説明

コンテンツ抽出装置およびそのプログラム

【課題】 ユーザ操作によって曲リストから曲が選択され、曲を連続再生する場合に、放送データの連続性を維持すること。
【解決手段】 ユーザ操作によって曲リストの中から選択された曲を再生し終えたとき、曲リストにおける次の曲が選択されるのではなく、キューシートにおける次の曲が選択されて再生される。従って、曲リストから最初に再生すべき曲が選択された場合であっても、キューシートに記述された順番に曲が再生されるので、再生される放送データの連続性が維持される。ユーザが曲リストの順番に曲を再生することを所望する場合には、ユーザ操作によってスキップ指示が入力されることにより、曲リストに基づいて、現在選択されている曲の次の又は前の曲が選択されて再生開始することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送局から放送される多数のコンテンツの中から所望のコンテンツを自動的に取得するエアチェック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エアチェックは一般に、ラジオやテレビで放送された音楽や映像等のコンテンツを記憶媒体に記録しておき、その記録したコンテンツを後で再生して楽しむもので、無料でコンテンツを取得できることから視聴者の間で広く利用されている。
【0003】
しかしながら、視聴者には所望のコンテンツがいつ放送されるかはわからない。たとえばラジオのFM放送では、所望の曲がある番組中に放送されることがあらかじめわかる場合もあるが、番組中にはCMやDJが入るので、所望の曲が番組中のいつ放送されるかまではわからない。
【0004】
この問題を解決するために、下記特許出願1において、キューシートを利用して所望の曲を抽出するエアチェックシステムが提案されている。このエアチェックシステムでは、ユーザの自宅等に設置されたエアチェック装置が、放送された曲の放送開始時刻やタイトル等を記述したキューシートをサーバから取得する。エアチェック装置はまた、常にFM放送を受信し、受信された放送データを全て記憶する。そして、キューシートを参照して、録音された全放送データから所望の曲を抽出して再生する。
【0005】
エアチェック装置は、選択されたアーティストの曲の曲名を五十音順及びアルファベット順にソートした曲リストや、所定期間におけるキューシート上の出現回数順に曲名をソートした曲リスト等を生成し、表示部に表示する。ユーザ操作によって、曲リストから1つの曲が選択されると、選択された曲が再生開始される。選択された曲を再生し終えると、曲リストにおいて選択された曲の次の曲が自動的に選択されて、選択された曲が再生される。すなわち、選択された曲から曲リストに列挙されている順番に曲が連続再生される。
【0006】
図14に示すように番組1の中で曲A、曲B、曲C、曲D、曲E及び曲Fがこの順に放送されたとする。一方、図16に示すように、曲リストには曲C、曲F、曲A、曲D、曲B及び曲Eがこの順に並べられている。ユーザ操作によって曲リストの中から曲Bが選択された場合、曲Bの再生範囲として8:12:00〜8:20:00を特定し、記憶媒体から当該再生範囲のデータを読み出して再生する。曲Bの再生が終了すると、次に、曲リスト内において曲Bの次の曲である曲Eの再生範囲として8:40:00〜8:50:00を特定し、記憶媒体から当該再生範囲の曲データを読み出して再生する。
【0007】
キューシートには曲の放送開始時刻は記述されているが放送終了時刻は記述されていない。すなわち、曲の放送終了時刻は次の曲の放送開始時刻になっている。従って、図14に示すように、曲Bの実際の放送時間は8:12:00〜8:17:00であるが、キューシートから特定される曲Bの再生範囲は、8:12:00〜8:20:00になっている。8:17:00〜8:20:00はDJによる次曲Cの紹介等が放送されているが、曲Bとして特定されて再生されてしまう。その結果、曲リスト順に曲B及び曲Eを連続再生すると、曲Bの再生終了後、DJによる曲Cの紹介が再生された後に、曲Eが再生される等のように連続再生される放送データに連続性がなくなってしまう。
【0008】
また、図14に示すように、例えば曲Dのキューシートに基づく再生範囲は8:35:00〜8:40:00であるが、実際の放送時間は8:34:30〜8:39:30になっている。これは、キューシートに記述されている放送開始時刻が分単位でしか記述されていないためである。その結果、曲Dの先頭の30秒は曲Dの再生範囲ではなく、曲Cの再生範囲の最後に含まれていることになる。従って、曲リストからユーザ操作によって曲Cが選択された場合、曲Cの再生終了後、DJによる曲Dの紹介等が再生され、曲Dの先頭30秒が再生された後に、曲Fが再生開始され、再生される放送データに連続性がなくなってしまう。同様に、曲リストから曲Aが選択された場合、曲Aの再生終了後、DLによる曲Bの紹介が再生された後、曲Dの30秒目から再生開始されてしまい、再生される放送データに連続性がなくなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−59035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ユーザ操作によって曲リストから曲が選択され、曲を連続再生する場合に、放送データの連続性を維持できるエアチェック装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の好ましい実施形態によるエアチェック装置は、放送局から放送された複数のコンテンツを含む放送データを受信する受信手段と、前記受信された放送データを記憶媒体に記録する記録手段と、放送局から放送された各コンテンツの特定情報及び放送開始時刻を対応付けたキューシートをサーバから取得する取得手段と、前記記録手段によって前記記憶媒体に記録された複数のコンテンツの一覧であり、前記キューシートとは異なる順番で複数のコンテンツが並べられたコンテンツリストを生成するリスト生成手段と、ユーザ操作に応じてコンテンツリストの中から所望のコンテンツを選択する第1選択手段と、前記キューシートに基づいて、前記第1選択手段又は後記第2選択手段によって選択されたコンテンツの再生範囲を特定し、特定した再生範囲の放送データを抽出する抽出手段と、前記抽出手段によって抽出された放送データを再生する再生手段と、前記抽出手段によって特定された再生範囲の放送データを前記再生手段が再生し終えたとき、前記第1選択手段又は後記第2選択手段によって選択されたコンテンツの次のコンテンツを前記キューシートから選択する第2選択手段とを備える。
【0012】
ユーザ操作によってコンテンツリストの中から選択されたコンテンツを再生し終えたとき、コンテンツリストにおける次のコンテンツが選択されるのではなく、キューシートにおける次のコンテンツが選択されて再生される。従って、コンテンツリストから最初に再生すべきコンテンツが選択された場合であっても、キューシートに記述された順番にコンテンツが再生されるので、再生される放送データの連続性が維持される。
【0013】
好ましい実施形態においては、前記エアチェック装置は、前記抽出手段によって特定された再生範囲の放送データを前記再生手段が再生している際に、ユーザ操作によってスキップ指示が入力されたとき、前記第1選択手段又は前記第2選択手段によって選択されたコンテンツの次のコンテンツを前記コンテンツリストから選択する第3選択手段をさらに備え、前記抽出手段が、さらに、前記キューシートに基づいて、前記第3選択手段によって選択されたコンテンツの再生範囲を特定し、特定した再生範囲の放送データを抽出する。
【0014】
この場合、ユーザがコンテンツリストの順番にコンテンツを再生することを所望する場合には、ユーザ操作によってスキップ指示が入力されることにより、コンテンツリストに基づいて、現在選択されているコンテンツの次の又は前のコンテンツが選択されて再生開始することができる。
【0015】
好ましい実施形態においては、前記キューシートに基づいて前記抽出手段によって特定される再生範囲には前記コンテンツと前記コンテンツ以外の放送データとが含まれている。
【0016】
この場合、コンテンツリストの順番にコンテンツを連続再生すると、再生される放送データの連続性がなくなるデメリットが特に顕著になるので、コンテンツリストではなくキューシートの順番にコンテンツを連続再生することによって、連続性を維持できるという効果が特に顕著になる。
【発明の効果】
【0017】
ユーザ操作によって曲リストから曲が選択され、曲を連続再生する場合に、放送データの連続性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態によるエアチェックシステムを含むコンピュータネットワークの全体構成を示す機能ブロック図である。
【図2】図1中のキューシートサーバの構成を示す機能ブロック図である。
【図3】図1に示したエアチェックシステムで使用されるキューシートのデータ構造を示す図である。
【図4】図3に示したキューシートの一例を示す図である。
【図5】図1に示したエアチェックシステムで使用される番組表の一例を示す図である。
【図6】図2に示したキューシートサーバの動作を示すフロー図である。
【図7】図1中のPC及びFMチューナの構成を示す機能ブロック図である。
【図8】図7に示したPCの動作を示すフロー図である。
【図9】図7に示したPCで生成される録音状況管理テーブルのデータ構造を示す図である。
【図10】図9に示した録音状況管理テーブルの一例を示す図である。
【図11】図7に示したPCによるインデックスファイルの生成方法及び曲の抽出方法を示す説明図である。
【図12】図7に示したPCで生成されるインデックスファイルのデータ構造を示す図である。
【図13】図2及び図7に示したキューシートサーバ及びPCの動作を示すフロー図である。
【図14】キューシート上の再生範囲と実際の曲の放送時間と番組との関係を示す図である。
【図15】曲抽出及び再生処理を示すフローチャートである。
【図16】曲リスト(コンテンツリスト)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0020】
[全体構成]
図1を参照して、本発明の実施の形態によるエアチェックシステム10は、ラジオのFM(Frequency Modulation)放送から所望の曲を自動的に取得するためのもので、インターネット11に接続されるキューシートサーバ12と、インターネット11に接続されるパーソナルコンピュータ(PC)13と、PC13に接続されるFMチューナ14とを備える。インターネット11には、複数の放送局サーバ16も接続されている。キューシートサーバ12は本サービスを提供する事業者等によって管理され、放送局サーバ16は主に音楽番組等を放送する放送局によって管理される。PC13及びFMチューナ14は視聴者であるユーザの所有物である。
【0021】
キューシートサーバ12は、各放送局サーバ16からキューシートを取得し、各ユーザのPC13に提供する。PC13はキューシートサーバ12にアクセス可能なクライアントとして機能する。PC13及びFMチューナ14はエアチェック装置80を構成する。
【0022】
PC13は汎用のもので、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ(HDD)、ディスプレイ、キーボードやマウスといった入力装置などを備える。PC13には、後述するエアチェックプログラムがインストールされている。FMチューナ14は、各放送局からFM放送を受信し、受信した放送データをPC13に供給する。
【0023】
[キューシートサーバ]
図2を参照して、キューシートサーバ12は、取得部20と、フォーマット変換部21と、サービス情報追加部22と、ウェブサーバ23とを備える。取得部20は、各放送局サーバ16にアクセスし、そこにアップロードされているキューシート24を取得する。
【0024】
各放送局から提供されるキューシート24には、放送された曲Mnの放送開始時刻begin[n]と、タイトルやアーティスト名等のメタデータとがHTML(Hyper Text Markup Language)で記述されている。しかしながら、記述されている情報の種類、使用されているタグの種類、記述の順序など、そのフォーマットは放送局ごとに異なっている。また、キューシート24には、放送された曲Mnの放送終了時刻は記述されない。
【0025】
フォーマット変換部21は、取得されたキューシート24のフォーマットを所定の共通フォーマットに変換する。フォーマット変換部21は、複数種類のフォーマットに対応して複数の変換フィルタ25を有する。各変換フィルタ25は、対応するフォーマットを共通フォーマットに変換する。
【0026】
これにより得られるキューシート26は共通フォーマットを有する。具体的には図3に示すように、キューシート26は、各放送局に付与されるステーションID(識別子)を記述したフィールド261と、当該放送局から放送された複数の曲に対応する複数のレコード262とを備える。
【0027】
各レコード262には、対応する曲Mnの放送開始時刻begin[n]と、放送終了時刻end[n]と、メタデータとが記述される。放送終了時刻end[n]は、放送開始時刻に基づいて求められ、具体的には、曲Mnの次に放送された曲Mn+1の放送開始時刻begin[n+1]と同じである。図4にキューシート26の一例を示す。
【0028】
再び図2を参照して、サービス情報追加部22は、共通フォーマットに変換された各キューシート26に、あらかじめ定められた各種サービス情報を追加する。各種サービス情報としては、放送された曲を収録したCDやDVD又はコンサートチケットなどを販売するウェブサイトのURL(Uniform Resource Locator)、その曲のデジタルデータを販売するウェブサイトのURL、バナー広告などがある。したがって、キューシートサーバ12は、ユーザを各種ウェブサイト27に導くためのポータルサイトとなり得る。
【0029】
取得部20はさらに、各放送局から提供される番組表69を取得する。番組表69には、放送された番組の放送開始時刻及び放送終了時刻と、番組名、DJ及び出演者等に関する情報、番組ホームページURL等のメタデータとを含む。各番組内では、上述の複数の曲が放送される。つまり、番組は複数の曲を含む。
【0030】
各放送局から提供される番組表69は、キューシートと同様に、そのフォーマットが放送局ごとに異なっている。そのため、フォーマット変換部21は、取得された番組表を所定の共通フォーマットに変換する。これにより得られた番組表70は共通フォーマットを有する。得られた番組表70の一例を図5に示す。番組表70は、ステーションIDと、放送された番組の放送開始時刻及び放送終了時刻と、メタデータとを含む。
【0031】
ウェブサーバ23にはキューシートデータベース28及び番組表データベース71が構築される。各種サービス情報が追加されたキューシート29はキューシートデータベース28に記憶され、番組表70は番組表データベース71に記憶される。ウェブサーバ23は、PC13からの要求に応じてキューシート29及び番組表70を読み出してPC13に送信する。
【0032】
次に、図6を参照してキューシートサーバ12の動作を説明する。取得部20は、各放送局サーバ16にキューシート24及び番組表69を送信するよう要求する(S101)。各放送局サーバ16はこの要求を受け付け(S201)、キューシート24及び番組表69をキューシートサーバ12に送信する(S202)。取得部20はキューシート24及び番組表69を受信し(S102)、フォーマット変換部21に供給する。
【0033】
フォーマット変換部21は、キューシート24のフォーマットを共通フォーマットに変換し、図3及び4に示すキューシート26を作成する(S103)。このとき、曲Mn+1の放送開始時刻begin[n+1]は曲Mnの放送終了時刻end[n]としてキューシート26に記述される。作成されたキューシート26は、サービス情報追加部22に供給される。
【0034】
サービス情報追加部22はキューシート26にサービス情報を追加し(S104)、これにより得られたキューシート29をキューシートデータベース28に保存する(S105)。
【0035】
フォーマット変換部21はさらに、番組表69のフォーマットを共通フォーマットに変換し、図5に示す番組表70を作成する(S103)。作成された番組表70は、番組表データベース71に保存される(S105)。
【0036】
[FMチューナ及びPC(エアチェック装置)]
図7を参照して、エアチェック装置80はPC13とFMチューナ14とを含む。FMチューナ14はFM放送を受信する。PC13は、FMチューナ14から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するADC(Analog to Digital Converter)31を備える。ADC31は、たとえばサウンドカードなどを指す。ただし、デジタル信号を出力可能なデジタルチューナの場合、PC13はADC31を備えていなくてもよい。PC13にはまた、汎用のMP3(MPEG Audio Layer-3)エンコーダ32、汎用のウェブブラウザ33及び汎用のMP3プレーヤ15とともに、後に詳述するエアチェックプログラム(38〜41)がインストールされ、MP3データベース34、録音状況管理データベース35、インデックスデータベース36、キューシートデータベース37及び番組表データベース
75が構築される。エアチェックプログラムは、インデックス生成モジュール38、ウェブインターフェース39、取得モジュール40、及びスイーパモジュール41からなる。これらの詳細は以下の動作説明で明らかにする。
【0037】
次に、FMチューナ14及びPC13の動作を説明する。FMチューナ14及びPC13は常に動作している。したがって、FMチューナ14は常にFM放送を受信し、PC13は受信された放送データを全てハードディスク等の記憶媒体に記録する。
【0038】
図8を参照して、PC13内のMP3エンコーダ32は常に動作しており、FMチューナ14から出力され、A/D変換されたデジタル放送データをMP3データにエンコードする(S301)。これと並行してウェブインターフェース39も動作し、MP3エンコーダ32で得られたMP3データを所定時間(本例では6時間)ごとに1つのMP3ファイル42としてMP3データベース34に保存(録音)する(S302)。
【0039】
ウェブインターフェース39はまた、図9に示した録音状況管理テーブル43を生成し(S311)、録音状況管理データベース35に保存する(S312)。
【0040】
図9を参照して、録音状況管理テーブル43は、ステーションIDを記述したフィールド431と、複数のMP3ファイル42に対応する複数のレコード432とを有する。各レコード432には、対応するMP3ファイル42の録音開始時刻、録音終了時刻及びファイル名が記述されている。図10に録音状況管理テーブル43の一例を示す。
【0041】
なお、MP3ファイル42のファイル名は、ステーションID及び録音開始時刻を組み合わせ、たとえば「OOSAKA_20050522180000.MP3」(MP3はMP3ファイル42を示す拡張子)と設定される。
【0042】
FM放送は原則として毎日24時間録音されるが、停電したり、ユーザがPC13を持ち出したりする場合もあるので、必ずしも全ての放送データがMP3ファイル42として保存されるとは限らない。図10において斜線以外の部分は録音されていない。
【0043】
一方、インデックス生成モジュール38は、MP3データベース34からMP3ファイル42を読み込み、MP3ファイル42に基づいてインデックスファイル44を生成し(S321)、インデックスデータベース36に保存する(S322)。
【0044】
具体的には図11に示すように、インデックス生成モジュール38はMP3ファイル42を所定時間ごとに複数のセクション45に分割する。本例では、6時間分のMP3ファイル42が1秒ごとに分割されるので、21600個(=6時間×60分×60秒)のセクション45が得られる。そして、インデックス生成モジュール38は各セクション45の開始アドレスを順にインデックスファイル44に書き込む。
【0045】
図12にインデックスファイル44の一例を示す。インデックスファイル44はステーションIDを記述したフィールド441と、複数のセクション45に対応する複数のレコード442とを有する。各レコード442には、対応するセクション45の開始アドレスが記述される。本例では、MP3ファイル42の先頭アドレスからのオフセット(相対アドレス)が開始アドレスとして書き込まれる。
【0046】
なお、図12にはMP3ファイル42の先頭からの経過時間(秒数)が示されているが、この表記はあってもよいが、実際にはなくてもよい。各オフセット(レコード442)の経過時間は、そのオフセットよりも前にあるオフセットの数から算出可能だからである。
【0047】
また、インデックスファイル44のファイル名も、対応するMP3ファイル42と同じステーションID及び録音開始時刻を組み合わせ、たとえば「OOSAKA_20050522180000.IDX」(IDXはインデックスファイル44を示す拡張子)と設定される。
【0048】
図13を参照して、PC13内の取得モジュール40は、キューシートサーバ12のウェブサーバ23に所望のキューシート29及び番組表70を送信するよう要求する(S331)。ウェブサーバ23はこの要求を受け付け(S111)、キューシートデータベース28から所望のキューシート29を読出、番組表データベース71から所望の番組表70を読み出す。そして、読み出されたキューシート29及び番組表70をPC13に送信する(S112)。
【0049】
取得モジュール40は、キューシートサーバ12から送信されて来たキューシート29及び番組表70を受信する(S332)。そして、キューシート29をキューシートデータベース37に保存し、番組表70を番組表データベース75に保存する(S333)。
【0050】
PC13内のウェブインターフェース39は、必要な場合には、ユーザの入力操作に応じてキューシート29を編集する(S334)。これによりユーザは、所望の曲の放送開始時刻を規定の時刻よりも前後にずらしたり、アーティスト名が欠けている場合にはそれを補足したりすることができる。
【0051】
ウェブインターフェース39は、キューシート29をウェブブラウザ33で表示できるようにHTML化する(S335)。HTMLで記述されたキューシートには、曲Mnごとにハイパーリンクが埋め込まれる。ハイパーリンクには、その曲Mnを含むMP3ファイル42のURLの他、その曲MnのステーションID、放送開始時刻begin[n]及び放送終了時刻end[n]が含まれる。
【0052】
ウェブブラウザ33は、HTMLで記述されたキューシートに基づいて曲リストをディスプレイ上に表示する(S336)。曲リストには、各曲のタイトル、アーティスト名、放送開始時刻等が含まれる。このとき、再生可能な曲は選択可能な態様で表示されるが、録音されていないために再生不可能な曲は選択不可能な態様で表示される。
【0053】
ユーザが所望の曲をマウス等でクリックすると、ウェブブラウザ33はこの入力操作に応じてその所望の曲を選択し(S337)、その曲を読み出すようウェブインターフェース39に対してクエリを発行する。ウェブインターフェース39はこのクエリに応じて、指定された曲をMP3データベース34から抽出し(S338:曲抽出処理)、抽出した曲を再生する(S339)。
【0054】
図15は、S336〜S339の詳細を示すフローチャートである。ウェブインターフェース39は、ユーザ操作に応じて図16に示す曲リストを生成し、ウェブブラウザ33はこれを表示する(S1)。曲リストは、例えば、ユーザ操作によって選択されたアーティスト名に該当する曲が五十音順及びアルファベット順に並べ換えられた曲リスト、又は、所定期間におけるキューシート上の出現回数順に曲名を並べ換えた曲リスト等である。つまり、曲リストの曲の順番は、キューシートの曲の順番とは異なっている。例えば、図4及び図14に示すキューシートにおいては、曲A、曲B、曲C、曲D、曲E及び曲Fの順に並んでいるのに対して、図16の曲リストにおいては、曲C、曲F、曲A、曲D、曲B及び曲Eの順に並べ換えられている。曲リストは、曲のタイトルの他に、放送開始時刻及び放送終了時刻を含んでいる。これらの放送開始時刻及び放送終了時刻は、図4のキューシートから取得して登録したものである。
【0055】
次に、ウェブインターフェース39は、ユーザ操作に応じて最初に再生すべき曲として、曲リストの中から1つの曲を選択する(S2)。例えば、本例では曲Bが選択されたとする。
【0056】
ウェブインターフェース39は、選択された曲の再生範囲を曲リストから読み出して(すなわち、キューシートに基づいて)、特定する。例えば、曲Bが選択された場合、曲リストを参照して、放送開始時刻8:12:00〜放送終了時刻8:20:00(日時は説明を簡単化するために割愛する。)が再生範囲として特定される。ウェブインターフェース39は、特定した再生範囲の曲データをMP3データベース34から抽出して、ウェブブラウザ33に出力する。ウェブブラウザ33は、MP3プレーヤ15を起動し、MP3プレーヤ15はそのMP3データに基づいて特定された曲を再生する(S4)。
【0057】
ウェブインターフェース39は、選択された曲の再生中にユーザ操作によってスキップ指示が入力されたか否かを判断する(S5)。スキップ指示が入力されない場合(S5でNO)、ウェブインターフェース39は、選択された曲を再生し終えたか否か(つまりS3で特定された再生範囲の放送データを再生し終えたか否か)を判断する(S7)。選択された曲を再生し終えていない場合(S7でNO)、S5に戻る。すなわち、選択された曲の再生中、ウェブインターフェース39は、S5及びS7の判断処理を継続して実行している。スキップ指示は、例えば、PC13の図示しないリモコンに設けられたスキップボタンが押下されることによってウェブインターフェース39に入力される。又は、スキップ指示は、ディスプレイに表示されるスキップアイコンをマウスでクリックすることによってウェブインターフェース39に入力される。
【0058】
S5においてスキップ指示が入力されたと判断されると(S5でYES)、ウェブインターフェース39は、現在選択されている曲の再生を終了し、曲リストにおいて現在選択されている曲の次の曲を選択し(S6)、S3に戻る。例えば、曲Bが選択され再生されているときにスキップ指示が入力された場合、図16の曲リストにおいて曲Bの次の曲Eが選択される。従って、図16の曲リストを参照し、再生範囲として放送開始時刻8:40:00〜放送終了時刻8:50:00が特定され(S3)、曲Eが再生開始される(S4)。
【0059】
一方、S7において現在選択されている曲を再生し終えたと判断されると(S7でYES)、ウェブインターフェース39は、曲リストの順番は無視して、図4のキューシートにおいて現在選択されている曲の次の曲(つまり、現在選択されている曲の次に実際に放送された曲)を選択し(S8)、S3に戻る。例えば、曲Bを再生し終えた場合には、図4のキューシートに基づいて曲Bの次の曲である曲Cが選択される。この場合、S3において、ウェブインターフェース39は、図4のキューシートを参照して、再生範囲として放送開始時刻8:20:00〜放送終了時刻8:35:00を特定し(S3)、曲Cが再生開始される(S4)。
【0060】
なお、この後、曲Cを再生し終えた場合には、同様に、図4のキューシートに基づいて曲Cの次の曲である曲Dが選択される。この場合、S3において、ウェブインターフェース39は、図4のキューシートを参照して、再生範囲として放送開始時刻8:35:00〜放送終了時刻8:40:00を特定し(S3)、曲Dが再生開始される(S4)。このように、スキップ指示が入力されない限り、キューシートの順番に曲が連続再生される。
【0061】
以上の処理によって、最初に再生すべき曲が曲リストから選択された場合でも、ユーザ操作によってスキップ指示が入力されない限り、曲リストの順番は無視され、キューシートに記述された順番(つまり実際に放送された順番)に曲が選択された連続再生される。
【0062】
従って、図14に示すように、曲Bの再生範囲が再生された後に、曲リスト順に曲Eの再生範囲を連続再生すると、曲Bの再生終了後、DJによる曲Cの紹介が再生された後に、曲Eが再生され、再生される放送データに連続性がなくなってしまう。しかし、本例では、曲Bの再生範囲が再生された後に、キューシートの順番に曲Cの再生範囲を連続再生するので、曲Bの再生終了後に、DJによる曲Cの紹介が再生された後に、曲Cが再生され、再生される放送データの連続性が維持される。
【0063】
また、曲Cの再生範囲が再生された後に、曲リスト順に曲Fの再生範囲を連続再生すると、曲Cの再生終了後、DJによる曲Dの紹介等が再生され、曲Dの先頭30秒が再生された後に、曲Fが再生開始され、再生される放送データに連続性がなくなってしまう。しかし、本例によると、曲Cの再生範囲が再生された後に、キューシートの順番に曲Dの再生範囲を連続再生するので、曲Cの再生終了後、DJによる曲Dの紹介等が再生された後に、曲Dが再生され、再生される放送データの連続性が維持される。
【0064】
また、曲Aの再生範囲が再生された後に、曲リスト順に曲Dの再生範囲を連続再生すると、曲Aの再生終了後、DJによる曲Bの紹介等が再生され、曲Dの30秒目から再生されてしまい、再生される放送データに連続性がなくなってしまう。しかし、本例によると、曲Aの再生範囲が再生された後に、キューシートの順番に曲Bの再生範囲を連続再生するので、曲Aの再生終了後、DJによる曲Bの紹介等が再生された後に、曲Bが再生され、再生される放送データの連続性が維持される。
【0065】
一方、ユーザ操作によってスキップ指示が入力されると、曲リストにおいて現在選択されている曲の次の曲が選択されて再生開始される。従って、ユーザが曲リスト順に曲を再生することを所望する場合には、リモコンのスキップボタンを押下し、ウェブインターフェース39にスキップ指示を入力することによって、曲リスト順の連続再生を実行することができる。なお、スキップ指示が入力された場合に、曲リストにおいて現在選択されている曲の1つ前の曲を選択するようにしてもよい。例えば、曲Bが選択されているときにスキップ指示が入力された場合、曲リストにおいて曲Bの1つの前の曲Dが選択されて再生開始されてもよい。
【0066】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。FMラジオ放送の代わりにTV放送が採用されてもよい。つまり、本発明でいうコンテンツは音声データに限定されず、映像(画像)データ及び/又は音声データが採用され得る。また、本発明の上記各処理をコンピュータに実行させるエアチェックプログラム又はこれを記憶した記録媒体という形態で提供されてよい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、エアチェック装置に好適に採用され得る。
【符号の説明】
【0068】
10 エアチェックシステム
12 キューシートサーバ
13 PC
14 FMチューナ
16 放送局サーバ
20 取得部
24,26,29 キューシート
28,37 キューシートデータベース
40 取得モジュール
80 エアチェック装置
69,70 番組表
71,75 番組表データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送局から放送された複数のコンテンツを含む放送データを受信する受信手段と、
前記受信された放送データを記憶媒体に記録する記録手段と、
放送局から放送された各コンテンツの特定情報及び放送開始時刻を対応付けたキューシートをサーバから取得する取得手段と、
前記記録手段によって前記記憶媒体に記録された複数のコンテンツの一覧であり、前記キューシートとは異なる順番で複数のコンテンツが並べられたコンテンツリストを生成するリスト生成手段と、
ユーザ操作に応じてコンテンツリストの中から所望のコンテンツを選択する第1選択手段と、
前記キューシートに基づいて、前記第1選択手段又は後記第2選択手段によって選択されたコンテンツの再生範囲を特定し、特定した再生範囲の放送データを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出された放送データを再生する再生手段と、
前記抽出手段によって特定された再生範囲の放送データを前記再生手段が再生し終えたとき、前記第1選択手段又は後記第2選択手段によって選択されたコンテンツの次のコンテンツを前記キューシートから選択する第2選択手段とを備える、エアチェック装置。
【請求項2】
前記抽出手段によって特定された再生範囲の放送データを前記再生手段が再生している際に、ユーザ操作によってスキップ指示が入力されたとき、前記第1選択手段又は前記第2選択手段によって選択されたコンテンツの次のコンテンツを前記コンテンツリストから選択する第3選択手段をさらに備え、
前記抽出手段が、さらに、前記キューシートに基づいて、前記第3選択手段によって選択されたコンテンツの再生範囲を特定し、特定した再生範囲の放送データを抽出する、請求項1に記載のエアチェック装置。
【請求項3】
前記キューシートに基づいて前記抽出手段によって特定される再生範囲には前記コンテンツと前記コンテンツ以外の放送データとが含まれている、請求項1または2に記載のエアチェック装置。
【請求項4】
放送局から放送された複数のコンテンツを含む放送データを受信する受信手段と、前記受信された放送データを記憶媒体に記録する記録手段とを備えるエアチェック装置の動作プログラムであって、
放送局から放送された各コンテンツの特定情報及び放送開始時刻を対応付けたキューシートをサーバから取得する取得ステップと、
前記記録手段によって前記記憶媒体に記録された複数のコンテンツの一覧であり、前記キューシートとは異なる順番で複数のコンテンツが並べられたコンテンツリストを生成するリスト生成ステップと、
ユーザ操作に応じてコンテンツリストの中から所望のコンテンツを選択する第1選択ステップと、
前記キューシートに基づいて、前記第1選択ステップ又は後記第2選択ステップによって選択されたコンテンツの再生範囲を特定し、特定した再生範囲の放送データを抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップによって抽出された放送データを再生する再生ステップと、
前記抽出ステップによって特定された再生範囲の放送データを前記再生ステップが再生し終えたとき、前記第1選択ステップ又は後記第2ステップによって選択されたコンテンツの次のコンテンツを前記キューシートから選択する第2選択ステップとをコンピュータに実行させる、エアチェックプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−160869(P2010−160869A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−4119(P2009−4119)
【出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【出願人】(000000273)オンキヨー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】