説明

コンドーム包装体

【課題】箱詰めラインにおいて連続帯状に連なる各収納部がミシン目から正確に、かつ、速やかに折り曲げられ、しかも、折り曲げ直後にミシン目に元に戻る反発力を作用させずに、規則正しいジグザグ多段状の整列形態で収納部が確実に折り曲げ重ねられるように改良されたコンドーム包装体を提供する。
【解決手段】扁平なリング状に巻き込まれたコンドームBを収納する収納部2を、長手方向に等間隔でミシン目4を介して複数個連続帯状に備えている包装体Aであって、コンドームBの巻き込みリング部bが接近位置するミシン目4の長さ方向の中央部分に、ミシン目4から収納部2が折り曲げられるときに、その曲げを抑制しない遊離部5を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扁平なリング状に巻き込まれたコンドームを1個ずつ収納する収納部を、ミシン目を介して長手方向に複数個連続帯状に連ねてなる包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
コンドームは、一連の製造ラインで成形された後に、包装ラインへと移送される。この包装ラインに移送されてきたコンドームは、長尺な2枚の包装フィルムの間に介在されて周囲四方(四辺)がヒートシールされることにより、密閉された袋状に形成される包装体の各収納部に1個ずつ密閉状に収納される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、コンドームが収納された収納部を長手方向に等間隔でミシン目を介して複数個連続帯状に連ねてなる包装体は、包装ラインから箱詰めラインへと移送され、この箱詰めラインにおいて、適宜の数、例えば、収納部が6個を単位としてミシン目より切り離される。そして、6個を単位として切り離された包装体の収納部は、ジグザグ多段状に重なるようにミシン目から折り畳まれて包装箱に箱詰めされる。
つまり、コンドームは、包装体の連続帯状に連なる各収納部に収納されて、包装箱に箱詰めされた状態で販売される。
ちなみに、包装ラインにおける包装は自動包装機により、また、箱詰めラインにおける6個を単位とする収納部の切り離し、収納部の折り畳み、そして箱詰めは自動箱詰め機により自動的に行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平07−32792号公報(段落番号0011、および図1参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、包装体に設けられているミシン目、購入者が6個を単位として連続帯状に連なる収納部を1個ずつ切り離すときの切断線、そして前記した箱詰めラインにおいて、長手方向に等間隔で連続帯状に連なる収納部を折り畳んで重ねるときの折れ線となるミシン目は、周知のように収納部の間におけるヒートシール部に切れ目と繋ぎ目とを等間隔をおいて交互に設けている形態である。
【0006】
しかしながら、筒状体から略リング状に巻き込まれて厚みがある扁平な形態で収納部に収納されるコンドームの巻き込みリング部が接近位置するミシン目の長さ方向の中央部分では、同リング部から離れているミシン目の長さ方向の両端側に比べて折れ曲がり難い。
それは、コンドームの巻き込みリング部が接近位置するミシン目の中央部分は、重なり合う下段、上段の両巻き込みリング部の巻き込み厚さが関係するのに対し、ミシン目の両端側では、下段、上段の収納部を密閉する上下のヒートシール部の厚さのみであるために、この両端側では折れ曲がり易いものの、重なり合う上下の巻き込みリング部の巻き込み厚さが関係するミシン目の中央部分では折れ曲がり難いものとなっていた。
そのために、前記した箱詰めラインにおいて、包装体の収納部がミシン目から折り曲げられて重ねられるときに、ミシン目の中央部分ではミシン目から正しく折れ曲がらずに、ミシン目から外れた位置で折れ曲がってしまうといった不規則な折れ曲がり現象が発生し、それが原因となって連続帯状に連なる各収納部が規則正しくジグザグ多段状に整列された形態で折り畳まれない問題を引き起こしていた。
このように、収納部の折り曲げ重ね形態に乱れが生じると、包装箱への箱詰め不良を引き起こし、包装ラインにおける自動包装機の異常ランプが点滅、あるいは自動包装機が停止するなどのトラブルとなって、その度に、不良品を取り除いて包装機を正常に稼動させるなどの復帰作業を作業者が行っていた。
【0007】
また、包装箱への箱詰め不良を引き起こすと言う問題は、ミシン目から各収納部が正しく折れ曲がらないと言う問題に加えて、ミシン目には曲げクセが付いていないために、折り曲げられた直後では元の状態に戻ろうとする反発力がミシン目に作用する。特に、コンドームの巻き込みリング部が接近位置してその巻き込み厚さが関係するミシン目の中央部分では、下段、上段の両巻き込みリング部の重なり(当たり)によって反発力がより大きく作用し、折り曲げ重ねられた収納部同士が互いに接することなく、互いの重合部面の間に隙間が生じた斜めの状態で重なり合う折り畳み形態となって、これが、箱詰め不良を引き起こす引き金になることもあった。
【0008】
そこで、本発明は、前記課題を解消するために創案されたものであり、箱詰めラインにおいて連続帯状に連なる各収納部がミシン目から確実に、かつ、速やかに折り曲げられ、しかも、折り曲げ直後にミシン目に元に戻る反発力を作用させずに、規則正しいジグザグ多段状の整列形態で収納部が確実に折り曲げ重ねられるように改良されたコンドーム包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明では、扁平なリング状に巻き込まれたコンドームを収納する収納部を、長手方向に等間隔でミシン目を介して複数個連続帯状に備えている包装体であって、前記ミシン目の長さ方向の中央部分に、該ミシン目から前記収納部が折り曲げられるときにその曲げを抑制しない遊離部を備えていることを特徴とする。
【0010】
このような構成によれば、連続帯状に連なる各収納部がミシン目から折り曲げられると、コンドームの巻き込みリング部に接近位置するミシン目の長さ方向の中央部分は、遊離部が設けられていることで、繋ぎによる曲げが抑制されることなく。つまり、繋ぎによる曲げ抵抗を一切受けることなく、繋ぎ目により繋ぎ止められているミシン目の両端側と並行(同調)して折り曲げられる。
また、連続帯状に連なる各収納部がジグザグ多段状に折り曲げ重ねられた状態では、遊離部が、収納部(コンドームの巻き込みリング部)の重なり厚さに合わせてその重なり合う方向に離間するように開口することで、各収納部は、重合面の間に隙間が生じることなく、規則正しく整列されたジグザグ多段状の整列形態で折り曲げ重ねられる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のコンドーム包装体は、以上のように構成されていることで、箱詰めラインにおいて連続帯状に連なる各収納部がミシン目から折り曲げ重ねられるときに、コンドームの巻き込みリング部が接近位置するミシン目の長さ方向の中央部分においても、遊離部が設けられていることで、曲げが抑制されることがない。
これにより、ミシン目はその長さ方向全体から正しく、速やかに折り曲げられることで、連続帯状に連なる各収納部は、規則正しいジグザグ多段状の整列形態で折り曲げ重ねられる。
また、各収納部が折り曲げ重ねられたとき、収納部(コンドームの巻き込みリング部)の重なり厚さに合わせてその重なり方向に離間するように遊離部は開口するために、折り曲げ重ねられた各収納部の重合面の間に隙間が生じることなく、収納部は規則正しく整列されたジグザグ多段状の整列形態で確実に折り曲げ重ねられる。
【0012】
また、本発明のコンドーム包装体によれば、購入者が使用するときに、収納部を遊離部から簡単に切り離すことができる。つまり、ミシン目の切れ目がヒートシール部に連設縁に存在していない場合などには、遊離部から収納部を簡単に切り離すことができる。
【0013】
よって、本発明によれば、箱詰め不良などを引き起こすことなく、包装箱に速やかに箱詰めさせるように、連続帯状に連なる各収納部がミシン目から規則正しいジグザグ多段状の整列形態で折り曲げ重ねられるコンドーム包装体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態に係る包装体を示す斜視図である。
【図2】同包装体の一部を拡大して示す縦断面図である。
【図3】同包装体の収納部がジグザグ多段状に折り曲げ重ねられたときの状態を示し、(a)は、斜視図であり、(b)は、同斜視図の一部を拡大して示す縦断面図である。
【図4】折り曲げ重ねられた包装体が包装箱に箱詰めされるときの状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る包装体を示す斜視図であり、図2は、同包装体の一部を拡大して示す縦断面図である。
包装体Aは、長尺な2枚の包装フィルム1を重ね合わせて要所をヒートシールすることにより、長手方向に等間隔でコンドームBを収納するための収納部2を複数個連続帯状に備えている。
なお、包装フィルム1の材質としては特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどからなる合成樹脂フィルム、セロハンフィルム、アルミ箔などを挙げることができる。
【0016】
収納部2は、図示省略の包装ラインの自動包装機により、コンドームBが連続的に包装されるときに、筒状体の形態からリング状の扁平な形態に巻き込まれたコンドームBが1個ずつ収納されるものである。
この収納部2は、図1および図2に示すように、コンドームBの巻き込みリング部bの周囲四方(四辺)がヒートシールされることにより、2枚の包装フィルム1が熱溶着されて、このヒートシール部3によって密閉された袋状に形成されて、コンドームBが密閉された状態で収納されるようになっている。
【0017】
そして、長手方向に等間隔で連続帯状に連なる収納部2を複数個備えている包装体Aの各収納部2の間のヒートシール部3には、包装体Aの短手方向にわたるミシン目4が形成されている。
【0018】
ミシン目4は、購入者が連続帯状に連なる収納部2を1個ずつ切り離すときの切断線、そして、図示省略の箱詰めラインの自動箱詰め機により、連続帯状に連なる収納部2がジグザグ多段状に折り曲げ重ねられるときの折れ線となる。このミシン目4は、切れ目4aと繋ぎ目4bとを等間隔をおいて交互に備えている。
【0019】
そして、本実施形態では、図1および後記の図3に示すように、包装体Aのミシン目4の長さ方向(包装体Aの短手方向)の中央部分に、箱詰めラインの自動箱詰め機により、収納部2がミシン目4から折り曲げ重ねられるときに、その曲げが抑制されないようにするための遊離部5を備えている。
【0020】
遊離部5は、図1に示すように、ミシン目4の長さ方向の中央部分において、略1/3程度の長さで、ミシン目4上に沿って形成されている。
これにより、遊離部5は、連続帯状に連なる各収納部2がミシン目4から折り曲げられるときに、その曲げを抑制しない、各収納部2がジグザグ多段状に重ねられるときには、その重なり方向に離間する自由端5aを備えている。
【0021】
なお、図示を省略しているが、ミシン目4の繋ぎ目4bの長さを、周知のミシン目の長さよりも長く形成して、遊離部5を設けたことによって低下する各収納部2の繋ぎ強度を、必要とする繋ぎ強度に維持(確保)する。つまり、包装ラインにおける包装体Aの移送中、包装ラインから箱詰めラインへと包装体Aが移送されるとき、そして箱詰めラインにおける包装体Aの移送中、箱詰めラインにおいて各収納部2がジグザグ多段状に折り曲げ重ねられるときなどにおいて、ミシン目4が不用意に切り離れたりしないように、繋ぎ目4bの長さを長くしてミシン目4に必要とする繋ぎ強度を維持する。
この場合、遊離部5の切込み両縁における繋ぎ目の長さを一番長くして、ミシン目4の長さ方向の両端部側に至るに連れて、繋ぎ目4bの長さを徐々に短く、例えば、両端部側の繋ぎ目4bの長さを周知ミシン目の繋ぎ目と同じ程度の長さにしたり、あるいは全ての繋ぎ目4bの長さを長くするなど、任意である。
【0022】
[作用説明]
つぎに、以上のように構成されている本実施形態に係る包装体Aの作用について簡単に説明する。
図3は、包装体の収納部がジグザグ多段状に折り曲げ重ねられたときの状態を示す斜視図および縦断面図であり、図4は、折り曲げ重ねられた包装体が包装箱に箱詰めされるときの状態を示す斜視図である。ここでは、図1を適宜参照しながら、
箱詰めラインの自動箱詰め機により、図1に示す包装体Aの展開された形態から連続帯状に連なる各収納部2がミシン目4からそれぞれ折り曲げられることが開始されると、コンドームBの巻き込みリング部bに接近位置するミシン目4の長さ方向の中央部分は、自由端5aを有する遊離部5によって繋ぎによる抵抗を一切受けることなく、繋ぎ目4bにより繋ぎ止められているミシン目4の両端側と並行(同調)して折り曲げられる。
そして、各収納部2がミシン目4から折り曲げられてジグザグ多段状に重ねられるときには、図3および図4に示すように、遊離部5の自由端5aが、収納部2(コンドームBの巻き込みリング部b)の重なり厚さに合わせてその重なり方向に離間する。つまり、遊離部5が各収納部2の重なり方向に開口する。これにより、各収納部2は、重合面の間に隙間が生じることなく、規則正しく整列されたジグザグ多段状の整列形態で折り曲げ重ねられる。
これによって、箱詰めラインにおける箱詰め不良を引き起こす要素がすべて排除されて、図5に示すように、包装箱Cへの包装体Aの箱詰めを確実に遂行させるこができる。つまり、箱詰めラインにおいて発生していた収納部の折り曲げ重ね形態の乱れによって自動包装機が停止するなどのトラブルを回避することができる。
【0023】
なお、本発明の実施形態の具体的な構成は、前記した実施形態に限られるものではなく、請求項1に記載の本発明の要旨を逸脱しない範囲で設計変更などがあっても本発明に含まれるものである。
例えば、遊離部5を、図1に二点鎖線で示すように、ミシン目4に沿って連なる収納部2のそれぞれのヒートシール部3側を少し抉るようにした開口形態として設けることができる。
【0024】
また、1枚の包装フィルムを長手方向に2枚重ねに折り返し、この折り返しフィルムの間に扁平なリング状に巻き込まれたコンドームBを介在させて周囲三方(三辺)がヒートシールされることにより、密閉された袋状の収納部を長手方向に等間隔で連続帯状に形成することができる。
【符号の説明】
【0025】
A 包装体
1 包装フィルム
2 収納部
3 ヒートシール部
4 ミシン目
4a 切れ目
4b 繋ぎ目
5 遊離部
5a 自由端
B コンドーム
b 巻き込みリング部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平なリング状に巻き込まれたコンドームを収納する収納部を、長手方向に等間隔でミシン目を介して複数個連続帯状に備えている包装体であって、
前記ミシン目の長さ方向の中央部分に、該ミシン目から前記収納部が折り曲げられるときに、曲げを抑制しない遊離部を備えていることを特徴とするコンドーム包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−168082(P2010−168082A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−13224(P2009−13224)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【出願人】(000000550)オカモト株式会社 (118)
【Fターム(参考)】