説明

コンバイナ光学系及び装着型表示装置

【課題】 偏光分離素子が暗く見えることによる見栄えの悪化を防止することができるコンバイナ光学系及び装着型表示装置を提供する。
【解決手段】 コンバイナ光学系11は、p偏光成分の透過を許し且つs偏光成分を反射させる偏光分離素子16と、該偏光分離素子を透過したp偏光成分を該偏光分離素子に向けて反射させるための反射部材17と、該反射部材と偏光分離素子16との間に配置される1/4波長板18とを備える。偏光分離素子16によるs偏光成分の反射率は、0.2以上であり且つ0.8以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示面から射出した光束を外界から入射する光束に重畳させて観察者の眼に照射することにより画像表示面に表示された画像と共に外界を観察者に見せることができるコンバイナ光学系及びそれを用いた装着型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば観察者の頭部に装着される装着型表示装置に用いられるコンバイナ光学系が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このようなコンバイナ光学系は、画像表示部から射出した光束のp偏光成分を透過し且つs偏光成分を反射させる偏光分離素子である偏光ビームスプリッタ(以下、PBSと称す。)を備える。更に、コンバイナ光学系は、PBSを透過した光をPBSに向けて反射させるための反射部材と、該反射部材とPBSとの間に配置された1/4波長板とを備える。PBSは、反射部材からの反射光を観察者の眼に向けて反射させるように配置されている。PBSによるs偏光成分の反射率Rsは、ほぼ1である。
【0004】
画像表示部から射出してPBSを透過した光束のp偏光成分は、1/4波長板を透過することにより円偏光に変換され、反射部材で反射した後、1/4波長板に再度入射することによりs偏光成分に変換される。その後、1/4波長板から射出したs偏光成分は、PBSに入射する。このとき、PBSによるs偏光成分の反射率Rsがほぼ1であることから、PBSに入射したs偏光成分は、ほぼ全てPBSで反射し、観察者の眼に入射する。
【0005】
また、外界からPBSに入射する光束のs偏光成分の大部分はPBSで反射されるが、その光束のp偏光成分の大部分はPBSを透過して観察者の眼に入射する。
【0006】
これにより、装着型表示装置を装用した観察者は、画像表示部に表示された画像を外界像と重畳させて見ることができる。
【特許文献1】特許第3260867号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、PBSに入射する光束のs偏光成分がほぼ全てPBSで反射されることから、例えばPBSに観察者側から外界側に向けて光が入射したとき、p偏光成分のみが透過するPBSの光量が、p偏光成分及びs偏光成分の両成分が透過する周囲の光量のほぼ半分になる。従って、装着型表示装置を外界から見たとき、PBSの明るさがその周囲の明るさに比べて暗く見えるため、PBSが目立ち、見栄えが悪い。
【0008】
そこで、本発明の目的は、PBSのような偏光分離素子が暗く見えることによる見栄えの悪化を防止することができるコンバイナ光学系及び装着型表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係るコンバイナ光学系は、入射する光束のp偏光成分を透過させ且つ前記光束のs偏光成分を反射させる偏光分離素子と、該偏光分離素子を透過した光を前記偏光分離素子に向けて反射させるための反射部材と、該反射部材と前記偏光分離素子との間に配置される1/4波長板とを備え、前記偏光分離素子による前記s偏光成分の反射率は0.2以上であり且つ0.8以下であることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、偏光分離素子によるs偏光成分の反射率が0.2以上であり且つ0.8以下であることから、例えば偏光分離素子によりs偏光成分の反射率が0.5である場合、偏光分離素子に入射するs偏光成分の50%は偏光分離素子を透過する。
【0011】
このことから、例えば偏光分離素子によるs偏光成分の反射方向の反対側へ向けて光が入射するとき、該光のs偏光成分の一部が偏光分離素子を透過する。これにより、偏光分離素子によるs偏光成分の反射率が従来のように1である場合に比べて、偏光分離素子を透過した光束の単位面積当たりの光量とその周囲を透過した光束の単位面積当たりの光量との差が小さくなる。すなわち、偏光分離素子によるs偏光成分の反射率が1である場合に比べて、偏光分離素子とその周囲とのコントラストが小さくなる。
【0012】
従って、本発明に係るコンバイナ光学系を例えば観察者の頭部に装着される装着型表示装置に偏光分離素子が観察者に向けてs偏光成分を反射するように用いた場合に、装着型表示装置を外界から見たとき、偏光分離素子の明るさがその周囲の明るさに比べて暗く見えることが抑制される。
【0013】
また、上記課題を解決するために、本発明に係る装着型表示装置は、観察者の眼に呈示する画像が表示される画像表示部と、該画像表示部から射出した光束のp偏光成分を透過させ且つ前記光束のs偏光成分を反射させる偏光分離素子と、該偏光分離素子を透過した光を前記偏光分離素子に向けて反射させるための反射部材と、該反射部材と前記偏光分離素子との間に配置される1/4波長板とを備え、前記偏光分離素子は、前記s偏光成分を前記眼に向けて反射させるように配置されており、前記偏光分離素子による前記s偏光成分の反射率は0.2以上であり且つ0.8以下であることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、偏光分離素子によるs偏光成分の反射率が0.2以上であり且つ0.8以下であることから、例えば偏光分離素子によりs偏光成分の反射率が0.8である場合、偏光分離素子に入射するs偏光成分の20%は偏光分離素子を透過する。
【0015】
このことから、例えば偏光分離素子の観察者側から外界側に向けて光が入射したとき、該光のs偏光成分の一部が偏光分離素子を透過する。これにより、偏光分離素子によるs偏光成分の反射率が従来のように1である場合に比べて、偏光分離素子を透過した光束の単位面積当たりの光量とその周囲を透過した光束の単位面積当たりの光量との差が小さくなる。すなわち、偏光分離素子によるs偏光成分の反射率が1である場合に比べて、偏光分離素子とその周囲とのコントラストが小さくなる。
【0016】
従って、装着型表示装置を外界から見たとき、偏光分離素子の明るさがその周囲の明るさに比べて暗く見えることが抑制される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、偏光分離素子が暗く見えることによる従来のような見栄えの悪さを確実に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を図示の実施例に沿って説明する。
【実施例1】
【0019】
本発明に係る装着型表示装置10は、図1に示すように、コンバイナ光学系11と、画像表示部12とを備える。装着型表示装置10は、画像表示部12から出力される画像を観察者にコンバイナ光学系11を介して呈示すべく図示しない観察者の頭部に装着される。
【0020】
画像表示部12は、図2に示すように、観察者に呈示する画像が表示される表示画面13と、該表示画面をその背面側から照明するための光源14と、表示画面13及び光源14を収納するハウジング15とを有する。
【0021】
表示画面13は、図示の例では、液晶パネルで構成されている。光源14は、図示の例では、LEDで構成されている。光源14により照明された表示画面13から射出される光束の波長は所定の波長に設定されている。また、表示画面13からの光束は偏光しており、その偏光方向は、図2の紙面に対して平行な平面内に振動面を有するp偏光になるように設定されている。
【0022】
コンバイナ光学系11は、偏光分離素子16と、反射部材17と、1/4波長板18とを備える。更に、コンバイナ光学系11は、図示の例では、観察者の左眼19の前方に配置される導光プリズム20と、該導光プリズムの前方(図2で見て導光プリズム20の上方である。)に配置される板状の左眼用偏光板21とを備える。
【0023】
導光プリズム20は、全体に直方体形状をなしており、装着型表示装置10の左右方向(図2で見て左右方向であり、観察者の頭部の左右方向である。)に沿って伸びるように配置されている。また、導光プリズム20は、図示の例では、その長手方向の一端部20aで画像表示部12のハウジング15に連結されている。導光プリズム20のd線(波長587nm)における屈折率ndは、図示の例では、nd=1.804である。
【0024】
導光プリズム20の一端部20aの端面には、表示画面13からの光束の入射を受ける入射面20bが形成されている。入射面20bは、表示画面13からの光束の主光線が入射面20bにほぼ垂直になり且つ前記光束が導光プリズム20の前後方向で互いに対向する一対の平行な側面のうち前方側に位置する側面である前方面20cに入射するように、導光プリズム20の内方へ向けて所定の角度で傾斜している。入射面20bの傾斜角度は、表示画面13からの光束が前方面20cに入射するときの入射角が臨界角よりも大きくなるように設定されており、図示の例では、78°である。これにより、前方面20cに入射した光束は、該前方面で全反射する。すなわち、前方面20cは、入射面20bを経て導光プリズム20内に入射した光束をPBS16に向けて全反射させる反射面を構成する。
【0025】
また、導光プリズム20は、協働して直方体をなすように互いに接合された二つのプリズム20e,20fからなる。一方のプリズム20eの接合面20gには、誘電体が多層膜状に真空蒸着されることにより、偏光分離素子16が形成されている。すなわち、偏光分離素子16は、導光プリズム20の内部に設けられている。また、前記一方のプリズム20eは、その接合面20gと反対側に位置する端面に出射面20hを有する。
【0026】
偏光分離素子16は、図示の例では、偏光ブームスプリッタ16(以下、PBSと称す。)で構成されている。PBS16は、光束のp偏光成分を透過させ、図2の紙面に対して垂直な平面内に振動面を有するs偏光成分を反射させる。PBS16は、その後方側の縁部16aが前方側の縁部16bよりも導光プリズム20の内方側に位置するように、導光プリズム20の前方面20c及び後方面20dに対して傾斜している。PBS16の傾斜角度は、図示の例では、前方面20cで全反射した光束がPBS16に入射するときの入射角が39°になるように設定されている。PBS16への光束の入射角の大きさは、PBS16の偏光分離機能を確実に発揮させるために、PBS16の反射性能に応じて規定されている。
【0027】
本発明に係るPBS16によるs偏光成分の反射率Rsは、0.2以上であり且つ0.8以下である。PBS16の反射率Rsの調節は、例えば前記一方のプリズム20eの接合面20gに真空蒸着される誘電体膜の積層数を変化させたり、各誘電体膜に設定された屈折率を変化させたりすることにより行われる。
【0028】
図3は、本実施例に係るPBS16によるs偏光成分及びp偏光成分のそれぞれの波長と、PBS16によるs偏光成分の反射率Rs及びp偏光成分の反射率Rpとの関係を示すグラフである。図8のグラフの縦軸は反射率Rs,Rpを示し、横軸は波長を示す。図3に示すように、反射率Rpは、p偏光成分の波長の値に拘らずほぼ0%である。他方、反射率Rsは、s偏光成分の波長の値に拘らずほぼ50%すなわち0.5である。
【0029】
1/4波長板18は、図2に示すように、前記一方のプリズム20eの出射面20hに設けられている。1/4波長板18は、従来よく知られているように、該1/4波長板に入射する光束に位相差を生じさせる。例えば1/4波長板18を透過する光束が直線偏光である場合には、該光束は円偏光に変換され、1/4波長板18を透過する光束が円偏光である場合には、該光束は直線偏光に変換される。
【0030】
反射部材17は、一方の面に凸面を有するガラス板からなる。また、反射部材17は、他方の面である平面が1/4波長板18に対向するように配置されており、1/4波長板18を介して前記一方のプリズム20eに固定されている。反射部材17の前記凸面には、例えば金属蒸着が施されることにより凹面鏡17aが形成されている。1/4波長板18を経た光束は、前記平面を経て反射部材17内に入射し、凹面鏡17aで反射する。すなわち、反射部材17は従来よく知られた裏面鏡である。反射部材17は、凹面鏡17aに反射部材17内から照射された光束がPBS16に向けて反射し更に該PBSで後述するように観察者の左眼19に照射される角度で傾斜している。
【0031】
左眼用偏光板21は、導光プリズム20にほぼ平行に配置されている。また、左眼用偏光板21は、図1に示すように、観察者の図示しない右眼の前方に配置される右眼用偏光板22に隣接して配置されており、該右眼用偏光板に連結されている。左眼用偏光板21及び右眼用偏光板22には、それぞれ装着型表示装置10を観察者の頭部に装着するための装着具23が取り付けられている。左眼用偏光板21に取り付けられた装着具23に画像表示部12が固定されている。左眼用偏光板21及び右眼用偏光板22の偏光軸の方向は、それぞれPBS16に対するs偏光成分の偏光方向と同一である。従って、各偏光板21,22は、それぞれs偏光成分の透過を許し、p偏光成分の透過を阻止する。
【0032】
更に、図示の例では、導光プリズム20と画像表示部12との間に、収差を補正するための接合凸レンズ24が配置されている。接合凸レンズ24は、図示の例では、両凸レンズと平凹レンズとを互いに接合することにより形成されている。
【0033】
画像表示部12の表示画面13から射出されたp偏光成分は、接合凸レンズ24を透過することにより集光され、導光プリズム20の入射面20bに入射する。このとき、前記したように、表示画面13からのp偏光成分が入射面20bに垂直に入射することから、光線の結像に対して非対称な要素が発生することが防止される。
【0034】
入射面20を経て導光プリズム20内に入射したp偏光成分は、導光プリズム20の前方面20cでPBS16に向けて全反射する。このとき、p偏光成分は全反射することから、前方面20cでのp偏光成分の反射によるp偏光成分の光学的エネルギーの損失は生じない。p偏光成分は、前方面20cで全反射した後、PBS16に入射する。このとき、前記したように、PBS16はp偏光成分の透過を許すことから、PBS16に入射したp偏光成分はPBS16を透過する。
【0035】
PBS16を透過したp偏光成分は、1/4波長板18を透過することにより円偏光成分に変換された後、凹面鏡17aに集光され、該凹面鏡で反射することによりほぼ平行光になる。すなわち、凹面鏡17aは、凸レンズとしての従来よく知られた役割を担う。
【0036】
凹面鏡17aで反射した円偏光成分は、1/4波長板18を透過することによりs偏光成分に変換された後、PBS16に再度入射する。このとき、前記したように、PBS16によるs偏光成分の反射率Rsがほぼ50%であることから、PBS16に入射したs偏光成分のほぼ半分はPBS16で反射し、s偏光成分の残りのほぼ半分はPBS16を透過する。
【0037】
PBS16で反射したs偏光成分は、導光プリズム20の後方側に位置する側面である後方面20dを経て観察者の左眼19に照射される。このとき、凹面鏡17aで反射した円偏光成分が平行光であることから、観察者の左眼19には、画像表示部12の表示画面13に表示された画像が左眼19から遠く離れた位置に表示されているように見える。
【0038】
また、装着型表示装置10の外方から該装着型表示装置に照射される自然光は、先ず、左眼用偏光板21及び右眼用偏光板22に入射する。
【0039】
一般的に、無偏光状態にある自然光が地面及び水面等で反射すると、反射光は地面及び水面への入射面に対して垂直方向に偏光する。この反射光の偏光方向は、装着型表示装置10のPBS16に入射する光束のp偏光成分の偏光方向に一致する。前記したように、左眼用偏光板21及び右眼用偏光板22の偏光軸の方向は、s偏光成分の偏光方向と同一である。
【0040】
従って、左眼用偏光板21及び右眼用偏光板22の偏光軸の方向をs偏光成分の偏光方向にすることにより、p偏光成分である反射光が左眼用偏光板21及び右眼用偏光板22により遮断されるので、反射光が観察者の眼に照射されることが防止される。
【0041】
これにより、反射光が観察者による外界の視認の妨げになることが防止されるので、観察者は外界をより明確に見ることができる。また、左眼用偏光板21及び右眼用偏光板22によってp偏光成分が遮断されることにより観察者から見た外界の明るさが半減するので、外界の光度に対する画像表示部12の表示画面13に表示された画像の光度が上がる。これにより、観察者は、画像表示部12の表示画面13に表示された画像をより明確に視認することができる。
【0042】
他方、左眼用偏光板21を透過した自然光のs偏光成分は、PBS16に入射する。このとき、PBS16によるs偏光成分の反射率がほぼ0.5であることから、左眼用偏光板21を透過した自然光のs偏光成分のほぼ半分はPBS16で画像表示部12に向けて装着型表示装置10の左右方向に沿って反射し、自然光のs偏光成分の残りのほぼ半分はPBS16を透過する。
【0043】
これにより、PBS16によるs偏光成分の反射率Rsが100%すなわち1である場合に比べて、観察者がPBS16を通して外界を見たときの外界の明るさが明るくなるので、観察者は、PBS16を通しての外界の視認がし易くなる。
【0044】
従って、装着型表示装置10を装用した観察者は、画像表示部12の表示画面13に表示された画像を外界像と重畳させて見ることができる。
【0045】
また、光束が導光プリズム20にその観察者側から入射したとき、導光プリズム20の後方面20dの領域のうちPBS13に対応する領域以外の領域に照射された光束の大部分は、導光プリズム20をその左眼用偏光板21側に透過する。導光プリズム20を透過した光束は、左眼用偏光板21に照射される。このとき、光束のうちs偏光成分は左眼用偏光板21の透過が許され、p偏光成分は左眼用偏光板21の透過が阻止される。従って、導光プリズム20に入射した光束のs偏光成分のみが左眼用偏光板21から装着型表示装置10の前方に射出される。
【0046】
他方、導光プリズム20の前方面20cの領域のうちPBS16に対応する領域に照射された光束は、導光プリズム20内に入射した後、PBS16に照射される。このとき、前記光束のp偏光成分の大部分はPBS16を透過し、更に、前記光束のs偏光成分の半分がPBS16を透過する。PBS16を透過したp偏光成分及びs偏光成分は、それぞれ導光プリズム20を透過した後、左眼用偏光板21に照射され、s偏光成分のみが左眼用偏光板21を透過し、該左眼用偏光板から装着型表示装置10の前方に射出される。
【0047】
これにより、PBS16を透過したs偏光成分が外界に射出されることから、光束が導光プリズム20にその観察者側から入射したとき、反射率Rsがほぼ1である場合にようにPBS16に照射された光のs偏光成分がほぼ全て装着型表示装置10の前方に射出されない場合に比べて、導光プリズム20のPBS16に対応する領域から外界に射出される光束の単位面積当たりの光量が多くなる。
【0048】
従って、反射率Rsがほぼ1である場合に比べて、PBS16を透過した光束の単位面積当たりの光量とその周囲を透過した光束の単位面積当たりの光量との差が小さくなる。これにより、PBS16とその周囲とのコントラストが小さくなるので、装着型表示装置10を外界から見たとき、PBS16の明るさがその周囲の明るさに比べて暗く見えることが抑制される。
【0049】
これに対し、PBS16による反射率Rsがほぼ1である場合、s偏光成分のみの透過を許す左眼用偏光板21を導光プリズム20の前方に配置すると、光束が導光プリズム20にその観察者側から入射したときに、導光プリズム20のPBS16に対応する領域からはs偏光成分及びp偏光成分が共に外界に射出されないため、前記領域における光量はほぼ0になる。このため、左眼用偏光板21が配置されない場合すなわちp偏光成分が導光プリズム20の前記領域及び該領域の周囲の領域から外界に射出される場合に比べて、PBS16を透過した光束の単位面積当たりの光量とその周囲を透過した光束の単位面積当たりの光量との差が大きくなる。従って、装着型表示装置10を外界から見たとき、左眼用偏光板21が配置されない場合に比べて、PBS16の明るさがその周囲の明るさよりもより暗く見えてしまう。
【0050】
本実施例によれば、前記したように、PBS16によるs偏光成分の反射率Rsを0.5にすることにより、装着型表示装置10を外界から見たときのPBS16の明るさがその周囲の明るさに比べて暗く見えることが抑制される。これにより、s偏光成分のみの透過を許す左眼用偏光板21が導光プリズム20の前方に配置されている場合でも、PBS16が暗く見えることによる装着型表示装置10の従来のような見栄えの悪さを確実に抑制することができる。
【0051】
PBS16による反射率Rsの値が0.2よりも小さい場合、前記した見栄えの悪さをより確実に抑制することができるが、凹面鏡17aで反射したs偏光成分の大部分がPBS16を透過するため、観察者の左眼19に照射されるs偏光成分の光量が減る。このため、コンバイナ光学系11による観察者への画像呈示性能が低下してしまう。
【0052】
PBS16による反射率Rsの値が0.8よりも大きい場合、反射率Rsの値を小さくすることによる前記した見栄え悪化抑制効果を発揮することができない。
【0053】
これに対し、本実施例によれば、前記したように、PBS16による反射率Rsが0.2以上であり且つ0.8以下であることから、画像呈示性能の低下を招くことなく、装着型表示装置10の見栄えの悪さを確実に抑制することができる。
【0054】
また、本実施例によれば、前記したように、凹面鏡17aに凸レンズとしての機能を担わせることにより、画像表示部12の表示画面13に表示された画像が眼から遠く離れた位置に表示されているように観察者の眼に見せることができる。これにより、表示画面13に表示される画像を単に平面な鏡で反射させることにより観察者に呈示する場合のように表示画面13に表示された画像を眼の近くで表示させる場合に比べて、観察者の眼に画像を視認させ易くすることができる。
【0055】
更に、本実施例によれば、前記したように、画像表示部12の表示画面13から射出した光束を導光プリズム20のその前方側に位置する前方面20cでPBS16に向けて全反射させる。このことから、表示画面13からPBS16への光束の光路を、表示画面13からの光束をPBS16に直接入射させる場合の光路に対して光束の入射面内で導光プリズム20の前方へ傾けることができる。これにより、導光プリズム20の前方面20c及び後方面20dに対するPBS16の勾配が緩くなる方向へ該PBSを前記光路の傾斜角に相当する角度で更に傾斜させることができる。これにより、導光プリズム20内に確保すべきPBS16の配置スペースを導光プリズム20の前後方向に小さくすることができる。
【0056】
従って、入射面20bを経て入射した光束を全反射させることなくPBS16に直接照射させる場合に比べて、導光プリズム20の薄型化を図ることができる。
【0057】
これにより、コンバイナ光学系11が用いられた装着型表示装置10の重量が軽くなるので、観察者が装着型表示装置10を装用したときの該装着型表示装置の姿勢の安定感を確実に向上させることができる。また、観察者が装着型表示装置10を装用したときに導光プリズム20が装用の邪魔になることを確実に抑制することができる。従って、装着型表示装置10の使用性を確実に向上させることができる。
【実施例2】
【0058】
実施例1において、PBS16に照射された光束のp偏光成分の一部がPBS16を透過せずに反射することを考慮した場合、以下に示す反射特性をPBS16に設定することができる。
【0059】
実施例1では、PBS16によるs偏光成分の反射率Rsの上限は0.8であり、反射率Rpは0すなわちp偏光成分がPBS16を透過する透過率が1である。
【0060】
ここで、s偏光成分及びp偏光成分は、それぞれ自然光全体の半分である。従って、Rs=0.8である場合、自然光全体に対するs偏光成分の反射率Rstは、Rst=Rs×0.5=0.8×0.5=0.4となり、自然光全体に対するp偏光成分の反射率Rptは、Rpt=Rp×0.5=0×0.5=0となる。
【0061】
従って、PBS16における自然光全体の反射率RはR=Rst+Rpt=0.4+0=0.4となり、PBS16が暗く見えることを抑制するためには、反射率R≦0.4という関係を満たす必要がある。
【0062】
以上のことから、本実施例のようにp偏光成分がPBS16で反射する場合でも、反射率Rs、RpはそれぞれR=Rst+Rpt=Rs×0.5+Rp×0.5≦0.4という関係を満たす必要がある。このため、PBS16の反射特性は、反射率Rsの値と反射率Rpの値との和「Rs+Rp」がRs+Rp≦0.8という関係を満たすように設定される。
【0063】
従って、例えば、反射率Rsの値が0.6の場合、Rpの値は、0≦Rp≦0.2の範囲内で設定される。
【0064】
本実施例によれば、PBS16によるs偏光成分の反射率Rsの値とp偏光成分の反射率Rpの値との和を0.8以下にすることにより、p偏光成分の一部がPBS16で反射する場合でも、PBS16が暗く見えることによる装着型表示装置10の見栄えの悪化を確実に抑制することができる。
【実施例3】
【0065】
実施例1及び実施例2において、PBS16と左眼用偏光板21との間に、図4に示すように、該左眼用偏光板21をPBS16に向けて透過した光束の互いに直交する二つの偏光成分に光路差を与えるための波長板25を配置することができる。
【0066】
波長板25は、図示の例では、左眼用偏光板21を導光プリズム20に向けて透過した光束のs偏光成分の偏光方向に対して遅相軸が10°傾斜するように、導光プリズム20と左眼用偏光板21との間に配置されている。波長板25の一面25aは、導光プリズム20の前方面20cに接合されており、波長板25の他面25bは、左眼用偏光板21の導光プリズム20側に位置する面に接合されている。
【0067】
波長板25が各偏光成分に与える光路差dの値は、図示の例では、光束の波長をλとすると、0.5λに設定されている。すなわち、波長板25は、1/2波長板としての機能を担う。
【0068】
左眼用偏光板21を導光プリズム20に向けて透過した自然光のs偏光成分は、左眼用偏光板21から射出すると同時に波長板25に入射する。このとき、波長板25の遅相軸が、前記したように、s偏光成分の偏光方向に対して10°傾斜していることから、波長板25に入射したs偏光成分は、波長板25を透過することにより、遅相軸から−10°回転した直線偏光に変換される。波長板25から射出された直線偏光は、該波長板の一面25a及び導光プリズム20の前方面20cを経て導光プリズム20内に入射する。導光プリズム20内に入射した光束のうちPBS16に入射した直線偏光は、該PBSによってs偏光成分とp偏光成分とに分けられる。p偏光成分は、PBS16を透過した後、後方面20dを経て導光プリズム20内から観察者に向けて射出する。s偏光成分の半分はPBS16で装着型表示装置10の左右方向に沿って画像表示部12に向けて反射し、s偏光成分の残りの半分はPBS16を透過した後、導光プリズム20内から観察者に向けて射出する。
【0069】
これにより、PBS16によるs偏光成分の反射率が1である場合に比べて、観察者がPBS16を通して外界を見たときの外界の明るさが明るくなる。
【0070】
また、光束が導光プリズム20にその観察者側から入射したとき、導光プリズム20に入射した光束のうちPBS16に照射された光束は、該PBSによりp偏光成分とs偏光成分とに分けられた後、p偏光成分とs偏光成分の半分とがPBS16を透過して波長板25に入射する。導光プリズム20に入射した光束のうちPBS16に照射されない残りの光束は、導光プリズム20を透過した後、波長板25に入射する。
【0071】
このとき、光束のp偏光成分及びs偏光成分は、それぞれs偏光成分の偏光方向とは異なる偏光方向を有する直線偏光に波長板25によって変換されるので、波長板25を透過したp偏光成分及びs偏光成分のいずれも、s偏光成分のみの透過を許す左眼用偏光板21を透過することができない。このため、導光プリズム20に入射した光束は左眼用偏光板21から装着型表示装置10の前方に射出されない。これにより、左眼用偏光板21の前方でのPBS16における光度とその周囲における光度との間に差がなくなる。従って、装着型表示装置10を外界から見たとき、左眼用偏光板21を配置することによってPBS16の明るさがその周囲の明るさに比べて暗く見えることを、より確実に防止することができる。
【0072】
実施例3では、波長板25はその遅相軸が入射光束の偏光方向に対して10°傾斜するように配置された例を示したが、これに代えて、遅相軸が入射光束の偏光方向に対して10°以外の角度で傾斜するように波長板25を配置することができる。
【0073】
例えば、波長板25の遅相軸を入射光束の偏光方向に対して45°傾斜させた場合、左眼用偏光板21を透過した自然光のs偏光成分は、波長板25を透過することにより遅相軸から−45°回転した直線偏光すなわちp偏光成分に変換される。波長板25から射出したp偏光成分の一部は、導光プリズム20内に入射した後、PBS16を透過して導光プリズム20内から観察者に向けて射出する。また、波長板25から射出したp偏光成分の一部は、導光プリズム20内に入射した後、PBS16に入射することなく導光プリズム20内から観察者に向けて射出する。
【0074】
これにより、外界からPBS16に入射した光束が全て観察者の左眼19に照射されるので、PBS16によるs偏光成分の反射率が1である場合に比べて、観察者がPBS16を通して外界を見たときの外界の明るさをより明るくすることができる。
【0075】
また、入射光束の偏光方向に対する遅相軸の傾斜角度が45°である場合、導光プリズム20にその観察者側から入射してPBS16を透過したp偏光成分及びs偏光成分と、導光プリズム20に入射した光束のうちPBS16に照射されない残りの光束のp偏光成分及びs偏光成分とは、波長板25を透過することにより、それぞれs偏光成分及びp偏光成分に変換される。
【0076】
その後、s偏光成分及びp偏光成分はそれぞれ左眼用偏光板21に入射する。このとき、波長板25によりp偏光成分に変換されたs偏光成分はその左眼用偏光板21の透過が阻止され、s偏光成分に変換されたp偏光成分はその左眼用偏光板21の透過が許される。
【0077】
これにより、PBS16を透過した光束のうち左眼用偏光板21を透過して外界に射出する光束の単位面積当たりの光量と、PBS16を経ることなく導光プリズム20を透過した光束のうち左眼用偏光板21を透過して外界に射出する単位面積当たりの光量とが、ほぼ等しくなる。
【0078】
従って、装着型表示装置10を外界から見たとき、PBS16の明るさがその周囲の明るさとほぼ等しくなるので、導光プリズム20の前方にs偏光成分のみの透過を許す偏光板21を配置することによってPBS16の明るさがその周囲の明るさに比べてより暗く見えることを、より確実に防止することができる。
【0079】
また、実施例3では、波長板25が入射光束の各偏光成分に与える光路差dが0.5λである例を示したが、これに代えて、0.5λ以外の光路差dを入射光束の各偏光成分に与える波長板25を本発明に適用することができる。
【0080】
この場合、波長板25が入射光束の各偏光成分に与える光路差dを、0.1λ≦d≦0.6λの範囲内で設定することが好ましい。
【0081】
波長板25が入射光束の各偏光成分に与える光路差dの値が0.1λよりも小さい場合、入射光束のs偏光成分及びp偏光成分をそれぞれ他の偏光に変換するという機能を波長板25に十分に発揮させることができない。また、波長板25が入射光束の各偏光成分に与える光路差dが0.6λよりも大きい場合、反射光の光干渉による所謂色付きが目立ってしまう。
【0082】
これに対し、波長板25が入射光束の各偏光成分に与える光路差dの値を0.1λ≦d≦0.6λの範囲内で設定することにより、波長板25としての前記した機能を十分に発揮させることができ且つ色付きを防止することができる。
【0083】
上記した各実施例では、PBS16によるs偏光成分の反射率Rsが0.5である例を示したが、これに代えて、例えば図5に示すように、反射率Rsを0.7に設定することができる。
【0084】
また、上記した各実施例では、PBS16が、互いに接合された二つのプリズム20e,20fの一方のプリズム20eの接合面20gに誘電体が多層膜状に真空蒸着されることにより形成される例を示したが、これに代えて、入射する光束のp偏光成分の透過を許し且つ光束のs偏光成分を反射させる機能を有する板状部材でPBS16を構成することができる。この場合、前記板状部材を二つのプリズム20e,20f間に挟持することができる。
【0085】
更に、上記した各実施例では、偏光分離素子16がPBS16で構成された例を示したが、これに代えて、入射する光束のp偏光成分の透過を許し且つ光束のs偏光成分を反射させることができれば、PBS16以外の部材で偏光分離素子16を構成することができる。
【0086】
また、上記した各実施例では、反射部材17が凹面鏡17aを有する例を示したが、これに代えて、偏光分離素子16を透過したp偏光成分を偏光分離素子16に向けて反射させることができれば、凹面鏡17aを有する反射部材17以外の反射部材を本発明に適用することができる。
【0087】
更に、上記した各実施例では、導光プリズム20への入射光束は、前方面20cで一回全反射する例を示したが、これに代えて、導光プリズム20内への入射光束を、前方面20cで後方面20dに向けて全反射させ、後方面20cでPBS16に向けて更に全反射させることができ、又は、入射光束を前方面20cと後方面20dとで交互に複数回全反射させた後、入射光束をPBS16に照射させることができる。この場合、導光プリズム20の入射面20bの傾斜方向を適宜変更することができる。
【0088】
また、上記した各実施例では、表示画面13からの光束が導光プリズム20の前方面20cで全反射した後にPBS16に入射する例を示したが、これに代えて、表示画面13からの光束を導光プリズム20内で全反射させることなくPBS16に直接照射することができる。この場合、導光プリズム20を不要とし、更に、PBS16に前記したような板状のPBSを用いることができる。
【0089】
更に、上記した各実施例において、左右の眼の視力を矯正すべく屈折力を有する眼鏡レンズを備える既存の眼鏡に、本発明に係るコンバイナ光学系11を用いることができる。
【0090】
この場合、前記左右の眼鏡レンズにそれぞれ左眼用偏光板21及び右眼用偏光板22の役割を担わせることができ、又は、前記左右の眼鏡レンズとは別に、左眼用偏光板21及び右眼用偏光板22を設けることができる。
【0091】
また、上記した各実施例では、コンバイナ光学系11が左眼用偏光板21を備え、該左眼用偏光板に隣接して右眼用偏光板22が配置された例を示したが、これに代えて、左眼用偏光板21及び右眼用偏光板22をそれぞれ不要とすることができる。
【0092】
この場合、装着型表示装置10の外界から自然光がPBS16に入射したとき、PBS16によるs偏光成分の反射率Rsが0.5である場合、自然光のp偏光成分とs偏光成分の半分とがPBS16を透過する。
【0093】
これにより、左眼用偏光板21が配置された場合と同様に、PBS16によるs偏光成分の反射率Rsが1である場合に比べて、観察者がPBS16を通して外界を見たときの外界の明るさが明るくなる。従って、観察者は、PBS16を通して外界を視認し易くなる。
【0094】
また、光束が導光プリズム20にその観察者側から入射したとき、導光プリズム20の後方面20dの領域のうちPBS13に対応する領域以外の領域に照射された光束は、導光プリズム20内から装着型表示装置10の前方に射出される。
【0095】
他方、導光プリズム20の前方面20cの領域のうちPBS16に対応する領域に照射された光束は、PBS16に照射されたときにp偏光成分とs偏光成分とに分けられる。p偏光成分及びs偏光成分の半分は、PBS16を透過した後、導光プリズム20内から装着型表示装置10の前方に射出される。すなわち、PBS16に照射されたp偏光成分に加えてs偏光成分の半分が外界に射出される。
【0096】
これにより、導光プリズム20の領域のうちPBS13に対応する領域以外の領域から射出された光束の単位面積当たりの光量を1とすると、PBS16に対応する領域から射出された光束の単位面積当たりの光量が0.75となる。
【0097】
従って、PBS16とその周囲とのコントラストが小さくなるので、装着型表示装置10を外界から見たとき、PBS16の明るさがその周囲の明るさに比べて暗く見えることを確実に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明に係る装着型表示装置を概略的に示す斜視図である。
【図2】本発明に係るコンバイン光学系を概略的に示す説明図である。
【図3】本発明に係る偏光ビームスプリッタによるs偏光成分の反射率Rs及びp偏光成分の反射率Rpとs偏光成分及びp偏光成分のそれぞれの波長との関係を示すグラフである。
【図4】本発明に係る導光プリズムと左眼用偏光板との間に波長板が配置されたコンバイン光学系を概略的に示す説明図である。
【図5】図3に示す例とは別の実施例に係る偏光ビームスプリッタによるs偏光成分の反射率Rs及びp偏光成分の反射率Rpとs偏光成分及びp偏光成分のそれぞれの波長との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0099】
10 装着型表示装置
11 コンバイナ光学系
12 画像表示部
16 偏光分離素子(偏光ビームスプリッタ)
17 反射部材
17a 凹面鏡
18 1/4波長板
20 導光プリズム
20b 入射面
20c 反射面(前方面)
21 偏光部材(左眼用偏光板)
25 波長板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射する光束のp偏光成分を透過させ且つ前記光束のs偏光成分を反射させる偏光分離素子と、該偏光分離素子を透過した光を前記偏光分離素子に向けて反射させるための反射部材と、該反射部材と前記偏光分離素子との間に配置される1/4波長板とを備え、前記偏光分離素子による前記s偏光成分の反射率は0.2以上であり且つ0.8以下であることを特徴とするコンバイナ光学系。
【請求項2】
前記偏光分離素子による前記s偏光成分の反射率の値と前記p偏光成分の反射率の値との和が0.8以下であることを特徴とする請求項1に記載のコンバイナ光学系。
【請求項3】
前記偏光分離素子による光の反射方向の反対側には偏光部材が配置されており、該偏光部材の偏光軸の方向は、前記s偏光成分の偏光方向と同一であることを特徴とする請求項1又は2に記載のコンバイナ光学系。
【請求項4】
前記偏光分離素子と前記偏光部材との間には、該偏光部材を前記偏光分離素子に向けて透過した光束の互いに直交する二つの偏光成分に光路差を与えるための波長板が配置されていることを特徴とする請求項3に記載のコンバイナ光学系。
【請求項5】
前記波長板が前記光束に与える光路差の値は、0.1λ以上であり且つ0.6λ以下であることを特徴とする請求項4に記載のコンバイナ光学系。
【請求項6】
前記反射部材は、前記偏光分離素子に凹面を向けた凹面鏡を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のコンバイナ光学系。
【請求項7】
前記光束が入射する入射面を一端面に有し、他端面に前記反射部材が設けられる導光プリズムを更に備え、前記偏光分離素子は前記導光プリズム内に設けられており、該導光プリズムは、前記入射面を経て前記導光プリズム内に入射した光束を前記偏光分離素子に向けて少なくとも一回全反射させる反射面を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のコンバイナ光学系。
【請求項8】
観察者の眼に呈示する画像が表示される画像表示部と、該画像表示部から射出した光束のp偏光成分を透過させ且つ前記光束のs偏光成分を反射させる偏光分離素子と、該偏光分離素子を透過した光を前記偏光分離素子に向けて反射させるための反射部材と、該反射部材と前記偏光分離素子との間に配置される1/4波長板とを備え、前記偏光分離素子は、前記s偏光成分を前記眼に向けて反射させるように配置されており、前記偏光分離素子による前記s偏光成分の反射率は0.2以上であり且つ0.8以下であることを特徴とする装着型表示装置。
【請求項9】
前記偏光分離素子による前記s偏光成分の反射率の値と前記p偏光成分の反射率の値との和が0.8以下であることを特徴とする請求項8に記載の装着型表示装置。
【請求項10】
前記偏光分離素子の前記観察者側と反対側には偏光部材が配置されており、該偏光部材の偏光軸の方向は、前記s偏光成分の偏光方向と同一であることを特徴とする請求項8又は9に記載の装着型表示装置。
【請求項11】
前記偏光分離素子と前記偏光部材との間には、該偏光部材を前記偏光分離素子に向けて透過した光束の互いに直交する二つの偏光成分に光路差を与えるための波長板が配置されていることを特徴とする請求項10に記載の装着型表示装置。
【請求項12】
前記波長板が前記光束に与える光路差の値は、0.1λ以上であり且つ0.6λ以下であることを特徴とする請求項11に記載の装着型表示装置。
【請求項13】
前記反射部材は、前記偏光分離素子に凹面を向けた凹面鏡を有することを特徴とする請求項8乃至12のいずれか一項に記載の装着型表示装置。
【請求項14】
前記画像表示部から射出した光束が入射する入射面を一端面に有し、他端面に前記反射部材が設けられる導光プリズムを更に備え、前記偏光分離素子は前記導光プリズム内に設けられており、該導光プリズムは、前記入射面を経て前記導光プリズム内に入射した光束を前記偏光分離素子に向けて少なくとも一回全反射させる反射面を有することを特徴とする請求項8乃至13のいずれか一項に記載の装着型表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−128649(P2009−128649A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−303907(P2007−303907)
【出願日】平成19年11月26日(2007.11.26)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】