説明

コンテンツ表示装置およびコンテンツ表示方法

【課題】携帯電話から取得した車載機側での利用価値が高いコンテンツを、携帯電話の動作状況にかかわらず車載機側において可及的に長時間表示する「コンテンツ表示装置およびコンテンツ表示方法」を提供すること。
【解決手段】携帯電話3から取得したコンテンツが、携帯電話3からの取得が中断される場合であっても表示を継続すべき所定のコンテンツの場合に、当該コンテンツを記憶部15に保存し、前記所定のコンテンツの表示中に、当該コンテンツの携帯電話3からの取得が中断される所定のイベントが携帯電話3側で発生した場合には、当該イベントの発生後は、記憶部15に保存されている当該コンテンツを所定の条件が満足されるまでの期間継続的に表示すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツ表示装置およびコンテンツ表示方法に係り、特に、携帯電話を接続した状態で、当該携帯電話が表示するコンテンツを車載の表示部にも表示するのに好適なコンテンツ表示装置およびコンテンツ表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車載機に対するユーザのニーズの多様化等を背景として、車載機の外部機器との連携を強化することによって車載機のユーザビリティを向上させるための種々の技術が提案されるようになった。
【0003】
その一例として、スマートフォン(登録商標)等の通常の電話機能とともに種々のコンテンツの再生機能を備えた携帯電話(外部機器)を、USB接続等の接続方法を用いて車載機に接続した上で、当該携帯電話において再生されるコンテンツを車載機側で出力させる技術が知られている。
【0004】
このような技術においては、コンテンツが映像の場合には、携帯電話の表示部に表示されるコンテンツが、車載機の表示部にもそのまま表示されるようになっていた。
【0005】
そして、この種の技術に適用される携帯電話では、コンテンツとしてナビゲーションにおける地図画面や案内画面等のナビゲーション画面を表示することもできるので(例えば、特許文献1参照)、このようなナビゲーション画面を車載機側でも表示させれば、元々車載機ならではのコンテンツを車載機を用いた本来の利用態様で利用することが可能であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2009−510565号公報
【特許文献2】特開2002−237877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前述のように、携帯電話によって再生されるコンテンツを車載機側で出力させる際には、携帯電話から車載機にコンテンツの映像データまたは音声データがストリーム転送されるため、携帯電話によって再生されたコンテンツが車載機側においてリアルタイムに出力(表示または音声出力)されていた。
【0008】
このため、例えば、次の第1の場面および第2の場面においては、車載機側でのナビゲーション画面の表示を中断せざるを得なくなっていた。
【0009】
まず、第1の場面は、図5(a)に示すように、車載機1によるナビゲーション画面2(図中では案内画面)の表示中に、携帯電話3に着信があった場面である。この場合には、携帯電話3において電話機能が優先されるため、図5(b)に示すように、携帯電話3の表示部3aには、着信画面4が割り込み表示されることになる。そして、これにともなって、図5(b)に示すように、車載機1の表示部1aにも着信画面4がリアルタイムに表示されるので、ナビゲーション画面2を表示することができなくなる。
【0010】
また、第2の場面は、車載機によるナビゲーション画面の表示中に一時的に携帯電話を車載機から取り外して他の用途に使用する場面である。この場合にも、携帯電話から車載機への一切の映像/音声データのストリーム転送が途切れるため、ナビゲーション画面を表示することができなくなる。
【0011】
このように、従来は、携帯電話が表示するコンテンツを車載機側で表示する場合に、車載機側での表示内容が携帯電話の動作状況に依存(従属)していたため、たとえ車載機側でナビゲーション画面のような運転時における利用に特化した車載機側での利用価値が高いコンテンツを表示している場合であっても、携帯電話の動作状況の如何によっては、そのような重要なコンテンツの表示でさえも直ちに中断しなければならなかった。
【0012】
そこで、本発明は、このような点に鑑みなされたものであり、携帯電話から取得した車載機側での利用価値が高いコンテンツを、携帯電話の動作状況にかかわらず車載機側において可及的に長時間表示することができ、ひいては車載機の利便性を向上させることができるコンテンツ表示装置およびコンテンツ表示方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前述した目的を達成するため、本発明に係るコンテンツ表示装置は、車両に搭載されるとともに携帯電話が接続可能とされ、接続された前記携帯電話が表示するコンテンツを前記携帯電話から取得する取得装置と、この取得装置によって取得された前記コンテンツを表示部に表示する表示処理装置とを備えたコンテンツ表示装置であって、前記取得装置によって取得された前記コンテンツが、このコンテンツの前記携帯電話からの取得が中断される場合であっても前記表示部への表示を継続すべき所定のコンテンツの場合に、当該取得されたコンテンツを記憶部に保存する保存処理装置を備え、前記表示処理装置は、前記所定のコンテンツの表示中に、当該コンテンツの前記携帯電話からの取得が中断される所定のイベントが前記携帯電話側で発生した場合には、前記記憶部に保存されている当該コンテンツを、当該イベントの発生時から所定の条件が満足されるまでの期間継続的に表示することを特徴としている。
【0014】
また、本発明に係るコンテンツ表示方法は、車両に搭載されたコンテンツ表示装置に携帯電話を接続した状態で、当該コンテンツ表示装置において、当該携帯電話が表示するコンテンツを当該携帯電話から取得して当該コンテンツ表示装置の表示部に表示するためのコンテンツ表示方法であって、前記携帯電話から取得したコンテンツが、このコンテンツの前記携帯電話からの取得が中断される場合であっても前記表示部への表示を継続すべき所定のコンテンツであるか否の第1の判定を行うステップと、前記第1の判定において肯定的な判定結果が得られた場合に、前記取得したコンテンツを前記コンテンツ表示装置の記憶部に保存するステップと、前記所定のコンテンツの表示中に、当該コンテンツの前記携帯電話からの取得が中断される所定のイベントが前記携帯電話側で発生したか否かの第2の判定を行うステップと、前記第2の判定において肯定的な判定結果が得られた場合に、前記記憶部に保存されている前記所定のコンテンツを読み出して、当該コンテンツの継続的な表示を開始するステップと、前記所定のコンテンツの継続的な表示の開始後に、当該継続的な表示を終了すべき所定の条件が満足されたか否かの第3の判定を行うステップと、前記第3の判定において肯定的な判定結果が得られた場合に、前記所定のコンテンツの継続的な表示を終了するステップとを含むことを特徴としている。
【0015】
本発明によれば、所定のコンテンツの表示中に、当該コンテンツの携帯電話からの取得が中断されるイベントが発生した場合であっても、記憶部に保存されている当該コンテンツを所定の期間継続的に表示することができるので、携帯電話側から取得された車載機側での利用価値が高いコンテンツを、携帯電話の動作状況にかかわらず車載機側において可及的に長時間表示することができ、ひいては車載機の利便性を向上させることができる。
【0016】
ここで、前記所定のイベントは、前記携帯電話への着信を含み、前記所定のコンテンツの表示中に前記着信があった場合には、当該着信にともなって前記携帯電話から取得した当該携帯電話の着信画面の表示に代えて、当該所定のコンテンツの継続的な表示を行ってもよい。この場合には、携帯電話側では着信画面の表示が優先される場合であっても、車載機側では所定のコンテンツの表示を保持することができる。
【0017】
また、前記所定のイベントに前記携帯電話に着信があったことを含ませる場合には、前記継続的な表示を行う前記所定のコンテンツの画面上に、前記着信を通知するための簡易情報を重ねて表示してもよい。この場合には、所定のコンテンツの表示を保持しつつ着信があったことをユーザに通知することができるので、利便性をさらに向上させることができる。
【0018】
さらに、前記所定のイベントは、前記携帯電話の前記コンテンツ表示装置(本体)との接続を切断することを含んでもよい。この場合には、一時的に携帯電話側から一切のコンテンツを取得できなくなった場合であっても、車載機側において所定のコンテンツの表示を保持することができる。
【0019】
さらにまた、前記所定のコンテンツは、ナビゲーション画面を含んでもよい。この場合には、車載機側での利用価値が高い代表的なコンテンツを可及的に長時間表示することができるので、利便性を確実に向上させることができる。
【0020】
また、前記所定のコンテンツにナビゲーション画面を含ませる場合における前記所定の条件は、前記所定のコンテンツの継続的な表示を開始した地点から前記車両が所定距離移動したことを含んでもよい。この場合には、継続的に表示されているナビゲーション画面(例えば、地図画面)が車両の移動にともなって車両の現在地に著しく適合しない画面となった場合には、そのようなナビゲーション画面の継続表示を終了することによってユーザの混乱を未然に回避することができる。
【0021】
さらに、前記所定のコンテンツにナビゲーション画面を含ませる場合における前記所定の条件は、前記所定のコンテンツの継続的な表示を開始した時点から所定時間が経過したことを含んでもよい。この場合には、継続的に表示されているナビゲーション画面(例えば、案内画面)が時間経過にともなって現在採るべき走行方法に適合しない画面となった場合には、そのようなナビゲーション画面の継続表示を終了することによってユーザの混乱を未然に回避することができる。
【0022】
さらにまた、前記所定のコンテンツの継続的な表示を終了した後に、前記所定の条件が満足された時点以後に前記携帯電話から取得したコンテンツを表示してもよい。この場合には、車載機側において所定のコンテンツの表示を所定期間保持した後は、通常の表示方法にしたがって携帯電話から取得されるコンテンツの表示を再開することができる。
【0023】
また、前記所定のコンテンツの継続的な表示の終了後に、前記所定のコンテンツが無効になった旨を通知するための情報を表示してもよい。この場合には、ユーザが所定のコンテンツが無効になったことを確実に把握することができるので、ユーザの混乱を緩和することができる。
【0024】
さらに、前記所定のコンテンツの最新画面のみを前記記憶部に保存してもよい。この場合には、前記所定のイベントが発生した時点で車載機側で表示されていた画面をそのまま表示し続けることができるので、ユーザに与える違和感を軽減することができるとともに、記憶部の容量を抑えることができるので、コストを削減することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、携帯電話から取得した車載機側での利用価値が高いコンテンツを、携帯電話の動作状況にかかわらず車載機側において可及的に長時間表示することができ、ひいては車載機の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係るコンテンツ表示装置の実施形態において、コンテンツ表示装置としての車載機を含むシステムの概要を示す構成図
【図2】図1の車載機のブロック図
【図3】図1のシステムによるコンテンツの表示状態を示す模式図
【図4】本発明に係るコンテンツ表示方法の実施形態を示すフローチャート
【図5】従来の問題点を説明するための説明図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係るコンテンツ表示装置の実施形態について、図1乃至図3を参照して説明する。なお、従来と基本的構成が同一もしくはこれに類する箇所については、同一の符号を用いて説明する。
【0028】
図1は、本実施形態におけるコンテンツ表示装置としての車載機(ヘッドユニット)7を含むコンテンツ再生システム8の概要を示したものである。
【0029】
図1に示すように、コンテンツ再生システム8は、車両(自車)に搭載された車載機7と、この車載機7にそれぞれ接続された携帯電話3およびGPSアンテナ10とによって構成されている。
【0030】
なお、携帯電話3としては、前述したスマートフォン等の携帯電話側で再生・出力されるコンテンツを車載機7側でも出力可能な携帯電話を用いることができる。また、携帯電話3と車載機7との接続方法としては、USB接続やblue tooth接続等の種々の接続方法を用いることができる。さらに、図示はしないが、車載機7は、携帯電話3との通信インターフェース、CPU、メモリ、バス、タッチパネルやリモコン等の入力手段、ディスプレイおよびスピーカ等の各種のハードウェアと、CPUが実行するプログラム(ソフトウェア)とによって構成することができる。
【0031】
このようなコンテンツ再生システム8において、携帯電話3は、通常の電話機能以外のコンテンツを再生するためのアプリケーションによって、自らの記憶部に記憶されているコンテンツあるいは通信を介してコンテンツの配信サーバから取得したコンテンツを再生するようになっている。このとき再生されるコンテンツとしては、楽曲コンテンツやナビゲーションコンテンツ等の種々のコンテンツを挙げることができる。ただし、ナビゲーションコンテンツとは、地図表示に用いる地図画面や、経路誘導に用いる案内画面または案内音声等のナビゲーションの機能の実行に用いる映像コンテンツおよび音声コンテンツを総括した概念である。
【0032】
この携帯電話3によるコンテンツの再生は、この再生を指示するための携帯電話3自体に対するユーザの入力操作にともなって行われるものであってもよいし、この携帯電話3に接続された車載機7に対するユーザの入力操作にともなって行われるものであってもよい。なお、当該車載機7に対する入力操作は、携帯電話3が保有するコンテンツの車載機7側での出力の要求というかたちで行われてもよい。
【0033】
そして、このようにして携帯電話3によるコンテンツの再生が行われる際に、携帯電話3は、図1に示すように、当該コンテンツを構成する映像データおよび/または音声データを車載機7に送信するようになっている。このとき、当該映像/音声データは、携帯電話3側での当該コンテンツの再生の進捗状況に合わせてストリーム転送されるようになっている。
【0034】
また、このとき、携帯電話3は、図1に示すように、コンテンツを構成する映像/音声データ以外にも、付加情報を当該映像/音声データに付加して車載機7に送信するようになっている。この付加情報は、例えば、携帯電話3が接続状態であることを示す情報、送信されるコンテンツの種別(例えば、地図画面、案内画面、着信画面等)を示す情報および携帯電話3に着信があったことを示す情報等の種々の情報を適宜含むものであってもよい。
【0035】
また、GPSアンテナ10には、不図示のGPS衛星から、軌道および時刻に関する情報(以下、GPS情報と称する)が定期的(例えば、数秒おき)に配信されるようになっており、この配信されたGPS情報は、車載機7に入力された上で車載機7によって携帯電話3に逐次送信されるようになっている。
【0036】
携帯電話3に送信されたGPS情報は、携帯電話3がナビゲーションコンテンツを配信サーバから取得するために必要な情報として、携帯電話3によって配信サーバに送信されるようにしてもよい。なお、携帯電話3自体がGPS情報の受信機能を備えていてもよい。
【0037】
また、このような車載機7側からのGPS情報の送信は、車載機7側において携帯電話3にナビゲーションコンテンツを要求する際に、携帯電話3へのナビゲーションコンテンツの要求信号の送信とともに開始するようにしてもよい。
【0038】
次に、図2は、車載機7のコンテンツ表示装置としての機能を示すブロック図である。
【0039】
図2に示すように、車載機7は、取得装置としてのコンテンツ取得部11を有している。このコンテンツ取得部11は、車載機7に接続された携帯電話3が表示するコンテンツ(映像コンテンツ)を、図1に示したような携帯電話3からの当該コンテンツの映像データの送信が行われることによって携帯電話3から取得するようになっている。
【0040】
また、図2に示すように、車載機7は、表示処理装置としてのコンテンツ表示処理部12を有している。このコンテンツ表示処理部12は、コンテンツ取得部11によって取得されたコンテンツを表示部1aに表示するようになっている。
【0041】
さらに、図2に示すように、車載機7は、保存処理装置としてのコンテンツ保存処理部14を有している。このコンテンツ保存処理部14は、コンテンツ取得部11によって取得されたコンテンツが、このコンテンツの携帯電話3からの取得が中断される場合であっても表示部1aへの表示を継続すべき所定のコンテンツ(以下、継続表示対象コンテンツと称する)の場合には、当該継続表示対象コンテンツをコンテンツ記憶部15に保存するようになっている。なお、コンテンツ取得部11によって取得されたコンテンツが継続表示対象コンテンツであるか否かは、コンテンツの映像データとともに取得された当該映像データに対応付けられた付加情報に基づいて判定してもよい。
【0042】
そして、コンテンツ表示処理部12は、継続表示対象コンテンツの表示中に、当該コンテンツの携帯電話3からの取得が中断(停止)される所定のイベントが携帯電話3側で発生した場合には、コンテンツ記憶部15に保存されている当該コンテンツを、当該イベントの発生時から所定の条件が満足されるまでの期間継続的に表示するようになっている。これにより、携帯電話3側から取得された車載機7側での利用価値が高い継続表示対象コンテンツを、携帯電話3の動作状況にかかわらず車載機7側において可及的に長時間表示することができるので、車載機7の利便性を向上させることができる。
【0043】
ここで、前記所定のイベントは、携帯電話3への着信を含んでもよい。この着信があったことについては、例えば、コンテンツ取得部11によって携帯電話の着信画面が取得されたことや着信を示す付加情報が取得されたこと等によって検知してもよい。そして、コンテンツ表示処理部12は、継続表示対象コンテンツの表示中に着信があった場合には、この着信にともなってコンテンツ取得部11によって取得された着信画面の表示に代えて、コンテンツ記憶部15から読み出した継続表示対象コンテンツの継続的な表示を行えばよい。これにより、所定のイベントの1つとして相応しいイベントを選択することができるので、利便性を確実に向上させることができる。
【0044】
また、このような継続表示対象コンテンツの継続的な表示の際に、コンテンツ表示処理部12は、継続表示対象コンテンツの画面上に、着信を通知するための簡易情報を重ねて表示してもよい。これにより、継続表示対象コンテンツの表示を保持しつつ着信があったことをユーザに通知することができるので、利便性をさらに向上させることができる。なお、簡易情報は、例えば、”Incoming Call”等の文字情報であってもよい(図3参照)。
【0045】
さらに、前記所定のイベントは、携帯電話3の車載機7との接続(換言すれば、通信状態)を切断することを含んでもよい。これにより、所定のイベントの1つとして相応しいイベントを選択することができるので、利便性を確実に向上させることができる。
【0046】
さらにまた、継続表示対象コンテンツは、地図画面や案内画面等のナビゲーション画面を含むことが望ましい。これにより、車載機7側での利用価値が高い代表的なコンテンツを可及的に長時間表示することができるので、利便性をさらに確実に向上させることができる。
【0047】
ところで、ナビゲーション画面は、ユーザに現在地や現在採るべき走行方法を指示すべき画面であるので、車両の現在位置の変化や時間経過によって現在の車両の走行状態と著しく懸け離れたナビゲーション画面である場合には、これを表示させ続けることで却ってユーザに混乱を招く虞がある。
【0048】
このような観点から、継続表示対象コンテンツをナビゲーション画面とした場合に、前記所定の条件は、継続表示対象コンテンツの継続的な表示を開始した地点から車両が所定距離(例えば、100m)移動したことを含んでもよい。このような条件が満足されたか否かは、例えば、GPSアンテナ10を介して取得されたGPS情報から車両の絶対位置を逐次測位し、絶対位置の変化が所定距離に達したか否かに基づいて判定してもよい。
【0049】
同様の観点から、継続表示対象コンテンツをナビゲーション画面とした場合に、前記所定の条件は、継続表示対象コンテンツの継続的な表示を開始した時点から所定時間が経過したことを含んでもよい。このような条件が満足されたか否かは、例えば、GPSアンテナ10を介して取得されたGPS情報における時刻情報に基づいて判定してもよい。
【0050】
また、コンテンツ表示処理部12は、継続表示対象コンテンツの継続的な表示を開始した後に前記所定の条件が満足された場合には、継続表示対象コンテンツの継続的な表示を終了して、前記所定の条件が満足された時点以後にコンテンツ取得部11によって取得されたコンテンツを表示すればよい。
【0051】
また、このような継続表示対象コンテンツの継続的な表示を終了した後には、コンテンツ表示処理部12は、継続表示対象コンテンツが無効になった旨を通知するための情報(例えば、文字情報)を表示部1aに表示してもよい。当該情報は、継続表示対象コンテンツの継続的な表示の終了直後に表示部1aに表示される他のコンテンツの画面上に重ねて表示してもよい。これにより、ユーザが継続表示コンテンツが無効になったことを確実に把握することができるので、当該コンテンツの表示が終了したことによるユーザの混乱を緩和することができる。
【0052】
さらに、コンテンツ保存処理部14は、継続表示対象コンテンツの最新画面のみをコンテンツ記憶部15に保存してもよい。ここで、継続表示対象コンテンツの最新画面は、携帯電話3からの当該画面の映像データのストリーム転送にともなって逐次変化することになる。したがって、コンテンツ保存処理部14は、継続表示対象コンテンツの最新画面のみをコンテンツ記憶部15に保存するために、現在の最新画面をコンテンツ記憶部15に保存する際に、直前にコンテンツ記憶部15に保存されていた過去の最新画面をコンテンツ記憶部15から削除すればよい。ただし、この削除には、上書き保存も含まれるものとする。これにより、前記所定のイベントが発生した時点で車載機7側で表示されていた画面をそのまま表示し続けることができるので、ユーザに与える違和感を軽減することができるとともに、コンテンツ記憶部15の容量を抑えることができるので、コストを削減することができる。
【0053】
本実施形態によれば、例えば、図3(a)に示すように、車載機7の表示部1aおよび車載機7に接続された携帯電話3の表示部3aに同一のナビゲーション画面2が表示されている状態で、携帯電話3に着信があった場合には、図3(b)に示すように、携帯電話3側では着信画面4が優先されるが、車載機7側では、着信時に表示されていたナビゲーション画面2を保持することができる。なお、図3(b)においては、着信を通知する簡易情報がオーバーレイ表示されているが、このような簡易情報の表示はナビゲーション画面2の保持を妨げないものとして扱う。
【0054】
次に、本発明に係るコンテンツ表示方法の一例として、前述したコンテンツ表示システム8を適用したコンテンツ表示方法の実施形態について、図4を新たに参照して説明する。
【0055】
なお、便宜上、本実施形態においては、前述した継続表示対象コンテンツをナビゲーション画面に限定して説明するが、本発明はこのような方法に限定されるものではない。
【0056】
本実施形態におけるコンテンツ表示方法は、例えば、図4に示すステップ1(ST1)からステップ14(ST14)までの処理によって実現することができる。
【0057】
ここで、まず、ステップ1(ST1)からステップ4(ST4)までの処理について先に説明する。
【0058】
すなわち、ステップ1(ST1)においては、コンテンツ表示処理部12により、コンテンツの最新画面が取得されたか否かをコンテンツ取得部11の取得結果に基づいて判定する。そして、ステップ1(ST1)において肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ2(ST2)に進み、否定的な判定結果が得られた場合には、ステップ6(ST6)に進む。
【0059】
次いで、ステップ2(ST2)において、コンテンツ保存処理部14により、ステップ1(ST1)において取得された最新画面がナビゲーション画面(図4におけるナビ画面)であるか否かを、前述した付加情報等に基づいて判定する。このステップ2(ST2)における判定は、第1の判定に相当する。そして、ステップ2(ST2)において肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ3(ST3)に進み、否定的な判定結果が得られた場合には、ステップ5(ST5)に進む。
【0060】
次いで、ステップ3(ST3)において、コンテンツ保存処理部14により、ステップ1(ST1)において取得された最新のナビゲーション画面をコンテンツ記憶部15に保存する。このとき、当該ナビゲーション画面に対応付けられた付加情報を当該ナビゲーション画面とともに保存してもよい。
【0061】
次いで、ステップ4(ST4)において、コンテンツ表示処理部12により、ステップ1(ST1)において取得された最新のナビゲーション画面を表示部1aに表示してステップ1(ST1)に戻る。ここで、ステップ4(ST4)からステップ1(ST1)に戻った場合におけるステップ1(ST1)での判定は、第2の判定に相当する。すなわち、ステップ4(ST4)の後におけるステップ1(ST1)での判定は、ナビゲーション画面の表示中に、当該画面における最新画面の取得が中断されるイベント(例えば、携帯電話3の接続の切断)が携帯電話3側で発生したか否かの判定に相当する。
【0062】
次に、ステップ5(ST5)からステップ11(ST11)までの処理について説明する。
【0063】
すなわち、ステップ5(ST5)においては、コンテンツ表示処理部12により、ステップ1(ST1)において取得された最新画面が着信画面であるか否かを、前述した付加情報等に基づいて判定する。そして、ステップ5(ST5)において肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ6(ST6)に進み、否定的な判定結果が得られた場合には、ステップ14(ST14)に進む。なお、ステップ4(ST4)を経た後におけるステップ5(ST5)での判定は、第2の判定に相当する。すなわち、ステップ4(ST4)の後におけるステップ5(ST5)での判定は、ナビゲーション画面の表示中に着信があったか否かの判定に相当する。
【0064】
次いで、ステップ6(ST6)において、コンテンツ表示処理部12により、ステップ4(ST4)を経たか否かを判定する。そして、ステップ6(ST6)において肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ7(ST7)に進み、否定的な判定結果が得られた場合には、ステップ12(ST12)に進む。なお、ステップ1(ST1)から直接ステップ6(ST6)に進んだ場合のステップ6(ST6)における判定結果が肯定的な場合には、直前に表示されていたナビゲーション画面が、コンテンツ保存処理部14によってコンテンツ記憶部15に保存されていることが前提となる。
【0065】
次いで、ステップ7(ST7)において、コンテンツ表示処理部12により、ステップ3(ST3)において保存されたナビゲーション画面を、継続表示のためにコンテンツ記憶部15から読み出す。
【0066】
次いで、ステップ8(ST8)において、コンテンツ表示処理部12により、ステップ7(ST7)において読み出されたナビゲーション画面を表示部1aに表示することにより、ナビゲーション画面の継続表示を開始する。
【0067】
次いで、ステップ9(ST9)により、コンテンツ表示処理部12により、ステップ8(ST8)以後、車両が所定距離移動したか否かを判定する(第3の判定)。そして、ステップ9(ST9)において肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ10(ST10)に進み、否定的な判定結果が得られた場合には、ステップ11(ST11)に進む。
【0068】
ここで、ステップ10(ST10)に進んだ場合には、このステップ10(ST10)において、コンテンツ表示処理部12により、ステップ8(ST8)において開始したナビゲーション画面の継続的な表示を終了してステップ1(ST1)に戻る。
【0069】
一方、ステップ11(ST11)に進んだ場合には、このステップ11(ST11)において、コンテンツ表示処理部12により、ステップ8(ST8)以後、所定時間が経過したか否かを判定する(第3の判定)。そして、ステップ11(ST11)において肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ10(ST10)に進み、否定的な判定結果が得られた場合には、ステップ9(ST9)に戻る。
【0070】
次に、ステップ12(ST12)においては、コンテンツ表示処理部12により、ステップ5(ST5)を経たか否かを判定する。そして、ステップ12(ST12)において肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ13(ST13)に進み、否定的な判定結果が得られた場合には、処理を終了する。
【0071】
次いで、ステップ13(ST13)において、コンテンツ表示処理部12により、ステップ1(ST1)において取得された着信画面を表示部1aに表示してステップ1(ST1)に戻る。
【0072】
また、ステップ14(ST14)においては、コンテンツ表示処理部12により、ステップ1(ST1)において取得された最新画面を表示部1aに表示してステップ1(ST1)に戻る。なお、ステップ10(ST10)の後にステップ13(ST13)またはステップ14(ST14)に進んだ場合には、各ステップで表示される画面上に、ナビゲーション画面が無効になった旨の文字情報を表示してもよい。
【0073】
以上述べたように、本発明によれば、継続表示対象コンテンツの表示中に、当該コンテンツの携帯電話3からの取得が中断されるイベントが発生した場合であっても、コンテンツ記憶部15に保存した当該コンテンツを所定の期間継続的に表示することができるので、携帯電話3側から取得された車載機7側での利用価値が高いコンテンツを、携帯電話3の動作状況にかかわらず車載機7側において可及的に長時間表示することができ、ひいては車載機7の利便性を向上させることができる。
【0074】
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の特徴を損なわない限度において種々変更することができる。
【0075】
例えば、前述した構成に加えて、車載機7がハンズフリー通話装置の用途で使用されてもよいことは勿論である。
【0076】
また、車載機7は、独自の地図データベースや経路探索機能を有しない通信ナビゲーション装置であってもよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0077】
1a 表示部
3 携帯電話
7 車載機
11 コンテンツ取得部
12 コンテンツ表示処理部
14 コンテンツ保存処理部
15 コンテンツ記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されるとともに携帯電話が接続可能とされ、
接続された前記携帯電話が表示するコンテンツを前記携帯電話から取得する取得装置と、
この取得装置によって取得された前記コンテンツを表示部に表示する表示処理装置と
を備えたコンテンツ表示装置であって、
前記取得装置によって取得された前記コンテンツが、このコンテンツの前記携帯電話からの取得が中断される場合であっても前記表示部への表示を継続すべき所定のコンテンツの場合に、当該取得されたコンテンツを記憶部に保存する保存処理装置を備え、
前記表示処理装置は、前記所定のコンテンツの表示中に、当該コンテンツの前記携帯電話からの取得が中断される所定のイベントが前記携帯電話側で発生した場合には、前記記憶部に保存されている当該コンテンツを、当該イベントの発生時から所定の条件が満足されるまでの期間継続的に表示すること
を特徴とするコンテンツ表示装置。
【請求項2】
前記所定のイベントは、前記携帯電話への着信を含み、
前記表示処理装置は、前記所定のコンテンツの表示中に前記着信があった場合には、当該着信にともなって前記取得装置によって取得された前記携帯電話の着信画面の表示に代えて、当該所定のコンテンツの継続的な表示を行うこと
を特徴とする請求項1に記載のコンテンツ表示装置。
【請求項3】
前記表示処理装置は、前記継続的な表示を行う前記所定のコンテンツの画面上に、前記着信を通知するための簡易情報を重ねて表示すること
を特徴とする請求項2に記載のコンテンツ表示装置。
【請求項4】
前記所定のイベントは、前記携帯電話のコンテンツ表示装置本体との接続を切断することを含むこと
を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のコンテンツ表示装置。
【請求項5】
前記所定のコンテンツは、ナビゲーション画面を含むこと
を特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のコンテンツ表示装置。
【請求項6】
前記所定の条件は、前記所定のコンテンツの継続的な表示を開始した地点から前記車両が所定距離移動したことを含むこと
を特徴とする請求項5に記載のコンテンツ表示装置。
【請求項7】
前記所定の条件は、前記所定のコンテンツの継続的な表示を開始した時点から所定時間が経過したことを含むこと
を特徴とする請求項5または請求項6に記載のコンテンツ表示装置。
【請求項8】
前記表示処理装置は、前記所定のコンテンツの継続的な表示を開始した後に前記所定の条件が満足された場合には、前記所定のコンテンツの継続的な表示を終了して、前記所定の条件が満足された時点以後に前記取得装置によって取得されたコンテンツを表示すること
を特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のコンテンツ表示装置。
【請求項9】
前記表示処理装置は、前記所定のコンテンツの継続的な表示を終了した後に、前記所定のコンテンツが無効になった旨を通知するための情報を表示すること
を特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のコンテンツ表示装置。
【請求項10】
前記保存処理装置は、前記所定のコンテンツの最新画面のみを保存すること
を特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載のコンテンツ表示装置。
【請求項11】
車両に搭載されたコンテンツ表示装置に携帯電話を接続した状態で、当該コンテンツ表示装置において、当該携帯電話が表示するコンテンツを当該携帯電話から取得して当該コンテンツ表示装置の表示部に表示するためのコンテンツ表示方法であって、
前記携帯電話から取得したコンテンツが、このコンテンツの前記携帯電話からの取得が中断される場合であっても前記表示部への表示を継続すべき所定のコンテンツであるか否の第1の判定を行うステップと、
前記第1の判定において肯定的な判定結果が得られた場合に、前記取得したコンテンツを前記コンテンツ表示装置の記憶部に保存するステップと、
前記所定のコンテンツの表示中に、当該コンテンツの前記携帯電話からの取得が中断される所定のイベントが前記携帯電話側で発生したか否かの第2の判定を行うステップと、
前記第2の判定において肯定的な判定結果が得られた場合に、前記記憶部に保存されている前記所定のコンテンツを読み出して、当該コンテンツの継続的な表示を開始するステップと、
前記所定のコンテンツの継続的な表示の開始後に、当該継続的な表示を終了すべき所定の条件が満足されたか否かの第3の判定を行うステップと、
前記第3の判定において肯定的な判定結果が得られた場合に、前記所定のコンテンツの継続的な表示を終了するステップと
を含むことを特徴とするコンテンツ表示方法。
【請求項12】
前記所定のイベントは、前記携帯電話への着信を含み、
前記所定のコンテンツの表示中に前記着信があった場合には、当該着信にともなって前記携帯電話から取得した当該携帯電話の着信画面の表示に代えて、当該所定のコンテンツの継続的な表示を行うこと
を特徴とする請求項11に記載のコンテンツ表示方法。
【請求項13】
前記継続的な表示を行う前記所定のコンテンツの画面上に、前記着信を通知するための簡易情報を重ねて表示するステップを加えたこと
を特徴とする請求項12に記載のコンテンツ表示方法。
【請求項14】
前記所定のイベントは、前記携帯電話の前記コンテンツ表示装置との接続を切断することを含むこと
を特徴とする請求項11乃至請求項13のいずれか1項に記載のコンテンツ表示方法。
【請求項15】
前記所定のコンテンツは、ナビゲーション画面を含むこと
を特徴とする請求項11乃至請求項14のいずれか1項に記載のコンテンツ表示方法。
【請求項16】
前記所定の条件は、前記所定のコンテンツの継続的な表示を開始した地点から前記車両が所定距離移動したことを含むこと
を特徴とする請求項15に記載のコンテンツ表示処方法。
【請求項17】
前記所定の条件は、前記所定のコンテンツの継続的な表示を開始した時点から所定時間が経過したことを含むこと
を特徴とする請求項15または請求項16に記載のコンテンツ表示方法。
【請求項18】
前記所定のコンテンツの継続的な表示を終了した後に、前記所定の条件が満足された時点以後に前記携帯電話から取得したコンテンツを表示するステップを加えたこと
を特徴とする請求項11乃至請求項17のいずれか1項に記載のコンテンツ表示方法。
【請求項19】
前記所定のコンテンツの継続的な表示の終了後に、前記所定のコンテンツが無効になった旨を通知するための情報を表示するステップを加えたこと
を特徴とする請求項11乃至請求項18のいずれか1項に記載のコンテンツ表示方法。
【請求項20】
前記所定のコンテンツの最新画面のみを前記記憶部に保存すること
を特徴とする請求項11乃至請求項19のいずれか1項に記載のコンテンツ表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−254299(P2011−254299A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126816(P2010−126816)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】