コンドーム
【課題】コンドームの装着において、コンドーム中途部のたるみ部分が巻き上げ部に巻き込まれ、これを直そうと無理に力を加えるとコンドームの破損につながる場合がある。そこで、コンドームの破損防止と装着性を向上させるべく、コンドーム中途部でのたるみの発生を抑え、たるみの巻き込みを抑制することを課題とする。
【解決手段】下部に陰茎を挿入する開口部を有するコンドーム1において、該コンドーム1の中間部より下部に断続的なリブ11を有するものとし、リブ11をコンドーム1の周方向に断続的に設ける。そして、コンドーム1の中間部より開口部側の領域にリブ11を設け、リブ11によりコンドーム1の巻き上げ部の径を増大させる。
【解決手段】下部に陰茎を挿入する開口部を有するコンドーム1において、該コンドーム1の中間部より下部に断続的なリブ11を有するものとし、リブ11をコンドーム1の周方向に断続的に設ける。そして、コンドーム1の中間部より開口部側の領域にリブ11を設け、リブ11によりコンドーム1の巻き上げ部の径を増大させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装着が容易なコンドームに関し、より詳しくはコンドーム装着時の巻き込み防止の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンドームの製造は、浸漬、加硫、検査、巻き上げの後に、パッケージングされる。製造の浸漬過程では、ガラス型を原料液の中に浸漬し、型の表面に付着した原料液を均一な厚さにし、乾燥させる。そして、ガラス型の表面にできたゴム膜の縁を回転ロールにて少しだけ巻上げ、口巻を作る。加硫過程では、型から剥ぎ取られたコンドームを集めて脱水した後に、加硫装置に投入し熱を加えて加硫反応させる。これにより、柔らかく丈夫なゴム弾性を示すこととなる。そして、品質検査にて、コンドームはコンドームと同じ形状をした型に被せられ、その型を電解液の中に漬けて導通検査が行われる。検査の後に、コンドームは巻き上げられて型より取り外される。そして、巻き上げられたコンドームがパッケージングされる。
【0003】
このようにコンドームは、巻き上げられた状態でパッケージングされ、使用時には巻き上げられたコンドームを巻き戻しながら陰茎に装着する。
そして、このようなコンドームの装着を容易にするものとして、リング状に形成された装着補助具を芯部としてコンドーム開口端側からコンドーム外周を内側として巻き上げたものが知られている(特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2004−141217号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンドームの装着において、中途部が巻き込まれることにより、巻き込みを解消する操作がされる。このときにコンドームに無理な力を加えたり、爪で引っかいたりするとコンドームが破損する可能性がある。
図14はコンドーム装着時の巻き込み過程を示す模式図である。
コンドーム1を陰茎2に装着する際に、図14(a)に示すように、コンドーム1を亀頭部にかぶせて、図14(b)に示すようにコンドーム1の巻き上げ部14を解きながら下方に移動させる。コンドーム1の薄膜はゴムで出来ており、延びやすく、装着時の力によりたるみ部分15が生じる場合がある。そして、このたるみ部分15が巻き上げ部14を越えると巻き上げ部14の内側に入り込み、コンドーム1の中途部の膜10が巻き込まれて、コンドーム1装着時の引っ掛かりとなる。
このように、コンドームの装着性を低下させるコンドームにおけるたるみ部の巻き込みを抑制して、装着容易なコンドームを構成するとともに、コンドーム破損要因を減少させることを課題とする。
【0005】
特許文献1に記載された技術においては、コンドームに装着された部材が脱落する可能性があるとともに、補助具の径を小さく構成することが困難であり、コンドーム装着時に巻き上げ部の締め付けが強くなりすぎ、陰茎への装着が困難となる場合がある。
そして、コンドーム装着時に巻き込みが生じた場合、巻き込みを解消しようとする操作によりコンドームが破損する可能性がある。この装着時の巻き込みを防止することによりコンドームの破損防止を行うことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
コンドーム装着時のたるみ部分を発生しにくくするとともに、たるみ部分が巻き上げ部14を越えにくくすることにより、コンドーム1装着時の引っ掛かりを防止する。
コンドーム1の膜10をたるみにくくしたり、巻き上げ部14の径を大きくしたりすることにより、コンドームの装着性を向上する。そして、装着過程におけるコンドームを破損に導く要因を少なくできる。
【0007】
すなわち、請求項1に記載のごとく、上部に亀頭被装部を有し、下部に陰茎を挿入する開口部を有するコンドームにおいて、該コンドームの周方向に対して断続的に構成された肉厚部を該コンドームの中央部以下に有する構成とする。
【0008】
請求項2に記載のごとく、上部に亀頭被装部を有し、下部に陰茎を挿入する開口部を有するコンドームにおいて、該コンドーム中央部以下に非環状の線状突起部もしくは点状突起部を有する構成とする。
【0009】
請求項3に記載のごとく、上部に亀頭被装部を有し、下部に陰茎を挿入する開口部を有するコンドームにおいて、該コンドームの中間部領域に突起部を有し、該突起部がコンドーム下部より上部に向けた巻き上げにより、コンドームを形成する膜間に位置して、巻き上げ部の径を増大させるものとする。
【0010】
請求項4に記載のごとく、上部に亀頭被装部を有し、下部に陰茎を挿入する開口部を有するコンドームにおいて、開口部に構成される大径の口巻であって、径が1.5から3mmであるコンドームを構成する。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載のコンドームとするので、容易な構成でコンドームの装着容易性を向上できる。そして、コンドームの装着を片手でスピーディーに行うことができる。さらに、コンドームの巻き込みを抑制できるので、コンドーム装着時における破損の危険性を低減できる。
【0012】
請求項2に記載のコンドームを構成するので、コンドームの締め付け力を変えずに、コンドームの装着容易性を向上できる。
【0013】
請求項3に記載のコンドームを構成するので、たるみ部の巻き込みを抑制してコンドームの装着性を向上できる。
【0014】
請求項4に記載のコンドームを構成するので、容易な構成で、たるみ部の巻き込みを抑制してコンドームの装着性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
コンドーム装着時のたるみ部分を発生しにくくするとともに、たるみ部分が巻き上げ部を越えにくくすることにより、コンドーム装着時の引っ掛かりを防止する。
【実施例1】
【0016】
次に、本発明の実施例について、図を用いて説明する。
図1はコンドームの全体斜視図。
図2はコンドーム下部の展開図。
図3はコンドーム下部の側面断面図。
図4は巻き上げ状態のコンドーム下部側面断面図。
コンドーム1は図1において、下部に陰茎を挿入する開口部を有し、コンドームの中間部より下部に断続的な肉厚部を有している。コンドーム1は膜10により構成されており、先端には精液溜13が、後端には口巻12が設けられている。この口巻12が開口部の縁となっている。
そして、コンドーム1の後部にはリブ11が設けられている。リブ11がコンドーム1に設けられる線状の肉厚部であり、膜10に対して突出した突起部となっている。そして、このリブ11がたるみの抑制と巻き上げ部の径の増大に寄与する。リブ11はコンドーム1の内側もしくは外側に構成可能であり、実施例1においてはリブ11をコンドーム1の外側面に設けている。
リブ11はコンドーム1の略中央より後端の口巻12の直前まで設けられている。なお、コンドーム中央部における巻き込みを防ぐことがコンドーム破損抑制に効果的であり、リブ11は口巻12の近傍においては省略することも可能である。これにより、装着容易なコンドームを構成するともに、コンドームに用いる材料量を節約できる。さらに、生産上の巻き上げ工程に支障を与えない。
リブ11はコンドーム1の外周において等間隔に配設されており、コンドーム1の延出方向と平行に複数個設けられている。すなわち、リブ11はコンドーム1の周方向に対して断続的に設けられている。このため、リブ11がコンドーム周方向に連続しない非環状に構成されることとなり、周方向に対して間欠的に構成される肉厚部であるリブ11がコンドーム1の締め付け力に与える影響は少ない。
【0017】
リブ11と膜10とは一体的に構成されるものであり、膜10の厚みd1よりもリブ11の厚みd2が厚く構成されている。リブ11はコンドーム1の後部における膜10の曲げ強度を若干向上させるものであり、このリブ11によりコンドーム後部におけるたるみの発生を抑制する。
なお、リブ11は亀頭を被装する上部以外に構成するだけではなく、コンドーム1の中央部に構成可能である。
図5は亀頭被装部下からリブを設けたコンドームの構成を示す図。図5(a)は斜視図、図5(b)は平面図。
コンドーム上部である亀頭被装部(全長の上端より約18%)より下方にリブ11を構成している。これにより、コンドームの巻き込みを防止する。そして、コンドーム下部(全長の下端より約15%)は巻き込みによる装着不良が発生しにくいため、リブ11を省略している。このように構成することにより、リブ11が口巻12の構成過程に影響を与えることが無く、既存の製造設備を利用して容易に構成することができる。
リブ11をコンドーム1の中央部を含む領域に設ける場合には、亀頭被装部の下方より設けて口巻12まで、もしくは口巻12よりも上方にリブ11の下端を位置させてリブ11の下端と口巻12との間に距離を設けても良い。リブ11はコンドーム1の中央部を含む領域に設けられることにより、コンドーム中央部における巻き込みを防止するものであり、口巻12までリブ11を構成することにより巻き上げ部の径を大きくし巻き込みを確実に抑制できる。亀頭被装部の下方よりリブ11を設ける場合には、装着された部位と手との接触面を小さくすることにより、装着された部位と手との摩擦を小さくして巻き込みを抑制できる。そして、コンドーム下部にリブ11を設けない場合には、製造にかかる材料量を節約できる。また、巻き上げ部が残っていても違和感なく装着でき、陰茎の個人差にも対応することができる。
【0018】
リブ11の構成数は、2本以上より効果が発揮されるものであり、コンドーム1の外周面もしくは内周面に等間隔に設けられ、その構成数および長さは必要に応じて適宜決定することができる。リブ11の幅が広い場合には、リブ11の本数が少なくても十分な巻き込み防止の効果を得ることができる。また、リブ11の本数を多くすることにより、リブ11の幅が小さくても巻き込み防止効果を得ることができる。
また、リブ11の延出方向は、コンドームの巻き込みを防止可能であればよく、平行でなくても良い。例えば、リブ11・11同士を交差させることも可能であり、交互に異なる傾斜をとることも可能である。
なお、リブ11は膜10より突出した部位により構成されるものであり、膜10表面よりの高さは、0.01mmから0.5mmに構成できる。
【0019】
そして、リブ11を設けたコンドーム1を巻き上げることにより、巻き上げ部14の径d3を大きくする。巻き上げ時に、膜10の間にリブ11が介在することとなり、巻き上げ部14の径d3が膜10のみを巻き上げた場合よりも大きくなる。
巻き上げ部14の径d3を大きくすることにより、膜10から巻き上げ部14の最外端までの距離d5が大きくなり、膜10が巻き上げ部14を越えて巻き込まれにくくなる。すなわち、距離d5を大きくすることにより、膜10がたるんだ場合においても、膜10が巻き上げ部14に巻きつくことが無く、コンドーム1の装着性が向上する。
【0020】
このように、コンドーム1において膜10のたるみを抑制するとともに、巻き上げ部14の径を大きくすることにより、コンドーム装着時にたるみ部分が巻き上げ部14を越えて巻き込まれるのを抑制でき、巻き上げられたコンドームにおいて、巻き上げ部14を大径に構成するので、装着時に既に陰茎に装着された部位の膜10に手を当てずに巻き上げ部14を押し易くなり、コンドーム1の装着が容易となる。そして、コンドームの装着を片手でスピーディーに行うことができる。さらに、コンドームの巻き込みを抑制できるので、コンドーム装着時における破損の危険性を低減できる。
【0021】
この他に、リブ11をコンドーム1の延出方向に対して、傾斜させて設けることも可能である。
図6はリブを傾けて設けたコンドームを示す図。図6(a)はコンドームの斜視図、図6(b)はコンドーム側面の展開図。
図6に示すコンドームにおいて、リブ11は、コンドーム1の延出方向に対して斜め(本実施例においては約30°)になっており、コンドーム1の後部において略中央部から後端部の口巻12まで構成されている。リブ11・11・・は、図6(b)に示すように、平行に構成されている。このようにリブ11を構成することにより、コンドーム1の中央部および後部における膜10のたるみを抑制できる。そして、コンドーム1を巻き上げる場合に、リブ11傾きにより重なりの度合いを調節することができ、リブ11の厚みを大きくした場合においても巻き上げ部14の径d3を調節することができる。
線状に構成したリブ11の延出方向において、コンドーム1の延出方向の成分を有することにより、膜10におけるたるみを抑制でき、コンドーム1の装着容易性に寄与できる。
なお、リブ11を傾斜させる場合には、リブ11の傾斜角をθとすると、θは0°<θ<90°とすることができるものであり、コンドームの素材や長さに応じて適宜決定するものである。また、リブ11の傾斜を中途部において変化させることも可能である。例えば、中央部でのリブ11の傾斜角を寝かせることで、中央部におけるリブ11の構成数を多くし、巻き上げ部14の径を大きくしてコンドームの巻き込みを防止することができる。
【0022】
また、リブ11を断続的に設けることも可能である。
図7は断続的なリブを設けたコンドーム側面の展開図。図7(a)はリブを縦方向に断続的に設けたコンドームを示す図、図7(b)はリブを横方向に断続的に設けたコンドームを示す図。
図7(a)に示す構成においては、縦方向の短いリブ11をコンドームの外周面に等間隔に設け、次にコンドーム先端側において後端側に設けたリブ11・11間にリブ11が位置するようにリブ11・11・・・を設ける。そして、このようにリブ11・・・を交互にコンドーム中央部から後端部にかけて設ける。なお、コンドームの外周方向に対してリブ11の重なり量は、必要に応じて適宜選択される。
リブ11をコンドームの延出方向に対して断続的に配設することにより、膜10のたるみを抑制しながら、巻き上げ部14の径を調節できる。そして、製造工程における巻き上げの時の負荷を調節することができ、製造工程に与える影響を低減できる。また、リブ11の厚みのばらつきを解消できる。
【0023】
図7(b)に示す構成においては、横方向の短いリブ11をコンドームの外周面に等間隔かつ交互に設けるものである。
リブ11をコンドームの周方向に対して断続的に配設することにより、巻き上げ部14の径を容易に調節できる。そして、製造工程における巻き上げの時の負荷を調節することができ、製造工程に与える影響を低減できる。また、リブ11の厚みのばらつきを解消できる。リブ11をコンドーム1の横方向に断続的に設けた構成においても、横向きのリブ11がコンドーム1の延出方向に添って断続的に配設されることとなり、リブ11を設ける間隔や大きさによりたるみ抑制力を調節することができる。
また、リブ11をコンドームに断続的に配設する構成においても、必要に応じてリブ11をコンドーム1の延出方向に対して傾けて構成することも可能である。
【0024】
次に、リブ11の断面形状について説明する。
図8はリブの断面形状を示す側面断面図。
リブ11の断面形状は、図3に示すように、始端から終端まで略均一の厚みとする他に、図8(a)に示すごとく、中央部をより厚くする構成や、図8(b)に示すごとく後端側をより厚くする構成や、図8(c)に示すごとく前端側をより厚くする構成をとることができる。これらは、コンドームの成形型に設ける溝の深さにより調節可能となる。
【0025】
リブ11の成形方法としては、コンドームの成形型に溝を設けることにより構成可能である。ゴムの原液に浸漬する型のリブ11対応部分に溝を設け、型を浸漬することにより溝部分に原液が厚く付着する。これを裏返すことにより、溝により厚みが増した部位がリブ11となる。このように、型に溝を刻むことにより、容易にリブ11を構成することができる。このため、リブ11の形状は直線だけでなく曲線や波線形状に構成することも可能である。
図9は、波状リブを設けたコンドームの構成を示す図。
リブ11は、図9において、曲線形状となっており、コンドーム1の延出方向に設けられた波線形状に構成されている。なお、図9に示すリブ11において、リブ11を破線状に構成することも可能である。
【0026】
このように、膜10・10間にリブ11により隙間を設けて、巻き上げ部における膜10・10同士の密着量を少なくし、リブ11により膜間へ空気の流入を容易とすることで、膜10の巻き込みを抑制できる。
なお、リブ11を幅広にすることも可能であり、コンドーム1の中部より下方の膜10の厚みを厚くしてたるみを抑制して、巻き上げた部分の径を大きくすることもできる。
【実施例2】
【0027】
次に、他の実施例について説明する。
図10は実施例2のコンドームを示す図。図10(a)はコンドーム下部を示す斜視図、図10(b)は口巻の側面断面図。
実施例2に示すコンドームは、口巻12を従来のものよりも大径に構成し、コンドームの装着性を向上させる。従来の口巻の径は約1mmであり、これに対して、口巻12の径を従来のものより大きくする。望ましくは、口巻12の径d4を1.5から3mm程度とすることにより、コンドーム装着時における膜10の巻き込みを抑制できる。
口巻12の径を大径とすることにより、口巻12より巻き上げた巻き上げ部14の径が従来の巻き上げ部よりも大径となり、膜10のたるみ部が巻き込まれにくくなる。さらに、巻き上げ部が大きいため、巻き上げ部を容易に押し下げやすくなり、装着性が向上する。
口巻12の径を大きくする手法としては、コンドーム製造工程において、口巻となる部位の長さを大きくとることにより、容易に構成できる。すなわち、浸漬後のガラス型の表面にできたゴム膜において、回転ロールにて巻上げる縁部の巻き上げ量を多くすることにより構成できる。もしくは、ガラス型の表面にできたゴム膜において、巻上げ部となる部位に肉厚部を形成させ、巻き上げ口巻の径を大きくすることも可能である。さらには、巻上げ部となる部位の肉厚部をコンドームの周方向に対して断続的に設けることもできる。
【実施例3】
【0028】
次に、さらなるコンドーム装着を容易にする実施例について説明する。
図11はコンドーム装着の補助具を示す図。図11(a)は補助具の平面図、図11(b)はコンドームに装着した補助具を示す斜視図。
実施例3においては、コンドームに補助具21を装着して、コンドームの巻き上げ部14の径を大きくして、装着性を向上させるものである。補助具21は平面視において、C字状に構成されており、コンドームの口巻12の近傍に装着される。図11(b)においては、補助具21は口巻12の直上に装着され、この後に補助具21とともに口巻12を巻き上げることにより巻き上げ部14の径が大きくなる。これにより、装着時のたるみ部の巻き込みを抑制して、装着性を向上させる。
補助具21はコンドームの製造工程において、巻き上げ工程の前に装着される。そして、コンドームが装着された後には、コンドームより取り外すことが可能である。補助具21はC字状に構成されており、コンドームの側方よりの装着および取り外しが容易となっている。なお、補助具21は、ゴムもしくはプラスチックにより構成可能であり、大きさは成形型に装着されたコンドームに装着可能であれば良く、径は1mm〜2mm程度とすることができる。
このような補助具21をコンドーム巻上げ部内に配設することにより、装着時におけるコンドームの特性に変化を与えることなく、コンドームの装着性を向上できる。
【実施例4】
【0029】
次に、コンドームの3番目の実施例について説明する。
図12は点状凸部を設けたコンドームの斜視図。図13は点状凸部の構成を示す図。図13(a)は点状凸部の斜視図、図13(b)は巻き上げ部の側面断面図。
実施例3において、コンドーム1の中央部には点状凸部31が多数構成されている。点状凸部31は、0.01mmから0.5mmの高さで構成されるものであり、コンドーム1の先端部および下端部を除いて構成されている。
コンドーム1に点状凸部31を構成することにより、巻き上げ部14の径d3を大きくするとともに、d5を大きくして膜10の巻き込みを防止するものであり、膜10・10巻の接触面積を小さくして、膜10が巻き上げ部14に引き込まれるのを抑制する構成となっている。
なお、点状凸部31は、図12および図13においてコンドーム1の外側面に構成している。しかし、点状凸部31は巻き込みを防止するためのものであり、コンドーム1の内側面に構成することも可能である。そして、コンドーム1の全体もしくは亀頭被装部より下方から口巻12まで構成することが可能であり、点状凸部31の構成範囲は必要に応じて適宜決定する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】コンドームの全体斜視図。
【図2】コンドーム下部の展開図。
【図3】コンドーム下部の側面断面図。
【図4】巻き上げ状態のコンドーム下部側面断面図。
【図5】亀頭被装部下からリブを設けたコンドームの構成を示す図。
【図6】リブを傾けて設けたコンドームを示す図。
【図7】断続的なリブを設けたコンドーム側面の展開図。
【図8】リブの断面形状を示す側面断面図。
【図9】波状リブを設けたコンドームの構成を示す図。
【図10】実施例2のコンドームを示す図。
【図11】コンドーム装着の補助具を示す図。
【図12】点状凸部を設けたコンドームの斜視図。
【図13】点状凸部の構成を示す図。
【図14】コンドーム装着時の巻き込み過程を示す模式図。
【符号の説明】
【0031】
1 コンドーム
10 膜
11 リブ
13 精液溜
【技術分野】
【0001】
本発明は、装着が容易なコンドームに関し、より詳しくはコンドーム装着時の巻き込み防止の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンドームの製造は、浸漬、加硫、検査、巻き上げの後に、パッケージングされる。製造の浸漬過程では、ガラス型を原料液の中に浸漬し、型の表面に付着した原料液を均一な厚さにし、乾燥させる。そして、ガラス型の表面にできたゴム膜の縁を回転ロールにて少しだけ巻上げ、口巻を作る。加硫過程では、型から剥ぎ取られたコンドームを集めて脱水した後に、加硫装置に投入し熱を加えて加硫反応させる。これにより、柔らかく丈夫なゴム弾性を示すこととなる。そして、品質検査にて、コンドームはコンドームと同じ形状をした型に被せられ、その型を電解液の中に漬けて導通検査が行われる。検査の後に、コンドームは巻き上げられて型より取り外される。そして、巻き上げられたコンドームがパッケージングされる。
【0003】
このようにコンドームは、巻き上げられた状態でパッケージングされ、使用時には巻き上げられたコンドームを巻き戻しながら陰茎に装着する。
そして、このようなコンドームの装着を容易にするものとして、リング状に形成された装着補助具を芯部としてコンドーム開口端側からコンドーム外周を内側として巻き上げたものが知られている(特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2004−141217号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンドームの装着において、中途部が巻き込まれることにより、巻き込みを解消する操作がされる。このときにコンドームに無理な力を加えたり、爪で引っかいたりするとコンドームが破損する可能性がある。
図14はコンドーム装着時の巻き込み過程を示す模式図である。
コンドーム1を陰茎2に装着する際に、図14(a)に示すように、コンドーム1を亀頭部にかぶせて、図14(b)に示すようにコンドーム1の巻き上げ部14を解きながら下方に移動させる。コンドーム1の薄膜はゴムで出来ており、延びやすく、装着時の力によりたるみ部分15が生じる場合がある。そして、このたるみ部分15が巻き上げ部14を越えると巻き上げ部14の内側に入り込み、コンドーム1の中途部の膜10が巻き込まれて、コンドーム1装着時の引っ掛かりとなる。
このように、コンドームの装着性を低下させるコンドームにおけるたるみ部の巻き込みを抑制して、装着容易なコンドームを構成するとともに、コンドーム破損要因を減少させることを課題とする。
【0005】
特許文献1に記載された技術においては、コンドームに装着された部材が脱落する可能性があるとともに、補助具の径を小さく構成することが困難であり、コンドーム装着時に巻き上げ部の締め付けが強くなりすぎ、陰茎への装着が困難となる場合がある。
そして、コンドーム装着時に巻き込みが生じた場合、巻き込みを解消しようとする操作によりコンドームが破損する可能性がある。この装着時の巻き込みを防止することによりコンドームの破損防止を行うことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
コンドーム装着時のたるみ部分を発生しにくくするとともに、たるみ部分が巻き上げ部14を越えにくくすることにより、コンドーム1装着時の引っ掛かりを防止する。
コンドーム1の膜10をたるみにくくしたり、巻き上げ部14の径を大きくしたりすることにより、コンドームの装着性を向上する。そして、装着過程におけるコンドームを破損に導く要因を少なくできる。
【0007】
すなわち、請求項1に記載のごとく、上部に亀頭被装部を有し、下部に陰茎を挿入する開口部を有するコンドームにおいて、該コンドームの周方向に対して断続的に構成された肉厚部を該コンドームの中央部以下に有する構成とする。
【0008】
請求項2に記載のごとく、上部に亀頭被装部を有し、下部に陰茎を挿入する開口部を有するコンドームにおいて、該コンドーム中央部以下に非環状の線状突起部もしくは点状突起部を有する構成とする。
【0009】
請求項3に記載のごとく、上部に亀頭被装部を有し、下部に陰茎を挿入する開口部を有するコンドームにおいて、該コンドームの中間部領域に突起部を有し、該突起部がコンドーム下部より上部に向けた巻き上げにより、コンドームを形成する膜間に位置して、巻き上げ部の径を増大させるものとする。
【0010】
請求項4に記載のごとく、上部に亀頭被装部を有し、下部に陰茎を挿入する開口部を有するコンドームにおいて、開口部に構成される大径の口巻であって、径が1.5から3mmであるコンドームを構成する。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載のコンドームとするので、容易な構成でコンドームの装着容易性を向上できる。そして、コンドームの装着を片手でスピーディーに行うことができる。さらに、コンドームの巻き込みを抑制できるので、コンドーム装着時における破損の危険性を低減できる。
【0012】
請求項2に記載のコンドームを構成するので、コンドームの締め付け力を変えずに、コンドームの装着容易性を向上できる。
【0013】
請求項3に記載のコンドームを構成するので、たるみ部の巻き込みを抑制してコンドームの装着性を向上できる。
【0014】
請求項4に記載のコンドームを構成するので、容易な構成で、たるみ部の巻き込みを抑制してコンドームの装着性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
コンドーム装着時のたるみ部分を発生しにくくするとともに、たるみ部分が巻き上げ部を越えにくくすることにより、コンドーム装着時の引っ掛かりを防止する。
【実施例1】
【0016】
次に、本発明の実施例について、図を用いて説明する。
図1はコンドームの全体斜視図。
図2はコンドーム下部の展開図。
図3はコンドーム下部の側面断面図。
図4は巻き上げ状態のコンドーム下部側面断面図。
コンドーム1は図1において、下部に陰茎を挿入する開口部を有し、コンドームの中間部より下部に断続的な肉厚部を有している。コンドーム1は膜10により構成されており、先端には精液溜13が、後端には口巻12が設けられている。この口巻12が開口部の縁となっている。
そして、コンドーム1の後部にはリブ11が設けられている。リブ11がコンドーム1に設けられる線状の肉厚部であり、膜10に対して突出した突起部となっている。そして、このリブ11がたるみの抑制と巻き上げ部の径の増大に寄与する。リブ11はコンドーム1の内側もしくは外側に構成可能であり、実施例1においてはリブ11をコンドーム1の外側面に設けている。
リブ11はコンドーム1の略中央より後端の口巻12の直前まで設けられている。なお、コンドーム中央部における巻き込みを防ぐことがコンドーム破損抑制に効果的であり、リブ11は口巻12の近傍においては省略することも可能である。これにより、装着容易なコンドームを構成するともに、コンドームに用いる材料量を節約できる。さらに、生産上の巻き上げ工程に支障を与えない。
リブ11はコンドーム1の外周において等間隔に配設されており、コンドーム1の延出方向と平行に複数個設けられている。すなわち、リブ11はコンドーム1の周方向に対して断続的に設けられている。このため、リブ11がコンドーム周方向に連続しない非環状に構成されることとなり、周方向に対して間欠的に構成される肉厚部であるリブ11がコンドーム1の締め付け力に与える影響は少ない。
【0017】
リブ11と膜10とは一体的に構成されるものであり、膜10の厚みd1よりもリブ11の厚みd2が厚く構成されている。リブ11はコンドーム1の後部における膜10の曲げ強度を若干向上させるものであり、このリブ11によりコンドーム後部におけるたるみの発生を抑制する。
なお、リブ11は亀頭を被装する上部以外に構成するだけではなく、コンドーム1の中央部に構成可能である。
図5は亀頭被装部下からリブを設けたコンドームの構成を示す図。図5(a)は斜視図、図5(b)は平面図。
コンドーム上部である亀頭被装部(全長の上端より約18%)より下方にリブ11を構成している。これにより、コンドームの巻き込みを防止する。そして、コンドーム下部(全長の下端より約15%)は巻き込みによる装着不良が発生しにくいため、リブ11を省略している。このように構成することにより、リブ11が口巻12の構成過程に影響を与えることが無く、既存の製造設備を利用して容易に構成することができる。
リブ11をコンドーム1の中央部を含む領域に設ける場合には、亀頭被装部の下方より設けて口巻12まで、もしくは口巻12よりも上方にリブ11の下端を位置させてリブ11の下端と口巻12との間に距離を設けても良い。リブ11はコンドーム1の中央部を含む領域に設けられることにより、コンドーム中央部における巻き込みを防止するものであり、口巻12までリブ11を構成することにより巻き上げ部の径を大きくし巻き込みを確実に抑制できる。亀頭被装部の下方よりリブ11を設ける場合には、装着された部位と手との接触面を小さくすることにより、装着された部位と手との摩擦を小さくして巻き込みを抑制できる。そして、コンドーム下部にリブ11を設けない場合には、製造にかかる材料量を節約できる。また、巻き上げ部が残っていても違和感なく装着でき、陰茎の個人差にも対応することができる。
【0018】
リブ11の構成数は、2本以上より効果が発揮されるものであり、コンドーム1の外周面もしくは内周面に等間隔に設けられ、その構成数および長さは必要に応じて適宜決定することができる。リブ11の幅が広い場合には、リブ11の本数が少なくても十分な巻き込み防止の効果を得ることができる。また、リブ11の本数を多くすることにより、リブ11の幅が小さくても巻き込み防止効果を得ることができる。
また、リブ11の延出方向は、コンドームの巻き込みを防止可能であればよく、平行でなくても良い。例えば、リブ11・11同士を交差させることも可能であり、交互に異なる傾斜をとることも可能である。
なお、リブ11は膜10より突出した部位により構成されるものであり、膜10表面よりの高さは、0.01mmから0.5mmに構成できる。
【0019】
そして、リブ11を設けたコンドーム1を巻き上げることにより、巻き上げ部14の径d3を大きくする。巻き上げ時に、膜10の間にリブ11が介在することとなり、巻き上げ部14の径d3が膜10のみを巻き上げた場合よりも大きくなる。
巻き上げ部14の径d3を大きくすることにより、膜10から巻き上げ部14の最外端までの距離d5が大きくなり、膜10が巻き上げ部14を越えて巻き込まれにくくなる。すなわち、距離d5を大きくすることにより、膜10がたるんだ場合においても、膜10が巻き上げ部14に巻きつくことが無く、コンドーム1の装着性が向上する。
【0020】
このように、コンドーム1において膜10のたるみを抑制するとともに、巻き上げ部14の径を大きくすることにより、コンドーム装着時にたるみ部分が巻き上げ部14を越えて巻き込まれるのを抑制でき、巻き上げられたコンドームにおいて、巻き上げ部14を大径に構成するので、装着時に既に陰茎に装着された部位の膜10に手を当てずに巻き上げ部14を押し易くなり、コンドーム1の装着が容易となる。そして、コンドームの装着を片手でスピーディーに行うことができる。さらに、コンドームの巻き込みを抑制できるので、コンドーム装着時における破損の危険性を低減できる。
【0021】
この他に、リブ11をコンドーム1の延出方向に対して、傾斜させて設けることも可能である。
図6はリブを傾けて設けたコンドームを示す図。図6(a)はコンドームの斜視図、図6(b)はコンドーム側面の展開図。
図6に示すコンドームにおいて、リブ11は、コンドーム1の延出方向に対して斜め(本実施例においては約30°)になっており、コンドーム1の後部において略中央部から後端部の口巻12まで構成されている。リブ11・11・・は、図6(b)に示すように、平行に構成されている。このようにリブ11を構成することにより、コンドーム1の中央部および後部における膜10のたるみを抑制できる。そして、コンドーム1を巻き上げる場合に、リブ11傾きにより重なりの度合いを調節することができ、リブ11の厚みを大きくした場合においても巻き上げ部14の径d3を調節することができる。
線状に構成したリブ11の延出方向において、コンドーム1の延出方向の成分を有することにより、膜10におけるたるみを抑制でき、コンドーム1の装着容易性に寄与できる。
なお、リブ11を傾斜させる場合には、リブ11の傾斜角をθとすると、θは0°<θ<90°とすることができるものであり、コンドームの素材や長さに応じて適宜決定するものである。また、リブ11の傾斜を中途部において変化させることも可能である。例えば、中央部でのリブ11の傾斜角を寝かせることで、中央部におけるリブ11の構成数を多くし、巻き上げ部14の径を大きくしてコンドームの巻き込みを防止することができる。
【0022】
また、リブ11を断続的に設けることも可能である。
図7は断続的なリブを設けたコンドーム側面の展開図。図7(a)はリブを縦方向に断続的に設けたコンドームを示す図、図7(b)はリブを横方向に断続的に設けたコンドームを示す図。
図7(a)に示す構成においては、縦方向の短いリブ11をコンドームの外周面に等間隔に設け、次にコンドーム先端側において後端側に設けたリブ11・11間にリブ11が位置するようにリブ11・11・・・を設ける。そして、このようにリブ11・・・を交互にコンドーム中央部から後端部にかけて設ける。なお、コンドームの外周方向に対してリブ11の重なり量は、必要に応じて適宜選択される。
リブ11をコンドームの延出方向に対して断続的に配設することにより、膜10のたるみを抑制しながら、巻き上げ部14の径を調節できる。そして、製造工程における巻き上げの時の負荷を調節することができ、製造工程に与える影響を低減できる。また、リブ11の厚みのばらつきを解消できる。
【0023】
図7(b)に示す構成においては、横方向の短いリブ11をコンドームの外周面に等間隔かつ交互に設けるものである。
リブ11をコンドームの周方向に対して断続的に配設することにより、巻き上げ部14の径を容易に調節できる。そして、製造工程における巻き上げの時の負荷を調節することができ、製造工程に与える影響を低減できる。また、リブ11の厚みのばらつきを解消できる。リブ11をコンドーム1の横方向に断続的に設けた構成においても、横向きのリブ11がコンドーム1の延出方向に添って断続的に配設されることとなり、リブ11を設ける間隔や大きさによりたるみ抑制力を調節することができる。
また、リブ11をコンドームに断続的に配設する構成においても、必要に応じてリブ11をコンドーム1の延出方向に対して傾けて構成することも可能である。
【0024】
次に、リブ11の断面形状について説明する。
図8はリブの断面形状を示す側面断面図。
リブ11の断面形状は、図3に示すように、始端から終端まで略均一の厚みとする他に、図8(a)に示すごとく、中央部をより厚くする構成や、図8(b)に示すごとく後端側をより厚くする構成や、図8(c)に示すごとく前端側をより厚くする構成をとることができる。これらは、コンドームの成形型に設ける溝の深さにより調節可能となる。
【0025】
リブ11の成形方法としては、コンドームの成形型に溝を設けることにより構成可能である。ゴムの原液に浸漬する型のリブ11対応部分に溝を設け、型を浸漬することにより溝部分に原液が厚く付着する。これを裏返すことにより、溝により厚みが増した部位がリブ11となる。このように、型に溝を刻むことにより、容易にリブ11を構成することができる。このため、リブ11の形状は直線だけでなく曲線や波線形状に構成することも可能である。
図9は、波状リブを設けたコンドームの構成を示す図。
リブ11は、図9において、曲線形状となっており、コンドーム1の延出方向に設けられた波線形状に構成されている。なお、図9に示すリブ11において、リブ11を破線状に構成することも可能である。
【0026】
このように、膜10・10間にリブ11により隙間を設けて、巻き上げ部における膜10・10同士の密着量を少なくし、リブ11により膜間へ空気の流入を容易とすることで、膜10の巻き込みを抑制できる。
なお、リブ11を幅広にすることも可能であり、コンドーム1の中部より下方の膜10の厚みを厚くしてたるみを抑制して、巻き上げた部分の径を大きくすることもできる。
【実施例2】
【0027】
次に、他の実施例について説明する。
図10は実施例2のコンドームを示す図。図10(a)はコンドーム下部を示す斜視図、図10(b)は口巻の側面断面図。
実施例2に示すコンドームは、口巻12を従来のものよりも大径に構成し、コンドームの装着性を向上させる。従来の口巻の径は約1mmであり、これに対して、口巻12の径を従来のものより大きくする。望ましくは、口巻12の径d4を1.5から3mm程度とすることにより、コンドーム装着時における膜10の巻き込みを抑制できる。
口巻12の径を大径とすることにより、口巻12より巻き上げた巻き上げ部14の径が従来の巻き上げ部よりも大径となり、膜10のたるみ部が巻き込まれにくくなる。さらに、巻き上げ部が大きいため、巻き上げ部を容易に押し下げやすくなり、装着性が向上する。
口巻12の径を大きくする手法としては、コンドーム製造工程において、口巻となる部位の長さを大きくとることにより、容易に構成できる。すなわち、浸漬後のガラス型の表面にできたゴム膜において、回転ロールにて巻上げる縁部の巻き上げ量を多くすることにより構成できる。もしくは、ガラス型の表面にできたゴム膜において、巻上げ部となる部位に肉厚部を形成させ、巻き上げ口巻の径を大きくすることも可能である。さらには、巻上げ部となる部位の肉厚部をコンドームの周方向に対して断続的に設けることもできる。
【実施例3】
【0028】
次に、さらなるコンドーム装着を容易にする実施例について説明する。
図11はコンドーム装着の補助具を示す図。図11(a)は補助具の平面図、図11(b)はコンドームに装着した補助具を示す斜視図。
実施例3においては、コンドームに補助具21を装着して、コンドームの巻き上げ部14の径を大きくして、装着性を向上させるものである。補助具21は平面視において、C字状に構成されており、コンドームの口巻12の近傍に装着される。図11(b)においては、補助具21は口巻12の直上に装着され、この後に補助具21とともに口巻12を巻き上げることにより巻き上げ部14の径が大きくなる。これにより、装着時のたるみ部の巻き込みを抑制して、装着性を向上させる。
補助具21はコンドームの製造工程において、巻き上げ工程の前に装着される。そして、コンドームが装着された後には、コンドームより取り外すことが可能である。補助具21はC字状に構成されており、コンドームの側方よりの装着および取り外しが容易となっている。なお、補助具21は、ゴムもしくはプラスチックにより構成可能であり、大きさは成形型に装着されたコンドームに装着可能であれば良く、径は1mm〜2mm程度とすることができる。
このような補助具21をコンドーム巻上げ部内に配設することにより、装着時におけるコンドームの特性に変化を与えることなく、コンドームの装着性を向上できる。
【実施例4】
【0029】
次に、コンドームの3番目の実施例について説明する。
図12は点状凸部を設けたコンドームの斜視図。図13は点状凸部の構成を示す図。図13(a)は点状凸部の斜視図、図13(b)は巻き上げ部の側面断面図。
実施例3において、コンドーム1の中央部には点状凸部31が多数構成されている。点状凸部31は、0.01mmから0.5mmの高さで構成されるものであり、コンドーム1の先端部および下端部を除いて構成されている。
コンドーム1に点状凸部31を構成することにより、巻き上げ部14の径d3を大きくするとともに、d5を大きくして膜10の巻き込みを防止するものであり、膜10・10巻の接触面積を小さくして、膜10が巻き上げ部14に引き込まれるのを抑制する構成となっている。
なお、点状凸部31は、図12および図13においてコンドーム1の外側面に構成している。しかし、点状凸部31は巻き込みを防止するためのものであり、コンドーム1の内側面に構成することも可能である。そして、コンドーム1の全体もしくは亀頭被装部より下方から口巻12まで構成することが可能であり、点状凸部31の構成範囲は必要に応じて適宜決定する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】コンドームの全体斜視図。
【図2】コンドーム下部の展開図。
【図3】コンドーム下部の側面断面図。
【図4】巻き上げ状態のコンドーム下部側面断面図。
【図5】亀頭被装部下からリブを設けたコンドームの構成を示す図。
【図6】リブを傾けて設けたコンドームを示す図。
【図7】断続的なリブを設けたコンドーム側面の展開図。
【図8】リブの断面形状を示す側面断面図。
【図9】波状リブを設けたコンドームの構成を示す図。
【図10】実施例2のコンドームを示す図。
【図11】コンドーム装着の補助具を示す図。
【図12】点状凸部を設けたコンドームの斜視図。
【図13】点状凸部の構成を示す図。
【図14】コンドーム装着時の巻き込み過程を示す模式図。
【符号の説明】
【0031】
1 コンドーム
10 膜
11 リブ
13 精液溜
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に亀頭被装部を有し、下部に陰茎を挿入する開口部を有するコンドームにおいて、
該コンドームの周方向に対して断続的に構成された肉厚部を該コンドームの中央部以下に有することを特徴とするコンドーム。
【請求項2】
上部に亀頭被装部を有し、下部に陰茎を挿入する開口部を有するコンドームにおいて、
該コンドーム中央部以下に非環状の線状突起部もしくは点状突起部を有することを特徴とするコンドーム。
【請求項3】
上部に亀頭被装部を有し、下部に陰茎を挿入する開口部を有するコンドームにおいて、
該コンドームの中間部領域に突起部を有し、
該突起部がコンドーム下部より上部に向けた巻き上げにより、コンドームを形成する膜間に位置して、巻き上げ部の径を増大させるものであることを特徴とするコンドーム。
【請求項4】
上部に亀頭被装部を有し、下部に陰茎を挿入する開口部を有するコンドームにおいて、
開口部に構成される大径の口巻であって、径が1.5から3mmであること特徴とするコンドーム。
【請求項1】
上部に亀頭被装部を有し、下部に陰茎を挿入する開口部を有するコンドームにおいて、
該コンドームの周方向に対して断続的に構成された肉厚部を該コンドームの中央部以下に有することを特徴とするコンドーム。
【請求項2】
上部に亀頭被装部を有し、下部に陰茎を挿入する開口部を有するコンドームにおいて、
該コンドーム中央部以下に非環状の線状突起部もしくは点状突起部を有することを特徴とするコンドーム。
【請求項3】
上部に亀頭被装部を有し、下部に陰茎を挿入する開口部を有するコンドームにおいて、
該コンドームの中間部領域に突起部を有し、
該突起部がコンドーム下部より上部に向けた巻き上げにより、コンドームを形成する膜間に位置して、巻き上げ部の径を増大させるものであることを特徴とするコンドーム。
【請求項4】
上部に亀頭被装部を有し、下部に陰茎を挿入する開口部を有するコンドームにおいて、
開口部に構成される大径の口巻であって、径が1.5から3mmであること特徴とするコンドーム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−334223(P2006−334223A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−164330(P2005−164330)
【出願日】平成17年6月3日(2005.6.3)
【出願人】(000107284)ジェクス株式会社 (26)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月3日(2005.6.3)
【出願人】(000107284)ジェクス株式会社 (26)
【Fターム(参考)】
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