作装置から得られるTVMLスクリプトをそのまま利用し、即座にスクリプト配信手段27により配信させる。
【0046】
スクリプト配信手段27は、スクリプト取得手段26により得られるTVMLスクリプトを、通信ネットワーク14を介して接続されるコンテンツ制作装置12−1〜12−n、コンテンツ視聴装置13−1〜13−nに配信する。なお、スクリプト配信手段27は、各コンテンツ制作装置12−1〜12−nに配信する際、その送信対象のスクリプトを生成したコンテンツ制作装置には配信を行わず、そのスクリプトを生成していないコンテンツ制作装置に対して配信を行う。
【0047】
これにより、既に生成してコンテンツ制作管理装置11に送信されたスクリプトを再び受信して、その装置で再生されるのを防止することができる。なお、各コンテンツ制作装置13−1〜13−nには、それぞれを識別する識別情報を有しており、スクリプト配信手段27は、コンテンツ制作装置13から送信されるスクリプトに付与される識別情報を参照することにより、スクリプトの配信先を上述したように制御することができる。
【0048】
再生手段28は、スクリプト取得手段26により生成されたTVMLスクリプトを再生し、映像又は音声等により出力手段22により再生表示させる。なお、再生手段28は、役割毎に別々の装置で生成されたスクリプト等の制御データがそれぞれ非同期で送られてくるため、再生手段28は、入力されたTVMLスクリプトをそのまま現在再生中に番組で実行されているスクリプトの直後に割り込ませて再生を行う。
【0049】
なお、再生手段28は、予め設定される制御データの優先順位に基づいて再生する順序も優先させて再生させることができる。これにより、例えばキャラクタ動作に関するスクリプトを優先的に再生させることで、リアルタイム動作を実現することができる。
【0050】
また、再生手段28は、リアルタイム再生を行わない場合には、入力されるTVMLスクリプトを一時的にメモリ等の蓄積手段23に保存し、台本データと照合して適切な順序に並べ替えた後、再生するようにしてもよい。これにより、所望する番組の演出を分担させた制御データから柔軟な番組演出を実現することができる。
【0051】
更に、再生手段28は、例えばTVMLプレイヤーを用いることができる。ここで、TVMLプレイヤーは、TVMLスクリプトを解釈してリアルタイムCG、音声合成等を用いてコンテンツを生成し、再生出力するソフトウェアである。
【0052】
制作装置管理手段29は、番組制作中に台本に記述されたカメラやキャラクタの演出等の役割を担当するコンテンツ制作装置13の接続状態や担当変更時の管理を行う。つまり、制作装置管理装置29は、番組の制作途中や、制作開始前において、コンテンツ制作装置の接続数が増減した場合や変更した場合には、上述した台本データ配信手段25やスクリプト配信手段27における配信先を管理する。また、制作装置管理手段29は、番組の制作途中で新たにコンテンツ制作装置が追加された場合には、その装置に対して今までに制作されたスクリプトを送信することができる。
【0053】
送受信手段30は、通信ネットワーク14を介して制御データ、台本データ、素材データ、番組制作エンジン、スクリプト、番組、制作装置接続情報等の各種データを、コンテンツ制作管理システム10を構成する他の装置に送信したり、他の装置から各種データを受信するための通信インタフェースである。
【0054】
制御手段31は、コンテンツ制作管理装置11における各機能構成全体の制御を行う。具体的には、制御手段31は、入力手段21により入力された使用者等からの入力情報に基づいて台本データを生成したり、生成した台本データを配信したり、TVMLスクリプトを生成したり、TVMLスクリプトを配信したり、TVMLスクリプト再生したり、コンテンツ制作装置の接続の増減や演出の役割変更対応した処理を行う等の各種制御を行う。
【0055】
<コンテンツ制作装置12:機能構成例>
図3は、本実施形態におけるコンテンツ制作装置の機能構成の一例を示す図である。図3に示すコンテンツ制作装置12は、入力手段51と、出力手段52と、蓄積手段53と、台本内容選別手段54と、演出生成手段55と、スクリプト切替再生手段56と、送受信手段57と、制御手段58とを有するよう構成されている。
【0056】
入力手段51は、コンテンツ制作者等の使用者等からの台本内容選別指示や演出生成指示、スクリプト切替再生指示、送受信指示等のコンテンツ制作における各入力を受け付ける。なお、入力手段51は、例えばキーボードや、マウス等のポインティングデバイス、マイク等の音声入力デバイス等からなる。
【0057】
出力手段52は、入力手段51により入力された指示内容や、各指示内容に基づいて生成された制御データや台本データ、スクリプト、番組、役割情報等の内容を表示したり、音声を出力する。なお、出力手段52は、ディスプレイ等の画面表示機能やスピーカ等の音声出力機能等を有する。
【0058】
蓄積手段53は、コンテンツである所定の番組を制作するために必要なコンテンツ制作管理装置11から通信ネットワーク14を介して送信された台本データ61、素材データ62、番組制作エンジン63、演出生成手段55により生成されたスクリプト64、スクリプト切替再生手段56により再生された番組65、演出生成手段55やスクリプト切替再生手段56により演出又は再生される基準となる予めコンテンツ制作装置毎にカメラA、キャラクタB等の役割が設定された役割情報66等の各種設定情報等を蓄積する。
【0059】
また、蓄積手段53は、送受信手段57を介して外部装置等から受信した制御データや、台本データ、素材データ、番組制作エンジン、スクリプト、番組、役割情報等の各種データを蓄積することができる。なお、蓄積手段53は、上述した各種データを通信ネットワーク14等に接続された外部装置等から取得することもできる。
【0060】
台本内容選別手段54は、コンテンツ制作管理装置11から得られ、蓄積手段53に蓄積されている台本データ61を読み込み、上述した役割情報から得られる役割に対応する台本部分を抜き出すフィルタリング処理を行う。具体的には、台本内容選別手段54は、XML台本データのタグ情報やコマンド情報等を参照し、役割に対応する部分を抜き出す。なお、台本内容選別手段54は、選別した台本の内容と、選別されなかった台本の内容とをそれぞれ区別して台本データ61として蓄積することができる。
【0061】
演出生成手段55は、台本内容選別手段54において選別された台本内容に基づいて対応する役割の演出を行う。なお、演出情報は、例えば使用者が入力手段51により入力することもでき、また台本の記述内容に応じて予め設定された演出を行ってもよい。なお、演出生成手段55は、使用者が容易に演出を行えるような表示画面を生成する画面生成手段を有する。画面生成手段では、台本データを表示する領域と番組を再生表示する領域と、役割情報66に基づいて、対応する役割の処理がきたらその内容を表示する役割表示領域を生成する。なお、これらの生成された画面は、ディスプレイ等の出力手段52により出力される。また、上述した各領域は、1つのウィンドウ画面上の所定の位置に配置されてもよく、複数のウィンドウ画面を用いて表示されてもよい。
【0062】
演出生成手段55は、使用者等により生成された演出情報をスクリプトに変換し、変換したスクリプトを送受信手段57によりコンテンツ制作管理装置11に送信する。このとき、演出生成手段55は、スクリプトには、予め設定されるコンテンツ制作装置の識別情報を付与して送信する。
【0063】
スクリプト切替再生手段56は、予め設定される役割情報66に対応して台本内容選別手段54により選別された台本データから素材データ62、番組制作エンジン63等を用いて生成されたスクリプトや演出生成手段55により演出されたことにより得られたスクリプトの内容と、コンテンツ制作管理装置12から送信された通常の台本データ61から素材データ62、番組制作エンジン63等を用いて生成されたスクリプトとを切り替えて再生表示する。なお、スクリプト切替再生手段56は、上述した再生手段28と同様の機能を有しており、例えばTVMLプレイヤーを用いることができる。
【0064】
送受信手段57は、通信ネットワーク14を介して制御データ、台本データ、素材データ、番組制作エンジン、スクリプト、番組、役割情報等の各種データを、コンテンツ制作管理システム10を構成する他の装置に送信したり、他の装置から各種データを受信するための通信インタフェースである。
【0065】
制御手段58は、コンテンツ制作装置12おける各機能構成全体の制御を行う。具体的には、制御手段58は、入力手段51により入力された使用者等からの入力情報に基づいて台本内容を選別したり、演出生成したり、スクリプトを切り替えて再生する等の各種制御を行う。
【0066】
なお、コンテンツ制作装置12がコンテンツ制作管理システム10に新規に追加して数が増加する場合、そのコンテンツ制作装置12は、予め設定されたコンテンツ制作管理装置11のアドレス情報に基づいてアクセスすることで、コンテンツ制作管理装置11から台本データや素材データ、番組制作エンジン、今まで制作されたスクリプト、番組、役割情報等が送信され、その役割情報に応じて上述した演出を行う。また、あるコンテンツ制作装置12がコンテンツの制作を終了する場合には、電源をOFFにする等、コンテンツ制作管理装置11との通信を行わないようにすることで、コンテンツ制作管理装置11は、そのコンテンツ制作装置に対して台本データ等を送らないようにすることができる。
【0067】
上述したように、本実施形態によれば、コンテンツの共同制作を容易に実現することができる。具体的には、例えばインターネット等の通信ネットワークに接続された複数のクライアント(コンテンツ制作装置)が共同で番組を制作する際に、カメラ担当の制作クライアントが自分の操作するカメラ映像と実際のオンエア映像とをスクリプト単位で適宜切り替えて表示させることができる。これにより、再生画面を見ながら演出を容易に行うことができる。更に、クライアントが増減しても容易に管理することができる。
【0068】
ここで、上述した図1に示すコンテンツ制作管理システム10の動作の具体例について以下に説明する。
【0069】
<コンテンツ制作管理システム10:第1の具体例>
図4は、コンテンツ制作管理システムの第1の具体例を説明するための図である。図4に示すコンテンツ制作管理システム10では、コンテンツ制作管理装置11と、制作クライアントとしてのコンテンツ制作装置12−1〜12−4と、視聴クライアントとしてのコンテンツ視聴装置13とを有しており、それぞれが通信ネットワーク14によりデータの送受信が可能な状態で接続されている。
【0070】
なお、図4に示す例では、番組を制作する複数のクライアントがカメラや出演者等の役割を分担しており、具体的にはコンテンツ制作装置12−1が出演者Aの演出を担当し、コンテンツ制作装置12−2が出演者Bの演出を担当し、コンテンツ制作装置12−3がカメラAの演出を担当し、コンテンツ制作装置12−4がカメラBの演出を担当する例を示している。
【0071】
また、図4に示すコンテンツ制作管理システム10は、予め制作されたXML台本を入力として、それぞれの役割に対してカメラワークやキャラクタの動作等の演出を付加したTVMLスクリプトを出力して、コンテンツ制作管理装置11に送信し、コンテンツ制作管理装置11と通信ネットワーク14を介して接続される全てのクライアント(制作クライアント12−1〜12−4、視聴クライアント13)に対して配信する。なお、配信するクライアントは、全てではなく配信するTVMLスクリプトを生成したクライアントには送らないようにすることもでき、また配信先の設定等により所定のクライアントのみに配信することもできる。
【0072】
なお、視聴側では、具体例1において視聴クライアントが公開サーバとしてのコンテンツ制作管理装置11で公開されたTVMLスクリプトを受信し、上述した台本内容選別手段としてのフィルタリング処理により各役割担当により演出された映像を視聴することができる。
【0073】
ここで、図5は、第1の具体例におけるコンテンツ制作の概略を説明するための図である。図5に示すように、ある制作クライアントAは、コンテンツ制作管理装置によりXML台本データが送信され、ユーザ操作により、番組制作エンジンや素材データ等を用いて演出を行い、台本を生成し、TVML変換処理して台本データのTVMLスクリプトを生成する。
【0074】
次に、生成したTVMLスクリプトは、素材データと共に通信ネットワークを介して公開サーバとしてのコンテンツ制作管理装置にアップロードして公開される。ここで、コンテンツ制作管理装置は、通信ネットワークに接続された制作クライアントA以外の全ての制作クライアントや視聴クライアントにXML台本から制作されたTVMLスクリプトを配信する。
【0075】
全てのクライアントは、配信されたTVMLスクリプトと公開された素材データを受信し、番組を視聴することができる。ここで、例えばカメラを担当した制作クライアントがある場合には、TVMLフィルタ機能により、自分が操作するカメラの映像だけを視聴しながらカメラアングルを変更することが可能である。このとき、実際にオンエアで再生表示されているカメラ情報に関するTVMLスクリプトは蓄積手段等により蓄積されており、自分の操作するカメラ映像の再生表示画面と、蓄積手段に蓄積した通常のオンエア映像とを適宜切り替えて表示させることができる。
【0076】
つまり、図5に示すように、TVMLフィルタによりTVMLスクリプトの内容を判別し、コマンドの挿入/削除等を行ったTVMLスクリプトを、素材データ等を用いてTVMLプレイヤーにより再生し、映像・音声が出力される。つまり、TVMLフィルタでは、クライアントが予め登録したカメラ名に関するTVMLスクリプトだけを通過させ、登録外のカメラについては蓄積しておき、実際のオンエア映像やバックグラウンドでスクリプトを待機させておく。これにより、使用者は操作によって登録したカメラ映像と、オンエア映像とをスクリプトのみを切り替えるだけで、容易に切り替え表示を行うことができる。
【0077】
<台本データ例/TVMLスクリプト例>
ここで、図6は、台本データの一例を示す図である。また、図7は、全ての制作クライアントによって生成されたTVMLスクリプトを時系列に記述した一例を示す図である。図6及び図7に示す台本データ及びTVMLスクリプトは、一例としてXML形式のデータを示している。また、図6及び図7では説明のため、図の左側には行番号を付している。制作クライアント(コンテンツ制作装置)は、図6に示すようなXML台本データを受信し、演出を付加して図7に示すTVMLスクリプトを出力する。
【0078】
なお、図7において、例えば(01)行目はカメラAクライアントによるTVMLスクリプトを示し、(02),(05)行目はスイッチャークライアントによるTVMLスクリプトを示し、(03)行目は出演者AクライアントによるTVMLスクリプトを示し、(04)行目はカメラBクライアントによるTVMLスクリプトを示している。
【0079】
つまり、図7の例では、カメラA担当の制作クライアントはカメラAを動作させるTVMLスクリプトを送信し、スイッチャークライアントが複数のカメラの中から適宜選択し、カメラを切り替えるTVMLスクリプトを送信している。
【0080】
<画面生成例>
ここで、上述した本実施形態における画面生成例について図を用いて説明する。図8は、本実施形態における画面生成の一例を示す図である。なお、図8に示す画面生成例では、上述したコンテンツ制作装置における演出生成手段55にて生成される画面が表示されており、具体的には台本データに基づき2人のCGキャラクタによるスタジオ内の番組映像が表示されている。
【0081】
ここで、図8(a)はカメラAの映像を示し、図8(b)は、オンエアされているカメラBの映像を示している。つまり、実際にはカメラBの映像がオンエアされている最中にカメラAを担当する制作クライアントは、カメラAの映像を視聴しながらカメラAに動きをつけることができ、適宜オンエア映像を確認することができる。
【0082】
また、図8(c)に示すように、画面生成手段により生成される画面70は、台本データを表示する台本データ表示領域71と、役割情報に基づく番組の映像等を再生する再生表示領域72と、役割表示領域73とを有するよう構成されている。
【0083】
台本データ表示領域71は、台本データが表示され、挿入される画像データや映像データがある場合には、その内容がそのまま表示される。更に、台本データ表示領域71は、現在実行中の台本部分をマーク表記や文字の色を変える等の強調表示を行うことができる。また、台本データ表示領域71は、台本データ中の実行している内容が役割情報66に対応する役割の演出を行う順番がきた時点又は直前でその内容を役割表示領域に表示する。これにより、使用者は、演出する順番やタイミングを容易に把握することができ、所望する演出を行うことができる。
【0084】
<コンテンツ制作管理システム10:第2の具体例>
次に本実施形態におけるコンテンツ制作管理システム10の第2の具体例について説明する。第2の具体例では、番組を制作しているコンテンツ制作装置の数が増減したり、演出する役割の担当が変更する場合について説明する。
【0085】
例えば、第2の具体例において、コンテンツ制作装置としての制作クライアント1がカメラ1の役割を担当し、制作クライアント2がカメラ2の役割を担当し、制作クライアント3が出演者1の役割を担当し、制作クライアント4がカメラのスイッチングの役割を担当することとする。このとき、制作クライアント2は、途中から参加するものとする。
【0086】
まず、上述した制作クライアント1,3,4で番組を共同制作する。第2の具体例では、予め設定された自分の役割を、通信ネットワークを介してコンテンツ制作管理装置に通知する。ここで、カメラスイッチングを行う制作クライアント4は、カメラ1及びカメラ2の映像を切り替えてオンエア画面を出力する。また、制作開始時にシーン読み込み部が出演者やセット、照明、カメラの情報等を記述したスクリプトを読み込み、コンテンツ制作管理装置を介して通信ネットワークに接続された他の制作クライアントへ配信しその番組の映像を生成して表示する。
【0087】
カメラ操作による演出を行う制作クライアント1では、例えば、ジョイスティックやマウス等のデバイスを入力手段として使用してカメラ1を操作する。操作したカメラ情報は、スクリプトとして、コンテンツ制作管理装置に配信され、他の制作クライアントに送信され、リアルタイムに生成し、映像に反映する。
【0088】
また、番組の出演者1の演出を担当する制作クライアント3でも同様に、出演者1の演技を制御し、各装置の映像に反映する。更に、制作クライアント4では、スイッチャの制御のスクリプトをコンテンツ制作管理装置に送り、他の制作クライアントに配信される。このとき、制作クライアント3及び4の映像は変化するが、制作クライアント1は、カメラ1の映像の演出を担当しているため、映像は変化しない。
【0089】
ここで、カメラ2の演出を担当する制作クライアント2がコンテンツ制作に参加するためにコンテンツ制作管理装置のアドレス情報に基づいて通信ネットワークを介してコンテンツ制作管理装置にアクセスする。このとき、コンテンツ制作管理装置は、今まで制作された台本データに対応するスクリプトを制作クライアント2に送り、制作クライアント2は、他の装置と同様の映像を生成して再生する。しかしながら、本実施形態では、制作クライアント2は、カメラ2の役割を持っているため、台本データのうち、カメラ1やスイッチャの操作に関するスクリプトは無視され、自分が担当するスクリプトに対してのみ演出を行い、演出情報からスクリプトを生成してコンテンツ制作管理装置を介して他の制作クライアントに反映させる。
【0090】
ここで、上述した例は、制作クライアント2が途中から参加した場合を示しているが、出演者2の制作クライアントが途中参加する場合も同様である。また、逆にカメラ2の演出を途中で止める(非参加となる)場合は、コンテンツ制作管理装置が各制作クライアントの接続状態を監視しているため、制作クライアント2から通知を行わなくても容易に非参加を把握することができる。なお、上述の例の他にも、例えば非参加となる時に制作クライアント2からコンテンツ制作管理装置にその旨を通知し、それ以降は、制作クライアント2への台本データの配信を取り止めるようにしてもよい。
【0091】
更に、本実施形態では、制作クライアント1の操作者がカメラ1の役割から出演者2の役割に変更することも容易に行うことができる。この場合には、カメラ1を制御するための役割情報をカメラ1から出演者2に変更し、台本データから出演者2に対応する部分を選別して、その部分のみ演出を行えるようにし、その演出情報から得られるスクリプトをコンテンツ制作管理装置に送信するようにするだけでよい。
【0092】
また、上述した変更情報は、コンテンツ制作管理装置に送信され、コンテンツ制作管理装置は、出演者2を担当している装置がないことを確認後、制作クライアント1から送られてくるスクリプトを配信する。
【0093】
上述した第2の具体例によれば、制作クライアントが増減しても柔軟に対応することができる。また、制作クライアントは、コンテンツ制作管理装置のアドレス情報だけを知っていれば、通信ネットワークを介してコンテンツ制作管理装置にアクセスして、容易に共同制作に参加することができる。
【0094】
なお、第2の具体例では、台本データから役割に応じてスクリプトを抽出する台本内容選別手段としてのアダプターと再生手段としてのビューアー(例えば、上述の図8(c)に示すような機能等)を別体で設けておいてもよく、アダプターの機能をビューアーに持たせてもよい。
【0095】
また、各制作クライアントで制作されたスクリプトは、コンテンツ制作管理装置を経由せずに通信ネットワークに接続された他の制作クライアントへ直接送信することもできる。これにより、コンテンツ制作管理装置を経由しない分、高速に各制作クライアントの再生画面に反映することができる。したがって、特にカメラ操作の際の操作性が向上する。
【0096】
<実行プログラム>
ここで、上述したコンテンツ制作管理装置やコンテンツ制作装置は、CPU、RAM等の揮発性の記憶媒体、ROM等の不揮発性の記憶媒体、マウスやキーボード、ポインティングデバイス等の入力装置、画像やデータを表示する表示部、並びに外部と通信するためのインタフェースを備えたコンピュータによって構成することができる。
【0097】
したがって、コンテンツ制作管理制作装置やコンテンツ制作装置が有する上述した各機能は、これらの機能を記述したプログラムをCPUに実行させることによりそれぞれ実現可能となる。また、これらのプログラムは、磁気ディスク(フロッピィーディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリ等の記録媒体に格納して頒布することもできる。
【0098】
つまり、上述した各構成における処理をコンピュータに実行させるための実行プログラム(コンテンツ制作管理プログラム、コンテンツ制作プログラム)を生成し、例えば、汎用のパーソナルコンピュータやサーバ等にそのプログラムをインストールすることにより、コンテンツ制作管理処理、コンテンツ制作処理を実現することができる。
【0099】
次に、本発明における実行プログラムによる処理手順についてコンテンツ制作管理装置におけるコンテンツ制作管理処理、コンテンツ制作装置におけるコンテンツ制作についてフローチャートを用いて説明する。なお、以下の処理の説明では、コンテンツの一例として番組を用いるが、本発明におけるコンテンツの種類についてはこれに限定されるものではない。
【0100】
<コンテンツ制作管理処理手順>
図9は、本実施形態におけるコンテンツ制作管理処理手順の一例を示すフローチャートである。図9において、まず制作する番組の台本データを生成し(S01)、台本データをコンテンツ制作装置に配信する(S02)。次に、コンテンツ制作装置毎に予め決められた役割に応じて演出されたスクリプトを取得し(S03)、取得したスクリプトを制作した装置以外のコンテンツ制作装置に配信する(S04)。
【0101】
ここで、コンテンツ制作装置の増減又は役割変更があるか否かを判断し(S05)、変更がある場合(S05において、YES)、他のコンテンツ制作装置との役割で重複がないように調整を行い(S06)。決定した役割に対応する今までのスクリプトをそのコンテンツ制作装置に送信する(S07)。具体的には、もしコンテンツ制作装置が新たに参加する場合や役割を変更する場合には、演出内容が重複することがないように、重複があった場合に他の役割を割り当てる等の接続管理を行う。更に、参加していたコンテンツ制作装置が参加を止める場合には、その役割を担当する他のコンテンツ制作装置を割り当てて、今までのスクリプトを送信するといった処理を行う。
【0102】
また、S05の処理において、コンテンツ制作装置の増減や役割変更がない場合(S05において、NO)、又はS07の処理が終了後、コンテンツ制作管理を終了するか否かを判断し(S08)、終了しない場合(S08において、NO)、S03に戻り後続の処理を行い、終了する場合(S08において、YES)、コンテンツ制作管理処理を終了する。
【0103】
<コンテンツ制作処理手順>
次に、コンテンツ制作処理手順について説明する。図10は、本実施形態におけるコンテンツ制作処理手順の一例を示すフローチャートである。図10において、まずコンテンツ制作管理装置から台本データを取得し(S11)、台本内容を予め設定された役割に対応して選別する(S12)。
【0104】
次に、選別されたスクリプトと、実際にオンエアされているスクリプトの内容を切り替えて再生しながら(S13)、担当する役割の演出を行い、その演出情報から演出スクリプトを生成し(S14)、生成したスクリプトをコンテンツ制作管理装置に送信する(S15)。これにより、コンテンツ制作管理装置から他の装置に対して演出スクリプトが配信され、演出された番組を再生して視聴することができる。
【0105】
ここで、台本データが終了か否かを判断し(S16)、終了しない場合(S16において、NO)、S12に戻り後続の処理を行い、終了する場合(S16において、YES)、コンテンツ制作処理を終了する。
【0106】
上述したように本発明によれば、コンテンツの共同制作を容易に実現することができる。また、ネットワーク上で離れた複数のユーザが共同して台本を制作・編集・再生することが可能となる。
【0107】
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0108】
10 コンテンツ制作管理システム
11 コンテンツ制作管理装置
12 コンテンツ制作装置
13 コンテンツ視聴装置
14 通信ネットワーク
21,51 入力手段
22,52 出力手段
23,53 蓄積手段
24 台本データ生成手段
25 台本データ配信手段
26 スクリプト取得手段
27 スクリプト配信手段
28 再生手段
29 制作装置管理手段
30,57 送受信手段
31,58 制御手段
41,61 台本データ
42,62 素材データ
43,63 番組制作エンジン
44,64 スクリプト
45,65 番組
46 制作装置接続情報
54 台本内容選別手段
55 演出生成手段
56 スクリプト切替再生手段
66 役割情報
70 画面
71 台本データ表示領域
72 再生表示領域
73 役割表示領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続された複数のコンテンツ制作装置を用いてコンテンツを制作するためのコンテンツ制作管理装置において、
前記コンテンツを構成する台本データを前記複数のコンテンツ制作装置に配信する台本データ配信手段と、
前記複数のコンテンツ制作装置から得られる予め設定された各役割に対応する演出スクリプト情報を取得するスクリプト取得手段と、
前記スクリプト取得手段により取得されたスクリプトを、前記複数のコンテンツ制作装置に配信するスクリプト配信手段と、
前記コンテンツ制作装置の増減又は各コンテンツ制作装置が担当する役割の変更を管理する制作装置管理手段を有することを特徴とするコンテンツ制作管理装置。
【請求項2】
前記スクリプト配信手段は、
前記スクリプト取得手段にて得られたスクリプトを生成したコンテンツ制作装置以外のコンテンツ制作装置に配信することを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ制作管理装置。
【請求項3】
前記制作装置管理手段は、
新たに参加するコンテンツ制作装置に対して、今までに制作されたスクリプトを配信することを特徴とする請求項1又は2に記載のコンテンツ制作管理装置。
【請求項4】
ネットワークに接続されたコンテンツ制作管理装置から得られる台本データに基づいてコンテンツを制作するコンテンツ制作装置において、
前記台本データから予め設定された役割情報に基づいて台本内容を選別する台本内容選別手段と、
前記台本情報選別手段により得られる内容に基づいて、前記役割情報に対応する演出を行う演出生成手段と、
前記役割情報に対応する演出の内容と、前記台本データに含まれる演出の内容とを切り替えて再生する切替再生手段とを有することを特徴とするコンテンツ制作装置。
【請求項5】
前記演出生成手段は、
前記台本データを表示する台本データ表示領域と、前記役割情報に基づく映像を再生する再生表示領域と、役割表示領域とを含む画面を生成する画面生成手段を有することを特徴とする請求項4に記載のコンテンツ制作装置。
【請求項6】
ネットワークに接続された複数のコンテンツ制作装置を用いてコンテンツを制作するためのコンテンツ制作管理プログラムにおいて、
コンピュータを、
前記コンテンツを構成する台本データを前記複数のコンテンツ制作装置に配信する台本データ配信手段、
前記複数のコンテンツ制作装置から得られる予め設定された各役割に対応する演出スクリプト情報を取得するスクリプト取得手段、
前記スクリプト取得手段により取得されたスクリプトを、前記複数のコンテンツ制作装置に配信するスクリプト配信手段、及び、
前記コンテンツ制作装置の増減又は各コンテンツ制作装置が担当する役割の変更を管理する制作装置管理手段として機能させるためのコンテンツ制作管理プログラム。
【請求項7】
ネットワークに接続されたコンテンツ制作管理装置から得られる台本データに基づいてコンテンツを制作するコンテンツ制作プログラムにおいて、
前記台本データから予め設定された役割情報に基づいて台本内容を選別する台本内容選別手段、
前記台本情報選別手段により得られる内容に基づいて、前記役割情報に対応する演出を行う演出生成手段、及び、
前記役割情報に対応する演出の内容と、前記台本データに含まれる演出の内容とを切り替えて再生する切替再生手段として機能させるコンテンツ制作プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図8】
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