説明

コンテンツ記録装置及びコンテンツ記録再生装置

【課題】放送データファイルを自動的に消去する場合に、ユーザが所望する曲については消去されることを防止すること。
【解決手段】 放送データファイルを消去する際に、キーワードに一致する曲に対応する正式曲ファイルがHDD14に記録されていない場合には、放送データファイルからキーワードに一致する曲データを抽出し、放送曲ファイルとしてHDD14に保存する。従って、ユーザが所望する曲をキーワードとして登録することによって、所望の曲が消去されることを防止できる。一方、キーワードに一致する曲に対応する正式曲ファイルがHDD14に記録されている場合には、放送曲ファイルが保存されなくても、正式曲ファイルを再生すればよいので、放送データファイルからキーワードに一致する曲を抽出し放送曲ファイルとしてHDD14に記録しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のコンテンツを含む放送データを記録するコンテンツ記録装置、及び、複数のコンテンツを含む放送データを記録し、かつ、コンテンツを再生するするコンテンツ記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
HDDレコーダやPC等のコンテンツ記録再生装置は、ラジオ又はテレビで放送される音楽や映像等のコンテンツをHDD等の記憶媒体に記録し、記録した放送データファイルの中から選択されたコンテンツを再生することができる。しかし、ユーザは所望のコンテンツがいつ放送されるかはわからない。例えばラジオのFM放送では、所望の曲がある番組中に放送されることがあらかじめわかる場合もあるが、番組中にはCMやDJが入るので、所望の曲が番組中のいつ放送されるかまではわからない。
【0003】
この問題を解決するために、下記特許出願1において、キューシートを利用して所望の曲を抽出して再生するコンテンツ記録再生装置が提案されている。このコンテンツ記録再生装置は、放送された曲の放送開始時刻や曲名等を記述したキューシートをサーバから取得する。コンテンツ記録再生装置は、常にFM放送を受信し、受信された放送データを全てHDDに記録する。そして、キューシートを参照して、録音された全放送データから所望の曲を抽出して再生する。
【0004】
下記特許文献1のコンテンツ記録再生装置は、受信した放送データの全てを、所定時間毎の放送データファイルに分割し、HDDに記録する。ここで、常時放送データをHDDに記録しているので、HDDの空き容量がなくなると、放送データをHDDに記録できなくなる。そこで、コンテンツ記録再生装置は、古い放送データファイルを自動的に消去する。しかし、放送データファイルを自動的に消去すると、消去した放送データファイルに含まれている曲データについては、キューシートを参照して、放送データファイルから抽出して再生することができなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−59035号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、放送データファイルを自動的に消去する場合に、ユーザが所望する曲については消去されることを防止できるコンテンツ記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の好ましい実施形態によるコンテンツ記録装置は、複数のコンテンツを含む放送データを受信する受信手段と、受信した放送データを、放送データファイルとして記憶媒体に記録する第1記録手段と、正式コンテンツファイルを前記記憶媒体に記録する第2記録手段と、放送データファイルを消去する消去手段と、消去する放送データファイルの中から、放送コンテンツファイルとして前記記憶媒体に記録するコンテンツを特定するキーワードを管理するキーワード管理手段と、前記キーワードに一致する正式コンテンツファイルが前記記憶媒体に記録されているか否かを判断する記録判断手段と、放送データファイルを消去する際に、前記キーワードに一致する正式コンテンツファイルが前記記憶媒体に記録されていないと判断された場合、消去する放送データファイルに含まれるコンテンツの中から前記キーワードに一致するコンテンツを抽出して、放送コンテンツファイルとして前記記憶媒体に記録し、前記キーワードに一致する正式コンテンツファイルが前記記憶媒体に記録されていると判断された場合、前記キーワードに一致するコンテンツを放送コンテンツファイルとして前記記憶媒体に記録しない第3記録手段とを備える。
【0008】
放送データファイルを消去する際に、キーワードに一致するコンテンツに対応する正式コンテンツファイルが記録されていない場合には、放送データファイルからキーワードに一致するコンテンツを抽出して、放送コンテンツファイルとして記憶媒体に記録する。従って、ユーザが所望するコンテンツをキーワードとして登録することによって、所望のコンテンツファイルが消去されることを防止できる。一方、キーワードに一致するコンテンツに対応する正式コンテンツファイルが記録されている場合には、放送コンテンツファイルがなくても、正式コンテンツファイルを再生すればよいので、放送データファイルからキーワードに一致するコンテンツを抽出し放送コンテンツファイルとして記憶媒体に記録しない。従って、無駄に記憶媒体の記憶容量を消費することを防止できる。
【0009】
好ましい実施形態においては、正式コンテンツファイルを前記記憶媒体に記録する際に、前記記録判断手段が、前記正式コンテンツファイルに対応する前記放送コンテンツファイルが前記記憶媒体に記録されているか否かをさらに判断し、前記正式コンテンツファイルに対応する前記放送コンテンツファイルが前記記憶媒体に記録されている場合、前記消去手段が、前記正式コンテンツファイルに対応する前記放送コンテンツファイルを前記記憶媒体から消去する。
【0010】
キーワードに一致するコンテンツに対応する正式コンテンツファイルが新たに記録される場合には、放送コンテンツファイルが不要になるので、正式コンテンツファイルに対応する放送コンテンツファイルを消去する。従って、無駄に記憶媒体の記憶容量を消費することを防止できる。
【0011】
好ましい実施形態においては、前記放送データに含まれるコンテンツの放送開始時刻および放送終了時刻を特定するためのキューシートを取得する取得手段をさらに備え、キューシートに基づいて前記放送データファイルに含まれているコンテンツを特定する。
【0012】
本発明の好ましい実施形態によるコンテンツ記録再生装置は、複数のコンテンツを含む放送データを受信する受信手段と、前記放送データに含まれるコンテンツの放送開始時刻および放送終了時刻を特定するためのキューシートを取得する取得手段と、受信した放送データを、放送データファイルとして記憶媒体に記録する第1記録手段と、正式コンテンツファイルを前記記憶媒体に記録する第2記録手段と、放送データファイルを消去する消去手段と、消去する放送データファイルの中から、放送コンテンツファイルとして前記記憶媒体に記録するコンテンツを特定するキーワードを管理するキーワード管理手段と、前記キーワードに一致する正式コンテンツファイルが前記記憶媒体に記録されているか否かを判断する記録判断手段と、放送データファイルを消去する際に、前記キーワードに一致する正式コンテンツファイルが前記記憶媒体に記録されていないと判断された場合、消去する放送データファイルに含まれるコンテンツの中から前記キーワードに一致するコンテンツをキューシートに基づいて抽出して、放送コンテンツファイルとして前記記憶媒体に記録し、前記キーワードに一致する正式コンテンツファイルが前記記憶媒体に記録されていると判断された場合、前記キーワードに一致するコンテンツを放送コンテンツファイルとして前記記憶媒体に記録しない第3記録手段と、ユーザ操作に基づいて再生すべきコンテンツを選択する選択手段と、放送データファイルの中からキューシートに基づいて選択されたコンテンツを抽出して再生する、又は、選択されたコンテンツに対応する放送コンテンツファイルを再生する、又は、選択されたコンテンツに対応する正式コンテンツファイルを再生する再生手段とを備える。
【発明の効果】
【0013】
放送データファイルを自動的に消去する場合に、ユーザが所望する曲については消去されることを防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照して具体的に説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
[全体構成]
図1は、本発明の好ましい実施形態によるコンテンツ記録再生システムを示すブロック図である。コンテンツ記録再生システムは、コンテンツ記録再生装置1およびサーバ(キューシートサーバ)100を備える。コンテンツ記録再生装置1はラジオやTV等の放送データ(以下、ラジオ放送データとする。)を受信し、所定時間毎の放送データを、放送データファイルとしてHDD14に記録する。サーバ100は、図示しない複数の放送局サーバについて、キューシート(番組進行表)を取得して保持している。コンテンツ記録再生装置1は、サーバ100からキューシートを取得し、キューシートに基づいて、記録した放送データファイルの中から所望の曲データを抽出して、再生する。なお、コンテンツ記録再生装置1において、再生機能を有さない装置をコンテンツ記録装置と定義する。
【0015】
[コンテンツ記録再生装置1の構成]
コンテンツ記録再生装置1は、制御部11、メモリ(ROM及び/又はRAM)12、受信部13、HDD(Hard Disk Drive)14、CDドライブ15、通信部16、及び、再生部17を備える。制御部11は、メモリ12に格納されているコンテンツ記録再生装置1の動作プログラムに基づいてコンテンツ記録再生装置1を制御するものであり、例えば、マイコンやCPU等である。
【0016】
受信部13は、図示しない放送局から放送される複数のコンテンツを含む放送データを受信する。コンテンツとは、音楽(曲)、映像および/または静止画等のデータの総称であり、本例では曲データである。放送はTV放送またはラジオ放送等であり、デジタル放送、アナログ放送、衛星放送またはインターネット放送等の任意の放送が採用され得る。本例では、複数の曲データを含むFM放送を例に説明する。
【0017】
HDD14は、受信部13によって受信された放送データを記録する。受信部13で受信された放送データがアナログ形式である場合には、放送データがアナログ−デジタル変換されてHDD14に記録される。特に限定されないが、放送データは、所定時間(例えば1時間)毎の放送データファイル(例えばMP3ファイル)に分割され、HDD14に記録される。
【0018】
HDD14には、図2に示す放送データファイルリストが格納されている。放送データファイルリストは、HDD14に記録されている全ての放送データファイルについて、放送局名、録音開始時刻、及び、録音終了時刻を管理するリストである。
【0019】
放送データは受信部13によって常時受信され、HDD14に記録されるので、HDD14には多数の放送データファイルが記録されることになる。その結果、HDD14の空き容量がなくなると、これ以上の放送データファイルをHDD14に記録できなくなる。そこで、制御部11は、放送データファイルリストを参照し、所定時間(例えば10日間)以上前の放送データファイルを自動的に消去する。
【0020】
また、HDD14には、CDドライブ15に挿入されたCDに記録されている曲データが、所定フォーマット(例えばMP3形式)の曲ファイルに変換され、記録される。又は、HDD14には、通信部16を介してインターネット経由で図示しない外部サーバからダウンロードされた曲ファイル(例えばMP3形式)が記録される。ここで、放送データファイルから抽出した曲ファイル(この曲ファイルを放送曲ファイルという。詳細後述。)ではなく、CDからの録音又はインターネットからのダウンロードによってHDD14に記録された曲ファイルのことを、正式曲ファイルという。つまり、正式曲ファイルは、ラジオ放送のように曲の一部だけ、又は、DJが含まれているということがなく、完全な状態で記録されている曲ファイルのことである。
【0021】
HDD14には、図3に示すコンテンツ情報データベース(以下、コンテンツ情報DBという。)が格納されている。コンテンツ情報DBは、HDD14に記録されている全ての正式曲ファイルについて、アーティスト名、アルバム名、曲名等のコンテンツ情報(メタデータともいう。)を管理するデータベースである。コンテンツ情報DBは、コンテンツ情報の他に正式曲ファイルのHDD14におけるアドレス等も管理されている。
【0022】
通信部16は、インターネット等の任意の電気通信回線を介してサーバ100に接続し、サーバ100からキューシートを取得する。図4は、放送局Xのキューシートの一例を示す図である。キューシートは、放送局名と、曲名と、アーティスト名と、放送開始時刻と、放送終了時刻とを含む。例えば、放送局Xについて、2009年1月1日の17時00分〜17時10分にアーティト名aaa、曲名AAAの曲が放送されたことを示している。
【0023】
再生部17は、HDD14に記録されている放送データファイルの中から、キューシートに基づいて、所望の曲データを抽出して再生する。コンテンツ記録再生装置1の図示しない表示部には、キューシートに基づいて、アーティスト名及び曲名の一覧である曲リストが表示され、ユーザ操作によって曲リストの中から所望の曲が選択される。例えば、ユーザ操作によってアーティスト名aaa、曲名AAAの曲の再生指示が入力された場合、図4のキューシートを参照し、制御部11は、再生すべき曲データが、放送局Xの2009年1月1日の17時00分〜17時10分に放送されたデータであることを判断する。そして、制御部11は、図2の放送データファイルリストの中から、放送局Xの2009年1月1日の17時00分〜17時10分の放送データを含む放送データファイル(すなわち、放送局Xの2009年1月1日の17時00分〜18時00分の放送データファイル)を特定する。制御部11は、特定した放送データファイルの中から17時00分〜17時10分に相当する部分のデータを抽出して、再生部17に再生させる。
【0024】
また、再生部17は、HDD14に記録されている正式曲ファイルの中から、ユーザ操作によって選択された所望の曲ファイルを選択して再生する。ここで、キューシートに記載されている曲と、正式曲ファイルとを全て含む曲リストを表示部に表示し、ユーザ操作によって曲を選択するようにしてもよい。このとき、選択された曲について、正式曲ファイルがHDD14に記録されている場合には、放送曲ファイルよりも優先して正式曲ファイルを再生し、正式曲ファイルがHDD14に記録されていない場合に、放送曲ファイルを放送データファイルから抽出して再生するようにしてもよい。
【0025】
制御部11は、図2の放送データファイルリストを参照し、放送データファイルを消去する際に、ユーザが所望する曲を放送データファイルから抽出し、HDD14に放送曲ファイルとして保存した後、放送データファイルを消去する。
【0026】
HDD14には、図5に示すキーワードテーブルが格納されている。キーワードテーブルは、放送データファイルを消去する際に、HDD14に保存する放送曲ファイルを特定するキーワードを管理するテーブルである。キーワードテーブルには、キーワードとして、例えば、ユーザ操作によって入力された曲名とアーティスト名とが記憶されている。図5を参照すると、曲名BBB及びアーティスト名bbbの曲と、曲名ZZZ及びアーティスト名zzzの曲とを放送曲ファイルとして保存することを示している。
【0027】
詳細には、制御部11は、放送データファイルを消去する際に、消去する放送データファイルにキーワードテーブルに登録されているキーワードに一致する曲データが含まれているか否かを判断する。含まれている場合には、その曲に対応する正式曲ファイルがHDD14に記録されているかを判断する。正式曲ファイルがHDD14に記録されていない場合には、その曲を放送データファイルから放送曲ファイルとして抽出し、HDD14に保存する。一方、正式曲ファイルがHDD14に記録されている場合には、その曲を放送データファイルから放送曲ファイルとして抽出せず、HDD14に保存しない。
【0028】
放送曲ファイルとしてHDD14に保存した曲については、図6に示す放送コンテンツ情報DBに曲名及びアーティスト名(並びに放送曲ファイルのHDD14上のアドレス)が管理される。従って、キューシートに基づいて表示部に曲リストが表示され、ユーザ操作によって再生すべき曲が選択されたとき、選択された曲データが含まれる放送データファイルが既に消去されている場合には、再生部17は、放送データファイルから曲データを抽出して再生することはできないが、代わりに、HDD14に保存されている放送曲ファイルを再生する。又は、再生部17は、HDD14に記録されている正式曲ファイルを再生する。
【0029】
制御部11は、HDD14に新たな正式曲ファイルが記録される場合、記録される正式曲ファイルに対応する放送曲ファイルがHDD14に保存されているか否かを、図6の放送コンテンツ情報DBを参照して判断する。保存されている場合には、制御部11は、記録する正式曲ファイルに対応する放送曲ファイルをHDD14から消去する。従って、この後、キューシートに基づいて表示部に曲リストが表示され、ユーザ操作によって再生すべき曲が選択されたとき、選択された曲が含まれる放送データファイルが既に消去されており、かつ、放送曲ファイルも消去されているが、HDD14に記録されている正式曲ファイルを再生することができる。
【0030】
[コンテンツ記録再生装置1の動作]
図7は、制御部11の放送データファイル消去処理を示すフローチャートである。制御部11は、図5のキーワードテーブルを参照し、放送データファイルを消去する際に保存する放送曲ファイルを特定するアーティスト名及び曲名を特定する(S1)。次に、制御部11は、図2の放送データファイルリストを参照し、消去する放送データファイルを特定する(S2)。例えば、放送局Xの2009年1月1日の17時00分〜18時00分の放送データファイルが消去する放送データファイルとして特定される。
【0031】
制御部11は、消去する放送データファイルに、放送曲ファイルとして保存する曲データが含まれているか否かを判断する(S3)。すなわち、キーワードテーブルの中から、保存する放送曲ファイルを示すアーティスト名及び曲名を1つ選択する。例えば、アーティスト名bbb及び曲名BBBを選択する。次に、キューシートを参照して、放送局Xの2009年1月1日の17時00分〜18時00分の放送データファイルに、アーティスト名bbb及び曲名BBBの曲データが含まれているか否かを判断する。図4を参照すると、放送局Xの2009年1月1日の17時10分〜17時15分のデータが、アーティスト名bbb及び曲名BBBの曲データである(S3でYES)。
【0032】
次に、制御部11は、キーワード(アーティスト名bbb及び曲名BBB)に一致する正式曲ファイルがHDD14に記録されているか否かを判断する(S4)。すなわち、制御部11は、図3に示すコンテンツ情報DBに、アーティスト名bbb及び曲名BBBが登録されているか否かを判断する。コンテンツ情報DBにアーティスト名bbb及び曲名BBBが登録されていない場合(S4でNO)、キーワード(アーティスト名bbb及び曲名BBB)に一致する曲データを放送データファイルから抽出し、放送曲ファイルとしてHDD14に保存する(S5)。詳細には、図4のキューシートを参照すると、アーティスト名bbb及び曲名BBBの曲データは放送局Xの2009年1月1日の17時10分〜17時15分のデータであるので、放送データファイルからその部分のデータを抽出して、放送曲ファイルとしてHDD14に保存する。
【0033】
その後、制御部11は、保存した放送曲ファイルのコンテンツ情報(アーティスト名bbb及び曲名BBB)を、図6の放送コンテンツ情報DBに登録する(S6)。すなわち、アーティスト名bbb及び曲名BBBの放送曲ファイルがHDD14に保存されていることが記憶される。
【0034】
制御部11は、全てのキーワードについて以上の処理を終了したかを判断する(S7)。ここでは、アーティスト名zzz及び曲名ZZZが未だ処理されていないので(S7でNO)、S3に戻る。アーティスト名zzz及び曲名ZZZの曲は、図4のキューシートを参照すると、放送局Xの2009年1月1日の17時00分〜18時00分の放送データファイルには含まれていない(S3でNO)。従って、アーティスト名zzz及び曲名ZZZの放送曲ファイルを保存することなく、S7に進む。
【0035】
S7において、全てのキーワードについて処理済みであると判断されると(S7でYES)、制御部11は、放送データファイルをHDD14から消去する(S8)。その後、制御部11は、図2の放送データファイルリストから、消去した放送データファイルの情報を削除する。なお、S4において、キーワードに一致する正式曲ファイルがHDD14に記録されている場合には、放送曲ファイルをHDD14に保存する必要がないので、放送曲ファイルを保存することなく、S7に進む。
【0036】
図8は、制御部11の正式曲ファイル記録処理を示すフローチャートである。制御部11は、CD又はインターネット経由のダウンロードによって正式曲ファイルをHDD14に記録する場合(S11)、記録する正式曲ファイルのアーティスト名及び曲名を特定する。制御部11は、記録された正式曲ファイルのアーティスト名及び曲名が、図5のキーワードテーブルに登録されているキーワードに一致するか否かを判断する(S12)。一致しなければ(S12でNO)、記録した正式曲ファイルに対応する放送曲ファイルがHDD14に記録されていないので、処理を終了する。
【0037】
一方、一致する場合(S12でYES)、一致したキーワードにアーティスト名及び曲名が一致する放送曲ファイルがHDD14に記録されているか否かを、図6の放送コンテンツ情報DBを参照し、判断する(S13)。記録される正式曲ファイルのアーティスト名bbb、曲名BBBである場合、対応する放送曲ファイルがHDD14に記録されている(S13でYES)。従って、制御部11は、一致したキーワードにアーティスト名及び曲名が一致する放送曲ファイル(アーティスト名bbb及び曲名BBB)の放送曲ファイルをHDD14から消去する(S14)。その後、HDD14から消去した放送曲ファイルのコンテンツ情報(アーティスト名及び曲名)を、図6の放送コンテンツ情報DBから削除する。
【0038】
一方、記録される正式曲ファイルのアーティスト名がzzz、曲名がZZZである場合、対応する放送曲ファイルがHDD14に記録されていない(S13でNO)。従って、放送曲ファイルの消去処理を実行することなく、処理を終了する。
【0039】
図9は、制御部11の再生処理を示すフローチャートである。制御部11は、表示部にキューシートに基づいて曲リストを表示させ、ユーザ操作に基づいて再生すべき曲のアーティスト名及び曲名を選択する(S21)。
【0040】
制御部11は、選択された曲データが含まれる放送データファイルがHDD14に記録されているか否かを判断する(S22)。詳細には、図4のキューシートを参照し、選択された曲に対応する放送局と、放送開始時刻と、放送終了時刻とを特定し、図2の放送データファイルリストを参照し、対応するデータが含まれる放送データファイルが存在するか否かを判断する。
【0041】
例えば、アーティスト名bbb及び曲名BBBの曲が選択された場合、キューシートを参照すると、選択された曲は放送局Xの2009年1月1日の17時10分〜17時15分のデータであり、図2の放送データファイルリストを参照すると、このデータを含む、放送局Xの2009年1月1日の17時00分〜18時00分の放送データファイルが存在すると判断される(S22でYES)。
【0042】
この場合、制御部11は、選択された曲データを放送データファイルから抽出して再生部17に再生させる(S23)。すなわち、制御部11は、放送局Xの2009年1月1日の17時00分〜18時00分の放送データファイルの中から、17時10分〜17時15分のデータを抽出して、再生部17に再生させる。
【0043】
一方、アーティスト名bbb及び曲名BBBの曲が選択され、キューシートを参照すると、選択された曲が放送局Xの2009年1月1日の17時10分〜17時15分のデータであり、図2の放送データファイルリストを参照すると、このデータを含む放送データファイルが既に消去されており存在しない場合(S22でNO)、制御部11は、選択された曲に対応する放送曲ファイルがHDD14に記録されているか否かを判断する(S24)。詳細には、選択された曲のアーティスト名及び曲名が図6の放送コンテンツ情報DBに登録されているか否かを判断する。
【0044】
選択された曲のアーティスト名及び曲名が図6の放送コンテンツ情報DBに登録されている場合(S24でYES)、制御部11は、HDD14から、選択された曲のアーティスト名及び曲名を有する放送曲ファイルを読み出して、再生部17に再生させる。
【0045】
選択された曲のアーティスト名及び曲名が図6のコンテンツ情報DBに登録されていない場合(S24でNO)、制御部11は、選択された曲に対応する正式曲ファイルがHDD14に記録されているか否かを判断する(S26)。詳細には、選択された曲のアーティスト名及び曲名が図3のコンテンツ情報DBに登録されているか否かを判断する。
【0046】
選択された曲のアーティスト名及び曲名が図3のコンテンツ情報DBに登録されている場合(S26でYES)、制御部11は、HDD14から、選択された曲のアーティスト名及び曲名を有する正式曲ファイルを読み出して、再生部17に再生させる。一方、選択された曲のアーティスト名及び曲名が図3のコンテンツ情報DBに登録されていない場合(S26でNO)、制御部11は、選択された曲は記録されていない旨のエラー表示を表示部に表示させる(S28)。
【0047】
以上のように、本実施形態によると、古い放送データファイルを消去することによってHDD14の空き容量を確保する場合にも、ユーザが所望する曲ファイルについてはいつまでもHDD14に保存され、再生することができる。
【0048】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。放送データからコンテンツを特定する方法は、キューシートに限定されず、FM文字多重放送に多重されて送信されるコンテンツ情報を用いてもよい。上記のコンテンツ情報記録装置を動作させるためのコンピュータプログラムまたはそのコンピュータプログラムを記録した記録媒体という形態で提供されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、HDDレコーダ又はPC等に好適に採用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の好ましい実施形態によるコンテンツ記録再生システムの構成を示すブロック図である。
【図2】放送データファイルリストを示すブロック図である。
【図3】コンテンツ情報DBを示す図である。
【図4】キューシートを示す図である。
【図5】キーワードテーブルを示す図である。
【図6】放送コンテンツ情報DBを示す図である。
【図7】放送データファイル消去処理を示すフローチャートである。
【図8】正式曲ファイル記録処理を示すフローチャートである。
【図9】再生処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0051】
1 コンテンツ記録再生装置
11 制御部
12 メモリ
13 受信部
14 HDD
15 CDドライブ
16 通信部
17 再生部
100 サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコンテンツを含む放送データを受信する受信手段と、
受信した放送データを、放送データファイルとして記憶媒体に記録する第1記録手段と、
正式コンテンツファイルを前記記憶媒体に記録する第2記録手段と、
放送データファイルを消去する消去手段と、
消去する放送データファイルの中から、放送コンテンツファイルとして前記記憶媒体に記録するコンテンツを特定するキーワードを管理するキーワード管理手段と、
前記キーワードに一致する正式コンテンツファイルが前記記憶媒体に記録されているか否かを判断する記録判断手段と、
放送データファイルを消去する際に、前記キーワードに一致する正式コンテンツファイルが前記記憶媒体に記録されていないと判断された場合、消去する放送データファイルに含まれるコンテンツの中から前記キーワードに一致するコンテンツを抽出して、放送コンテンツファイルとして前記記憶媒体に記録し、前記キーワードに一致する正式コンテンツファイルが前記記憶媒体に記録されていると判断された場合、前記キーワードに一致するコンテンツを放送コンテンツファイルとして前記記憶媒体に記録しない第3記録手段とを備える、コンテンツ記録装置。
【請求項2】
正式コンテンツファイルを前記記憶媒体に記録する際に、前記記録判断手段が、前記正式コンテンツファイルに対応する前記放送コンテンツファイルが前記記憶媒体に記録されているか否かをさらに判断し、
前記正式コンテンツファイルに対応する前記放送コンテンツファイルが前記記憶媒体に記録されている場合、前記消去手段が、前記正式コンテンツファイルに対応する前記放送コンテンツファイルを前記記憶媒体から消去する、請求項1に記載のコンテンツ記録装置。
【請求項3】
前記放送データに含まれるコンテンツの放送開始時刻および放送終了時刻を特定するためのキューシートを取得する取得手段をさらに備え、
キューシートに基づいて前記放送データファイルに含まれているコンテンツを特定する、請求項1または2に記載のコンテンツ記録装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のコンテンツ記録装置の各手段をコンピュータに実行させる、コンテンツ記録プログラム。
【請求項5】
複数のコンテンツを含む放送データを受信する受信手段と、
前記放送データに含まれるコンテンツの放送開始時刻および放送終了時刻を特定するためのキューシートを取得する取得手段と、
受信した放送データを、放送データファイルとして記憶媒体に記録する第1記録手段と、
正式コンテンツファイルを前記記憶媒体に記録する第2記録手段と、
放送データファイルを消去する消去手段と、
消去する放送データファイルの中から、放送コンテンツファイルとして前記記憶媒体に記録するコンテンツを特定するキーワードを管理するキーワード管理手段と、
前記キーワードに一致する正式コンテンツファイルが前記記憶媒体に記録されているか否かを判断する記録判断手段と、
放送データファイルを消去する際に、前記キーワードに一致する正式コンテンツファイルが前記記憶媒体に記録されていないと判断された場合、消去する放送データファイルに含まれるコンテンツの中から前記キーワードに一致するコンテンツをキューシートに基づいて抽出して、放送コンテンツファイルとして前記記憶媒体に記録し、前記キーワードに一致する正式コンテンツファイルが前記記憶媒体に記録されていると判断された場合、前記キーワードに一致するコンテンツを放送コンテンツファイルとして前記記憶媒体に記録しない第3記録手段と、
ユーザ操作に基づいて再生すべきコンテンツを選択する選択手段と、
放送データファイルの中からキューシートに基づいて選択されたコンテンツを抽出して再生する、又は、選択されたコンテンツに対応する放送コンテンツファイルを再生する、又は、選択されたコンテンツに対応する正式コンテンツファイルを再生する再生手段とを備える、コンテンツ記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−244667(P2010−244667A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−95337(P2009−95337)
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(000000273)オンキヨー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】