説明

コンデンサ及びその製造方法

【課題】本発明は、ESRが低く、耐電圧が高いコンデンサを提供する。
【解決手段】本発明のコンデンサ10は、弁金属の多孔質体からなる陽極11と、陽極11表面が酸化されて形成された誘電体層12と、誘電体層12表面に形成された固体電解質層13とを具備するコンデンサにおいて、固体電解質層13が、π共役系導電性高分子とポリアニオンとイオン伝導性化合物とを含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム電解コンデンサ、タンタル電解コンデンサ、ニオブ電解コンデンサなどのコンデンサ及びこれらのコンデンサの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器のデジタル化に伴い、電子機器に用いられるコンデンサは高周波領域におけるインピーダンス(等価直列抵抗)を低下させることが要求されている。従来から、この要求に対応すべく、アルミニウム、タンタル、ニオブなどの弁金属の酸化皮膜を誘電体とした、所謂、機能性コンデンサ(以下、コンデンサと略す。)が使用されている。
このコンデンサの構造は、特許文献1に示されるように、弁金属の多孔質体からなる陽極と、陽極の表面を酸化して形成した誘電体層と、導電性の固体電解質層と、カーボン層、銀層などが積層された陰極とを有するものが一般的である。固体電解質層としては、π共役系導電性高分子を含有する導電性膜を用いることがある。
【0003】
π共役系導電性高分子を含有する導電性膜の形成法としては、弁金属の多孔質体表面にマンガン酸化物からなる導電層をあらかじめ形成した後にこれを電極として通電して重合する電解重合法(特許文献2参照)や、酸化剤を用いてπ共役系導電性高分子を構成する前駆体モノマーを重合する化学酸化重合法が広く知られている(特許文献3参照)。
電解重合法及び化学酸化重合法以外の導電性膜の形成法としては、例えば、特許文献4では、スルホ基、カルボキシル基等を持つポリアニオンを共存させながらアニリンを化学酸化重合して水溶性のポリアニリンを調製し、そのポリアニリン水溶液を塗布、乾燥して塗膜を形成する方法が提案されている。この方法では、簡便に高い導電性の導電性膜を形成できるとされている。
【特許文献1】特開2003−37024号公報
【特許文献2】特開昭63−158829号公報
【特許文献3】特開昭63−173313号公報
【特許文献4】特開平7−105718号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、コンデンサの固体電解質層を形成する際に、特許文献2〜4に記載された導電性膜の形成方法を適用した場合には、コンデンサの耐電圧が低くなるという問題が生じた。しかも、特許文献2に記載の電解重合法では、マンガン酸化物からなる導電層を形成する分、煩雑になる上に、マンガン酸化物は導電性が低いため、高導電性のπ共役系導電性高分子を使用する効果が薄れるという問題があった。
特許文献3に記載の化学酸化重合法では、重合時間が長く、また、膜の厚みを確保するために繰り返し重合しなければならず、導電性膜の形成効率が低かった上に、電解重合に比べて導電性も低かった。コンデンサの導電性が低いと、等価直列抵抗(以下、等価直列抵抗のことをESRという。)が高くなるという問題が生じる。
本発明は、ESRが低く、耐電圧が高いコンデンサを提供することを目的とする。また、ESRが低く、耐電圧が高いコンデンサを簡便に製造できるコンデンサの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の構成を包含する。
[1] 弁金属の多孔質体からなる陽極と、陽極表面が酸化されて形成された誘電体層と、誘電体層表面に形成された固体電解質層とを具備するコンデンサにおいて、
固体電解質層が、π共役系導電性高分子とポリアニオンとイオン伝導性化合物とを含有するコンデンサ。
[2] イオン伝導性化合物が下記化学式(I)で表される構造を有する化合物である[1]に記載のコンデンサ。
(I) −(R−O)
(式(I)中、Rは、置換又は未置換のアルキレン、置換又は未置換のアルケニレン、置換又は未置換のフェニレンからなる群より選ばれる1種以上を表す。nは、1〜2,000の整数である。)
[3] イオン伝導性化合物が下記化学式(II)で表される化合物である[2]に記載のコンデンサ。
(II) X−(R−O)−Y
(式(II)中、Rは、置換又は未置換のアルキレン、置換又は未置換のアルケニレン、置換又は未置換のフェニレンからなる群より選ばれる1種以上を表す。Xは、水素原子、ヒドロキシル基、置換又は未置換のアルキル基、置換又は未置換のアルコキシル基、置換又は未置換のアルケニル基、置換又は未置換のアリール基、置換又は未置換のグリシジル基、置換又は未置換の(メタ)アクリロイル基、置換又は未置換のオキシカルボニル基からなる群より選ばれる1種以上を表す。Yは、水素原子、置換又は未置換のアルキル基、置換又は未置換のアルケニル基、置換又は未置換のアリール基、置換又は未置換のグリシジル基、置換又は未置換の(メタ)アクリロイル基、置換又は未置換のカルボニル基からなる群より選ばれる1種以上を表す。nは、1〜2,000の整数である。)
[4] 固体電解質層が、窒素含有芳香族性環式化合物、2個以上のヒドロキシル基を有する化合物、2個以上のカルボキシル基を有する化合物、1個以上のヒドロキシル基及び1個以上のカルボキシル基を有する化合物、アミド基を有する化合物、イミド基を有する化合物、ラクタム化合物、グリシジル基を有する化合物からなる群より選ばれる1種類以上の導電性向上剤をさらに含有する[1]〜[3]のいずれかに記載のコンデンサ。
[5] 固体電解質層がアルカリ性化合物を含有することを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載のコンデンサ。
【0006】
[6] 弁金属の多孔質体からなる陽極の表面を酸化して形成した誘電体層表面に、π共役系導電性高分子とポリアニオンとイオン伝導性化合物と溶媒とを含有する導電性高分子溶液を付着させる工程と、
誘電体層表面に付着させた導電性高分子溶液を乾燥する工程とを有することを特徴とするコンデンサの製造方法。
[7] 導電性高分子溶液の25℃におけるpHが3〜13である[6]に記載のコンデンサの製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明のコンデンサは、ESRが低く、耐電圧が高い。
本発明のコンデンサの製造方法によれば、ESRが低く、耐電圧が高いコンデンサを簡便に製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
<コンデンサ>
本発明のコンデンサの一実施形態例について説明する。
図1は、本実施形態例のコンデンサの構成を示す図である。本実施形態のコンデンサ10は、弁金属の多孔質体からなる陽極11と、陽極11の表面が酸化されて形成された誘電体層12と、誘電体層12の表面に形成された固体電解質層13と、陰極14とを有して概略構成されている。
【0009】
(陽極)
陽極11をなす弁金属としては、例えば、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマス、アンチモンなどが挙げられる。これらのうち、アルミニウム、タンタル、ニオブが好適である。
陽極11の具体例としては、アルミニウム箔をエッチングして表面積を増加させた後、その表面を酸化処理したものや、タンタル粒子やニオブ粒子の焼結体表面を酸化処理してペレットにしたものが挙げられる。このように酸化処理された陽極11は表面に凹凸が形成されている。
【0010】
(誘電体層)
誘電体層12は、例えば、アジピン酸ジアンモニウム水溶液などの電解液中にて、陽極11の表面を陽極酸化することで形成することにより得られる。そのため、図1に示すように、誘電体層12は、陽極11の凹凸の表面に沿っている。
【0011】
(固体電解質層)
固体電解質層13は、π共役系導電性高分子とポリアニオンとイオン伝導性化合物とを必須成分として含有する層である。固体電解質層13の厚さとしては、1〜100μmが好ましい。
【0012】
[π共役系導電性高分子]
π共役系導電性高分子は、主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子であれば使用できる。例えば、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアセチレン類、ポリフェニレン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリアニリン類、ポリアセン類、ポリチオフェンビニレン類、及びこれらの共重合体等が挙げられる。重合の容易さ、空気中での安定性の点からは、ポリピロール類、ポリチオフェン類及びポリアニリン類が好ましい。
π共役系導電性高分子は無置換のままでも、充分な導電性を得ることができるが、導電性をより高めるためには、アルキル基、カルボキシル基、スルホ基、アルコキシル基、ヒドロキシル基、シアノ基等の官能基をπ共役系導電性高分子に導入することが好ましい。
【0013】
このようなπ共役系導電性高分子の具体例としては、ポリピロール、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルピロール)、ポリ(3−オクチルピロール)、ポリ(3−デシルピロール)、ポリ(3−ドデシルピロール)、ポリ(3,4−ジメチルピロール)、ポリ(3,4−ジブチルピロール)、ポリ(3−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルピロール)、ポリ(3−ヒドロキシピロール)、ポリ(3−メトキシピロール)、ポリチオフェン、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルチオフェン)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(3−デシルチオフェン)、ポリ(3−ドデシルチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルチオフェン)、ポリ(3−ブロモチオフェン)、ポリ(3,4−ジメチルチオフェン)、ポリ(3,4−ジブチルチオフェン)、ポリ(3−ヒドロキシチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3−エトキシチオフェン)、ポリ(3−ブトキシチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクチルオキシチオフェン)、ポリ(3−デシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヒドロキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジメトキシチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−プロピレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ブテンジオキシチオフェン)、ポリ(3−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルチオフェン)、ポリアニリン、ポリ(2−メチルアニリン)、ポリ(3−イソブチルアニリン)、ポリ(2−アニリンスルホン酸)、ポリ(3−アニリンスルホン酸)等が挙げられる。
【0014】
中でも、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)から選ばれる1種又は2種からなる(共)重合体が抵抗値、反応性の点から好適に用いられる。さらには、ポリピロール、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)は、導電性がより高くなる上に耐熱性が向上する点から、より好ましい。
【0015】
[ポリアニオン]
ポリアニオンは、置換又は未置換のポリアルキレン、置換又は未置換のポリアルケニレン、置換又は未置換のポリイミド、置換又は未置換のポリアミド、置換又は未置換のポリエステルから選ばれた単独重合体又は共重合体であって、アニオン基を有する構成単位を有するものである。また、必要に応じて、アニオン基を有さない構成単位を有してもよい。
なお、ポリアニオンは、π共役系導電性高分子を溶媒に可溶化させるだけでなく、π共役系導電性高分子のドーパントとしても機能する。
【0016】
ここで、ポリアルキレンとは、主鎖がメチレンの繰り返しで構成されているポリマーである。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテン、ポリヘキセン、ポリビニルアルコール、ポリビニルフェノール、ポリ(3,3,3−トリフルオロプロピレン)、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレート、ポリスチレン等が挙げられる。
【0017】
ポリアルケニレンとは、主鎖に不飽和結合(ビニル基)が1個以上含まれる構成単位からなるポリマーである。これらの中でも、不飽和結合とπ共役系導電性高分子との相互作用があること、置換又は未置換のブタジエンを出発物質として合成しやすいことから、置換又は未置換のブテニレンが好ましい。
ポリアルケニレンの具体例としては、プロペニレン、1−メチルプロペニレン、1−ブチルプロペニレン、1−デシルプロペニレン、1−シアノプロペニレン、1−フェニルプロペニレン、1−ヒドロキシプロペニレン、1−ブテニレン、1−メチル−1−ブテニレン、1−エチル−1−ブテニレン、1−オクチル−1−ブテニレン、1−ペンタデシル−1−ブテニレン、2−メチル−1−ブテニレン、2−エチル−1−ブテニレン、2−ブチル−1−ブテニレン、2−ヘキシル−1−ブテニレン、2−オクチル−1−ブテニレン、2−デシル−1−ブテニレン、2−ドデシル−1−ブテニレン、2−フェニル−1−ブテニレン、2−ブテニレン、1−メチル−2−ブテニレン、1−エチル−2−ブテニレン、1−オクチル−2−ブテニレン、1−ペンタデシル−2−ブテニレン、2−メチル−2−ブテニレン、2−エチル−2−ブテニレン、2−ブチル−2−ブテニレン、2−ヘキシル−2−ブテニレン、2−オクチル−2−ブテニレン、2−デシル−2−ブテニレン、2−ドデシル−2−ブテニレン、2−フェニル−2−ブテニレン、2−プロピレンフェニル−2−ブテニレン、3−メチル−2−ブテニレン、3−エチル−2−ブテニレン、3−ブチル−2−ブテニレン、3−ヘキシル−2−ブテニレン、3−オクチル−2−ブテニレン、3−デシル−2−ブテニレン、3−ドデシル−2−ブテニレン、3−フェニル−2−ブテニレン、3−プロピレンフェニル−2−ブテニレン、2−ペンテニレン、4−プロピル−2−ペンテニレン、4−ブチル−2−ペンテニレン、4−ヘキシル−2−ペンテニレン、4−シアノ−2−ペンテニレン、3−メチル−2−ペンテニレン、4−エチル−2−ペンテニレン、3−フェニル−2−ペンテニレン、4−ヒドロキシ−2−ペンテニレン、ヘキセニレン等から選ばれる一種以上の構成単位を含む重合体が挙げられる。
【0018】
ポリイミドとしては、ピロメリット酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−テトラカルボキシジフェニルエーテル二無水物、2,2’−[4,4’−ジ(ジカルボキシフェニルオキシ)フェニル]プロパン二無水物等の無水物とオキシジアミン、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ベンゾフェノンジアミン等のジアミンとからのポリイミドが挙げられる。
ポリアミドとしては、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド6,10等が挙げられる。
ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。
【0019】
ポリアニオンが他の置換基を有する場合、その置換基としては、アルキル基、ヒドロキシル基、アミノ基、シアノ基、フェニル基、フェノール基、エステル基、アルコキシル基、カルボニル基等が挙げられる。溶媒への溶解性、耐熱性及び樹脂への相溶性等を考慮すると、アルキル基、ヒドロキシル基、フェノール基、エステル基が好ましい。
アルキル基は、極性溶媒又は非極性溶媒への溶解性及び分散性、樹脂への相溶性及び分散性等を高くすることができ、ヒドロキシル基は、他の水素原子等との水素結合を形成しやすくでき、有機溶剤への溶解性、樹脂への相溶性、分散性、接着性を高くすることができる。また、シアノ基及びヒドロキシフェニル基は、極性樹脂への相溶性、溶解性を高くすることができ、しかも、耐熱性も高くすることができる。
上記置換基の中では、アルキル基、ヒドロキシル基、エステル基、シアノ基が好ましい。
【0020】
前記アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル等の鎖状アルキル基、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル等のシクロアルキル基が挙げられる。有機溶剤への溶解性、樹脂への分散性、立体障害等を考慮すると、炭素数1〜12のアルキル基がより好ましい。
前記ヒドロキシル基としては、ポリアニオンの主鎖に直接結合したヒドロキシル基又は他の官能基を介在して結合したヒドロキシル基が挙げられる。他の官能基としては、炭素数1〜7のアルキル基、炭素数2〜7のアルケニル基、アミド基、イミド基等が挙げられる。ヒドロキシル基はこれらの官能基の末端又は中に置換されている。これらの中では樹脂への相溶及び有機溶剤への溶解性から、主鎖に結合した炭素数1〜6のアルキル基の末端に結合したヒドロキシル基がより好ましい。
前記エステル基としては、ポリアニオンの主鎖に直接結合したアルキル系エステル基、芳香族系エステル基、他の官能基を介在してなるアルキル系エステル基又は芳香族系エステル基が挙げられる。
前記シアノ基としては、ポリアニオンの主鎖に直接結合したシアノ基、ポリアニオンの主鎖に結合した炭素数1〜7のアルキル基の末端に結合したシアノ基、ポリアニオンの主鎖に結合した炭素数2〜7のアルケニル基の末端に結合したシアノ基等を挙げることができる。
【0021】
ポリアニオンのアニオン基としては、π共役系導電性高分子への化学酸化ドープが起こりうる官能基であればよいが、中でも、製造の容易さ及び安定性の観点からは、一置換硫酸エステル基、一置換リン酸エステル基、リン酸基、カルボキシル基、スルホ基等が好ましい。さらに、官能基のπ共役系導電性高分子へのドープ効果の観点より、スルホ基、一置換硫酸エステル基、カルボキシル基がより好ましい。
【0022】
ポリアニオンの具体例としては、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリル酸エチルスルホン酸、ポリアクリル酸ブチルスルホン酸、ポリアクリルスルホン酸、ポリメタクリルスルホン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)、ポリイソプレンスルホン酸、ポリビニルカルボン酸、ポリスチレンカルボン酸、ポリアリルカルボン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンカルボン酸)、ポリイソプレンカルボン酸、ポリアクリル酸等が挙げられる。
これらの単独重合体であってもよいし、2種以上の共重合体であってもよい。
これらのうち、ポリスチレンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸、ポリアクリル酸エチルスルホン酸、ポリアクリル酸ブチルスルホン酸が好ましい。これらのポリアニオンは、π共役系導電性高分子の熱分解を緩和することができる。
【0023】
ポリアニオンの重合度は、モノマー単位が10〜100,000個の範囲であることが好ましく、溶媒溶解性及び導電性の点からは、50〜10,000個の範囲がより好ましい。
【0024】
固体電解質層13中の上記π共役系導電性高分子とポリアニオンとの割合は、ポリアニオン100質量部に対してπ共役系導電性高分子1〜1,000質量部であることが好ましい。π共役系導電性高分子が1質量部未満であると、導電性が不足する傾向にあり、1,000質量部を超えると溶媒溶解性が不足する傾向にある。
【0025】
[イオン伝導性化合物]
本発明におけるイオン伝導性化合物とは、電子供与性部位(求核性部位)を持つ繰り返しユニットを有し、電解質の存在下でイオン伝導性を示す高分子のことである。電子供与性部位としては、例えば、シアノ基、アミノ基、アミド基、イミド基などが挙げられる。
また、アミド結合(−NH−CO−)、エーテル結合(−O−)も電子供与性部位として挙げられる。
【0026】
イオン伝導性化合物の中でも、コンデンサ10の耐電圧がより高くなることから、下記化学式(I)で表される構造を分子内に有する化合物であることが好ましい。化学式(I)の構造は化合物の主鎖にあってもよいし、側鎖にあってもよい。また、化合物内に複数存在してもよい。
(I) −(R−O)
【0027】
式(I)中、Rは、置換又は未置換のアルキレン、置換又は未置換のアルケニレン、置換又は未置換のフェニレンからなる群より選ばれる1種以上を表す。
ここで、Rにおける置換又は未置換のアルキレンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレンなどが挙げられる。
置換又は未置換のアルケニレンとしては、プロペニレン、1−メチル−プロペニレン、1−ブチル−プロペニレン、1−デシル−プロペニレン、1−シアノ−プロペニレン、1−フェニル−プロペニレン、1−ヒドロキシ−プロペニレン、1−ブテニレンなどが挙げられる。
【0028】
nは、1〜2,000の整数であり、好ましくは3〜1,000の整数である。nが2,000より大きくなると、イオン伝導性化合物のπ共役系導電性高分子に対する相溶性が低くなる傾向にあり、均一なマトリクスを形成しにくくなる。
【0029】
また、イオン伝導性化合物の中でも、コンデンサ10の耐電圧が特に高くなることから、イオン伝導性化合物が下記化学式(II)で表される化合物であることが好ましい。
(II) X−(R−O)−Y
式(II)中、Rは、置換又は未置換のアルキレン、置換又は未置換のアルケニレン、置換又は未置換のフェニレンからなる群より選ばれる1種以上を表す。アルキレン、アルケニレンは式(I)と同様である。
Xは、水素原子、ヒドロキシル基、置換又は未置換のアルキル基、置換又は未置換のアルコキシル基、置換又は未置換のアルケニル基、置換又は未置換のアリール基、置換又は未置換のグリシジル基、置換又は未置換の(メタ)アクリロイル基、置換又は未置換のオキシカルボニル基からなる群より選ばれる1種以上を表す。
Yは、水素原子、置換又は未置換のアルキル基、置換又は未置換のアルケニル基、置換又は未置換のアリール基、置換又は未置換のグリシジル基、置換又は未置換の(メタ)アクリロイル基、置換又は未置換のカルボニル基からなる群より選ばれる1種以上を表す。
X,Yが置換基で置換されたものである場合の置換基としては、例えば、アルキル基、ヒドロキシル基、ビニル基、アルキルアリール基、アクリロイル基、アミノ基、アミド基などが挙げられる。
【0030】
ここで、Rにおける置換又は未置換のアルキレンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレンなどが挙げられる。
置換又は未置換のアルケニレンとしては、プロペニレン、1−メチル−プロペニレン、1−ブチル−プロペニレン、1−デシル−プロペニレン、1−シアノ−プロペニレン、1−フェニル−プロペニレン、1−ヒドロキシ−プロペニレン、1−ブテニレンなどが挙げられる。
Xにおけるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられル。
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などが挙げられる。
アルケニル基としては、例えば、プロペニル基、ブテニル基などが挙げられる。
アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
【0031】
化学式(I)、化学式(II)で表される高分子の具体例としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、オリゴポリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノクロルヒドリン、ジエチレングリコールモノクロルヒドリン、オリゴエチレングリコールモノクロルヒドリン、トリエチレングリコールモノブロムヒドリン、ジエチレングリコールモノブロムヒドリン、オリゴエチレングリコールモノブロムヒドリン、ポリエチレングリコール、ポリエーテル、ポリエチレンオキシド、トリエチレングリコール・ジメチルエーテル、テトラエチレングリコール・ジメチルエーテル、ジエチレングリコール・ジメチルエーテル、ジエチレングリコール・ジエチルエーテル・ジエチレングリコール・ジブチルエーテル、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレンジオキシド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、n−ブトシエチルメタクリレート、n−ブトキシエチレングリコールメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロシプロピルアクリレート、n−ブトキシエチルアクリレート、n−ブトキシエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレートレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート等の単官能(メタ)アクリレート化合物、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート等の二官能(メタ)アクリレート化合物、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリシジルエーテル、トリプロピレングリシジルエーテル、ポリプロピレングリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテルのグリシジルエーテル類、2−メタクリロイロシエチルコハク酸、グリシジルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリアクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレートなどが挙げられる。
【0032】
化学式(I)、化学式(II)で表される高分子以外のイオン伝導性化合物の具体例としては、例えば、アミド結合を有する単量体単位から構成されたポリビニルピロリドン、アミド基を有する単量体単位から構成されたポリアクリルアミド、ポリビニルアセトアミド、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミド酸や、ポリアクリロニトリル、ポリサイラミン、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。
【0033】
該イオン伝導性化合物は必要に応じて架橋させてもよい。架橋方法としては特に制限されず公知の方法を適用できる。例えば、イオン伝導性化合物が(メタ)アクリロイル基を有する場合には、アゾ系化合物、過酸化物等のラジカル発生剤を用いて(メタ)アクリロイル基同士を反応させることにより架橋できる。
【0034】
イオン伝導性化合物の含有量としては、π共役系導電性高分子とポリアニオンとの合計100質量部に対して1〜10,000質量部であることが好ましく、50〜1,500質量部であることがより好ましい。イオン伝導性化合物の含有量が1質量部未満であると、コンデンサ10の耐電圧が高くならないことがあり、10,000質量部を超えると、固体電解質層13の導電性が低くなり、コンデンサ10のESRが高くなる傾向にある。
【0035】
[導電性向上剤]
固体電解質層13は、導電性がより高くなることから、導電性向上剤をさらに含有することが好ましい。ここで、導電性向上剤は、π共役系導電性高分子又はπ共役系導電性高分子のドーパントと相互作用して、π共役系導電性高分子の電気伝導度を向上させるものである。
導電性向上剤としては、固体電解質層13の導電性がより向上するため、窒素含有芳香族性環式化合物、2個以上のヒドロキシル基を有する化合物、2個以上のカルボキシル基を有する化合物、1個以上のヒドロキシル基及び1個以上のカルボキシル基を有する化合物、アミド基を有する化合物、イミド基を有する化合物、ラクタム化合物、グリシジル基を有する化合物からなる群より選ばれる1種類以上の化合物であることが好ましい。
【0036】
・窒素含有芳香族性環式化合物
窒素含有芳香族性環式化合物とは、少なくとも1個以上の窒素原子を含む芳香族性環を有し、芳香族性環中の窒素原子が芳香性環中の他の原子と共役関係を持つものである。共役関係となるためには、窒素原子と他の原子とが不飽和結合を形成している。あるいは、窒素原子が直接的に他の原子と不飽和結合を形成していなくても、不飽和結合を形成している他の原子に隣接していればよい。窒素原子上に存在している非共有電子対が、他の原子同士で形成されている不飽和結合と擬似的な共役関係を構成できるからである。
窒素含有芳香族性環式化合物においては、他の原子と共役関係を有する窒素原子と、不飽和結合を形成している他の原子に隣接している窒素原子を共に有することが好ましい。
【0037】
このような窒素含有芳香族性環式化合物としては、例えば、一つの窒素原子を含有するピリジン類及びその誘導体、二つの窒素原子を含有するイミダゾール類及びその誘導体、ピリミジン類及びその誘導体、ピラジン類及びその誘導体、三つの窒素原子を含有するトリアジン類及びその誘導体等が挙げられる。溶媒溶解性等の観点からは、ピリジン類及びその誘導体、イミダゾール類及びその誘導体、ピリミジン類及びその誘導体が好ましい。
また、窒素含有芳香族性環式化合物は、アルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、フェニル基、フェノール基、エステル基、アルコキシル基、カルボニル基等の置換基が環に導入されたものでもよいし、導入されていないものでもよい。また、環は多環であってもよい。
【0038】
ピリジン類及びその誘導体の具体的な例としては、ピリジン、2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン、4−エチルピリジン、N−ビニルピリジン、2,4−ジメチルピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、3−シアノ−5−メチルピリジン、2−ピリジンカルボン酸、6−メチル−2−ピリジンカルボン酸、4−ピリジンカルボキシアルデヒド、4−アミノピリジン、2,3−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノ−4−メチルピリジン、4−ヒドロキシピリジン、4−ピリジンメタノール、2,6−ジヒドロキシピリジン、2,6−ピリジンジメタノール、6−ヒドロキシニコチン酸メチル、2−ヒドロキシ−5−ピリジンメタノール、6−ヒドロキシニコチン酸エチル、4−ピリジンメタノール、4−ピリジンエタノール、2−フェニルピリジン、3−メチルキノリン、3−エチルキノリン、キノリノール、2,3−シクロペンテノピリジン、2,3−シクロヘキサノピリジン、1,2−ジ(4−ピリジル)エタン、1,2−ジ(4−ピリジル)プロパン、2−ピリジンカルボキシアルデヒド、2−ピリジンカルボン酸、2−ピリジンカルボニトリル、2,3−ピリジンジカルボン酸、2,4−ピリジンジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸、2,6−ピリジンジカルボン酸、3−ピリジンスルホン酸等が挙げられる。
【0039】
イミダゾール類及びその誘導体の具体的な例としては、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−プロピルイミダゾール、2−ウンデジルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、N−メチルイミダゾール、N−ビニルイミダゾール、N−アリルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、1−アセチルイミダゾール、4,5−イミダゾールジカルボン酸、4,5−イミダゾールジカルボン酸ジメチル、ベンズイミダゾール、2−アミノべンズイミダゾール、2−アミノべンズイミダゾール−2−スルホン酸、2−アミノ−1−メチルべンズイミダゾール、2−ヒドロキシべンズイミダゾール、2−(2−ピリジル)べンズイミダゾール等が挙げられる。
【0040】
ピリミジン類及びその誘導体の具体的な例としては、2−アミノ−4−クロロ−6−メチルピリミジン、2−アミノ−6−クロロ−4−メトキシピリミジン、2−アミノ−4,6−ジクロロピリミジン、2−アミノ−4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−アミノ−4,6−ジメチルピリミジン、2−アミノ−4,6−ジメトキシピリミジン、2−アミノピリミジン、2−アミノ−4−メチルピリミジン、4,6−ジヒドロキシピリミジン、2,4−ジヒドロキシピリミジン−5−カルボン酸、2,4,6−トリアミノピリミジン、2,4−ジメトキシピリミジン、2,4,5−トリヒドロキシピリミジン、2,4−ピリミジンジオール等が挙げられる。
【0041】
ピラジン類及びその誘導体の具体的な例としては、ピラジン、2−メチルピラジン、2,5−ジメチルピラジン、ピラジンカルボン酸、2,3−ピラジンジカルボン酸、5−メチルピラジンカルボン酸、ピラジンアミド、5−メチルピラジンアミド、2−シアノピラジン、アミノピラジン、3−アミノピラジン−2−カルボン酸、2−エチル−3−メチルピラジン、2−エチル−3−メチルピラジン、2,3−ジメチルピラジン、2,3−ジエチルピラジン等が挙げられる。
【0042】
トリアジン類及びその誘導体の具体的な例としては、1,3,5−トリアジン、2−アミノ−1,3,5−トリアジン、3−アミノ−1,2,4−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリアミノ−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリ−2−ピリジン−1,3,5−トリアジン、3−(2−ピリジン)−5,6−ビス(4−フェニルスルホン酸)−1,2,4―トリアジン二ナトリウム、3−(2−ピリジン)−5,6−ジフェニル−1,2,4−トリアジン、3−(2−ピリジン)−5,6−ジフェニル−1,2,4―トリアジン−ρ,ρ’−ジスルホン酸二ナトリウム、2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
【0043】
窒素含有芳香族性環式化合物における窒素原子には非共有電子対が存在しているため、窒素原子上には置換基又はプロトンが配位又は結合されやすい。窒素原子上に置換基又はプロトンが配位又は結合された場合には、窒素原子上にカチオン電荷を帯びる傾向がある。ここで、窒素原子と他の原子とは共役関係を有しているため、窒素原子上に置換基又はプロトンが配位又は結合されたことによって生じたカチオン電荷は窒素含有芳香族性環中に拡散されて、安定した形で存在するようになる。
このようなことから、窒素含有芳香族性環式化合物は、窒素原子に置換基が導入されて窒素含有芳香族性環式化合物カチオンを形成していてもよい。さらに、そのカチオンとアニオンとが組み合わされて塩が形成されていてもよい。塩であっても、カチオンでない窒素含有芳香族性環式化合物と同様の効果を発揮する。
窒素含有芳香族性環式化合物の窒素原子に導入される置換基としては、水素原子、アルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、フェニル基、フェノール基、エステル基、アルコキシル基、カルボニル基等が挙げられる。置換基の種類は前記に示される置換基を導入することができる。
【0044】
窒素含有芳香族性環式化合物の含有量は、ポリアニオンのアニオン基単位1モルに対して0.1〜100モルの範囲であることが好ましく、0.5〜30モルの範囲であることがより好ましく、固体電解質層13の物性及び導電性の観点からは、1〜10モルの範囲が特に好ましい。窒素含有芳香族性環式化合物の含有率が0.1モルより少なくなると、窒素含有芳香族性環式化合物とポリアニオン及び共役系導電性高分子との相互作用が弱くなる傾向にあり、導電性が不足することがある。また、窒素含有芳香族性環式化合物が100モルを超えて含まれると共役系導電性高分子の含有量が少なくなり、やはり充分な導電性が得られにくく、固体電解質層13の物性が変化することがある。
【0045】
・2個以上のヒドロキシル基を有する化合物
2個以上のヒドロキシル基を有する化合物としては、例えば、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、D−グルコース、D−グルシトール、イソプレングリコール、ジメチロールプロピオン酸、ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、チオジエタノール、グルコース、酒石酸、D−グルカル酸、グルタコン酸等の多価脂肪族アルコール類;
ポリビニルアルコール、セルロース、多糖、糖アルコール等の高分子アルコール;
1,4−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン、2,3−ジヒドロキシ−1−ペンタデシルベンゼン、2,4−ジヒドロキシアセトフェノン、2,5−ジヒドロキシアセトフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,6−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,5−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、2,2’,5,5’−テトラヒドロキシジフェニルスルフォン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、ヒドロキシキノンカルボン酸及びその塩類、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、1,4−ヒドロキノンスルホン酸及びその塩類、4,5−ヒドロキシベンゼン−1,3−ジスルホン酸及びその塩類、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン−2,6−ジカルボン酸、1,6−ジヒドロキシナフタレン−2,5−ジカルボン酸、1,5−ジヒドロキシナフトエ酸、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステル、4,5−ジヒドロキシナフタレン−2,7−ジスルホン酸及びその塩類、1,8−ジヒドロキシ−3,6−ナフタレンジスルホン酸及びその塩類、6,7−ジヒドロキシ−2−ナフタレンスルホン酸及びその塩類、1,2,3−トリヒドロキシベンゼン(ピロガロール)、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、5−メチル−1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、5−エチル−1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、5−プロピル−1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、トリヒドロキシ安息香酸、トリヒドロキシアセトフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾアルデヒド、トリヒドロキシアントラキノン、2,4,6−トリヒドロキシベンゼン、テトラヒドロキシ−p−ベンゾキノン、テトラヒドロキシアントラキノン、ガーリック酸メチル(没食子酸メチル)、ガーリック酸エチル(没食子酸エチル)、ヒドロキノンスルホン酸カリウム等の芳香族化合物等が挙げられる。
【0046】
2個以上のヒドロキシル基を有する化合物の含有量は、ポリアニオンのアニオン基単位1モルに対して0.05〜50モルの範囲であることが好ましく、0.3〜10モルの範囲であることがより好ましい。2個以上のヒドロキシル基を有する化合物の含有量が、ポリアニオンのアニオン基単位1モルに対して0.05モルより少なくなると、導電性及び耐熱性が不足することがある。また、2個以上のヒドロキシル基を有する化合物の含有量が、ポリアニオンのアニオン基単位1モルに対して50モルより多くなると、固体電解質層13中のπ共役系導電性高分子の含有量が少なくなり、やはり充分な導電性が得られにくく、固体電解質層13の物性が変化することがある。
【0047】
導電性向上剤として2個以上のヒドロキシル基を有する化合物を含む場合には、以下の理由から、固体電解質層13の導電性をより高くすることができる。
固体電解質層13中のπ共役系導電性高分子は高度な酸化状態にあり、熱等によりその一部が酸化劣化しやすくなっている。そのため、ラジカルが発生し、ラジカル連鎖によって劣化が進行すると考えられる。ところが、2個以上のヒドロキシル基を有する化合物は、ヒドロキシル基のラジカル捕捉によって、ラジカル連鎖を遮断して、劣化の進行を抑制でき、その結果、導電性がより高くなるものと推測される。
【0048】
・2個以上のカルボキシル基を有する化合物
2個以上のカルボキシル基を有する化合物としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、マロン酸、1,4−ブタンジカルボン酸、コハク酸、酒石酸、アジピン酸、D−グルカル酸、グルタコン酸、クエン酸等の脂肪族カルボン酸類化合物;
フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、5−スルホイソフタル酸、5−ヒドロキシイソフタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、4,4’−オキシジフタル酸、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の、芳香族性環に少なくとも一つ以上のカルボキシル基が結合している芳香族カルボン酸類化合物;ジグリコール酸、オキシ二酪酸、チオ二酢酸、チオ二酪酸、イミノ二酢酸、イミノ酪酸等が挙げられる。
【0049】
2個以上のカルボキシル基を有する化合物は、ポリアニオンのアニオン基単位1モルに対して0.1〜30モルの範囲であることが好ましく、0.3〜10モルの範囲であることがより好ましい。2個以上のカルボキシル基を有する化合物の含有量が、ポリアニオンのアニオン基単位1モルに対して0.1モルより少なくなると、導電性及び耐熱性が不足することがある。また2個以上のカルボキシル基を有する化合物の含有量が、ポリアニオンのアニオン基単位1モルに対して30モルより多くなると、固体電解質層13中のπ共役系導電性高分子の含有量が少なくなり、やはり充分な導電性が得られにくく、固体電解質層13の物性が変化することがある。
【0050】
・1個以上のヒドロキシル基及び1個以上のカルボキシル基を有する化合物
1個以上のヒドロキシル基及び1個以上のカルボキシル基を有する化合物としては、酒石酸、グリセリン酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロールプロパン酸、D−グルカル酸、グルタコン酸等が挙げられる。
【0051】
1個以上のヒドロキシル基及び1個以上のカルボキシル基を有する化合物の含有量は、ポリアニオンとπ共役系導電性高分子の合計100質量部に対して1〜5,000質量部であることが好ましく、50〜500質量部であることがより好ましい。1個以上のヒドロキシル基及び1個以上のカルボキシル基を有する化合物の含有量が1質量部より少なくなると、導電性及び耐熱性が不足することがある。また、1個以上のヒドロキシル基及び1個以上のカルボキシル基を有する化合物の含有量が5,000質量部より多くなると、固体電解質層13中のπ共役系導電性高分子の含有量が少なくなり、やはり充分な導電性が得ることが難しい。
【0052】
・アミド化合物
アミド基を有する化合物は、−CO−NH−(COの部分は二重結合)で表されるアミド結合を分子中に有する単分子化合物である。すなわち、アミド化合物としては、例えば、上記結合の両末端に官能基を有する化合物、上記結合の一方の末端に環状化合物が結合された化合物、上記両末端の官能基が水素である尿素及び尿素誘導体などが挙げられる。
アミド化合物の具体例としては、アセトアミド、マロンアミド、スクシンアミド、マレアミド、フマルアミド、ベンズアミド、ナフトアミド、フタルアミド、イソフタルアミド、テレフタルアミド、ニコチンアミド、イソニコチンアミド、2−フルアミド、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、プロピオンアミド、プロピオルアミド、ブチルアミド、イソブチルアミド、メタクリルアミド、パルミトアミド、ステアリルアミド、オレアミド、オキサミド、グルタルアミド、アジプアミド、シンナムアミド、グルコールアミド、ラクトアミド、グリセルアミド、タルタルアミド、シトルアミド、グリオキシルアミド、プルブアミド、アセトアセトアミド、ジメチルアセトアミド、ベンジルアミド、アントラニルアミド、エチレンジアミンテトラアセトアミド、ジアセトアミド、トリアセトアミド、ジベンズアミド、トリベンズアミド、ローダニン、尿素、1−アセチル−2−チオ尿素、ビウレット、ブチル尿素、ジブチル尿素、1,3−ジメチル尿素、1,3−ジエチル尿素及びこれらの誘導体等が挙げられる。
【0053】
アミド化合物の分子量は46〜10,000であることが好ましく、46〜5,000であることがより好ましく、46〜1,000であることが特に好ましい。
【0054】
アミド化合物の含有量は、ポリアニオンとπ共役系導電性高分子の合計100質量部に対して1〜5,000質量部であることが好ましく、50〜500質量部であることがより好ましい。アミド化合物の含有量が1質量部より少なくなると、導電性及び耐熱性が不足することがある。また、アミド化合物の含有量が5,000質量部より多くなると、固体電解質層13中のπ共役系導電性高分子の含有量が少なくなり、やはり充分な導電性が得ることが難しい。
【0055】
・イミド化合物
アミド化合物としては、導電性がより高くなることから、イミド結合を有する単分子化合物(以下、イミド化合物という。)が好ましい。イミド化合物としては、その骨格より、フタルイミド及びフタルイミド誘導体、スクシンイミド及びスクシンイミド誘導体、ベンズイミド及びベンズイミド誘導体、マレイミド及びマレイミド誘導体、ナフタルイミド及びナフタルイミド誘導体などが挙げられる。
【0056】
また、イミド化合物は両末端の官能基の種類によって、脂肪族イミド、芳香族イミド等に分類されるが、溶解性の観点からは、脂肪族イミドが好ましい。
さらに、脂肪族イミド化合物は、分子内の炭素間に不飽和結合を有する飽和脂肪族イミド化合物と、分子内の炭素間に不飽和結合を有する不飽和脂肪族イミド化合物とに分類される。
飽和脂肪族イミド化合物は、R−CO−NH−CO−Rで表される化合物であり、R,Rの両方が飽和炭化水素である化合物である。具体的には、シクロヘキサン−1,2−ジカルボキシイミド、アラントイン、ヒダントイン、バルビツル酸、アロキサン、グルタルイミド、スクシンイミド、5−ブチルヒダントイン酸、5,5−ジメチルヒダントイン、1−メチルヒダントイン、1,5,5−トリメチルヒダントイン、5−ヒダントイン酢酸、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、グルタルイミド、セミカルバジド、α,α−ジメチル−6−メチルスクシンイミド、ビス[2−(スクシンイミドオキシカルボニルオキシ)エチル]スルホン、α−メチル−α−プロピルスクシンイミド、シクロヘキシルイミドなどが挙げられる。
不飽和脂肪族イミド化合物は、R−CO−NH−CO−Rで表される化合物であり、R,Rの一方又は両方が1つ以上の不飽和結合である化合物である。具体例は、1,3−ジプロピレン尿素、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−ヒドロキシマレイミド、1,4−ビスマレイミドブタン、1,6−ビスマレイミドヘキサン、1,8−ビスマレイミドオクタン、N−カルボキシヘプチルマレイミドなどが挙げられる。
【0057】
イミド化合物の分子量は60〜5,000であることが好ましく、70〜1,000であることがより好ましく、80〜500であることが特に好ましい。
【0058】
イミド化合物の含有量は、π共役系導電性高分子とポリアニオンの合計100質量部に対して10〜10,000質量部であることが好ましく、50〜5,000質量部であることがより好ましい。アミド化合物及びイミド化合物の添加量が前記下限値未満であると、アミド化合物及びイミド化合物添加による効果が低くなるため好ましくない。また、前記上限値を超えると、π共役系導電性高分子濃度の低下に起因する導電性の低下が起こるため好ましくない。
【0059】
・ラクタム化合物
ラクタム化合物とは、アミノカルボン酸の分子内環状アミドであり、環の一部が−CO−NR−(Rは水素又は任意の置換基)である化合物である。ただし、環の一個以上の炭素原子が不飽和やヘテロ原子に置き換わっていてもよい。
ラクタム化合物としては、例えば、ペンタノ−4−ラクタム、4−ペンタンラクタム−5−メチル−2−ピロリドン、5−メチル−2−ピロリジノン、ヘキサノ−6−ラクタム、6−ヘキサンラクタム等が挙げられる。
【0060】
ラクタム化合物の含有量は、π共役系導電性高分子とポリアニオンの合計100質量部に対して10〜10,000質量部であることが好ましく、50〜5,000質量部であることがより好ましい。ラクタム化合物の添加量が前記下限値未満であると、ラクタム化合物添加による効果が低くなるため好ましくない。また、前記上限値を超えると、π共役系導電性高分子濃度の低下に起因する導電性の低下が起こるため好ましくない。
【0061】
・グリシジル基を有する化合物
グリシジル基を有する化合物としては、例えば、エチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、t−ブチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテル、グリシジルフェニルエーテル、ビスフェノールA、ジグリシジルエーテル、アクリル酸グリシジルエーテル、メタクリル酸グリシジルエーテル等のグリシジル化合物などが挙げられる。
【0062】
グリシジル基を有する化合物の含有量は、π共役系導電性高分子とポリアニオンの合計100質量部に対して10〜10,000質量部であることが好ましく、50〜5000質量部であることがより好ましい。グリシジル基を有する化合物の添加量が前記下限値未満であると、グリシジル基を有する化合物添加による効果が低くなるため好ましくない。また、前記上限値を超えると、π共役系導電性高分子濃度の低下に起因する導電性の低下が起こるため好ましくない。
【0063】
・有機溶媒
また、一部の有機溶媒も固体電解質層13中に残存した場合に導電性向上剤として機能する。導電性向上剤になりうる有機溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチレンホスホルトリアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等の極性溶媒、クレゾール、フェノール、キシレノール等のフェノール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、D−グルコース、D−グルシトール、イソプレングリコール、ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール等の多価脂肪族アルコール類、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート化合物、ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル化合物、ジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル等の鎖状エーテル類、3−メチル−2−オキサゾリジノン等の複素環化合物、アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル化合物等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いてもよいし、2種類以上の混合物としてもよい。
【0064】
このような導電性向上剤は、ポリアニオン及びπ共役系導電性高分子との間で水素結合を形成すること又はこれらの化合物同士の相互作用によってπ共役系導電性高分子同士を接近させることができる。その結果、π共役系導電性高分子同士間の電気伝導現象であるホッピングに必要なエネルギーが小さくなるため、全体の電気抵抗が小さくなり、導電性がより向上するものと考えられる。
【0065】
[ドーパント]
固体電解質層13は、π共役系導電性高分子の導電性をより向上させるために、ポリアニオン以外の他のドーパントが含まれてもよい。
他のドーパントとしては、ハロゲン化合物、ルイス酸、プロトン酸などが用いられ、具体的には、有機カルボン酸、有機スルホン酸等の有機酸、有機シアノ化合物、フラーレン、水素化フラーレン、水酸化フラーレン、カルボン酸化フラーレン、スルホン酸化フラーレンなどが挙げられる。
【0066】
有機酸としては、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、アルキルナフタレンジスルホン酸、ナフタレンスルホン酸ホルマリン重縮合物、メラミンスルホン酸ホルマリン重縮合物、ナフタレンジスルホン酸、ナフタレントリスルホン酸、ジナフチルメタンジスルホン酸、アントラキノンスルホン酸、アントラキノンジスルホン酸、アントラセンスルホン酸、ピレンスルホン酸等の有機スルホン酸化合物、酢酸、シュウ酸、安息香酸、フタル酸、マレイン酸、フマル酸、マロン酸等の有機カルボン酸化合物などが挙げられる。また、これらの金属塩も使用できる。
有機シアノ化合物としては、共役結合に二つ以上のシアノ基を有する化合物が使用できる。例えば、テトラシアノエチレン、テトラシアノエチレンオキサイド、テトラシアノベンゼン、ジクロロジシアノベンゾキノン(DDQ)、テトラシアノキノジメタン、テトラシアノアザナフタレン等が挙げられる。
【0067】
ドーパント化合物の含有量は、π共役系導電性高分子100モル部に対して10〜10,000モル部であることが好ましく、30〜3,000モル部であることがより好ましい。ドーパント化合物の添加量が前記下限値未満であると、ドーパント化合物添加による効果が低くなるため好ましくない。また、前記上限値を超えると、π共役系導電性高分子濃度の低下に起因する導電性の低下が起こるため好ましくない。
【0068】
[バインダ樹脂]
固体電解質層13には、成膜性、膜強度等を調整するために、バインダ樹脂が含まれていてもよい。
バインダ樹脂としては、π共役系導電性高分子又はポリアニオンと相溶又は混合分散可能であれば特に制限はなく、熱硬化性樹脂であってもよいし、熱可塑性樹脂であってもよい。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド等のポリイミド、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド12、ポリアミド11等のポリアミド、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレン等のフッ素樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル等のビニル樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、アラミド樹脂、ポリウレタン、ポリウレア、メラミン樹脂、フェノール系樹脂、ポリエーテル、アクリル系樹脂及びこれらの共重合体等が挙げられる。
また、π共役系導電性高分子とポリアニオンとの相溶性に優れることから、水溶性高分子又は水分散性高分子が好ましい。水溶性高分子及び水分散性高分子はいずれも親水基を有するものである。親水基としては、たとえば、−CO−、−COOM、−CONR−、−OH、−NR、−O−、−SOM及びこれらの基を含む塩等が挙げられる(Rは水素原子または有機基である。Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、4級アミン等である。)。
【0069】
バインダ樹脂の含有量は、π共役系導電性高分子とポリアニオンの合計100質量部に対して1〜50,000質量部であることが好ましく、10〜1,000質量部であることがより好ましい。バインダ樹脂の添加量が前記下限値未満であると、バインダ樹脂添加による効果が低くなるため好ましくない。また、前記上限値を超えると、π共役系導電性高分子濃度の低下に起因する導電性の低下が起こるため好ましくない。
【0070】
(陰極)
陰極14は、例えば、カーボン、銀、アルミニウム等の層から構成されたものである。
陰極14が、カーボン、銀等で構成される場合には、カーボン、銀等の導電体を含む導電性ペーストから形成することができる。また、陰極14がアルミニウムで構成される場合には、アルミニウム箔からなる。
【0071】
以上説明したコンデンサ10の固体電解質層13は、イオン伝導性化合物を含有しているため、導電性が高い。そのため、コンデンサ10のESRを低くすることができる。
また、固体電解質層13中のイオン伝導性化合物は、誘電体層12を構成する金属酸化物に付着あるいは配位されて、金属酸化物表面の一部にイオン伝導性化合物の層を形成する。この層は、電界によって電極間を移動する電子又はイオンの速度を抑える緩衝体の役割を果たすと考えられる。電子又はイオンの移動速度が抑えられることにより、それらの衝突による陽極11又は陰極14の損傷を防ぐことができるため、コンデンサ10の耐電圧を高くできると考えられる。
誘電体層12の欠陥箇所はコンデンサ10に電界をかけた際に酸化して修復すると考えられている。本発明では、固体電解質層13中のイオン伝導性化合物が酸化の際の酸素供給源になるため、誘電体層12を容易に修復できる。その点も、コンデンサ10の耐電圧が高くなる要因であると考えられる。
【0072】
<コンデンサの製造方法>
次に、上記コンデンサ10の製造方法について説明する。
本実施形態例のコンデンサ10の製造方法では、陽極11と陽極11の表面が酸化されて形成された酸化被膜の誘電体層12とを有するコンデンサ中間体の誘電体層12側表面に、導電性高分子溶液を塗布して付着させる。
この際に使用する導電性高分子溶液は、π共役系導電性高分子とポリアニオンとイオン伝導性化合物と溶媒とを必須成分として含有するものである。
【0073】
溶媒としては、水及び/又は有機溶媒が挙げられる。
有機溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチレンホスホルトリアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等の極性溶媒、クレゾール、フェノール、キシレノール等のフェノール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、D−グルコース、D−グルシトール、イソプレングリコール、ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール等の多価脂肪族アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類、ギ酸、酢酸等のカルボン酸、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート化合物、ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル化合物、ジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル等の鎖状エーテル類、3−メチル−2−オキサゾリジノン等の複素環化合物、アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル化合物等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いてもよいし、2種類以上の混合物としてもよい。
【0074】
有機溶媒の含有量は、ポリアニオンとπ共役系導電性高分子の合計100質量部に対して1〜10,000質量部であることが好ましく、50〜3,000質量部であることがより好ましい。
【0075】
導電性高分子溶液には、必要に応じて、導電性高分子溶液の塗布性、安定性、固体電解質層13の性質等を改良するために他の添加剤を添加してもよい。添加剤としてはπ共役系導電性高分子及びポリアニオンと混合しうるものであれば特に制限されず、例えば、界面活性剤、消泡剤、カップリング剤、酸化防止剤などを使用できる。
界面活性剤としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、燐酸エステル塩等の陰イオン界面活性剤;アミン塩、4級アンモニウム塩等の陽イオン界面活性剤;カルボキシベタイン、アミノカルボン酸塩、イミダゾリウムベタイン等の両性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド等の非イオン界面活性剤等が挙げられる。
消泡剤としては、シリコーン樹脂、ポリジメチルシロキサン、シリコーンレジン等が挙げられる。
カップリング剤としては、ビニル基、アミノ基、エポキシ基、メタクリル基等を有するシランカップリング剤等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、りん系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、糖類、ビタミン類等が挙げられる。
【0076】
導電性高分子溶液は25℃におけるpHが3〜13であることが好ましく、5〜11であることが好ましい。導電性高分子溶液のpHが3以上であれば、導電性高分子溶液による誘電体層12の腐食を防止できる。ただし、pH13を超えるとπ共役系導電性高分子の導電性が低下する傾向にあるため、好ましくない。
導電性高分子溶液のpHを3〜13にするためには、アルカリ性化合物を添加すればよい。アルカリ性化合物としては、公知の無機アルカリ化合物や有機アルカリ化合物を使用できる。無機アルカリ化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア等が挙げられる。
有機アルカリ化合物として、窒素含有芳香族性環式化合物(芳香族アミン)、脂肪族アミン、金属アルコキシド等を好適に用いることができる。
窒素含有芳香族性環式化合物としては、上述したものが挙げられる。
脂肪族アミン化合物としては、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン等の脂肪族アミン、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、1−ヒドロキシエチルイミダゾール、2,6−ピリジンジメタノール、2−ピリジンカルボン酸等の芳香族アミン化合物、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等のナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド、カルシウムアルコキシド等が挙げられる。
【0077】
導電性高分子溶液を得るためには、例えば、まず、溶媒中、ポリアニオンの存在下、π共役系導電性高分子を形成する前駆体モノマーを化学酸化重合して、π共役系導電性高分子とポリアニオンとが複合した複合体を含む溶液を調製する。
次いで、複合体を含む溶液に、イオン伝導性化合物と、必要に応じて、導電性向上剤、アルカリ性化合物などの任意成分を添加して導電性高分子溶液を得る。
【0078】
導電性高分子溶液を誘電体層12の表面に付着させる方法としては、例えば、コーティング、浸漬、スプレーなどの公知の手法が挙げられる。
【0079】
次いで、誘電体層12に付着させた導電性高分子溶液を乾燥して固体電解質層13を形成する。乾燥方法としては、室温乾燥、熱風乾燥、遠赤外線乾燥など公知の手法が挙げられる。なお、この乾燥の際、導電性高分子溶液中の有機溶媒の全部が必ず除去されるとは限らず、有機溶媒によっては一部が固体電解質層13中に含まれることがある。
次いで、固体電解質層13上に、カーボンペースト、銀ペーストなどを塗布して陰極14を形成してコンデンサ10を得る。
【0080】
上述したコンデンサ10の製造方法では、誘電体層12に、π共役系導電性高分子を含む導電性高分子溶液を付着させ、付着した導電性高分子溶液を乾燥して固体電解質層13を形成するため、工程が簡便で生産性が高い。
また、イオン伝導性化合物を含有する導電性高分子溶液により固体電解質層13を形成するため、固体電解質層13の導電性が高く、コンデンサ10のESRが低く、また、コンデンサ10の耐電圧も高い。
【0081】
なお、本発明のコンデンサ及びその製造方法は上述した実施形態例に限定されない。例えば、本発明のコンデンサは、図2に示すように、誘電体層12と陰極14との間に、必要に応じて、セパレータ15を設けることができる。誘電体層12と陰極14との間にセパレータ15が設けられたコンデンサとしては、巻回型コンデンサが挙げられる。
セパレータ15としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデンなどからなるシート(不織布を含む)、ガラス繊維の不織布などが挙げられる。
セパレータ15の密度は、0.1〜1g/cmの範囲であることが好ましく、0.2〜0.8g/cmの範囲であることがより好ましい。
セパレータ15を設ける場合には、セパレータ15にカーボンペーストあるいは銀ペーストを含浸させて陰極14を形成する方法を適用することもできる。
【0082】
また、本発明のコンデンサにおいて、必要に応じて電解液を用いることができる。電解液としては電気伝導度が高ければ特に限定されず、周知の電解液用溶媒中に周知の電解質を溶解させたものが挙げられる。
電解液用溶媒としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン等のアルコール系溶媒、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン系溶媒、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルピロリジノン等のアミド系溶媒、アセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリル等のニトリル系溶媒、水等が挙げられる。
電解質としては、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸、安息香酸、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、トルイル酸、エナント酸、マロン酸、蟻酸、1,6−デカンジカルボン酸、5,6−デカンジカルボン酸等のデカンジカルボン酸、1,7−オクタンジカルボン酸等のオクタンジカルボン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の有機酸、あるいは、硼酸、硼酸と多価アルコールより得られる硼酸の多価アルコール錯化合物、りん酸、炭酸、けい酸等の無機酸などをアニオン成分とし、一級アミン(メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン等)、二級アミン(ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、メチルエチルアミン、ジフェニルアミン等)、三級アミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリフェニルアミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7等)、テトラアルキルアンモニウム(テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、メチルトリエチルアンモニウム、ジメチルジエチルアンモニウム等)などをカチオン成分とした電解質が挙げられる。
【0083】
また、上述した実施形態は、陰極が設けられているが、固体電解質層を陰極として利用した場合には、必ずしも陰極を別途設けなくてもよい。その場合、本発明により陽極の損傷を防ぐことができ、耐電圧を高めることができる。
【実施例】
【0084】
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。なお、以下の例におけるpHは25℃で測定した値である。
【0085】
(実施例1)
(1)導電性高分子溶液の調製
14.2g(0.1mol)の3,4−エチレンジオキシチオフェンと、2,000mlのイオン交換水に27.5g(0.15mol)のポリスチレンスルホン酸(分子量;約150,000)を溶かした溶液とを20℃で混合した。
これにより得られた混合溶液を20℃に保ち、掻き混ぜながら、200mlのイオン交換水に溶かした29.64g(0.13mol)の過硫酸アンモニウムと8.0g(0.02mol)の硫酸第二鉄の酸化触媒溶液とを添加し、3時間攪拌して反応させた。
得られた反応液を透析して、未反応モノマー、酸化剤、酸化触媒を除去して約1.5質量%のポリスチレンスルホン酸ドープポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を含む溶液(以下、複合体溶液という。)を得た。
そして、この複合体溶液100gに、攪拌しながら、0.36gの25質量%アンモニア水を添加した後、4.5gのポリエチレングリコール200(数平均分子量;200、化学式(I)のnが3〜4)を添加して、pH8.5の導電性高分子溶液を得た。
【0086】
(2)コンデンサの製造
エッチドアルミニウム箔(陽極箔)に陽極リード端子を接続した後、アジピン酸ジアンモニウム10質量%水溶液中で100Vの電圧を印加し、化成(酸化処理)して、アルミニウム箔表面に誘電体層を形成してコンデンサ中間体を得た。
次に、コンデンサ中間体の陽極箔に、陰極リード端子を溶接させた対向アルミニウム陰極箔を、セルロース製のセパレータを介して積層し、これを巻き取ってコンデンサ素子とした。
このコンデンサ素子を(1)で調製した導電性高分子溶液に減圧下で浸漬した後、120℃の熱風乾燥機で10分間乾燥する工程を3回繰り返してコンデンサ中間体の誘電体層側表面に固体電解質層を形成させた。
次いで、アルミニウム製のケースに、固体電解質層が形成されたコンデンサ素子と、封口ゴムで封止して、コンデンサを作製した。
作製したコンデンサについて、LCZメータ2345(エヌエフ回路設計ブロック社製)を用いて、120Hzでの静電容量、100kHzでの等価直列抵抗(ESR)の初期値を測定した。
また、コンデンサの耐電圧を次のようにして測定した。両電極に直流電圧を印加し、0.2V/秒の速度で昇圧させて、電流値が0.4Aになったときの電圧を測定し、その電圧を耐電圧とした。
これらの測定結果を表1に示す。
【0087】
【表1】

【0088】
(実施例2)
実施例1の複合体溶液100gに、0.36gの25質量%アンモニア水の代わりに3.0gの1−(2−ヒドロキシエチルイミダゾール)を添加し、ポリエチレングリコール200の量を9.0gに変更したこと以外は実施例1と同様にしてコンデンサを作製した。そして、実施例1と同様にして静電容量、ESR、耐電圧を測定した。それらの測定結果を表1に示す。
【0089】
(実施例3)
実施例1の複合体溶液100gに、0.36gの25質量%アンモニア水の代わりに3.0gのイミダゾールを添加し、4.5gのポリエチレングリコール200の代わりに7.5gのポリエチレングリコール6000(数平均分子量;6,000、化学式(I)のnが130〜140)を添加したこと以外は実施例1と同様にしてコンデンサを作製した。そして、実施例1と同様にして静電容量、ESR、耐電圧を測定した。それらの測定結果を表1に示す。
【0090】
(実施例4)
実施例1の複合体溶液100gに、0.36gの25質量%アンモニア水の代わりに3.0gのビニルイミダゾールを添加し、4.5gのポリエチレングリコール200の代わりに7.5gのポリエチレングリコール400(数平均分子量;400、化学式(I)のnが7〜9)を添加したこと以外は実施例1と同様にしてコンデンサを作製した。そして、実施例1と同様にして静電容量、ESR、耐電圧を測定した。それらの測定結果を表1に示す。
【0091】
(実施例5)
実施例1の複合体溶液100gに、3質量%の水酸化ナトリウムを添加してpHを7.5にした後、7.5gのポリエチレングリコール400を添加して導電性高分子溶液を調製した。この導電性高分子溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にしてコンデンサを作製した。そして、実施例1と同様にして静電容量、ESR、耐電圧を測定した。それらの測定結果を表1に示す。
【0092】
(実施例6)
実施例1の複合体溶液100gに、4.5gのポリエチレングリコール200の代わりに7.5gのポリエチレングリコール400を添加したこと以外は実施例1と同様にしてコンデンサを作製した。そして、実施例1と同様にして静電容量、ESR、耐電圧を測定した。それらの測定結果を表1に示す。
【0093】
(実施例7〜16)
実施例1の複合体溶液100gに、0.36gの25質量%アンモニア水を添加した後、6.0gのポリエチレングリコール600を添加し、さらに、実施例7では4.5gのエチレングリコール、実施例8では4.5gのグリセリン、実施例9では6.0gのテトラエチレングリコール・ジメチルエーテル、実施例10では4.5gのエチレングリコールジグリシジルエーテル、実施例11では4.5gのアクリルグリシジルエーテル、実施例12では2.5gのトリヒドロキシベンゼン、実施例13では3.0gの4−スルホイソフタル酸トリアンモニウム、実施例14ではアジピン酸アンモニウム、実施例15では4.5gのマレイミド、実施例16では6.0gのN,N−ジメチルアクリルアミドを添加したこと以外は実施例1と同様にしてコンデンサを作製した。そして、実施例1と同様にして静電容量、ESR、耐電圧を測定した。それらの測定結果を表1に示す。
【0094】
(実施例17,18)
実施例1の複合体溶液100gに、0.36gの25質量%アンモニア水を添加した後、6.0gのポリエチレングリコール600を添加し、さらに、実施例17では7.5gのジメチルアセトアミド、実施例18では4.5gのN−ビニルピロリドンを添加したこと以外は実施例1と同様にしてコンデンサを作製した。そして、実施例1と同様にして静電容量、ESR、耐電圧を測定した。それらの測定結果を表1に示す。
【0095】
(実施例19)
実施例1の複合体溶液100gに、0.36gの25質量%アンモニア水を添加した後、7.5gのポリエチレングリコール20000(数平均分子量;20,000、化学式(I)のnが450〜470)を添加したこと以外は実施例1と同様にしてコンデンサを作製した。そして、実施例1と同様にして静電容量、ESR、耐電圧を測定した。それらの測定結果を表1に示す。
【0096】
(実施例20,21)
実施例1の複合体溶液100gに、0.36gの25質量%アンモニア水を添加した後、実施例20では7.5gのポリエチレングリコール700(数平均分子量;700、化学式(I)のnが14〜18)を添加し、実施例21では7.5gのポリプロピレングリコール3000(数平均分子量;3,000、化学式(I)のnが50)を添加したこと以外は実施例1と同様にしてコンデンサを作製した。そして、実施例1と同様にして静電容量、ESR、耐電圧を測定した。それらの測定結果を表1に示す。
【0097】
(実施例22)
実施例1の複合体溶液100gに、0.36gの25質量%アンモニア水を添加した後、3.0gのポリビニルピロリドンと4.5gのマレイミドを添加したこと以外は実施例1と同様にしてコンデンサを作製した。そして、実施例1と同様にして静電容量、ESR、耐電圧を測定した。それらの測定結果を表1に示す。
【0098】
(実施例23)
実施例1の複合体溶液100gに、0.36gの25質量%アンモニア水を添加した後、3.0gのポリエチレンオキシド(数平均分子量;3,000、化学式(I)のnが65〜70)を添加したこと以外は実施例1と同様にしてコンデンサを作製した。そして、実施例1と同様にして静電容量、ESR、耐電圧を測定した。それらの測定結果を表1に示す。
【0099】
(実施例24)
実施例1の複合体溶液100gに、0.36gの25質量%アンモニア水を添加した後、3.0gのポリエチレンオキシド(数平均分子量;3,000、化学式(I)のnが65〜70)と4.5gのエチレングリコールを添加したこと以外は実施例1と同様にしてコンデンサを作製した。そして、実施例1と同様にして静電容量、ESR、耐電圧を測定した。それらの測定結果を表1に示す。
【0100】
(実施例25)
実施例1の複合体溶液100gに、0.36gの25質量%アンモニア水を添加した後、3.0gのポリアクリルアミド(数平均分子量;6,500)を添加したこと以外は実施例1と同様にしてコンデンサを作製した。そして、実施例1と同様にして静電容量、ESR、耐電圧を測定した。それらの測定結果を表1に示す。
【0101】
(実施例26)
実施例1の複合体溶液100gに、25質量%アンモニア水を添加してpHを4に調整した後、7.5gのポリエチレングリコール(数平均分子量;600)を添加したこと以外は実施例1と同様にしてコンデンサを作製した。そして、実施例1と同様にして静電容量、ESR、耐電圧を測定した。それらの測定結果を表1に示す。
【0102】
(実施例27)
実施例1の複合体溶液100gに、10質量%水酸化ナトリウムを添加してpHを12.5に調整した後、7.5gのポリエチレングリコール(数平均分子量;600)を添加したこと以外は実施例1と同様にしてコンデンサを作製した。そして、実施例1と同様にして静電容量、ESR、耐電圧を測定した。それらの測定結果を表1に示す。
【0103】
(実施例28)
複合体溶液100gに、4.5gのポリエチレングリコール200の代わりに9gのジプロピレングリコール9gを添加したこと以外は実施例1と同様にして、pH8.5の導電性高分子溶液を得た。そして、実施例1と同様にして静電容量、ESR、耐電圧を測定した。それらの測定結果を表2に示す。
【0104】
【表2】

【0105】
(実施例29)
複合体溶液100gに、4.5gのポリエチレングリコール200の代わりに9gのポリプロピレングリコール700を添加したこと以外は実施例1と同様にして、pH8.5の導電性高分子溶液を得た。そして、実施例1と同様にして静電容量、ESR、耐電圧を測定した。それらの測定結果を表2に示す。
【0106】
(実施例30)
複合体溶液100gに、4.5gのポリエチレングリコール200の代わりに9gのポリプロピレングリコール2000を添加したこと以外は実施例1と同様にして、pH8.5の導電性高分子溶液を得た。そして、実施例1と同様にして静電容量、ESR、耐電圧を測定した。それらの測定結果を表2に示す。
【0107】
(実施例31)
複合体溶液100gに、4.5gのポリエチレングリコール200の代わりに9gのポリプロピレングリコール3000を添加したこと以外は実施例1と同様にして、pH8.5の導電性高分子溶液を得た。そして、実施例1と同様にして静電容量、ESR、耐電圧を測定した。それらの測定結果を表2に示す。
【0108】
(実施例32)
複合体溶液100gに、4.5gのポリエチレングリコール200の代わりに6gのエポライト40E(共栄社化学製)を添加したこと以外は実施例1と同様にして、pH8.5の導電性高分子溶液を得た。そして、実施例1と同様にして静電容量、ESR、耐電圧を測定した。それらの測定結果を表2に示す。
【0109】
(実施例33)
複合体溶液100gに、4.5gのポリエチレングリコール200の代わりに6gのエポライト100E(共栄社化学製)を添加したこと以外は実施例1と同様にして、pH8.5の導電性高分子溶液を得た。そして、実施例1と同様にして静電容量、ESR、耐電圧を測定した。それらの測定結果を表2に示す。
【0110】
(実施例34)
複合体溶液100gに、4.5gのポリエチレングリコール200の代わりに6gのエポライト200E(共栄社化学製)を添加したこと以外は実施例1と同様にして、pH8.5の導電性高分子溶液を得た。そして、実施例1と同様にして静電容量、ESR、耐電圧を測定した。それらの測定結果を表2に示す。
【0111】
(実施例35)
複合体溶液100gに、4.5gのポリエチレングリコール200の代わりに6gのエポライト400E(共栄社化学製)を添加したこと以外は実施例1と同様にして、pH8.5の導電性高分子溶液を得た。そして、実施例1と同様にして静電容量、ESR、耐電圧を測定した。それらの測定結果を表2に示す。
【0112】
(実施例36)
複合体溶液100gに、4.5gのポリエチレングリコール200の代わりに6gのエポライト80MF(共栄社化学製)を添加したこと以外は実施例1と同様にして、pH8.5の導電性高分子溶液を得た。そして、実施例1と同様にして静電容量、ESR、耐電圧を測定した。それらの測定結果を表2に示す。
【0113】
(実施例37)
実施例1の複合体溶液100gに、0.36gの25質量%アンモニア水の代わりに3.0gのビニルイミダゾールを添加し、4.5gのポリエチレングリコール200の代わりに9gのライトアクリレートMTG−A(共栄社化学製)を添加したこと以外は実施例1と同様にしてコンデンサを作製した。そして、実施例1と同様にして静電容量、ESR、耐電圧を測定した。それらの測定結果を表2に示す。
【0114】
(実施例38)
実施例1の複合体溶液100gに、0.36gの25質量%アンモニア水の代わりに3.0gのビニルイミダゾールを添加し、4.5gのポリエチレングリコール200の代わりに9gのライトアクリレート130−A(共栄社化学製)を添加したこと以外は実施例1と同様にしてコンデンサを作製した。そして、実施例1と同様にして静電容量、ESR、耐電圧を測定した。それらの測定結果を表2に示す。
【0115】
(実施例39)
実施例1の複合体溶液100gに、0.36gの25質量%アンモニア水の代わりに3.0gのビニルイミダゾールを添加し、4.5gのポリエチレングリコール200の代わりに9gのライトアクリレート3EG−A(共栄社化学製)を添加したこと以外は実施例1と同様にしてコンデンサを作製した。そして、実施例1と同様にして静電容量、ESR、耐電圧を測定した。それらの測定結果を表2に示す。
【0116】
(実施例40)
実施例1の複合体溶液100gに、0.36gの25質量%アンモニア水の代わりに3.0gのビニルイミダゾールを添加し、4.5gのポリエチレングリコール200の代わりに9gのライトアクリレート4EG−A(共栄社化学製)を添加したこと以外は実施例1と同様にしてコンデンサを作製した。そして、実施例1と同様にして静電容量、ESR、耐電圧を測定した。それらの測定結果を表2に示す。
【0117】
(実施例41)
実施例1の複合体溶液100gに、0.36gの25質量%アンモニア水の代わりに3.0gのビニルイミダゾールを添加し、4.5gのポリエチレングリコール200の代わりに9gのライトアクリレート14EG−A(共栄社化学製)を添加したこと以外は実施例1と同様にしてコンデンサを作製した。そして、実施例1と同様にして静電容量、ESR、耐電圧を測定した。それらの測定結果を表2に示す。
【0118】
(実施例42)
実施例1の複合体溶液100gに、0.36gの25質量%アンモニア水の代わりに3.0gのビニルイミダゾールを添加し、4.5gのポリエチレングリコール200の代わりに9gのライトエステルG(共栄社化学製)を添加したこと以外は実施例1と同様にしてコンデンサを作製した。そして、実施例1と同様にして静電容量、ESR、耐電圧を測定した。それらの測定結果を表2に示す。
【0119】
(実施例43)
実施例1の複合体溶液100gに、0.36gの25質量%アンモニア水の代わりに3.0gのビニルイミダゾールを添加し、4.5gのポリエチレングリコール200の代わりに9gのライトエステル2EG(共栄社化学製)を添加したこと以外は実施例1と同様にしてコンデンサを作製した。そして、実施例1と同様にして静電容量、ESR、耐電圧を測定した。それらの測定結果を表2に示す。
【0120】
(実施例44)
実施例1の複合体溶液100gに、0.36gの25質量%アンモニア水の代わりに3.0gのビニルイミダゾールを添加し、4.5gのポリエチレングリコール200の代わりに9gのライトエステル4EG(共栄社化学製)を添加したこと以外は実施例1と同様にしてコンデンサを作製した。そして、実施例1と同様にして静電容量、ESR、耐電圧を測定した。それらの測定結果を表2に示す。
【0121】
(実施例45)
実施例1の複合体溶液100gに、0.36gの25質量%アンモニア水の代わりに3.0gのビニルイミダゾールを添加し、4.5gのポリエチレングリコール200の代わりに9gのライトエステル9EG(共栄社化学製)を添加したこと以外は実施例1と同様にしてコンデンサを作製した。そして、実施例1と同様にして静電容量、ESR、耐電圧を測定した。それらの測定結果を表2に示す。
【0122】
(実施例46)
実施例1の複合体溶液100gに、0.36gの25質量%アンモニア水の代わりに3.0gのビニルイミダゾールを添加し、4.5gのポリエチレングリコール200の代わりに9gのライトエステル14EG(共栄社化学製)を添加したこと以外は実施例1と同様にしてコンデンサを作製した。そして、実施例1と同様にして静電容量、ESR、耐電圧を測定した。それらの測定結果を表2に示す。
【0123】
(実施例47)
実施例1の複合体溶液100gに、0.36gの25質量%アンモニア水の代わりに3.0gのビニルイミダゾールを添加し、4.5gのポリエチレングリコール200の代わりに9gのライトエステルG−101P(共栄社化学製)を添加したこと以外は実施例1と同様にしてコンデンサを作製した。そして、実施例1と同様にして静電容量、ESR、耐電圧を測定した。それらの測定結果を表2に示す。
【0124】
(実施例48)
実施例1の複合体溶液100gに、0.36gの25質量%アンモニア水の代わりに3.0gのビニルイミダゾールを添加し、4.5gのポリエチレングリコール200の代わりに9gのヒドロキシエチルアクリレートを添加したこと以外は実施例1と同様にしてコンデンサを作製した。そして、実施例1と同様にして静電容量、ESR、耐電圧を測定した。それらの測定結果を表2に示す。
【0125】
(実施例49)
複合体溶液100gに、4.5gのポリエチレングリコール200の代わりに6gのシランカップリング剤(信越化学工業社製KBM−403)及び5gのポリエチレングリコール400を添加したこと以外は実施例1と同様にして、pH8.5の導電性高分子溶液を得た。そして、実施例1と同様にして静電容量、ESR、耐電圧を測定した。それらの測定結果を表2に示す。
【0126】
(実施例50)
複合体溶液100gに、4.5gのポリエチレングリコール200の代わりに6gのシランカップリング剤(信越化学工業社製KBM−503)及び5gのポリエチレングリコール400を添加したこと以外は実施例1と同様にして、pH8.5の導電性高分子溶液を得た。そして、実施例1と同様にして静電容量、ESR、耐電圧を測定した。それらの測定結果を表2に示す。
【0127】
(実施例51)
複合体溶液100gに、4.5gのポリエチレングリコール200の代わりに3gのポリウレタン(大日精化社製D6300)及び3gのポリエチレングリコール400を添加したこと以外は実施例1と同様にして、pH8.5の導電性高分子溶液を得た。そして、実施例1と同様にして静電容量、ESR、耐電圧を測定した。それらの測定結果を表2に示す。
【0128】
(実施例52)
複合体溶液100gに、4.5gのポリエチレングリコール200の代わりに3gのポリウレタン(大日精化社製D4080)及び3gのポリエチレングリコール400を添加したこと以外は実施例1と同様にして、pH8.5の導電性高分子溶液を得た。そして、実施例1と同様にして静電容量、ESR、耐電圧を測定した。それらの測定結果を表2に示す。
【0129】
(実施例53)
複合体溶液100gに、4.5gのポリエチレングリコール200の代わりに3gのポリウレタン(楠本化成社製R967)及び3gのポリエチレングリコール400を添加したこと以外は実施例1と同様にして、pH8.5の導電性高分子溶液を得た。そして、実施例1と同様にして静電容量、ESR、耐電圧を測定した。それらの測定結果を表2に示す。
【0130】
(実施例54)
複合体溶液100gに、4.5gのポリエチレングリコール200の代わりに3gのポリウレタン(互応化学社製Z−105)及び3gのポリエチレングリコール400を添加したこと以外は実施例1と同様にして、pH8.5の導電性高分子溶液を得た。そして、実施例1と同様にして静電容量、ESR、耐電圧を測定した。それらの測定結果を表2に示す。
【0131】
(比較例1)
実施例1の複合体溶液にイオン伝導性化合物を添加せず、そのまま導電性高分子溶液として使用したこと以外は実施例1と同様にしてコンデンサを作製した。そして、実施例1と同様にして静電容量、ESR、耐電圧を測定した。それらの測定結果を表2に示す。
【0132】
(比較例2)
実施例1の複合体溶液100gに、0.36gの25質量%アンモニア水を添加し、イオン伝導性化合物を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にしてコンデンサを作製した。そして、実施例1と同様にして静電容量、ESR、耐電圧を測定した。それらの測定結果を表2に示す。
【0133】
(比較例3)
実施例1の複合体溶液100gに、0.36gの25質量%アンモニア水を添加し、2.5gのトリヒドロキシベンゼンを添加し、イオン伝導性化合物を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にしてコンデンサを作製した。そして、実施例1と同様にして静電容量、ESR、耐電圧を測定した。それらの測定結果を表2に示す。
【0134】
π共役系導電性高分子とポリアニオンとイオン伝導性化合物とを含有する固体電解質層を備えた実施例1〜54のコンデンサは、耐電圧が高く、ESRが低かった。また、静電容量も充分に確保されていた。
π共役系導電性高分子とポリアニオンとを含むが、イオン伝導性化合物を含まない固体電解質層を備えた比較例1〜3のコンデンサは、耐電圧が低く、ESRが高かった。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】本発明のコンデンサにおける一実施形態例を示す断面図である。
【図2】本発明のコンデンサにおける他の実施形態例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0136】
10 コンデンサ 11 陽極 12 誘電体層 13 固体電解質層 14 陰極 15 セパレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁金属の多孔質体からなる陽極と、陽極表面が酸化されて形成された誘電体層と、誘電体層表面に形成された固体電解質層とを具備するコンデンサにおいて、
固体電解質層が、π共役系導電性高分子とポリアニオンとイオン伝導性化合物とを含有することを特徴とするコンデンサ。
【請求項2】
イオン伝導性化合物が下記化学式(I)で表される構造を有する化合物であることを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ。
(I) −(R−O)
(式(I)中、Rは、置換又は未置換のアルキレン、置換又は未置換のアルケニレン、置換又は未置換のフェニレンからなる群より選ばれる1種以上を表す。nは、1〜2,000の整数である。)
【請求項3】
イオン伝導性化合物が下記化学式(II)で表される化合物であることを特徴とする請求項2に記載のコンデンサ。
(II) X−(R−O)−Y
(式(II)中、Rは、置換又は未置換のアルキレン、置換又は未置換のアルケニレン、置換又は未置換のフェニレンからなる群より選ばれる1種以上を表す。Xは、水素原子、ヒドロキシル基、置換又は未置換のアルキル基、置換又は未置換のアルコキシル基、置換又は未置換のアルケニル基、置換又は未置換のアリール基、置換又は未置換のグリシジル基、置換又は未置換の(メタ)アクリロイル基、置換又は未置換のオキシカルボニル基からなる群より選ばれる1種以上を表す。Yは、水素原子、置換又は未置換のアルキル基、置換又は未置換のアルケニル基、置換又は未置換のアリール基、置換又は未置換のグリシジル基、置換又は未置換の(メタ)アクリロイル基、置換又は未置換のカルボニル基からなる群より選ばれる1種以上を表す。nは、1〜2,000の整数である。)
【請求項4】
固体電解質層が、窒素含有芳香族性環式化合物、2個以上のヒドロキシル基を有する化合物、2個以上のカルボキシル基を有する化合物、1個以上のヒドロキシル基及び1個以上のカルボキシル基を有する化合物、アミド基を有する化合物、イミド基を有する化合物、ラクタム化合物、グリシジル基を有する化合物からなる群より選ばれる1種類以上の導電性向上剤をさらに含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコンデンサ。
【請求項5】
固体電解質層がアルカリ性化合物を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のコンデンサ。
【請求項6】
弁金属の多孔質体からなる陽極の表面を酸化して形成した誘電体層表面に、π共役系導電性高分子とポリアニオンとイオン伝導性化合物と溶媒とを含有する導電性高分子溶液を付着させる工程と、
誘電体層表面に付着させた導電性高分子溶液を乾燥する工程とを有することを特徴とするコンデンサの製造方法。
【請求項7】
導電性高分子溶液の25℃におけるpHが3〜13であることを特徴とする請求項6に記載のコンデンサの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−109065(P2008−109065A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−39109(P2007−39109)
【出願日】平成19年2月20日(2007.2.20)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)