説明

コンテンツ配信サーバ

【課題】指定された端末装置へコンテンツを提供する際に、当該端末装置の仕様に適したデータを配信できるコンテンツ配信サーバを提供すること。
【解決手段】サービスサーバ3は、複数の受信機4を所定のグループに紐付け、かつ、受信機4それぞれの仕様データを記憶する端末情報DB42と、複数の受信機4のいずれかから、コンテンツの第1の取得要求を受信し、要求元である受信機4a及び提供先である受信機4bを特定するコンテンツ取得要求受信部33と、受信機4a及び受信機4bが同一グループに属していることを認証し、受信機4bに関する仕様データを取得する端末情報管理部34と、取得された仕様データに基づいて、第1のコンテンツデータを、受信機4で利用可能な形式である第2のコンテンツデータへ変換するコンテンツ変換部35と、変換された第2のコンテンツデータを、受信機4bへ送信するコンテンツ送信部36とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送と通信の連携を図る機能を有する端末装置に対してコンテンツを配信するコンテンツ配信サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、放送のデジタル化と通信のブロードバンド化の進展に伴い、放送通信連携サービスの実現に向けた研究開発が行われている。また、この放送通信連携サービスにおいては、放送と通信という異なる伝送路を用いて複数のコンテンツを配信し、デジタルテレビ等の受信機において、配信された複数のコンテンツを統合して提示する形態が想定される。
【0003】
また、現在視聴中の番組に応じて、関連する情報を受信機上で表示する技術として、デジタル放送では、マルチメディア符号化用の言語であるBML(Broadcast Markup Language)で記述されたデータ放送コンテンツを画面上に表示することが可能である。また、非特許文献1には、アプリケーションに関する管理情報を格納したAIT(Application Information Table)を放送波に含み、放送局からアプリケーションの起動状態を制御することが示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】デジタル放送におけるアプリケーション実行環境 標準規格 ARIB STD−B23 1.2版、社団法人 電波産業会、平成21年7月29日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような状況のもと、受信機で番組コンテンツを視聴中に、この番組コンテンツを効果的に楽しめる関連アプリケーション及び対応するコンテンツを、受信機又は他の端末装置(例えば、PC、スマートフォン、タブレット型情報端末等)で利用できることが期待される。
【0006】
ところで、コンテンツを受信して提示する端末装置(受信機や他の端末装置)は、コンテンツを再生するための処理能力(CPUパワー)や、表示解像度等の仕様が統一されていない。そのため、コンテンツの仕様が一意であると、端末装置に適した表示がされない場合があった。
【0007】
本発明は、指定された端末装置へコンテンツを提供する際に、当該端末装置の仕様に適したデータを配信できるコンテンツ配信サーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るコンテンツ配信サーバは、放送されている番組コンテンツに連携させてアプリケーションを実行する端末装置に対して、通信により当該アプリケーション用のコンテンツを配信するコンテンツ配信サーバであって、前記アプリケーションを実行可能な複数の端末装置を所定のグループに紐付け、かつ、当該複数の端末装置それぞれの処理能力を示す仕様データを記憶する端末情報記憶手段と、前記複数の端末装置のいずれかから、前記アプリケーションに対応付けられているコンテンツの第1の取得要求を受信し、要求元である第1の端末装置及び提供先である第2の端末装置を特定するコンテンツ取得要求受信手段と、前記コンテンツ取得要求受信手段において特定された前記第1の端末装置及び第2の端末装置が同一グループに属していることを、前記端末情報記憶手段と照合することにより認証し、当該認証された前記第2の端末装置に関する前記仕様データを取得する端末情報管理手段と、前記端末情報管理手段により取得された前記仕様データに基づいて、第1のコンテンツデータを、前記第2の端末装置で利用可能な形式である第2のコンテンツデータへ変換するコンテンツ変換手段と、前記コンテンツ変換手段により変換された第2のコンテンツデータを、前記第2の端末装置へ送信するコンテンツ送信手段と、を備える構成とした。
【0009】
かかる構成によれば、コンテンツ配信サーバは、コンテンツの取得要求に応じて、指定された端末装置へコンテンツを提供する際に、当該端末装置で利用可能な形式にコンテンツデータを変換するので、提供先の仕様に適したコンテンツデータを配信できる。
【0010】
また、コンテンツ配信サーバでは、前記第1の取得要求は、前記第1のコンテンツデータの少なくとも一部分を要求するものであり、前記端末情報管理手段は、前記第1のコンテンツデータのうち要求された部分を識別するコンテンツ識別データを、前記第2の端末装置と関連付けて前記端末情報記憶手段に記憶させ、前記コンテンツ変換手段は、前記第2の端末装置から第2の取得要求を受信したことに応じて、前記コンテンツ識別データに基づいて、前記第2のコンテンツデータを生成する構成でもよい。
【0011】
かかる構成によれば、コンテンツ配信サーバは、第1の取得要求に応じて、コンテンツの一部分を識別するコンテンツ識別データを記憶し、第2の取得要求に応じて、このコンテンツ識別データにより示されるコンテンツの一部分を提供する。したがって、コンテンツ配信サーバは、複数の端末装置を連携させ、コンテンツの利用を継続させることができる。
【0012】
また、コンテンツ配信サーバでは、放送波に多重されて、又は通信を介して前記第1の端末装置において受信されたアプリケーション管理情報により特定される前記アプリケーションを、前記第1の端末装置へ送信するアプリケーション提供手段を備える構成でもよい。
【0013】
かかる構成によれば、コンテンツ配信サーバは、アプリケーション管理情報により特定されるアプリケーションを端末装置へ提供できるので、端末装置に予めアプリケーションがインストールされている必要がなく、利便性が向上する。
【0014】
また、コンテンツ配信サーバでは、前記端末情報管理手段は、前記第1の端末装置で実行された前記アプリケーションを識別するアプリケーション識別データを、前記第2の端末装置と関連付けて前記端末情報記憶手段に記憶させ、前記アプリケーション提供手段は、前記コンテンツ送信手段によりコンテンツが送信される場合に、前記アプリケーション識別データに基づいて、前記アプリケーションを前記第2の端末装置へ送信する構成でもよい。
【0015】
かかる構成によれば、コンテンツ配信サーバは、コンテンツに加えて、このコンテンツが対応付けられているアプリケーションを、併せて端末装置へ提供できるので、複数の端末装置でコンテンツの利用を継続する場合に、利便性が向上する。
【0016】
また、コンテンツ配信サーバでは、前記複数の端末装置のそれぞれから当該端末装置の位置情報を取得し、予め設定されている地域に位置している端末装置を同一グループに紐付けて前記端末情報記憶手段に記憶させる端末登録手段を備える構成でもよい。
【0017】
かかる構成によれば、コンテンツ配信サーバは、予め設定されている地域に位置している端末装置を同一グループとして管理できるので、所定のエリア内に限定したコンテンツのサービスや、コミュニケーションを提供できる。
【0018】
また、コンテンツ配信サーバでは、前記端末情報管理手段は、前記第1の取得要求において指定される前記第2の端末装置として、前記第1の端末装置と同一のグループに属する1又は複数の端末装置を認証する構成でもよい。
【0019】
かかる構成によれば、コンテンツ配信サーバは、コンテンツの提供先として複数の指定を受け付けられるので、同一グループに属する複数の端末装置において同一のコンテンツを継続して利用することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、コンテンツ配信サーバは、指定された端末装置へコンテンツを提供する際に、当該端末装置の仕様に適したデータを配信できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】放送通信連携システムの全体構成図である。
【図2】受信機の機能構成を示すブロック図である。
【図3】サービスサーバの機能構成を示すブロック図である。
【図4】端末連携管理テーブルの一例を示す図である。
【図5】端末仕様管理テーブルの一例を示す図である。
【図6】提供コンテンツ管理テーブルの一例を示す図である。
【図7】コンテンツを提供する処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る放送通信連携システム100の全体構成図である。放送通信連携システム100は、放送局1と、放送用アンテナ2と、サービスサーバ3(コンテンツ配信サーバ)と、受信機4(端末装置)とを含んで構成される。この放送通信連携システム100では、受信機4において、ISDB(Integrated Services Digital Broadcasting:統合デジタル放送サービス)方式によって放送局1から提供される放送サービスと、インターネット等により構成される通信ネットワークNを介してサービスサーバ3から提供される通信サービスとを連携し、放送通信連携サービスとして受信機4のユーザに提供する。
【0023】
放送局1は、番組編成設備と、番組送出設備と、送信設備とを含んで構成される一般的なデジタル放送用の放送設備(図示省略)を備える。
放送局1は、放送設備によって、コンテンツや、イベント情報(Event Information Table:EIT)や、アプリケーション管理情報(Application Information Table:AIT)等を制作する。そして、放送局1は、放送設備によって、これらコンテンツ、EIT及びAIT等を放送信号に多重化する。そして、放送局1は、放送設備によって、この放送信号を放送波に変調し、放送用アンテナ2を介して放送波を放送する。
【0024】
放送局1から放送される放送波に含まれるコンテンツには、放送スケジュールに従って放送され映像や音声を含んで構成されるコンテンツである番組コンテンツや、番組コンテンツとは非同期に発生する緊急地震速報等のコンテンツである緊急コンテンツ等が含まれる。
【0025】
EITは、番組コンテンツの名称、番組コンテンツの放送日時、番組コンテンツの説明等、コンテンツに関するメタ情報を含む。
AITは、番組コンテンツに連動するコンテンツを受信機4に提供可能なアプリケーションプログラム(以下、アプリケーションと記載する)を1又は複数管理するための管理情報である。AITには、1又は複数のアプリケーションそれぞれに対応し、1又は複数のアプリケーションそれぞれを管理するための個別管理情報が、1又は複数含まれる。個別管理情報には、アプリケーションを識別するアプリケーションIDや、アプリケーションのライフサイクルを制御するライフサイクル制御情報や、アプリケーションの所在を示すロケーション情報が含まれている。
【0026】
アプリケーションにより提供されるコンテンツには、番組コンテンツに連動するコンテンツ及び番組コンテンツに連動しないコンテンツが含まれる。以下、アプリケーションにより提供されるコンテンツをアプリ用コンテンツという。
【0027】
放送信号は、従来のデジタル放送の放送信号と同一であり、ARIB(登録商標)(Association of Radio Industries and Broadcast:社団法人電波産業会)標準規格で規定される。
【0028】
サービスサーバ3は、放送局1の設備と通信可能に接続されており、放送局1から番組コンテンツや、番組コンテンツのメタデータを受信する。さらに、サービスサーバ3は、この番組コンテンツに関連又は独立した各種アプリ用コンテンツ、例えばVOD(Video On Demand)コンテンツ等を管理する。
【0029】
そして、サービスサーバ3は、詳細は後述するが、受信機4のアプリケーションにて再生されるコンテンツ(アプリ用コンテンツ)を配信する機能と、受信機4で動作する各種のアプリケーションを配信する機能とを備える。
【0030】
また、サービスサーバ3は、受信機4からアプリケーションの取得要求を受け付けたことに応じて、受信機4に対してアプリケーションを送信する。さらに、サービスサーバ3は、受信機4においてアプリケーションが実行されている場合に、アプリ用コンテンツの映像データや音声データ等を受信機4に送信する。
【0031】
また、サービスサーバ3は、AITを番組コンテンツに対して多重化させて受信機4に送信する。また、サービスサーバ3は、受信機4からAITの取得要求を受け付けたことに応じて、受信機4に対してAITを送信する。
【0032】
受信機4は、放送局1からの放送又はサービスサーバ3との通信を介して受信する番組コンテンツに対して所定の処理を行うことにより、番組コンテンツの映像データ及び音声データを同期して出力する。また、受信機4は、AITに基づいてアプリケーションを取得し、取得したアプリケーションを実行する。続いて、受信機4は、実行されているアプリケーションによってサービスサーバ3からアプリ用コンテンツの映像データや音声データ等を取得し、番組コンテンツの映像データ及び音声データに連携させて出力する。以下に、受信機4の機能について詳述する。
【0033】
図2は、受信機4の機能構成を示すブロック図である。
受信機4は、放送波受信部11と、第1分離部12と、放送AIT取得部13と、通信部14と、第2分離部15と、通信AIT取得部16と、アプリケーション実行制御部17と、音声制御部18と、表示制御部19と、スピーカ20と、ディスプレイ21と、メモリ22と、AIT記憶部23とを備える。
【0034】
放送波受信部11は、放送用アンテナ2を介して放送局1から放送されている放送波を受信する。
【0035】
第1分離部12は、放送波受信部11により受信した放送波を復調し、放送波から放送信号、すなわち、TSパケット(トランスポートストリームパケット)を抽出する。そして、第1分離部12は、TSパケットのPSI(Program Specific Information)/SI(Service Information)を参照して、TSパケットに含まれているデータの種別を判別し、映像、音声、EIT等の各種データを抽出する。また、第1分離部12は、予め規定されているAITの伝送方法に応じて、EIT、データカルーセル又はPES(Packetized Elementary Stream)を参照してAITを抽出する。
【0036】
続いて、第1分離部12は、TSパケットのPESに含まれているデータが音声データである場合、この音声データを音声制御部18に出力する。また、第1分離部12は、TSパケットのPESに含まれているデータが映像データである場合、この映像データを表示制御部19に出力する。
【0037】
また、第1分離部12は、抽出したEITやその他の各種データをメモリ22に記憶させる。また、第1分離部12は、AITを抽出した場合、抽出したAITを放送AIT取得部13に出力する。
【0038】
放送AIT取得部13は、第1分離部12から出力されたAITを取得し、AIT記憶部23に記憶させる。
【0039】
通信部14は、通信ネットワークNを介してサービスサーバ3とデータの送受信を行う通信インタフェースである。
【0040】
第2分離部15は、通信部14により受信されたデータの種別を判別する。第2分離部15は、受信したデータがAITであると判別した場合、このAITを通信AIT取得部16に出力する。また、第2分離部15は、受信したデータがアプリケーションであると判別した場合、このアプリケーションをアプリケーション実行制御部17に出力する。
【0041】
また、第2分離部15は、受信したデータがTSパケットであると判別した場合、映像、音声、AIT等の各種データをTSパケットから抽出する。そして、第2分離部15は、AITを抽出した場合、このAITを通信AIT取得部16に出力し、AIT以外のデータを抽出した場合、このデータをアプリケーション実行制御部17に出力する。
【0042】
通信AIT取得部16は、第2分離部15から出力されたAITを取得し、AIT記憶部23に記憶させる。
【0043】
アプリケーション実行制御部17は、AIT又はリモコンRを介したユーザの実行指示に基づいてアプリケーションを取得し、取得したアプリケーションの実行を制御する。そして、アプリケーション実行制御部17は、アプリケーションの実行によってサービスサーバ3から取得されたアプリ用コンテンツの音声データを音声制御部18に出力するとともに、サービスサーバ3から取得されたアプリ用コンテンツの映像データを表示制御部19に出力する。
【0044】
アプリケーション実行制御部17は、AIT記憶部23を監視し、新たにAITが記憶された場合に、このAITに記述されているライフサイクルに係る制御情報を参照する。そして、アプリケーション実行制御部17は、ライフサイクルに係る制御情報が「自動実行」を示すものである場合、AITに記述されているロケーション情報をアプリケーションの取得先として、通信部14及び第2分離部15を介してサービスサーバ3からアプリケーションを取得し、取得したアプリケーションを実行する。この場合、アプリケーションは、受信機4のユーザから明示的な操作指示を受けることなく自動的に実行される。
【0045】
また、アプリケーション実行制御部17は、受信機4のユーザからリモコンRを介してアプリケーションの実行指示を受け付ける。例えば、リモコンRには、Hybridcast(登録商標)ボタンが設けられており、アプリケーション実行制御部17は、受信機4のユーザによってHybridcastボタンが押下されたことに応じて、実行するアプリケーションの選択を受け付けるためのメニュー画面の実行指示を受け付ける。アプリケーション実行制御部17は、メニュー画面の実行指示を受け付けたことに応じて、AIT記憶部23を参照し、実行可能なアプリケーションのAITを特定する。そして、アプリケーション実行制御部17は、特定したAITに対応するアプリケーションを選択可能なメニュー画面を構成する映像データを表示制御部19に出力して、このメニュー画面をディスプレイ21に表示させる。受信機4のユーザからリモコンRを介してアプリケーションの選択操作を受け付けた場合、アプリケーション実行制御部17は、AITに記述された当該アプリケーションのロケーション情報を参照してアプリケーションを取得し、アプリケーションを実行する。
【0046】
アプリケーションは、アプリケーション実行制御部17に対して、アプリ用コンテンツの映像データ及び音声データをサービスサーバ3から取得させる。そして、アプリケーション実行制御部17は、アプリケーションによって取得したアプリ用コンテンツの音声データを音声制御部18に出力するとともに、アプリケーションによって取得したアプリ用コンテンツの映像データを表示制御部19に出力する。ここで、アプリケーションが番組コンテンツに連動するアプリコンテンツを提供するアプリケーションである場合には、アプリ用コンテンツの映像データ及び音声データが番組コンテンツの映像データ及び音声データに連動してディスプレイ21に表示される。
【0047】
また、アプリケーション実行制御部17は、AIT記憶部23を監視し、実行中のアプリケーションに対応する個別管理情報を記述したAITが新たにAIT記憶部23に記憶された場合、この個別管理情報に含まれるライフサイクル制御情報に基づいて、実行中のアプリケーションを制御する。例えば、アプリケーションのライフサイクル制御情報が「終了」を示すものであるとき、アプリケーションを終了させる。
【0048】
音声制御部18は、第1分離部12から出力された音声データを、表示制御部19により表示制御される映像データと同期をとりながらスピーカ20に出力する。また、音声制御部18は、アプリケーション実行制御部17から出力された音声データが表示制御部19により表示制御される映像データと同期可能である場合、この映像データと同期をとりながら音声データをスピーカ20に出力する。
【0049】
表示制御部19は、第1分離部12から出力された映像データを、音声制御部18により出力制御される音声データと同期をとりながらディスプレイ21に表示させる。また、表示制御部19は、アプリケーション実行制御部17から出力された映像データが音声制御部18により出力制御される音声データと同期可能である場合、この音声データと同期をとりながら映像データをディスプレイ21に表示させる。
【0050】
メモリ22は、EIT等の番組コンテンツのメタ情報やその他各種情報を記憶する。
AIT記憶部23は、放送AIT取得部13及び通信AIT取得部16によって取得されたAITを記憶する。
【0051】
以下、受信機4(端末装置)に対して、通信によりアプリケーション及びアプリ用コンテンツを配信するサービスサーバ3の機能について詳述する。
【0052】
図3は、サービスサーバ3の機能構成を示すブロック図である。
なお、受信機4は1又は複数存在してよいが、本実施形態では、一例として受信機4aと受信機4bとが連携する場合を説明する。すなわち、サービスサーバ3は、受信機4aからの要求に応じて受信機4a又は受信機4bへコンテンツを送信する。同様に、又は、サービスサーバ3は、受信機4bからの要求に応じて受信機4a又は受信機4bへコンテンツを送信する。
【0053】
サービスサーバ3は、制御部30と、記憶部40とを備える。
また、制御部30は、アプリケーション提供部31(アプリケーション提供手段)と、端末登録部32(端末登録手段)と、コンテンツ取得要求受信部33(コンテンツ取得要求受信手段)と、端末情報管理部34(端末情報管理手段)と、コンテンツ変換部35(コンテンツ変換手段)と、コンテンツ送信部36(コンテンツ送信手段)とを備える。
また、記憶部40は、アプリケーションDB(データベース)41と、端末情報DB42(端末情報記憶手段)と、コンテンツDB43とを備える。
【0054】
アプリケーション提供部31は、放送波に多重されて、又は通信を介して第1の端末装置(例えば、受信機4a)において受信されたAITにより特定されるアプリケーションを、アプリケーションDB41から抽出し、第1の端末装置へ送信する。
【0055】
端末登録部32は、複数の端末装置(例えば、受信機4a及び受信機4b)からの要求に応じて、同一のアプリケーションを実行可能な端末装置を所定のグループに紐付け、端末情報DB42に記憶させる。このとき、紐付けられるグループは、例えば、利用者個人、利用者の家族、特定の施設や特定の地域等であり、各グループに属する端末装置が、利用者ID、家族ID、施設ID、地域ID等に対応付けられる。
【0056】
図4は、端末情報DB42に格納される端末連携管理テーブルの一例を示す図である。
この端末連携管理テーブルは、個々のアプリケーションの識別ID及びグループID(例えば、上記の利用者ID、家族ID、施設ID、地域ID等)に対して、1又は複数の端末装置を識別する端末IDを記憶する。これにより、同一アプリケーションを実行してコンテンツを共有できる端末装置が紐付けられる。
例えば、図中の「端末ID=T1001」が受信機4aを示し、「端末ID=M2001」が受信機4bを示す。
【0057】
ここで、端末登録部32は、ある地域(イベント会場のエリアや、市区町村のエリア等)に位置する、又は移動してきた端末装置を同一グループの地域IDに紐付ける場合、複数の端末装置(例えば、受信機4a及び受信機4b)のそれぞれから当該端末装置の位置情報を取得し、予め設定されている地域に位置している端末装置を同一グループに紐付けて、端末連携管理テーブルに記憶させる。
【0058】
また、端末登録部32は、端末連携管理テーブルに紐付け情報を記憶する際に、複数の端末装置それぞれの処理能力を示す仕様データを、さらに端末情報DB42に記憶させる。
【0059】
図5は、端末情報DB42に格納される端末仕様管理テーブルの一例を示す図である。
この端末仕様管理テーブルには、端末装置の端末IDごとに、例えば、CPUのクロック周波数、表示解像度、デコード可能な符号化方式等が記憶される。
【0060】
コンテンツ取得要求受信部33は、複数の端末装置のいずれかから、アプリケーションに対応付けられているコンテンツの第1の取得要求を受信し、要求元である第1の端末装置(例えば、受信機4a)及び提供先である第2の端末装置(例えば、受信機4b)を特定する。
この第1の取得要求は、コンテンツDB43に記憶されている第1のコンテンツデータの少なくとも一部分を要求するものであり、併せて、この第1のコンテンツデータの少なくとも一部分を提供する先が指定される。なお、提供先は同一グループに属する複数の端末装置であってよい。また、提供先が指定されない場合、提供先は要求元と同一であるとする。
【0061】
端末情報管理部34は、コンテンツ取得要求受信部33において特定された第1の端末装置(例えば、受信機4a)及び第2の端末装置(例えば、受信機4b)が同一グループに属していることを、端末連携管理テーブルと照合することにより認証する。そして、端末情報管理部34は、認証されたコンテンツの提供先である第2の端末装置(例えば、受信機4b)に関する仕様データを、端末仕様管理テーブルから取得する。
【0062】
また、端末情報管理部34は、第1のコンテンツデータのうち要求された部分を識別するコンテンツ識別データを、提供先である第2の端末装置(例えば、受信機4b)と関連付けて端末情報DB42に記憶させる。このとき、端末情報管理部34は、第1の端末装置(例えば、受信機4a)で実行されたアプリケーションを識別するデータも、併せて記憶させる。
【0063】
図6は、端末情報DB42に格納される提供コンテンツ管理テーブルの一例を示す図である。
この提供コンテンツ管理テーブルには、提供先の端末IDに対して、アプリケーションの識別ID、コンテンツの識別ID及びコンテンツの再生位置が記憶される。ここで、コンテンツの再生位置は、要求元の端末装置(例えば、受信機4a)において再生が停止された位置であり、上記の第1の取得要求により、停止位置からの続きが要求される。
【0064】
コンテンツ変換部35は、端末情報管理部34により取得された仕様データに基づいて、第1のコンテンツデータを、提供先である第2の端末装置(例えば、受信機4b)で利用可能な形式である第2のコンテンツデータへ変換する。具体的には、コンテンツ変換部35は、例えば、映像の解像度の変更や、符号化方式の変更等を行う。
【0065】
また、コンテンツ変換部35は、提供先である第2の端末装置(例えば、受信機4b)から第2の取得要求を受信したことに応じて、提供コンテンツ管理テーブルのコンテンツ識別データに基づいて、第2のコンテンツデータを生成する。すなわち、コンテンツ変換部35は、第1の取得要求によって指定された提供先に対して、再生途中だったコンテンツの続きを、提供先の仕様に適合させて、第2のコンテンツデータとして生成する。
なお、第2の取得要求は、第1の取得要求と同様に、アプリケーションに対応付けられているコンテンツを要求するものであるが、提供先は要求元と同一(例えば、受信機4b)である。
【0066】
コンテンツ送信部36は、コンテンツ変換部35により変換された第2のコンテンツデータを、提供先である第2の端末装置(例えば、受信機4b)へ送信する。
【0067】
図7は、サービスサーバ3において、コンテンツの取得要求に応じてコンテンツを提供する処理を示すフローチャートである。
【0068】
ステップS1において、コンテンツ取得要求受信部33は、受信機4からコンテンツの取得要求(第1の取得要求又は第2の取得要求)を受信する。
【0069】
ステップS2において、コンテンツ取得要求受信部33は、ステップS1で受信した取得要求に基づいて、コンテンツの提供先を特定し、この提供先が取得要求の要求元であるか否かを判定する。この判定がYESの場合、処理はステップS3に移り、判定がNOの場合、処理はステップS6に移る。
【0070】
ステップS3において、端末情報管理部34は、端末仕様管理テーブルを参照し、コンテンツの提供先である端末装置の仕様を判定する。
【0071】
ステップS4において、コンテンツ変換部35は、ステップS3で判定された仕様、及び提供コンテンツ管理テーブルのコンテンツ再生情報に基づいて、コンテンツデータを変換する。なお、提供コンテンツ管理テーブルに該当する端末IDのレコードが存在しない場合、コンテンツ再生情報がないので、コンテンツの全部を対象として変換する。
【0072】
ステップS5において、コンテンツ送信部36は、ステップS4で変換されたコンテンツデータを、取得要求の要求元である端末装置へ送信する。
【0073】
ステップS6において、端末情報管理部34は、取得要求の要求元とコンテンツの提供先が異なるので、要求元におけるコンテンツの再生情報を提供コンテンツ管理テーブルに記憶し、提供元からの取得要求を待機する。
【0074】
この処理により、サービスサーバ3は、受信機4a及び受信機4bに対して、以下のバリエーションで、コンテンツを提供する。
(1)受信機4aからの受信機4aを指定した第2の取得要求により受信機4aへコンテンツの全体を提供する。
(2)受信機4bからの受信機4bを指定した第2の取得要求により受信機4bへコンテンツの全体を提供する。
(3)受信機4aからの受信機4bを指定した第1の取得要求により再生情報を記憶し、受信機4bからの受信機4bを指定した第2の取得要求により受信機4bへコンテンツの一部を提供する。
(4)受信機4bからの受信機4aを指定した第1の取得要求により再生情報を記憶し、受信機4aからの受信機4aを指定した第2の取得要求により受信機4aへコンテンツの一部を提供する。
【0075】
以上のように、本実施形態によれば、サービスサーバ3は、コンテンツの取得要求に応じて、指定された受信機4へコンテンツを提供する際に、当該受信機4で利用可能な形式にコンテンツデータを変換するので、提供先の仕様に適したコンテンツデータを配信できる。
【0076】
また、サービスサーバ3は、第1の取得要求に応じて、コンテンツの一部分を識別するコンテンツ識別データを記憶し、第2の取得要求に応じて、このコンテンツ識別データにより示されるコンテンツの一部分を提供するので、複数の受信機4(受信機4a及び受信機4b)を連携させ、コンテンツの利用を継続させることができる。
【0077】
また、サービスサーバ3は、AITにより特定されるアプリケーションを受信機4へ提供できるので、受信機4に予めアプリケーションがインストールされている必要がなく、利便性が向上する。
【0078】
また、サービスサーバ3は、予め設定されている地域に位置している受信機4を同一グループとして管理できるので、所定のエリア内に限定したコンテンツのサービスや、コミュニケーションを提供できる。
【0079】
また、サービスサーバ3は、コンテンツの提供先として複数の指定を受け付けられるので、同一グループに属する複数の受信機4において同一のコンテンツを継続して利用することができる。
【0080】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限るものではない。また、本実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0081】
前述の実施形態では、コンテンツ変換部35は、第1のコンテンツデータから第2のコンテンツデータへ変換を行ったが、これには限られない。例えば、第2のコンテンツデータの候補を予め記憶し、判定された仕様に基づいて、1つが選択される構成でもよい。
かかる構成によれば、コンテンツ変換部35の処理負荷が低減され、速やかにコンテンツが配信される。
【0082】
また、第2の取得要求は、第2の端末装置においてアプリケーションが既に実行されていることを前提としたが、これには限られない。アプリケーション提供部31は、第2の端末装置から第2の取得要求を受信したことに応じて、コンテンツ送信部36よりコンテンツが送信される場合に、提供コンテンツ管理テーブルのアプリケーション識別データに基づいて、アプリケーションを第2の端末装置へ送信する構成でもよい。
かかる構成によれば、コンテンツに加えて、このコンテンツが対応付けられているアプリケーションが併せて第2の端末装置(例えば、受信機4b)へ提供されるので、複数の端末装置(例えば、受信機4a及び受信機4b)間でコンテンツの利用を継続する場合に、利便性が向上する。
【0083】
また、前述の実施形態では、端末装置の一例としてテレビ放送を受信可能な受信機4を説明したが、この受信機4には、PC、スマートフォン、タブレット型情報端末等の各種情報処理端末が含まれる。さらに、本発明の端末装置は、放送波を受信できない情報処理端末であってもよい。
【0084】
また、前述の実施形態におけるサービスサーバ3は、複数のサーバから構成されてもよい。例えば、サービスサーバ3のコンテンツを配信する機能と、アプリケーションを配信する機能とを、それぞれ、コンテンツサーバ及びアプリケーションサーバにより実現してもよい。
【符号の説明】
【0085】
3 サービスサーバ(コンテンツ配信サーバ)
4、4a、4b 受信機(端末装置)
31 アプリケーション提供部(アプリケーション提供手段)
32 端末登録部(端末登録手段)
33 コンテンツ取得要求受信部(コンテンツ取得要求受信手段)
34 端末情報管理部(端末情報管理手段)
35 コンテンツ変換部(コンテンツ変換手段)
36 コンテンツ送信部(コンテンツ送信手段)
41 アプリケーションDB
42 端末情報DB(端末情報記憶手段)
43 コンテンツDB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送されている番組コンテンツに連携させてアプリケーションを実行する端末装置に対して、通信により当該アプリケーション用のコンテンツを配信するコンテンツ配信サーバであって、
前記アプリケーションを実行可能な複数の端末装置を所定のグループに紐付け、かつ、当該複数の端末装置それぞれの処理能力を示す仕様データを記憶する端末情報記憶手段と、
前記複数の端末装置のいずれかから、前記アプリケーションに対応付けられているコンテンツの第1の取得要求を受信し、要求元である第1の端末装置及び提供先である第2の端末装置を特定するコンテンツ取得要求受信手段と、
前記コンテンツ取得要求受信手段において特定された前記第1の端末装置及び第2の端末装置が同一グループに属していることを、前記端末情報記憶手段と照合することにより認証し、当該認証された前記第2の端末装置に関する前記仕様データを取得する端末情報管理手段と、
前記端末情報管理手段により取得された前記仕様データに基づいて、第1のコンテンツデータを、前記第2の端末装置で利用可能な形式である第2のコンテンツデータへ変換するコンテンツ変換手段と、
前記コンテンツ変換手段により変換された第2のコンテンツデータを、前記第2の端末装置へ送信するコンテンツ送信手段と、を備えるコンテンツ配信サーバ。
【請求項2】
前記第1の取得要求は、前記第1のコンテンツデータの少なくとも一部分を要求するものであり、
前記端末情報管理手段は、前記第1のコンテンツデータのうち要求された部分を識別するコンテンツ識別データを、前記第2の端末装置と関連付けて前記端末情報記憶手段に記憶させ、
前記コンテンツ変換手段は、前記第2の端末装置から第2の取得要求を受信したことに応じて、前記コンテンツ識別データに基づいて、前記第2のコンテンツデータを生成する請求項1に記載のコンテンツ配信サーバ。
【請求項3】
放送波に多重されて、又は通信を介して前記第1の端末装置において受信されたアプリケーション管理情報により特定される前記アプリケーションを、前記第1の端末装置へ送信するアプリケーション提供手段を備える請求項1又は請求項2に記載のコンテンツ配信サーバ。
【請求項4】
前記端末情報管理手段は、前記第1の端末装置で実行された前記アプリケーションを識別するアプリケーション識別データを、前記第2の端末装置と関連付けて前記端末情報記憶手段に記憶させ、
前記アプリケーション提供手段は、前記コンテンツ送信手段によりコンテンツが送信される場合に、前記アプリケーション識別データに基づいて、前記アプリケーションを前記第2の端末装置へ送信する請求項3に記載のコンテンツ配信サーバ。
【請求項5】
前記複数の端末装置のそれぞれから当該端末装置の位置情報を取得し、予め設定されている地域に位置している端末装置を同一グループに紐付けて前記端末情報記憶手段に記憶させる端末登録手段を備える請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のコンテンツ配信サーバ。
【請求項6】
前記端末情報管理手段は、前記第1の取得要求において指定される前記第2の端末装置として、前記第1の端末装置と同一のグループに属する1又は複数の端末装置を認証する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のコンテンツ配信サーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−242983(P2012−242983A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−111035(P2011−111035)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】