説明

コンドーム

【課題】片手で簡単に装着できるコンドームを提供する。
【解決手段】コンドーム本体10の挿入口に陰茎1の先端を当ててリング30を陰茎1の根本に向かって下ろすことにより、コンドーム本体10の挿入口の反対側に配置された蓋部40がコンドーム本体10の先端に当たって止まり、コンドーム本体10とともに巻き上げられたテープ20が引き出され、コンドーム本体10が陰茎1に被される。このとき、蓋部40がコンドーム本体10の先端に押し当てられ、精液溜まりの空気が押し出された状態となる。そのため、従来のコンドームのように、精液溜まりを指でつまむ必要がなく、片手で簡単にコンドームを装着できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡単に装着できるコンドームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
AIDS等の性病の予防にコンドームが効果的であることはよく知られているが、装着が面倒であるという理由から使用を敬遠する人が少なくない。特許文献1〜4には、簡単に装着できるコンドームについての技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−165443号公報
【特許文献2】特開平11−4844号公報
【特許文献3】特開平7−222763号公報
【特許文献4】登録実用新案第3060328号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般にコンドームの先端には精液を溜めるために膨らんだ部分(以下、「精液溜まり」と記す)が設けられている。この部分に空気が入った状態で使用すると精液が漏れてしまうことがある。そのため、コンドームを装着する場合は、まず精液溜まりを指でつまんで空気を押し出し、その中に空気が入らないように注意して指でつみながらコンドームの挿入口を陰茎の先端にあて、巻かれた状態のコンドームを陰茎の根元に向かって下ろすのが一般的な手順となっている。特許文献1〜4に記載されるコンドームは、例えば、コンドームと一緒に巻き上げたテープを使用時に引っ張るなどの方法によって装着を容易にしているものの、精液溜まりから空気を抜くことが考慮されていない。従って、これらの従来のコンドームは、実際には両手を使って装着を行う必要がある点で普通のコンドームと変わらず、片手で簡単に装着できるものではない。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、片手で簡単に装着できるコンドームを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るコンドームは、コンドーム本体と、前記コンドーム本体の外面に沿わせた状態で前記コンドーム本体と一体に巻き上げられた複数のテープと、巻き上げられた前記コンドーム本体の陰茎挿入口の反対側に配置され、前記複数のテープの巻き残し部分の端が固着されており、前記コンドーム本体の装着時に前記コンドーム本体の先端と当接する蓋部と、前記複数のテープを案内する複数の通路が形成され、前記コンドーム本体の装着時に陰茎を挿通させる孔を備えたテープ案内部とを有する。
【0007】
好適に、前記テープは、その両端を前記蓋部に固着された状態で前記コンドーム本体と一体に巻き上げられており、両端の巻き残し部分の一方が前記テープ案内部の前記通路に通されている。
【0008】
好適に、前記テープ案内部はリング状の形態を有しており、前記蓋部が前記リング状の形態の内径より大きい、又は、前記リング状の形態の内径より大きく外径より小さい。
【0009】
好適に、前記テープ案内部の前記通路は、両端の開口部の一方が前記リング状の形態の径方向に対して垂直な方向に開口し、他方が前記リング状の形態の中心に向かって開口する。
【0010】
好適に、前記テープ案内部は、前記リング状の形態の中心に向かって傾斜する面を有し、前記蓋部は、その外縁が前記テープ案内部の前記傾斜面に当接する。
【0011】
好適に、前記テープ案内部は、前記リング状の形態の内縁において前記蓋部と嵌合する溝を有し、前記通路は、前記溝の底部に開口部を有する。
【0012】
好適に、前記通路は、前記リング状の形態の内側若しくは外側に向かって開いており、前記テープの出し入れが可能なスリットを有する。
好適に、前記スリットが、前記通路の端部に設けられている。
好適に、全ての前記通路における前記スリットの位置が、前記リング状の形態の中心から見て前記通路の右端又は左端の一方に統一されている。
【0013】
好適に、前記蓋部は、前記コンドーム本体と当接する面に対して反対側の面に凹凸部を有する、及び/又は、当該反対側の面に蛍光物質を含んだ領域を有する。
【0014】
好適に、未使用状態において、前記蓋部と前記テープ案内部とが分離可能に接着又は固定されている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、精液溜まりから空気を押し出すために指を使う必要がなく、片手で簡単に装着できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施形態に係る未使用状態のコンドームを陰茎挿入口の反対方向から見た平面図の一例を示す図である。
【図2】図1に示す未使用状態のコンドームを鎖線A−B−Cに沿って切断したときの断面を例示する図である。
【図3】図1に示す未使用状態のコンドームにおいて僅かにテープを引き出したときの斜視図を例示する図である。
【図4】コンドーム本体の外面にテープを沿わせた状態を例示する図である。
【図5】図4の状態からテープをコンドーム本体と一体に巻き上げた状態を例示する図である。
【図6】リングの断面と、テープを案内する通路の一例を示す図である。
【図7】コンドームの装着方法を説明するための図である。
【図8】コンドーム装着後の状態を説明するための図である。
【図9】第2の実施形態に係るコンドームにおけるリング、テープ及び蓋部を例示する図である。
【図10】リングの断面が三角形の場合の例を示す図である。
【図11】リングに設けた溝に蓋部を嵌合させる場合の例を示す第1の図であり、未使用状態のコンドームを陰茎挿入口の反対方向から見た平面図の一例を示す。
【図12】リングに設けた溝に蓋部を嵌合させる場合の例を示す第2の図であり、図11に示す未使用状態のコンドームを鎖線A−B−Cに沿って切断したときの断面を例示する。
【図13】テープの出し入れを可能にするためのスリットが設けられたリングの通路の例を示す第1の図である。
【図14】テープの出し入れを可能にするためのスリットが設けられたリングの通路の例を示す第2の図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1の実施形態>
図1〜図8を参照して、本発明の第1の実施形態に係るコンドームを説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る未使用状態のコンドームを陰茎挿入口の反対方向から見た平面図の一例を示す図である。
図2は、図1に示す未使用状態のコンドームを鎖線A−B−Cに沿って切断したときの断面を例示する図である。
図3は、図1に示す未使用状態のコンドームにおいて僅かにテープ20を引き出したときの斜視図を例示する図である。
図4は、コンドーム本体10の外面にテープ20を沿わせた状態を例示する図である。
図5は、図4の状態からテープ20をコンドーム本体10と一体に巻き上げた状態を例示する図である。
図6は、リング30の断面と、テープ20を案内する通路の一例を示す図である。
図7は、コンドームの装着方法を説明するための図である。
図8は、コンドーム装着後の状態を説明するための図である。
図1〜図8に示すコンドームは、コンドーム本体10と、3本のテープ20と、リング30(テープ案内部)と、蓋部40とを有する。
【0018】
コンドーム本体10は、図4に示すように、ゴム等の弾性に富んだ薄い材質を筒状の袋に形成したものであり、先端の部分に精液溜まりが設けられている。
【0019】
テープ20は、帯状に加工された薄いフィルムであり、コンドーム本体10の外面に沿わせた状態で(図4)、陰茎の挿入口の縁から先端に向かってコンドーム本体10と一体に巻き上げられる(図5)。
テープ20は、装着完了後に不要となるため、コンドーム本体10を陰茎の根本まで下ろした場合に余らない程度の長さとするのが望ましい。
【0020】
蓋部40は、巻き上げられたコンドーム本体10の陰茎挿入口の反対側に配置されており(図1,図2)、テープ20の巻き残し部分の端が固着されている。コンドーム本体10に陰茎を挿入したとき、蓋部40がコンドーム本体10の先端と当接して精液溜まりの空気を抜く。
【0021】
蓋部40は、例えば図1に示すように、リング30の中心から径方向へ対称に延びた3つの帯状の板部を有しており、テープ20の巻き残し部分の端が各板部の先端部分に固着される(図3)。
【0022】
蓋部40は、リング30の内径より大きく外径より小さい。未使用時において、蓋部40の3つの板部がリング30に当接する(図2)。装着時に蓋部40の側から陰茎を挿入しようとしても蓋部40がリング30に当たって進まないため、コンドーム本体10への誤った挿入が防止される。また、コンドーム本体10の装着後に不要となったリング30を取り外す際、リング30が蓋部40に引っ掛かるため、リング30と蓋部40を同時に取り外せる(図8)。
【0023】
蓋部40は、例えば、適度な弾性を有する樹脂等の材料を用いて形成される。装着の際、蓋部40はコンドーム本体10の先端と当たって変形した状態となる(図7)。コンドーム本体10が陰茎の根本付近まで下ろされたとき、蓋部40は弾性力により元の状態に戻り、これに応じてテープ10をコンドーム本体10から引き離す。
【0024】
リング30は、テープ20を案内する3つの通路を有する(図3)。巻き上げられた状態のコンドーム本体10から出ているテープ20の巻き残し部分(図5)が、リング30の通路を介して蓋部40に固着されている。
【0025】
リング30は、例えば図6に示すように断面が丸形であり、テープ20を案内するL字状の通路31が形成されている。通路31の一方の開口部H1がリング20の径方向に対して垂直な方向に開口し、他方の開口部H2がリング20の中心に向かって開口している。このようなL字状の通路31により、蓋部20に固着されたテープ20が通路31においてリング20の内側に曲がり、コンドーム本体20の縁へ案内される(図2)。
【0026】
ここで、上述した構成を有するコンドームの使用方法を説明する。
【0027】
未使用状態において、コンドーム本体10は、例えば図1、図2に示すように巻き上げられた平らな状態で図示しない包装袋に収められている。蓋部20の板部の先端がリング30に当接し、コンドーム本体10が蓋部40と密着している。このとき、コンドーム本体10の先端の精液溜まりが蓋部40に密着しているため、精液溜まりの空気がほぼ抜かれた状態となっている。
【0028】
使用者は、図1,図2に示すように平らになっているコンドームを包装から取り出し、リング30の外縁を持ち、コンドーム本体10の挿入口に陰茎の先端を当て、リング30を陰茎1の根本に向かって下ろす。そうすると、コンドーム本体10の陰茎挿入口の反対側に配置された蓋部40の中央がコンドーム本体10を被った陰茎1の先端に当たるとともに、蓋部40の板部の先端がテープ20により下へ引っ張られる。そのため、蓋部40は図7に示すように変形する(図7)。
【0029】
使用者がリング30を更に下ろすと、蓋部40がコンドーム本体10の先端に押し当てられて止まっているため、リング30が蓋部40から離れていき、巻き上げられたテープ20がコンドーム本体10から引き出されていく。テープ20がコンドーム本体20から引き出されていくことにより、コンドーム本体10が末端に向かって伸ばされていき、これに応じてコンドーム本体10が陰茎1に被されていく。テープ20の末端付近までコンドーム本体10が伸ばされると、蓋部40が変形状態(図7)から元の状態へ戻り、その弾性力によりテープ20が引っ張られてコンドーム本体10から分離される(図8)。使用者は、陰茎1にコンドーム本体10が被された後、リング30と蓋部40を取り外す。
【0030】
以上説明したように、本実施形態に係るコンドームによれば、コンドーム本体10の挿入口に陰茎1の先端を当ててリング30を陰茎1の根本に向かって下ろすことにより、コンドーム本体10の挿入口の反対側に配置された蓋部40がコンドーム本体10の先端に当たって止まり、コンドーム本体10とともに巻き上げられたテープ20が引き出され、コンドーム本体10が陰茎1に被される。このとき、蓋部40がコンドーム本体10の先端に押し当てられ、精液溜まりの空気が押し出された状態となる。そのため、従来のコンドームのように、精液溜まりを指でつまむ必要がなく、片手で簡単にコンドームを装着できる。
本実施形態に係るコンドームでは、精液溜まりを指でつまんで空気が入らないように注意しながら陰茎の先端にコンドームを当てるといった従来の面倒な作業が不要になり、コンドームの装着が非常に簡単になる。そのため、従来、コンドームの装着が面倒なため使用を敬遠していた人たちの間でもコンドームの使用頻度を高めることができ、性病の予防に貢献できる。
また、本実施形態に係るコンドームは片手で容易に装着できることから、例えば手に障害がある人や細かい作業が苦手な人でも容易に使用できるという利点がある。
加えて、コンドーム本体10に直接触れることなく装着できることから、爪などでコンドーム本体10を傷付けてしまうことを防止でき、しかも、手の細菌等がコンドーム本体10に付着することがないため衛生的である。また、一般に、コンドームの表面には潤滑剤が塗布されており、直接触ると潤滑剤によって手指がベトベトになってしまうが、本実施形態に係るコンドームでは直接触れずに装着を行うことができるので、そのような問題が生じず快適に使用できるという利点もある。
【0031】
また、本実施形態に係るコンドームによれば、蓋部40がリング30の内径より大きいため、コンドーム本体10の挿入口の反対側から誤って陰茎を挿入することを防止できる。しかも、コンドーム本体10の装着後にリング30を陰茎から外す際、蓋部40がリング30に引っ掛かるので、リング30と蓋部40を簡単に取り外すことができる。
【0032】
また、本実施形態に係るコンドームによれば、蓋部40がリング30の外径より小さいため、リング30の外縁を手で掴みやすくなり、コンドームの装着がより簡単になる。
【0033】
また、本実施形態に係るコンドームによれば、通路31の一方の開口部H1がリング20の径方向に対して垂直な方向に開口し、他方の開口部H2がリング20の中心に向かって開口していることから、未使用時における蓋部40とコンドーム本体10との隙間を狭めることができ、コンドーム本体10の精液溜まりに空気を入り込み難くすることができる。
【0034】
また、本実施形態に係るコンドームによれば、弾性を有した蓋部40がコンドーム本体10の先端に当たって変形し、精液溜まりに広い面積で押し当てられることから(図7)、精液溜まりへの空気の流入をより効果的に防止できる。しかも、装着時に蓋部40がコンドーム本体10の先端に当たって変形し、この変形した蓋部40が元の状態へ戻ろうとする弾性力によりテープ20が引っ張られてコンドーム本体10から分離されるので、テープ20がコンドーム本体10に巻かれた状態で残ることを防止できる。
【0035】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
上述した第1の実施形態に係るコンドームではテープ20の一方の端のみが蓋部40に固着されているのに対し、第2の実施形態に係るコンドームではテープ20の両方の端が蓋部40に固着されており、リング30の通路に挿通されたテープ20がリング30から分離されない状態となっている。
【0036】
図9は、本実施形態に係るコンドームにおけるリング30、テープ20及び蓋部40を例示する図である。本実施形態において、蓋部40における3つの板部にはテープ20の両端がそれぞれ固着されている。テープ20は、ほぼ中心部においてV字状に折れ曲がっている。1本のテープ20は、例えば図9に示すように2つに折られた状態でコンドーム本体10と一体に巻き上げられる。
コンドーム本体10が巻き上げられた状態において、1本のテープ20につき2本の巻き残し部分が生じるが、そのうちの一方の巻き残し部分がリング30の通路を介して蓋部40に固着され、他方の巻き残し部分が蓋部40に直接固着される。これにより、リング30の通路に挿通されたテープ20がリング30から分離されない状態となる。
【0037】
本実施形態に係るコンドームによれば、コンドーム本体10の装着後にテープ20がリング30から分離しないため、リング30、テープ20及び蓋部40を一体的に取り外すことができる。また、リング30とテープ20及び蓋部40とがバラバラにならないため、これらを簡単に片付けることができる。
【0038】
以上、本発明の幾つかの実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態のみに限定されるものではなく、例えば以下に述べるような種々のバリエーションを含んでいる。
【0039】
上述の実施形態ではリング30の断面を円形にした例を挙げているが、本発明はこれに限定されない。すなわち、リング30の断面を楕円形や三角形、扇形、長方形など任意の形状にしてよい。
【0040】
また、リング30の断面は、コンドーム本体10と蓋部40との隙間がより狭くなるような形状とすることが望ましい。この隙間を狭くすることによって、コンドーム本体10の先端の精液溜まりに空気を入り難くすることができる。
【0041】
図10は、リング30の断面が三角形の場合の例を示す図である。
図10の例において、三角形の辺の部分に対応する斜面がリング30の中心に向かって傾斜しており、この斜面に蓋部40の外縁(板部の先端)が当接する。蓋部40と斜面との接触位置が下(リング30の内側)になるほど、蓋部40とコンドーム本体10との隙間が狭くなる。
【0042】
なお、図10に示すようにリング30の内縁に傾斜した斜面が設けられている場合、蓋部40の外縁にも斜面を設けてよい。リング30の内縁と蓋部40の外縁とを互いの斜面同士で接触させ、蓋部40をリング30の内側に深くめり込んだ状態にすることで、蓋部40とコンドーム本体10との隙間をより狭めることができる。また、リング30と蓋部40とを互いの斜面で安定に接触させることで、径方向への位置ずれを効果的に抑制できる。
【0043】
更に、断面30の頂点部分に丸みを持たせたせるようにすれば、コンドーム本体10とリング30とが接触した場合に、その接触部分に過度な圧力や摩擦力が生じ難くなる。
【0044】
また、本発明の他の実施例として、例えば図11、図12に示すように、リング30の内縁に蓋部40と嵌合する溝を設けてもよい。
図11は、未使用状態のコンドームを陰茎挿入口の反対方向から見た平面図の一例を示し、図12は図11に示す未使用状態のコンドームを鎖線A−B−Cに沿って切断したときの断面を例示する。
図12に示すように、リング30の内縁に溝32が設けられており、この溝32に蓋部40の板部の先端が嵌合する。溝32の底部には、テープ20を案内するための通路の開口部が設けられている。図11,図12に示すような構造でも、蓋部40をリング30の内側に深くめり込んだ状態にすることが可能であり、蓋部40とコンドーム本体10との隙間を狭くすることができる。また、蓋部40とリング30との位置ずれをより効果的に抑制できる。
【0045】
また、上述した実施形態では、テープ20を案内するために設けられているリング30の通路31が両端の開口部を除いて閉じているが、本発明はこれに限定されない。すなわち、本発明の他の実施例として、例えば図13に示すように、リング30の内側に向かって開いたスリットS1を有するように通路31を形成してもよい。このスリットS1においてテープ20を出し入れできるため、例えばテープ20をコンドーム本体10と一体に巻き上げて蓋部40に固着した後からでも、通路31にテープ20を通すことが可能になり、製造工程を簡易化できる。
なお、図13の例ではリング30の内側に向かってスリットが開いているが、リング30の外側に向かってスリットが開くようにしてもよい。
【0046】
また、スリットの位置は任意であり、例えば図13に示すように通路31の中央部分でもよいし、図14に示すように通路31の端の部分でもよい。スリットS1を通路31の端の部分に設ければ、帯状のテープ20を曲げたり折ったりすることなく通路31に通すことができるため、製造工程を更に簡易化できる。
この場合、リング30に形成される全ての通路31について、リング30の中心から見たスリットS1の位置を通路31の右端若しくは左端のどちらか一方に統一してよい。スリットS1の位置を全ての通路31について統一させることにより、リング30を一方向へ回転させるようにして全ての通路31にテープ20を通すことが可能なるため、製造工程をより簡易化できる。
【0047】
また、一般にコンドームは暗所で使用されることから、手の感覚だけで間違いなく装着できるようにすることが望ましい。本実施形態に係るコンドームでは、コンドーム本体10の挿入口の反対側が蓋部40で閉鎖されていることにより誤った挿入が防止されているが、更に凹凸や着色を蓋部40に施すことで表と裏(陰茎の挿入口の側とその反対側)の区別を把握し易くすることができる。
すなわち、蓋部40のコンドーム本体10と当接する面(内面)に対して反対側の面(外面)に、指で触れて分かる程度の凹凸を設けることにより、手の感覚だけで表と裏を把握できる。これにより、暗所でも簡単に表と裏を識別できるとともに、目の不自由な人も使用し易くなる。
また、蓋部40以外に、例えばリング30の表側(蓋部40と当接する側)に凹凸を設けても良い。この場合も、上記と同様の効果を奏することができる。
更に、蓋部40の外面に蛍光物質を含む領域を設ければ、暗い所でも裏と表を目で容易に区別することができる。
【0048】
また、本発明の他の実施例では、未使用状態において蓋部40とリング30とが分離可能に接着又は固定されるようにしてもよい。
例えば、接着力の比較的弱い接着材によって蓋部40とリング30との接触部を接着し、使用の際この接着箇所を容易に分離できるようにしてもよい。
あるいは、蓋部40とリング30の一方若しくは両方に爪や突起などを設けて、一方が他方を挟んで固定するように形成し、蓋部40(若しくはリング30)の弾力性によってこの固定を簡単に外せるようにしてもよい。
これにより、未使用状態においてリング30から蓋部40が離れて動くことによりテープ20がコンドーム本体10から外れてしまうことを防止できる。
【0049】
図6の例ではテープ20の通路31をL字状に曲げているが、例えば図10に示すように、加工が容易な直線状に形成してもよい。
【0050】
図1,図11の例では蓋部40がリング30の外径より小さいが、蓋部40をリング30の外径より大きくしてもよい。
【0051】
上述の実施形態ではテープ30を3本設けているが、この本数は任意であり、2本以下でも4本以上でもよい。
【0052】
上述の実施形態ではテープ案内部がリング状の形態をしているが(リング30)、本発明はこれに限定されない。すなわち、テープ20を案内するための通路と、装着時に陰茎を挿入する孔を有する構造であれば、テープ案内部の形状は任意でよい。
【符号の説明】
【0053】
10…コンドーム本体、20…テープ、30…リング、31…通路、32…溝、40…蓋部。




【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンドーム本体と、
前記コンドーム本体の外面に沿わせた状態で前記コンドーム本体と一体に巻き上げられた複数のテープと、
巻き上げられた前記コンドーム本体の陰茎挿入口の反対側に配置され、前記複数のテープの巻き残し部分の端が固着されており、前記コンドーム本体の装着時に前記コンドーム本体の先端と当接する蓋部と、
前記複数のテープを案内する複数の通路が形成され、前記コンドーム本体の装着時に陰茎を挿通させる孔を備えたテープ案内部と
を有するコンドーム。
【請求項2】
前記テープは、その両端を前記蓋部に固着された状態で前記コンドーム本体と一体に巻き上げられており、両端の巻き残し部分の一方が前記テープ案内部の前記通路に通されている、
請求項1に記載のコンドーム。
【請求項3】
前記テープ案内部はリング状の形態を有しており、
前記蓋部が
前記リング状の形態の内径より大きい、又は、
前記リング状の形態の内径より大きく外径より小さい、
請求項1又は2に記載のコンドーム。
【請求項4】
前記テープ案内部の前記通路は、両端の開口部の一方が前記リング状の形態の径方向に対して垂直な方向に開口し、他方が前記リング状の形態の中心に向かって開口する、
請求項3に記載のコンドーム。
【請求項5】
前記テープ案内部は、前記リング状の形態の中心に向かって傾斜する面を有し、
前記蓋部は、その外縁が前記テープ案内部の前記傾斜面に当接する、
請求項3に記載のコンドーム。
【請求項6】
前記テープ案内部は、前記リング状の形態の内縁において前記蓋部と嵌合する溝を有し、
前記通路は、前記溝の底部に開口部を有する、
請求項3に記載のコンドーム。
【請求項7】
前記通路は、前記リング状の形態の内側若しくは外側に向かって開いており、前記テープの出し入れが可能なスリットを有する、
請求項3乃至6の何れか一項に記載のコンドーム。
【請求項8】
前記スリットが、前記通路の端部に設けられている、
請求項7に記載のコンドーム。
【請求項9】
全ての前記通路における前記スリットの位置が、前記リング状の形態の中心から見て前記通路の右端又は左端の一方に統一されている、
請求項8に記載のコンドーム。
【請求項10】
前記蓋部は、前記コンドーム本体と当接する面に対して反対側の面に凹凸部を有する、及び/又は、当該反対側の面に蛍光物質を含んだ領域を有する、
請求項1乃至9の何れか一項に記載のコンドーム。
【請求項11】
未使用状態において、前記蓋部と前記テープ案内部とが分離可能に接着又は固定されている、
請求項1乃至10の何れか一項に記載のコンドーム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−259601(P2010−259601A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−112252(P2009−112252)
【出願日】平成21年5月1日(2009.5.1)
【特許番号】特許第4474489号(P4474489)
【特許公報発行日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(506062285)
【出願人】(509126852)
【Fターム(参考)】