説明

コンテンツ提供装置およびコンテンツ提供方法

【課題】映像コンテンツの再生において、特殊再生禁止区間における特殊再生を制限するコンテンツ提供装置を提供すること。
【解決手段】コンテンツ提供装置は、再生制御装置からのストリームデータ取得要求を受け付け、ストリームデータを出力する通信I/F部201と、再生制御装置へのストリームデータの通信状態を監視する伝送状態監視部209と、伝送状態監視部209で監視した通信状態に基づいて、再生制御装置の再生状態を判定する再生状態判定部207と、判定した再生制御装置の再生状態に基づいて、出力するストリームデータの送出位置を設定する読み出し区間判定部205を備え、特殊再生禁止区間の特殊再生を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録、蓄積された映像ストリームを再生制御するコンテンツ提供装置に関し、特に、スキップ、早送りなどの特殊再生の禁止制御に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコンテンツ提供サービスとしては、地上波、衛星放送等を用いてのテレビ放送が行われてきた。昨今では、インターネットを用いたコンテンツ配信などのサービスも種々行われている。これらテレビ放送、コンテンツ配信ではスポンサーからのCM(コマーシャルメッセージ)が含まれており、放送局、配信企業はこれらCMをユーザが視聴することを期待してコンテンツを無料または低価格で提供している。また、CMだけでなく、コンテンツ視聴及び利用に係わるメッセージを挿入している場合もある。
【0003】
近年、PVR(Personal Video Recorder)と呼ばれる民生用映像録画再生装置が登場した。これにより、HDD(Hard Disk Drive)、BD(Blu−ray Disc)等のランダムアクセス可能な記憶媒体に複数のコンテンツを記録し、ユーザの視聴可能な時間に視聴するという事が可能となっている。更にはDLNA(Digital Living Network Aliance)などの、家庭内ネットワークに接続された機器間で映像コンテンツを共有する仕組みが導入されてきた。これにより、PVR単体のみならず、複数の機器で録画、蓄積した映像コンテンツを共有視聴する環境が整いつつある。
【0004】
一般視聴者に映像コンテンツをいつでも、どこでも視聴できる環境が提供される反面、通常再生で映像を視聴するだけでなく、特殊再生で映像を視聴するようになってきた特殊再生を用いることで、CM部分だけをスキップ再生、CM部分だけを早送り再生等、映像本編のみを視聴することが可能となる。この様な視聴スタイルが一般化すると、番組中に挿入されるCMやコンテンツ利用に係わるメッセージがコンテンツ提供者の意図どおりに視聴されず、宣伝効果の低下や、コンテンツの適正利用が妨げられることとなる。
【0005】
かかる問題を解決する方法として、特殊再生禁止区間を示す情報を映像ストリームと共に配信し、再生制御装置が、映像ストリームの特殊再生禁止の制御を行う技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。前記特許文献1に記載された従来の再生制御装置は、CM区間映像に対して特殊再生禁止区間を示す信号を重畳させた映像ストリームを受信し、重畳された信号を検出し、禁止区間での特殊再生を禁止していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−290878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来の構成では、コンテンツ再生装置が、CM等の特殊再生禁止区間情報に基づいた制御を行う必要がある。つまり、コンテンツ提供側は、自分が設定した特殊再生禁止区間に対する制御を、コンテンツ再生装置に任せることになり、コンテンツ提供側では制御できないという課題を有していた。
【0008】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、コンテンツ再生装置で特殊再生禁止区間の制御を行うことなく、コンテンツ再生装置における特殊再生禁止区間の再生制御を可能とするコンテンツ提供装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記従来の課題を解決するために、本発明のコンテンツ提供装置は、映像コンテンツを保持し、前記映像コンテンツのストリームデータを送信するコンテンツ提供装置であって、前記映像コンテンツのストリームデータを保持するストリームデータ記憶手段と、前記映像コンテンツに対する特殊再生禁止区間情報を保持する付加情報記憶手段と、前記ストリームデータ記憶手段に保持されているストリームデータと、前記付加情報記憶手段に保持されている付加情報を管理するコンテンツ管理手段と、送信中のストリームデータの通信状態を監視する伝送状態監視手段と、前記伝送状態監視手段で監視した通信状態に基づいて、前記送信中のストリームデータに対し、送信先での再生位置と再生モードからなる再生状態を判定する再生状態判定手段と、前記再生状態判定手段で判定した送信先での再生位置と再生状態に基づいて、次に送信するストリームデータの送出位置を決定する読み出し区間判定手段と、前記読み出し区間判定手段が決定した送出位置のストリームデータを、前記ストリームデータ記憶手段から読み出すコンテンツ読み出し手段と、前記コンテンツ読み出し手段が読み出した前記ストリームデータを送信する通信I/F手段を備え、前記再生状態判定手段が判定した再生状態が特殊再生である場合に、前記読み出し区間判定手段は、前記付加情報記憶手段に保持されている特殊再生禁止区間情報を用いて、特殊再生禁止区間が特殊再生対象か否かを判定し、判定結果が特殊再生対象である場合に、次に送出するストリームデータの送出位置を、前記特殊再生禁止区間の先頭位置に決定することを特徴とする。
【0010】
本構成によって、コンテンツ提供装置が、再生制御装置でのコンテンツ読み出し状態を監視し、再生制御装置における特定再生禁止区間の特殊再生に対する制御を行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のコンテンツ提供装置によれば、再生制御装置からのコンテンツ読み出し状態を監視し、再生制御装置における特殊再生禁止区間の特殊再生に対する制限を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態におけるシステムの構成の一例を示す図
【図2】本発明の実施の形態におけるコンテンツ提供装置の構成を示すブロック図
【図3】本発明の実施の形態におけるコンテンツ提供装置が送信するストリームの一例を示す図
【図4】本発明の実施の形態におけるコンテンツの付加情報の一例を示す図
【図5】本発明の実施の形態におけるコンテンツ提供装置のコンテンツ送出制御フローを示す図
【図6】本発明の実施の形態におけるコンテンツ提供装置と再生制御装置間の通信シーケンス図
【図7】本発明の実施の形態におけるコンテンツ提供装置から送信するコンテンツ再生ビットレートと送信ビットレートの一例を示す図
【図8】本発明の実施の形態におけるコンテンツ提供装置の伝送状態監視部が監視する伝送状態に関する情報の一例を示す図
【図9】本発明の実施の形態におけるコンテンツ提供装置の伝送状態監視部が送信実効ビットレートを算出する式の一例を示した図
【図10】本発明の実施の形態におけるコンテンツ提供装置の再生状態判定部が再生位置を特定する式の一例を示した図
【図11】本発明の実施の形態におけるコンテンツ提供装置が送信するストリームの一例を示す図
【図12】本発明の実施の形態におけるコンテンツ提供装置の構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、本発明に係るコンテンツ提供装置が含まれているシステムの一例を示した概観図である。これは、配信サーバ104からコンテンツ提供装置101を介して配信されたコンテンツを、再生制御装置102が再生し、ユーザが再生制御装置102を用いて配信されたコンテンツを視聴するシステムである。コンテンツ提供装置101は、再生制御装置102の再生状態に応じて、動的にコンテンツの送信対象を決定し、再生制御装置102へ当該コンテンツを送信する。
【0015】
図1において、配信サーバ104とコンテンツ提供装置101は、公衆ネットワーク105を介して接続されている。また、コンテンツ提供装置101と再生制御装置102は、ローカルネットワーク103を介して接続されている。なお、ここでは、再生制御装置102は、DLNA規格をサポートしており、コンテンツ提供装置101との接続に、DLNA規格を用いるものとする。
【0016】
コンテンツは、最初に配信サーバ104に保存されており、コンテンツ提供装置101が、公衆ネットワーク105を介して配信サーバ104より取得し、自装置内に保存する。ここでいうコンテンツは、動画、音楽等のストリームデータと付加情報を備えている。
【0017】
ストリームデータは、本編映像以外に、スポンサーの広告であるCMや番組制作者、サービス運営会社からの告知映像を含んでいる。付加情報は、コンテンツの各映像区間に対し、特殊再生を行うことで、スキップ若しくは変速再生することが可能か否かを示す情報を含んでいる。
【0018】
次に、図1を用いて、ユーザがコンテンツ提供装置101内に保存されたコンテンツを視聴する処理の概要について説明する。ユーザは、再生制御装置102を操作して、コンテンツの視聴を行う。
【0019】
コンテンツ視聴時に、再生制御装置102は、コンテンツ提供装置101に対して再生したいコンテンツのストリームデータ取得要求を送信する。コンテンツ提供装置101は、受信したストリームデータ取得要求に対して、コンテンツ提供装置101の記録媒体から対象のストリームデータを読み出し、再生制御装置102へ送信する。再生制御装置102は、受信したストリームデータをデコードし、映像音声としてユーザに提示する。
【0020】
なお、ここでは、ストリームデータ取得要求は、HTTP(Hyper Text Transfer Protocol)を用いるものとする。ストリームデータ取得要求は、ストリーム全体を指定する場合と、ストリームの一部分(コンテンツ先頭からの時間情報またはバイト位置情報を範囲情報として、取得範囲を指定)を指定する場合がある。
【0021】
再生制御装置102は、ストリーム全体を先頭から通常再生する場合には、範囲情報を持たないストリームデータ取得要求をコンテンツ提供装置101に送信する。また、再生制御装置102は、スキップや早送りといった特殊再生を行う場合は、範囲情報を付加したストリームデータ取得要求をコンテンツ提供装置101に送信する。
【0022】
コンテンツ提供装置101は、再生制御装置102から受信したストリームデータ取得要求と、再生制御装置102へ送信済みのストリームデータから、再生制御装置102の再生状態(再生位置と再生モード)を推定する。コンテンツ提供装置101は、対応するコンテンツの付加情報を参照し、推定した再生状態と再生位置に基づいて、特殊再生が禁止されている区間が通常再生以外の方法で再生されていないかを判定する。コンテンツ提供装置101は、特殊再生禁止区間が再生制御装置102により特殊再生されたと判定した場合、再生制御装置102に対して当該の区間が通常再生されるまで、特殊再生禁止区間に対応するストリームデータを繰り返し送信する。
【0023】
コンテンツ提供装置101の具体的な例としては、HDDレコーダ(ハードディスレコーダ)、PC(パーソナルコンピュータ)等が挙げられる。
【0024】
再生制御装置102の具体的な例としては、DTV(デジタルテレビ)、BDプレーヤー(Blu−ray Discプレーヤー)、PC(パーソナルコンピュータ)等が挙げられる。さらに再生制御装置102はDLNA規格を満たした既存機器である。
【0025】
以下、本実施の形態に係るコンテンツ提供装置101について説明する。
【0026】
<構成>
図2は、本発明の実施の形態におけるコンテンツ提供装置の構成の一例を示す図である。
【0027】
コンテンツ提供装置101は、ハードウェア的には、CPU、ネットワーク通信装置、メモリ及びハードディスク等で構成される。機能的には、通信I/F部201、コンテンツ管理部203、読み出し区間判定部205、再生状態判定部207、伝送状態監視部209、コンテンツ読み出し部211、ストリームデータ記憶部213、付加情報記憶部215、を有する。コンテンツ提供装置101の各機能動作は、メモリに格納された制御プログラムをCPUが実行することにより実現される。なお、本実施の形態を説明する上で特に重要でない機能については省略している。
【0028】
通信I/F部201は、IPネットワークを介しての複数の機器との双方向通信機能を有する。通信I/F部201は、再生制御装置102から送信されてきたストリームデータ取得要求を受信し、受信したストリームデータ取得要求に対する応答として、対応するストリームデータを再生制御装置102へ送信する。また、通信I/F部201は、配信サーバ104に対してコンテンツ取得要求を送信し、その応答として対応するコンテンツを受信することが可能である。なお、公衆ネットワーク105は、インターネットである。
【0029】
付加情報記憶部215は、ハードディスク等の記憶媒体であって、配信サーバ104から公衆ネットワーク105を介して取得したコンテンツに含まれる付加情報を記憶している。
【0030】
ストリームデータ記憶部213は、ハードディスク等の記憶媒体であって、配信サーバ104から公衆ネットワーク105を介して取得したコンテンツに含まれるストリームデータを記憶している。本実施の形態のストリームデータは、映像ストリームであり、例えば、MPEG2(Moving Picture Experts Group)−TS(Transport Stream)形式のデータである。MPEG2形式のデータは、ビデオデータと、音声データが時分割多重され、例えば0.5秒毎の様に一定間隔でランダムアクセスが可能なストリームフォーマットである。
【0031】
コンテンツ管理部203は、配信サーバ104から受信した全てのコンテンツについて付加情報とストリームデータの組み合わせを管理し、再生制御装置102から受信したストリームデータ取得要求に対して、適切なコンテンツを選択する。更に、コンテンツ管理部203は、再生制御装置102へ送信するストリームデータの範囲を決定する際に必要となるコンテンツ区間情報を管理する。
【0032】
伝送状態監視部209は、通信I/F部201が再生制御装置102に対して送信するストリームデータの伝送状態を監視する。伝送状態監視部209は、ローカルネットワーク103へ送信されるストリームデータの通信速度と、送信済のストリームデータの位置情報を、伝送状態として、通信I/F部201から取得する。さらに、伝送状態監視部209は、伝送状態を取得した時刻と、その伝送状態とを対応付けて、送信履歴として管理する。
【0033】
再生状態判定部207は、伝送状態監視部209から伝送状態を取得し、コンテンツ管理部209からコンテンツの付加情報を取得し、再生状態を判定する。この判定により、再生状態判定部207は、ストリームデータの送信先である再生制御装置102における、コンテンツの再生位置と再生モードを特定する。再生モードは、通常再生モードと特殊再生モードがあり、この特殊再生モードは、「早送り」、「スキップ」などを含んでいる。
【0034】
読み出し区間判定部205は、通信I/F部201が受信したストリームデータ取得要求で指定された範囲情報を受け取り、送信するストリームデータの範囲を特定し、通信I/F部201に応答する。具体的には、読み出し区間判定部205は、再生状態判定部207から再生状態を取得し、コンテンツ管理部203から付加情報に含まれる特殊再生許可情報を取得し、適切なストリームデータの送信範囲を決定する。例えば、再生モードが「特殊再生モード」の「スキップ」であり、このスキップ動作により、特殊再生禁止区間が送信対象外となる場合、この特殊再生禁止区間に対応するストリームデータを送信対象と決定する。つまり、読み出し区間判定部205は、次の送出開始位置を、特殊再生禁止区間の先頭に設定し、通信I/F部201に通知する。
【0035】
コンテンツ読み出し部211は、通信I/F部201からの読み出し要求を受け取り、ストリームデータ記憶部213から対象となるストリームデータを読み出し、通信I/F部201に出力する。なお、通信I/F部201からの読み出し要求は、読み出し区間判定部205が判定したストリームデータの送信範囲に基づいて、対象となるストリームデータを指定する情報を含んでいる。また、コンテンツ読み出し部211は、必要に応じて読み出したストリームデータに対して暗号化を施す。また、コンテンツ読み出し部211は、必要に応じて、読み出したストリームデータを、DLNAで規定される通信電文に整形する。
【0036】
以上により、本実施の形態におけるコンテンツ提供装置は、再生制御装置での再生状態を特定し、この再生状態と、再生制御装置から要求された取得範囲に基づいて、再生制御装置での特定再生禁止区間の特殊再生を制御することができる。
【0037】
<データ>
次に、本実施の形態におけるコンテンツ及び付加情報について説明する。
【0038】
図3は、CMが含まれるコンテンツと、再生制御装置102がCM1をスキップした時に、コンテンツ提供装置101が再生制御装置102へ送信するストリームデータの関係を模式的に表した図である。
【0039】
コンテンツ301は、コンテンツ提供装置101内に保持されている状態を示す。コンテンツ301は、映像コンテンツであり、3個の映像本編(本編1、本編2、本編3)と、2個のCM(CM1、CM2)を含んでいる。
【0040】
再生操作302は、再生制御装置102でコンテンツ301を再生している時に、視聴中のユーザが、再生制御装置102に対して行った再生操作を表している。ここでは、ユーザは、本編1を通常再生して視聴し、CM1の開始タイミングでCM1をスキップ操作し、本編2の先頭から通常再生して視聴する操作を行っている。この操作を受け、再生制御装置102は、最初に、本編1の先頭からのストリームデータ取得要求をコンテンツ提供装置101に送信する。次に、CM1の開始タイミングで、再生制御装置102は、本編2の先頭からのストリームデータ取得要求をコンテンツ提供装置101に送信する。
【0041】
送信ストリーム(a)303は、CM1が特殊再生禁止区間でないコンテンツ301の再生時に、再生操作302を行った場合の、コンテンツ提供装置101から再生制御装置102へ送信されるストリームデータを示す。
【0042】
コンテンツ提供装置101は、最初に、本編1の先頭からのストリームデータ取得要求を再生制御装置102から受信し、本編1の先頭から対応するストリームデータを送信する。次に、CM1の開始タイミングで、コンテンツ提供装置101は、本編2の先頭からのストリームデータ取得要求を再生制御装置102から受信し、本編2の先頭から対応するストリームデータを送信する。つまり、コンテンツ提供装置101は、再生制御装置102の指定に従い、CM1に対応するストリームデータを送信せずに、本編1、本編2の順番にストリームデータを送信する。
【0043】
送信ストリーム(b)305は、CM1が特殊再生禁止区間のコンテンツ301の再生時に、再生操作302を行った場合の、コンテンツ提供装置101から再生制御装置102へ送信されるストリームデータを示す。
【0044】
コンテンツ提供装置101は、最初に、本編1の先頭からのストリームデータ取得要求を再生制御装置102から受信し、本編1の先頭から対応するストリームデータを送信する。次に、CM1の開始タイミングで、コンテンツ提供装置101は、本編2の先頭からのストリームデータ取得要求を再生制御装置102から受信し、CM1の先頭から対応するストリームデータを送信する。CM1の最後まで送信した後に、コンテンツ提供装置101は、本編2の先頭から対応するストリームデータを送信する。つまり、コンテンツ提供装置101は、再生制御装置102からのCMスキップの指定に従わず、本編1の最後までストリームデータを送信した後、CM1をスキップせずに、本編1、CM1、本編2の順番にストリームデータを送信する。
【0045】
図4は、図3に示したコンテンツ301の付加情報を示した図である。
【0046】
付加情報401は、コンテンツの映像区間毎に、再生に使用する情報を管理している。図4では、付加情報401が、5個の映像区間に対応する情報を管理している一例を示しており、上から再生時間順序で整列している。
【0047】
付加情報401は、対応する映像区間の開始位置情報と、終了位置情報と、特再許可情報と、ビットレート情報を含んでいる。また、開始位置情報は、対応する映像区間の開始時間と、開始時間に対応する映像ストリームファイル先頭からの位置情報を示す。終了位置情報は、対応する映像区間の終了時間と、終了時間に対応する映像ストリームファイル先頭からの位置情報を示す。
【0048】
開始位置情報は、PTS(Presentation Time Stamp)と位置情報を含んでいる。同様に、終了位置情報は、PTSと位置情報を含んでいる。PTSは、当該映像区間のコンテンツ先頭からの経過時間を表し、位置情報は、当該映像区間に対応する映像ストリームファイルの、先頭からのバイト位置を表す。
【0049】
特再許可情報は、各映像区間において特殊再生が許可されるか否かを示す情報である。
【0050】
ビットレート情報は、各映像区間の映像ストリームの平均ビットレートを示す。
【0051】
次に、本実施の形態における伝送状態監視部209が管理する送信履歴について説明する。
【0052】
図8は、伝送状態監視部209が管理する送信履歴を示した図である。
【0053】
送信履歴801は、通信I/F部201から再生制御装置102へ送信されたコンテンツデータの送信履歴である。図8では、送信履歴801が、5個の時刻に対応する情報を管理している一例を示しており、上から伝送状態を取得した順で整列している。送信履歴801は、伝送状態監視部209が伝送状態を1回取得する毎に1行生成される。
【0054】
記録される情報は、各時刻に対応する伝送状態であって、時刻情報と、送出済み位置と、送信データサイズと、実行ビットレートを含んでいる。
【0055】
送出済み位置は、PTSとデータオフセットを含んでいる。
【0056】
時刻情報は、再生制御装置102からストリーム取得要求を受信してからストリームデータを最初に送信開始してからの相対時間を示す。
【0057】
PTSは、対象の伝送状態を取得した時点で再生制御装置102へ送信できたコンテンツの位置を、時間単位で示す。
【0058】
データオフセットは、対象の伝送状態を取得した時点で再生制御装置102へ送信できたコンテンツの位置を、コンテンツ先頭からのデータ長を示す。
【0059】
送信データサイズは、対象の伝送状態を取得した時点で再生制御装置102へ送信できた送信データサイズを示す。この送信データサイズは、前回の取得時点から今回の取得時点までの間で送信した差分となる。
【0060】
実効ビットレートは、対象の伝送状態を取得した時点で再生制御装置102への送信における実効伝送ビットレートを示す。この実効ビットレートは、前回の取得時点から今回の取得時点までの間の伝送速度であり、図9の式901を用いて算出する。実効ビットレートは、今回の取得時点でのデータ位置と前回の取得時点のデータ位置を減算した値を、前回取得時点の時刻からの経過時間で除算した値となる。
【0061】
<通信シーケンス>
次に、本実施の形態におけるコンテンツ提供装置101と再生制御装置102の間の通信シーケンスについて説明する。
【0062】
図6は、コンテンツ提供装置101が保持しているコンテンツを、再生制御装置102が再生する際の、コンテンツ提供装置101と再生制御装置102の通信シーケンスを示す図である。
【0063】
まず、再生制御装置102が、コンテンツ提供装置101との間に、TCPセッションを確立する(601)。
【0064】
再生制御装置102は、ストリームデータ取得要求602を送信する。
【0065】
コンテンツ提供装置101は、受信したストリームデータ取得要求602が範囲情報を含んでいないことから、送信対象として、コンテンツの先頭から送信すると決定する(603)。
【0066】
コンテンツ提供装置101は、決定した送信対象をストリームデータ記憶部213から読み出し、再生制御装置102に、ストリームデータ604として送信する。ストリームデータ604は、映像ストリームであり、通常は一つのTCP(Transmission Control Protocol)パケットでは送信できない。このため、図6では、コンテンツ提供装置101は、ストリームデータ604を、複数のパケットに分割して送信している。
【0067】
再生制御装置102は、コンテンツ提供装置101から送信されたストリームデータ604を受信し、再生を行う(605)。再生制御装置102は、複数のパケットに分割されたストリームデータ604を順に受信するため、受信したストリームデータをデコードおよび再生しながら、後続のストリームデータを受信するという動作を繰り返す。つまり、再生制御装置102は、対象のコンテンツの先頭から通常再生を行っている状態である。
【0068】
次に、再生制御装置102は、スキップ操作(606)に対する処理を行う。例えば、ユーザが、リモコンなどを操作することで、再生制御装置102に対してスキップを要求することで実行される。スキップ操作により、次の再生開始位置が指定される。
【0069】
再生制御装置102は、TCPセッションを一旦切断(607)した後、再度TCPセッションを確立(608)し、スキップ操作により指定された次の再生開始位置を示す範囲情報を含む、ストリームデータ取得要求609を送信する。
【0070】
コンテンツ提供装置101は、受信したストリームデータ取得要求609に含まれる範囲情報に基づいて、次の送信対象を決定する(610)。例えば、コンテンツ提供装置101は、特殊再生禁止区間がスキップされたと判定した場合、この特殊再生禁止区間の先頭から送信すると決定する。また、コンテンツ提供装置101は、特殊再生禁止区間に関係ない位置へのスキップであると判定した場合、受信した範囲情報で指定された位置から送信すると決定する。
【0071】
コンテンツ提供装置101は、決定した送信対象をストリームデータ記憶部213から読み出し、再生制御装置102に、ストリームデータ611として送信する。
【0072】
再生制御装置102は、コンテンツ提供装置101から送信されたストリームデータ611を受信し、再生を行う(612)。再生制御装置102におけるスキップ操作(606)が、特殊再生禁止区間のスキップを要求するものであった場合、ストリームデータ取得要求609で要求したとのは異なるストリームデータを受信することになる。
【0073】
図7は、コンテンツ提供装置101からローカルネットワーク103に送信されるデータの送信ビットレートと、コンテンツ301のビットレートを同一の時間軸で対比したグラフである。
【0074】
再生制御装置102は、コンテンツ提供装置101から、複数のパケットに分割されたストリームデータを受信する。再生制御装置102は、受信したストリームデータをデコードおよび再生しながら、後続のストリームデータを受信するという動作を繰り返す。このため、再生制御装置102が、要求した範囲のコンテンツを再生している間は、常に、ネットワーク上をコンテンツのビットレートと同等のデータが流れることとなる。
【0075】
図7は、この通信動作をローカルネットワーク103に流れるストリームデータのデータ量を時間軸で示している。t0はコンテンツ再生開始の時間を示し、横軸が時間の経過を表す。縦軸はビットレートを表す。本図はネットワーク上に流れるデータ量を示す送信ビットレート703と、コンテンツ301のコンテンツビットレート705ではt0からtnの区間で大きく差がある。これは再生制御装置102がネットワークの伝送速度の揺らぎを吸収して安定した映像再生を行うために、再生制御装置102内のバッファにデータを蓄積している間はネットワーク帯域が許す限りデータを取得する為である。この初期バッファリング期間Tinit707を終了すると、再生制御装置102はデコード及び再生画像表示を開始する。これらの動作により、tn以降は、再生制御装置102のデコードおよび再生動作により消費されたデータ分がネットワークから読み込まれる。TCP/IPにより、フロー制御が働き、ネットワーク上を流れる送信ビットレート703はコンテンツビットレート705と等しくなる。
【0076】
<動作>
次に、本実施の形態におけるコンテンツ提供装置101の動作について説明する。
【0077】
図5は、本実施の形態におけるコンテンツ提供装置101のストリーム送信制御フローを示す図である。
【0078】
まず、通信I/F部201は、再生制御装置102からのストリームデータ取得要求を受信できるようにネットワークインターフェースを活性化させ、ストリームデータ取得要求を待つ(ステップS501)。
【0079】
ユーザが、再生制御装置102に対し、コンテンツ提供装置101に保存されたコンテンツの再生操作を行うと、再生制御装置102は、コンテンツ提供装置101に対してストリームデータ取得要求を送信する。
【0080】
通信I/F部201は、ストリームデータ取得要求を受信すると、ストリームデータ取得要求で指定されたコンテンツを示すURI(Uniform Resource Identifier)を確認し、コンテンツ変化の有無を判定する。コンテンツ変化の有無の判定とは、新しく受信したストリームデータ取得要求で指定されたコンテンツと、従前に送信対象としていたコンテンツとが、同じであるか否かを判定する(ステップS502)。
【0081】
コンテンツ変化ありと判定した場合(ステップS502がYes)、ステップS503に遷移する。例えば、コンテンツ提供装置101が起動された直後は、従前のコンテンツ送信は行われていないため、コンテンツ変化ありと判定することになる。一方、コンテンツ変化なしと判定した場合(ステップS502がNo)、ステップS505に遷移する。
【0082】
通信I/F部201は、伝送状態監視部209に開始を通知し、伝送状態監視部209は、再生状態判定部207に初期化を指示する。再生状態判定部207は、再生制御装置の再生状態に係わる各種値を初期化する(ステップS503)。初期化により、送出済みコンテンツ位置はコンテンツ先頭、再生モードは通常再生、イニシャルバッファ量は0と設定する。
【0083】
通信I/F部201は、コンテンツ管理部203にコンテンツ付加情報の取得を要求する。コンテンツ管理部203は、送信対象となるコンテンツの付加情報を付加情報記憶部215から取得し、通信I/F部201に通知する(ステップS504)。
【0084】
通信I/F部201は、コンテンツ読み出し部211に読み出し要求を通知する。コンテンツ読み出し部211は、読み出し要求で指定されたストリームデータを、ストリームデータ記憶部213から読み出し、DLNA規格により定められたフォーマットに整形した後に、通信I/F部201へ出力する。通信I/F部201は、コンテンツ読み出し部211より受け取ったストリームデータを、再生制御装置102に対してTCP/IPパケット単位に分割して送信する(ステップS505)。なお、読み出し要求は、送出開始位置情報を含んでいる。
【0085】
伝送状態監視部209は、通信I/F部201からローカルネットワーク103に送出されたストリームデータの伝送状態を監視し、取得した伝送状態に基づいて、送信履歴を更新する(ステップS506)。なお、伝送状態監視部209は、前もって定められた時刻間隔、例えば図8の場合は500msec間隔で、動作する。
【0086】
通信I/F部201は、対象のコンテンツデータを全て送信し終えたか否か、又は、TCPセッションの切断がなされたか否かを確認する(ステップS507)。再生制御装置102が、次のストリームデータ取得要求を送信する場合は、次のストリームデータ取得要求を送信する前に、TCPセッションが一旦切断されて、再度TCPセッションが確立される。
【0087】
確認の結果、いずれかの条件を満たす場合(ステップS507がYes)、通信I/F部201は、送信動作を終了し、ステップS501に遷移して、再度ストリームデータ取得要求の受信を待つ(ステップS501)。再生制御装置102が、次のストリームデータ取得要求を送信する場合は、TCPセッションが一旦切断されるため、コンテンツ提供装置101は、ステップS501に遷移して、次のストリームデータ取得要求の受信を待つことになる。
【0088】
確認の結果、いずれの条件をも満たさない場合(ステップS507がNo)、通信I/F部201は、読み出し区間判定部205に、次に送信する送出開始位置を問い合わせる。読み出し区間判定部205は、再生状態判定部207に、再生状態の判定を要求する。再生状態判定部207は、イニシャルバッファ測定中か否かを判定する(ステップS508)。再生状態判定部207は、伝送状態監視部209が管理している送信履歴を取得し、ステップS506で記録した送信履歴の実効ビットレートと、コンテンツビットレートとを比較する。この2つのビットレートが同等になった場合に、再生状態判定部207は、イニシャルバッファサイズ測定を終了したと判定する。なお、図7では、イニシャルバッファサイズ測定は、ストリームデータム取得要求を受信した後、ストリームデータを送信開始してから所定の期間(Tinit707)、継続される。また、図8では、送信開始より2.5秒経過時点で、イニシャルバッファ測定状態を終了する。
【0089】
イニシャルバッファサイズ測定期間中である場合(ステップS508がYes)、再生状態判定部207は、ステップS506で記録した送信履歴の送信データサイズをイニシャルバッファサイズとして加算する。再生状態判定部207は、読み出し区間判定部205に、イニシャルバッファ測定中と通知する(ステップS509)。読み出し区間判定部205は、送信済み位置の続きを次のコンテンツ送出開始位置に設定し、通信I/F部201に通知する(ステップS510)。通信I/F部201は、ステップS505に遷移して、ストリームデータの送信を継続する(ステップS505)。
【0090】
イニシャルバッファサイズ測定中でない場合(ステップS508がNo)、再生状態判定部207は、再生モードを判定する(S511)。具体的には、再生状態判定部207は、再生モードを早送り、スキップ、その他の3つを判定している。なお、特殊再生とは、再生モードが早送り、または、スキップの場合であり、通常再生とは、再生モードがその他の場合である。
【0091】
再生状態判定部207は、ステップS506で測定した実効ビットレートがコンテンツビットレートを超える場合に、再生モードを早送りと判定する。
【0092】
再生状態判定部207は、ステップS509により加算したイニシャルバッファサイズを用いて、再生制御装置102で再生中のコンテンツ位置(再生位置)を算出する。この再生位置は、図10の式1001を用いて算出する。具体的には、再生位置は、イニシャルバッファサイズをコンテンツビットレートで除算したイニシャルバッファ再生時間を求め、ステップS506で記憶した送信履歴の送信済み位置から、このイニシャルバッファ再生時間を減算した値となる。再生状態判定部207は、算出した再生制御装置102の再生位置と、最新のストリームデータ取得要求に含まれる範囲情報で指定された先頭位置の間にストリームデータが存在する場合に、再生モードをスキップと判定する。
【0093】
読み出し区間判定部205は、再生状態判定部207から判定結果を受け取り、再生モードが特殊再生(早送り、スキップ)か否かを判定する(ステップS512)。
【0094】
特殊再生でない場合(ステップS512がNo)、ステップS510に遷移し、読み出し区間判定部205は、送信済み位置の続きを次のコンテンツ送出開始位置に設定し、通信I/F部201に通知する(ステップS510)。通信I/F部201は、ステップS505に遷移して、ストリームデータの送信を継続する(ステップS505)。
【0095】
特殊再生である場合(ステップS512がYes)、読み出し区間判定部205は、特殊再生禁止か否かを判定する(ステップS513)。具体的には、読み出し区間判定部205は、ステップS510で算出した再生位置と、最新のストリームデータ取得要求に含まれる範囲情報で指定された先頭位置の間に、特殊再生禁止区間を含んでいるか否かを判定する。なお、この判定では、特殊再生禁止区間を全体若しくは一部がオーバラップしている場合に、含んでいると決定する。読み出し区間判定部205は、コンテンツ管理部203から対象のコンテンツの付加情報を取得し、付加情報に含まれる特再許可情報を用いて判定し、オーバラップしている場合に、特再生禁止と判定する。
【0096】
特殊再生禁止と判定した場合(ステップS513がYes)、読み出し区間判定部205は、次に送信するべきコンテンツ送出開始位置を、当該の特殊再生禁止区間の先頭に設定し、通信I/F部201に通知する(ステップS514)。通信I/F部201は、ステップS505に遷移して、ストリームデータの送信を継続する(ステップS505)。
【0097】
特殊再生禁止区間でないと判定した場合(ステップS513がNo)、ステップS510に遷移する。読み出し区間判定部205は、送信済み位置の続きを次のコンテンツ送出開始位置に設定し、通信I/F部201に通知する(ステップS510)。通信I/F部201は、ステップS505に遷移して、ストリームデータの送信を継続する(ステップS505)。
【0098】
以上により、コンテンツ提供装置101が、再生制御装置102での再生状態を監視し、特定再生禁止区間の特殊再生に対する制御を行うことができる。特に、コンテンツ提供装置101は、特殊再生禁止区間がスキップ又は早送りされたと判定した場合、特殊再生禁止区間の先頭から再生制御装置102に対してストリームデータを送信する。再生制御装置102は、特殊再生禁止区間のスキップを要求した場合、要求したとのは異なる位置からのストリームデータを受信することになる。
【0099】
以上の通り、本実施の形態によれば、各コンテンツのCM等の特殊再生禁止区間において、ユーザが再生制御装置102においてスキップ、早送りなどの特殊再生操作を行った場合、特殊再生禁止区間先頭からデータを送信する。この結果、再生制御装置102では、スキップ操作したにも関わらず、特殊再生禁止区間の映像が再生される。また、再生制御装置102では、特殊再生禁止区間を通常再生を行った場合は、特殊再生禁止区間以降のコンテンツを視聴することができる。
【0100】
なお、本実施の形態では、公衆ネットワークを介して、配信サーバよりコンテンツが配信されるコンテンツ配信システムを例に説明した。しかし、コンテンツ提供装置101がデジタル放送を録画し、CM区間を識別することで付加情報を生成し、映像ストリームと共に保存するといった形態でも構わない。
【0101】
また、特殊再生禁止区間の操作に対する特殊再生禁止区間の映像ストリーム送信という動作は、ユーザにとって予測外の挙動であり、特殊再生が禁止されている事が分かり難い。特殊再生禁止区間における特殊再生操作に対してCM視聴を促す様なテロップ映像を挿入することにより、ユーザにコンテンツ提供者の意図を伝えることができる。具体的には、コンテンツ提供装置101が、予め告知テロップ映像を予め用意しておく。特殊再生禁止区間映像(CM1)の先頭を送出する直前に、コンテンツ提供装置101のコンテンツ読み出し部211が、CM1の代わりに告知テロップを先に読み出し、再生制御装置102へ送信する。これにより、コンテンツ提供装置101は、図11の送信ストリーム(c)1101の様にCM1の直前にテロップを挿入し、本編1、テロップ、CM1の順番にストリームデータを送信する。再生制御装置102が告知テロップを再生することで、再生制御装置102を視聴中のユーザに、特殊再生が禁止されていることを通知することが可能となる。
【0102】
(実施の形態2)
実施の形態1はコンテンツ提供装置101と再生制御装置102が異なる機器として実装され、ネットワークを介してストリームデータを送受信するシステムを説明した。実施の形態2では、単一機器としてのコンテンツ蓄積再生装置について説明する。
【0103】
なお、本実施の形態の説明で用いられるコンテンツ及び付加情報は、実施の形態1において説明したものと同じである。また、配信サーバ104から公衆回線105を経由してコンテンツが配信される動作についても実施の形態1と同じである。
【0104】
本実施の形態のコンテンツ蓄積再生装置では、機器単体で配信サーバからコンテンツの取得と再生が可能である。また、コンテンツ蓄積再生装置は、コンテンツの再生に係わる機能としても再生制御装置102と同じく通常再生、特殊再生を提供する。
【0105】
<構成>
図12は、コンテンツ蓄積再生装置1200の構成の一例を示す図である。
【0106】
図12において、コンテンツ蓄積再生装置1200と配信サーバ1260とは、公衆ネットワーク1240を介して接続されている。コンテンツ蓄積再生装置1200は、配信サーバ1260から配信されたコンテンツを受信し、配信されたコンテンツを再生して、表示機器1250に出力表示する。なお、公衆ネットワーク1240は、インターネットである。
【0107】
コンテンツ蓄積再生装置1200は、ハードウェア的には、CPU、ネットワーク通信装置、メモリ及びハードディスク等で構成される。コンテンツ蓄積再生装置1200を構成する各構成部は、装置内部のメモリバス、制御バス等により接続されているものとする。機能的には、コンテンツ提供部1220、ユーザI/F部1221、再生制御部1222、ストリームデコード部1223、AV出力部1224、ネットワークI/F部1225、を有する。
【0108】
コンテンツ提供部1220は、図2に示したコンテンツ提供装置101と同様に、通信I/F部1201、コンテンツ管理部1203、読み出し区間判定部1205、再生状態判定部1207、伝送状態監視部1209、コンテンツ読み出し部1211、ストリームデータ記憶部1213、付加情報記憶部1215、を有する。コンテンツ蓄積再生装置1201の各機能動作は、メモリに格納された制御プログラムをCPUが実行することにより実現される。なお、本実施の形態を説明する上で特に重要でない機能については省略している。
【0109】
ネットワークI/F部1225は、公衆ネットワーク1240と接続しており、配信サーバ1260に対してコンテンツ取得要求を送信し、その応答として対応するコンテンツデータを受信する。また、ネットワークI/F部1225は、配信サーバ1260から受信したコンテンツデータを、コンテンツ管理部1203に出力する。
【0110】
ユーザI/F部1221は、ユーザからのコンテンツの再生、再生停止、スキップ、早送り等のコンテンツの再生に係わる指示を受け付ける機能を有する。具体的には、ユーザI/F部1221は、コンテンツ蓄積再生装置1200に備わるキーやボタンなどの入力部をユーザが操作した際に、対応する指示を電気信号として受け付ける。ユーザI/F部1221は、受け付けた指示を、再生制御部1222に通知する。なお、ユーザは、コンテンツ蓄積再生装置1200を操作するためのリモコンに備わる前記各指示を示す専用のボタンを操作することで、指示の入力を行ってもよい。
【0111】
再生制御部1222は、コンテンツの再生に係わる各種制御を行う機能を有する。再生制御部1222は、ユーザI/F部1221から、コンテンツ再生に係わる各種指示を受信すると、現在の再生状態に応じてストリームデコード部1223に対して、デコード制御コマンドを送信する。デコード制御コマンドには、開始指示、停止指示、再生モード変更指示などがある。
【0112】
ストリームデコード部1223は、MPEG2−TS形式で符号化された映像ストリームを復号するビデオ、オーディオデコーダ、復号前の符号化データを一時蓄積するデコードバッファメモリを備えている。ストリームデコード部1223は、再生制御部1222からのデコードの開始指示を受け取り、通信I/F部1201に符号化データを要求するストリームデータ取得要求を送信する。ストリームデコード部1223は、このストリームデータ取得要求に対するストリームデータを、通信I/F部1201から受信し、受信したストリームデータをデコードバッファに蓄積する。なお、このストリームデータは、符号化データであり、復号処理が必要である。デコードバッファが規定のサイズに達した後に、ストリームデータデコード部1223は、ビデオデコーダ、オーディオデコーダを用いて映像ストリームの復号を開始する。この復号処理により、符号化データは、デコーダによりRGB、PCM(Pulse Code Modulation)等の非圧縮デジタルデータに復号され、AV出力部1224へ出力される。
【0113】
AV出力部1224は、非圧縮デジタルデータを、ストリームデコード部1223から入力し、接続された表示機器1250の入力形式に応じた変換処理を行った後に、電気信号として表示機器1250に出力する。この変換処理は、例えば、D/A(Digital to Analog)変換等である。
【0114】
通信I/F部1201は、ストリームデコード部1223から送信されてきたストリームデータ取得要求を受信し、受信したストリームデータ取得要求に対する応答として、対応するストリームデータをストリームデコード部1223へ送信する。通信I/F部1201は、ストリームデコード部1223と、メモリバス等の機器内部バスで接続され、コンテンツストリームデータの伝送はDMA(Direct Memory Access)方式で行う。通信I/F部1201は、伝送先であるストリームデコード部1223の、メモリ領域の空き状況に応じて、DMA伝送の開始、停止を制御する。同時にメモリバス上に流れるストリームデータの送信速度についても管理しており、伝送状態監視部1209からの問い合わせに対しては、メモリバス上の伝送ビットレートを返す機能を有する。
【0115】
コンテンツ管理部1203は、ネットワークI/F部1225を介して、配信サーバ1260から受信したコンテンツについて、付加情報とストリームデータの組み合わせを管理する。また、コンテンツ管理部1203は、ストリームデコード部1223から受信したストリームデータ取得要求に対して、適切なコンテンツを選択する。更に、コンテンツ管理部203は、ストリームデコード部1223へ送信するストリームデータの範囲を決定する際に必要となるコンテンツ区間情報を管理する。
【0116】
上記以外の構成要素は、図2を用いて説明した各構成要素と同等の機能を有する。具体的には、読み出し区間判定部1205は、読み出し区間判定部205に対応している。再生状態判定部1207は、再生状態判定部207に対応している。伝送状態監視部1209は、伝送状態監視部209に対応している。コンテンツ読み出し部1211は、コンテンツ読み出し部211に対応している。ストリームデータ記憶部1213は、ストリームデータ記憶部213に対応している。付加情報記憶部1215は、付加情報記憶部215に対応している。
【0117】
以上により、本実施の形態におけるコンテンツ蓄積再生装置は、自機器での再生状態を特定し、この再生状態と、ユーザから指示された再生操作に基づいて、特定再生禁止区間の特殊再生を制御することができる。
【0118】
<動作>
次に、具体的なユーザ操作に沿って、本実施の形態におけるコンテンツ蓄積再生装置1200の動作を説明する。
【0119】
ユーザは、コンテンツ蓄積再生装置1200を起動した後、再生対象のコンテンツを選択し、再生操作を行う。なお、コンテンツ蓄積再生装置1200は、起動直後であり、コンテンツ再生を行っていないものとする。
【0120】
ユーザI/F部1221は、ユーザの再生操作に対応する再生指示を受け付け、受け付けた再生指示を、再生制御部1222に送信する。
【0121】
再生制御部1222は、起動直後であり、再生状態は停止となっている。再生制御部1222は、ユーザI/F部1221から再生指示を受信し、ストリームデコード部1223に対し、通常再生モードでの再生の開始指示を送信する。この開始指示は、デコード制御コマンドであり、付加情報として、コンテンツ識別子と、再生モード(通常再生)を含んでいる。
【0122】
ストリームデコード部1223は、再生制御部1222から開始指示を受信すると、ビデオ、オーディオそれぞれのデコーダを初期化し、ストリームの入力待ち状態とする。次に、ストリームデコード部1223は、再生対象のコンテンツに対するストリームデータ取得要求を、通信I/F部1201に送信する。
【0123】
通信I/F部1201は、ストリームデータ取得要求で指定されたコンテンツを示す識別子を確認し、コンテンツ変化の有無を判定する。コンテンツ変化の有無の判定とは、新しく受信したストリームデータ取得要求で指定されたコンテンツと、従前に対象としていたコンテンツとが、同じであるか否かを判定する。ここでは、起動直後であり、従前のコンテンツ再生を行っていないため、コンテンツ変化ありと判定することになる。
【0124】
通信I/F部1201は、伝送状態監視部1209に開始を通知し、伝送状態監視部1209は、再生状態判定部1209に初期化を指示する。再生状態判定部1207は、再生状態に係わる各種値を初期化する。初期化により、送出済みコンテンツ位置はコンテンツ先頭、再生モードは通常再生、イニシャルバッファ量は0と設定する。
【0125】
通信I/F部1201は、コンテンツ管理部1203にコンテンツ付加情報の取得を要求する。コンテンツ管理部1203は、送信対象となるコンテンツの付加情報を付加情報記憶部1215から取得し、通信I/F部1201に通知する。
【0126】
通信I/F部1201は、コンテンツ読み出し部1211に読み出し要求を通知する。コンテンツ読み出し部1211は、読み出し要求で指定されたストリームデータを、ストリームデータ記憶部1213から読み出し、通信I/F部1201に送信する。通信I/F部1201は、受信したストリームデータを、ストリームデコード部1223へ送信する。
【0127】
ストリームデコード部1223は、通信I/F部1201からストリームデータを受信すると、デコードバッファにストリームデータを蓄積する。このストリームデータは、符号化データであるため、デコードバッファが規定のデータ量で満たされた後に、デコーダによる復号動作を開始する。デコーダは復号した非圧縮デジタルデータを、映像ストリームに一定間隔で付与されたPTSに基づき、逐次AV出力部1224に出力する。
【0128】
AV出力部1224は、入力した非圧縮デジタルデータを、表示機器1250へ出力する。
【0129】
ストリームデコード部1223は、デコーダにより符号化データが使用され、不要となった場合に、デコードバッファから当該データを削除する。この結果、デコードバッファに空き領域ができる。
【0130】
通信I/F部1201は、ストリームデコード部1223からストリームデータ取得要求を受け付けた状態、つまり、データ伝送モード中は、常にデコードバッファの空き領域を監視する。通信I/F部1201は、この監視により、空き領域の発生を検知して、ストリームデコード部1223へストリームデータを伝送し、コンテンツの通常再生を行う。
【0131】
以上説明した動作の結果、コンテンツ蓄積再生装置1200では、メモリバス上に送信されるデータの送信ビットレートと、コンテンツのビットレートを同一の時間軸で対比した場合、前述した、図7と同じグラフとなる。
【0132】
続いて、スキップ操作時のコンテンツ蓄積再生装置1200の動作を説明する。
【0133】
ユーザは、スキップ操作を行う。なお、コンテンツ蓄積再生装置1200は、コンテンツを通常再生中であるものとする。
【0134】
ユーザI/F部1221は、ユーザのスキップ操作に対応するスキップ指示を受け付け、受け付けたスキップ指示を、再生制御部1222に送信する。
【0135】
再生制御部1222は、現在通常再生中である。再生制御部1222は、ユーザI/F部1221からスキップ指示を受信し、ストリームデコード部1223に対し、再生停止指示を送信する。この再生停止指示は、デコード制御コマンドである。
【0136】
ストリームでコード部1223は、再生制御部1222から再生停止指示を受信すると、デコード処理を中断した後に、符号化データの伝送停止要求を、通信I/F部1201に送信する。通信I/F部1201は、ストリームデコード部1223への伝送を停止し、次のストリーム取得要求を待つ。ストリームデコード部1223は、伝送が停止した事を確認した後に、デコードバッファ内に蓄積された符号化ストリームを全て破棄する。
【0137】
次に、再生制御部1222は、ストリームデコード部1223に対し、通常再生モードでの再生の開始指示を送信する。この開始指示は、デコード制御コマンドであり、付加情報として、コンテンツ識別子と、スキップ先を指定した再生開始位置情報と、再生モード(通常再生)を含んでいる。
【0138】
ストリームデコード部1223は、再生制御部1222から開始指示を受信すると、開始指示に含まれている再生開始位置情報に基づいて、ストリームデータ取得要求を、通信I/F部1201へ送信する。このストリーム取得要求は、範囲情報を含んでいる。
【0139】
通信I/F部1201は、ストリームデータ取得要求を受信し、読み出し区間判定部1205に、次に送信する送出開始位置を問い合わせる。読み出し区間判定部1205は、再生状態判定部1207に、再生状態の判定を要求する。再生状態判定部1207は、再生モードをスキップと判定する。
【0140】
読み出し区間判定部1205は、再生状態判定部1207から判定結果を受け取り、再生モードが特殊再生(スキップ)であるため、特殊再生禁止か否かを判定する。具体的には、読み出し区間判定部1205は、再生停止時の再生位置と、最新のストリームデータ取得要求に含まれる範囲情報で指定された先頭位置の間に、特殊再生禁止区間を含んでいるか否かを判定する。なお、この判定では、特殊再生禁止区間を全体若しくは一部がオーバラップしている場合に、含んでいると決定する。読み出し区間判定部1205は、コンテンツ管理部1203から対象のコンテンツの付加情報を取得し、付加情報に含まれる特再許可情報を用いて判定し、オーバラップしている場合に、特再生禁止と判定する。
【0141】
特殊再生禁止と判定した場合、読み出し区間判定部1205は、次に送信するべきコンテンツ送出開始位置を、当該の特殊再生禁止区間の先頭に設定し、通信I/F部1201に通知する。一方、特殊再生禁止区間でないと判定した場合、読み出し区間判定部1205は、ストリームデータ取得要求に含まれる範囲情報で指定された先頭位置を、次のコンテンツ送出開始位置に設定し、通信I/F部1201に通知する。
【0142】
通信I/F部1201は、通知されたコンテンツ送出開始位置に基づいて、コンテンツ読み出し部1211に読み出し要求を通知する。コンテンツ読み出し部1211は、読み出し要求で指定されたストリームデータを、ストリームデータ記憶部1213から読み出し、通信I/F部1201に送信する。通信I/F部1201は、受信したストリームデータをストリームデコード部1223へ送信する。
【0143】
ストリームデコード部1223は、通信I/F部1201からストリームデータを受信すると、デコードバッファにストリームデータを蓄積する。このストリームデータは、符号化データであるため、デコードバッファが規定のデータ量で満たされた後に、デコーダによる復号動作を開始する。デコードの後は、前述した通常再生と同様の動作を行ない、コンテンツを再生する。
【0144】
続いて、早送り操作時のコンテンツ蓄積再生装置1200の動作を説明する。
【0145】
ユーザは、早送り操作を行う。なお、コンテンツ蓄積再生装置1200は、コンテンツを通常再生中であるものとする。
【0146】
ユーザI/F部1221は、ユーザの早送り操作に対応する早送り指示を受け付け、受け付けた早送り指示を、再生制御部1222に送信する。
【0147】
再生制御部1222は、現在通常再生中である。再生制御部1222は、ユーザI/F部1221から早送り指示を受信し、ストリームデコード部1223に対し、再生モード変更指示を送信する。この再生モード変更指示は、デコード制御コマンドであり、例えば2倍速の場合は200%での再生を指示する再生速度を、付加情報として含んでいる。
【0148】
ストリームデコード部1223は、再生制御部1222から再生モード変更指示を受信すると、ビデオデコーダに対してMPEGビデオストリームのIピクチャのみをデコードする間欠再生モードへの遷移を指示すると共に、オーディオデコーダに対しては停止指示を行う。間欠再生モードで動作中のビデオデコーダはIピクチャのみをデコードする等し、通常再生に対して2倍の速度で符号化データを読み出す。この結果、デコードバッファも2倍の速度で消費される。この結果、通信I/F部1201からメモリバス上に伝送されるデータ量も2倍となる。
【0149】
伝送状態監視部1209は、メモリバス上の送信ビットレートを監視して、送信履歴を記録しており、再生状態判定部1207は、この送信履歴を用いて、再生状態判定部1207は、再生モードを早送りと判定することができる。
【0150】
通信I/F部1201は、読み出し区間判定部1205に、次に送信する送出開始位置を問い合わせる。読み出し区間判定部1205は、再生状態判定部1207に、再生状態の判定を要求する。再生状態判定部1207は、再生モードを早送りと判定する。
【0151】
読み出し区間判定部1205は、再生状態判定部1207から判定結果を受け取り、再生モードが特殊再生(早送り)であるため、特殊再生禁止か否かを判定する。具体的には、読み出し区間判定部1205は、再生停止時の再生位置と、最新のストリームデータ取得要求に含まれる範囲情報で指定された先頭位置の間に、特殊再生禁止区間を含んでいるか否かを判定する。なお、この判定では、特殊再生禁止区間を全体若しくは一部がオーバラップしている場合に、含んでいると決定する。読み出し区間判定部1205は、コンテンツ管理部1203から対象のコンテンツの付加情報を取得し、付加情報に含まれる特再許可情報を用いて判定し、オーバラップしている場合に、特再生禁止と判定する。
【0152】
特殊再生禁止と判定した場合、読み出し区間判定部1205は、次に送信するべきコンテンツ送出開始位置を、当該の特殊再生禁止区間の先頭に設定し、通信I/F部1201に通知する。一方、特殊再生禁止区間でないと判定した場合、読み出し区間判定部1205は、ストリームデータ取得要求に含まれる範囲情報で指定された先頭位置を、次のコンテンツ送出開始位置に設定し、通信I/F部1201に通知する。
【0153】
通信I/F部1201は、通知されたコンテンツ送出開始位置に基づいて、コンテンツ読み出し部1211に読み出し要求を通知する。コンテンツ読み出し部1211は、読み出し要求で指定されたストリームデータを、ストリームデータ記憶部1213から読み出し、通信I/F部1201に送信する。通信I/F部1201は、受信したストリームデータをストリームデコード部1223へ送信する。
【0154】
ストリームデコード部1223は、通信I/F部1201からストリームデータを受信すると、デコードバッファにストリームデータを蓄積する。このストリームデータは、符号化データであるため、デコードバッファが規定のデータ量で満たされた後に、デコーダによる復号動作を開始する。デコードの後は、前述した通常再生と同様の動作を行ない、コンテンツを再生する。
【0155】
以上により、本実施の形態におけるコンテンツ蓄積再生装置は、自機器での再生状態を特定し、この再生状態と、ユーザから指示された再生操作に基づいて、特定再生禁止区間の特殊再生を制御することができる。特に、ユーザI/F部1221、再生制御部1222、ストリームデコード部1223、AV出力部1224は、特殊再生禁止区間に係わる制御を行う必要はない。
【0156】
なお、本発明を上記実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上記の実施の形態に限定されないのはもちろんである。
【0157】
(1)上記の各装置は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクユニット、ディスプレイユニット、キーボード、マウスなどから構成されるコンピュータシステムである。前記RAMまたはハードディスクユニットには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、各装置は、その機能を達成する。ここでコンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
【0158】
(2)上記の各装置を構成する構成要素の一部または全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。前記RAMには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
【0159】
(3)上記の各装置を構成する構成要素の一部または全部は、各装置に脱着可能なICカードまたは単体のモジュールから構成されているとしてもよい。前記ICカードまたは前記モジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどから構成されるコンピュータシステムである。前記ICカードまたは前記モジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしてもよい。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、前記ICカードまたは前記モジュールは、その機能を達成する。このICカードまたはこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしてもよい。
【0160】
(4)本発明は、上記に示す方法であるとしてもよい。また、本発明は、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしてもよいし、前記コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしてもよい。
【0161】
また、本発明は、前記コンピュータプログラムまたは前記デジタル信号をコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録したものとしてもよく、また、記録媒体に記録されている前記デジタル信号であるとしてもよい。この記録媒体とは、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−ROM、MO、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、BD(Blu−ray Disc)、半導体メモリなどである。
【0162】
また、本発明は、前記コンピュータプログラムまたは前記デジタル信号を、電気通信回線、無線または有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしてもよい。
【0163】
また、本発明は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、前記メモリは、コンピュータプログラムを記憶しており、前記マイクロプロセッサは、前記コンピュータプログラムにしたがって動作するとしてもよい。
【0164】
また、本発明は、前記プログラムまたは前記デジタル信号を、前記記録媒体に記録して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。また、本発明は、前記プログラムまたは前記デジタル信号を、前記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。
【0165】
(5)本発明は、上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0166】
本発明にかかるコンテンツ提供装置は、再生制御装置でのコンテンツ読み出し状態を監視し、特定再生禁止区間の特殊再生に対する制御を行う機能を有し、映像データの記録、蓄積、再生機能を備えた機器に対して有用である。また、映像データを他機器へ提供する機能を有するパーソナルコンピュータ、携帯電話などのネットワーク接続可能な機器などの用途にも応用できる。
【符号の説明】
【0167】
101 コンテンツ提供装置
102 再生制御装置
103 ローカルネットワーク
104,1260 配信サーバ
105,1240 公衆ネットワーク
201,1201 通信I/F部
203,1203 コンテンツ管理部
205,1205 読み出し区間判定部
207,1207 再生状態判定部
209,1209 伝送状態監視部
211,1211 コンテンツ読み出し部
213,1213 ストリームデータ記憶部
215,1215 付加情報記憶部
1200 コンテンツ蓄積再生装置
1220 コンテンツ提供部
1221 ユーザI/F部
1222 再生制御部
1223 ストリームデコード部
1224 AV出力部
1225 ネットワークI/F部
1250 表示機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像コンテンツを保持し、前記映像コンテンツのストリームデータを送信するコンテンツ提供装置であって、
前記映像コンテンツのストリームデータを保持するストリームデータ記憶手段と、
前記映像コンテンツに対する特殊再生禁止区間情報を保持する付加情報記憶手段と、
前記ストリームデータ記憶手段に保持されているストリームデータと、前記付加情報記憶手段に保持されている付加情報を管理するコンテンツ管理手段と、
送信中のストリームデータの通信状態を監視する伝送状態監視手段と、
前記伝送状態監視手段で監視した通信状態に基づいて、前記送信中のストリームデータに対し、送信先での再生位置と再生モードからなる再生状態を判定する再生状態判定手段と、
前記再生状態判定手段で判定した送信先での再生位置と再生状態に基づいて、次に送信するストリームデータの送出位置を決定する読み出し区間判定手段と、
前記読み出し区間判定手段が決定した送出位置のストリームデータを、前記ストリームデータ記憶手段から読み出すコンテンツ読み出し手段と、
前記コンテンツ読み出し手段が読み出した前記ストリームデータを送信する通信I/F手段を備え、
前記再生状態判定手段が判定した再生状態が特殊再生である場合に、前記読み出し区間判定手段は、前記付加情報記憶手段に保持されている特殊再生禁止区間情報を用いて、特殊再生禁止区間が特殊再生対象か否かを判定し、判定結果が特殊再生対象である場合に、次に送出するストリームデータの送出位置を、前記特殊再生禁止区間の先頭位置に決定することを特徴とするコンテンツ提供装置。
【請求項2】
前記伝送状態監視手段は、送信中のストリームデータの送信速度と、送信済みの位置情報を監視し、
前記再生状態判定手段は、前記送信速度と、前記映像コンテンツの再生速度とを比較し、送信先での再生位置と再生モードを判定することを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ提供装置。
【請求項3】
前記再生状態判定手段は、前記送信速度と、前記映像コンテンツの前記再生速度とを比較し、前記送信速度が前記映像コンテンツの前記再生速度を超える場合に、送信先の再生バッファへデータ格納中であると判断し、前記送信速度が前記映像コンテンツの前記再生速度と等しくなった場合に、通常再生状態に遷移したと判断し、前記再生バッファへデータ格納中に送信したストリームデータ量を前記再生バッファサイズと特定することを特徴とする、請求項2に記載のコンテンツ提供装置。
【請求項4】
前記再生状態判定手段は、前記伝送状態監視手段が監視した送信済みの位置情報から、前記特定した再生バッファサイズを減算した位置を、送信先での再生位置と決定することを特徴とする請求項3に記載のコンテンツ提供装置。
【請求項5】
前記読み出し区間判定手段が、特殊再生禁止区間が特殊再生対象であると判定した場合に、前記コンテンツ読み出し手段は、特殊再生操作が禁止されている旨のメッセージを含む告知映像のストリームデータを、前記ストリームデータ記憶手段から読み出し、前期通信I/F手段は、前記告知映像のストリームデータを送信することを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ提供装置。
【請求項6】
映像コンテンツのストリームデータを保持するストリームデータ記憶部と、前記映像コンテンツに対する特殊再生禁止区間情報を保持する付加情報記憶部とを備えた装置において、前記映像コンテンツのストリームデータを送信するコンテンツ提供方法であって、
前記ストリームデータ記憶部に保持されているストリームデータと、前記付加情報記憶部に保持されている付加情報を管理するコンテンツ管理ステップと、
送信中のストリームデータの通信状態を監視する伝送状態監視ステップと、
前記伝送状態監視ステップで監視した通信状態に基づいて、前記送信中のストリームデータに対し、送信先での再生位置と再生モードからなる再生状態を判定する再生状態判定ステップと、
前記再生状態判定ステップで判定した送信先での再生位置と再生状態に基づいて、次に送信するストリームデータの送出位置を決定する読み出し区間判定ステップと、
前記読み出し区間判定ステップで決定した送出位置のストリームデータを、前記ストリームデータ記憶部から読み出すコンテンツ読み出しステップと、
前記コンテンツ読み出しステップで読み出した前記ストリームデータを送信する通信ステップを備え、
前記再生状態判定ステップで判定した再生状態が特殊再生である場合に、前記読み出し区間判定ステップは、前記付加情報記憶部に保持されている特殊再生禁止区間情報を用いて、特殊再生禁止区間が特殊再生対象か否かを判定し、判定結果が特殊再生対象である場合に、次に送出するストリームデータの送出位置を、前記特殊再生禁止区間の先頭位置に決定することを特徴とするコンテンツ提供方法。
【請求項7】
映像コンテンツのストリームデータを保持するストリームデータ記憶部と、前記映像コンテンツに対する特殊再生禁止区間情報を保持する付加情報記憶部とを備えた装置において、前記映像コンテンツのストリームデータを送信するコンテンツ提供プログラムであって、
前記ストリームデータ記憶部に保持されているストリームデータと、前記付加情報記憶部に保持されている付加情報を管理するコンテンツ管理ステップと、
送信中のストリームデータの通信状態を監視する伝送状態監視ステップと、
前記伝送状態監視ステップで監視した通信状態に基づいて、前記送信中のストリームデータに対し、送信先での再生位置と再生モードからなる再生状態を判定する再生状態判定ステップと、
前記再生状態判定ステップで判定した送信先での再生位置と再生状態に基づいて、次に送信するストリームデータの送出位置を決定する読み出し区間判定ステップと、
前記読み出し区間判定ステップで決定した送出位置のストリームデータを、前記ストリームデータ記憶部から読み出すコンテンツ読み出しステップと、
前記コンテンツ読み出しステップで読み出した前記ストリームデータを送信する通信ステップを備え、
前記再生状態判定ステップで判定した再生状態が特殊再生である場合に、前記読み出し区間判定ステップは、前記付加情報記憶部に保持されている特殊再生禁止区間情報を用いて、特殊再生禁止区間が特殊再生対象か否かを判定し、判定結果が特殊再生対象である場合に、次に送出するストリームデータの送出位置を、前記特殊再生禁止区間の先頭位置に決定することを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−142644(P2012−142644A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−109182(P2009−109182)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】