説明

コンテンツ配置替システム、コンテンツ配信システム、コンテンツ配置替方法およびプログラム

【課題】ユーザが利用可能な複数のコンテンツ記録装置群におけるコンテンツの配置を、視聴品質やユーザの視聴スタイルに適合させるといった種々の観点で、最適化する構成の提供。
【解決手段】コンテンツ配置替システムは、ユーザが利用可能な複数のコンテンツ記録装置に関する情報として、各コンテンツ記録装置に保持されたコンテンツを所定の再生装置にて再生する際の性能情報(配信読込性能)を記憶した記録装置情報保持部と、前記記録装置情報保持部に記憶された各コンテンツ記録装置に関する情報を参照して、予め定めた配置替ポリシに従って、前記いずれかのコンテンツ記録装置に記録されたコンテンツの配置先を見直すコンテンツ配置先決定部と、前記コンテンツの配置先の見直し結果に基づいて、前記コンテンツの配置替えを行う制御部と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツ配置替システム、コンテンツ配信システム、コンテンツ配置替方法およびプログラムに関し、特に、コンテンツの配置を変更するコンテンツ配置替を行うコンテンツ配置替システム、コンテンツ配信システム、コンテンツ配置替方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、ネットワーク上を介してユーザ端末によって指定された番組を録画して記憶するか、ユーザ端末から送信された録画データを記憶する機能を備え、ユーザ端末から再生要求を受信したときに、ユーザ端末にネットワークを介して前記録画データを送信する録画サービスサーバが開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、分散蓄積時における再生時にネットワークの使用確率を抑制でき、ネットワークの帯域不安定等による再生エラーを回避する分散蓄積集積装置が開示されている。具体的には、同文献の分散蓄積集積装置は、内蔵HDD等の蓄積手段の空き容量が第一の閾値を下回る場合には、空き容量が第二の閾値に達するまで、LANを介して電子機器にコンテンツデータを転送し、蓄積手段の空き容量が第三の閾値を上回る場合には電子情報機器から、空き容量が第二の閾値に達するまで、コンテンツデータを取得する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−234984号公報
【特許文献2】特開2009−118289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたような録画サービスサーバを用いる場合、特許文献2に記載されているように、ネットワークの輻輳、障害が発生することがあり、それによりユーザが所望する映像品質で再生できない場合がある。例えば、ユーザが録画サービスサーバに録画されたコンテンツを8Mbps(メガビット毎秒)で受信しながら再生しているとする。ネットワークの障害が発生したり、ネットワークの輻輳が発生すると、例えば、4Mbpsでしかコンテンツのデータを受信できない状況となる。このような状況下では、再生したコンテンツにノイズが発生したり、また、場合によっては、何も再生されない状況となったりし、ユーザは安定した品質の映像を視聴することができないことになる。
【0006】
この点、特許文献2の分散蓄積集積装置は、空き容量が一定値に到るまでは、LAN上にて、電子情報機器でなく、分散蓄積集積装置の蓄積手段にコンテンツデータを保持するものである。特許文献2の分散蓄積集積装置は、空き容量のみで判断を行っているので、コンテンツを保存できる容量がある装置に保存することができるが、その装置からコンテンツを読み出す速度が遅い場合、表示手段への映像表示が間に合わず、映像にノイズが入ったり、映像が止まったりする、という問題点がある。
【0007】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、ユーザが利用可能な複数のコンテンツ記録装置群におけるコンテンツの配置を、配信品質やユーザの視聴スタイルに適合させるといった種々の観点で、最適化することのできるコンテンツ配置替システム、コンテンツ配信システム、コンテンツ配置替方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の視点によれば、ユーザが利用可能な複数のコンテンツ記録装置に関する情報として、各コンテンツ記録装置に保持されたコンテンツを(当該コンテンツの再生先となりうる)所定の再生装置にて再生する際の性能情報(配信読込性能)を記憶した記録装置情報保持部と、前記記録装置情報保持部に記憶された各コンテンツ記録装置に関する情報を参照して、予め定めた配置替ポリシに従って、前記いずれかのコンテンツ記録装置に記録されたコンテンツの配置先を見直すコンテンツ配置先決定部と、前記コンテンツの配置先の見直し結果に基づいて、前記コンテンツの配置替えを行う制御部と、を含むコンテンツ配置替システムが提供される。
【0009】
本発明の第2の視点によれば、上記したコンテンツ配置替システムによって、配置替が行われたコンテンツ記録装置からコンテンツを配信するコンテンツの配信装置を含んだコンテンツ配信システムが提供される。
【0010】
本発明の第3の視点によれば、ユーザが利用可能な複数のコンテンツ記録装置に関する情報として、各コンテンツ記録装置に保持されたコンテンツを(当該コンテンツの再生先となりうる)所定の再生装置にて再生する際の性能情報(配信読込性能)を記憶した記録装置情報保持部を参照して、予め定めた配置替ポリシに従って、前記いずれかのコンテンツ記録装置に記録されたコンテンツの配置先を見直すステップと、前記コンテンツの配置先の見直し結果に基づいて、前記コンテンツの配置替えを行うステップと、を含むコンテンツ配置替方法が提供される。本方法は、複数のコンテンツ記録装置に保持されたコンテンツの配置替を行うコンピュータという、特定の機械に結びつけられている。
【0011】
本発明の第4の視点によれば、ユーザが利用可能な複数のコンテンツ記録装置に関する情報として、各コンテンツ記録装置に保持されたコンテンツを(当該コンテンツの再生先となりうる)所定の再生装置にて再生する際の性能情報(配信読込性能)を記憶した記録装置情報保持部を参照して、予め定めた配置替ポリシに従って、前記いずれかのコンテンツ記録装置に記録されたコンテンツの配置先を見直す処理と、前記コンテンツの配置先の見直し結果に基づいて、前記コンテンツの配置替えを行う処理と、をコンテンツ配置替システムを構成するコンピュータに実行させるプログラムが提供される。なお、このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記録することができる。即ち、本発明は、コンピュータプログラム製品として具現することも可能である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ユーザが利用可能なコンテンツ記録装置の中から最適なものにコンテンツを配置し直すことが可能となる。その理由は、ユーザが利用可能な複数のコンテンツ記録装置に関する情報を参照して、配置替ポリシに基づきコンテンツの配置先を見直し、配置替を行う構成を採用したことにある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態のコンテンツ配置替システムの構成を表した図である。
【図2】本発明の第1の実施形態のコンテンツ配置替システムの動作を表したフローチャートである。
【図3】本発明の第2の実施形態のコンテンツ配置替システムの構成を表した図である。
【図4】本発明の第2の実施形態のコンテンツ配置替システムの動作を表したフローチャートである。
【図5】本発明の第3の実施形態のコンテンツ配置替システムの構成を表した図である。
【図6】本発明の第3の実施形態のコンテンツ配置替システムの動作を表したフローチャートである。
【図7】図5の構成に、視聴権限管理部を追加したコンテンツ配置替システムの変形実施形態を表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
はじめに、本発明の概要について説明する。以下、説明を簡単にするために、コンテンツの視聴に用いる端末(以下、視聴端末)に対し、視聴対象のコンテンツがどのコンテンツ記録装置に保持されているかを示す状態として、「ローカル保持状態」、「リモート保持状態」という2つの状態を定義する。
【0015】
ローカル保持状態とは、視聴端末にバス等で直接接続されたコンテンツ記録装置に視聴対象コンテンツが保持されるなど、ネットワークの輻輳・障害等から影響をほとんど受けずに視聴端末でコンテンツを再生できる状態である。例えば、家庭内のテレビを視聴端末とし、再生機能付きハードディスク・レコーダにコンテンツを保持している場合が挙げられる。同様に携帯電話端末やPC(パーソナルコンピュータ)を視聴端末とし、記録装置やメモリカードにコンテンツ・ファイルを保持している場合も、携帯端末やPCはネットワークの状態の影響を受けずにコンテンツを再生可能であるため、ローカル保持状態である。
【0016】
一方、リモート保持状態とは、視聴対象コンテンツが、帯域の保証されていないネットワーク上のコンテンツ記録装置に保持されるなど、コンテンツの再生にネットワークの輻輳・障害等から影響を受ける可能性のある状態である。例えば、ストリーミング・サーバがコンテンツ記録装置からファイルを読み込んで、インターネット等の外部ネットワークを経由して配信する場合、途中の外部ネットワークのトラヒックが輻輳する可能性があり、その場合は遅延が発生する。このように、視聴端末におけるコンテンツの再生が、帯域の保証されていないネットワークを経由するような状態は、リモート保持状態である。
【0017】
本発明は、ユーザが利用可能な複数のコンテンツ記録装置に関する情報を記憶した記録装置情報保持部と、前記記録装置情報保持部に記憶された各コンテンツ記録装置に関する情報を参照して、予め定めた配置替ポリシに従って、所定の見直し契機にて、前記いずれかのコンテンツ記録装置に記録されたコンテンツの配置先を見直すコンテンツ配置先決定部と、前記コンテンツの配置先の見直し結果に基づいて、前記コンテンツの配置替えを行う制御部と、を備えるものである。
【0018】
例えば、外出時には携帯端末で視聴し、その携帯端末へは、自宅とは離れた配信サーバから配信できる、とする。その際、自宅にいる時、外出時、両方においてスムーズに視聴可能とするためには、自宅で視聴するコンテンツはローカル保持状態にし、外出先で視聴するコンテンツはリモート保持状態にする(自宅から離れた配信サーバの近くにコンテンツを保持)という配置替ポリシを定めれば良い。このとき、ユーザが自宅で視聴することが判っているコンテンツは、自宅の視聴端末に内蔵または直接接続等されたコンテンツ記録装置にコンテンツファイルを転送し、ローカル保持状態が実現される。また、ユーザが外出先で視聴することが判っているコンテンツは、リモート保持状態が望ましいと判断した場合、複数のコンテンツ記録装置の中から、所要の空き容量や映像品質を提供できるかどうか等の点で最も望ましいコンテンツ記録装置を選択し、コンテンツ・ファイルを転送する処理が行われる。
【0019】
以上により、ユーザにおける要求視聴品質や視聴スタイルへの適合(視聴場所、視聴する時間帯)という観点で、コンテンツの配置替を行うことで、ひいては、コンテンツ配信の最適化が行われる。
【0020】
[第1の実施形態]
続いて、本発明の第1の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1を参照すると、コンテンツを保持する機能と再生機能を有する視聴端末100と、コンテンツを保持する機能と所望の視聴端末にコンテンツを配信する機能を有する配信装置200とが示されている。以下、本実施形態では、視聴端末100がコンテンツ配置替システムとして機能して、あるコンテンツをローカル保持状態とするか、リモート保持状態とするかを決定し、コンテンツの配置を変更するものとして説明する。
【0021】
配信装置200は、コンテンツを記録するコンテンツ保持部202と、コンテンツ保持部202に保持するコンテンツの送受信もしくはストリーミング配信またはこれらに伴う制御信号の送受信に用いる送受信部203と、視聴端末100からの要求に基づいてコンテンツの送受信やストリーミング配信を制御する制御部205とを備えるネットワーク録画装置や配信サーバ等によって構成される。
【0022】
視聴端末100は、コンテンツ配置先決定部101、コンテンツ保持部102、送受信部103、記録装置情報保持部106、制御部105およびコンテンツ再生部108を備える。視聴端末100は、通信回線や通信ネットワークを介して配信装置200からストリーミングやファイル転送により、コンテンツの配信を受け、再生する機能を備えている。このような視聴端末100の例としては、録画機能およびネットワーク接続機能を持ったテレビ(IPTV(Internet Protocol TeleVision)を含む。)端末、パーソナルコンピュータ、携帯端末などが挙げられる。
【0023】
視聴端末100および配信装置200に備えられたコンテンツ保持部102、202は、コンテンツ記録装置として、コンテンツを保持するハードディスクドライブや不揮発性半導体メモリ等の各種ストレージによって構成される。視聴端末100および配信装置200は、それぞれの送受信部103、203を介して、コンテンツ保持部102、202に保持されたコンテンツをアップロードまたはダウンロードすることが可能となっている。送受信部103、203によるファイルの送受信には、HTTP(Hyper-Text Transfer Protocol)やFTP(File Transfer Protocol)を用いることができる。また、前記ストリーミング配信には、RTP(リアルタイム・トランスポート・プロトコル)やRTSP(リアルタイム・ストリーミング・プロトコル)を用いることができる。
【0024】
なお、図1では、1台の視聴端末100と、1台の配信装置200とが直接接続されている構成を示しているが、それぞれ複数接続されている構成も採用可能である。図1において、視聴端末100および配信装置200間のネットワークを省略しているが、IP(Internet Protocol)網、ブロードバンドネットワーク、NGN(Next Generation Network)、インターネット、LAN(Local Area Network)、移動体通信網などを介して接続するようにすればよい。上記のようなネットワークを介して接続されている場合、ネットワークのルーティング機能により複数の配信装置200と複数の視聴端末100とを接続することが可能である。
【0025】
記録装置情報保持部106は、配信装置200および視聴端末100に備えられたコンテンツ記録装置に関する情報が保持され、あるコンテンツをローカル保持状態にするか、リモート保持状態にするかを決定する際に参照される。具体的には、各コンテンツ記録装置を識別するためのIPアドレス、コンテンツ保持部102、202の識別子、状態情報(故障していないかどうか等)、使用可能容量(物理的な空き容量や該当ユーザが使用を許可された容量等)、転送する際の配信読込速度、配信読込速度の変動量等が保持される。このうち、コンテンツ配信装置からの配信速度、その変動量や、再生装置への読込速度、その遅延などの性能をまとめて、配信読込性能と呼ぶ。これらの情報は必要に応じ、又は定期的に更新する。もちろん、これらの情報に限定されるものではなく、適宜、その他の項目を追加したり、あるいは、いくつかの項目を省略することもできる。また、図1では、視聴端末100と配信装置200とがそれぞれ1つのコンテンツ保持部を備える構成を示しているが、それぞれ複数のコンテンツ保持部を備えていても良い。
【0026】
本実施形態では、上記「配信読込速度」を、コンテンツ保持部102またはコンテンツ保持部202からコンテンツ再生部108に情報が到着するまでの転送速度(スループット)と定義する。また、コンテンツ保持部102、202からコンテンツ再生部108へのアクセス時間とも考えてもよい。より具体的には、コンテンツ保持部102がコンテンツを保持している場合、コンテンツ保持部102およびコンテンツ再生部108はともに視聴端末100内に配置されているため、両者の間を結ぶ線路の転送速度が配信読込速度に該当する。一方、コンテンツ保持部202がコンテンツを保持している場合、コンテンツ保持部202およびコンテンツ再生部108は、異なる装置に存在しており、コンテンツ保持部202から送受信部203までの転送速度、ネットワークでの転送速度、ネットワークから受信した信号からコンテンツ再生部108までの転送速度の和が、配信読込速度となる。
【0027】
このように定めた配信読込速度を用いると、コンテンツが視聴端末100と同一装置にある場合と遠隔(リモート)にある場合を同一パラメータで比較することができる。なお、通常、コンテンツ保持部102およびコンテンツ再生部108間の転送速度は高速であるので、コンテンツ保持部202およびコンテンツ再生部108間の配信読込速度と比べるまでもないが、万一、コンテンツ保持部102およびコンテンツ再生部108を接続するバスとして低速なバスを使用して、コンテンツ保持部202およびコンテンツ再生部108を接続するネットワークのスループットが高速である場合は、その値を比較することは意味を持つ。また、先に説明したように、ネットワークを経由して複数の視聴端末100または配信装置200が接続されている場合や、視聴端末100または配信装置200に複数のコンテンツ保持部が備えられている場合には、それぞれの仕様に応じて有意な比較を行うことができる。
【0028】
コンテンツ配置先決定部101は、記録装置情報保持部106の情報を参照し、視聴端末100において遅延なく再生できるようにするというように設定された配置替ポリシを保持し、これに従い、どのコンテンツ記録装置がコンテンツを保持するのが適しているか判断する。前記配置替ポリシは、例えば、故障しておらず、かつ、一定の空き容量のあるコンテンツ記録装置のうち、(1)配信読込速度が最も高いものを選択する、(2)配信読込速度が一定値以上で、変動が少ないものを選択する、といったものを採用することができる。また、コンテンツの種類や視聴端末(またはユーザ)の属性に応じて、異なる配置替ポリシを適用して判断するようにしてもよい。これらについては、後記する第2、第3の実施形態以降で詳説する。
【0029】
上記のような配置替ポリシにより、コンテンツの配置替えをしていくと、配信読込速度の高いコンテンツ記録装置から順にコンテンツが格納されていくことになる。例えば、コンテンツ記録装置が10台あるうち、配信読込速度の高い上位2台のコンテンツ記録装置に優先的にコンテンツが格納された状態を想定する。コンテンツは配信読込速度の速いコンテンツ記録装置から配信することになるので、コンテンツ再生時に遅延やエラーなどの無い状態で再生することができる。なお、通常は、視聴端末100と同一装置内にあるコンテンツ保持部102からの配信読込速度が最も高速であることが多いので、コンテンツ保持部102からコンテンツが格納されていくことになる。
【0030】
制御部105、205は、それぞれ視聴端末100、配信装置200内の各ブロック内の情報のやりとりを制御する。
【0031】
コンテンツ再生部108は、コンテンツ保持部102またはコンテンツ保持部202から読み出されたファイルの復号等を行い、表示装置(図示省略)で再生可能な信号に変換して、コンテンツを再生する。
【0032】
続いて、本実施形態の動作について、図2を参照して詳細に説明する。はじめに、コンテンツを識別するための添え字について説明する。コンテンツの総数をNとし、個々のコンテンツには添え字iが割り当てられているものとする。はじめに、i=0として初期化する(ステップS308)。
【0033】
まず、コンテンツ配置先決定部101は、記録装置情報保持部106に保持された情報を参照し、i番目のコンテンツ(i)をローカル保持状態にするべきか判断する(ステップS302)。ここで注意すべきは、同一のコンテンツであっても、時間帯等により、ローカル保持状態にするべきか否かの判断が変わりうるということである。例えば、定期的に配信読込速度が更新されるよう設定されている場合には、その値は、ネットワークの状態等により刻々と変化するので、前記判断の結果も、その時点のネットワークの状態等により変化する。また上述のように、視聴端末100側に複数のコンテンツ記録装置が備えられている場合には、ローカル保持状態を満足するこれらの複数の複数のコンテンツ記録装置の中から適当なものが選択される。
【0034】
上記ステップS302にてコンテンツ(i)をローカル保持状態にすべきと判断した場合、制御部105は、コンテンツ保持部102に、コンテンツ(i)が保持されているか否かを調べる(ステップS306)。ここで、コンテンツ保持部102に、コンテンツ(i)が保持されている場合(ステップS306のYes)、コンテンツ(i)は正しい位置にあるので、ステップS309にてiの値を1増加させて、次のコンテンツについての処理を継続する。
【0035】
一方、コンテンツ保持部102に、コンテンツ(i)が保持されていない場合(ステップS306のNo)、制御部105は、配信装置200に対し、コンテンツ(i)の送信を要求し、コンテンツ保持部102へのコンテンツの転送が行われる(ステップS307)。
【0036】
また、上記ステップS302にて、コンテンツ保持部102が故障している場合、コンテンツ保持部102の空き容量がない場合、コンテンツ保持部102の配信読込速度が遅い場合等、コンテンツ(i)をローカル保持状態にすべきでないと判断した場合、制御部105は、記録装置情報保持部106に保持された情報を参照し、視聴端末100へのストリーミング配信を最も遅延なく行えるコンテンツ記録装置Y(本実施形態では配信装置200のコンテンツ保持部202)を特定する(ステップS303)。
【0037】
その後はローカル保持状態にすべきと判断した場合と同様に、制御部105は、コンテンツ記録装置Yに、コンテンツ(i)が保持されているか否かを調べる(ステップS304)。ここで、コンテンツ記録装置Yに、コンテンツ(i)が保持されている場合(ステップS304のYes)、コンテンツ(i)は正しい位置にあるので、ステップS309にてiの値を1増加させて、次のコンテンツについての処理を継続する。
【0038】
コンテンツ記録装置Yに、コンテンツ(i)が保持されていない場合(ステップS304のNo)、制御部105は、コンテンツ記録装置Y(本実施形態では配信装置200のコンテンツ保持部202)へコンテンツを転送する(ステップS307)。
【0039】
なお、ステップS309では、i=(i+1)mod Nとしているため、すべてのコンテンツについて、上記一連の処理が終了した後は、再度、コンテンツの添え字1から配置替の要否を検討する処理が繰り返される。
【0040】
以上のように、本実施形態によれば、コンテンツを安定して再生することが可能になる。その理由は、その配置替ポリシに従い、コンテンツについてそれぞれローカル保持状態とすべきか、リモート保持状態とすべきか、リモート保持状態とすべき場合はどの装置に保持させると良いかを繰り返し確認し、必要があれば、コンテンツを移動させるように構成したことにある。
【0041】
さらに本実施形態によれば、映像品質が同じであれば、なるべくネットワーク上のコンテンツ記録装置を利用し、コンテンツデータに付随する各種の情報(関連番組情報や関連URLの提示)を得たり、録画サービス業者から提供される特典を得たいという要請にも応えることが可能になる。この点においても、本発明は、上記自装置内の蓄積手段へのコンテンツ蓄積を優先する特許文献2との比較において、有意な相違を有している。
【0042】
[第2の実施形態]
続いて、ユーザがコンテンツの視聴に用いる視聴端末が変わりうることを考慮した本発明の第2の実施形態について説明する。
【0043】
はじめに本実施形態の概要を説明する。上記第1の実施形態では、配置替ポリシに従い、記録装置情報保持部106に保持された情報を参照して、コンテンツ記録装置を決定した。しかしながら、ユーザやその家族のライフスタイルにより、時間帯や曜日によって視聴に用いる端末が変わるということがある。
【0044】
例えば、朝の6時から7時の間は自宅におり、朝の8時から9時の間に外出するユーザへの配信を考える。ローカル保持状態にすることが望ましいと考えると、ユーザが自宅にいる間は、コンテンツは、自宅のコンテンツ記録装置に配置されていることが望ましい。一方、ユーザの外出中に携帯端末にて、コンテンツを視聴すると考えると、その間コンテンツは、自宅のコンテンツ記録装置ではなく携帯端末へ配信機能を持ったコンテンツ記録装置に配置されていることが望ましい。上記の例では、ユーザが視聴しない朝7時から8時の間を、コンテンツの配置替のための時間として利用することができる。さらには、上記ユーザが自宅にいる間も、ユーザが視聴に用いる端末は、リビング、ダイニング等、時間帯や曜日によって変わることがある。従って、同じくローカル保持状態といってもコンテンツ記録装置を変更することが望ましいケースがある。同様に上記ユーザの外出中も、ユーザがどのような端末を用いるかによって、コンテンツ記録装置を変更することが望ましいケースがある。例えば、ユーザが携行する携帯端末の種類や、接続可能なモバイル通信網に応じて、ローカル保持状態やリモート保持状態を実現するコンテンツ記録装置を変更することが考えられる。
【0045】
図3は、本発明の第2の実施形態の構成を表した図である。上記第1の実施形態との構成上の相違点は、視聴端末100に視聴端末特定部107が追加されている点である。以下、上記第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0046】
視聴端末特定部107は、ユーザの行動パターン(過去の視聴履歴)、スケジュール情報など、ユーザが利用するであろう視聴端末を特定するための情報が保持される。例えば、ユーザの行動パターンとして、朝7時までは自宅にいて、7時から18時までは、外出している、とする。そしてユーザは、自宅に居る場合は、自宅のテレビを用いて視聴し、外出中は携帯端末を使用する、とする。
【0047】
コンテンツ配置先決定部101は、視聴端末特定部107に保持されたユーザの行動パターンを参照し、時刻によって、ユーザがどの視聴端末を使用して再生するかを特定した上で、記録装置情報保持部106に保持された情報を用いて、遅延が最も小さくなる、あるいは、エラーが最も少なくなる等の配置替ポリシにより、どのコンテンツ記録装置にコンテンツを保持すべきかを決定する。
【0048】
図4は、本実施形態の動作を表したフローチャートである。第1の実施形態の動作を表した図2との相違点は、はじめに「ユーザが利用する視聴端末を特定するステップ」がステップS401として追加されている点である。続くステップS402以下の動作は、図2のステップS302以下と同等であるので、説明を省略する。
【0049】
以上のように、ユーザが視聴に用いる端末に応じて、コンテンツの配置替を行うことにより、ユーザが自宅にいる場合には、自宅のコンテンツ記録装置のうち、ユーザが視聴に用いる視聴端末に直接接続されたコンテンツ記録装置を選択し、ユーザが外出中である場合には、携帯端末への配信可能なコンテンツ記録装置のうち、よりよい映像品質を提供できるコンテンツ記録装置を選択し、コンテンツを配信させるといったことが可能になる。また本実施形態によれば、ユーザが視聴端末100から離れている場合などはリモート保持状態にすべきと判断され、視聴端末100のコンテンツ保持部102に空きを作ることができるため、その限られた容量を、より有効に利用することが可能になる。
【0050】
また、この第2の実施形態は、例えば、ユーザがポッドキャスティング等により手元の携帯端末にダウンロードしたコンテンツを他の端末で視聴するために転送するといった用途にも用いることができる。これにより、自宅やオフィスなどにいる間は固定端末による視聴に備えて、自動的に固定端末に転送し、移動中は、再度、携帯端末による視聴に備えて、携帯端末に戻すといったことが可能になる。
【0051】
なお、視聴端末特定部107に代えて、ユーザが携行するGPS(Global Positioning System)機器からのユーザの位置情報と、視聴端末の所在地とを照合して視聴端末を特定する方法を用いることも可能である。
【0052】
[第3の実施形態]
続いて、ユーザが視聴に用いる端末のみならず、コンテンツの視聴状態や内容等を考慮に入れて、コンテンツの配置先を最適化することのできるようにした本発明の第3の実施形態について説明する。
【0053】
はじめに本実施形態の概要を説明する。例えば、未視聴の録画番組の場合は、これから視聴される可能性が高いので、ローカル保持状態としておくと速やかに視聴することができる。一方、視聴済みの番組の多くは、近々に再度視聴要求を受ける可能性が低いと考えることができ、リモート保持状態で十分といえる。また、視聴済みの番組といっても一定回数以上視聴されているものは、近々に再度視聴要求を受ける可能性が高いと考えることができ、ローカル保持状態としておく方が良いと考えられる。
【0054】
図5は、本発明の第3の実施形態の構成を表した図である。上記第2の実施形態との構成上の相違点は、視聴端末100にコンテンツ付随情報保持部104が追加されている点である。以下、上記第2の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0055】
コンテンツ付随情報保持部104は、コンテンツの視聴回数等、各コンテンツに付随する情報が保持される。例えば、コンテンツ保持装置102に保持された、あるコンテンツYがコンテンツ再生部108へ未だ一度も送信されておらず、一度も再生されていない場合、コンテンツ付随情報保持部104には、コンテンツYの再生回数は0回という情報が保持され、視聴される度に更新されていく。もちろん、コンテンツの視聴回数に代えて、コンテンツの視聴有無を保持するものとしてもよい。
【0056】
図6は、本実施形態の動作を表したフローチャートである。第2の実施形態の動作を表した図4との相違点は、ステップS601おいて、コンテンツ毎に、視聴端末を特定している点、および、S602、S603のコンテンツ記録装置を決定する際に、上記コンテンツに付随する情報を参照する点である。続くステップS604以下の動作は、図2のステップS203以下と同等であるので、説明を省略する。
【0057】
以下、上記ステップS602、S603におけるコンテンツ記録装置を決定する際に用いる配置替ポリシの例を説明する。今後、短期間の間にユーザが視聴する可能性が高いコンテンツは、ローカル保持状態とすべきコンテンツである。その理由は、以下の通りである。配信装置200のコンテンツ保持部202にコンテンツを置いた場合、再生時には通信回線や通信ネットワークを経由してコンテンツのデータを送ってもらう必要があり、コンテンツを再生する際に、遅延すること無く、コンテンツのデータを送信できることは保証されていない。そのようなコンテンツを視聴端末100から離れた配信装置200のコンテンツ保持部202に置いたままにしておき、視聴時にそこからコンテンツの配信を受け視聴すると、ユーザは安定してコンテンツを視聴できない可能性がある。
【0058】
一方、視聴端末100にコンテンツが配置されていれば、ユーザはそのコンテンツを視聴する際、コンテンツのデータを、103、203の送受信手段を経由して得る必要がなく、通信回線や通信ネットワークによる遅延や障害を意識しなくて良い。したがって、今後、再生可能性の高いものは、ローカル保持状態とするべきと判断するような配置替ポリシを作成する。短期間の間にユーザが視聴する可能性が高いコンテンツは、上記のように再生回数が0回であるものや、ユーザが毎週、毎日視聴しているコンテンツ、あるいは、学習コンテンツのように、コンテンツの性質上繰り返し視聴することを前提に作成されているコンテンツである等の基準に判別することができる。また例えば、ニュース番組はすぐに視聴する可能性が高く、ゴルフ番組は後で見る可能性が高いといったユーザ毎の傾向をコンテンツ配置先決定部に参照させることも可能である。
【0059】
上記のようにして、ローカル保持状態にすべきと判断されたコンテンツも、図6に例示したフローに従って、所定の時間間隔で、あるいは、視聴が終える度に、配置替えの検討が行われる。例えば、視聴が終わって、ユーザが今後視聴する可能性が低いと判定された場合、当該コンテンツは、リモート保持状態とすべきと判定され、配信装置200側に転送される。これにより、視聴端末100のコンテンツ保持部102の容量に空きを作ることができ、新しくローカル保持状態にすべきと判定されたコンテンツを保持することが可能になる。
【0060】
以上のように、本実施形態によれば、コンテンツの視聴状態やその内容に応じて、コンテンツの配置替を行うことが可能になるとともに、コンテンツ保持部102の限られた容量を、より有効に利用することが可能になる。
【0061】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術的思想を逸脱しない範囲で、更なる変形・置換・調整を加えることができる。例えば、上記の実施形態では、特に触れなかったが、コンテンツの移動又はコピーの動作(コンテンツの転送)は、ネットワークのトラヒックの空いている時間帯、例えば、夜間に集中的に行うといった運用が可能である。このようにすれば、コンテンツの移動又はコピーによるトラヒックの輻輳が生じず、他の通信トラヒックに影響を抑えることが可能になる。前記コンテンツの移動又はコピーの動作(コンテンツの転送)は、時刻を決めて、その時刻になったら開始するようにしても良いし、トラヒックの状況を監視するトラヒックモニタ(トラヒック監視部)を設けて、トラヒックの少なくことを確認してから、実行するようにしてもよい。
【0062】
また、上記した第3の実施形態では、ユーザが視聴を行ったか否かを基準にローカル保持状態にするか否かを判断する例を挙げて説明したが、その他の方法を用いてもよい。例えば、配信装置200は、配信サーバとしての機能を持っているが、視聴端末100には、そのような機能がないとすると、他の場所や他の端末にて再生するには、配信装置200のコンテンツ保持部202にコンテンツが配置されている必要がある。このような場合には、ネットワーク経由で視聴要求を受ける可能性があるか否かという観点で配置先を決定する配置替ポリシを用いて、ローカル保持状態とすべきか否かを判定することができる。
【0063】
また、上記した実施形態では、記録装置情報保持部106が保持する情報として、視聴端末への配信の遅延等を挙げ、遅延や誤り率を向上させることを説明したが、記録装置情報保持部106に、配信装置200が同時に配信可能なユーザ数等を登録することとしてもよい。例えば、同時に視聴するユーザ数が多いと思われるコンテンツは、同時配信可能ユーザ数の多い配信装置200のコンテンツ記録装置に移動し、同時に視聴するユーザ数が少ないコンテンツは、同時配信可能ユーザ数が少ない配信装置200のコンテンツ記録装置に移動させるといった配置替も可能である。
【0064】
さらに、上記記録装置情報保持部が保持する情報として、視聴端末100、配信装置200の状態としてファイル転送を受けられる状態かどうかの情報を保持しても良い。例えば、視聴端末100の電源がオフであれば、ローカル保持状態にすることを待機するようにしてもよい。
【0065】
また、放送番組を録画したコンテンツの初めの部分を配信読込速度が速いコンテンツ記録装置に配置し、残りの部分をその他のコンテンツ記録装置に配置するといった配置替ポリシを採用してもよい。通常、デジタルのコンテンツのデータを再生するには、バッファとして、ある程度、再生前に読み込んでおくことが必要になる。コンテンツの初めの部分を配信読込速度が速いコンテンツ記録装置に配置しておけば、再生要求を受信後、通信遅延分、バッファへの蓄え分を待たずに、速やかに再生を開始することができる。バッファ分以外のデータは、再生要求の受信後、転送を開始するようにすればよい。
【0066】
また、上記記録装置情報保持部が保持する配信読込速度に代え、もしくは付加して、配信装置200から視聴端末100までの信号の転送速度や帯域幅情報を用いることも可能である。また、配信読込速度の変動量などを含めた配信読込性能を配置替の判断材料としても良い。
【0067】
また、上記した実施形態では、「配置替」という概念を判りやすく説明するために、原則として、コンテンツの移動又はコピーの動作(コンテンツの転送)を行うものとして説明したが、複数のユーザのコンテンツが利用しているコンテンツ記録装置におけるコンテンツの配置替は、各ユーザのコンテンツを物理的にコピーないし消去する必要はなく、コンテンツ視聴権限を書き換えることによって実現することができる。
【0068】
また、上記した実施形態では、視聴端末100は、配信機能を持っていないものとして説明したが、配信機能を有していてもよい。また、配信装置200に、記録装置情報保持部と、コンテンツ配置先決定部を設ける構成も採用可能である。また、視聴端末100または配信装置200のいずれか一方に記録装置情報保持部を設け、他方に、コンテンツ配置先決定部を設けるといった構成であってもよい。さらに、自らは、コンテンツ保持部を持たずに、配信装置200や視聴端末100に対し、コンテンツの転送を指示し、配置替だけを行う配置替装置として実現することも可能である。
【0069】
また例えば、所定数以上のユーザが未視聴または視聴頻度の高いコンテンツについては、それぞれローカル保持状態とすると、システム全体としては、同一コンテンツが複数のコンテンツ記録装置に配置されていることになってしまう。このような場合には、ローカル保持状態とせずにリモート保持状態とし、これらのユーザが利用可能なコンテンツ記録装置に集中して配置するといった配置替ポリシを設けることができる。これにより、システム全体としては、コンテンツ記録装置の容量を有効に利用することが可能となる。また、その際に、これらユーザが利用可能なコンテンツ記録装置が複数ある場合には、その中で、より高い配信品質を提供できるようなコンテンツ記録装置が選択されるべきである。
【0070】
また、上記した実施形態では、コンテンツ保持部102、202へのコンテンツの入力については触れなかったが、例えば、放送電波やネットワーク(有線、無線)を介して放送コンテンツを受信する受信部を備えることにより実現することができる。このときさらに、個々のユーザが(個人的に視聴することを目的に)視聴端末100に録画したという条件を前提とし、共有コンテンツとして配信装置200にアップロードできるように制御してもよい。共有コンテンツへアクセスできるユーザを管理することで、あるユーザが個人的に録画したコンテンツを自由に視聴できるという利便性を保持しつつ、システム全体としてのコンテンツ保持のための容量を節約できる。
【0071】
以下、上記した複数ユーザが配信装置200を共有することを前提とした場合の配信装置200の構成や動作についての変形実施形態を説明する。例えば、ユーザA、ユーザB、ユーザCがいた場合、それぞれが同一番組Zを録画したとする。各自がその視聴端末にZ(容量:ZZ)を録画したならば、それぞれがZZの容量を使用し、合計3xZZの容量を使用することになる。また、各自が同一番組を同一の配信装置200のコンテンツ保持部202に保存する場合も、それぞれのコンテンツを独立に取り扱うとすると、同様に合計3xZZの容量を使用することになる。しかし、これらは同じコンテンツなので、1つのZのファイルのみ保存し、各ユーザが、それぞれZのコンテンツを保存しておくことを把握しておけば、同一ファイルを3つ保存しておくのと同一の機能を実現できる。図7に示すように、各ユーザがそれぞれ、Zのコンテンツを保持していることを管理する視聴権限管理部206を設けることにより実現される。視聴権限管理部206では、ユーザAの保持しているコンテンツはZ、ユーザBの保持しているコンテンツはZ、ユーザCの保持しているコンテンツはZであることを管理し、把握している。この場合、使用する容量は、Zだけで済む。
【0072】
また、視聴権限管理部206にて管理・把握される情報により、共有できる可能性がある、という情報を配信装置200から、共有可能性のある視聴端末100に送れば、各視聴端末は、その情報を見て、アップロードするべきかどうかを判断することが可能になる。例えば、上述の第1〜第3の実施形態において、リモート保持状態とすべきと判定したとしても、配信装置200側に同一コンテンツが保持されているのであれば、コンテンツの送信を抑止することが可能になる。
【0073】
また、上記のようにユーザが共有コンテンツとして登録するのではなく、配信装置200に各ユーザがアップロードした結果、制御部205が、共有できる部分があるかどうかを確認し、共有できる部分を共有するようにしても良い。
【0074】
具体的には、次のような方法が考えられる。ユーザAが最初にコンテンツZをアップロードしたものとする。次に、ユーザBがコンテンツZのアップロードを試みた際、視聴権限管理部206は、同一のコンテンツZが既にコンテンツ保持部202に存在しないか確認する。今、コンテンツZは既にユーザAからアップロードされているので、視聴権限管理部206は、コンテンツZはユーザAに加えて、ユーザBも保有者である旨を記録する。従って、ユーザBは、コンテンツZを実際にアップロードすることを要しない。
【0075】
これらの方法により、配信装置200で使用するコンテンツ保持部202の容量を節約することができる。例えば、3人で共通の1つのコンテンツのファイルを共有しているのであれば、コンテンツ保持部202の使用量を1/3に節約できることになる。その他ユーザは、コンテンツZのアップロードのために通信回線を占有されずに済み、通信回線を有効に使用できる効果もある。
【0076】
また、ユーザBが配信装置200からコンテンツZのストリーミングを行ったり、ダウンロードを行う際は、次のようになる。ユーザBが配信装置200に対してコンテンツZのストリーミングまたはダウンロード要求を送る。配信装置200は、その要求を受け取ると、ユーザBはコンテンツZを保有しているか、視聴権限管理部206に、問い合わせる。視聴権限管理部206よりユーザBはコンテンツZを保有しているとの応答が得られると、配信装置200は、複数ユーザ間で共有されているコンテンツZのストリーミングを開始、または、ファイル転送を行う。なお、制御部205は、コンテンツのサイズ分以上のメモリを利用可能であることが望ましい。これにより、ストリーミングやファイル転送の際、コンテンツのファイルをメモリに読み出してから、ストリーミングやファイル転送を行うことが可能になる。さらに、メモリのサイズとして、(コンテンツのファイルサイズ)x(同時に使用するユーザ数)分だけあれば、(同時に使用するユーザ分)だけ、同時にファイル転送やストリーミングを行うことが可能になる。
【0077】
また、上記のようにコンテンツを共有する場合の配置替ポリシとしては、各共有ユーザからのアクセス時間ができるだけ等しくなるコンテンツ記録装置を選択するというポリシも採用可能である。この場合、リモート保持状態を実現するコンテンツ記録装置の中で、共有ユーザの視聴端末における視聴条件(上述の配信読込速度等を満たし、かつ、各共有ユーザが利用可能であるなど)が著しく偏らないようなコンテンツ記録装置が選択される。
【0078】
また、別の共有方法として、ユーザAとユーザBのコンテンツが全く同一のコンテンツでなくても、ファイルの一部に共通の部分があれば、共通部分だけ、1つのみ保存し、視聴権限管理部206が、その共通部分とユーザを関連付けて管理するという方法を用いても良い。共通部分でない部分は、それぞれのユーザに割り当てられた保持領域に割り当て、コンテンツの転送時など必要に応じて、それらの共通部分と共通でない部分を連結する。
【0079】
例えば、ユーザAがある番組Mの10:50−11:50に放送された内容を録画し、ユーザAの視聴端末100側に保存したものとする。一方、ユーザBは番組Mの11:00―12:00に放送された内容を録画し、ユーザBの視聴端末100側に保存していたものとする。番組Mの11:00−11:50に放送された部分は、ユーザA、ユーザBに共通な部分nであり、その部分のコーディングも同一の方法を用いているとする。その後、それぞれの視聴端末100においてリモート保持状態にすべきと判断されアップロードが行われたものとする。このとき、部分nは、ユーザAとユーザBで共有化できるので、配信装置200では、アップロードされた番組Mのうち部分nについては、ユーザA、ユーザBで1つのみ保持する。そして、視聴権限管理部206は、部分nは、番組Mの11:00−11:50の部分であり、ユーザAおよびユーザBから共有されているものであることを記録する。一方、ユーザA固有の部分(番組Mの10:50−11:00の部分)は、共有できないので、ユーザAの固有の領域に番組Mの10:50−11:00の部分として保持される。また、同様に、番組Mの11:50−12:00の部分は、ユーザBのみが保有するので、ユーザBの固有の領域に保存される。ユーザAが番組Mを再生を要求した際、制御部205は、視聴権限管理部206に上記内容を取得して、10:50−11:00の部分をユーザAの固有領域から読み出し、共通部分である11:00−11:50の部分nを共有部分から読み出して、それらを連結して再生する。
【0080】
なお、上記の説明では、共通部分であるnとして、開始時刻(11:00)と終了時刻(11:50)がユーザAとユーザBで同一であり、コーディングも同一であると考えたが、コーディング(画面の解像度や画像の圧縮方法)が異なる場合でも、開始時刻、終了時刻が共通であれば、ユーザAかユーザBのどちらかのコーディングを採用して保存しても良い。その場合、解像度の優れている方のコーディングを保存しておけば、後からの高い解像度でのコンテンツ送信要求に対応できるという効果がある。今、ユーザAの解像度が高いとすると、ユーザAの再生要求に対しては、高い解像度のままコンテンツを転送すれば良いし、低い解像度で保存したことになっているユーザBに対しては、解像度を下げる処理(トランスコーディング)を行ってからストリーミング、または、ファイル転送を行えば良い。
【符号の説明】
【0081】
100 視聴端末
101 コンテンツ配置先決定部
102、202 コンテンツ保持部
103、203 送受信部
104 コンテンツ付随情報保持部
105、205 制御部
106 記録装置情報保持部
107 視聴端末特定部
108 コンテンツ再生部
200 配信装置
206 視聴権限管理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが利用可能な複数のコンテンツ記録装置に関する情報として、各コンテンツ記録装置に保持されたコンテンツを所定の再生装置にて再生する際の性能情報(配信読込性能)を記憶した記録装置情報保持部と、
前記記録装置情報保持部に記憶された各コンテンツ記録装置に関する情報を参照して、予め定めた配置替ポリシに従って、前記いずれかのコンテンツ記録装置に記録されたコンテンツの配置先を見直すコンテンツ配置先決定部と、
前記コンテンツの配置先の見直し結果に基づいて、前記コンテンツの配置替えを行う制御部と、を含むコンテンツ配置替システム。
【請求項2】
前記コンテンツ配置先決定部は、前記配置先の見直し対象のコンテンツを記憶可能であり、かつ、前記配信読込性能の高いコンテンツ記録装置に、前記配置先の見直し対象のコンテンツが配置されるようコンテンツの配置先を見直す請求項1のコンテンツ配置替システム。
【請求項3】
さらに、コンテンツの配信先となる視聴端末を特定するための情報を保持する視聴端末特定部を含み、
前記コンテンツ配置先決定部は、前記視聴端末特定部に保持された情報に基づいて特定した視聴端末にて再生する際の配信読込性能を参照し、コンテンツの配置先を見直す請求項1または2のコンテンツ配置替システム。
【請求項4】
前記視聴端末特定部は、コンテンツの配信先となる視聴端末を特定するための情報として、ユーザの視聴予約情報またはユーザの過去の視聴履歴を保持する請求項3のコンテンツ配置替システム。
【請求項5】
更に、前記ユーザがコンテンツの視聴有無を含むコンテンツ付随情報を保持するコンテンツ付随情報保持部を備え、
前記コンテンツ配置先決定部は、前記コンテンツが視聴済みであるか否かも判断要素として用いて、コンテンツの配置先を見直す請求項1から4いずれか一のコンテンツ配置替システム。
【請求項6】
前記コンテンツ付随情報は、前記ユーザによるコンテンツの視聴回数を含み、
前記コンテンツ配置先決定部は、前記視聴端末にて再生する際の配信読込性能を参照して決定したコンテンツ記録装置に、未視聴またはユーザの視聴頻度の高いコンテンツが配置されるよう、コンテンツの配置先を見直す請求項3から5いずれか一のコンテンツ配置替システム。
【請求項7】
前記コンテンツ付随情報は、前記ユーザによるコンテンツの視聴回数を含み、
前記コンテンツ配置先決定部は、複数のユーザが未視聴または視聴頻度の高いコンテンツを、前記複数のユーザが利用可能なコンテンツ記録装置に配置するよう、コンテンツの配置先を見直す請求項1から6いずれか一のコンテンツ配置替システム。
【請求項8】
前記コンテンツの配置替えは、前記各コンテンツ記録装置を接続するネットワークの負荷の大きい時間帯を避けて行われる請求項1から7いずれか一のコンテンツ配置替システム。
【請求項9】
さらに、コンテンツ記録装置と、他のコンテンツ記録装置からコンテンツを受信する送受信部とを備え、ユーザから要求されたコンテンツを前記いずれかのコンテンツ記録装置から取得して出力する機能を備えて、コンテンツ記録機能付きのユーザ端末として機能する請求項1から8いずれか一のコンテンツ配置替システム。
【請求項10】
前記複数のコンテンツ記録装置には、ネットワーク録画装置が含まれており、ネットワーク録画装置におけるコンテンツの配置替は、前記あるユーザのコンテンツ視聴権限を書き換えることによって行う請求項1から9いずれか一のコンテンツ配置替システム。
【請求項11】
コンテンツの配信装置と、請求項1から10いずれか一のコンテンツ配置替システムとを接続して構成されたコンテンツ配信システム。
【請求項12】
ユーザが利用可能な複数のコンテンツ記録装置に関する情報として、各コンテンツ記録装置に保持されたコンテンツを所定の再生装置にて再生する際の性能情報(配信読込性能)を記憶した記録装置情報保持部を参照して、予め定めた配置替ポリシに従って、前記いずれかのコンテンツ記録装置に記録されたコンテンツの配置先を見直すステップと、
前記コンテンツの配置先の見直し結果に基づいて、前記コンテンツの配置替えを行うステップと、を含むコンテンツ配置替方法。
【請求項13】
前記配置先の見直し対象のコンテンツを記憶可能であり、かつ、前記配信読込性能の高いコンテンツ記録装置に、前記配置先の見直し対象のコンテンツが配置されるようコンテンツの配置先を見直す請求項12のコンテンツ配置替方法。
【請求項14】
ユーザが利用可能な複数のコンテンツ記録装置に関する情報として、各コンテンツ記録装置に保持されたコンテンツを所定の再生装置にて再生する際の性能情報(配信読込性能)を記憶した記録装置情報保持部を参照して、予め定めた配置替ポリシに従って、前記いずれかのコンテンツ記録装置に記録されたコンテンツの配置先を見直す処理と、
前記コンテンツの配置先の見直し結果に基づいて、前記コンテンツの配置替えを行う処理と、をコンテンツ配置替システムを構成するコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項15】
前記配置先の見直し対象のコンテンツを記憶可能であり、かつ、前記配信読込性能の高いコンテンツ記録装置に、前記配置先の見直し対象のコンテンツが配置されるようコンテンツの配置先を見直しさせる請求項14のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−70567(P2011−70567A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−223132(P2009−223132)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】