説明

コンドーム

【課題】早漏を防止可能とできると共に、使用時に陰茎から抜けにくくなるコンドームを提供する。
【解決手段】コンドーム10を、長手方向の少なくとも基端部近傍15の内周部に断面形状が径方向中心側に突起する内側突起部13が設けられている。内側突起部13は、その内径部の内径寸法d1より小さな内径寸法d2と幅寸法Wとを有すると共に周方向に連続するリング状に形成されている。そして、このリング状の内側突起部13をコンドーム10の長手方向先端部近傍14と、コンドーム10の基端部近傍15と、先端部近傍14と基端部近傍15との略中間の中央部近傍16に設ける。コンドーム10の長手方向先端部近傍14は、コンドーム10を装着したとき、陰茎の亀頭部の略後端部に相当する位置となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンドームに係り、より詳しくは、男性の早漏を防止可能とできると共に陰茎に装着して使用する際に抜けにくくなり、かつED(勃起障害)の治癒をも可能とするコンドームに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、産児制限等のために使用するコンドームが知られている(例えば特許文献1参照)。
この公報に開示されたコンドームは、その一部に人工皮膚を使用したものであるが、その全体形状は、例えば、図17に示すような、一般的なコンドーム100と略同じである。
一般的なコンドーム100は、薄い原料ラテックスやシリコンゴム等により細長の筒状袋に形成されており、その先端に液溜まり部111が設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係るコンドームの第1実施形態を示し膨らました状態を示す一部断面の側面図である。
【図2】前記第1実施形態のコンドームの装着開始状態を示す側面図である。
【図3】前記第1実施形態のコンドームを陰茎に装着した状態を示す全体側面図である。
【図4】前記第1実施形態のコンドームの部分詳細図で、図4(A)は図1のa部拡大を示す縦断面図、図4(B)は図3のb部拡大を示す縦断面図である。
【図5】図3におけるV−Vに沿った縦断面図である。
【図6】前記第1実施形態のコンドームを製作する型部材を示す縦断面図である。
【図7】本発明に係るコンドームの第2実施形態を示す縦断面図である。
【図8】前記第2実施形態の突起用リング部材を型部材の溝部に装着した状態を示す縦断面図である。
【図9】本発明に係るコンドームの第3実施形態を示す縦断面図である。
【図10】前記第2実施形態の突起用リング部材を型部材の溝部に装着した状態を示す縦断面図である。
【図11】本発明に係るコンドームの第4実施形態を示す縦断面図である。
【図12】前記第4実施形態の突起用リングを示す一部断面の平面図である。
【図13】前記第4実施形態の突起用リングを型部材の溝部に装着した状態を示す縦断面図である。
【図14】本発明の変形形態を示し、同図14(A)はコンドームの部分拡大を示す縦断面図であり、同図14(B)は同図14(A)のB−B線に沿った縦断面図である。
【図15】本発明の他の変形形態を示し、同図15(A)はコンドームの部分拡大を示す縦断面図であり、同図15(B)は同図15(A)のB−B線に沿った縦断面図である。
【図16】本発明の第1実施形態のコンドームを製作する型部材の変形形態を示す縦断面図である。
【図17】従来のコンドームを示す側面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係るコンドームの一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、第1実施形態のコンドーム10が膨らんだ状態で示されている。
【0011】
コンドーム10は、原料ラテックス、ポリウレタン、シリコンゴム等の極薄材料で形成されており、図1,3に示すように、陰茎の全長にわたる長さの細長の筒状袋に形成されている。
コンドーム10の先端部には液溜まり部11が設けられ、基端部には補強部12が形成されている。
【0012】
また、コンドーム10の内周部には、膨らましたとき、断面がコンドーム10の長手方向と直交する径方向中心側に突起する内側突起部13,13Aが形成されている。この内側突起部13,13Aは、コンドーム10の長手方向の例えば3箇所位置に形成されている。
すなわち、コンドーム10の先端部近傍14には内側突起部13、コンドーム10の基端部近傍15には内側突起部13A、上記先端部近傍14と基端部近傍15との略中間の中央部近傍16には内側突起部13が形成されている。
【0013】
このうち、先端部近傍14の内側突起部13は、図2に示すように、コンドーム10を陰茎20の亀頭部24に装着し、矢印A方向に沿って基端部近傍15側にずらしていったとき、陰茎20の亀頭部24の略後端部に相当する位置に形成されている。
また、図3に示すように、コンドーム10の基端部近傍15は陰茎20の根元部近傍25に対応しており、基端部近傍15の内側突起部13Aは、陰茎20の根元部近傍25に相当する位置に形成されている。
さらに、コンドーム10の中央部近傍16は陰茎20の略中央部26に対応しており、したがって、中央部近傍16の内側突起部13は、陰茎20の略中央部26に相当する位置に形成されている。
【0014】
これらの内側突起部13,13Aは、図1および図1のa部を表す図4(A)に示すように、コンドーム10の内周部に、かつ内径の中心側に向かって、つまりコンドーム10の長手方向と直交する方向に突起して設けられている。
内側突起部13は、所定寸法の幅Wと、コンドーム10の内周部における内径寸法d1より小さな内径寸法d2とを有し、前記先端部近傍14と基端部近傍15と中央部近傍16との3箇所のそれぞれで、周方向に連続するリング状に形成されている。
【0015】
ここで、内側突起部13等の各寸法を図4(A)に基づいて説明する。
コンドーム10の内径寸法はd1となっており、内側突起部13の内径寸法が上述のようにd2となっている。つまり、内側突起部13は、内径寸法d1から内径寸法d2を減じた突起寸法d3と、幅寸法Wとに形成されている。
そして、この突起寸法d3は、例えば1.0mm〜2.0mmに設定され、また、内側突起部13の幅寸法Wは、例えば2.0mm〜4.0mmに設定されている。
【0016】
ただし、突起寸法d3は上記数値に限定されない。1.0mm以下でもよく、また2.0mm以上でもよい。さらに幅寸法Wも上記数値に限定されず、1.0mm以下でもよく、また2.0mm以上でもよい。仮に、突起寸法d3の数値を大きく設定すれば、陰茎20(図2,3参照)に装着したときに生じる反力が、その分大きくなるので、より早漏防止効果と抜け止め効果とが向上する。
上述のように、突起寸法d3および幅寸法Wは、1.0mm以下でもよいが、その数値が、0.1mm、0.2mm等あまりに小さいと効果が得られないので、少なくとも1.0mmに近い寸法、また、1.0mm以上が好ましい。
【0017】
これに対して、本実施形態では、陰茎20の根元部近傍25に対応する基端部近傍15の内側突起部13Aの突起寸法d3および幅寸法Wが、他の先端部近傍14、中央部近傍16の突起寸法d3および幅寸法Wよりも、所定寸法大きく形成されている。
すなわち、先端部近傍14および中央部近傍16の突起寸法d3が例えば1.0mm、幅寸法Wが例えば2.0mmに形成されている場合、基端部近傍15の突起寸法d3は例えば1.5mm、幅寸法Wが例えば3.0mmに形成されている。
そのため、コンドーム10を陰茎20に装着したとき、基端部近傍15の内側突起部13Aの反力がより大きくなり、手で押えたのと同様の効果となり、より早漏防止と抜け防止との効果が生じる。
【0018】
以上のようなコンドーム10を、図2に示すように陰茎20に装着する際、まず、コンドーム10の基端を陰茎20の亀頭部24に被せると共に矢印A方向に進めていくと、最初に、陰茎20によりコンドーム10の先端部近傍14の内側突起部13が押し広げられる。
次に、コンドーム10の長手方向略中央部近傍16の内側突起部13の内径、最後に、コンドーム10の基端部近傍15の内側突起部13Aがそれぞれ押し広げられる。そして、図3に示すように陰茎20全体に装着される。
【0019】
陰茎20にコンドーム10が装着され、陰茎20が内側突起部13,13Aの内径を押し広げる際は、その陰茎20により、図4(B)に示すように、内側突起部13が矢印P1で示す方向に生じる拡開力により押し広げられる。その結果、内側突起部13が、その突起寸法d3分だけコンドーム10の内周から外側に突起した状態となる。
【0020】
陰茎20にコンドーム10が装着されたとき、図4(B)および図5に矢印P2で示す方向に生じる反力により、内側突起部13,13Aには、押し広げられた後、元の状態に戻ろうとする作用が働き、この内側突起部13の反力により陰茎20が締め付けられる。
その結果、コンドーム10が装着されている間中、陰茎20が長手方向3箇所の内側突起部13により強く押された状態となるので刺激が抑えられ、これにより、早漏を防止することが可能となり、また、長手方向3箇所の内側突起部13,13Aがそれぞれ引掛かり部となって、陰茎20からコンドーム10が抜けにくくなる。
【0021】
特に、本第1実施形態では、基端部近傍15の内側突起部13Aの突起寸法d3および幅寸法Wが、他の先端部近傍14、中央部近傍16の突起寸法d3および幅寸法Wよりも大きく形成されているので、コンドーム10に陰茎20を装着したとき生じる反力が大きくなる。その結果、より早漏を防止することが可能となり、また、より抜けにくくなる。
【0022】
以上のようなコンドーム10は、図6に示すように、例えば、硬質ガラスの型部材30を使用して製作することができる。
すなわち、コンドーム製造装置3に設けられた型部材30には、コンドーム10の先端部近傍14の内側突起部13に対応する先端部34の窪み部33、コンドーム10の中央部近傍16の内側突起部13に対応する中央部36の窪み部33、およびコンドーム10の基端部近傍15の内側突起部13Aに対応する基端部35の窪み部33Aが形成されている。
第1実施形態では、これらの窪み部33が例えば半円球状に形成されている。そのため、前記内側突起部13の幅寸法Wが例えば2.0mmなら、幅寸法Wは1.0mmとなるように窪み部33の寸法が設定されている。
また、内側突起部13AWが例えば3.0mmなら、幅寸法Wは1.5mmとなるように窪み部33Aの寸法が設定されている。
【0023】
そして、以上のように形成されている型部材30を、原料ラテックス等の液に所定時間浸して型部材30の表面に原料ラテックス等を付着させ、その付着したラテックスを乾燥させた後、乾燥したラテックス等を型部材30から取り外せばコンドーム10の完成となる。
ここで、型部材30を原料ラテックスの液に浸したとき、窪み部33,33A内にも原料ラテックス等が入り込み、その原料ラテックス等が乾燥すると、上記コンドーム10に2箇所の内側突起部13および1箇所の内側突起部13Aが形成されることになる。そして、各窪み部33,33Aは、前述のように半円球状に形成されているので、完成したコンドーム10の内側突起部13を容易に取り出せる。
【0024】
以上のような本実施形態によれば、次のような効果がある。
(1)コンドーム10を陰茎20に装着した際、長手方向3箇所のそれぞれで、内周部に形成された内側突起部13,13Aが陰茎20により押し広げられる。すると、押し広げられた内側突起部13,13Aには元に戻ろうとする反力が発生し、その力が陰茎20を強く締め付ける。その結果、陰茎20を強く押えた状態となるので早漏を防止可能とできる。
【0025】
(2)コンドーム10を陰茎20に装着した際、長手方向3箇所のそれぞれで、内周部に形成された内側突起部13,13Aが陰茎20に引っ掛かった状態となるので、コンドーム10が抜けにくくなるという効果がある。
【0026】
(3)コンドーム10の基端部近傍15の内側突起部13Aの突起寸法d3および幅寸法Wが、他の先端部近傍14、中央部近傍16の突起寸法d3および幅寸法Wよりも大きく形成されているので、装着したとき、基端部近傍15の内側突起部13Aの反力が他の部位よりも大きくなる。その結果、あたかも手で陰茎20の根元部近傍25を押えた状態と同じとなり、早漏防止と抜け防止とのより大きな効果が生じる。
【0027】
(4)コンドーム10の取り外しに際して、装着しているときは突起している内側突起部13,13Aを摘んで基端部近傍15側から先端部近傍14側に巻き込んでいくことができるので、取り外しが容易となる。
【0028】
(5)コンドーム10を陰茎20に装着したとき、コンドーム10の内周部に設けられた内側突起部13,13Aが外周から外側に突起するので、その突起した内側突起部13,13Aによりパートナーに刺激が与えられ、これにより、充実した夫婦生活、充実したカップルライフを得ることができる。
【0029】
次に、本発明に係るコンドームの第2実施形態を図7、図8に基づいて説明する。
図7は第2実施形態のコンドーム40を形成する際の型部材30との関係を示す全体側面図であり、図8は突起用リング45を型部材30に装着した状態を示す拡大部分断面図である。
【0030】
本第2実施形態のコンドーム40は、前記第1実施形態のコンドーム10の内側突起部13,13Aに相当する内側突起部43,43Aを形成するのに突起用リング45を用いたものである。
すなわち、前記突起用リング45は、例えば原料ラテックスやシリコンゴム等、コンドーム40の材質と同一材質で予め形成されている。そして、この突起用リング45を型部材30の窪み部33,33Aに嵌め込んだ後、型部材30を原料ラテックスの液に所定時間浸して、乾燥させることで内側突起部43,43Aを有するコンドーム40が形成される。
第2実施形態のコンドーム40と第1実施形態のコンドーム10とは、突起用リング45を用いる点が異なるのみで、他の構成はまったく同じである。したがって、同一部材には同一符号を付して、それらについての詳細な説明は省略する。
【0031】
突起用リング45は、型部材30の窪み部33,33Aに嵌り込む大きさに形成されており、そのリング45を、図7に示すように拡げながら前記型部材30の基端部35の窪み部33Aから順に、中央部36の窪み部33、先端部34の窪み部33にそれぞれ嵌め込んで装着する。
その後、型部材30を原料ラテックスの液に浸すことで、図8に示すように、突起用リング45の周囲にも原料ラテックスの液が付着し、これにより内側突起部43,43Aを有するコンドーム40が形成されるようになっている。
【0032】
ここで、突起用リング45の大きさは、図8に示すように、外形寸法がD1、内径寸法がD2、厚さ寸法がW1となっている。
これに対して、型部材30の窪み部33,33Aの寸法は、コンドーム40外形寸法がd1、内径寸法がd2、突起寸法d3となるように形成されており、幅寸法Wは突起用リング45の厚さ寸法W1より大きな寸法に形成されている。
そのため、窪み部33,33Aに突起用リング45を嵌め込んだとき、窪み部33,33Aと突起用リング45の外周とに隙間Sが生じる。そして、その状態で型部材30を原料ラテックスの液に浸せば、上記隙間S内に原料ラテックスの液が入り込み、突起用リング45を包み込む。これにより、原料ラテックスの液と突起用リング45とが略一体化した状態となる。
【0033】
窪み部33,33Aと突起用リング45との寸法が異なるため、突起用リング45を嵌め込んだとき、その突起用リング45の位置が偏ることもあるが、仮に、突起用リング45の内径一部が窪み部33,33Aの深さ方向先端一部に接触した場合、厳密には接触したその箇所には原料ラテックスの液は入り込まず、その部位では突起用リング45は包み込まれない可能性もあるが、その他の部位では原料ラテックスの液により突起用リング45が包み込まれるので、確実に内側突起部43,43Aが形成される。
【0034】
また、突起用リング45を装着した後、型部材30を原料ラテックスの液に浸したとき、型部材30をわずかに揺することにより突起用リング45の全周を原料ラテックスの液で包み込むことが可能となる。
さらに、突起用リング45の内径寸法D2が型部材30の外形寸法d1より小さいので、突起用リング45を型部材30の窪み部33,33Aに装着した後、勝手に外れることがない。
なお、図8において、窪み部33Aおよび内側突起部43Aは(33A)、(43A)として記載してあるが、これらは、型部材30の基端部35およびコンドーム40の基端部近傍45に対応するものである。
【0035】
以上のような第2実施形態のコンドーム40によれば、前記第1実施形態の(1)〜(6)と略同様の効果の他、次のような効果を得ることができる。
(7)窪み部33,33Aに突起用リング45を嵌め込んだ後型部材30を原料ラテックスの液に浸すと、突起用リング45と窪み部33,33Aの隙間Sとに原料ラテックスの液が入り込む。その隙間S内の原料ラテックスの液が乾燥すると内側突起部43,43Aを有するコンドーム40が完成するので、突起用リング45がない場合と比べて窪み部33,33A内の原料ラテックスの液の乾燥時間を短縮することができ、これにより、生産性の向上を図ることができる。
【0036】
(8)突起用リング45の内径寸法D2が型部材30の外形寸法d1より小さいので、突起用リング45を型部材30の窪み部33,33Aに装着した後、勝手に外れることがない。
【0037】
次に、本発明に係るコンドームの第3実施形態を図9、図10に基づいて説明する。
図9は第3実施形態のコンドーム50を形成する際の前記型部材30との関係を示す全体側面図であり、図10はリング55を型部材30に装着した状態を示す拡大部分断面図である。
【0038】
本第3実施形態のコンドーム50は、前記第1実施形態のコンドーム10の内側突起部13,13Aに相当する内側突起部53,53Aを形成するのに突起用リング55を用いたものである。そして、本第3実施形態のコンドーム50では、内側突起部53および内側突起部53Aにおいて、内周のみならず、外周に、外方に突起する突起部50aをも有する形状としたものである。
【0039】
すなわち、この突起用リング55は、前記突起用リング45と同一材質で、かつ略同一形状に予め形成されている。ただし、突起用リング55は突起用リング45よりも外径寸法が大きく形成されている。そのため、第3実施形態のコンドーム50では、内側突起部53および内側突起部53Aにおいて、それぞれコンドーム50の外方に突出したリング状の上記突起部50aが形成されることになる。
そして、この突起用リング55を型部材30の窪み部33に嵌め込んだ後、型部材30を原料ラテックスの液に所定時間浸して、乾燥させることで、それぞれが外方に突出した突起部50aを有する内側突起部53,53Aを備えたコンドーム50が形成される。
【0040】
突起用リング55は、その内径寸法D11が型部材30の窪み部33,33Aに嵌り込む大きさに形成されており、図9に示すように拡げながら前記型部材30の基端部35の窪み部33Aから順に、中央部36の窪み部33、先端部34の窪み部33にそれぞれ嵌め込んで装着する。その後、型部材30を原料ラテックスの液に浸すことで、突起用リング55の周囲にも原料ラテックスの液が付着し、これにより、それぞれが外方に突出した突起部50aを有する内側突起部53,53Aが形成されるようになっている。
【0041】
ここで、突起用リング55の大きさは、図10に示すように、外形寸法がD12、内径寸法がD11、厚さ寸法がW1となっている。
これに対して、型部材30の窪み部33の寸法は、コンドーム40外形寸法がd1、内径寸法がd2、突起寸法d3となるように形成されており、幅寸法Wは突起用リング45の厚さ寸法W1より大きな寸法に形成されている。
【0042】
そのため、窪み部33,33Aに突起用リング55を嵌め込んだとき、窪み部33,33Aと突起用リング55の外周とに隙間Sが生じる。そして、その状態で型部材30を原料ラテックスの液に浸したとき、上記隙間S内に原料ラテックスの液が入り込み、突起用リング55の内径側の略半分を包み込むと共に、窪み部33,33Aから型部材30のそれぞれ外方に突出した突起部50aを包み込み、これにより、原料ラテックスの液と突起用リング55とが略一体化した状態となる。
そして、前述のように、外方に突出した突起部50aを有する内側突起部53,53Aを備えたコンドーム50が形成される。
【0043】
なお、窪み部33,33Aと突起用リング55の内径寸法が異なるため、突起用リング55を嵌め込んだとき、その突起用リング55の位置が窪み部33,33Aに対して偏ることもあるが、仮に、突起用リング55の内径一部が窪み部33,33Aの深さ方向先端一部に接触した場合、厳密には接触したその箇所には原料ラテックスの液は入り込まず、その部位では突起用リング55は包み込まれない可能性もあるが、その他の部位では原料ラテックスの液により突起用リング55が包み込まれるので、確実に内側突起部53,53Aが形成される。
また、突起用リング55を装着した後、型部材30を原料ラテックスの液に浸したとき、型部材30をわずかに揺することにより突起用リング55の全周を原料ラテックスの液で包み込むことが可能となる。
【0044】
以上のような第3実施形態のコンドーム50によれば、前記(1)〜(8)と略同様の効果の他、次のような効果を得ることができる。
(9)突起用リング55が型部材30の窪み部33,33Aから外方に突出した突起部50aを有する大きさとなっているので、内周部の内側突起部53,53Aと突起部50aとを合計した寸法、つまり突起用リング55の厚さ分が外側に突起するため、コンドーム50を陰茎20に装着した際、より強い反力が生じ、陰茎20を強く締め付ける。その結果、陰茎20を強く押えた状態となるので早漏を防止可能とできると共に、使用中の抜けを防止可能とできる。
【0045】
(10)突起用リング55が、それぞれの内側突起部53,53Aで、コンドーム50の外方に突出した突起部50aを有する大きさとなっているので、コンドーム50を陰茎20に装着したとき、内周部の内側突起部53,53Aと突起部50aとを合計した寸法、つまり突起用リング55の厚さ分が外側に突起するため、パートナーへの刺激が強まり、より充実した夫婦生活、充実したカップルライフを送ることができる。
【0046】
次に、本発明に係るコンドームの第4実施形態を図11〜13に基づいて説明する。
図11は第4実施形態のコンドーム60を形成する際の型部材30との関係を示す全体側面図であり、図12は磁石入り突起用リング65を示す全体平面図であり、図13は磁石入り突起用リング65を型部材30に装着した状態を示す拡大部分断面図である。
【0047】
第4実施形態のコンドーム60は、前記第1実施形態の内側突起部13,13Aおよび第2実施形態の内側突起部43,43Aに相当する内側突起部63,63Aに、陰茎20の神経を刺激して血流を活性化させ、血行をよくする血流活性化部材を埋め込んだものである。
【0048】
すなわち、本第4実施形態では、前記第1〜第3実施形態での早漏を防止可能とできると共に、使用時に陰茎から抜けにくくする、という目的に加えて、血流活性化部材を用いることで、陰茎の神経および細胞に刺激を与え、血流を活性化させて血行をよくし、それにより、ED(勃起障害)の治癒をも可能とする、という目的も有しているものである。
そして、血流活性化部材として、例えばゴム磁石67が用いられており、磁石を使用することにより磁場を生じさせ、その磁場により血流の活性化を図ろうとするものである。
【0049】
ここで、体内に磁石による作用が働くと、発生する磁場により体内の神経、細胞に刺激が与えられ、その結果、神経および細胞が活性化して血流も活性化し血行がよくなる、とされている。そして、磁石を埋め込んだ布団や、磁石を組み込んだ腕輪等が多く販売され、広く利用されている。また、磁石を利用した健康器具では医療機器としても認証されたものもある。
【0050】
本第4実施形態のコンドーム60は、前記第1実施形態のコンドーム10等と同様に原料ラテックス等の材料で形成され、また、コンドーム60の内周部には、膨らましたとき径方向中心側に突起する前記内側突起部63,63Aが形成されている。この内側突起部63,63Aは、前記第1〜第3実施形態のコンドーム10,40,50と同様に、コンドーム60の長手方向の3箇所位置に形成されている。
【0051】
そして、本第4実施形態のコンドーム60の内側突起部63,63Aは、前記第2実施形態のコンドーム40の内側突起部43,43Aの形成と同様の方法により形成される。
すなわち、内側突起部63は突起用リング65を用いて形成されている。この突起用リング65は、前記突起用リング45と同様の形状、材質で形成されている。そして、このような突起用リング65には、予めゴム磁石67が埋め込まれている。
【0052】
図11に示すように、コンドーム60の内側突起部63,63A内に装着される上記突起用リング65は、前記第2実施形態の突起用リング45と略同じ寸法に形成されている。この突起用リング65の内部には、一部を断面した図12に示すように、複数個(実施形態では4個)のゴム磁石67が対向配置状態で埋め込まれている。
ただし、ゴム磁石67の数は4個に限定されず、それ以下でもそれ以上でもよい。
【0053】
ゴム磁石67は、極細の棒状のものが使用されており、その大きさは、例えば丸棒状のものを4箇所に配置する場合、例えば直径1.0mm〜1.5mm×長さ15.0mm〜17.0mmのものを使用することが好ましい。また、角棒状のものであれば、例えば1.0mm角〜1.5mm角×長さ15.0mm〜17.0mmのものを使用することが好ましい。しかし、ゴム磁石67の大きさは、上記寸法の大きさに限定されない。
このような大きさのゴム磁石67を使用することで、隣り合うゴム磁石67の間隔がゴム磁石67自体の長さより短い寸法となっている。
なお、ゴム磁石67の磁束の強さは特に限定されない。例えば、ネオジム磁石の粉末を混合して形成した磁束の強いゴム磁石を用いてもよい。
【0054】
これに対して、内側突起部63,63Aの寸法は、図13に示すように、幅寸法Wが例えば2.0mm〜2.5mm、深さ寸法D3が例えば2.0mm〜2.5mmに形成されている。
したがって、内側突起部63,63Aは、所定寸法の幅Wと、コンドーム60の内周部における内径寸法d1より小さな内径寸法d2との差の突起寸法d3で形成されていることになる
【0055】
各ゴム磁石67の配置は、図12に示すように、隣り合うゴム磁石67の対向する部位が、同極となるように、つまり例えばN極とN極、S極とS極となるように配置されている。これにより、隣り合うゴム磁石67の間隔より長い寸法に形成されているゴム磁石67のS極とN極とにより大きな磁場が発生し、広範囲かつ深く浸透することになる。
なお、隣り合うゴム磁石67の配置は上記に限定されず、N極とS極とが交互になるように配置してもよい。
【0056】
このような第4実施形態のコンドーム60を形成するには、まず、図11に示すように、ゴム磁石67を埋め込んだ突起用リング65を、前記型部材30の長手方向3箇所に形成されている窪み部33,33Aに順次嵌め込む。
【0057】
その後、型部材30を原料ラテックス等の液に浸し型部材30の表面に原料ラテックス等を付着させ、その付着したラテックスを乾燥させた後、乾燥したラテックス等を型部材30から取り外せば、内部にゴム磁石67を埋め込んだ突起用リング65を用いた内側突起部63,63Aを有するコンドーム60が完成する。
【0058】
以上のような第4実施形態によれば、前記第1、第2実施形態の(1)〜(8)と略同様の効果の他、次のような効果を得ることができる。
(11)コンドーム60の内側突起部63,63Aが突起用リング65を用いて形成され、この突起用リング65内には、予め4個のゴム磁石67が埋め込まれている。そのため、コンドーム60を装着したとき、これらのゴム磁石67から生じる磁場により、陰茎20の神経および細胞が刺激されて活性化し、陰茎20の血流が活性化し血行がよくなる。その結果、ED(勃起障害)を治癒することも可能となり、充実した夫婦生活、充実したカップルライフを得ることができる。
【0059】
以上、前記各実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細については、当業者が理解し得るさまざまな変更を加えることができる。また、本発明には、上記各実施形態の構成の一部又は全部を相互に適宜組み合わせたものも含まれる。
【0060】
例えば、前記第1実施形態では、内側突起部13,13Aをそれぞれの位置で、コンドーム10の内周部の全周にわたって連続する1本のリング状としたが、これに限らない。
図14(A),(B)に示すように断続した形状としてもよい。すなわち、コンドーム70の内周方向に半割り状に形成した2つの内側突起部73,73を、それぞれの向きを変えて、かつコンドーム70の長手方向に間隔をおいて配置した形状としてもよい。
この場合、前記型部材30に替わる型部材には2つの内側突起部73,73に対応する窪み部を形成すればよい。
このようにしても、前記(1)〜(8)と略同様の効果が得られる。
【0061】
なお、図14に示すコンドーム70においても、それぞれの内側突起部73,73に前記ゴム磁石67を適宜埋め込んでもよい。この場合、半割りのリングを型部材30の窪み部33に装着することはできないので、ゴム磁石67のみを使用し、初めにそのゴム磁石67に原料ラテックス等の液を付着させた後、ゴム磁石67を型部材30の窪み部に付着させ、その型部材30を原料ラテックス等の液に浸すようにすればよい。
【0062】
さらに、前記第1実施形態のように、内周部の全周にわたって連続する1本のリング状に形成された内側突起部13,13Aを、図15(A),(B)に示すような内側突起部83としてもよい。
すなわち、この変形形態のコンドーム80では、連続する1本のリング状ではなく、内側突起部83が、同一円周方向に所定長さの、例えば4等分に断続されているが、全体としてリング状に形成されている。
なお、4等分に断続されたリング状でなくてもよく、2等分、3等分等の4等分以下、5等分、6等分等の4等分以上に断続されたリング状でもよい。
そして、この場合でも、それぞれの内側突起部83に、図示しないが、例えば1個ずつのゴム磁石を埋め込んでもよい。
【0063】
さらに、前記各実施形態では、3箇所の内側突起部13と13A,43と43A,63と63Aとを、コンドーム10,40,60の内周部の全周にわたって、また、内側突起部53と53Aとをコンドーム50の全周にわたって、かつ長手方向の同一位置で連続する1本のリング状となるように設けたが、これに限らない。長手方向の所定範囲にわたる螺旋形状のリングとしてもよい。
【0064】
また、前記各実施形態では、内側突起部13と13A,43と43A,53および53A,63と63Aとをコンドーム10,40,50,60の先端部近傍14、基端部近傍15、中央部近傍16の3箇所に設けたが、これに限らない。例えば基端部近傍15のみの1箇所、あるいは基端部近傍15と先端部近傍14との2箇所に設けてもよい。さらに、4箇所、あるいはそれ以上の箇所に設けてもよいが、この場合、基端部近傍15を含むものとする。また、前記各実施形態では、内側突起部13と13A等を大きさが異なるものとしたが、これらは、同じ大きさでもよい。
【0065】
また、前記第1、第2、第4実施形態では、内側突起部13と13A,43と43A,63と63Aとをコンドーム10,40,60の先端部近傍14等、基端部近傍15等、および中央部近傍16等の3箇所にリング状に設けたが、これに限らない。内周部に、かつ膨らましたとき径方向中心側に突起するように形成されているものであれば、例えば半円球状の内側突起部を、基端部近傍15を含む任意の場所に複数個設けてもよい。
【0066】
さらに、前記第1実施形態では、内側突起部13,13Aを有するコンドーム10を製作するために、窪み部33を設けた型部材30を用いたが、例えば図16に示すような型部材90を用いてもよい。
すなわち、前記コンドーム製造装置3に設けられた型部材90では、その先端部94、中央部96、および基端部95の3箇所に、型部材90の外方に突起する内側突起部93が形成されている。そして、このような型部材90を原料ラテックスの液に浸して型部材90の表面に原料ラテックス等を付着させ、その付着したラテックスを乾燥させた後、型部材90から取り外せば前記コンドーム10の完成となる。
【0067】
ただし、上記変形形態の型部材90における内側突起部93の外径寸法d2は、図6に示す前記実施形態における型部材30の窪み部33の内径寸法d2と等しく、つまりコンドーム10の内側突起部13の内径寸法d2と等しい寸法に形成されている。そして、型部材90の表面に原料ラテックス等を付着させて形成したコンドーム10を反転させれば、内側突起部93が内周部に設けられた状態となり、前記内側突起部13が設けられた前記実施形態のコンドーム10とすることができる。
【0068】
また、前記第4実施形態では、血流活性化部材としてゴム磁石67を用いたが、血流活性化部材は磁石に限らない。例えば、粉末状のゲルマニウムまたはトルマリンを原料ラテックス等に混合させたリングを形成し、このリングを型部材30の窪み部33,33Aに嵌め込んで使用してもよい。
このような実施携帯によれば、前記(11)と略同様の効果を得ることができる。
【0069】
さらに、前記各実施形態では、コンドーム10,40,50,60等を製造する際、硬質ガラスの型部材30を使用して行なっているが、コンドーム10等の製造は、これに限らない。要は、コンドーム10等の内周部に、膨らましたとき径方向中心側に突起する内側突起部13等を形成できればよいので、どのような装置、製造方法で製造してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明のコンドームは、産児制限などの必要性がある場合の家族計画等に利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向の少なくとも基端部近傍の内周部に断面形状が前記長手方向と直交する径方向の中心側に向いて突起する内側突起部を設けると共に、前記基端部近傍を陰茎の根元部近傍に対応させたことを特徴とするコンドーム。
【請求項2】
請求項1に記載のコンドームにおいて、
前記内側突起部を前記内周部に沿ったリング状に形成したことを特徴とするコンドーム。
【請求項3】
請求項2に記載のコンドームにおいて、
前記リング状の内側突起部を、予め製造されると共にコンドーム製造用の型部材の溝に装着された突起用リング部材を基にして形成したことを特徴とするコンドーム。
【請求項4】
請求項3に記載のコンドームにおいて、
前記突起用リング部材の外径寸法を前記型形部材の外径寸法より大きく形成したことを特徴とするコンドーム。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか一つに記載のコンドームにおいて、
前記内側突起部内に、陰茎に装着したとき当該陰茎の神経を刺激し血流を活性化させる血流活性化部材を埋め込んだことを特徴とするコンドーム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−195684(P2009−195684A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−7221(P2009−7221)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【出願人】(301076681)
【Fターム(参考)】