説明

コンテンツ配信システム、コンテンツサーバ、クライアント装置、コンテンツ配信方法、コンテンツサーバのコンテンツ配信方法、クライアント装置のコンテンツ取得方法及びプログラム

【課題】大容量コンテンツのダウンロード配信に際し、販売日に多数のダウンロード要求アクセスが集中しても通信回線のトラフィックの飽和を防止しつつ、クライアントが発売日に希望するコンテンツを使用することを可能としたコンテンツ配信システム、配信方法、配信用サーバ及びプログラムを提供する。
【解決手段】予め設定された時刻以前に、そのままでは機能しない状態でコンテンツファイルをダウンロードし、設定した時刻以降に、ダウンロードしたコンテンツが機能する上で必要な情報を提供し、クライアント装置は、提供されるコンテンツ機能回復情報を取得してコンテンツファイルを機能させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲームソフト等のコンテンツファイルを通信手段を介して多数のユーザに配信するコンテンツ配信システム、及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ゲームソフトウェアやドラマ等の映像・音声画像データは、通常、ディスク記憶媒体やメモリ媒体に記録して販売するが、近年、インターネット等の通信回線を介してユーザのクライアント装置にダウンロードするサービスが行われるようになった。
従来のゲームソフト販売方法としては、例えば、特許文献1に記載されているものがある。これは、ユーザが好みのゲーム内容であるか否かを確認した上で、購入できるようにしたもので、ユーザに提供されるゲームソフト等のコンテンツについてお試し版と、カプセル化した本格版とを、供給者側から無料又は安価にユーザ側に提供し、お試し版を実行したユーザが本格版のコンテンツの購入を希望する場合は、カプセル化されている本格版を開封するための電子チケットをコンテンツ供給側から取得するものである。
また特許文献2には、同様にコンテンツの内容を確認しながら、気に入った内容についてのみ購入できるようにしたソフトウェアの実行管理方法、販売方法、販売システム及び記録媒体が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、人気ゲームや新規のコンピュータソフトウェアの発売日等においては、いち早くゲームを楽しみ、あるいは新規機能のソフトウェアを実行したい多数のユーザが店頭に行列して買い求める光景を目にすることが多い。
しかしながら、これらのコンテンツ類を、上述したインターネット等の通信回線を介してダウンロード販売する場合を想定した場合、多数のダウンロード希望が殺到する結果通信回線が飽和し、あるいは、ダウンロード用サーバが対応できず、満足のいくサービス提供が不可能となる他、種々のトラブルを引き起こす虞がある。
現在においてもゲーム等のコンテンツの大容量化が進んでおり、現状のネットワークのインフラでは、数ギガバイトのコンテンツ容量のファイルを万単位のクライアントからのアクセスに対してスムーズに対応することは困難である。今後、物理的メディアからダウンロード販売への移行が進めば、上述したようなコンテンツの販売日におけるダウンロード希望の殺到による不具合は、大容量コンテンツのダウンロード販売のネックとなることは明らかである。
【0004】
これらコンテンツのダウンロード販売に関して、例えば特許文献3には、インターネットを介してファイルデータを送信する場合に、時刻情報をファイルデータのヘッダに埋め込み、その情報に記載された時刻になると自動的にファイルを削除するものが提案されている。しかしながら、特許文献3は主として情報漏洩防止が目的であって、発売日にダウンロード要求が集中する場合の不具合回避に効果を奏するものではない。
また、特許文献4には、動的に変化するような複雑なウェブページに対して公開証明を与える電子情報公開証明システムが提案されているが、この文献記載の手段も同様に本発明が目的とする効果を得られるものではない。
本発明は、発売日以前のコンテンツの漏洩を防ぎつつ、コンテンツの提供サーバやネットワークに不可に過大な負荷をかけることなく、大容量コンテンツを提供できるコンテンツ配信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明は、ネットワークを介して接続される複数のクライアント装置と、前記クライアント装置からの要求に応じてコンテンツファイルを提供するコンテンツサーバと、を含むコンテンツ配信システムにおいて、前記コンテンツサーバは、予め設定された時刻以前に、そのままでは機能しない状態でコンテンツファイルを前記クライアント装置に提供し、かつ前記予め設定された時刻以降に、前記コンテンツファイルが機能する上で必要な有効化情報を前記クライアント装置に提供し、前記クライアント装置は、前記コンテンツサーバから取得した前記コンテンツフィアルを前記有効化情報に基づいて機能させるコンテンツ配信システムを特徴とする。
また、請求項2の発明は、請求項1に記載のコンテンツ配信システムにおいて、前記有効化情報は、現在時刻であり、前記コンテンツフィアルは、前記予め設定された時刻を含む情報とともに提供され、前記クライアント装置は、前記有効化情報に基づく前記現在時刻が、前記予め設定された時刻を経過している場合に、前記コンテンツファイルを実行可能であるコンテンツ配信システムを特徴とする。
【0006】
また、請求項3の発明は、請求項2に記載のコンテンツ配信システムにおいて、前記コンテンツファイルは、前記有効化情報に基づく前記現在時刻が、前記予め設定された時刻を経過している場合、実行可否フラグを実行可能に切り替えるコンテンツ配信システムを特徴とする。
また、請求項4の発明は、ネットワークを介して接続される複数のクライアント装置からの要求に応じてコンテンツファイルを提供するコンテンツサーバにおいて、予め設定された時刻以前に、そのままでは機能しない状態でコンテンツファイルを提供するファイル提供手段を備え、前記予め設定された時刻以降に、前記ファイル提供手段により前記コンテンツファイルが機能する上で必要な有効化情報を提供して前記クライアント装置に前記コンテンツフィアルを実行させるコンテンツサーバを特徴とする。
【0007】
また、請求項5の発明は、請求項4に記載のコンテンツサーバにおいて、前記有効化情報は、現在時刻であり、前記フィアル提供手段は、前記コンテンツフィアルを前記予め設定された時刻を含む情報とともに提供し、前記有効化情報に基づく前記現在時刻が、前記予め設定された時刻を経過している場合に、前記クライアント装置に前記コンテンツファイルを実行させるコンテンツサーバを特徴とする。
また、請求項6の発明は、ネットワーク介して接続されるコンテンツサーバにアクセスしてコンテンツファイルを取得するクライアント装置において、前記コンテンツサーバから、予め設定された時刻以前に、そのままでは機能しない状態でダウンロードされるコンテンツファイルを取得し、前記予め設定された時刻以降に、取得したコンテンツファイルが機能する上で必要な有効化情報を前記コンテンツサーバから取得する手段と、前記有効化情報に基づいて、取得した前記コンテンツファイルを機能させる手段と、を備えたクライアント装置を特徴とする。
【0008】
また、請求項7の発明は、請求項6に記載のクライアント装置において、前記有効化情報は、現在時刻であり、前記コンテンツファイルとともに前記コンテンツサーバから提供される前記予め設定された時刻を、前記有効化情報に基づく前記現在時刻が経過している場合に、前記コンテンツファイルを実行可能であるクライアント装置を特徴とする。
また、請求項8の発明は、ネットワークを介して接続される複数のクライアント装置からの要求に応じて、各クライアント装置にコンテンツサーバからコンテンツファイルを提供するコンテンツ配信方法において、前記コンテンツサーバが、予め設定された時刻以前に、そのままでは機能しない状態でコンテンツファイルを前記クライアント装置に提供するステップと、前記コンテンツサーバが、前記予め設定された時刻以降に、前記コンテンツファイルが機能する上で必要な有効化情報を前記クライアント装置に提供するステップと、前記クライアント装置が、前記コンテンツサーバから取得した前記コンテンツフィアルを前記有効化情報に基づいて機能させるステップと、を含むコンテンツ配信方法を特徴とする。
【0009】
また、請求項9の発明は、ネットワークを介して接続される複数のクライアント装置からの要求に対応してコンテンツファイルを前記クライアント装置に提供するコンテンツサーバのコンテンツ配信方法において、予め設定された時刻以前に、そのままでは機能しない状態でコンテンツファイルを提供するステップと、前記予め設定された時刻以降に、前記ファイル提供手段により前記コンテンツファイルが機能する上で必要な有効化情報を提供して前記クライアント装置に前記コンテンツフィアルを実行させるステップと、を含むコンテンツサーバのコンテンツ配信方法を特徴とする。
また、請求項10の発明は、ネットワーク介して接続されるコンテンツサーバにアクセスしてコンテンツファイルを取得するクライアント装置のコンテンツ取得方法において、前記コンテンツサーバから、予め設定された時刻以前に、そのままでは機能しない状態でダウンロードされるコンテンツファイルを取得するステップと、前記予め設定された時刻以降に、取得したコンテンツファイルが機能する上で必要な有効化情報を前記コンテンツサーバから取得するステップと、前記有効化情報に基づいて、取得した前記コンテンツファイルを機能させるステップと、を含むクライアント装置のコンテンツ取得方法を特徴とする。
また、請求項11の発明は、請求項9に記載のコンテンツサーバにおけるコンテンツ配信方法をコンピュータに実現させるためのプログラムを特徴とする。
また、請求項12の発明は、請求項10に記載のコンテンツ取得方法をコンピュータに実現させるためのプログラムを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上のように構成したので、本発明によれば、大容量コンテンツのダウンロード販売に際し、販売日に多数のダウンロード要求アクセスが集中しないように、単体では動作出来ないファイルの事前のダウンロードを認め、発売日以降に、当該ファイルを実行させるための情報を含むコンテンツに比べて遙かに小サイズのファイルをダウンロードさせることで、発売日以前のコンテンツの漏洩を防ぎつつ、またコンテンツの提供サーバやネットワークに過大な負荷をかけることなく、大容量コンテンツを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態例に係るコンテンツ配信システムの概要構成図。
【図2】本発明のクライアント装置の構成例を示すブロック図。
【図3】本発明のコンテンツサーバの構成例を示すブロック構成図。
【図4】本発明に係るコンテンツのダウンロード配信システムを構成するコンテンツサーバ、クライアント装置の機能ブロック図。
【図5】本発明にけるコンテンツサーバのファイル作成部の処理例を説明する図。
【図6】本発明に係るコンテンツサーバの時刻証明書作成部の処理例を説明する図。
【図7】クライアント装置において行うファイル変換処理の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明に係るコンテンツ配信システムの一例を示す概要構成図である。
この例に示すコンテンツ配信システムは、主にインターネット等の通信回線(NW)を介して接続される複数のクライアント装置(以下、クライアントとも云う)1、1、1、・・・と、これらクライアントからの要求に対応して所用のコンテンツファイルのダウンロードサービスを行うコンテンツサーバ2と、から構成される。また、後述するが、コンテンツサーバ2が実時間を取得するためのタイムサーバ3を含んでもよい。
この例ではクライアント(装置)1として、一般ユーザがゲームソフトを起動させる場合をイメージして、通常のパーソナル・コンピュータ(Personal Computer:PC)を想定しているが、これに限らず、PDA(Personal Digital Assistant)や携帯電話であっても良い。
【0013】
図2はパーソナル・コンピュータをクライアントとして使用する場合のブロック構成図である。
周知のように、中央処理装置(CPU)4と、本発明の機能を実現するプログラムやコンテンツサーバ2から受信したコンテンツファイルを格納可能な大容量記憶装置としてのハードディスク5と、インターネット等に接続するインターフェイスであるネットワークI/F6と、本発明の機能を実現する各種プログラムをハードディスク5から展開し、またコンテンツサーバ2から受信したファイルを一時的に記憶する書込み・読出し可能なメモリであるRAM(Random Access Memory)7と、クライアント1を使用するユーザに操作のためのマンマシンインターフェイスを提供したり、再生コンテンツの画像を表示する表示装置8と、入力や操作を行うためのキーボード9と、マウス10を備えているが、必要に応じて、ジョイスティック、タッチ式表示装置、手書きパッド、音響出力装置等、ゲームを楽しむ上で便利なデバイスや装置を付加することもできる。
【0014】
図3は、コンテンツサーバ2の構成例を示す概要ブロック図である。
図3の例に示すコンテンツサーバ2は、クライアント1と同様にコンピュータとして必要な、中央処理装置(CPU)21、クライアント装置1に提供するためのコンテンツファイルを格納した大容量記憶装置としてのハードディスク22、インターネット等に接続するインターフェイスであるネットワークI/F23、書込み・読出し可能なメモリであるRAM24、表示装置25、入力や操作を行うためのキーボード26、マウス27を備えているが、これらに加えて、実時間を取得するためのRTC(Real Time Clock)31を有する。
【0015】
図4は、本発明に係るコンテンツのダウンロード配信システムを構成するコンテンツサーバ、クライアント装置の機能ブロック図であり、(a)は、コンテンツサーバの機能ブロック図、(b)はクライアントの機能ブロック図を示している。
図4(a)に示す機能は、図3に示すサーバ2に備えたCPU21によってRAM24に展開されて実行されるプログラムとして実現される。同様に、図4(b)に示す機能も、図2に示すクライアント装置に備えたCPU4によってRAM7に展開されて実行されるプログラムとして実現される。
図4(a)に示すように、コンテンツサーバ2では、そのままでは機能しない状態のコンテンツファイル(元ファイル)を含むダウンロードファイルを作成するファイル作成部101と、後述するように定期的にRTC31により取得される実時間に基づき、クライアント1側でコンテンツファイルを機能可能に復元するためのキーとなる時刻証明書を作成する時刻証明書作成部102と、ダウンロードファイル及び時刻証明書をクライアント1に提供するためのファイル提供部103が実行されている。
【0016】
後述するように、ダウンロードファイルは、コンテンツファイルの実行を許可する時刻の情報を含んでいる。本実施形態にかかるコンテンツ配信システムでは、予めユーザにはクライアント1によりダウンロードファイルの取得させておき、コンテンツファイルの実行許可時刻の経過後、さらに、実時間に基づく時刻証明書をクライアント1にダウンロードさせ、その時点での実時間(現在時刻)が、実行許可時刻を経過している場合に、クライアント1における、コンテンツファイルの復元、実行を許可するものである。
なお、ファイル提供部103としては、クライアント1からのリクエストに応じて要求ファイルを提供するウェブサーバが適用出来る。
また、時刻証明書は、コンテンツサーバ2が有する時刻証明書作成部102で作成してもよいが、第三者機関から提供を受けるようにしてもよい。
【0017】
一方、図4(b)に示すように、クライアント装置1では、コンテンツサーバ2からダウンロードファイル及び時刻証明書を取得するためのファイル取得部105、取得したダウンロードファイルと時刻証明書とを組み合わせることによって、ダウンロードファイルを実行可能な元ファイル(コンテンツファイル)に変換するファイル変換部106と、変換された元ファイルを実行するファイル実行部107とが実行されている。
ファイル取得部105としては、コンテンツサーバ2で実行されるファイル提供部103としてのウェブサーバにファイルを要求して取得するウェブブラウザなどが適用可能である。
なお、ファイル変換部106とファイル実行部107とが一体に、又は一つの機能ブロックとして構成することも可能である。
【0018】
図5は、コンテンツサーバ2のファイル作成部101においてダウンロードファイルを作成する処理の一例を説明する図である。
図5において、先ず、コンテンツファイルの実行を可能とする情報として、予め設定したコンテンツファイルの実行を許可する時刻を表わす実行可能時刻設定ファイル201を用意する。これは、そのままでは機能できないような状態でダウンロードするコンテンツファイルを、クライアント装置において機能させるために必要な情報である。
この実行可能時刻設定ファイル201は、容易に偽造や改変ができないように、提供者の電子署名を付与して、署名付き実行可能時刻設定ファイル202を作成する。
このようにして得られた署名付き実行可能時刻設定ファイル202と、ユーザの要求に応じてダウンロードするコンテンツファイル(元ファイル)203とをアーカイブ(一つに纏める)してダウンロードファイル204を作成する。
なお、ここで作成する実行可能時刻設定ファイル201、署名付き実行可能時刻設定ファイル202、元ファイル203に識別子としてのID番号(ID:001)が付されているが、これは、他のダウンロードファイルに使用した署名付き実行可能時刻設定ファイルを取り出して、コンテンツファイルを機能させるといった不正を防止するためである。
【0019】
図6は、コンテンツサーバ2の時刻証明書作成部102において行われる時刻証明書作成処理の一例を説明する図である。
コンテンツサーバ2自身が有するRTC31から得られる実時間に基づく現在時刻設定ファイルにファイル提供者側の電子証明書を付与して時刻証明書302を得る。
なお、現在時刻設定ファイルは、提供者側の内部ネットワーク上のタイムサーバや、インナーネット上に外部からアクセス可能に設けられている第三者のタイムサーバから取得することも可能である。
また、時刻証明書自体を、信頼できる時刻証明書提供サービスから提供されるようにしてもよい。
コンテンツサーバ2は、このようにして特定の時間(時刻)毎に、あるいは一定周期毎に、現在時刻に基づく時刻証明書を作成し、クライアント1からの要求に応じてダウンロードできる状態にしている。
【0020】
図7は、クライアント装置1において行うファイル変換処理の例を示す図である。
この例では、クライアント装置1では、ファイル取得部105により、ファイルの実行時刻(コンテンツ販売期日)以前に、上述したようにコンテンツサーバ2にアクセスしてダウンロードファイル401をダウンロードする。
このダウンロードフィアル401に含まれるコンテンツファイルは、上述してきたようにそのままでは実行することが出来ない。従って、発売前にダウンロードできるようなサービスが可能となるので、大容量のコンテンツファイルであっても、発売日以前の比較的長い期間にわたってダウンロードを受付け、発売日に集中しないようにコンテンツサーバ2やネットワークNWに対する負荷の分散を図ることが出来る。
そして、予め知らされている(公開されている)発売日等のコンテンツファイルの実行可能時刻以降になると、再びフィアル取得部105により上記コンテンツサーバ2から時刻証明書404をダウンロードする。このような時刻証明書404のデータ量は通常、極めて小さいので、発売日に多数のユーザからのダウンロード要求が集中しても、不具合は生じない。
【0021】
このようにして得た時刻証明書404と、ダウンロードファイル401とをファイル変換部106に入力すると、ファイル変換部106において図7に示すような処理を行う。
先ず、ダウンロードされたダウンロードファイル401がデータ圧縮されている場合は、解凍や復号を行って元の署名付き実行可能時刻設定ファイル402を得るとともに、その実行可能時刻設定ファイル403が正しいことを確認する。
同様に、時刻証明書404を検証し、現在時刻ファイルが正しいことを確認する。このようにして両者が正しいことを確認した後、両者の記載される時刻を比較し、時刻証明書記載の時刻が、実行可能時刻設定ファイル記載の時刻を過ぎていれば、ファイル実行部107でのコンテンツファイル使用が可能となる。
なお、この例では、実行ファイルを暗号化等の処理を行うことなく、実行アプリケーション(ファイル実行部107)側の実行可/不可フラグを切替えるように構成し、又は制御をしたが、アプリケーション側の機能に限らず、暗号化手段を付加し、その暗号化された実行ファイルを、署名付き時刻情報を使用して復号する方法、あるいは、その両方を併用する方法であってもよい。
【0022】
以上説明したように、本発明に係るコンテンツ配信システムは、発売日のように予め設定された時刻以前においては機能しない状態でコンテンツファイルをダウンロードし、発売日の時刻以降になると、ダウンロードしたコンテンツが機能する上で必要な情報、例えば、署名付き時刻情報を、コンテンツサーバ2から提供する手段を備える。一方、クライアント装置1ではダウンロードしたコンテンツファイルを記憶保存するとともに、コンテンツを機能させる上で必要な情報を取得して、コンテンツファイルを機能させる手段を備えるように構成するものである。
従って、コンテンツの発売前に、コンテンツのほぼ全てを、多数のユーザにダウンロードさせることが可能であり、発売日以降に、コンテンツを機能させる上で必要な情報のみを提供することによってユーザはゲーム等のコンテンツを楽しむことが可能である。なお、コンテンツ発売日にダウンロードによって提供する情報量は極めて少量となるので、要求が殺到した場合であっても不具合を生じない。
【0023】
本発明は、上述した実施例に限定する必要はなく種々変形が可能である。例えば、前もってダウンロードするコンテンツファイルの一部を取り出して、それを機能回復情報として「実行可能時刻設定ファイル」に含ませるものであってもよい。この方法によれば、時刻証明のみによる場合に比して、不正な機能回復攻撃に対して強いコンテンツ配信システムを構築できる。
クライアント装置1がコンテンツサーバ2からコンテンツファイルや時刻証明書を受信する際の通信方法の一例を説明する。
上述したように、クライアント装置1のファイル取得部105には、ウェブブラウザ、コンテンツサーバ2のファイル提供部103はウェブサーバが適用可能である。
このような構成を用いた場合の通信方法を簡単に説明する。
コンテンツサーバ2では、ウェブサーバ(ファイル提供部103)が、外部ネットワークから接続可能に実行されている。
クライアント装置1のファイル取得部105であるウェブブラウザに所定のURL(Universal Resource Locator)を指定すると、クライアント装置1のネットワークI/F6、コンテンツサーバのネットワークI/F23を介してページ要求がウェブサーバ103に伝えられる。その応答として、コンテンツサーバ2のハードディスク22に格納されたコンテンツファイルや時刻証明書を提供するためのリンクを含むウェブページがクライアント装置に受信され、表示装置8に表示されたウェブブラウザの表示領域に内に表示される。
さらにウェブページ内のリンクがマウス10等によって選択されると、ウェブページの表示と同様にリンク先ファイルの要求がネットワークI/Fを介してウェブサーバ103に伝えられて、その応答として、要求されたファイルがクライアント装置に受信される。
【符号の説明】
【0024】
1 クライアント装置、2 コンテンツサーバ、3 タイムサーバ、4 CPU、5 ハードディスク、7 RAM、8 表示装置、9 キーボード、10 マウス、21 CPU、22 ハードディスク、24 RAM、25 表示装置、26 キーボード、27 マウス、31 RTC、101 ファイル作成部、102 時刻証明書作成部、10 ファイル提供部、105 ファイル取得部、106ファイル変換部、107 ファイル実行部、201 実行可能時刻設定ファイル、202 実行可能時刻設定ファイル、203 元ファイル、204 ダウンロードファイル、301 現在時刻ファイル、302 時刻証明書、401 ダウンロードファイル、402 実行可能時刻設定ファイル、404 時刻証明書、405 現在時刻ファイル
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】特開2002−6973公報
【特許文献2】特開2002−203120公報
【特許文献3】特開2005−316903公報
【特許文献4】特開2006−295565公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して接続される複数のクライアント装置と、前記クライアント装置からの要求に応じてコンテンツファイルを提供するコンテンツサーバと、を含むコンテンツ配信システムにおいて、
前記コンテンツサーバは、予め設定された時刻以前に、そのままでは機能しない状態でコンテンツファイルを前記クライアント装置に提供し、かつ前記予め設定された時刻以降に、前記コンテンツファイルが機能する上で必要な有効化情報を前記クライアント装置に提供し、
前記クライアント装置は、前記コンテンツサーバから取得した前記コンテンツフィアルを前記有効化情報に基づいて機能させることを特徴とするコンテンツ配信システム。
【請求項2】
請求項1に記載のコンテンツ配信システムにおいて、前記有効化情報は、現在時刻であり、前記コンテンツフィアルは、前記予め設定された時刻を含む情報とともに提供され、
前記クライアント装置は、前記有効化情報に基づく前記現在時刻が、前記予め設定された時刻を経過している場合に、前記コンテンツファイルを実行可能であることを特徴とするコンテンツ配信システム。
【請求項3】
請求項2に記載のコンテンツ配信システムにおいて、前記コンテンツファイルは、前記有効化情報に基づく前記現在時刻が、前記予め設定された時刻を経過している場合、実行可否フラグを実行可能に切り替えることを特徴とするコンテンツ配信システム。
【請求項4】
ネットワークを介して接続される複数のクライアント装置からの要求に応じてコンテンツファイルを提供するコンテンツサーバにおいて、
予め設定された時刻以前に、そのままでは機能しない状態でコンテンツファイルを提供するファイル提供手段を備え、前記予め設定された時刻以降に、前記ファイル提供手段により前記コンテンツファイルが機能する上で必要な有効化情報を提供して前記クライアント装置に前記コンテンツフィアルを実行させることを特徴とするコンテンツサーバ。
【請求項5】
請求項4に記載のコンテンツサーバにおいて、
前記有効化情報は、現在時刻であり、前記フィアル提供手段は、前記コンテンツフィアルを前記予め設定された時刻を含む情報とともに提供し、前記有効化情報に基づく前記現在時刻が、前記予め設定された時刻を経過している場合に、前記クライアント装置に前記コンテンツファイルを実行させることを特徴とするコンテンツサーバ。
【請求項6】
ネットワーク介して接続されるコンテンツサーバにアクセスしてコンテンツファイルを取得するクライアント装置において、
前記コンテンツサーバから、予め設定された時刻以前に、そのままでは機能しない状態でダウンロードされるコンテンツファイルを取得し、前記予め設定された時刻以降に、取得したコンテンツファイルが機能する上で必要な有効化情報を前記コンテンツサーバから取得する手段と、
前記有効化情報に基づいて、取得した前記コンテンツファイルを機能させる手段と、
を備えたことを特徴とするクライアント装置。
【請求項7】
請求項6に記載のクライアント装置において、
前記有効化情報は、現在時刻であり、
前記コンテンツファイルとともに前記コンテンツサーバから提供される前記予め設定された時刻を、前記有効化情報に基づく前記現在時刻が経過している場合に前記コンテンツファイルを実行可能であることを特徴とするクライアント装置。
【請求項8】
ネットワークを介して接続される複数のクライアント装置からの要求に応じて、各クライアント装置にコンテンツサーバからコンテンツファイルを提供するコンテンツ配信方法において、
前記コンテンツサーバが、予め設定された時刻以前に、そのままでは機能しない状態でコンテンツファイルを前記クライアント装置に提供するステップと、
前記コンテンツサーバが、前記予め設定された時刻以降に、前記コンテンツファイルが機能する上で必要な有効化情報を前記クライアント装置に提供するステップと、
前記クライアント装置が、前記コンテンツサーバから取得した前記コンテンツフィアルを前記有効化情報に基づいて機能させるステップと、
を含むことを特徴とするコンテンツ配信方法。
【請求項9】
ネットワークを介して接続される複数のクライアント装置からの要求に対応してコンテンツファイルを前記クライアント装置に提供するコンテンツサーバのコンテンツ配信方法において、
予め設定された時刻以前に、そのままでは機能しない状態でコンテンツファイルを提供するステップと、前記予め設定された時刻以降に、前記ファイル提供手段により前記コンテンツファイルが機能する上で必要な有効化情報を提供して前記クライアント装置に前記コンテンツフィアルを実行させるステップと、を含むことを特徴とするコンテンツサーバのコンテンツ配信方法。
【請求項10】
ネットワーク介して接続されるコンテンツサーバにアクセスしてコンテンツファイルを取得するクライアント装置のコンテンツ取得方法において、
前記コンテンツサーバから、予め設定された時刻以前に、そのままでは機能しない状態でダウンロードされるコンテンツファイルを取得するステップと、前記予め設定された時刻以降に、取得したコンテンツファイルが機能する上で必要な有効化情報を前記コンテンツサーバから取得するステップと、前記有効化情報に基づいて、取得した前記コンテンツファイルを機能させるステップと、
を含むことを特徴とするクライアント装置のコンテンツ取得方法。
【請求項11】
請求項9に記載のコンテンツサーバにおけるコンテンツ配信方法をコンピュータに実現させるためのプログラム。
【請求項12】
請求項10に記載のコンテンツ取得方法をコンピュータに実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−193264(P2011−193264A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−58015(P2010−58015)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】