説明

コンテンツ配信制御方法および装置ならびにコンテンツ受信端末

【課題】無線端末が無線リソースの空き時間や通信可能時間帯を利用して通信する装置において、コンテンツを効率よく配信できるコンテンツ配信制御方法および装置を提供する。
【解決手段】コンテンツ配信制御サーバ3において、コンテキスト情報取得部31は各無線端末からコンテキスト情報を取得してコンテキスト情報記憶部32に蓄積する。送信端末決定部33は、コンテンツ配信要求に応答して、今回の配信要求に即応してコンテンツ受信端末1へコンテンツを配信できるコンテンツ送信端末2を決定する。配信要求転送部34は、決定されたコンテンツ送信端末2へコンテンツ配信要求を転送する。配信時間帯決定部35は、コンテンツを即時に配信できるコンテンツ送信端末2を見つけられないときに、コンテンツ配信を実現できる可能性の高い配信時間帯を決定する。決定された配信時間帯は配信時間帯通知部36からコンテンツ受信端末1へ通知される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線端末間でコンテンツを送受信するコンテンツ配信制御方法および装置ならびにコンテンツ受信端末に係り、特に、コンテンツのメタデータおよび各無線端末のコンテキスト情報を配信制御サーバで一元管理して効率の良いコンテンツ配信を可能にする方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンテンツの配信装置では、特許文献1,2に開示されているように、コンテンツ受信者が予め自身のコンテキスト情報をネットワーク上に広報し、コンテンツ送信者はコンテンツ受信者のコンテキスト情報を参照して、コンテンツの配信先として望ましいコンテンツ受信者を選択し、ピアツーピアによりコンテンツを配信する。
【0003】
コンテキスト情報とは、コンテンツ受信者が配信を希望するコンテンツを絞り込んだり、コンテンツ送信者がコンテンツの配信先を絞り込んだりするために使用される検索パラメータの1つであり、コンテキスト項目およびそのコンテキスト値を含む。
【0004】
コンテキスト項目とは、例えばコンテンツ受信者が希望するコンテンツのメタデータ、受信ノードの設置場所、コンテンツの受信希望時間、使用する通信手段、性別、年齢、趣味嗜好、職種、家族情報等であり、コンテキスト値とは、コンテキスト項目の具体的な値である。
【0005】
特許文献3,4には、コンテンツ送信者がコンテンツ受信者からのコンテンツ配信要求に応答して、配信要求コンテンツのメタデータ条件等から構成される受信者コンテキスト情報を利用して、配信すべきコンテンツを選択する技術が開示されている。
【0006】
一方、無線リソースの有効利用を実現する技術として、特許文献5には、無線端末が通信スループットを常時監視し、通信スループットが所定の閾値以上であるときに無線リソースを確保して通信を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−125823号公報
【特許文献2】特開2002−344529号公報
【特許文献3】特開2001−202310号公報
【特許文献4】特開2002−351905号公報
【特許文献5】特願2009−070456号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献5に開示されたように、無線リソースの空き時間を利用して通信を行う無線端末間でコンテンツ配信を行う場合、コンテンツの送信端末側が無線リソースを確保できても、コンテンツの受信端末側が無線リソースを確保できなければコンテンツを配信できない。同様に、コンテンツの受信端末側が無線リソースを確保できても、コンテンツの送信端末側が無線リソースを確保できなければコンテンツを配信できない。
【0009】
このように、無線端末が通信スループットを常時監視し、通信スループットが所定の閾値以上であるときに無線リソースを確保する方式では、無線リソースの空き時間帯がコンテンツの送信端末側と受信端末側とで必ずしも一致しないので、コンテンツ配信を行えない場合があるという技術課題があった。
【0010】
本発明の目的は、上記した従来技術の課題を解決し、送信側および受信側の各無線端末が無線リソースの空き時間や通信可能時間帯を利用して通信する装置において、コンテンツを効率よく配信できるコンテンツ配信制御方法および装置ならびにコンテンツ受信端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明は、無線端末間でのコンテンツ配信を制御するコンテンツ配信制御装置において、以下のような手段を講じた点に特徴がある。
【0012】
(1)コンテンツ送信端末から、配信可能なコンテンツのメタ情報およびコンテンツ送信可能時間帯を含むコンテキスト情報を取得する手段と、コンテンツ受信端末から、配信を要求するコンテンツのメタ情報およびコンテンツ受信可能時間帯を含むコンテキスト情報を取得する手段と、
【0013】
前記取得したコンテキスト情報を記憶する手段と、コンテンツ受信端末からのコンテンツ配信要求に応答して当該コンテンツ受信端末のコンテキスト情報と各コンテンツ送信端末のコンテキスト情報とを照合し、コンテンツ受信端末にコンテンツを配信できるコンテンツ送信端末を抽出する手段と、抽出されたコンテンツ送信端末へコンテンツ配信要求が送信されるように制御する手段とを具備したことを特徴とする。
【0014】
(2)コンテンツ受信端末にコンテンツを配信できるコンテンツ送信端末を前記コンテンツ配信要求に即応して抽出できないときに、コンテンツ送信端末の送信可能時間帯およびコンテンツ受信端末の受信可能時間帯の少なくとも一方に基づいて、当該コンテンツ配信要求のタイミング以降で前記コンテンツ受信端末にコンテンツを配信できる配信時間帯を決定する手段と、
【0015】
前記決定された配信時間帯をコンテンツ受信端末へ通知する手段とをさらに具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、以下のような効果が達成される。
【0017】
(1)コンテンツ受信端末から送信されるコンテンツ配信要求がコンテンツ配信制御サーバで取得され、コンテンツ配信制御サーバは、予め多数のコンテンツ送信端末から取得しているコンテキスト情報に基づいて、当該要求に即応できるコンテンツ送信端末を選択し、当該端末へコンテンツ配信要求を転送する。したがって、無線リンクの状態により通信可能なコンテンツ送信端末と通信不能なコンテンツ送信端末とが混在していても、コンテンツ受信端末へコンテンツを効率良く配信できるようになる。
【0018】
(2)コンテンツ配信要求に即応できるコンテンツ送信端末が見つからなければ、コンテンツ送信端末の送信可能時間帯およびコンテンツ受信端末の受信可能時間帯の少なくとも一方に基づいて、当該コンテンツ配信要求のタイミング以降でコンテンツ受信端末にコンテンツを配信できる配信時間帯が決定されるので、コンテンツ受信端末へコンテンツを確実に配信できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明が適用されるコンテンツ配信ネットワークの構成を示した図である。
【図2】コンテンツ配信制御サーバの主要部の構成を示した機能ブロックである。
【図3】コンテンツ配信の制御手順を示したシーケンスフローである。
【図4】コンテンツ配信制御サーバの動作を示したフローチャートである。
【図5】配信時間帯を送信側優先で決定する方法(その1)を模式的に示した図である。
【図6】配信時間帯を送信側優先で決定する方法(その2)を模式的に示した図である。
【図7】配信時間帯を受信側優先で決定する方法(その1)を模式的に示した図である。
【図8】配信時間帯を受信側優先で決定する方法(その2)を模式的に示した図である。
【図9】コンテンツ配信の他の制御手順を示したシーケンスフローである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明が適用されるコンテンツ配信ネットワークの構成を示した図であり、コンテンツ受信端末1およびコンテンツ送信端末2を含む複数の無線端末と、コンテンツ受信端末1のコンテキスト情報およびコンテンツ送信端末2のコンテキスト情報を一元管理し、コンテンツ受信端末1から受信したコンテンツ配信要求に応答してコンテキスト情報を照合し、コンテキスト条件が一致または類似する唯一のコンテンツ送信端末2を決定して、前記コンテンツ配信要求を転送するコンテンツ配信制御サーバ3とが収容されている。
【0021】
図2は、前記コンテンツ配信制御サーバ3の主要部の構成を示した機能ブロックである。コンテキスト情報取得部31は、コンテンツ送信端末2から、配信可能なコンテンツのメタ情報およびコンテンツ送信可能時間帯を含むコンテキスト情報を取得する第1取得部31aと、コンテンツ受信端末1から、配信を要求するコンテンツのメタ情報およびコンテンツ受信可能時間帯を含むコンテキスト情報を取得する第2取得部31bを含む。取得されたコンテキスト情報は、コンテキスト情報記憶部32において、それぞれコンテキスト第1記憶部32aおよびコンテキスト第2記憶部32bに記憶される。
【0022】
送信端末決定部33は、コンテンツ受信端末1から送信されたコンテンツ配信要求に応答して当該コンテンツ受信端末1のコンテキスト情報と各コンテンツ送信端末2のコンテキスト情報とを照合し、今回の配信要求に応答してコンテンツ受信端末1へコンテンツを即時に配信できるコンテンツ送信端末2を決定する。配信要求転送部34は、前記コンテンツ受信端末1から受信したコンテンツ配信要求が前記決定されたコンテンツ送信端末2へ送信されるように、当該コンテンツ配信要求を例えば自らがコンテンツ送信端末2へ転送する。
【0023】
配信時間帯決定部35は、前記コンテンツ受信端末1にコンテンツを即時に配信できるコンテンツ送信端末2を見つけられないときに、コンテキスト条件を満足する各コンテンツ送信端末2の送信可能時間帯およびコンテンツ受信端末1の受信可能時間帯を参照して、コンテンツ配信を実現できる可能性の高い配信時間帯を決定する。決定された配信時間帯は、配信時間帯通知部36から前記コンテンツ配信要求を送信したコンテンツ受信端末1へ、スケジューリング情報として送信される。
【0024】
前記配信時間帯決定部35は、コンテンツ送信端末2の送信可能時間帯をコンテンツ受信端末1の受信可能時間帯よりも優先させて配信時間帯を決定する送信側優先部35aと、これとは逆に、コンテンツ受信端末の受信可能時間帯をコンテンツ送信端末の送信可能時間よりも優先させて配信時間帯を決定する受信側優先部35bとを備えている。
【0025】
図3は、本発明の一実施形態に係るコンテンツ配信の制御手順を示したシーケンスフローである。本実施形態では、コンテンツ配信に先立って、コンテンツ送信端末2およびコンテンツ受信端末1がそれぞれ、時刻T1,T2において自身のコンテキスト情報をコンテンツ配信制御サーバ3へ登録する。コンテンツ送信端末2のコンテキスト情報には、配信可能なコンテンツのメタ情報や端末ユーザのユーザ情報と共に、端末の位置情報やコンテンツ送信可能時間帯などが含まれる。コンテンツ受信端末1のコンテキスト情報には、端末ユーザのユーザ情報やコンテンツ受信可能時間帯が含まれる。コンテンツ配信制御サーバ3は、取得したコンテキスト情報を、時刻T3で前記コンテキスト情報記憶部32に登録して一元管理する。
【0026】
なお、本実施形態では各無線端末1,2が無線リンクのスループットを常時監視し、無線リソースの空き時間帯を利用してコンテンツ配信を行うように構成されている。したがって、コンテンツ送信端末2は、前記コンテキスト情報の登録後も、自端末が通信可能な状態であるか否かをコンテンツ配信制御サーバ3へ定期的に通知する。コンテンツ配信制御サーバ3では、前記通知された通信状態が当該コンテンツ送信端末2のコンテキスト情報の一つとして管理される。
【0027】
その後、時刻T4においてコンテンツ受信端末1が、配信を要求するコンテンツのメタ情報の記述されたコンテンツ配信要求を、無線リソースの空き時間を利用してコンテンツ配信制御サーバ3へ送信すると、コンテンツ配信制御サーバ3では、時刻T5において、前記送信端末決定部33により、コンテンツ受信端末1のコンテキスト情報が各コンテンツ送信端末2のコンテキスト情報と比較、照合され、コンテキスト条件が一致または類似する唯一のコンテンツ送信端末2が決定される。なお、コンテンツ配信要求にコンテンツ受信端末1のコンテキスト情報を含ませるようにすれば、前記時刻T2におけるコンテンツ受信端末1のコンテキスト登録は省略できる。
【0028】
図4は、前記コンテンツ配信制御サーバ3の動作を示したフローチャートである。ステップS1において、前記コンテンツ受信端末1から送信されたコンテンツ配信要求が受信されると、ステップS2では、コンテンツ配信要求に記述されたメタ情報で特定されるコンテンツを有するコンテンツ送信端末2が選択される。ここでは、複数のコンテンツ送信端末2がコンテンツ送信端末候補として抽出されたものとして説明を続ける。ステップS3では、前記選択されたコンテンツ送信端末候補の中から、現在の状態が通信可能であるコンテンツ送信端末候補がさらに選抜される。
【0029】
ステップS4では、前記絞り込まれたコンテンツ送信端末候補の数が「0」であるか否かが判定される。「0」以外であればステップS5へ進み、各コンテンツ送信端末候補のコンテキスト情報とコンテンツ受信端末1のコンテキスト情報とに基づいて、最適な唯一のコンテンツ送信端末2が選抜され、これがコンテンツ送信端末2に決定される。
【0030】
本実施形態では、コンテンツ受信端末1の位置情報と各コンテンツ送信端末候補の位置情報とが比較され、ネットワーク上の距離が最も近いコンテンツ送信端末候補がコンテンツ送信端末2とされる。あるいは、コンテンツ受信端末1のコンテキスト情報と各コンテンツ送信端末候補のコンテキスト情報とを比較し、メタ情報が一致または最も類似するコンテンツ送信端末が選択されるようにしても良い。
【0031】
例えば、2つのメタ情報[(a0 AND b0) OR (a0 AND b1) OR (c0)],[(a0 AND b0) OR (b1)]の距離は、両者に一致する論理項[ (a0 AND b0)]に共通に含まれるメタデータ値がa0,b0の2つであるため、その逆数をとって1/2と算出される。また、2つのメタ情報[(a0 AND b0) OR (a0 AND b1) OR (c0)],[(a0 AND c0)]の距離は、両者に一致するメタデータ値が(c0)のみなので、その逆数の1/1となる。すなわち、前者の類似度は後者の類似度よりも高いことになる。
【0032】
図3へ戻り、時刻T6では、前記配信要求転送部34において、前記決定されたコンテンツ送信端末2に対して前記コンテンツ配信要求が転送される。コンテンツ送信端末2は前記コンテンツ配信要求に応答して、時刻T7でコンテンツ受信端末1へコンテンツを直接配信する。
【0033】
一方、図4の前記ステップS4において、絞り込まれたコンテンツ送信端末候補の数が「0」であると判定されると、図3の時刻T8においてステップS6へ進む。ステップS6では、コンテンツ配信の時間帯を今回以降のタイミングにスケジューリングするに際して、コンテンツ受信端末1の受信可能時間帯およびコンテンツ送信端末2の送信可能時間帯のいずれを優先させるのかが判定される。
【0034】
コンテンツ送信端末2を優先させるのであればステップS7へ進み、前記ステップS2で選択されたコンテンツ送信端末候補を対象に、より多くのコンテンツ送信端末が送信可能時間帯となる通信時間帯候補が抽出される。
【0035】
図5は、前記配信時間帯の決定方法の第1の例を模式的に表現した図である。この例では、コンテキスト条件を満足する複数のコンテンツ送信端末2を対象に、より多くの送信可能時間帯が重なる時間帯が配信時間帯とされる。あるいは、現時刻から予め決められた時間内に収まる、より多くの送信可能時間帯が重なる時間帯が配信時間帯とされるようにしても良い。同図(a)に示した例では、時刻t1〜t3において3つの送信端末SN1,SN2,SN3の通信可能時間帯が重なるので、この時間帯t1〜t3が配信時間帯とされる。
【0036】
同図(b)に示した例では、時刻t1〜t3,t5〜t6の2つの時間帯で3つの送信端末SN1,SN2,SN3(SN4)の通信可能時間帯が重なるので、2つの時間帯t1〜t3,t5〜t6が配信時間帯の候補となる。このような場合には、各配信時間帯候補t1〜t3,t5〜t6がコンテンツ受信端末RNの受信可能時間帯t2〜t4と比較され、受信可能時間帯t2〜t4により近い配信時間帯候補t1〜t3が配信時間帯に決定される。
【0037】
図6は、前記配信時間帯の決定方法の第2の例を模式的に表現した図である。この例では、コンテキスト条件を満足する複数のコンテンツ送信端末2の送信可能時間帯を対象に、所定の単位時間帯ごとに、各単位時間帯を送信可能時間帯とするコンテンツ送信端末2の数と、各単位時間帯が配信時間帯としていずれかのコンテンツ送信端末2に対してスケジューリングされているコンテンツ受信端末1の数との比が求められ、当該比が最大の単位時間帯が配信時間帯とされる。あるいは、現時刻から予め決められた時間内に収まる、当該比が最大の単位時間帯が配信時間帯とされるようにしても良い。
【0038】
図示した例では、既にスケジューリングされている配信時間が丸印で示され、例えば単位時間帯t1〜t2では、これを送信可能時間帯とするコンテンツ送信端末数Mが「1」であり、スケジューリング数mが「1」なので、両者の比M/mは「1」となる。また、単位時間帯t3〜t4では、これを送信可能時間帯とするコンテンツ送信端末数Mが「2」であり、スケジューリング数が「1」なので、両者の比M/mは「2」となる。これに対して、単位時間帯t2〜t3では、これを送信可能時間帯とするコンテンツ送信端末数Mが「3」であり、スケジューリング数が「1」なので、両者の比M/mは「3」となり、これが最大値となる。したがって、ここでは単位時間帯t2〜t3が配信時間帯とされる。なお、比M/mが最大値を示す単位時間が複数存在する場合には、コンテンツ受信端末の受信可能時間帯により近い単位時間帯が配信時間帯に決定されるようにしても良い。
【0039】
一方、コンテンツ配信の時間帯を今回以降のタイミングにスケジューリングするに際して、コンテンツ受信端末1を優先させるのであればステップS8へ進み、前記ステップS2で選択されたコンテンツ送信端末候補を対象に、より少ないコンテンツ受信端末が受信可能時間帯となる配信時間帯が抽出される。
【0040】
図7は、前記配信時間帯の決定方法の第3の例を模式的に表現した図である。この例では、所定の単位時間帯ごとに、各単位時間帯が既に配信時間帯としてスケジューリングされているコンテンツ受信端末数が求められ、当該端末数が最小の単位時間帯が配信時間帯とされる。あるいは、現時刻から予め決められた時間内に収まる、当該端末数が最小の単位時間帯が配信時間帯とされるようにしても良い。
【0041】
図示した例では、配信時間帯としてスケジューリングされているコンテンツ受信端末数が単位時間ごとに丸数字で表現されており、ここでは、単位時間帯t3〜t4のスケジューリング数「1」が最小なので、この時間帯t3〜t4が配信時間帯とされる。なお、端末数が最小となる単位時間が複数存在する場合には、その中で最も早い唯一の時間帯が配信時間帯に決定されるようにしても良い。
【0042】
図8は、前記配信時間帯の決定方法の第4の例を模式的に表現した図である。この例では、所定の単位時間帯ごとに、各単位時間帯が既に配信時間帯として既にスケジューリングされているコンテンツ受信端末1の数と、各単位時間帯が配信時間帯として既にスケジューリングされているコンテンツ送信端末2の数との比が求められ、当該比が最小の単位時間帯が配信時間帯とされる。あるいは、現時刻から予め決められた時間内に収まる、当該比が最小の単位時間帯が配信時間帯とされるようにしても良い。
【0043】
図示した例では、配信時間帯としてスケジューリングされているコンテンツ受信端末数およびコンテンツ配信端末数が、それぞれ単位時間ごとに丸数字および四角数字で表現されている。単位時間帯t1〜t2では、スケジューリングされているコンテンツ受信端末数mおよびコンテンツ送信端末数Mが、それぞれ「4」,「2」なので、両者の比m/Mは「2」となる。これに対して、単位時間帯t2〜t3ではスケジューリングされているコンテンツ受信端末数mおよびコンテンツ送信端末数Mが、それぞれ「3」,「6」なので、両者の比m/Mは「0.5」となり、これが単位時間帯t4〜t5における比「0.5」と共に最小値となる。したがって、ここでは単位時間帯t2〜t3,t4〜t5が配信時間帯候補となり、より早い時間帯のt2〜t3が配信時間帯に決定される。
【0044】
図3へ戻り、時刻T9では、前記決定された配信時間帯を含むスケジューリング通知が、前記コンテンツ配信要求を送信したコンテンツ受信端末1へ送信される。コンテンツ受信端末1は、前記配信時間帯を待って改めてコンテンツ配信要求をコンテンツ配信制御サーバ3へ送信する。
【0045】
なお、上記の実施形態では、コンテンツ配信制御サーバ3はコンテンツ受信端末1からコンテンツ配信要求を受信した際、これに即応できるコンテンツ送信端末2の存在を確認できれば当該コンテンツ送信端末2に対して自らコンテンツ配信要求を転送するものとして説明した。
【0046】
しかしながら、本発明はこれのみに限定されるものではなく、図9に一例を示したように、時刻T5でコンテンツ送信端末2が決定されると、時刻T6において、当該端末のアドレスが記述された配信応答メッセージをコンテンツ配信制御サーバ3からコンテンツ受信端末1へ送信し、コンテンツ受信端末1が、時刻T7においてコンテンツ送信端末2へコンテンツ配信要求を直接送信し、時刻T8でコンテンツを受信するようにしても良い。
【符号の説明】
【0047】
1…コンテンツ受信端末,2…コンテンツ送信端末,3…コンテンツ配信制御サーバ,31…コンテキスト情報取得部,32…コンテキスト情報記憶部,33…送信端末決定部,34…配信要求転送部,35…配信時間帯決定部,36…配信時間帯通知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線端末間でのコンテンツ配信を制御するコンテンツ配信制御装置において、
コンテンツ送信端末から、配信可能なコンテンツのメタ情報およびコンテンツ送信可能時間帯を含むコンテキスト情報を取得する手段と、
コンテンツ受信端末から、配信を要求するコンテンツのメタ情報およびコンテンツ受信可能時間帯を含むコンテキスト情報を取得する手段と、
前記取得したコンテキスト情報を記憶する手段と、
コンテンツ受信端末からのコンテンツ配信要求に応答して当該コンテンツ受信端末のコンテキスト情報と各コンテンツ送信端末のコンテキスト情報とを照合し、コンテンツ受信端末にコンテンツを配信できるコンテンツ送信端末を抽出する手段と、
前記抽出されたコンテンツ送信端末へ前記コンテンツ配信要求が送信されるように制御する手段とを具備したことを特徴とするコンテンツ配信制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記抽出されたコンテンツ送信端末へ前記コンテンツ配信要求を転送することを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ配信制御装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記抽出されたコンテンツ送信端末のアドレスが記述されたコンテンツ配信応答をコンテンツ受信端末へ送信して当該コンテンツ受信端末からコンテンツ送信端末へコンテンツ配信要求を送信させることを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ配信制御装置。
【請求項4】
コンテンツ受信端末にコンテンツを配信できるコンテンツ送信端末を前記コンテンツ配信要求に即応して抽出できないときに、コンテンツ送信端末の送信可能時間帯およびコンテンツ受信端末の受信可能時間帯の少なくとも一方に基づいて、当該コンテンツ配信要求のタイミング以降で前記コンテンツ受信端末にコンテンツを配信できる配信時間帯を決定する手段と、
前記決定された配信時間帯を含むスケジューリング情報をコンテンツ受信端末へ通知する手段とをさらに具備したことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のコンテンツ配信制御装置。
【請求項5】
前記配信時間帯を決定する手段は、
コンテキスト条件を満足する複数のコンテンツ送信端末の送信可能時間帯を対象に、より多くのコンテンツ送信端末の送信可能時間帯が重なる時間帯を配信時間帯とすることを特徴とする請求項4に記載のコンテンツ配信制御装置。
【請求項6】
前記配信時間帯を決定する手段は、
コンテキスト条件を満足する複数のコンテンツ送信端末の送信可能時間帯を対象に、所定の単位時間帯ごとに、当該単位時間帯が送信可能時間帯であるコンテンツ送信端末数と、当該単位時間帯が配信時間帯として既にコンテンツ送信端末に対してスケジューリングされているコンテンツ受信末端数との比を求め、当該比が最大の単位時間帯を配信時間帯とすることを特徴とする請求項4に記載のコンテンツ配信制御装置。
【請求項7】
前記配信時間帯を決定する手段は、
所定の単位時間帯ごとに当該単位時間帯が既に配信時間帯としてスケジューリングされているコンテンツ受信端末数を求め、当該端末数が最小の単位時間帯を配信時間帯とすることを特徴とする請求項4に記載のコンテンツ配信制御装置。
【請求項8】
前記配信時間帯を決定する手段は、
所定の単位時間帯ごとに、当該単位時間帯が既に配信時間帯としてスケジューリングされているコンテンツ受信端末数と、当該単位時間帯が既に配信時間帯としてスケジューリングされているコンテンツ送信端末数との比を求め、当該比が最小の単位時間帯を配信時間帯とすることを特徴とする請求項4に記載のコンテンツ配信制御装置。
【請求項9】
現時刻から予め決められた時間内に収まる配信時間帯が優先されることを特徴とする請求項5ないし8のいずれかに記載のコンテンツ配信制御装置。
【請求項10】
複数の配信時間帯が存在するとき、コンテンツ受信端末の受信可能時間帯に近い配信時間帯が優先されることを特徴とする請求項5ないし9のいずれかに記載のコンテンツ配信制御装置。
【請求項11】
複数の配信時間帯が存在するときに、最も早い配信時間帯を選択する手段を更に具備したことを特徴とする請求項5ないし9のいずれかに記載のコンテンツ配信制御装置。
【請求項12】
無線端末間でコンテンツを送受信するコンテンツ配信制御方法において、
コンテンツ送信端末が、配信可能なコンテンツのメタ情報およびコンテンツ送信可能時間帯を含むコンテキスト情報をコンテンツ配信制御サーバへ登録する手順と、
コンテンツ受信端末が、配信を要求するコンテンツのメタ情報およびコンテンツ受信可能時間帯を含むコンテキスト情報をコンテンツ配信制御サーバへ登録する手順と、
コンテンツ配信制御サーバが、コンテンツ受信端末からのコンテンツ配信要求に応答して当該コンテンツ受信端末のコンテキスト情報と各コンテンツ送信端末のコンテキスト情報とを照合し、コンテンツ受信端末にコンテンツを配信できるコンテンツ送信端末を抽出する手順と、
前記抽出されたコンテンツ送信端末へ前記コンテンツ配信要求が送信されるように制御する手順と、
前記コンテンツ送信端末が、前記コンテンツ配信要求に応答してコンテンツをコンテンツ受信端末へ配信する手順とを含むことを特徴とするコンテンツ配信制御方法。
【請求項13】
前記コンテンツ配信制御サーバが、
コンテンツ受信端末にコンテンツを配信できるコンテンツ送信端末を前記コンテンツ配信要求に即応して抽出できないときに、コンテンツ送信端末の送信可能時間帯およびコンテンツ受信端末の受信可能時間帯の少なくとも一方に基づいて、当該コンテンツ配信要求のタイミング以降で前記コンテンツ受信端末にコンテンツを配信できる配信時間帯を決定する手順と、
前記決定された配信時間帯をコンテンツ受信端末へ通知する手順とをさらに具備し、
前記コンテンツ受信端末は、前記通知された配信時間帯においてコンテンツ配信要求をコンテンツ配信制御サーバへ再送信することを特徴とする請求項12に記載のコンテンツ配信制御方法。
【請求項14】
コンテンツの配信要求を送信してコンテンツ送信端末からコンテンツを配信されるコンテンツ受信端末において、
コンテキスト情報をコンテンツ配信制御サーバへ登録する手段と、
コンテンツのメタ情報が記述されたコンテンツ配信要求をコンテンツ配信制御サーバへ送信する手段と、
前記コンテンツ配信要求に応答してコンテンツ送信端末から配信されるコンテンツを受信する手段と、
前記コンテンツ配信要求に応答してコンテンツ配信制御サーバから送信されるスケジューリング情報を受信する手段と、
前記スケジューリング情報に記述された配信時間帯を待って前記コンテンツ配信要求をコンテンツ配信制御サーバへ再送信する手段とを具備したことを特徴とするコンテンツ受信端末。
【請求項15】
コンテンツの配信要求を送信してコンテンツ送信端末からコンテンツを配信されるコンテンツ受信端末において、
コンテキスト情報をコンテンツ配信制御サーバへ登録する手段と、
コンテンツのメタ情報が記述されたコンテンツ配信要求をコンテンツ配信制御サーバへ送信する手段と、
前記コンテンツ配信要求に応答してコンテンツ送信端末から配信されるコンテンツを受信する手段と、
前記コンテンツ配信要求に応答してコンテンツ配信制御サーバから送信されるコンテンツ配信応答を受信する手段と、
前記コンテンツ配信応答に記述されたアドレスのコンテンツ送信端末へコンテンツ配信要求を再送信する手段とを具備したことを特徴とするコンテンツ受信端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−14022(P2011−14022A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−158786(P2009−158786)
【出願日】平成21年7月3日(2009.7.3)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】