説明

コンテンツ制御装置及びコンテンツ制御方法

【課題】課金完了前後において有料コンテンツの再生及び保護を適切に行うことが可能なコンテンツ制御装置及びコンテンツ制御方法を提供する。
【解決手段】有料コンテンツの再生制御及び保護を行うコンテンツ制御装置1であって、携帯端末10が有料コンテンツの受信を完了した後に、ユーザの課金処理を実行するライセンス管理部69と、課金が完了したか否かを判定する課金完了判定部70と、携帯端末10が受信した有料コンテンツを暗号化し、第1暗号化コンテンツとして記録するS1暗号部65と、有料コンテンツに対する課金が完了した場合には、第1暗号化コンテンツを復号化し、S1暗号部65とは異なる方法で暗号化し第2暗号化コンテンツとして記録するS2暗号部68と、を備え、有料コンテンツの再生要求がされた場合には、第2暗号化コンテンツを復号化して携帯端末10に提供することを特徴として構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツ制御装置及びコンテンツ制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、有料放送番組(コンテンツ)を受信して記録するとともに、認証及び課金の結果に応じて、記録されたコンテンツを表示する放送受信端末が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1記載の放送受信端末は、課金を管理する課金サーバと通信可能に構成されており、課金サーバでの認証及び課金の結果に応じてコンテンツを表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許4308958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、通信の多様化に伴い、上記のコンテンツを携帯端末等の移動式の受信端末に対して放送することが想定される。受信端末が移動する場合には、例えば、購入したコンテンツの全てのデータを受信できないおそれがある。そこで、受信端末がコンテンツの全てのデータを受信してから課金処理を行うことが考えられる。しかしながら、この場合には、受信済みのコンテンツが課金完了前に再生されたり、受信済みのコンテンツが他の受信端末に複製されて再生されたりするおそれがある。このため、受信済みのコンテンツを受信端末情報等に関連付けて暗号化し、課金完了後に復号化して再生させることが考えられる。しかしながら、この場合には、当該受信端末以外の受信端末で再生することができないため、受信端末の交換等に対応できないおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は上記に鑑みてなされたものであって、課金完了前後において有料コンテンツの再生及び保護を適切に行うことが可能なコンテンツ制御装置及びコンテンツ制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明に係るコンテンツ制御装置は、コンテンツを受信して再生する受信端末に接続され、有料コンテンツの再生制御及び保護を行うコンテンツ制御装置であって、前記受信端末が前記有料コンテンツの受信を完了した後に、当該有料コンテンツを視聴するユーザの課金処理を実行する課金処理実行部と、前記有料コンテンツに対する課金が完了したか否かを判定する課金完了判定部と、前記受信端末が受信した前記有料コンテンツを暗号化し、第1暗号化コンテンツとして記録する第1保護部と、前記課金完了判定部により前記有料コンテンツに対する課金が完了したと判定された場合には、前記第1暗号化コンテンツを復号化し、復号化により得られた前記有料コンテンツを前記第1保護部とは異なる方法で暗号化し第2暗号化コンテンツとして記録する第2保護部と、を備え、前記有料コンテンツの再生要求がされた場合には、前記第2暗号化コンテンツを復号化して前記受信端末に提供することを特徴として構成される。
【0007】
本発明に係るコンテンツ制御装置では、有料コンテンツの受信を完了した後に、有料コンテンツを視聴するユーザの課金処理が実行される。このため、例えば、全てのデータを受信していないコンテンツに対して課金することを回避することができるので、適切な課金処理を行うことが可能となる。また、第1保護部により、有料コンテンツが暗号化されて第1暗号化コンテンツとして記録される。このように、受信済みの有料コンテンツは暗号化されるため、例えば、購入者が当該受信端末のみで復号可能となるように、受信済みの有料コンテンツを暗号化することができる。これにより、課金が完了する前に受信済みの有料コンテンツを再生されたり、他の受信端末に複製されて再生されたりすることを回避することができる。また、課金完了判定部により、有料コンテンツに対する課金が完了したと判定された場合には、第2保護部により、第1暗号化コンテンツが復号化され、復号化により得られた有料コンテンツが第1保護部とは異なる方法で暗号化されて第2暗号化コンテンツとして記録される。このように、受信済みの有料コンテンツは、課金完了後に改めて別の手法で暗号化されるため、例えば、購入者のみが復号可能となるように受信済みの有料コンテンツを暗号化することができる。これにより、購入者であれば有料コンテンツを再生することができるので、受信端末の交換等に対応することができる。
【0008】
ここで、前記第1保護部は、ランダム値及び前記ユーザの固有情報を含む暗号鍵を用いて暗号化するとともに、前記ランダム値を前記受信端末の記憶部に記録し、前記第2保護部は、前記記憶部を参照して前記ランダム値を取得し、取得された前記ランダム値及び前記ユーザの固有情報に基づいて復号鍵を生成して復号化することが好適である。
【0009】
このように構成することで、購入者が当該受信端末のみで復号可能となるように受信済みのコンテンツを暗号化することができる。これにより、課金が完了する前に受信済みの有料コンテンツを再生されたり、他の受信端末に複製されて再生されたりすることを回避することが可能となる。よって、有料コンテンツの不正流出を抑制することができる。
【0010】
あるいは、前記第1保護部は、前記受信端末の固有情報及び前記ユーザの固有情報を含む暗号鍵を用いて暗号化するとともに、前記第2保護部は、前記受信端末の固有情報及び前記ユーザの固有情報に基づいて復号鍵を生成してもよい。このように構成した場合であっても、購入者が当該受信端末のみで復号可能となるように受信済みのコンテンツを暗号化することができる。
【0011】
また、前記第2保護部は、前記ユーザの固有情報を暗号鍵及び復号鍵として有料コンテンツを暗号化及び復号化することが好適である。このように構成することで、受信済みの有料コンテンツを購入者のみが復号可能となるように暗号化することが可能となる。よって、受信端末の交換等に対応することができる。
【0012】
また、本発明に係るコンテンツ制御方法は、コンテンツを受信して再生する受信端末に接続され、有料コンテンツを視聴するユーザの課金処理を実行する課金処理実行部と、前記有料コンテンツに対する課金が完了したか否かを判定する課金完了判定部と、前記受信端末が受信した前記有料コンテンツを暗号化し、第1暗号化コンテンツとして記録する第1保護部と、前記第1暗号化コンテンツを復号化し、復号化により得られた前記有料コンテンツを前記第1保護部とは異なる方法で暗号化し第2暗号化コンテンツとして記録する第2保護部とを備えるコンテンツ制御装置により実行されるコンテンツ制御方法であって、前記受信端末が前記有料コンテンツの受信を完了した後に、前記課金処理実行部によって当該有料コンテンツを視聴するユーザの課金処理を実行する課金処理実行ステップと、前記課金完了判定部によって前記有料コンテンツに対する課金が完了したか否かを判定する課金完了判定ステップと、前記受信端末が前記有料コンテンツを受信した場合には、前記第1保護部によって当該有料コンテンツを前記受信端末から取得して暗号化し、第1暗号化コンテンツとして記録する第1保護ステップと、前記課金完了判定ステップにより前記有料コンテンツに対する課金が完了したと判定された場合には、前記第2保護部により前記第1暗号化コンテンツを復号化し、復号化により得られた前記有料コンテンツを前記第1保護ステップとは異なる方法で暗号化し第2暗号化コンテンツとして記録する第2保護ステップと、前記有料コンテンツの再生要求がされた場合には、前記第2暗号化コンテンツを復号化して前記受信端末に提供する再生ステップと、を備えて構成される。
【0013】
本発明に係るコンテンツ制御方法によれば、上述したコンテンツ制御装置と同様の効果を奏する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、課金完了前後において有料コンテンツの再生及び保護を適切に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態に係るコンテンツ制御装置を有する受信端末が備わる放送システムの構成概要図である。
【図2】実施形態に係るコンテンツ制御装置を有する受信端末のハードウェア構成図である。
【図3】実施形態に係るコンテンツ制御装置を有する受信端末の機能を示すブロック図である。
【図4】実施形態に係るコンテンツ制御装置を有する受信端末のコンテンツ保存動作を示すフローチャートである。
【図5】実施形態に係るコンテンツ制御装置を有する受信端末のコンテンツ再生動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して本発明に係るコンテンツ制御装置及びその方法の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】
本実施形態に係るコンテンツ制御装置及びその方法は、例えば、携帯端末等の受信端末に対するアナログ・デジタル放送サービス又は無線通信サービスにおける有料コンテンツの放送又は配信の際に好適に採用されるものである。
【0018】
まず、本実施形態に係るコンテンツ制御装置を有する携帯端末が備わる放送システムの概要について、図1を参照して説明する。図1は、放送システム100の構成概要図である。
【0019】
図1に示すように、放送システム100は、所定の周波数でコンテンツの放送を行うコンテンツ放送装置20と、コンテンツを受信する受信機として機能する携帯端末10と、携帯端末10と通信ネットワークNを介して互いに接続された課金装置30とを備えている。通信ネットワークNとして、例えば、移動通信網や無線LAN通信網などが用いられる。
【0020】
コンテンツ放送装置20は、例えば課金が必要な有料コンテンツを放送可能に構成されている。コンテンツ放送装置20は、例えば有料コンテンツをスクランブル鍵Ksによりスクランブルし、スクランブルした有料コンテンツと、スクランブル鍵Ksやその他視聴に必要な情報とを多重化して提供する機能を有している。また、課金装置30は、携帯端末から送信された課金に関する情報に基づいて、利用ユーザが支払うべき有料コンテンツの利用料を算出し、課金を行う機能を有している。また、課金装置30は、課金が完了した場合には携帯端末10へ課金完了の旨を送信する機能を有している。課金装置30として、通信部、演算部、記憶部、入出力部を備える情報処理装置が用いられる。
【0021】
携帯端末10は、ユーザにより携帯される移動端末であって、例えば、所定周波数の放送を受信する機能、及び、無線によるデータ通信機能を持った端末である。この携帯端末10は、放送により受信したコンテンツを蓄積し、再生する機能を有している。携帯端末10として、例えば、携帯電話やPHS、無線通信カードを備えたPDA(Personal Digital Assistant)等が用いられる。
【0022】
次に、携帯端末10のハードウェア構成について説明する。図2は、携帯端末10のハードウェア構成図である。図2に示すように、携帯端末10は、物理的には、CPU11、ROM12及びRAM13等の主記憶装置、入力デバイス14、ディスプレイ等の出力デバイス15、課金装置30との間でデータの送受信を行うための通信モジュール16、ハードディスク等の補助記憶装置17などを含む通常のコンピュータシステムとして構成される。後述する携帯端末10の各機能は、CPU11、ROM12、RAM13等のハードウェア上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPU11の制御の元で入力デバイス14、出力デバイス15、通信モジュール16を動作させるとともに、ROM12、RAM13や補助記憶装置17におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
【0023】
図3は、携帯端末10の機能を示すブロック図である。図3に示すように、携帯端末10は、チューナ部40、レンダラ50、CAS(Conditional Access System)モジュール60、及び外部メモリ80を備えている。
【0024】
チューナ部40は、有料コンテンツ放送を受信するアンテナに接続されており、受信した有料コンテンツのTS(Transport Stream)をレンダラ50へ出力する。TSは、映像・音声情報及び視聴に必要な情報等を多重化したデータ列である。
【0025】
レンダラ50は、分離部51及び視聴処理部52を備えている。分離部51は、チューナ部40から出力されたTSを、映像・音声情報と、CASモジュール60で視聴に必要な処理を行うために用いられる情報とに分離する。視聴に必要な処理を行うために用いられる情報には、ECM(Entitlement Control Message)及びEMM(Entitlement Management Message)が含まれる。レンダラ50は、視聴処理部52へ映像・音声情報を出力するとともに、CASモジュール60へECM及びEMMを出力する。
【0026】
視聴処理部52は、分離部51が出力した映像・音声情報をデコードし、スクランブル鍵Ksを用いてデスクランブルして、視聴可能なコンテンツとする。ここで、スクランブル鍵Ksは、CASモジュール60から出力されたものを用いる。また、視聴可能としたコンテンツをCASモジュール60へ出力する。
【0027】
CASモジュール60は、レンダラ50に接続されており、ECM受信部61、EMM受信部62、EMM保存部63及びコンテンツ制御装置1を備えている。
【0028】
ECM受信部61は、レンダラ50が出力したECMを受信して復号しスクランブル鍵Ksを取得する。そして、ECM受信部61は、スクランブル鍵Ksを視聴処理部52へ出力する。
【0029】
EMM受信部62は、レンダラ50が出力したEMMを受信して復号し契約情報や暗号を解くための鍵情報を取得する。そして、EMM受信部62は、復号化したEMMをEMM保存部63に保存する。なお、上記はEMMを放送で取得する場合であり、通信で取得する場合には通信モジュール16等の無線部から取得する。
【0030】
コンテンツ制御装置1は、有料コンテンツの再生制御及び保護機能を有している。コンテンツ制御装置1は、乱数生成部64、S1暗号部(第1保護部)65、不揮発領域部(記憶部)66、ステータス管理部67、S2暗号部(第2保護部)68、ライセンス管理部(課金処理実行部)69、課金完了判定部70を備えている。
【0031】
乱数生成部64は、乱数(ランダム値)を生成する機能を有している。乱数生成部64は、生成した乱数をS1暗号部65へ出力する。
【0032】
S1暗号部65は、レンダラ50の視聴処理部52が出力した有料コンテンツを暗号化(S1暗号化)する機能を有している。S1暗号部65は、当該携帯端末10及び有料コンテンツの購入者のみが復号可能となるように暗号化する機能を有している。具体的には、S1暗号部65は、乱数生成部64が出力した乱数(ランダム値)、及びUIM(User Identity Module)固有情報を暗号鍵として暗号化する機能を有している。UIM固有情報は、電話番号等の契約者情報を記録したICカードであるUIMに固有の情報であって、利用ユーザを一意に識別することが可能な情報である。S1暗号部65は、暗号化に使用した乱数を不揮発領域部66に保存するとともに、暗号化した有料コンテンツ(S1暗号化コンテンツ)を外部メモリ80に保存する。また、S1暗号部65は、有料コンテンツを暗号化した旨をステータス管理部67へ通知する。
【0033】
S2暗号部68は、外部メモリ80に保存されたS1暗号化コンテンツを、不揮発領域部66に記録された乱数、及びUIM固有情報を復号鍵として、復号化する機能を有している。そして、S2暗号部68は、S1暗号部65の暗号化方法と異なる暗号化方法により暗号化する機能を有している。例えば、S2暗号部68は、携帯端末10及び携帯端末10の機種変更時にも再生可能であって、かつ、購入者のみが再生可能となるように暗号化する機能を有している。具体的には、S2暗号部68は、復号化され得られた有料コンテンツを、UIM固有情報を暗号鍵として暗号化(S2暗号化)する機能を有している。S2暗号部68は、暗号化した有料コンテンツ(S2暗号化コンテンツ)を外部メモリ80に保存する。また、S2暗号部68は、有料コンテンツを暗号化した旨をステータス管理部67へ通知する。また、S2暗号部68は、再生要求があった場合には、UIM固有情報を復号鍵として、S2暗号化コンテンツを復号化する機能を有している。
【0034】
ライセンス管理部69は、有料コンテンツのライセンス管理を行う機能を有している。例えば、ライセンス管理部69は、ユーザから有料コンテンツの視聴を受け付けた後に、有料コンテンツの受信確認を行う。そして、ライセンス管理部69は、有料コンテンツの受信完了を確認した場合には、受信完了した旨を課金装置30へ通知し、課金装置30に課金処理を実行させる。すなわち、ライセンス管理部69の受信完了通知処理が携帯端末10側の課金処理となる。これにより、有料コンテンツに関する課金は、有料コンテンツの受信後に実行される。また、ライセンス管理部69は、ステータス管理部67へ有料コンテンツの受信完了を通知する。そして、ライセンス管理部69は、課金装置30から課金完了通知を受信した場合には、利用ユーザがライセンスを有するユーザである旨(ライセンス購入情報)を、例えば不揮発領域部66に保存する。
【0035】
課金完了判定部70は、有料コンテンツに関する課金が完了したことを判定する機能を有している。例えば、課金完了判定部70は、ライセンス管理部69が課金装置30から課金完了通知を受信した場合には、課金が完了したと判定する。そして、課金完了判定部70は、課金が完了した旨をステータス管理部67へ通知する。
【0036】
ステータス管理部67は、課金状況、暗号化状況に基づいて有料コンテンツに関するステータスを管理する機能を有している。例えば、ステータス管理部67は、S1暗号部65、S2暗号部68、ライセンス管理部69及び課金完了判定部70の通知に基づいて、有料コンテンツに関するステータスを管理する機能を有している。ステータス管理部67は、例えば、有料コンテンツの受信が完了し、当該有料コンテンツに関して課金が済んでいない状態(ステータスS1)、有料コンテンツの受信が完了し、当該有料コンテンツに関して課金が済んだ状態(ステータスS2)、S2暗号部68により暗号化が完了した状態(ステータスS3)の3種類のステータスを管理する機能を有している。コンテンツ制御装置1は、ステータスの状況に応じて有料コンテンツの再生動作を制御する。
【0037】
次に、本実施形態に係るコンテンツ制御装置1を有する受信端末の動作を説明する。図4は、コンテンツ制御装置1のコンテンツ保存時の動作を示すフローチャートである。図4に示す制御処理は、例えば利用ユーザから有料コンテンツの取得予約がされたタイミングで開始される。
【0038】
最初に、図4に示すように、チューナ部40が有料コンテンツの受信を開始する(ステップS10)。その後、ライセンス管理部69が有料コンテンツの受信を完了したか否かを判定する(ステップS12)。ライセンス管理部69は、有料コンテンツの受信を完了したと判定するまでステップS12の処理を繰り返す。なお、所定期間経過しても有料コンテンツの受信完了を判定できない場合には、図4に示す処理を終了してもよい。
【0039】
ライセンス管理部69は、有料コンテンツの受信完了を判定した場合には、有料コンテンツの受信完了をステータス管理部67へ通知する。そして、乱数生成部64が、乱数を生成してS1暗号部65へ出力する。そして、S1暗号部65が、乱数及びUIM固有情報を暗号鍵として、受信した有料コンテンツの暗号化を開始する(ステップS14)。
【0040】
その後、S1暗号部65は、S1暗号化が完了したか否かを判定する(ステップS16)。S1暗号部65は、S1暗号化が完了したと判定するまでステップS14の処理を繰り返す。S1暗号部65は、S1暗号化が完了したと判定した場合には、S1暗号化に用いた乱数を不揮発領域部66に保存する(ステップS18)。そして、S1暗号部65は、ステータス管理部67へS1暗号化の完了を通知するとともに、外部メモリ80にS1暗号化コンテンツを保存する。
【0041】
ステータス管理部67は、S1暗号化の完了を受信すると、携帯端末10のステータスをステータスS1とする(ステップS20)。その後、課金完了判定部70が、有料コンテンツの課金が完了したか否かを判定する(ステップS22)。課金完了判定部70は、有料コンテンツの課金完了を判定できるまで、判定処理を繰り返す。なお、端末側の課金処理は、例えば、ステップS16でS1暗号化が完了した後であって、かつ、ユーザが携帯端末10により受信されたコンテンツに関して料金を支払う意思を端末操作等で示した場合に実行される。
【0042】
課金完了判定部70が有料コンテンツの課金完了を判定した場合には、課金完了判定部70がステータス管理部67へ課金完了を通知する。ステータス管理部67は、課金完了を受信すると、携帯端末10のステータスをステータスS1からステータスS2へ変更する(ステップS24)。
【0043】
その後、S2暗号部68が、不揮発領域部66に保存された乱数、及びUIMカードに格納されたUIM固有情報を参照し、S1暗号化コンテンツを、乱数及びUIM固有情報を復号鍵として復号化するとともに、復号化して得られた有料コンテンツを、UIM固有情報を暗号鍵として再度暗号化する処理を開始する(ステップS26)。
【0044】
その後、S2暗号部68は、S2暗号化が完了したか否かを判定する(ステップS28)。S2暗号部68は、S2暗号化が完了したと判定するまでステップS26の処理を繰り返す。S2暗号部68は、S2暗号化が完了したと判定した場合には、S1暗号化に用いた乱数を不揮発領域部66から削除する(ステップS30)。そして、S2暗号部68は、ステータス管理部67へS2暗号化の完了を通知するとともに、外部メモリ80にS2暗号化コンテンツを保存する。ステータス管理部67は、S2暗号化の完了を受信すると、携帯端末10のステータスをステータスS2からステータスS3へ変更する(ステップS32)。ステップS32を終了すると、図4に示す制御処理を終了する。
【0045】
上述した図4の制御処理を実行することで、有料コンテンツの受信完了及び未課金状態では、有料コンテンツは、有料コンテンツを受信した携帯端末10で生成した乱数及び当該携帯端末10を利用するユーザのUIM固有情報を用いて暗号化される。このため、未課金状態で保存された有料コンテンツは、有料コンテンツを受信した携帯端末10及び当該携帯端末10を利用するユーザのみが復号可能とされる。よって、当該有料コンテンツを受信した携帯端末10以外の携帯端末での復号や、当該携帯端末10に購入者以外のUIMが挿入されることによる復号を制限することができる。従って、有料コンテンツの不正流出を抑制することができる。
【0046】
また、上述した図4の制御処理を実行することで、暗号化された有料コンテンツは、課金をトリガとして、有料コンテンツを受信した携帯端末10を利用するユーザのUIM固有情報を用いて再暗号化される。このため、保存された有料コンテンツは、課金状態であれば、有料コンテンツの購入者であるユーザのみが復号可能とされるため、購入者以外のUIM固有情報を用いて復号されることを制限することができる。さらに、受信した有料コンテンツは、購入者のUIM固有情報で暗号化されているため、購入者であれば、他の携帯端末等に交換した場合であっても利用することができる。
【0047】
さらに、課金完了前後で異なる上記暗号化方法を用いることで、ライセンス購入情報は購入時に利用した携帯端末10内に留保されるため、ライセンス管理を携帯端末10の不揮発領域部66に限定することができる。このため、ライセンスの流出を抑制することができる。
【0048】
次に、本実施形態に係るコンテンツ制御装置1を有する受信端末における有料コンテンツの再生動作を説明する。図5は、コンテンツ制御装置1のコンテンツ再生動作を示すフローチャートである。図5に示す制御処理は、例えば利用ユーザの操作により有料コンテンツの再生要求がされたタイミングで開始され、所定の間隔で繰り返し実行される。なお、当該処理の前には、ステータスはS1〜S3の何れかに設定されているものとし、それ以外の場合は処理を開始しないものとする。
【0049】
図5に示すように、利用ユーザによる有料コンテンツの再生操作が行われると、ステータス管理部67は、現在のステータスがステータスS1であるか否かを判定する(ステップS40)。
【0050】
ステータス管理部67が現在のステータスがステータスS1であると判定した場合には、図4のステップS22に示す課金完了判定処理へ移行する(ステップS42)。そして、図5に示す制御処理を終了する。一方、ステータス管理部67が現在のステータスがステータスS1でないと判定した場合には、現在のステータスがステータスS2であるか否かを判定する(ステップS44)。
【0051】
ステータス管理部67が現在のステータスがステータスS2であると判定した場合には、図4のステップS26に示す暗号化処理へ移行する(ステップS46)。そして、現在のステータスがステータスS2からステータスS3へ変更されるまでステップS44の処理を繰り返し実行する。一方、ステータス管理部67が現在のステータスがステータスS2でないと判定した場合、すなわち、ステータス管理部67が現在のステータスがステータスS3であると判定した場合には、S2暗号部68がS2暗号化コンテンツを復号して有料コンテンツを再生可能とする。これにより、レンダラ50によって有料コンテンツが再生される。(ステップS44)。ステップS44が終了すると図5に示す制御処理を終了する。
【0052】
以上で図5に示す制御処理を終了する。図5に示す制御処理を実行することにより、課金前の有料コンテンツの再生を制限することができる。
【0053】
上述したように、本実施形態に係るコンテンツ制御装置1及びコンテンツ制御装置1によるコンテンツ制御方法では、ライセンス管理部69により有料コンテンツの受信完了を判定した後に、有料コンテンツを視聴するユーザの課金処理が実行される。このため、例えば、全てのデータを受信していないコンテンツに対して課金することを回避することができるので、適切な課金処理を行うことが可能となる。また、S1暗号部65により、有料コンテンツが暗号化されてS1暗号化コンテンツとして記録される。このように、受信済みの有料コンテンツは暗号化されるため、例えば、購入者が当該携帯端末10のみで復号可能となるように、受信済みの有料コンテンツを暗号化することができる。これにより、課金が完了する前に受信済みの有料コンテンツを再生されたり、他の携帯端末10に複製されて再生されたりすることを回避することができる。また、課金完了判定部70により、有料コンテンツに対する課金が完了したと判定された場合には、S2暗号部68により、第1暗号化コンテンツが復号化され、復号化により得られた有料コンテンツがS1暗号部65とは異なる方法で暗号化されて第2暗号化コンテンツとして記録される。このように、受信済みの有料コンテンツは、課金完了後に改めて別の手法で暗号化されるため、例えば、購入者のみが復号可能となるように受信済みの有料コンテンツを暗号化することができる。これにより、購入者であれば有料コンテンツを再生することができるので、携帯端末10の交換等に対応することができる。
【0054】
また、本実施形態に係るコンテンツ制御装置1及びコンテンツ制御装置1によるコンテンツ制御方法では、S1暗号部65が、乱数及びUIM固有情報を暗号鍵として暗号化するとともに、ランダム値を携帯端末10の不揮発領域部66に記録し、S2暗号部68は、不揮発領域部66を参照して乱数を取得し、取得された乱数及びUIM固有情報に基づいて復号鍵を生成して復号化するので、購入者が当該携帯端末10のみで復号可能となるように受信済みのコンテンツを暗号化することができる。これにより、課金が完了する前に受信済みの有料コンテンツを再生されたり、他の携帯端末10に複製されて再生されたりすることを回避することが可能となる。よって、有料コンテンツの不正流出を抑制することができる。
【0055】
さらに、本実施形態に係るコンテンツ制御装置1及びコンテンツ制御装置1によるコンテンツ制御方法では、S2暗号部68は、UIM固有情報を暗号鍵として有料コンテンツを暗号化するので、購入者のみが復号可能となるように受信済みの有料コンテンツを暗号化することができる。これにより、購入者であれば有料コンテンツを再生することができるので、携帯端末10の交換等に対応することができる。
【0056】
なお、上述した実施形態は本発明に係るコンテンツ制御装置及びコンテンツ制御方法の一例を示すものである。本発明に係るコンテンツ制御装置及びコンテンツ制御方法は、実施形態に係るコンテンツ制御装置及びコンテンツ制御方法に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で、実施形態に係るコンテンツ制御装置及びコンテンツ制御方法を変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
【0057】
例えば、上述した実施形態では、コンテンツ放送装置20及び課金装置30が別装置として説明したが、同一装置であってもよい。また、携帯端末10の課金処理は、有料コンテンツ受信完了通知を課金装置30へ送信する処理として説明したが、これに限られるものではなく、要は、携帯端末10が有料コンテンツを受信した後に当該ユーザへの課金が実行されるように構成されていればよい。
【0058】
また、上述した実施形態では、S1暗号化部65が、乱数及びUIM固有情報に基づいて暗号鍵を生成してS1暗号化するとともに、S2暗号化部68が、乱数及びUIM固有情報に基づいて復号鍵を生成して復号化する例を説明したが、乱数に替えて携帯端末10の固有情報を用いてもよい。携帯端末10の固有情報としては、例えば端末製造番号が用いられる。乱数の替わりに携帯端末10の固有情報を用いることで、乱数を用いて暗号化した場合と同様に、購入者が当該受信端末のみで復号可能となるように受信済みのコンテンツを暗号化することができる。また、乱数の替わりに携帯端末10の固有情報を用いることで、乱数生成部64を備える必要がなく、さらに、S1暗号化部65が暗号化に用いた乱数を不揮発領域部66に保存する処理を省略する事が可能となる。このため、乱数を用いた場合に比べて、処理負荷及び記憶容量を低減することができる。
【符号の説明】
【0059】
1…コンテンツ制御装置、10…携帯端末(受信端末)、20…コンテンツ放送装置、30…課金装置、65…S1暗号部(第1保護部)、66…不揮発領域部(記憶部)、67…ステータス管理部、68…S2暗号部(第2保護部)、69…ライセンス管理部(課金処理実行部)、70…課金完了判定部、100…放送システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツを受信して再生する受信端末に接続され、有料コンテンツの再生制御及び保護を行うコンテンツ制御装置であって、
前記受信端末が前記有料コンテンツの受信を完了した後に、当該有料コンテンツを視聴するユーザの課金処理を実行する課金処理実行部と、
前記有料コンテンツに対する課金が完了したか否かを判定する課金完了判定部と、
前記受信端末が受信した前記有料コンテンツを暗号化し、第1暗号化コンテンツとして記録する第1保護部と、
前記課金完了判定部により前記有料コンテンツに対する課金が完了したと判定された場合には、前記第1暗号化コンテンツを復号化し、復号化により得られた前記有料コンテンツを前記第1保護部とは異なる方法で暗号化し第2暗号化コンテンツとして記録する第2保護部と、
を備え、
前記有料コンテンツの再生要求がされた場合には、前記第2暗号化コンテンツを復号化して前記受信端末に提供すること、
を特徴とするコンテンツ制御装置。
【請求項2】
前記第1保護部は、ランダム値及び前記ユーザの固有情報を含む暗号鍵を用いて暗号化するとともに、前記ランダム値を前記受信端末の記憶部に記録し、
前記第2保護部は、前記記憶部を参照して前記ランダム値を取得し、取得された前記ランダム値及び前記ユーザの固有情報に基づいて復号鍵を生成して復号化すること、
を特徴とする請求項1に記載のコンテンツ制御装置。
【請求項3】
前記第1保護部は、前記受信端末の固有情報及び前記ユーザの固有情報を含む暗号鍵を用いて暗号化するとともに、
前記第2保護部は、前記受信端末の固有情報及び前記ユーザの固有情報に基づいて復号鍵を生成して復号化すること、
を特徴とする請求項1又は2に記載のコンテンツ制御装置。
【請求項4】
前記第2保護部は、前記ユーザの固有情報を暗号鍵及び復号鍵として有料コンテンツを暗号化及び復号化することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のコンテンツ制御装置。
【請求項5】
コンテンツを受信して再生する受信端末に接続され、有料コンテンツを視聴するユーザの課金処理を実行する課金処理実行部と、前記有料コンテンツに対する課金が完了したか否かを判定する課金完了判定部と、前記有料コンテンツを暗号化し第1暗号化コンテンツとして記録する第1保護部と、前記第1暗号化コンテンツを復号化し、復号化により得られた前記有料コンテンツを前記第1保護部とは異なる方法で暗号化し第2暗号化コンテンツとして記録する第2保護部とを備えるコンテンツ制御装置により実行されるコンテンツ制御方法であって、
前記受信端末が前記有料コンテンツの受信を完了した後に、前記課金処理実行部によって当該有料コンテンツを視聴するユーザの課金処理を実行する課金処理実行ステップと、
前記課金完了判定部によって前記有料コンテンツに対する課金が完了したか否かを判定する課金完了判定ステップと、
前記受信端末が前記有料コンテンツを受信した場合には、前記第1保護部によって当該有料コンテンツを前記受信端末から取得して暗号化し、第1暗号化コンテンツとして記録する第1保護ステップと、
前記課金完了判定ステップにより前記有料コンテンツに対する課金が完了したと判定された場合には、前記第2保護部により前記第1暗号化コンテンツを復号化し、復号化により得られた前記有料コンテンツを前記第1保護ステップとは異なる方法で暗号化し第2暗号化コンテンツとして記録する第2保護ステップと、
前記有料コンテンツの再生要求がされた場合には、前記第2暗号化コンテンツを復号化して前記受信端末に提供する再生ステップと、
を備えるコンテンツ制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−97261(P2011−97261A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−247864(P2009−247864)
【出願日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】