説明

コンテンツ配信システム及び方法

【課題】携帯端末を所持するユーザが自宅を出てから列車に乗車するまでの空き時間を利用して、ユーザに対応するコンテンツを携帯端末に配信できるシステムを提供する。
【解決手段】コンテンツ配信システム1において、コンテンツのジャンル、乗車駅6b及びユーザの移動速度が少なくとも記されたユーザ情報が携帯端末2からサーバ装置3へ送信される。サーバ装置3は、ユーザ情報のジャンルに対応したコンテンツを選択した後、携帯端末2に配信するコンテンツをダウンロードするために必要なダウンロード時間から配信距離を算出する。携帯端末2は、携帯端末2の現在地に係る位置情報をサーバ装置3に送信することで、サーバ装置3に対してコンテンツの配信要求を行い、サーバ装置3は、ユーザ5が利用する乗車駅6bの位置情報と携帯端末2から送信された位置情報が配信距離になると、ユーザ情報のジャンルに対応したコンテンツを携帯端末2に配信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
利用者が電車やバスなどの交通機関を利用する際、駅入場から退場までの乗車時間、交通機関を利用する時間帯、個人の趣向などに合わせた最適なコンテンツを配信するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
様々なアプリケーションをダウンロードできるスマートフォンなどの携帯端末が普及し、携帯端末を所持するユーザは、携帯端末にダウンロードされているアプリケーションを利用して、インターネット上で公開されているコンテンツを閲覧できるようになった。
【0003】
携帯端末を利用してインターネット上のコンテンツを閲覧する手法として、携帯端末に実装されるアプリケーションの一つであるウェブブラウザを用い、ユーザが所望するコンテンツを検索する手法もあるが、ユーザが地下鉄を利用して通勤する場合、地下鉄の路線内では電波が届かないため、設定された更新頻度(例えば、15分間隔)で所定のウェブサイトにアクセスし、該ウェブサイトで提供されているコンテンツ(例えば、RSSフィード)を携帯端末にダウンロードするアプリケーション(例えば、RSSリーダ)を用いる手法もある。
【0004】
携帯端末にダウンロードするコンテンツがRSSフィードのようなテキストの場合、該コンテンツの容量は小さく、例えば、電車の待ち時間でも全てのコンテンツをダウンロードすることが可能であるが、携帯端末にダウンロードするコンテンツが音声や動画の場合、該コンテンツの容量は大きくなり、地下鉄に乗車する直前で、コンテンツのダウンロードを開始しても、全てのコンテンツを携帯端末にダウンロードできなくなってしまう。
【0005】
外出前に予め自宅で、音声や動画などのコンテンツを携帯端末にダウンロードしておくことも考えられるが、コンテンツがニュースや列車の運行情報などリアルタイム性が要求されるコンテンツの場合、できる限り最新のコンテンツをユーザがダウンロードしたい要望もあるため、ユーザが駅に向かう際の空き時間を利用して、コンテンツを携帯端末にダウンロードできるようにすることが望ましい。
【0006】
ユーザの空き時間にコンテンツを携帯端末に配信する発明とて、例えば、特許文献1において、利用者の空き時間に係る情報をサーバへ送信し、サーバからコンテンツを受信する携帯端末と、コンテンツとコンテンツの再現時間とを関連付けて管理し、携帯端末から受信した情報から得られた空き時間に適合する再現時間に関連付けられたコンテンツを携帯端末へ送信するサーバとから少なくとも構成されるコンテンツ配信システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006―40048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1で開示されている発明では、サーバから携帯端末へ配信するコンテンツは、携帯端末を所持するユーザの空き時間に対応したコンテンツであってユーザに対応したコンテンツではない。
【0009】
そこで、本発明は、携帯端末を所持するユーザが自宅を出てから列車に乗車するまでの空き時間を利用して、ユーザに対応するコンテンツを、該コンテンツ全てをダウンロードできるようなタイミングで携帯端末に配信できるシステム及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決する第1の発明は、ネットワークを利用してサーバ装置から携帯端末へコンテンツを配信するコンテンツ配信システムであって、前記携帯端末は、前記携帯端末を所持するユーザが希望するコンテンツのジャンル、前記ユーザが利用する乗車駅及び乗車駅までの移動速度が少なくとも記されたユーザ情報を含む配信準備要求を前記サーバ装置へ送信する配信準備要求手段と、前記携帯端末の現在地に係る位置情報を含むコンテンツ配信要求を前記サーバ装置へ送信する処理を前記サーバ装置からコンテンツが配信されるまで行い、前記サーバ装置から配信されたコンテンツをメモリにダウンロードするダウンロード手段を備え、前記サーバ装置は、前記配信準備要求を携帯端末から受信すると、前記配信準備要求に含まれる前記ユーザ情報のジャンルに対応するコンテンツの一覧を記したコンテンツリストを作成した後、作成した前記コンテンツリストに含まれるコンテンツの総容量から該コンテンツのダウンロード時間を求め、前記ユーザ情報の移動速度と該ダウンロード時間を乗算することで配信開始距離を算出する配信準備手段と、前記コンテンツ配信要求を前記携帯端末から受信すると、前記コンテンツ配信要求に含まれる位置情報と前記ユーザ情報の乗車駅の位置情報から得られる距離が前記配信開始距離になると、前記コンテンツリストに含まれるコンテンツを前記携帯端末へ送信する配信手段を備えていることを特徴とするコンテンツ配信システムである。
【0011】
第1の発明において、前記ユーザ情報には、前記ユーザが列車を利用する曜日・時間帯が記され、前記サーバ装置の前記配信準備手段は、前記ユーザ情報の曜日・時間帯から列車の混み具合を判定するルールを記憶し、前記ユーザ情報の曜日・時間帯からに基づく判定結果により、前記携帯端末へ送信するコンテンツの種類を決定することを特徴とすることが望ましい。
【0012】
更に、第2の発明は、ネットワークを利用してサーバ装置から携帯端末へコンテンツを配信するコンテンツ配信方法であって、前記携帯端末が、前記携帯端末を所持するユーザが希望するコンテンツのジャンル、前記ユーザが利用する乗車駅及び乗車駅までの移動速度が少なくとも記されたユーザ情報を含む配信準備要求を前記サーバ装置へ送信し、前記サーバ装置が、前記配信準備要求に含まれる前記ユーザ情報のジャンルに対応するコンテンツの一覧を記したコンテンツリストを作成した後、作成した前記コンテンツリストに含まれるコンテンツの総容量から該コンテンツのダウンロード時間を求め、前記ユーザ情報の移動速度と該ダウンロード時間を乗算することで配信開始距離を算出する配信準備工程と、前記端末装置が、前記携帯端末の現在地に係る位置情報を含むコンテンツ配信要求を前記サーバ装置へ送信し、前記サーバ装置が、前記コンテンツ配信要求に含まれる位置情報と前記ユーザ情報の乗車駅の位置情報から得られる距離が前記配信開始距離になると、前記コンテンツリストに含まれるコンテンツを前記携帯端末へ配信し、前記端末装置が、前記サーバ装置から配信されたコンテンツをメモリにダウンロードするコンテンツ配信工程が実行されることを特徴とするコンテンツ配信方法である。
【発明の効果】
【0013】
上述した本発明によれば、携帯端末を所持するユーザが自宅を出てから列車に乗車するまでの空き時間を利用して、ユーザに対応するコンテンツを、該コンテンツ全てをダウンロードできるようなタイミングで携帯端末に配信できるシステム及び方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】コンテンツ配信システムを説明する図。
【図2】携帯端末に備えられた機能を説明する図。
【図3】ユーザ設定画面のフォーマットの一例。
【図4】サーバ装置に備えられた機能を説明する図。
【図5】コンテンツ配信システムの動作を説明するフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ここから,本発明の実施形態について,本発明の技術分野に係わる当業者が,発明の内容を理解し,発明を実施できる程度に説明する。なお、これから説明する実施形態は本発明の一実施形態にしか過ぎず、本発明は,これから説明する実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能である。
【0016】
図1は、本実施形態に係るコンテンツ配信システム1を説明する図である。本実施形態に係るコンテンツ配信システム1は、ユーザ5が所持する携帯端末2と、携帯端末2に対してコンテンツを配信するサーバ装置3とから少なくとも構成され、ネットワーク4を利用してサーバ装置3から携帯端末2へコンテンツを配信するシステムである。
【0017】
本実施形態に係るコンテンツ配信システム1において、ユーザ5に対応するコンテンツをサーバ装置3が配信できるように、コンテンツが配信される前に、ユーザ5が希望するコンテンツのジャンル、ユーザ5が利用する乗車駅6b及び自宅6aから乗車駅6cまでの移動速度が少なくとも記されたユーザ情報が携帯端末2からサーバ装置3へ送信される。
【0018】
サーバ装置3は、携帯端末2へ配信するコンテンツとして、ユーザ情報のジャンルに対応したコンテンツを選択した後、携帯端末2に配信するコンテンツの総容量から、コンテンツをダウンロードするために必要なダウンロード時間を求め、ユーザ情報の移動速度を該ダウンロード時間に乗算することで、ダウンロード時間内にユーザ5が移動する距離で、コンテンツの配信に利用する配信開始距離を算出しておく。
【0019】
ユーザ情報をサーバ装置3へ送信した後、携帯端末2は、携帯端末2の現在地に係る位置情報をサーバ装置3に送信することで、サーバ装置3に対してコンテンツの配信要求を行い、サーバ装置3は、ユーザ5が利用する乗車駅6bの位置情報と携帯端末2から送信された位置情報が配信開始距離になると、ユーザ情報のジャンルに対応したコンテンツを所定の場所から取得して、携帯端末2にコンテンツを配信する。
【0020】
このように、図1で図示したコンテンツ配信システム1によれば、携帯端末2を所持するユーザ5が自宅6aを出てから乗車駅6bに到達するまで間に、ユーザ情報のジャンルに対応したコンテンツが携帯端末2に配信されるため、携帯端末2を所持するユーザ5が自宅6aを出てから列車に乗車するまでの空き時間を利用して、携帯端末2にコンテンツをダウンロードできるようになる。また、コンテンツの配信に利用される配信開始距離は、携帯端末2に送信するコンテンツの総容量に基づき算出されるため、全てのコンテンツを携帯端末2にダウンロードできなくなってしまうことはなくなる。
【0021】
まず、図1で図示したコンテンツ配信システム1を構成する携帯端末2について説明する。本発明において携帯端末2とは、CPU,RAM,ROMなどが実装されたアプリケーションプロセッサ,無線通信する無線通信回路,メモリ、ディスプレイ、音声出力回路及び操作パネルなどが実装された装置で、携帯端末2としては、スマートフォンや携帯電話などを利用できる。
【0022】
図2は、携帯端末2に備えられた機能を説明する図である。携帯端末2には、コンテンツの配信を受けるためのアプリケーションがダウンロードされており、このアプリケーションによって携帯端末2には、図2に図示したように、無線基地局を介してネットワーク通信するための無線通信手段20と、ユーザ5が希望するコンテンツのジャンル、ユーザ5が利用する乗車駅6b、ユーザ5が自宅6aから乗車駅6bに移動する際の移動速度等の様々な項目をユーザ5に設定させ、ユーザ5が設定した内容をユーザ情報として取得し、ユーザ情報を含む配信準備要求をサーバ装置3へ送信する配信準備要求手段21と、携帯端末2の現在地に係る位置情報を含むコンテンツ配信要求をサーバ装置3へ送信する処理をサーバ装置3からコンテンツが配信されるまで行い、サーバ装置3から配信されたコンテンツをメモリにダウンロードするダウンロード手段22と、メモリに記憶されているコンテンツを再生する再生手段23が備えられることになる。
【0023】
携帯端末2の無線通信手段20は、携帯端末2として利用されている装置に備えられている無線通信回路を利用して実現される手段で、サーバ装置3とネットワーク通信するために端末装置に設けられる。
【0024】
また、携帯端末2の配信準備要求手段21は、ユーザ5に係る様々な項目を設定する操作が携帯端末2上にてなされると、ユーザ5に係る様々な項目を設定するためユーザ設定画面をディスプレイに表示し、携帯端末2の操作パネルを利用してユーザ設定画面に設定された内容をユーザ情報として取得し、携帯端末2の無線通信手段20を利用して、ユーザ情報を含む配信準備要求をサーバ装置3へ送信する手段である。
【0025】
図3は、ユーザ設定画面のフォーマットの一例である。図3で図示したユーザ設定画面7には、ユーザ5の乗車ルートとして乗車駅6b、降車駅6c及び経由駅6dを設定するフォーム7aから7cと、自宅6aから乗車駅6cまでの移動速度を設定するフォーム7dと、コンテンツを配信する曜日及び時間帯を設定するフォーム7eと7fと、配信するコンテンツのジャンルを設定するフォーム7gが含まれ、更に、ユーザ設定画面7の設定を完了するボタン7hと、ユーザ設定画面7の設定をキャンセルするボタン7iが含まれている。なお、自宅6aから乗車駅6bまでの移動速度は、移動速度の値を設定するようにしてもよいが、自宅6aから乗車駅6bまでの移動手段(徒歩、バス等)を選択させるようにすることもできる。
【0026】
ボタン7hをクリックする操作がなされると、配信準備要求手段21は、携帯端末2毎に固有の端末IDを付与して、ユーザ設定画面7にて設定された内容をユーザ情報として取得し、ユーザ情報を含む配信準備要求をサーバ装置3へ送信する処理を行い、本実施形態では、このユーザ情報に、乗車駅6b、降車駅6c、経由駅6d、移動速度、曜日、時間帯及びジャンルの設定内容が含まれることになる。
【0027】
携帯端末2のダウンロード手段22は、携帯端末2として利用されている装置に備えられているGPS機能(Global Positioning System)を利用して実現される手段で、携帯端末2の現在地に係る位置情報を含むコンテンツ配信要求をサーバ装置3へ送信する処理を、サーバ装置3からコンテンツが配信されるまで一定間隔(例えば、30秒毎)で行い、コンテンツ配信要求のレスポンスとして、サーバ装置3からコンテンツが配信されると、ダウンロード日時がわかるように、サーバ装置3から配信されたコンテンツをメモリにダウンロードする。
【0028】
また、携帯端末2のダウンロード手段22は、メモリにダウンロードされたコンテンツのダウンロード日時を周期的(例えば、1時間毎)に確認し、ダウンロード日時から一定時間(例えば、6時間)が経過したコンテンツをメモリから削除する処理を行う。
【0029】
また、携帯端末2の再生手段23は、携帯端末2として利用されている装置に備えられているディスプレイや音声出力回路を利用して実現される手段で、携帯端末2のメモリにコンテンツがダウンロードされると、メモリにダウンロードされているコンテンツの一覧を表示させ、コンテンツが選択されると、選択されたコンテンツをデコードし、該コンテンツに対応する回路に出力する手段である。
【0030】
次に、図1で図示したコンテンツ配信システム1を構成するサーバ装置3について説明する。本発明においてサーバ装置3とは、CPU,メモリ管理やインターフェース管理などの機能を有するチップセット,メインメモリ(RAM)、ネットワークインターフェースなどが実装され、ハードディスクに代表される大容量のデータ記憶装置が接続された装置で、サーバ装置3としては汎用のサーバを利用できる。
【0031】
図4は、サーバ装置3に備えられた機能を説明する図である。図4に図示したように、サーバ装置3は、ネットワーク通信を行うネットワーク通信手段30と、配信準備要求を携帯端末2から受信すると、配信準備要求に含まれるユーザ情報のジャンルに対応するコンテンツの一覧を記したコンテンツリストを作成した後、作成したコンテンツリストに含まれるコンテンツの総容量から該コンテンツのダウンロード時間を求め、ユーザ情報の移動速度と該ダウンロード時間を乗算することで配信開始距離を算出する配信準備手段31と、乗車駅毎の位置情報を記憶し、コンテンツ配信要求を携帯端末2から受信すると、コンテンツ配信要求に含まれる位置情報とユーザ情報の乗車駅の位置情報から得られる距離が配信開始距離になると、コンテンツリストに含まれるコンテンツを携帯端末2へ送信する配信手段32を備えている。
【0032】
サーバ装置3のネットワーク通信手段30は、サーバ装置3として利用されている装置に備えられているネットワークインターフェースを利用して実現される手段で、その他の手段については、コンテンツ配信システム1の動作を説明しながら説明する。なお、コンテンツ配信システム1の動作の説明は本発明の方法の説明も兼ねている。
【0033】
図5は、コンテンツ配信システム1の動作を説明するフロー図である。携帯端末2上にてコンテンツをダウンロードするためのアプリケーションが起動すると、携帯端末2の配信準備要求手段21が起動し、携帯端末2の配信準備要求手段21は、図3で図示したユーザ設定画面7を携帯端末2のディスプレイに表示させて、ユーザ5に係る様々な項目をユーザ5に設定させた後、携帯端末2毎に固有の端末IDを付加し、ユーザ5が設定した内容をユーザ情報として含む配信準備要求をサーバ装置3へ送信する(S1)。
【0034】
携帯端末2から配信準備要求が送信されると、サーバ装置3の配信準備手段31が作動し、サーバ装置3の配信準備手段31は、携帯端末2から受信したユーザ情報に基づくコンテンツリストを作成し、サーバ装置3のコンテンツ作成手段は、該配信準備要求に付加された端末IDを付加してコンテンツリストをデータ記憶装置に記憶する(S2)。
【0035】
コンテンツリストを作成すると、サーバ装置3の配信準備手段31は、作成したコンテンツリストに含まれるコンテンツ毎に、該コンテンツが格納されている場所にアクセスして該コンテンツの容量を取得し、取得した容量の総和を求めることで、コンテンツリストに含まれるコンテンツの総容量を算出する(S3)。なお、コンテンツが格納されている場所は、サーバ装置3と接続しているデータ記憶装置でもよく、ネットワーク上のサーバで公開されているコンテンツであってもよい。
【0036】
コンテンツリストに含まれるコンテンツの総容量を算出すると、サーバ装置3の配信準備手段31は、携帯端末2の無線通信速度を考慮して、コンテンツリストに含まれるコンテンツの総容量から、コンテンツリストに含まれるコンテンツ全てをダウンロードするのに必要なダウンロード時間を算出する(S4)。
【0037】
コンテンツリストに含まれるコンテンツ全てをダウンロードするのに必要なダウンロード時間を算出すると、サーバ装置3の配信準備手段31は、コンテンツリストの基になったユーザ情報の移動速度に該ダウンロード時間を乗算することで上述している配信開始距離を算出し、配信準備要求に付加された端末IDを付加して配信開始距離をデータ記憶装置に記憶した後、ネットワーク通信手段30を利用して配信準備要求のレスポンスを携帯端末2へ送信する(S5)。
【0038】
配信準備要求のレスポンスをサーバ装置3から受信すると、携帯端末2のダウンロード手段22が作動し、携帯端末2のダウンロード手段22は、携帯端末2の端末IDを付加して、携帯端末2の現在地に係る位置情報を含むコンテンツ配信要求をサーバ装置3へ送信する(S6)。
【0039】
携帯端末2からコンテンツ配信要求が送信されると、サーバ装置3の配信手段32が作動し、配信手段32は、携帯端末2から送信されたコンテンツ配信要求に付加されている端末IDに対応する配信開始距離を取得した後、該コンテンツ配信要求に含まれる位置情報と、該端末IDが付加されているユーザ情報の乗車駅6bの位置情報から得られる距離が該配信開始距離であるか判定し(S7)、配信開始距離でなければ、ネットワーク通信手段30を利用しコンテンツ配信要求のレスポンスとしてエラーを携帯端末2へ送信し、配信開始距離であれば、ネットワーク通信手段30を利用しコンテンツ配信要求のレスポンスとして、該端末IDに対応するコンテンツリストに含まれるコンテンツの配信を開始する(S8)。
【0040】
端末装置のダウンロード手段22は、コンテンツ配信要求のレスポンスとしてエラーを受信すると、S6に戻り、一定間隔が経過した後に、携帯端末2の現在地に係る位置情報を含むコンテンツ配信要求をサーバ装置3へ送信する処理を行い、コンテンツ配信要求のレスポンスとして、コンテンツが配信されると、ダウンロードが完了した日時が付加された状態で、サーバ装置3から送信されたコンテンツをメモリにダウンロードする(S9)。
【0041】
コンテンツがメモリにダウンロードされると、携帯端末2の再生手段23が起動し、携帯端末2の再生手段23は、記憶手段にダウンロードされているコンテンツの一覧をディスプレイに表示させ、操作パネルを利用してコンテンツが選択されると、選択されたコンテンツをデコードし、該コンテンツのファイル形式に対応する回路に出力して(S10)、この手順は終了する。
【0042】
このように、本実施形態のコンテンツ配信システム1によれば、携帯端末2にダウンロードされるコンテンツは、サーバ装置3の配信準備手段31が作成したコンテンツリストに含まれるコンテンツになり、サーバ装置3の配信準備手段31がコンテンツリストを作成する内容は、ユーザ情報に含まれる項目によって決定される。
【0043】
図3で図示したユーザ設定画面を例に取れば、乗車駅6b、降車駅6c、経由駅6d、移動速度、曜日、時間帯及びジャンルに係る設定内容がユーザ情報に含まれ、ユーザ情報に含まれるジャンルは、サーバ装置3の配信準備手段31がコンテンツリストを作成する際、コンテンツリストに含ませるコンテンツのジャンルを決定するために利用できる。
【0044】
例えば、図3で図示したユーザ設定画面において、ニュース、天気及び運行情報がジャンルとして設定されている場合、コンテンツリストに含ませるコンテンツのジャンルは、ニュース、天気及び運行情報に限定される。
【0045】
また、ユーザ情報に含まれる乗車駅6b、降車駅6c及び経由駅6dは、サーバ装置3の配信準備手段31がコンテンツリストを作成する際、ユーザ情報に含まれるジャンルに対応するコンテンツ中から、携帯端末2に配信するコンテンツを絞り込むために利用できる。例えば、コンテンツのジャンルとして天気が選択されている場合、携帯端末2に送信する天気を降車駅(ここでは、池袋)がある地域(ここでは、豊島区)の天気にする。また、コンテンツのジャンルとして運行情報が選択されている場合、携帯端末2に送信する運行情報を、乗車駅、降車駅及び経由駅で一意に決まる路線(ここでは、京浜東北線と山手線)の運行情報にする。
【0046】
更に、ユーザ情報に含まれる曜日・時間帯は、サーバ装置3の配信準備手段31がコンテンツリストを作成する際、携帯端末2に配信するコンテンツの種類を決定するために利用できる。サーバ装置3の配信準備手段31は、ユーザ情報の曜日・時間帯から列車の混み具合を判定するルールを記憶し、ユーザ情報の曜日・時間帯からに基づく判定結果により、例えば、ユーザ情報に含まれる曜日・時間帯から、列車が混雑している判定したときは、携帯端末2に送信するコンテンツの種類を音声にし、それ以外のときは、携帯端末2に送信するコンテンツを動画にする。
【符号の説明】
【0047】
1 コンテンツ配信システム
2 携帯端末
20 無線通信手段
21 配信準備要求手段
22 ダウンロード手段
23 再生手段
3 サーバ装置
30 ネットワーク通信手段
31 配信準備手段
32 配信手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを利用してサーバ装置から携帯端末へコンテンツを配信するコンテンツ配信システムであって、前記携帯端末は、前記携帯端末を所持するユーザが希望するコンテンツのジャンル、前記ユーザが利用する乗車駅及び乗車駅までの移動速度が少なくとも記されたユーザ情報を含む配信準備要求を前記サーバ装置へ送信する配信準備要求手段と、前記携帯端末の現在地に係る位置情報を含むコンテンツ配信要求を前記サーバ装置へ送信する処理を前記サーバ装置からコンテンツが配信されるまで一定間隔で行い、前記サーバ装置から配信されたコンテンツをメモリにダウンロードするダウンロード手段を備え、前記サーバ装置は、前記配信準備要求を携帯端末から受信すると、前記配信準備要求に含まれる前記ユーザ情報のジャンルに対応するコンテンツの一覧を記したコンテンツリストを作成した後、作成した前記コンテンツリストに含まれるコンテンツの総容量から該コンテンツのダウンロード時間を求め、前記ユーザ情報の移動速度と該ダウンロード時間を乗算することで配信開始距離を算出する配信準備手段と、前記コンテンツ配信要求を前記携帯端末から受信すると、前記コンテンツ配信要求に含まれる位置情報と前記ユーザ情報の乗車駅の位置情報から得られる距離が前記配信開始距離になると、前記コンテンツリストに含まれるコンテンツを前記携帯端末へ送信する配信手段を備えていることを特徴とするコンテンツ配信システム。
【請求項2】
前記ユーザ情報には、前記ユーザが列車を利用する曜日・時間帯が記され、前記サーバ装置の前記配信準備手段は、前記ユーザ情報の曜日・時間帯から列車の混み具合を判定するルールを記憶し、前記ユーザ情報の曜日・時間帯からに基づく判定結果により、前記携帯端末へ送信するコンテンツの種類を決定することを特徴とする、請求項1に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項3】
ネットワークを利用してサーバ装置から携帯端末へコンテンツを配信するコンテンツ配信方法であって、前記携帯端末が、前記携帯端末を所持するユーザが希望するコンテンツのジャンル、前記ユーザが利用する乗車駅及び乗車駅までの移動速度が少なくとも記されたユーザ情報を含む配信準備要求を前記サーバ装置へ送信し、前記サーバ装置が、前記配信準備要求に含まれる前記ユーザ情報のジャンルに対応するコンテンツの一覧を記したコンテンツリストを作成した後、作成した前記コンテンツリストに含まれるコンテンツの総容量から該コンテンツのダウンロード時間を求め、前記ユーザ情報の移動速度と該ダウンロード時間を乗算することで配信開始距離を算出する配信準備工程と、前記端末装置が、前記携帯端末の現在地に係る位置情報を含むコンテンツ配信要求を前記サーバ装置へ送信し、前記サーバ装置が、前記コンテンツ配信要求に含まれる位置情報と前記ユーザ情報の乗車駅の位置情報から得られる距離が前記配信開始距離になると、前記コンテンツリストに含まれるコンテンツを前記携帯端末へ配信し、前記端末装置が、前記サーバ装置から配信されたコンテンツをメモリにダウンロードするコンテンツ配信工程が実行されることを特徴とするコンテンツ配信方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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