説明

コンテンツ配信システム

【課題】 種々の制約がある専用機器に対しても柔軟に組み込むことができ、複数種類の専用機器に対しても柔軟にサービスが行えるコンテンツ配信技術を提供する。
【解決手段】 通信ライン4を介して、コンテンツ管理サーバ5と、少なくとも一つのコンテンツ配信サーバ6と特定用途向けの処理装置である利用者端末2とを備え、利用者端末にコンテンツ配信処理プログラム10をインストールし、このプログラムを用いて、コンテンツ管理サーバとコンテンツ配信サーバとの間で情報授受を行って、利用者端末で購入されたコンテンツを当該利用者端末に配信し、プログラムと利用者端末との間でのコンテンツの購入に伴う授受情報は当該コンテンツを購入したことの証明のみとして、当該コンテンツの配信期間及び配信本数の管理はコンテンツ管理サーバが実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツ配信技術に関し、特に、種々の制約がある専用機器に対しても柔軟に組み込むことができ、複数種類の専用機器に対しても柔軟にサービスが行えるコンテンツ配信技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信ネットワークの利用が拡大しており、パーソナルコンピュータ(PC)では、通信ネットワークを利用した様々なサービスが利用できるようになっている。
【0003】
例えば、VOD(ビデオオンデマンド)サービスでは、利用者はネットワークを介して送信される映像を受信して視聴することができる。またGOD(ゲームオンデマンド)サービスでは、ユーザはゲームのアプリケーションプログラムをダウンロードしてゲームを利用することができる。
【0004】
特許文献1には、ビデオオンデマンドサービスの利用者に対して、利用者に過大な負担をかけることなく、ゲームオンデマンドサービスも利用可能にするコンテンツ配信サーバの技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−012220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述したパーソナルコンピュータ(PC)などの汎用の情報処理装置に限られず、それぞれの機能に特化した専用機器であるカーナビゲータ、ゲームマシン、デジタル家電機器、その他の特定用途向けの処理端末などにおいてビデオオンデマンドサービス(コンテンツ配信サービス)が柔軟に利用できれば、利用者の拡大・普及を図ることができる。
【0007】
しかし、そのためには解決すべき課題がなお存している。
【0008】
即ち、汎用機器に比べて処理機能が不足し、種々の制約がある専用機器に対しても、このコンテンツ配信サービスは柔軟に追加して組み込むことのできるように構成されることが必要である。また、このコンテンツ配信サービスは、専用機器にサービスを提供する業者が複数存在する場合も適用できるように構成されていなければならない。逆にコンテンツ配信サービスを提供する業者は、1種類の専用機器のみでなく複数種類の専用機器に対してもサービスが提供できることが望ましい。
【0009】
そして、これらの要件を充足しつつ、利用者に対する課金処理方法、利用者に対するコンテンツ配信サービス管理方法、コンテンツ自体の著作権保護方法、当該専用機器に対応するコンテンツの配信方法などを確立することが必要である。
【0010】
しかしながら、特許文献1にはこの課題を解決する内容に関して記載されておらず、またその解決を示唆する記載もない。
【0011】
本発明は係る事情に鑑みてなされたものであって、表示機能を備えた専用機器にコンテンツ配信サービスを提供するに際し、種々の制約がある専用機器に対しても柔軟に組み込むことができ、複数種類の専用機器に対しても柔軟にサービスが行えるコンテンツ配信技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための本発明は、通信ラインを介して、コンテンツ管理サーバと、少なくとも一つのコンテンツ配信サーバと、少なくとも一つの利用者端末とを備えたコンテンツ配信システムにおいて、前記利用者端末に搭載されたコンテンツ配信処理ユニットは、ユーザ識別情報と、コンテンツ特定情報と、コンテンツ購入情報とをコンテンツ管理サーバに送信し、かつ前記ユーザ識別情報と、視聴チケットとをコンテンツ配信サーバに送信する送信部と、前記コンテンツ管理サーバから送信されるコンテンツ鍵およびコンテンツIDを受信し、かつ前記コンテンツ配信サーバからコンテンツを受信する受信部と、前記コンテンツ鍵と、前記コンテンツIDと、前記コンテンツとを復号する復号部とを備え、前記コンテンツ管理サーバは、前記利用者端末からの前記コンテンツ購入情報と前記コンテンツ特定情報とに基づいて、コンテンツ配信の可否を判断する管理情報処理部と、コンテンツ配信可と判断した際に前記利用者端末にコンテンツ鍵を含む視聴チケットを送信する視聴チケット送信部と、前記利用者端末の種類に基づいてコンテンツ配信サーバ特定情報を前記利用者端末に送信する配信サーバ特定部とを有し、前記コンテンツ配信サーバは、前記利用者端末から送信される前記ユーザ識別情報と、前記視聴チケットとを受信する受信する受信部と、前記利用者端末に暗号化されたコンテンツを送信するコンテンツ配信部とを有するコンテンツ配信システムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明のコンテンツ配信技術によれば、表示機能を備えた専用機器にコンテンツ配信サービスを提供するに際し、種々の制約がある専用機器に対しても柔軟に組み込むことができ、複数種類の専用機器に対しても柔軟にサービスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るコンテンツ配信システムの構成を示す図。
【図2】コンテンツ配信システムの配信動作を説明するための概略図。
【図3】コンテンツ配信に係る信号授受手順を示す図。
【図4】コンテンツ配信に係る利用者端末の概略の手順を示すフロー図。
【図5】コンテンツ配信に係るコンテンツ管理サーバの概略の手順を示すフロー図。
【図6】コンテンツ配信に係るコンテンツ配信サーバの概略の手順を示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るコンテンツ配信システムの構成を示す図である。このコンテンツ配信システムは、動画、静止画などの映像コンテンツを利用者に配信するサービスに関するシステムである。
【0016】
図1に示すように本コンテンツ配信システムは、コンテンツ管理システム1、複数の利用者端末2、複数の利用者端末管理サーバ3が通信ライン4に接続されて構成されている。そして、コンテンツ管理システム1は、コンテンツ管理サーバ5とコンテンツ配信サーバ6とを備えている。
【0017】
ここで、通信ラインとは広く情報の送受信に用いられる経路のことで、導電線、光ファイバなどの有線を用いた通信に限られず、光、音波、電波などを用いた無線通信も含まれる。
【0018】
コンテンツ管理サーバ5及びコンテンツ配信サーバ6はコンテンツ配信サービスを提供するサービス提供業者の所有するコンピュータなどの情報処理端末である。コンテンツ管理サーバ5は、配信するコンテンツを保存するとともに、コンテンツの配信に関する管理を統括して実行する。コンテンツ配信サーバ6は、コンテンツの配信動作を実行する。
利用者端末2はコンテンツ配信サービスを受ける利用者が所有する情報処理端末である。この利用者端末2には、カーナビゲータ、ゲームマシン、デジタル家電機器、その他の特定用途向けの情報処理端末(専用機器)を用いることができる。なお、この利用者端末2は、映像を表示するための表示装置(不図示)を備えているか、表示装置と接続することが可能な構成である。
【0019】
利用者端末管理サーバ3は、利用者端末2に対して通信ライン4を用いて各種の有料のサービスを実施する特定サービス提供業者が所有するコンピュータなどの情報処理端末である。例えば、利用者端末2がゲームマシンであった場合は、利用者端末管理サーバ3は、当該利用者端末2からの求めに応じて、ゲームプログラムをダウンロードするサービスを実行する。従って、ある利用者端末2は、特定の利用者端末管理サーバ3からのみ通信ラインを介して所定のサービスを受けることができる。
【0020】
なお、利用者端末2は常時通信ライン4に接続している必要は無く、コンテンツ管理システム1あるいは利用者端末管理サーバ3と情報の授受を行う場合にのみ接続するものであっても良い。
【0021】
図2は、コンテンツ配信システムの配信動作を説明するための概略図である。
[準備ステップ]
利用者端末2には、コンテンツの配信に関する手続処理と再生動作とを実行するコンテンツ配信処理プログラム10がインストールされている。このコンテンツ配信処理プログラム10は、原則として利用者端末2の種類ごとに複数のタイプが用意されている。
【0022】
利用者は、利用者端末2のメニューから、コンテンツ配信サービスの購入を申し込む。このとき、利用者にはコンテンツ配信サービスを受けられる条件が知らされる。例えば、コンテンツを何本まで見ることができるかといった条件が提示される。
【0023】
続いて利用者が、利用者端末2を起動し、利用できるメニューを表示すると、図示しない表示部には、コンテンツ配信サービスを表すアイコンメニューが表示される。利用者が、このアイコンを選択すると、コンテンツ配信処理プログラム10が起動する。起動以降のコンテンツ配信に関する動作は、コンテンツ配信処理プログラム10とコンテンツ管理システム1との間での授受情報に基づいて実行される。
【0024】
[第1ステップ]
コンテンツ配信処理プログラム10は、コンテンツ管理サーバ5との間で情報授受を行い、利用可能なコンテンツを受信する。そして、コンテンツ配信処理プログラム10は、表示部7にコンテンツ選択画面を表示する。なお、このコンテンツ選択画面には、コンテンツが画像入りで表示されるとともに、コンテンツを検索する機能、人気のコンテンツを表示する機能、この利用者が利用したコンテンツ履歴などの情報を提示する機能が含まれている。
【0025】
[第2ステップ]
利用者が、これらのアシスト機能を利用して、所望のコンテンツを選択すると、コンテンツ配信処理プログラム10は、コンテンツ購入画面を表示する。このコンテンツ購入画面には、選択されたコンテンツの詳細情報と共に、コンテンツ配信サービスを受けられる期間及び残コンテンツ本数などコンテンツ配信サービスの利用状況に関する情報が表示される。
【0026】
[第3ステップ]
利用者が、選択したコンテンツの購入を確定すると、コンテンツ配信処理プログラム10とコンテンツ管理サーバ5との間で認証処理が行われ、配信が認められたときはコンテンツ配信サーバ6が利用者端末2にコンテンツを配信する。利用者端末2ではコンテンツ配信処理プログラム10がストリーム配信されるコンテンツを再生する。
【0027】
図3は、コンテンツ配信に係る信号授受手順を示す図である。図4は、コンテンツ配信に係る利用者端末2の概略の手順を示すフロー図である。図5は、コンテンツ配信に係るコンテンツ管理サーバ5の概略の手順を示すフロー図である。図6は、コンテンツ配信に係るコンテンツ配信サーバ6の概略の手順を示すフロー図である。
【0028】
続いて、上述のコンテンツ配信動作について図3乃至図6を参照しつつ説明する。
【0029】
[手順1] 利用者端末2において、利用者がコンテンツ配信サービスを購入(更新)すると、図4のステップS01において、利用者端末2は、利用者端末管理サーバ3に対してコンテンツ配信サービスの購入がされた旨の通知を送信する。これによって、利用者端末管理サーバ3が利用者との間で課金処理を実行する。
【0030】
一方、コンテンツ配信処理プログラム10は、購入情報を生成してコンテンツ管理サーバ5に送信する。この購入情報には、ユーザ識別情報、期間情報などが含まれる。ユーザ識別情報は、利用者端末2を特定するための情報であり、利用者端末2の種類、型式などが含まれる。これらの情報は利用者端末2から取得しなくとも、ダウンロードされるコンテンツ配信処理プログラム10に予め書き込まれていても良い。期間情報には、コンテンツ配信サービスを受けられる期間が含まれる。この期間に関する情報は、利用者端末2において、コンテンツ配信処理プログラム10を介して利用者が承諾した情報である。なお、この期間に関してはコンテンツ管理サーバ5が管理する。
【0031】
図5のステップT01において、コンテンツ管理サーバ5は、購入情報を受け取り、ユーザ識別情報、期間情報を、管理DB8cに登録する。
【0032】
[手順2] 利用者端末2において、利用者がコンテンツメニューから、所望のコンテンツを選択すると、図4のステップS02において、コンテンツ配信処理プログラム10は、購入証明、コンテンツID、ユーザ識別情報をコンテンツ管理サーバ5に送信する。購入証明は、番組を購入したことを証明する情報である。コンテンツIDは利用者が選択したコンテンツを特定する情報である。
【0033】
コンテンツ管理サーバ5は、図5のステップT02において、ユーザ識別情報、購入証明に基づいて認証を行う。ステップT03において、この利用者端末2が有効なものとして管理DB8cに登録されているかどうかを調べる。ステップT03でYesのとき、即ちユーザ認証がOKのときは、ステップT04において、視聴期間、視聴本数が有効かどうかを調べる。ここで、視聴期間、視聴本数はコンテンツ管理サーバ5が独自に管理する情報である。これは、利用者端末2にはコンテンツ配信サービスに関する管理情報を持たせないことで、利用者端末2にコンテンツ配信に関する煩雑な処理負荷を与えることを回避するためである。
【0034】
ステップT04でYesのとき、即ち現在がまだ視聴期間内であって、視聴できる本数が残っている(1本以上ある)ことが管理DB8cを検索して確認されたときは、ステップT06の処理に進む。なお、本数のカウントは同一期間内に視聴した異なるコンテンツについて行われる。従って、同じコンテンツであれば、期間内に何度視聴しても本数は1本としてカウントされる。
【0035】
ステップT03でNo、あるいはステップT04でNoのときは、ステップT05において、サービスを受けることができない旨の通知を利用者端末2に返信する。
【0036】
[手順3] ステップT06において、コンテンツ管理サーバ5は、当該コンテンツを視聴可能とする視聴チケットを生成して利用者端末2に送信する。視聴チケットには、配信されるコンテンツを復号するためのコンテンツ鍵とコンテンツIDとが暗号化されて含まれている。
【0037】
[手順4] 利用者端末2では、図4のステップS03において、送信された視聴チケットの暗号化されたコンテンツ鍵を復号する。そして、正しく復号でき、送信されたコンテンツIDが要求したコンテンツIDと同じ場合は、この視聴チケットは正しいと判断し、コンテンツ鍵を保存するとともに、ステップS04において、再生要求をコンテンツ管理サーバ5に送信する。再生要求には、視聴チケットとユーザ識別情報とが含まれている。
【0038】
[手順5] コンテンツ管理サーバ5では、図5のステップT07において、視聴チケットとユーザ識別情報とから正しい再生要求かどうかを判断し、正しい場合は、配信サービスを実行するコンテンツ配信サーバ6を特定する。配信サーバ6の特定に際しては、利用者端末2の種類(能力)、コンテンツ配信サーバ6の負荷などが考慮される。そして、コンテンツ配信を行うコンテンツ配信サーバ6を特定する情報をリダイレクト情報として利用者端末2に送信する。
【0039】
[手順6] 利用者端末2では、図4のステップS05において、リダイレクト情報に記載されたコンテンツ配信サーバ6のアドレスに、視聴チケットとユーザ識別情報を送信する。
【0040】
[手順7] コンテンツ配信サーバ6では、図6のステップP01において、利用者端末2から受信した視聴チケットとユーザ識別情報をコンテンツ管理サーバ5に送信して、コンテンツの提供を求める。
【0041】
[手順8] コンテンツ管理サーバ5では、デジタルコンテンツの不正コピーを封じる技術であるDRM(Digital Right Management)機能を備えている。図5のステップT08において、コンテンツ管理サーバ5は、コンテンツ配信サーバ6からの視聴チケットとユーザ識別情報に基づいて、DRM機能を用いて視聴可否を判断する。ステップT09において、視聴を許可する指示をコンテンツ配信サーバ6に送信する。
【0042】
[手順9] コンテンツ配信サーバ6では、コンテンツ管理サーバ5から視聴を許可する指示を受信すると、暗号化コンテンツDB8bを検索して指定の暗号化されたコンテンツを取り出して利用端末に送信する。なお、このとき、送信するべきコンテンツは、予めオリジナルコンテンツDB8aから取り出され、利用者端末2の表示部7の仕様に合わせて解像度が変換された後、暗号化されて暗号化コンテンツDB8bに格納されている。従って、コンテンツ配信サーバ6では、配信時に解像度変更と暗号化処理を行わなくても良いため、処理負荷を軽減することができる。
【0043】
[手順10] 利用者端末2では、コンテンツ配信処理プログラム10がコンテンツ配信サーバ6からのデータ受信、映像/音声のコンテンツ鍵による復号、映像の再生を並行して実行する。コンテンツ配信処理プログラム10は、データの先頭部分が到着すると直ちに映像再生処理を開始し、再生したデータは消去する。従って、利用者端末2内にはコンテンツデータは一切残らない。
【0044】
[手順11] コンテンツ管理サーバ5は、コンテンツ配信を実行した後、特定サービス業者に対して、コンテンツ配信サービスに関する決裁を実行する。例えば、利用者端末2毎に金額を出力し、サービス提供業者に決裁を行うように促すことができる。また、直接通信ライン4を介して、利用者端末管理サーバ3に決裁情報を送信して処理を行うこともできる。
【0045】
なお、本実施の形態では、通信される全ての情報を暗号化するのではなく、必要最小限の情報を暗号化している。動画データの構造において、映像および音声データはMPEG2−TSコンテナ形式におけるTSパケットに細分化された状態で伝送される。ここで、MPEG2−TSコンテナとは、ISO/IEC13818−1にて規定された国際標準仕様であり、同仕様で規定されるデータの最小単位をTSパケットという。
【0046】
この規格によれば、映像データは、それぞれのフレームについて全ての情報を伝送するのではなく、キーフレームと呼ばれる1つの基準となるフレームとそのキーフレームに対する差分情報を伝送する。
【0047】
キーフレームは、圧縮映像において周期的に導入されている前後画像(コマ)からの情報を必要とせずに圧縮された画像であり、それだけで静止画像が復元可能となる。また、1コマの画像を構成する画像要素をスライスと呼ぶが、スライスには、それだけで画像要素が復元できるIスライスと、前後の画像情報がないと復元できないPスライス、Bスライスがある。
【0048】
従来は全てのTSパケットについて暗号化していたが、本発明では、キーフレームとIスライスについて暗号化することを実施する。その結果、利用者端末2側では復号処理の大幅な負荷低減が実現できた。
その反面、コンテンツ管理サーバ5では、一律に暗号化する従来の方式と比較して、複雑な暗号化処理が必要とされる。即ち、TSパケットに細分化された際の元データ構造であるH.264映像のES(Elementary Stream)を再構築し、ESのデータ構造をパースして暗号化すべきキーフレームとIスライスデータの位置を特定する。さらにその位置がどのTSパケットに該当するかを特定して、必要最小限のTSパケットに暗号をかけている。
【0049】
なお、本実施の形態では、著作権による保護が必要なコンテンツに対しては暗号化を実施するが、それが必要でないコンテンツに対しては、暗号化せずに配信を実行する。
【0050】
[実施の形態の効果]
以上説明した実施の形態によれば、以下の効果を奏することができる。
【0051】
本コンテンツ配信システムでは、利用者端末2側に搭載するコンテンツ配信処理プログラム10とコンテンツ管理システム1との間での情報授受によってコンテンツ配信動作が実行される。従って、利用者端末2のシステム構成を変更する必要がないため、容易にコンテンツ配信サービスを組み込むことができる。また、システム構成に変更を加えないため、他の付加機能を阻害することがなく、利用者端末2の利用者は本コンテンツ配信システム以外のシステムを更に利用することが可能である。
【0052】
コンテンツ配信サービスについての課金処理は、利用者端末管理サーバ3が備える課金処理システムを利用する。従って、利用者にとっては、これまでの支払い方法と変わるところがないため、取り扱いが一元化し利便性が高い。
【0053】
利用者端末2とコンテンツ配信処理プログラム10との間のコンテンツ配信手続きに関するデータ授受は購入証明のみとしている。従って、コンテンツ配信サービスに関する管理業務による処理負荷を利用者端末に与えることがない。
【0054】
また、通信される全ての情報を暗号化するのではなく、必要最小限の情報を暗号化している。暗号化されているデータ量を少なくすることによって、利用者端末2の負荷の軽減を図っている。
【0055】
コンテンツ管理システムでは、コンテンツデータの解像度を配信先の利用者端末2に対応した解像度に変換してあらかじめ暗号化処理を行い保存しておく。そしてコンテンツ配信時にはコンテンツが暗号化されているか否かによらず、要求順に送信することによってスムーズな処理を実現することができる。
【0056】
〔付記〕
なお、本明細書に開示された発明は以下のように記載することができる。
【0057】
(1)通信ラインを介して、コンテンツ管理サーバと、少なくとも一つのコンテンツ配信サーバと、特定用途向けの少なくとも一つの処理装置である利用者端末とを備えたコンテンツ配信システムにおいて、
前記利用者端末に搭載されたコンテンツ配信処理ユニットは、
前記利用者からのコンテンツ配信サービス購入操作に応じて、利用者端末を特定する端末情報を含む購入情報をコンテンツ管理サーバに送信する購入情報送信部と、
利用者からの求めに応じて、所望のコンテンツを特定するコンテンツ特定情報と、コンテンツ配信サービスを購入したことを証明する購入証明と、前記端末情報とを含むコンテンツ要求信号を前記コンテンツ管理サーバに送信するコンテンツ要求信号送信部と、
前記コンテンツ要求信号に応じて、前記コンテンツ管理サーバから送信される暗号化されたコンテンツ鍵を含む視聴チケットを受信して復号する視聴チケット獲得部と、
復号が正常に実行されたときは、再び前記コンテンツを要求する再要求信号を前記コンテンツ管理サーバに送信する再要求信号送信部と、
前記再要求信号に対応して前記コンテンツ管理サーバより送信される、前記コンテンツ配信サーバを特定する信号を受信し、特定されたコンテンツ配信サーバに前記視聴チケットを含む送信要求信号を送信する送信要求信号送信部と、
前記コンテンツ配信サーバから送信される暗号化されたコンテンツを前記コンテンツ鍵を用いて復号して再生する再生部とを有し、
前記コンテンツ管理サーバは、
前記利用者端末からの前記購入情報と前記コンテンツ特定情報とに基づいて、コンテンツ配信可能期間と、コンテンツ配信可能本数とを管理すべき情報として処理する管理情報処理部と、
前記利用者端末からの前記コンテンツ要求信号で特定される利用者端末を認証してコンテンツの送信可能残本数がある場合は、前記利用者端末に暗号化されたコンテンツ鍵を含む視聴チケットを送信する視聴チケット送信部と、
前記利用者端末から前記再要求信号を受信すると、前記利用者端末の種類に基づいてコンテンツを配信するコンテンツ配信サーバを特定する情報を送信する配信サーバ特定部とを有し、
前記コンテンツ配信サーバは、前記利用者端末から送信される前記送信要求信号に対応して前記利用者端末に暗号化されたコンテンツを送信するコンテンツ配信部を有すること
を特徴とするコンテンツ配信システム。
【0058】
(2)前記コンテンツの不正コピーを封じる技術であるDRM機能を更に有し、
前記コンテンツ配信サーバは、TSパケットの一部を暗号化したコンテンツを配信することを特徴とする(1)に記載の前記コンテンツ管理サーバ。
【0059】
(3)前記コンテンツ配信サーバからのデータ受信、映像/音声の前記コンテンツ鍵を用いた復号、映像の再生を並行して実行し、再生したデータを消去することを特徴とする(2)に記載の前記コンテンツ配信処理ユニット。
【0060】
なお、上述の実施の形態で説明した各機能は、ハードウエアを用いて構成しても良く、また、ソフトウエアを用いて各機能を記載したプログラムをコンピュータに読み込ませて実現しても良い。また、各機能は、適宜ソフトウエア、ハードウエアのいずれかを選択して構成するものであっても良い。
【0061】
更に、各機能は図示しない記録媒体に格納したプログラムをコンピュータに読み込ませることで実現させることもできる。ここで本実施の形態における記録媒体は、プログラムを記録でき、かつコンピュータが読み取り可能な記録媒体であれば、その記録形式は何れの形態であってもよい。
【0062】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1…コンテンツ管理システム、2…利用者端末、3…利用者端末管理サーバ、4…通信ライン、5…コンテンツ管理サーバ、6…コンテンツ配信サーバ、7…表示部、8c…管理DB、8b…暗号化コンテンツDB、8a…オリジナルコンテンツDB。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ラインを介して、コンテンツ管理サーバと、少なくとも一つのコンテンツ配信サーバと、少なくとも一つの利用者端末とを備えたコンテンツ配信システムにおいて、
前記利用者端末に搭載されたコンテンツ配信処理ユニットは、
ユーザ識別情報と、コンテンツ特定情報と、コンテンツ購入情報とをコンテンツ管理サーバに送信し、かつ前記ユーザ識別情報と、視聴チケットとをコンテンツ配信サーバに送信する送信部と、
前記コンテンツ管理サーバから送信されるコンテンツ鍵およびコンテンツIDを受信し、かつ前記コンテンツ配信サーバからコンテンツを受信する受信部と、
前記コンテンツ鍵と、前記コンテンツIDと、前記コンテンツとを復号する復号部とを備え、
前記コンテンツ管理サーバは、
前記利用者端末からの前記コンテンツ購入情報と前記コンテンツ特定情報とに基づいて、コンテンツ配信の可否を判断する管理情報処理部と、
コンテンツ配信可と判断した際に前記利用者端末にコンテンツ鍵を含む視聴チケットを送信する視聴チケット送信部と、
前記利用者端末の種類に基づいてコンテンツ配信サーバ特定情報を前記利用者端末に送信する配信サーバ特定部とを有し、
前記コンテンツ配信サーバは、
前記利用者端末から送信される前記ユーザ識別情報と、前記視聴チケットとを受信する受信する受信部と、
前記利用者端末に暗号化されたコンテンツを送信するコンテンツ配信部とを有する
ことを特徴とするコンテンツ配信システム。
【請求項2】
前記コンテンツ管理サーバは前記利用者端末の種類又は能力のいずれか一方若しくは両方に基づいて、コンテンツ配信サーバ特定情報を決定することを特徴とする請求項1記載のコンテンツ配信システム。
【請求項3】
前記コンテンツ配信サーバは前記利用者端末の表示部の仕様に合わせた解像度のコンテンツを送信することを特徴とする請求項1記載のコンテンツ配信システム。
【請求項4】
前記コンテンツ配信サーバは利用者端末の表示部の解像度に応じてオリジナルコンテンツを変換した暗号化コンテンツを予め格納していることを特徴とする請求項1記載のコンテンツ配信システム。
【請求項5】
前記コンテンツ管理サーバはDRM機能を有し、
前記コンテンツ配信サーバは、TSパケットの一部を暗号化したコンテンツを配信することを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項6】
前記利用者端末は前記コンテンツ配信サーバから受信したコンテンツを復号・再生した後、再生データを消去することを特徴とする請求項1記載のコンテンツ配信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−233153(P2011−233153A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132334(P2011−132334)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【分割の表示】特願2008−248427(P2008−248427)の分割
【原出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(593059773)富士ソフト株式会社 (28)
【Fターム(参考)】