説明

コンドーム用収納ケース

【課題】複数のコンドーム包装体を変形させることなくコンパクトで且つ薄くさらに脱落不能に保持する。
【解決手段】保持部1の各係止手段1aに複数のコンドーム包装体Bをそれぞれ係止することにより、各コンドーム包装体Bの一部が重なり合って保持される。さらに保持部1に対し被覆部2を折り曲げて重ね合わせることにより、複数のコンドーム包装体Bが保持部1と被覆部2との間に平面状に挟み込まれて形状保持されるとともに、各コンドーム包装体BのコンドームCが係合凹部2aに入り込んで位置決めされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、男性向け避妊用コンドームが収容された包装体(以下「コンドーム包装体」という)を収納するために用いるコンドーム用収納ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のコンドーム用収納ケースとして、二枚のシートを重ねてコンドーム本体を横長状に収納して収納袋を形成し、該収納袋を二個連設せしめ、これを扁平状のカード型大のパッケージに収容せしめるコンドームの包装形態がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平03−067615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来のコンドーム用収納ケースでは、コンドームの収納袋を二個連続させ、これを扁平状のカード型大のパッケージに収容しているが、コンドームの収納個数を増やす場合には、それに対応してパッケージの外形状を大型化するか、又はコンドームの収納袋を折り重ねてパッケージに収容する方法が考えられる。
しかし、パッケージを大型化すると、携帯に不便で目立つという問題があった。
また、コンドームの収納袋を折り重ねてパッケージに収容すると、パッケージ全体が厚くなって嵩張り、携帯に不便で目立つという問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題に対処することを課題とするものであり、複数のコンドーム包装体を変形させることなくコンパクトで且つ薄くさらに脱落不能に保持することなどを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するために本発明は、コンドーム包装体が着脱自在に係止される係止手段を有する平板状の保持部と、前記保持部に隣接してそれと重なり合うように折り曲げ自在に形成される平板状の被覆部とを備え、前記保持部には、前記係止手段を複数、それぞれに係止したコンドーム包装体の一部が重なり合うように配置し、前記被覆部には、前記係止手段に係止した前記コンドーム包装体と対向してその内部に収納されるコンドームが入り込む収容凹部を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
前述した特徴を有する本発明は、保持部の各係止手段に複数のコンドーム包装体をそれぞれ係止することにより、各コンドーム包装体の一部が重なり合って保持され、さらに保持部に対し被覆部を折り曲げて重ね合わせることにより、複数のコンドーム包装体が保持部と被覆部との間に平面状に挟み込まれて形状保持されるとともに、各コンドーム包装体のコンドームが係合凹部に入り込んで位置決めされるので、複数のコンドーム包装体を変形させることなくコンパクトで且つ薄くさらに脱落不能に保持することができる。
その結果、コンドームの収納個数を増やすには、パッケージの外形状を大型化するか又はコンドームの収納袋を折り重ねてパッケージに収容する従来のものに比べ、コンドームの収納個数が三個以上になっても、ケース全体を薄くコンパクト化でき、目立つことなく携帯できる。それにより、女性でも持ち歩くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係るコンドーム用収納ケースを示す斜視図であり、(a)が開いた状態を示し、(b)が閉じた状態を示している。
【図2】開いた状態の正面図である。
【図3】同背面図である。
【図4】正面(内面側)から見た縮小展開図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係るコンドーム用収納ケースを示す正面(内面側)から見た縮小展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本発明の実施形態に係るコンドーム用収納ケースAは、図1〜図5に示すように、コンドーム包装体Bが着脱自在に保持する平板状の保持部1と、この保持部1に隣接してそれと重なり合うように折り曲げ自在に形成される平板状の被覆部2とを、主要な構成要素として備えている。
すなわち、コンドーム用収納ケースAは、例えば紙又はプラスチックフィルムなどのシート材を所定形状、例えば図4又は図5に示されるような形状に裁断し、その一部を折り込むとともに貼り合わせることで、その一方の面(内面)には、保持部1と被覆部2が折り線3を介して折り畳み自在に形成され、他方の面(外面)には、必要に応じて装飾(図示しない)が施される。
【0010】
保持部1は、コンドーム包装体Bが着脱自在に係止される係止手段1aを複数有し、これら複数の係止手段1aを、それぞれ各係止手段1aに係止した複数個のコンドーム包装体Bの一部が相互に重なり合うように配置している。
係止手段1aは、コンドーム包装体Bが矩形状に形成される場合、その隣り合う一対の角部B1が差し込まれる一対の切り込みである。
係止手段1aとなる切り込みは、保持部1においてその一方向へ複数組み所定間隔毎に配列され、最下位の切り込みを、その他の切り込みよりも配列方向へ長く形成することが好ましい。
【0011】
係止手段1aの具体例としては、図1(a)及び図2に示されるように、L字形の切り込みを保持部1の幅方向(図示例では保持部1の左右短尺方向)へ線対称に切欠形成するとともに、保持部1の長さ方向(図示例では保持部1の上下長手方向)へ3組所定間隔毎に配置し、最下位の切り込みからコンドーム包装体Bを順次係止することにより、各コンドーム包装体Bの長さ方向端部が相互に重なり合うように配置されるようにしている。
また、その他の例として図示しないが、係止手段1aとして直線状の切り込みをハの字型に切欠形成するなど、切り込みの形状を変更したり、係止手段1aを保持部1の長さ方向へ2組又は4組以上配置することも可能である。
【0012】
さらに、保持部1は、図1(a)及び図2〜図5に示されるように、複数枚のシート材1bを重ね合わせることで形成され、その内側のシート材1bのみに、係止手段1aとして切り込みを切欠形成することにより、この切り込みに差し込んだコンドーム包装体Bの角部B1が複数枚のシート材1bの重ね合わせ面に挟み込まれて、保持部1の外面1cに露出しないようにすることが好ましい。
また、その他の例として図示しないが、保持部1を一枚のシート材1bで構成し、それに係止手段1aとして切り込みを切欠形成することにより、この切り込みに差し込まれたコンドーム包装体Bの角部B1を保持部1の外面1cに露出させることも可能である。
【0013】
被覆部2には、係止手段1aに係止されたコンドーム包装体Bと対向してその内部に収納されるコンドームCが入り込む係合凹部2aを形成している。
被覆部2は、図1(a)及び図2〜図5に示されるように、複数枚のシート材2bを重ね合わせることで形成され、これらシート材2bの重ね合わせ面に向けて係合凹部2aを突出させるように配置することが好ましい。
【0014】
図示例では、被覆部2として、係合凹部2aが押圧加工される大きなシート材2bと、被覆部2の外面2cを構成する大きなシート材2bと、これら大きなシート材2bの周囲に配置される複数の小さなシート材2bとがそれぞれ折り線3を介して形成され、これらシート材2bを折り線3に沿って折り込むとともに貼り合わせることにより、係合凹部2aのみが二重構造で、それを囲む部分が三重構造になるように構成している。
また、その他の例として図示しないが、被覆部2を一枚のシート材2bで構成し、それに係合凹部2aを保持部1の外面1cに向けて突出するように配置することも可能である。
【0015】
このような本発明の実施形態に係るコンドーム用収納ケースAによると、保持部1の各係止手段1aとして切り込みに、複数のコンドーム包装体Bをそれぞれ係止することで、各コンドーム包装体Bの一部が重なり合って保持される。さらに、この保持部1に対し、被覆部2を折り線3に沿って折り曲げ、互いに重ね合わせることで、複数のコンドーム包装体Bが保持部1と被覆部2との間に平面状に挟み込まれて形状保持されるとともに、各コンドーム包装体BのコンドームCが係合凹部2aに入り込んで位置決めされる。
それにより、複数のコンドーム包装体Bを変形させることなくコンパクトで且つ薄くさらに脱落不能に保持することができる。
その結果、コンドーム用収納ケースAの全体を薄くコンパクト化でき、携帯性に優れて目立つことなく持ち運ぶことができる。
【0016】
特に、コンドーム包装体Bが矩形状に形成され、係止手段1aが、コンドーム包装体Bにおいてその隣り合う一対の角部B1が入り込む一対の切り込みである場合には、係止手段1aとなる一対の切り込みに対し、矩形状のコンドーム包装体Bにおいてその隣り合う一対の角部B1を入れ込むことで、一対の切り込みの間にコンドーム包装体Bが挟持される。
それにより、簡単な構造でコンドーム包装体Bを容易に着脱することができる。
その結果、使用勝手の向上と製造コストの低減化を両立できる。
【0017】
さらに、係止手段1aとなる切り込みが、保持部1においてその一方向へ複数組み所定間隔毎に配列され、最下位の切り込みを、その他の切り込みよりも配列方向へ長く形成した場合には、最下位の切り込みに対するコンドーム包装体Bの挟持力がアップする。
それにより、最下段の切り込みに保持されたコンドーム包装体Bが、持ち運び時の振動や衝撃などで多少位置ズレしても落下を防止することができる。
その結果、最下位の切り込みに保持されるコンドーム包装体Bの紛失を防止できる。
【0018】
また、被覆部2が、複数枚のシート材2bを重ね合わせることで形成され、シート材2bの重ね合わせ面に向けて係合凹部2aを突出させるように配置した場合には、保持部1に対し被覆部2を重ね合わせた際に、係合凹部2aの深さ寸法が、コンドーム包装体BのコンドームCを入れることが十分な深さとなる。
それにより、コンドームC及びコンドーム包装体Bの位置ズレや落下を防止することができる。
その結果、簡単な構造でコンドーム包装体BのコンドームCを確実に位置決めすることができ、コンドーム包装体Bの脱落防止と製造コストの低減化を両立できる。
さらに、ケース全体が薄くなって、携帯性に優れて目立つことなく持ち運ぶことができる。
次に、本発明の各実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0019】
この実施例1は、図1(a)(b)〜図4に示すように、保持部1を挟んで被覆部2と反対側に折返し部4が連続形成され、折返し部4と被覆部2を重ね合わせて掛止部5により開閉自在に封止し、さらに保持部1と被覆部2の間及び保持部1と折返し部4の間にそれぞれ襠部6を設けたものである。
【0020】
図1(a)(b)〜図4に示される例では、掛止部5が粘着シールであり、折返し部4を被覆部2の内面に沿って差し込み、折返し部4と保持部1の間に形成された襠部6、又は被覆部2の他端縁にいずれか一方に、該粘着シールの一部を固着させ、他方に対して該粘着シールの他部の粘着面5aを着脱自在に接着することにより、繰り返し開閉可能に封止している。
また、その他の例として図示しないが、折返し部4を被覆部2の外面2cに重ね合わせ、これら両者を掛止部5で開閉自在に封止することも可能である。
またさらに、掛止部5の変形例として図示しないが、粘着シールに代えて、実開平03−067615号公報に記載される「挿人片」と「差込み口」を設けたり、それに類似する構造にすることで、折返し部4を被覆部2の外面2cに対して開閉自在に封止することも可能である。その具体例としては、折返し部4の先端縁に挿人片が突出形成され、被覆部2の端縁には差込み口が切欠形成され、この差込み口に前記挿人片を挿着することで、折返し部4の先端縁を被覆部2に封止させることも可能である。
【0021】
各襠部6は、一対の折り線3の間に帯状に形成され、これら折り線3に沿って折り畳むとともに、折返し部4の先端縁を掛止部5で保持部1の外面に封止することにより、図1(b)に示されるように、保持部1と被覆部2の間に、所定厚さの挟持スペースSが形成される。
図1(a)(b)〜図4に示される例では、一対の折り線3をそれぞれ直線状に形成している。
また、その他の例として図示しないが、一対の折り線3においてその一部又は全部を曲線状に形成することも可能である。
【0022】
さらに図4に示される例では、係止手段1aとして切り込みを切欠形成した内側のシート材1bが、保持部1の外面1cを構成する外側のシート材1bに対し、折り線3を介して保持部1の長さ方向へ一部突出するように連続形成され、内側のシート材1bを折り線3に沿って折り曲げるとともに、外側のシート材1bに重ね合わせることにより、保持部1が構成されている。係合凹部2aを形成した内側のシート材2bが、被覆部2の外面2cを構成する外側のシート材2bに対し、折り線3を介して被覆部2の幅方向(図示例では被覆部2の左右短尺方向)へ一列に連続形成されている。
また、その他の例として図示しないが、係止手段1aとして切り込みを切欠形成した内側のシート材1bと、保持部1の外面1cに相当する外側のシート材1bとが、保持部1の幅方向へ一列に連続形成したり、係合凹部2aを形成した内側のシート材2bと、被覆部2の外面2cを構成する外側のシート材2bとが、被覆部2の長さ方向(図示例では被覆部2の上下長手方向)へ一部突出するように連続形成することも可能である。
【0023】
このような本発明の実施例1に係るコンドーム用収納ケースAによると、掛止部5で保持部1と被覆部2の重ね合わせ状態が保持されるため、持ち運び時の振動や衝撃により保持部1に対して被覆部2が開くことがなく、不意にコンドーム包装体Bが位置ズレしたり落下することを防止できる。
さらに、掛止部5による封止状態で、保持部1と被覆部2の間に帯状の襠部6により所定厚さの挟持スペースSが形成されるため、保持部1と被覆部2が変形し難くなると同時に、コンドーム包装体Bが保持部1と被覆部2で無理に圧迫されることなく保持される。
それにより、ケース全体の保形性が向上し、持ち運び時の振動や衝撃によりケースが潰れ変形したり曲がり変形せず、長期に亘ってコンドーム包装体B及びコンドームCを安定保持できるという利点がある。
【実施例2】
【0024】
この実施例2は、図5に示すように、襠部6に代えて、保持部1と被覆部2の間及び保持部1と折返し部4の間に、それぞれ直線状の折り線3を設け、各折り線3に沿って折り畳んだ構成が、図1〜図4に示した実施例1とは異なり、それ以外の構成は図1〜図4に示した実施例1と同じものである。
【0025】
このような本発明の実施例2に係るコンドーム用収納ケースAによると、掛止部5による封止状態で、保持部1と被覆部2の間にスペースが無いため、両者が接近配置される。特にコンドーム包装体Bの厚みが薄い場合には、複数のコンドーム包装体Bを変形させることなくコンパクトで且つ薄くさらに脱落不能に保持することができるという利点がある。
その結果、図1〜図4に示した実施例1よりもケース全体の厚みが薄くなるため、携帯性に優れて目立つことなく持ち運ぶことができるという利点がある。
【0026】
なお、前示実施例では、保持部1を挟んで被覆部2と反対側に折返し部4が連続形成され、折返し部4と被覆部2を重ね合わせて掛止部5により開閉自在に封止したが、これに限定されず、折返し部4を形成せずに、保持部1の一端縁と被覆部2の他端縁とを掛止部5で開閉自在に封止したり、掛止部5を設けずに保持部1と被覆部2を重ね合わせただけでも良い。
さらに、保持部1と被覆部2を複数組みそれぞれ連続して形成し、各保持部1と各被覆部2の間に形成される折り線3で、複数組みの保持部1及び被覆部2を蛇腹状に折り畳んで構成することも可能である。
【符号の説明】
【0027】
1 保持部 1a 係止手段
2 被覆部 2a 収容凹部
2b シート材 B コンドーム包装体
B1 角部 C コンドーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンドーム包装体が着脱自在に係止される係止手段を有する平板状の保持部と、前記保持部に隣接してそれと重なり合うように折り曲げ自在に形成される平板状の被覆部とを備え、
前記保持部には、前記係止手段を複数、それぞれに係止したコンドーム包装体の一部が重なり合うように配置し、
前記被覆部には、前記係止手段に係止した前記コンドーム包装体と対向してその内部に収納されるコンドームが入り込む収容凹部を形成したことを特徴とするコンドーム用収納ケース。
【請求項2】
前記コンドーム包装体は矩形状に形成され、
前記係止手段は、前記コンドーム包装体においてその隣り合う一対の角部が入り込む一対の切り込みであることを特徴とする請求項1記載のコンドーム用収納ケース。
【請求項3】
前記係止手段となる切り込みは、前記保持部においてその一方向へ複数組み所定間隔毎に配列され、最下位の切り込みを、その他の切り込みよりも配列方向へ長く形成したことを特徴とする請求項2記載のコンドーム用収納ケース。
【請求項4】
前記被覆部は、複数枚のシート材を重ね合わせることで形成され、前記シート材の重ね合わせ面に向けて前記係合凹部を突出させるように配置したことを特徴とする請求項1、2又は3記載のコンドーム用収納ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−188132(P2012−188132A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−51939(P2011−51939)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000000550)オカモト株式会社 (118)
【出願人】(592211806)新村印刷株式会社 (4)
【Fターム(参考)】