説明

コントローラ及び空気調和システム

【課題】空気調和機の構成を変更することなく、摂氏を用いる地域と華氏を用いる地域とで共通に使用することが可能なコントローラ及びそのコントローラを備えた空気調和システムを得ることができる。
【解決手段】温度単位を摂氏とする温度情報又は温度単位を華氏とする温度情報に基づいて動作する空気調和機と通信可能に接続されるコントローラ1aであって、摂氏又は華氏の温度単位を選択するSELECTボタン11fと、操作部11により選択された温度単位で設定温度を入力する温度入力ボタン11bと、設定温度を選択された温度単位で表示する表示部12と、設定温度を摂氏又は華氏の温度単位に変換する制御部14と、制御部14により変換された温度情報を空気調和機に送信する送受信部13とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度単位を摂氏とする温度情報又は温度単位を華氏とする温度情報に基づいて動作する空気調和機と通信可能に接続されるコントローラ及びそのコントローラを備える空気調和システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、温度単位として摂氏を用いる地域と華氏を用いる地域とで空気調和システムを製品化する場合、仕向け地ごとに摂氏専用のコントローラと華氏専用のコントローラとを準備しなければならなかった。
【0003】
そこで、摂氏を用いる地域と華氏を用いる地域とで共通に使用することが可能なコントローラを備えた空気調和装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1には、温度単位が摂氏又は華氏のいずれに選択されたかを示す識別子を含む温度情報を送信するコントローラと、その識別子を含む温度情報に基づいて動作する空気調和機とを備えた空気調和システムが開示されている。従って、この特許文献1に開示される空気調和システムにおいて、当該コントローラを、摂氏を用いる地域と華氏を用いる地域とで共通に使用するためには、そのコントローラから送信される温度情報を受信する空気調和機を、上記した識別子を認識させる構成にする必要がある。
【特許文献1】特開2007−101014号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、現行の空気調和機は、摂氏温度に係る温度情報又は華氏温度に係る温度情報のいずれかのみに基づいて動作するのが大半であるので、現行の空気調和機に対して特許文献1に記載のコントローラを使用するには、現行の空気調和機を、上記した識別子を認識できるようにソフトウェア等の変更を行わなければならない。
【0005】
そこで、この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、空気調和機の構成を変更することなく、摂氏を用いる地域と華氏を用いる地域とで共通に使用することが可能なコントローラ及びそのコントローラを備えた空気調和システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明にかかるコントローラは、温度単位を摂氏とする温度情報又は温度単位を華氏とする温度情報に基づいて動作する空気調和機と通信可能に接続されるコントローラであって、摂氏又は華氏の温度単位を選択する選択手段と、選択手段により選択された温度単位で設定温度を入力する入力部と、設定温度を選択手段により選択された温度単位で表示する表示部と、設定温度を摂氏又は華氏の温度単位に変換する変換手段と、変換手段により変換された温度情報を空気調和機に送信する送信手段とを備えている。
【0007】
このコントローラでは、摂氏又は華氏の温度単位を選択することができるので、使用する温度単位が異なる市場において、摂氏専用のコントローラ及び華氏専用のコントローラを個別に用意することなく、共通のコントローラを利用することができる。
さらに、このコントローラでは、入力された設定温度を、摂氏又は華氏の温度単位に変換することができるので、入力される設定温度の温度単位に関わらず、空気調和機を動作させる温度情報と同じ温度単位の温度情報を空気調和機に送信することができる。従って、温度単位を摂氏(華氏)とする温度情報に基づいて動作する現行の空気調和機に対して、温度単位を華氏(摂氏)とする設定温度が入力されても、その設定温度に係る温度情報を摂氏(華氏)に変換して送信することができる。その結果、当該空気調和機に対して、温度単位を華氏(摂氏)とする温度情報に基づいて動作するようにソフトウェア等を変更しなくても、上記したコントローラを、そのまま現行の空気調和機に対して利用することが可能となる。
【0008】
第2の発明にかかるコントローラは、第1の発明にかかるコントローラにおいて、変換手段は、選択手段により選択された温度単位が空気調和機を動作させる温度情報の温度単位と異なる場合に、設定温度に係る温度情報を空気調和機を動作させる温度情報と同じ温度単位に変換する。
【0009】
このコントローラでは、入力された設定温度に係る温度情報を、空気調和機を動作させる温度情報と同じ温度単位に変換することができる。
【0010】
第3の発明にかかるコントローラは、第1又は第2の発明にかかるコントローラにおいて、摂氏温度と華氏温度とが対応付けられたデータテーブルを記憶する第1記憶部をさらに備え、変換手段は、データテーブルを参照して、設定温度を摂氏又は華氏の温度単位に変換する。
【0011】
このコントローラでは、データテーブルを参照することによって、摂氏温度と華氏温度とを容易に変換することができる。
【0012】
第4の発明にかかるコントローラは、第1〜第3のいずれかの発明にかかるコントローラにおいて、空気調和機から送信される温度情報を受信する受信手段をさらに備え、変換手段は、選択手段により選択された温度単位が空気調和機を動作させる温度情報の温度単位と異なる場合に、空気調和機から送信される温度情報を選択手段により選択された温度単位に変換する。
【0013】
このコントローラでは、室内温度や外気温度などの温度情報を空気調和機から受信する場合でも、その温度情報を選択された温度単位に変換することができる。従って、選択手段により選択された温度単位と、空気調和機から送信される温度情報の温度単位とが異なる場合でも、その温度情報を選択された温度単位に変換して表示部に表示することができる。
【0014】
第5の発明にかかるコントローラは、第1〜第4のいずれかの発明にかかるコントローラにおいて、選択手段により選択された温度単位を記憶する第2記憶部をさらに備える。
【0015】
このコントローラでは、仕向け地ごとにその仕向け地で用いられる温度単位を予め設定しておくことができる。また、電池交換時や停電時に温度単位が変化することがないようにすることができる。
【0016】
第6の発明にかかる空気調和システムは、上記したいずれかのコントローラと、コントローラと通信可能に接続され、温度単位を摂氏とする温度情報又は温度単位を華氏とする温度情報に基づいて動作する空気調和機とを備えている。
【0017】
この空気調和システムでは、上記したコントローラを用いることにより、空気調和機の構成を変更することなく、摂氏を用いる地域と華氏を用いる地域とで共通に使用することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0019】
第1の発明では、摂氏又は華氏の温度単位を選択することができるので、使用する温度単位が異なる市場において、摂氏専用のコントローラ及び華氏専用のコントローラを個別に用意することなく、共通のコントローラを利用することができる。
さらに、このコントローラでは、入力された設定温度を、摂氏又は華氏の温度単位に変換することができるので、入力される設定温度の温度単位に関わらず、空気調和機を動作させる温度情報と同じ温度単位の温度情報を空気調和機に送信することができる。従って、温度単位を摂氏(華氏)とする温度情報に基づいて動作する現行の空気調和機に対して、温度単位を華氏(摂氏)とする設定温度が入力されても、その設定温度に係る温度情報を摂氏(華氏)に変換して送信することができる。その結果、当該空気調和機に対して、温度単位を華氏(摂氏)とする温度情報に基づいて動作するようにソフトウェア等を変更しなくても、上記したコントローラを、そのまま現行の空気調和機に対して利用することが可能となる。
【0020】
また、第2の発明では、入力された設定温度に係る温度情報を、空気調和機を動作させる温度情報と同じ温度単位に変換することができる。
【0021】
また、第3の発明では、データテーブルを参照することによって、摂氏温度と華氏温度とを容易に変換することができる。
【0022】
また、第4の発明では、室内温度や外気温度などの温度情報を空気調和機から受信する場合でも、その温度情報を選択された温度単位に変換することができる。従って、選択手段により選択された温度単位と、空気調和機から送信される温度情報の温度単位とが異なる場合でも、その温度情報を選択された温度単位に変換して表示部に表示することができる。
【0023】
また、第5の発明では、仕向け地ごとにその仕向け地で用いられる温度単位を予め設定しておくことができる。また、電池交換時や停電時に温度単位が変化することがないようにすることができる。
【0024】
また、第6の発明では、空気調和機の構成を変更することなく、摂氏を用いる地域と華氏を用いる地域とで共通に使用することができる空気調和システムを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面に基づいて、本発明に係る空気調和システムの実施形態について説明する。
【0026】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る空気調和システムの全体構成を示したブロック図である。図2及び図3は、図1に示した空気調和システムのリモコンの正面図であり、図4は、図2に示したリモコンの表示部を示した拡大正面図である。以下、図1〜図4を参照して、第1実施形態に係る空気調和システム100の構成について詳細に説明する。
【0027】
本実施形態の空気調和システム100は、図1に示すように、ワイヤレスのリモートコントローラ1a(以下、リモコンと略記する)と、リモコン1aから送信される運転開始指令に基づいて室内環境を調和する空気調和機1bとを備えている。
【0028】
<空気調和機>
空気調和機1bは、室内に設置される室内機2と、室外に設置される室外機3と、室内機2と室外機3とを接続する接続配管4と、制御部5とを備えており、室内機2及び室外機3内に収納された機器・弁類と、接続配管4とが接続されて冷媒回路を構成している。冷媒回路は、主として、室内熱交換器20、室外熱交換器30、圧縮機31および電動膨張弁32により構成される。これにより、冷房運転時には、圧縮機31から吐出された高温高圧冷媒が室外熱交換器30に流入する。そして、室外熱交換器(凝縮器)30で凝縮した冷媒は、電動膨張弁32で減圧された後、室内熱交換器20に流入する。そして、室内熱交換器(蒸発器)20で蒸発した冷媒が、圧縮機31の吸入側に戻る。このようにして、室内熱交換器20の周囲の空気が冷却されて、冷風が室内に供給される。また、暖房運転時には、圧縮機31から吐出された高温高圧冷媒が室内熱交換器20に流入する。そして、室内熱交換器(凝縮器)20で凝縮した冷媒は、電動膨張弁32で減圧された後、室外熱交換器30に流入する。そして、室外熱交換器(蒸発器)30で蒸発した冷媒が、圧縮機31の吸入側に戻る。このようにして、室内熱交換器20の周囲の空気が加熱されて、温風が室内に供給される。
【0029】
<室内機>
室内機2は、上記した室内熱交換器20と、室内熱交換器20に付設される室内ファン21と、室内機2が設置される部屋の室内温度を検知する室温センサ22と、リモコン1aとの間で情報を送受信する送受信部23とを備えている。
【0030】
送受信部23は、赤外線通信によりリモコン1aの送受信部13との間で双方向通信が可能であって、リモコン1aから送信される運転開始指令、運転停止指令、設定温度に係る温度情報、設定風量に係る風量情報、及び、設定風向に係る風向情報等を受信すると共に、室温センサ22により検知される室内温度に係る温度情報及び外気温センサ34により検知される外気温度に係る温度情報等を送信する。
【0031】
<室外機>
室外機3は、上記した室外熱交換器30と、吸入した冷媒を圧縮する圧縮機31と、室外熱交換器30に接続された電動膨張弁32と、室外熱交換器30に付設される室外ファン33と、外気温度を検知する外気温センサ34とを備えている。電動膨張弁32は、液冷媒配管41に接続されており、この液冷媒配管41を介して室内熱交換器20の一端と接続されている。また、圧縮機31は、ガス冷媒配管42に接続されており、このガス冷媒配管42を介して室内熱交換器20の他端と接続されている。なお、冷媒配管41及び42は、上記した接続配管4に相当する。
【0032】
<制御部>
制御部5は、マイコンやメモリ等により構成されており、室温センサ22で検知される室内温度と、リモコン1aから送信される設定温度とを比較して、圧縮機31の動作を制御する制御信号を出力して、空気調和機の能力を制御している。この他にも、制御部5は、室内ファン21の回転数とリモコン1aによって設定される風量とを比較して、室内ファン21の回転数を調整する制御信号を出力したり、リモコン1aから送信される設定風向に係る風向情報に基づいて、室内機2の風向板(図示せず)の角度を調整する制御信号を出力したりする。なお、本実施形態では、制御部5には、現行の空気調和機と同様に、温度単位を摂氏とする温度情報に基づいて空気調和機1aの各部を動作させるソフトウェアが格納されており、上記した室温センサ22で検知される室内温度の温度単位、及び、リモコン1aから送信される設定温度の温度単位は、いずれも摂氏である。
【0033】
<リモコン>
リモコン1aは、空気調和機1bの動作を遠隔操作するものであって、図1〜図3に示すように、設定温度、設定風量及び設定風向などを入力するための操作部11と、上記した設定温度、設定風量及び設定風向などを表示する表示部12と、室内機2の送受信部23との間で情報を送受信する送受信部13と、リモコン1aの各部の動作を制御する制御部14とを備えている。
【0034】
操作部11は、図2及び図3に示すように、空気調和機1bに対する運転開始指令及び運転停止指令を行うためのON/OFFボタン11a、設定温度を入力するための温度入力ボタン11b、設定風量を入力するための風量入力ボタン11c、設定風向を入力するための風向入力ボタン11d、及び、空気調和機1bの室温センサ22で検知された室内温度及び外気温センサ34で検知された外気温度を取得するためのINFOボタン11eなどを有している。また、本実施形態では、操作部11は、摂氏又は華氏の温度単位を選択するSELECTボタン11fを有している。このSELECTボタン11fは、上側の進むボタン(△ボタン)11gと、下側の戻るボタン(▽ボタン)11hとを有しており、この進むボタン11g又は戻るボタン11hを押下する毎に温度単位が摂氏と華氏とに切り換わる。この際、表示部12では、図4に示すように、選択された温度単位が華氏の場合には、「°F」が表示され、摂氏の場合には、「°C」が表示される。
【0035】
表示部12は、上記した操作部11の操作によって入力された各種設定情報を表示するために設けられている。具体的には、表示部12は、SELECTボタン11fで選択された温度単位を表示したり、温度入力ボタン11bの操作によって入力された設定温度を選択された温度単位で表示したりする。また、表示部12は、上記した設定情報のみならず、空気調和機1bの室温センサ22で検知された室内温度及び外気温センサ34で検知された外気温度を表示することが可能であり、この室内温度及び外気温度もSELECTボタン11fで選択された温度単位で表示される。
【0036】
送受信部13は、赤外線通信により室内機2の送受信部23との間で双方向通信が可能であって、室内機2から送信される室内温度に係る室温情報及び外気温度に係る外気温情報を受信すると共に、運転開始指令、運転停止指令、設定温度に係る温度情報、設定風量に係る風量情報、及び、設定風向に係る風向情報等を送信する。なお、本実施形態では、設定温度に係る温度情報は、SELECTボタン11fで選択された温度単位が摂氏の場合には、そのまま摂氏温度に係る温度情報として送受信部23に送信され、華氏の場合には、摂氏温度に変換された状態で送受信部23に送信される。
【0037】
制御部14は、メモリやCPUなどを有するマイクロコンピュータからなり、上記した操作部11から送信された操作信号に基づいて、表示部12や送受信部13等の動作を制御している。この制御部14には、摂氏温度と華氏温度とが対応付けられたデータテーブルが記憶されている。
【0038】
ここで、本実施形態では、制御部14は、設定温度を摂氏又は華氏の温度単位に変換する機能を有しており、送受信部13を介して設定温度に係る温度情報を送信する際に、SELECTボタン11fで選択された温度単位が空気調和機1bを動作させる温度情報の温度単位と異なる場合に、設定温度に係る温度情報を空気調和機1bを動作させる温度情報と同じ温度単位に変換する。つまり、空気調和機1bが温度単位を摂氏とする温度情報で動作する本実施形態では、制御部14は、SELECTボタン11fで選択された温度単位が華氏の場合に、上記したデータテーブルを参照して、温度単位を華氏とする設定温度に係る温度情報を、温度単位を摂氏とする設定温度に係る温度情報に変換する。
【0039】
また、本実施形態では、制御部14は、送受信部13を介して送受信部23から送信される室内温度に係る温度情報及び気温に係る温度情報を受信する際に、SELECTボタン11fで選択された温度単位が空気調和機1bを動作させる温度情報の温度単位と異なる場合に、送受信部23から送信される当該温度情報をSELECTボタン11fで選択された温度単位に変換する。つまり、空気調和機1bが温度単位を摂氏とする温度情報で動作する本実施形態では、制御部14は、SELECTボタン11fで選択された温度単位が華氏の場合に、送受信部23から送信される温度単位を摂氏とする温度情報を、温度単位を華氏とする温度単位に変換する。
【0040】
また、制御部14のメモリは、SELECTボタン11fで選択された温度単位、設定温度、設定風量などを記憶しており、上記した温度単位の変換時には、このメモリに記憶される温度単位を読み込んで変換を行う。
【0041】
図5は、温度単位を切り換える方法を示したフローチャートである。次に、図5を参照して、温度単位を切り換えて表示部12に表示させる方法について詳細に説明する。
【0042】
まず、制御部14は、SELECTボタン11fが押下されたか否かを判断する(ステップS1)。そして、制御部14は、SELECTボタン11fが押下されたと判断した場合には(ステップS1:Yes)、メモリに記憶される温度単位が摂氏か否かを判断し(ステップS2)、メモリに記憶される温度単位が摂氏の場合には(ステップS2:Yes)、そのメモリに記憶される温度単位を摂氏から華氏に更新し(ステップS3)、メモリに記憶される温度単位が摂氏でない場合(華氏の場合)には(ステップS2;No)、そのメモリに記憶される温度単位を華氏から摂氏に更新する(ステップS4)。そして、制御部14は、メモリに記憶される設定温度をメモリに記憶される温度単位に変換して、表示部12に表示する(ステップS5)。
【0043】
図6は、空気調和機において検知される室内温度及び外気温度を取得する方法を示したフローチャートである。次に、図6を参照して、空気調和機1bにおいて検知される室内温度及び外気温度をリモコン1aの表示部12に表示させる方法について詳細に説明する。
【0044】
まず、リモコン1a側において、制御部14は、INFOボタン11eが押下されたか否かを判断する(ステップS11)。そして、制御部14は、INFOボタン11eが押下されたと判断した場合には(ステップS11:Yes)、送受信部13を介して室温・外気温取得指令を空気調和機1bに送信する(ステップS12)。
【0045】
そして、空気調和機1b側において、制御部5は、上記した室温・外気温取得指令を受信したか否かを判断する(ステップS21)。そして、制御部5は、室温・外気温取得指令を受信したと判断した場合には(ステップS21:Yes)、室温センサ22により検知される室内温度を取得すると共に、外気温センサ34により検知される外気温度を取得する(ステップS22)。そして、制御部5は、送受信部23を介して当該室内温度に係る温度情報及び当該外気温度に係る温度情報(以下、室温・外気温情報と略記する)をリモコン1aに送信する(ステップS23)。
【0046】
そして、リモコン1a側において、制御部14は、上記した室温・外気温情報を受信したか否かを判断する(ステップS13)。そして、制御部14は、室温・外気温情報を受信したと判断した場合には(ステップS13:Yes)、メモリに記憶される温度単位が摂氏か否かを判断する(ステップS14)。そして、メモリに記憶される温度単位が摂氏の場合には(ステップS14:Yes)、制御部14は、温度単位を摂氏とする室内温度及び外気温度を表示部12に表示させ(ステップS15)、メモリに記憶される温度単位が摂氏でない場合(華氏の場合)には(ステップS14:No)、室温・外気温情報を温度単位を華氏とする室内温度及び外気温度に変換して(ステップS16)、表示部12に表示する(ステップS15)。
【0047】
[第1実施形態の空気調和システム100の特徴]
第1実施形態の空気調和システム100には、以下のような特徴がある。
【0048】
本実施形態の空気調和システム100では、摂氏又は華氏の温度単位を選択することができるので、使用する温度単位が異なる市場において、摂氏専用のコントローラ及び華氏専用のコントローラを個別に用意することなく、共通のリモコン1aを利用することができる。
【0049】
また、本実施形態の空気調和システム100では、入力された設定温度に係る温度情報を、空気調和機1bを動作させる温度情報と同じ温度単位に変換することができるので、入力される設定温度の温度単位に関わらず、空気調和機1bを動作させる温度情報と同じ温度単位の温度情報を空気調和機1bに送信することができる。従って、摂氏温度に係る温度情報で動作する空気調和機1bに対して、華氏温度で設定温度が入力されても、その設定温度に係る温度情報を摂氏に変換して送信することができる。その結果、当該空気調和機1bに対して、温度単位を華氏とする温度情報に基づいて動作するようにソフトウェア等を変更しなくても、リモコン1aを、そのまま現行の空気調和機1bに対して利用することが可能となる。
【0050】
また、本実施形態の空気調和システム100では、室内温度及び外気温度に係る温度情報を空気調和機1bから取得する場合でも、その温度情報を選択された温度単位に変換することができる。従って、選択された温度単位が華氏の場合でも、空気調和機1bから送信される室内温度及び外気温度の温度単位を華氏に変換して表示部12に表示することができる。
【0051】
また、本実施形態の空気調和システム100では、制御部14のメモリに選択された温度単位を記憶しておけるので、温度単位を変換する度にSELECTボタン11fを押下する必要がない。
【0052】
(第2実施形態)
図7は、本発明の第2実施形態に係るリモコンの正面図であり、図8は、図7に示したリモコンのブロック図である。図9は、図7に示したリモコンの表示部を示した拡大平面図である。この第2実施形態では、上記した第1実施形態のワイヤレスのリモコンとは異なり、壁面などに設置されるワイヤードリモコンについて説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については、同一番号を付しその説明を適宜省略する。
【0053】
第2実施形態に係るリモコン101aは、空気調和機1bの動作を遠隔操作するものであって、図7及び図8に示すように、設定温度、設定風量及び設定風向などを入力するための操作部111と、上記した設定温度、設定風量及び設定風向などを表示する表示部112、室内機2の送受信部23との間で情報を送受信する送受信部113と、EEPROM114と、リモコン101aの各部の動作を制御する制御部115とを備えている。
【0054】
操作部111は、図7及び図8に示すように、空気調和機1bに対する運転開始指令及び運転停止指令を行うためのON/OFFボタン111a、設定温度を上げるための温度入力ボタン(△ボタン)111b、設定温度を下げるための温度入力ボタン(▽ボタン)111c、設定風量を入力するための風量入力ボタン111d、及び、設定風向を入力するための風向入力ボタン111eなどを有している。本実施形態では、上記した温度入力ボタン111b及び111cを長押しする毎に、温度単位が摂氏と華氏とに切り換わる。この際、表示部112では、図9に示すように、選択された温度単位が華氏の場合には、設定温度の横に「°F」が表示され、摂氏の場合には、設定温度の横に「°C」が表示される。
【0055】
EEPROM114は、温度入力ボタン111b及び111cの長押しにより選択された温度単位を示す摂氏設定/華氏設定情報を記憶している。
【0056】
表示部112、送受信部113及び制御部115のそれぞれは、上記した第1実施形態の表示部12、送受信部13及び制御部14と同様の構成及び機能を有しているので、その説明を省略する。
【0057】
図10は、温度単位を切り換える方法を示したフローチャートである。次に、図10を参照して温度単位を切り換えて表示部112に表示させる方法について詳細に説明する。
【0058】
まず、制御部115は、温度入力ボタン111b及び111cが長押しされたか否かを判断する(ステップS101)。そして、制御部115は、温度入力ボタン111b及び111cが長押しされたと判断した場合には(ステップS101:Yes)、メモリに記憶される温度単位が摂氏か否かを判断し(ステップS102)、メモリに記憶される温度単位が摂氏の場合には(ステップS102:Yes)、そのメモリに記憶される温度単位を摂氏から華氏に更新し(ステップS103)、メモリに記憶される温度単位が摂氏でない場合(華氏の場合)には(ステップS102;No)、そのメモリに記憶される温度単位を華氏から摂氏に更新する(ステップS104)。そして、制御部14は、EEPROM114に記憶される摂氏設定/華氏設定情報を参照して、メモリに記憶される設定温度をメモリに記憶される温度単位に変換して、表示部112に表示する。
【0059】
[第2実施形態のリモコンの特徴]
第2実施形態のワイヤードリモコン101aも、第1実施形態のリモコン1aと同様の特徴がある。
【0060】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0061】
例えば、上記実施形態では、温度単位を摂氏とする温度情報に基づいて動作する空気調和機に用いられるリモコンについて説明したが、本発明のコントローラは、温度単位を華氏とする温度情報に基づいて動作する空気調和機にも利用できる。
【0062】
また、上記実施形態では、EEPROMに記憶される摂氏設定/華氏設定情報を参照して、摂氏温度から華氏温度に又は華氏温度から摂氏温度に変換したが、本発明はこれに限らず、数式により計算で摂氏温度から華氏温度に又は華氏温度から摂氏温度に変換してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明を利用すれば、空気調和機の構成を変更することなく、摂氏を用いる地域と華氏を用いる地域とで共通に使用することが可能なコントローラ及びそのコントローラを備えた空気調和システムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の第1実施形態に係る空気調和システムの全体構成を示したブロック図である。
【図2】図1に示した空気調和システムのリモコンの正面図である。
【図3】図1に示した空気調和システムのリモコンの正面図である。
【図4】図2に示したリモコンの表示部を示した拡大正面図である。
【図5】温度単位を切り換える方法を示したフローチャートである。
【図6】空気調和機において検知される室内温度及び外気温度を取得する方法を示したフローチャートである。
【図7】本発明の第2実施形態に係るリモコンの正面図である。
【図8】図7に示したリモコンのブロック図である。
【図9】図7に示したリモコンの表示部を示した拡大正面図である。
【図10】温度単位を切り換える方法を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0065】
1a,101a リモコン(コントローラ)
1b 空気調和機
11b 温度入力ボタン(入力部)
11f SELECTボタン(選択手段)
12,112 表示部
13,113 送受信部(送信手段、受信手段)
14 制御部(変更手段、第1記憶部)
100 空気調和システム
111b,111c 温度入力ボタン(入力部、選択手段)
114 EEPROM(第2記憶部)
115 制御部(変更手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度単位を摂氏とする温度情報又は温度単位を華氏とする温度情報に基づいて動作する空気調和機と通信可能に接続されるコントローラであって、
摂氏又は華氏の温度単位を選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された温度単位で設定温度を入力する入力部と、
前記設定温度を前記選択手段により選択された温度単位で表示する表示部と、
前記設定温度を摂氏又は華氏の温度単位に変換する変換手段と、
前記変換手段により変換された温度情報を前記空気調和機に送信する送信手段とを備えることを特徴とする、コントローラ。
【請求項2】
前記変換手段は、前記選択手段により選択された温度単位が前記空気調和機を動作させる温度情報の温度単位と異なる場合に、前記設定温度に係る温度情報を前記空気調和機を動作させる温度情報と同じ温度単位に変換することを特徴とする、請求項1に記載のコントローラ。
【請求項3】
摂氏温度と華氏温度とが対応付けられたデータテーブルを記憶する第1記憶部をさらに備え、
前記変換手段は、前記データテーブルを参照して、前記設定温度を摂氏又は華氏の温度単位に変換することを特徴とする、請求項1又は2に記載のコントローラ。
【請求項4】
前記空気調和機から送信される温度情報を受信する受信手段をさらに備え、
前記変換手段は、前記選択手段により選択された温度単位が前記空気調和機を動作させる温度情報の温度単位と異なる場合に、前記空気調和機から送信される温度情報を前記選択手段により選択された温度単位に変換することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のコントローラ。
【請求項5】
前記選択手段により選択された温度単位を記憶する第2記憶部をさらに備えることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のコントローラ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のコントローラと、
前記コントローラと通信可能に接続され、温度単位を摂氏とする温度情報又は温度単位を華氏とする温度情報に基づいて動作する空気調和機とを備えることを特徴とする、空気調和システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−60169(P2010−60169A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−224330(P2008−224330)
【出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】