説明

コンテンツ認証システムおよび当該システムにおけるオーサリング装置、配信サーバ、視聴端末

【課題】新たな装置を設けることなく記録媒体に格納された固有情報の読み出しが可能なコンテンツ認証システムを提供することができる。
【解決手段】映像データおよびコンテンツデータを制作し、映像データを記録媒体に格納し、コンテンツデータを配信サーバに出力するデジタルコンテンツ制作部13と、デジタルコンテンツ制作部13が制作した映像データが固有に持つ情報から固有情報を生成する固有情報生成部14と、固有情報生成部14が生成した固有情報を記録媒体3および配信サーバ4に出力する固有情報出力部15とを備えたオーサリング装置1と、固有情報出力部15により出力された固有情報と、デジタルコンテンツ制作部13が制作したコンテンツデータとを対応付けて格納するデータ格納部41と、記録媒体3に格納された固有情報と、データ格納部41に格納された固有情報とを照合する固有情報照合部42とを備えて、映像データを格納する記録媒体3の利用を認証してコンテンツデータを配信する配信サーバ4とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、デジタルコンテンツをネットワーク配信する際の認証システムおよび当該システムにおけるオーサリング装置、配信サーバおよび視聴端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばウェブ学習教材など、映像、音声、テキストなどを含むデジタルコンテンツをネットワーク配信する場合、映像を記録媒体に格納して配布し、映像以外のコンテンツデータ(マークアップ/スクリプト言語や画像、音声、テキストなど)をサーバに格納してネットワーク配信するシステムがある。当該システムにおいてデジタルコンテンツを再生する場合、サーバからコンテンツデータをダウンロードし、視聴端末に挿入した記録媒体から映像を読み出す。このとき、コンテンツデータに対応していない誤った記録媒体が視聴端末に挿入されていたとしても、正しい記録媒体と同じように再生試行してしまうという課題があった。また、記録媒体内のフォルダ構成やファイル名が同じで、コンテンツデータから映像を参照するパスが同じ記録媒体が存在する場合、コンテンツデータに対応していない映像であっても再生が開始されてしまうという課題があった。
【0003】
これらの課題を解決する方法として、記録媒体が固有に持つ各種情報を基に記録媒体を認証する方法が知られている。しかし、この方法ではコンテンツデータに対応した映像を複数の記録媒体にコピーした場合、同一の映像を格納した記録媒体であっても異なる記録媒体として扱ってしまうという課題があった。
【0004】
また異なる解決方法として、特許文献1では、光ディスクに格納された映像の一部をディスク認証するための固有情報として読み出し、配信サーバに送信する光ディスク装置が提案されている。この光ディスク装置では、光ディスクから読み出した固有情報を配信サーバに送信し、当該光ディスクが認証された場合、配信サーバに格納した拡張コンテンツの配信を許可している。ここで拡張コンテンツとは、マークアップ/スクリプト言語や動画、静止画、音声などであり、これらは暗号化して配信サーバに格納されており、配信サーバから配信された後、光ディスクに記録された鍵情報を用いて復号する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−073187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1では、光ディスク認証のための固有情報を光ディスクから読み出し、配信サーバに送信する専用の装置が必要となる。また、配信サーバに暗号化して格納された拡張コンテンツを復号するための鍵情報を光ディスクが保持しているため、当該光ディスクが盗まれた場合には第3者でもデジタルコンテンツが再生できてしまうという課題があった。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、新たな装置を設けることなく記録媒体に格納された固有情報の読み出しが可能なコンテンツ認証システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係るコンテンツ認証システムは、映像データおよびコンテンツデータを制作し、映像データを記録媒体に格納し、コンテンツデータを配信サーバに出力するデジタルコンテンツ制作部と、デジタルコンテンツ制作部が制作した映像データが固有に持つ情報から固有情報を生成する固有情報生成部と、固有情報生成部が生成した固有情報を記録媒体および配信サーバに出力する固有情報出力部とを備えたオーサリング装置と、固有情報出力部により出力された固有情報と、デジタルコンテンツ制作部が制作したコンテンツデータとを対応付けて格納するデータ格納部と、受信した記録媒体の固有情報と、データ格納部に格納された固有情報とを照合する固有情報照合部とを備えた配信サーバとを備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、映像データが固有に持つ情報から固有情報を生成する固有情報生成部と、固有情報生成部が生成した固有情報を記録媒体および配信サーバに出力する固有情報出力部とを備えたオーサリング装置と、固有情報出力部により出力された固有情報と、デジタルコンテンツ制作部が制作したコンテンツデータとを対応付けて格納するデータ格納部と、受信した記録媒体の固有情報と、データ格納部に格納された固有情報とを照合する固有情報照合部とを備えた配信サーバとを備えるように構成したので、記録媒体から固有情報を読み出す装置を別途必要としないコンテンツ認証システムを提供することができる。さらに、記録媒体が盗用された場合にもデジタルコンテンツのセキュリティを確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施の形態1によるコンテンツ認証システムの構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1によるコンテンツ認証システムのデジタルコンテンツ制作処理を示すシーケンス図である。
【図3】実施の形態1によるコンテンツ認証システムのデジタルコンテンツデータ再生処理を示すシーケンス図である。
【図4】実施の形態1によるコンテンツ認証システムのデジタルコンテンツデータ再生処理を示すフローチャートである。
【図5】実施の形態2によるコンテンツ認証システムの照合処理を示す模式図である。
【図6】実施の形態3によるコンテンツ認証システムの構成を示すブロック図である。
【図7】実施の形態4によるコンテンツ認証システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1によるコンテンツ認証システムの構成を示すブロック図である。図1に示すようにコンテンツ認証システムは、デジタルコンテンツを制作するオーサリング装置1、映像データを暗号化する映像暗号化装置2、暗号化した映像データと共に固有情報を格納する記録媒体3、コンテンツデータと共に固有情報を格納し、固有情報の照合によりコンテンツデータを配信する配信サーバ4、ユーザ認証を行う認証サーバ5、暗号化した映像データのライセンスを発行するライセンスサーバ6、およびデジタルコンテンツを再生する視聴端末7で構成されている。
【0012】
続いて、各構成の詳細について説明する。
オーサリング装置1は、メディア格納部11、メディア呼出部12、デジタルコンテンツ制作部13、固有情報生成部14および固有情報出力部15で構成されている。
まず、メディア格納部11は、フォルダやデータベースで構成され、映像/音声/テキストなどのメディアデータを格納し、格納されたメディアデータをメディア呼出部12が呼び出す。デジタルコンテンツ制作部13は、メディア呼出部12が呼び出したメディアデータを用いてデジタルコンテンツを制作する。ここでデジタルコンテンツは映像データとコンテンツデータ(マークアップ/スリプト言語や画像、音声、テキストなど)で構成される。制作されたデジタルコンテンツのうち、映像データは映像暗号化装置2に出力され、コンテンツデータは配信サーバ4のデータ格納部41に出力される。
【0013】
固有情報生成部14は、映像データが固有に持つ各種情報からデジタルコンテンツ認証のための固有情報を生成する。生成された固有情報は、固有情報出力部15により記録媒体3の固有情報格納部32および配信サーバ4のデータ格納部41に出力される。ここで、映像データが固有に持つ各種情報とは、映像データの容量や長さ、ハッシュ値などである。これらの値を固有情報とする、あるいはこれらの情報の演算結果(例えば、これらの情報の合計値など)を固有情報とする。
【0014】
映像暗号化装置2は、デジタルコンテンツ制作部13から入力された映像データを暗号化する。記録媒体3は、映像暗号化装置2から入力される暗号化された映像データを格納する映像格納部31と、オーサリング装置1の固有情報出力部15から入力される固有情報を格納する固有情報格納部32で構成されている。配信サーバ4は、データ格納部41、固有情報照合部42、コンテンツデータ配信部43で構成されている。データ格納部41は、デジタルコンテンツ制作部13から入力されるコンテンツデータと、当該コンテンツデータに対応する固有情報出力部15から入力される固有情報を格納する。固有情報照合部42は、視聴端末7から送信される固有情報を受信し、受信した固有情報とデータ格納部41に格納された固有情報とを照合する。コンテンツデータ配信部43は、固有情報照合部42の照合結果に基づき、データ格納部41に格納されたコンテンツデータを視聴端末7に配信する。認証サーバ5は、視聴端末7のユーザが正規のユーザであるか認証を行う。ライセンスサーバ6は、視聴端末7から入力されるライセンス要求に対してライセンスの発行を行う。
【0015】
視聴端末7は、再生処理部71、固有情報読出部72、固有情報送信部73、映像参照部74、コンテンツデータダウンロード部(コンテンツデータ取得部)75およびデジタルコンテンツ再生部76で構成されている。再生処理部71は、配信サーバ4にデジタルコンテンツ再生のリクエストを出力すると共に、認証サーバ5との間で視聴端末7のユーザ認証を行う。固有情報読出部72は記録媒体3の固有情報格納部32に格納された固有情報の読み出しを行い、固有情報送信部73は読み出された固有情報を配信サーバ4の固有情報照合部42に送信する。映像参照部74は、記録媒体3の映像格納部31に格納された映像データを参照し再生試行する。また、当該映像データは暗号化されているため、暗号化を復号するためのライセンス要求をライセンスサーバ6に出力する。コンテンツデータダウンロード部75は、配信サーバ4のデータ格納部41に格納されたコンテンツデータのダウンロードを行う。デジタルコンテンツ再生部76は、映像参照部74が取得した映像データを、ライセンスサーバ6から発行されたライセンスにより復号し、コンテンツデータダウンロード部75がダウンロードしたコンテンツデータと同期させて再生する。
【0016】
続いて、実施の形態1によるコンテンツ認証システムの動作について図2から図4を参照しながら説明を行う。始めに図2のシーケンス図に基づき、実施の形態1によるコンテンツ認証システムのデジタルコンテンツ制作処理について説明を行う。
オーサリング装置1のメディア呼出部12は、メディア格納部11から映像/音声/テキストなどのメディアデータを呼び出す(ステップST1)。オーサリング装置1のデジタルコンテンツ制作部13は、ステップST1において呼び出されたメディアデータを用いて、映像データとコンテンツデータで構成されるデジタルコンテンツを制作する(ステップST2)。さらに固有情報生成部14は、デジタルコンテンツに含まれる映像データが固有に有する各種情報からデジタルコンテンツ認証のための固有情報を生成する(ステップST3)。
【0017】
デジタルコンテンツのうち映像データは映像暗号化装置2に出力され(ステップST4)、固有情報は固有情報出力部15により記録媒体3と配信サーバ4に出力される(ステップST5)。さらに、デジタルコンテンツのうちコンテンツデータは配信サーバ4に出力される(ステップST6)。映像暗号化装置2は、ステップST4で入力された映像データの暗号化を行い(ステップST7)、暗号化された映像データを記録媒体3に出力する(ステップST8)。記録媒体3は、ステップST5で入力された固有情報を固有情報格納部32に格納し、ステップST8で入力された暗号化映像データを映像格納部31に格納する(ステップST9)。配信サーバ4は、ステップST6で入力されたコンテンツデータと、当該コンテンツデータに対応したステップST5で入力された固有情報とを格納する(ステップST10)。
【0018】
次に、実施の形態1によるコンテンツ認証システムのデジタルコンテンツ再生処理について説明を行う。まず、図3のシーケンス図に沿って説明を行う。
記録媒体3を視聴端末7に挿入すると(ステップST21)、視聴端末7の再生処理部71は、配信サーバ4に対してデジタルコンテンツ再生のリクエストを出力する(ステップST22)。このとき再生処理部71は、認証サーバ5に対してユーザ認証のリクエストを出力し(ステップST23)、認証サーバ5において視聴端末のユーザ認証が行われる(ステップST24)。ステップST24においてユーザが認証されると、認証結果が視聴端末7の再生処理部71に通知される(ステップST25)。
【0019】
ステップST25において認証結果が通知された再生処理部71の指示に基づいて、固有情報読出部72は記録媒体3の固有情報格納部32から固有情報を読み出し(ステップST26)、読み出した固有情報を固有情報送信部73を介して配信サーバ4に送信する(ステップST27)。配信サーバ4の固有情報照合部42は、ステップST27で送信された固有情報を、データ格納部41に格納されている固有情報と照合する(ステップST28)。ステップST28において、記録媒体3の固有情報と配信サーバ4のデータ格納部41に格納されていた固有情報が一致した場合、配信サーバ4は正しい記録媒体3が挿入されていると判断し、コンテンツデータ配信部43はデータ格納部41に格納されたコンテンツデータを視聴端末7のコンテンツデータダウンロード部75に配信する(ステップST29)。
【0020】
ステップST29においてコンテンツデータが配信されると、視聴端末7の映像参照部74は、記録媒体3の映像格納部31に格納された映像データを参照して(ステップST30)、当該映像データの再生試行を行う(ステップST31)。この際映像データは暗号化されているため、当該暗号を復号するためのライセンスの発行をライセンスサーバ6に要求する(ステップST32)。ライセンスサーバ6は、ステップST32で入力されたライセンス発行要求に対して、ライセンスの発行を行う(ステップST33)。視聴端末7のデジタルコンテンツ再生部76は、ステップST33で発行されたライセンスを用いて暗号化された映像データを復号し(ステップST34)、コンテンツデータと同期させてデジタルコンテンツの再生を行う(ステップST35)。
【0021】
次に、上述したデジタルコンテンツ再生処理について図4のフローチャートを参照しながらより詳しく説明を行う。
なお、以下では、図3のシーケンス図の処理動作と同一または相当する部分には図3で使用した符号と同一の符号を付して説明を省略または簡略化する。
記録媒体3が視聴端末7に挿入されると(ステップST21)、視聴端末7の再生処理部71は配信サーバ4にデジタルコンテンツ再生リクエストを、認証サーバ5にユーザ認証のリクエストを送信する(ステップST22,23)。
【0022】
認証サーバ5は、ステップST23においてユーザ認証のリクエストが入力されると、入力されたユーザは認証済みのユーザであるか否か判定を行う(ステップST241)。ステップST241において認証済みのユーザであると判定された場合には、配信サーバ4へのアクセス可能通知を認証結果として視聴端末7の再生処理部71に通知する(ステップST25)。一方、ステップST241において認証済みのユーザでないと判定された場合には、視聴端末7の表示画面(図示せず)にログイン画面を表示させ、ユーザにユーザ名やパスワードなどの認証情報の入力を求める(ステップST242)。認証サーバ5は、ステップST242に対してユーザが入力したユーザ名とパスワードを用いて再度認証を行い(ステップST243)、認証された場合にはステップST25の処理に進む。一方、ステップST243において入力されたユーザ名とパスワードに誤りがあり認証されない場合には、ステップST242のログイン画面に戻り、再度ユーザ名とパスワードなどの認証情報の入力を求める。
【0023】
ステップST25において配信サーバ4へのアクセス可能通知を受けた視聴端末7では、固有情報読出部72が記録媒体3から固有情報の読み出しを行い(ステップST26)、固有情報送信部73を介して読み出した固有情報を配信サーバ4に送信する(ステップST27)。配信サーバ4の固有情報照合部42は、ステップST27で入力された固有情報と、データ格納部41に格納されている固有情報とが一致しているか否か判定を行う(ステップST281)。ステップST281において固有情報が一致していると判定された場合には、正しい記録媒体3が挿入されていると判断し、コンテンツデータ配信部43が当該固有情報に対応するコンテンツデータをデータ格納部41から取得し、視聴端末7のコンテンツデータダウンロード部75に配信する(ステップST29)。
【0024】
一方、ステップST281において固有情報が一致していないと判定された場合には、
誤った記録媒体3が挿入されていると判断し、視聴端末7の表示画面(図示せず)などを介してユーザに記録媒体3の入れ替えを指示する(ステップST282)。ステップST282の入れ替え指示に基づき記録媒体3の入れ替えが行われたか否か判定を行い(ステップST283)、入れ替えが行われたと判定された場合には再度ステップST26に戻り固有情報の読み出し処理を行う。
なお、ステップST283の判定処理は、入れ替えが行われたと判定されるまで繰り返し行われる。
【0025】
ステップST29においてコンテンツデータが配信されると、視聴端末7の映像参照部74は記録媒体3の映像格納部31に格納された映像データを参照して(ステップST30)、当該映像データの再生試行を行う(ステップST31)。このとき、映像参照部7
4は当該映像データの再生に必要となるライセンスが取得済みであるか否か判定を行う(ステップST321)。ステップST321においてライセンス取得済みであると判定された場合にはステップST34の処理に進む。一方、ステップST321においてライセンスを取得していないと判定された場合には、映像参照部74がライセンスサーバ6にライセンス発行の要求を出力し(ステップST32)、ライセンスサーバ6からライセンスの発行を受ける(ステップST33)。
【0026】
視聴端末7のデジタルコンテンツ再生部76は、映像参照部74からステップST33で取得したライセンス、あるいは取得済みであったライセンスおよび映像データを取得し、当該ライセンスを用いて暗号化された映像データを復号し(ステップST34)、復号した映像データをコンテンツデータダウンロード部75から取得したコンテンツデータと同期させて再生することにより、デジタルコンテンツの再生を行う(ステップST35)。
【0027】
以上のように、この実施の形態1によれば、オーサリング装置におけるデジタルコンテンツ制作において当該デジタルコンテンツ認証のための固有情報を生成して配信サーバ4のデータ格納部41および記録媒体3の固有情報格納部32に格納し、視聴端末7に記録媒体3が挿入された際に、配信サーバ4に格納された固有情報と、記録媒体3に格納された固有情報とを照合して正しい記録媒体3が挿入されているか否か判断するように構成したので、新たな装置を設けることなく記録媒体3の認証を行うことができる。これにより、コンテンツ認証システムの構成を簡素化することができ、コストを抑制したコンテンツ認証システムを提供することができる。
【0028】
また、この実施の形態1によれば、映像データが固有に持つ各種情報からデジタルコンテンツ認証のための固有情報を生成するように構成したので、1つのコンテンツデータに対応した映像データを複数の記録媒体に複製した場合でも同一の固有情報を付すことができる。これにより、記録媒体のデータを異なる記録媒体複数にコピーした場合であっても同一のコンテンツデータと照合することができる。
【0029】
また、この実施の形態1によれば、デジタルコンテンツ再生時にユーザ認証を行うように構成したので、パスワードを知る正規のユーザのみが配信サーバ4にアクセスすることができる。
【0030】
また、この実施の形態1によれば、ユーザ認証および固有情報による認証後のコンテンツデータを配信し、ネットワーク経由で発行されたライセンスを用いて暗号化された映像データを復号するように構成したので、記録媒体3が盗まれた場合でもセキュリティを確保することができる。
【0031】
また、この実施の形態1によれば、映像データを記録媒体3に出力して配布し、コンテンツデータを配信サーバ4に出力して配信するように構成したので、デジタルコンテンツ配信において、サイズの大きい映像データをネットワーク配信する必要がなく、狭帯域のネットワーク環境でも安定してデジタルコンテンツを再生することができる。
【0032】
また、この実施の形態1によれば、デジタルコンテンツに含まれるマークアップ/スクリプト言語の実装により、固有情報を読み出してサーバ装置4へ送信するように構成したので、固有情報読み出しのための新たな装置を必要としない。
具体的には、視聴端末7のディスクドライブの中から、記録媒体がセットされたCD−ROMドライブを検索し、CD−ROMドライブに割り当てられたドライブレター(記憶装置を識別するために各機器に割り当てられたアルファベット)を取得し、取得したドライブレターをGETメソッド(URLの末尾に送信するデータを連結してサーバに送信する方法)などで配信サーバ4に送信する。配信サーバ4は受信したドライブレターの情報を基に、視聴端末7にセットされた記録媒体3内の固有情報を参照するパスを指定し、固有情報を読み出す。
【0033】
実施の形態2.
この実施の形態2では、デジタルコンテンツデータが複数あり、複数のコンテンツに対応する複数の映像データを、1つの記録媒体3に格納する構成について示す。
図5は実施の形態2によるコンテンツ認証システムの固有情報照合処理を模式的に示したものである。図5では、記録媒体3が暗号化映像データAおよび暗号化映像データBを格納する2つの映像格納部31と、映像データAから生成した固有情報「1234」と映像データBから生成した固有情報「3456」を格納する2つの固有情報格納部32を備えている。また、配信サーバ4は、コンテンツデータAと対応する固有情報「1234」、コンテンツデータBと対応する固有情報「3456」を格納するデータ格納部41を備えている。
固有情報照合部42(図5では図示せず)では、固有情報格納部32に格納された固有情報(「1234」あるいは「3456」)と、データ格納部に格納された固有情報(「1234」あるいは「3456」)とを照合する。
【0034】
次に、実施の形態2によるコンテンツ認証システムのデジタルコンテンツ制作処理について説明を行う。複数のデジタルコンテンツを備えている点以外は実施の形態1と同様であるため、図2で示したシーケンス図に沿って説明を行う。
ステップST1としてオーサリング装置1のメディア呼出部12がメディア格納部11からメディアデータを呼び出すと、ステップST2においてデジタルコンテンツ制作部13は、メディアデータからデジタルコンテンツデータAおよびデジタルコンテンツデータBを制作する。なお、デジタルコンテンツデータAは、映像データAおよび映像データ以外のデータであるコンテンツデータAで構成されているものとする。同様に、デジタルコンテンツデータBは、映像データBおよび映像データ以外のデータであるコンテンツデータBで構成されているものとする。
【0035】
次に、ステップST3として固有情報生成部14は、映像データAが固有に持つ各種情報からデジタルコンテンツ認証のための固有情報「1234」を生成すると共に、映像データBが固有に持つ各種情報からデジタルコンテンツ認証のための固有情報「3456」を生成する。ステップST4として、映像データA,Bは映像暗号化装置2に出力される。ステップST5として、生成された固有情報「1234」および固有情報「3456」は記録媒体3および配信サーバ4に出力される。さらにステップST6として、コンテンツデータA,Bは配信サーバ4に出力される。
【0036】
続いてステップST7,8として、映像暗号化装置2はステップST4で入力された映像データA,Bの暗号化を行い、暗号化された映像データA,Bを記録媒体3に出力する。記録媒体3は、ステップST9として固有情報「1234」および固有情報「3456」を固有情報格納部32に格納し、映像データA,Bを映像格納部31に格納する。ステップST10として、配信サーバ4はコンテンツデータA,Bと、対応する固有情報「1234」および固有情報「3456」をデータ格納部41に格納する。
【0037】
次に、実施の形態2によるコンテンツ認証システムのデジタルコンテンツ再生処理について説明を行う。複数のデジタルコンテンツで構成されている点以外は実施の形態1と同様であるため、図4で示したフローチャートに沿って説明を行う。なお、以下では、実施の形態1によるコンテンツ認証システムと同一の処理については説明を省略または簡略化する。
ステップST25において配信サーバ4へのアクセス可能通知を受け取ると、視聴端末7の固有情報読出部72は、ステップST26として記録媒体3の固有情報格納部32から固有情報「1234」あるは固有情報「3456」の読み出しを行い、ステップST27として固有情報送信部73が読み出した固有情報「1234」あるいは固有情報「3456」を配信サーバ4の固有情報照合部42に送信する。
【0038】
次にステップST281として、配信サーバ4の固有情報照合部42は、ステップST27で入力された固有情報「1234」あるは固有情報「3456」と、データ格納部41に格納されている固有情報とが一致しているか否か判定を行う。ステップST281において固有情報「1234」あるは固有情報「3456」が一致していると判定された場合には、正しい記録媒体3が挿入されていると判断し、ステップST29としてコンテンツデータ配信部43が固有情報「1234」あるは固有情報「3456」に相当するコンテンツデータをデータ格納部41から取得し、視聴端末7のコンテンツデータダウンロード部75に配信する。
【0039】
一方、ステップST281において固有情報が一致していないと判定された場合には、誤った記録媒体3が挿入されていると判断し、ステップST282として視聴端末7の表示画面(図示せず)などを介してユーザに記録媒体3の入れ替えを指示する。ステップST282の入れ替え指示に基づき記録媒体3の入れ替えが行われたか否か判定を行い(ステップST283)、入れ替えが行われたと判定された場合には再度ステップST26に戻り固有情報の読み出し処理を行う。
【0040】
ステップST29においてコンテンツデータが配信されると、ステップST30,31として視聴端末7の映像参照部74は記録媒体3の映像格納部31に格納された映像データAあるいは映像データBを参照し、映像データAあるいは映像データBの再生試行を行う。このとき、映像参照部74は映像データAあるいは映像データBの再生に必要となるライセンスが取得済みであるか否か確認を行う(ステップST321)。ステップST321においてライセンス取得済みであると判定された場合にはステップST34の処理に進む。一方、ステップST321においてライセンスを取得していないと判定された場合には、ステップST32,33としてライセンスサーバ6にライセンス発行の要求を出力し、ライセンスサーバ6からライセンスの発行を受ける。
【0041】
ステップST34として、視聴端末7のデジタルコンテンツ再生部76は、映像参照部74からステップST33で取得したライセンス、あるいは取得済みであったライセンスおよび映像データAあるいは映像データBを取得し、当該ライセンスを用いて暗号化された映像データAあるいは映像データBを復号し、ステップST35として復号した映像データAあるいは映像データBをコンテンツデータダウンロード部75から取得したコンテンツデータと同期させて再生することによりデジタルコンテンツの再生を行う。
【0042】
以上のように、この実施の形態2によれば、固有情報生成部14において映像データが固有に持つ各種情報から固有情報を生成するように構成したので、1つの記録媒体に複数の映像データを格納した場合でも、映像データごとに異なる固有情報を参照して照合を行うことができる。これにより1つの記録媒体を複数のコンテンツデータと対応付けることができる。
【0043】
実施の形態3.
この実施の形態3では、生成した固有情報を格納するオブジェクトを生成し、当該オブジェクトを記録媒体3に格納する構成を示す。図6は、実施の形態3によるコンテンツ認証システムの構成を示すブロック図である。なお、以下では、実施の形態1によるコンテンツ認証システムの構成要素と同一または相当する部分には実施の形態1で使用した符号と同一の符号を付して説明を省略または簡略化する。
【0044】
オーサリング装置1の固有情報生成部14は、映像データが固有に持つ各種情報からデジタルコンテンツ認証のための固有情報を生成すると共に、当該固有情報を格納するオブジェクト33を生成する。固有情報出力部15は、当該オブジェクト33を記録媒体3に出力する。記録媒体3は、固有情報格納部32に替えて、固有情報出力部15から入力されるオブジェクト33を格納する。また、映像暗号化装置2から入力される暗号化映像を映像格納部31に格納する。
【0045】
配信サーバ4のデータ格納部41は、実施の形態1と同様に固有情報出力部15から入力される固有情報をコンテンツデータと共に格納する。デジタルコンテンツ再生時には、視聴端末7の固有情報読出部72が記録媒体3に格納されたオブジェクト33を固有情報として取得し、固有情報送信部73が当該オブジェクト33を配信サーバ4の固有情報照合部42に出力する。固有情報照合部42は、入力されたオブジェクト33とデータ格納部41に格納された固有情報との照合を行う。
【0046】
実施の形態3のデジタルコンテンツ制作処理およびデジタルコンテンツ再生処理は、固有情報をオブジェクト33に格納する点、固有情報読出部72がオブジェクト33から固有情報を読み出す点以外は実施の形態1と同一であるため、処理動作の詳細な説明は省略する。
【0047】
以上のように、この実施の形態3によれば、オーサリング装置1の固有情報生成部14が生成した固有情報を格納するオブジェクト33を生成し、固有情報出力部15が当該オブジェクト33を記録媒体3に出力するように構成したので、デジタルコンテンツの制作と同時に固有情報を記録媒体に自動的に付与することができる。
【0048】
実施の形態4.
この実施の形態4では、生成した固有情報をフォルダ名に持つフォルダを生成し、当該フォルダを記録媒体3に格納する構成を示す。図7は、実施の形態4によるコンテンツ認証システムの構成を示すブロック図である。なお、以下では、実施の形態1によるコンテンツ認証システムの構成要素と同一または相当する部分には実施の形態1で使用した符号と同一の符号を付して説明を省略または簡略化する。
【0049】
オーサリング装置1の固有情報生成部14は、映像データが固有に持つ各種情報からデジタルコンテンツ認証のための固有情報を生成すると共に、当該固有情報をフォルダ名に持つフォルダ34を作成する。固有情報出力部15は、当該フォルダ34を記録媒体3に出力する。記録媒体3は、固有情報格納部32に替えて、固有情報出力部15から入力されるフォルダ34を格納し、当該フォルダ34内に映像暗号化装置2から入力される暗号化映像を格納する。
【0050】
配信サーバ4のデータ格納部41は、実施の形態1と同様に固有情報出力部15から入力される固有情報をコンテンツデータと共に格納する。デジタルコンテンツ再生時には、視聴端末7の固有情報読出部72が記録媒体3に格納されたフォルダ34のフォルダ名を固有情報として取得し、固有情報送信部73が当該フォルダ名を配信サーバ4の固有情報照合部42に出力する。固有情報照合部42は、入力されたフォルダ名とデータ格納部41に格納された固有情報との照合を行う。
【0051】
実施の形態4のデジタルコンテンツ制作処理およびデジタルコンテンツ再生処理は、固有情報をフォルダ34のフォルダ名とする点、固有情報読出部72がフォルダ34のフォルダ名を固有情報として読み出す点以外は実施の形態1と同一であるため、処理動作の詳細な説明は省略する。
【0052】
以上のように、この実施の形態4によれば、オーサリング装置1の固有情報生成部14が生成した固有情報をフォルダ名とするフォルダ34を生成し、固有情報出力部15が当該フォルダ34を記録媒体に格納するように構成したので、デジタルコンテンツの制作と同時に固有情報を記録媒体に自動的に付与することができる。
【0053】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 オーサリング装置、2 映像暗号化装置、3 記録媒体、4 配信サーバ、5 認証サーバ、6 ライセンスサーバ、7 視聴端末、11 メディア格納部、12 メディア呼出部、13 デジタルコンテンツ制作部、14 固有情報生成部、15 固有情報出力部、31 映像格納部、32 固有情報格納部、41 データ格納部、42 固有情報照合部、43 コンテンツデータ配信部、71 再生処理部、72 固有情報読出部、73 固有情報送信部、74 映像参照部、75 コンテンツデータダウンロード部、76 デジタルコンテンツ再生部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像データと前記映像データに対応したコンテンツデータを制作するオーサリング装置と、前記映像データを格納する記録媒体の利用を認証して前記コンテンツデータを配信する配信サーバとを備えたコンテンツ認証システムにおいて、
前記オーサリング装置は、
前記映像データおよび前記コンテンツデータを制作し、前記映像データを前記記録媒体に格納し、前記コンテンツデータを前記配信サーバに出力するデジタルコンテンツ制作部と、
前記デジタルコンテンツ制作部が制作した映像データが固有に持つ情報から固有情報を生成する固有情報生成部と、
前記固有情報生成部が生成した固有情報を前記記録媒体および前記配信サーバに出力する固有情報出力部とを備え、
前記配信サーバは、
前記固有情報出力部により出力された固有情報と、前記デジタルコンテンツ制作部が制作したコンテンツデータとを対応付けて格納するデータ格納部と、
受信した前記記録媒体の固有情報と、前記データ格納部に格納された固有情報とを照合する固有情報照合部とを備えたことを特徴とするコンテンツ認証システム。
【請求項2】
前記記録媒体に格納された映像データと、前記配信サーバから配信されるコンテンツデータとを再生する視聴端末とを備え、
前記視聴端末は、
前記記録媒体に格納された固有情報を読み出す固有情報読出部と、
前記固有情報読出部が読み出した固有情報を前記固有情報照合部に送信する固有情報送信部とを備えたことを特徴とする請求項1記載のコンテンツ認証システム。
【請求項3】
前記固有情報は、前記映像データが固有に持つ情報の演算結果であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のコンテンツ認証システム。
【請求項4】
前記固有情報は、前記映像データの容量であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のコンテンツ認証システム。
【請求項5】
前記固有情報は、前記映像データの長さであることを特徴とする請求項1または請求項2記載のコンテンツ認証システム。
【請求項6】
前記固有情報は、前記映像データから算出したハッシュ値であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のコンテンツ認証システム。
【請求項7】
前記デジタルコンテンツ制作部が複数の映像データおよび複数のコンテンツデータを制作し、前記複数の映像データを1つの記録媒体が格納する場合に、
前記固有情報生成部は、前記複数の映像データそれぞれが固有に持つ情報から複数の固有情報を生成し、
前記固有情報出力部は、前記複数の固有情報を前記1つの記録媒体および前記データ格納部に出力し、
前記固有情報照合部は、前記1つの記録媒体に格納された複数の固有情報と、前記データ格納部に格納された複数の固有情報とを照合し、前記1つの記録媒体と前記複数のコンテンツデータとを対応付けることを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載のコンテンツ認証システム。
【請求項8】
前記固有情報出力部は、前記固有情報生成部が生成した固有情報をオブジェクトに格納し、当該オブジェクトを前記記録媒体に出力することを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載のコンテンツ認証システム。
【請求項9】
前記固有情報登録部は、前記固有情報生成部が生成した固有情報をフォルダ名とするフォルダを作成し、当該フォルダを前記記録媒体に登録することを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載のコンテンツ認証システム。
【請求項10】
映像データおよび前記映像データに対応したコンテンツデータを制作し、前記映像データを記録媒体に出力し、前記コンテンツデータを配信サーバに出力するオーサリング装置において、
前記映像データおよび前記コンテンツデータを制作するデジタルコンテンツ制作部と、
前記デジタルコンテンツ制作部が制作した映像データが固有に持つ情報から固有情報を生成する固有情報生成部と、
前記固有情報生成部が生成した固有情報を前記記録媒体および前記配信サーバに出力する固有情報出力部とを備えたことを特徴とするオーサリング装置。
【請求項11】
映像データを格納する記録媒体の利用を認証して前記映像データに対応したコンテンツデータを配信する配信サーバにおいて、
前記映像データが固有に持つ情報から生成された固有情報と、前記映像データに対応したコンテンツデータとを対応付けて格納するデータ格納部と、
前記記録媒体に格納された固有情報を受信し、当該受信した固有情報と、前記データ格納部に格納された固有情報とを照合する固有情報照合部と、
前記固有情報照合部の照合結果に基づき前記コンテンツデータを配信するコンテンツデータ配信部とを備えたことを特徴とする配信サーバ。
【請求項12】
記録媒体に格納された映像データおよび配信サーバから配信されるコンテンツデータを取得して再生する視聴端末において、
前記記録媒体に格納された固有情報を読み出す固有情報読出部と、
前記固有情報読出部が読み出した固有情報を前記配信サーバに送信する固有情報送信部と、
前記記録媒体に格納された映像データを取得する映像参照部と、
前記配信サーバから配信されるコンテンツデータを取得するコンテンツデータ取得部と、
前記映像参照部が取得した映像データと、前記データ取得部が取得したコンテンツデータとを同期させて再生する再生部とを備えたことを特徴とする視聴端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−141933(P2012−141933A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−1267(P2011−1267)
【出願日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】