コンバインのドア開閉構造
【課題】 キャビンの乗降口からの目視による対象物に対する作業装置などの位置確認を容易に行えるようにする。
【解決手段】 キャビン9横側部の乗降口40を閉塞する前方の閉塞位置と、大きく開放する後方の全開位置とにわたって摺動可能に構成したスライドドア49を、その上部側に対して下部側が前方寄りに偏倚した形状に形成し、その前部側を前後揺動する上下一対の揺動アーム67,69で支持し、その後部側を前後向きのガイドレール72に沿って摺動する摺動部材71で支持して、その開閉時に、その前端が円弧軌道K1を描き、かつ、その後端が直線軌道K2を描くように構成し、摺動部材71による支持位置を、スライドドア49における上部側の後端部に設定し、揺動アーム67,69による支持位置を、スライドドア49における下部側の前後中心を通る線L上に設定してある。
【解決手段】 キャビン9横側部の乗降口40を閉塞する前方の閉塞位置と、大きく開放する後方の全開位置とにわたって摺動可能に構成したスライドドア49を、その上部側に対して下部側が前方寄りに偏倚した形状に形成し、その前部側を前後揺動する上下一対の揺動アーム67,69で支持し、その後部側を前後向きのガイドレール72に沿って摺動する摺動部材71で支持して、その開閉時に、その前端が円弧軌道K1を描き、かつ、その後端が直線軌道K2を描くように構成し、摺動部材71による支持位置を、スライドドア49における上部側の後端部に設定し、揺動アーム67,69による支持位置を、スライドドア49における下部側の前後中心を通る線L上に設定してある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搭乗運転部を覆うキャビンの横側部に形成した乗降口を前後方向の摺動で開閉するスライドドアを備えたコンバインのドア開閉構造に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のようなコンバインのドア開閉構造としては、スライドドアがキャビンの横側面に沿って前後方向に摺動するように構成したものがある(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−222639号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
コンバインにおいては、畦際でキャビン乗降口側の畦に沿って植立穀稈を刈り取る畦際作業を行う場合などがあり、このような場合に畦との接触を避けるためには、刈取搬送装置のキャビン乗降口側端部に配置されたデバイダなどを畦に対する適切な位置に位置させる必要がある。
【0004】
そして、この必要性が高い場合には、畦に対するデバイダなどの位置関係を運転者が目視して把握する必要が生じることになるが、上述した従来のドア開閉構造において、その目視確認を行うためには、キャビンのスライドドアを全開位置まで摺動させて全開位置に保持した後、全開の乗降口から顔など覗かせることになる。
【0005】
つまり、従来のドア開閉構造では、乗降口側の対象物に対する作業装置などの位置関係を、運転者がキャビンの乗降口から目視確認するためには、キャビンのスライドドアを全開位置まで摺動操作して全開位置に保持する必要があることから、その目視確認が煩わしいものになっていた。
【0006】
本発明の目的は、キャビンの乗降口からの目視による対象物に対する作業装置などの位置確認を容易に行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のうちの請求項1に記載の発明では、搭乗運転部を覆うキャビンの横側部に形成した乗降口を閉塞する前方の閉塞位置と、前記乗降口を大きく開放する後方の全開位置とにわたって摺動可能に構成したスライドドアを備えてあるコンバインのドア開閉構造において、前記スライドドアを、その上部側に対して下部側が前方寄りに偏倚した形状に形成し、前記スライドドアの前部側を前後揺動する上下一対の揺動アームで支持し、前記スライドドアの後部側を前後向きのガイドレールに沿って摺動する摺動部材で支持して、前記スライドドアの開閉時に、前記スライドドアの前端が円弧軌道を描き、かつ、前記スライドドアの後端が直線軌道を描くように構成し、前記スライドドアに対する前記摺動部材の支持位置を、前記スライドドアにおける前記上部側の後端部に設定し、前記スライドドアに対する前記揺動アームの支持位置を、前記スライドドアにおける前記下部側の前後中心を通る線上に設定してあるコンバインのドア開閉構造。
【0008】
この構成によると、スライドドアを、その開閉途中の例えば半開位置まで摺動操作すると、その前端側ほどキャビンの乗降口から横外方に離間する状態となって、キャビンの乗降口との間に前向きの開口が形成されることになり、機体における乗降口側の横外側前方に対する視界性が向上する。
【0009】
又、スライドドアを、その上部側に対して下部側が前方寄りに偏倚した形状に形成することで、スライドドアを開いた状態での乗降口側の機体前下方に対する視界をより広く確保でき、機体における乗降口側の横外側前方に対する視界性が更に向上する。
【0010】
つまり、畦際でキャビン乗降口側の畦に沿って植立穀稈を刈り取る畦際作業や、刈取搬送部におけるキャビン乗降口側のデバイダを植立穀稈に対する適切な位置に位置合わせする条合わせ作業などを行う場合には、スライドドアを開閉途中の例えば半開位置まで摺動させると、キャビンの乗降口とスライドドアとの間に形成される視界性に優れた前向きの開口から、畦や植立穀稈と刈取搬送装置のキャビン乗降口側に配置されたデバイダなどとの位置関係を容易に把握することができ、そのデバイダなどを畦や植立穀稈に対する適切な位置に容易に位置させることができる。
【0011】
しかも、スライドドアにおいて後方寄りとなる上部側のドア部分は、その上端における前端部が上側の揺動アームで支持され、かつ、その後端下部が摺動部材で支持された安定状態となり、又、前方寄りとなる下部側のドア部分は、その下端における前後中心が下側の揺動アームで支持された安定状態となり、もって、スライドドアを、その上部側に対して下部側を前方寄りに偏倚させた特異な形状としながらも、上下の揺動アームと摺動部材による3点で安定的に支持することができ、結果、スライドドアの開閉操作をガタツキのない安定状態で円滑に行える。
【0012】
従って、スライドドアを全開位置まで摺動操作しなくても、開閉途中の例えば半開位置まで摺動させるだけの操作で、視界性に優れた前向きの開口を形成できて、乗降口側の対象物に対する作業装置などの位置関係を容易に目視確認することができ、結果、乗降口側の状況判断が必要な作業での作業性の向上を効果的に図れる。
【0013】
本発明のうちの請求項2に記載の発明では、上記請求項1に記載の発明において、前記スライドドアのハンドルを、前記スライドドアにおける前記下部側の前後中心を通る前記線上に配置してある。
【0014】
この構成によると、スライドドアを、その上部側に対して下部側を前方寄りに偏倚させた特異な形状としながらも、ハンドルによるスライドドアの開閉操作を拗れのない安定状態で円滑に行える。
【0015】
又、閉塞位置においては、ハンドルによる操作で、乗降口の周囲に付設されるウェザーストリップに対してスライドドアを均等に押し当てることができ、結果、閉塞位置でのスライドドアの密閉度を高めることができる。
【0016】
従って、スライドドアの操作性の向上、及び、スライドドアの閉塞位置でのシール性の向上を図れる。
【0017】
本発明のうちの請求項3に記載の発明では、上記請求項1又は2に記載の発明において、前記スライドドアの上部側を支持する前記揺動アームの揺動支点を、前記キャビンのルーフ部に形成した空調風路の内部に設けてある。
【0018】
この構成によると、上側の揺動アームを、その揺動支点がキャビンルーフ部の空調風路内に位置する高い位置に配置でき、その分、キャビンの内部における上部空間を広くすることができる。
【0019】
従って、キャビン内での居住性の向上を図れる。
【0020】
本発明のうちの請求項4に記載の発明では、上記請求項1〜3のいずれか一つに記載の発明において、前記スライドドアの下部側を支持する前記揺動アームを、前記搭乗運転部に敷設した搭乗ステップの下方に配設してある。
【0021】
この構成によると、乗降口からの乗降時に下側の揺動アームが邪魔になる虞を抑制でき、又、キャビンの内部における下部空間を広くすることができ、更に、スライドドアを閉塞位置に位置させた状態では、下側の揺動アームが搭乗ステップの下方に隠れるようになる。
【0022】
従って、乗降口からの乗降性の向上、キャビン内での居住性の向上、並びに、スライドドアを閉塞位置に位置させた状態でのキャビン内部の見栄えの向上を図れる。
【0023】
本発明のうちの請求項5に記載の発明では、上記請求項4に記載の発明において、前記搭乗ステップに、前記閉塞位置の前記スライドドアとの間に形成される隙間を塞ぐシールを設けてある。
【0024】
この構成によると、乗降口の下部側を、乗降口とスライドドアとの間に介装されるウェザーストリップとシールとのダブルシール構造にすることができ、作業時に下方から舞い上がる切り屑などの乗降口の下部からの吹き込みをより確実に防止できる。
【0025】
又、搭乗ステップと閉塞位置のスライドドアとの隙間から下側の揺動アームが覗くことによる見栄えの低下を防止できる。
【0026】
従って、スライドドアの閉塞位置でのシール性の向上、及び、スライドドアを閉塞位置に位置させた状態でのキャビン内部の見栄えの向上を図れる。
【0027】
本発明のうちの請求項6に記載の発明では、上記請求項5に記載の発明において、前記搭乗ステップを、前記シールが一側端部に中空状に一体形成された樹脂成型品で構成してある。
【0028】
この構成によると、搭乗ステップの一側端部に別体のシールを付設する場合に比較して部品点数の削減を図れる。
【0029】
従って、部品管理の容易化や組み付け性の向上などを図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図1にはコンバインの全体側面が、図2にはその全体平面が示されており、このコンバインは、パイプ材などで形成される機体フレーム1の下部に左右一対のクローラ式走行装置2を装備し、機体フレーム1の前部に刈取搬送部3を昇降揺動可能に連結し、機体フレーム1の左半部に脱穀装置4を搭載し、その脱穀装置4の後部に排ワラ処理部5を連結し、機体フレーム1の右後部に穀粒タンク6を搭載し、その穀粒タンク6にスクリュー搬送式の穀粒排出装置7を装備し、機体フレーム1の右前部に搭乗運転部8を形成するとともにその搭乗運転部8を覆うキャビン9を装備して構成されている。
【0031】
左右のクローラ式走行装置2は、それらの等速駆動で直進状態を現出し、かつ、それらの差動で旋回状態を現出する。
【0032】
刈取搬送部3は、機体の走行に伴って、刈取対象となる所定条数の植立穀稈を、複数のデバイダ10や複数の引起装置11で分草して引き起こすとともに、それらの株元側をバリカン型の切断装置12で切断し、切断後の刈取穀稈を、穀稈搬送装置13で起立姿勢から横倒れ姿勢に姿勢変更しながら後方の脱穀装置4に向けて搬送するように構成されている。刈取搬送部3の左右には、刈取対象外の植立穀稈を機体横外方に案内して、それらの左右のクローラ式走行装置2による踏み付けを防止する分草ガイド14が、左右両端のデバイダ10を支持する分草フレーム15の前端部から機体フレーム1の前部横外方に向けて延出する状態に配備されている。
【0033】
図示は省略するが、脱穀装置4は、刈取搬送部3からの刈取穀稈の株元側に対して脱穀処理を施す脱穀部、脱穀部からの処理物に対して選別処理を施す選別部、及び、選別された単粒化穀粒を1番物として回収し、枝梗付き穀粒などを2番物として回収する回収部、などを備え、回収した1番物を揚送コンベヤを介して穀粒タンク6に供給し、2番物を2番還元装置を介して選別部に還元し、切れワラなどの塵埃を排塵口から機外に排出し、脱穀処理後の排ワラを排ワラ処理部5に供給する。2番還元装置には、2番物に対して再び脱穀処理を施す処理部が備えられている。
【0034】
図示は省略するが、排ワラ処理部5は、脱穀部からの排ワラをそのまま機体後方に搬送して機外に放出する長ワラ放出状態と、脱穀部からの排ワラを細断装置に供給して細断してから機外に放出する細断放出状態とに切り換え可能に構成されている。
【0035】
図1及び図2に示すように、穀粒タンク6は、搭乗運転部8の後方に位置する作業位置と、搭乗運転部8の後方を開放するメンテナンス位置とに、穀粒タンク6の後方に設定した縦向きの軸心P1周りに位置変更可能に構成されており、作業位置に位置変更した状態では、揚送コンベヤで搬送される穀粒の貯留や、貯留した穀粒の穀粒排出装置7による機外への排出が可能となり、メンテナンス位置に位置変更した状態では、脱穀装置4と穀粒タンク6との間や穀粒タンク6と搭乗運転部8との間などに配備された図示しない各種機器や伝動系あるいは操作系などに対するメンテナンス作業が行い易くなる。
【0036】
穀粒排出装置7は、穀粒タンク6に貯留した穀粒を、穀粒タンク6の底部に前後向きに配備した底スクリュー(図示せず)で後方に向けて搬送し、その底スクリューの搬送端に縦向きに連設したスクリュー式の縦搬送部16で揚送し、その縦搬送部16の搬送端に上下揺動可能かつ旋回可能に連設したスクリュー式の排出搬送部17で、トラックの荷台などの所望の排出位置に向けて搬送し、排出搬送部17の搬送端に形成した排出口18から機外に排出する。
【0037】
そして、穀粒タンク6の後方に立設される縦搬送部16のスクリュー軸心P1が、穀粒タンク6の位置変更用の軸心P1に設定され、縦搬送部16が穀粒タンク6の位置変更用の支柱に兼用されている。
【0038】
図1及び図3に示すように、搭乗運転部8は、機体フレーム1の右前端部に立設したフロントパネル19に、機体の操向と刈取搬送部3の昇降操作とを可能にする十字揺動式の操縦レバー20や、走行速度などを表示する表示パネル21などを装備し、フロントパネル19の左端に連接する状態で機体フレーム1の前部左右中央側に立設したサイドパネル22に、主変速装置として装備した静油圧式無段変速装置(図示せず)の変速操作を可能にする主変速レバー23、副変速装置としてミッションケース(図示せず)に内装したギヤ式変速装置(図示せず)の変速操作を可能にする副変速レバー24、及び、刈取搬送部3に対する伝動を断続する刈取クラッチ(図示せず)の切り換え操作と脱穀装置4に対する伝動を断続する脱穀クラッチ(図示せず)の切り換え操作とを可能にするクラッチレバー25などを装備し、フロントパネル19とサイドパネル22とで区画された機体フレーム1の右前部に樹脂成型品からなる搭乗ステップ26を敷設し、その搭乗ステップ26の後上方に運転座席27を配備して形成されている。
【0039】
尚、図示は省略するが、フロントパネル19及びサイドパネル22は、角パイプ材などで形成したパネルフレームに板金製の化粧パネルを装着して構成されている。
【0040】
図1及び図3〜6に示すように、運転座席27は、その下方にエンジンルームを形成するエンジンボンネット28の上部に位置調節可能に支持されており、エンジンボンネット28は、その右下部に設定した前後向きの軸心P2周りに開閉揺動可能となるように機体フレーム1に連結されるボンネット本体29や、そのボンネット本体29の右後部に設定した縦向きの軸心P3周りに開閉揺動可能となるようにボンネット本体29に連結される右側壁30、などを備えて構成され、その右側壁30に吸気口31が形成されるとともに防塵網32が張設されている。
【0041】
そして、エンジンボンネット28の全体的な開閉操作は、キャビン9を取り外した場合に行えるようになっている。
【0042】
尚、図示は省略するが、ボンネット本体29と右側壁30との間には、右側壁30の閉じ位置での固定保持を可能にするロック機構が備えられている。又、エンジンボンネット28としては、その全体的な開閉操作が不能で、右側壁30の開閉操作のみが可能となるように構成したものであってもよい。
【0043】
図1、図4及び図5に示すように、エンジンルームには、出力軸33が左右向きになる姿勢で防振搭載される水冷式のエンジン34、そのエンジン34の右側部に装備される冷却ファン35、その冷却ファン35の右側方に立設されるラジエータ36、そのラジエータ36の右側方に配備される空調用のコンデンサ37やレシーバ38、及び、エンジン34の上方に配備されるエアークリーナ39、などが収容されており、冷却ファン35の吸引作用で、防塵網32で除塵される外気を吸気口31からエンジンルーム内に導いてエンジン34の冷却などを行うように構成されている。
【0044】
そして、ラジエータ36やコンデンサ37に付着した塵埃の除去、空調用冷媒の補充、及び、エアークリーナ39のエレメント交換、などのメンテナンス作業は、右側壁30を開き操作してエンジンルームの右側方を開放することで行えるようになっている。
【0045】
図1、図3及び図5〜8に示すように、キャビン9は、乗降口40を形成するドアフレーム部41を右側部に設けたキャビンフレーム42に、フロントガラス43、左サイドガラス44、右サイドガラス45、リヤガラス46、及びルーフ部47、などを装備してキャビン本体48を形成し、そのキャビン本体48の右側部に、乗降口40を閉塞する前方の閉塞位置と乗降口40を大きく開放する後方の全開位置とにわたって摺動可能なスライドドア49を備えて構成されている。
【0046】
図1及び図6に示すように、ドアフレーム部41は、搭乗運転部8がその後下部である運転座席27の下方にエンジンボンネット28を備えることから、乗降口40として、その上部側に対して下部側が前方寄りに偏倚した形状のものを形成するように構成されており、これによって、搭乗運転部8の後下部にエンジンボンネット28を備えるものでありながら、その影響で狭くなる虞のある乗降口40の下部側を広く確保することができ、結果、乗降口40からの乗降を良好に行える。
【0047】
図6及び図7に示すように、ルーフ部47は、空調装置50などが載置されるルーフ基板51、そのルーフ基板51との間に空調風路52を形成するインナールーフ53、及び、それらを上方から覆い隠すアウタールーフ54、などによって構成されている。
【0048】
図1、図3及び図5〜12に示すように、スライドドア49は、乗降口40の閉塞が可能な形状に形成されたガラス板55に、その上下中間前端部(上部側下端の前端部)を内外から挟み込む状態に一対のプレート56,57を連結し、その外側のプレート56に、スライドドア49の外部からの摺動操作を可能にする外部ハンドル58などを装備し、かつ、その内側のプレート57に、スライドドア49の内部からの摺動操作を可能にする内部ハンドル59、スライドドア49の閉塞位置への到達に伴って、ドアフレーム部41の上部側前部に一体装備した第1固定ピン60に係止して、スライドドア49を閉塞位置に保持する第1キャッチャ61、及び、スライドドア49の全開位置への到達に伴って、ドアフレーム部41の上部側後部に一体装備した第2固定ピン62に係止して、スライドドア49を閉塞位置に保持する第2キャッチャ63、などを装備したフレームレス構造で、フレームを備える場合に比較して軽量・安価に構成され、構成の簡素化及び操作性や視界性の向上が図られている。
【0049】
又、ガラス板55を、乗降口40の閉塞が可能な形状、つまり乗降口40と同様に、上部側に対して下部側が前方寄りに偏倚した形状に形成することで、スライドドア49を閉塞位置に位置させた状態での機体の右前下方に対する視界を広く確保することができる。
【0050】
図9に示すように、第1キャッチャ61及び第2キャッチャ63は、外部ハンドル58の基部に備えた解除ボタン64の押圧操作で外部からの解除操作が可能となるように、又、内部ハンドル59の近傍に配備した解除レバー65の押し下げ操作で内部からの解除操作が可能となるように構成されている。
【0051】
尚、図示は省略するが、ガラス板55と内外のプレート56,57との間には薄板状の弾性体が介装されている。
【0052】
図1、図3及び図5〜12に示すように、キャビンフレーム42は、そのドアフレーム部41の上端に、遊端部に縦向きの支軸66を備えた揺動アーム67が前後揺動可能に装備され、又、そのドアフレーム部41の下端側に、遊端部に縦向きの支軸68を備えた揺動アーム69が前後揺動可能に装備され、更に、その右サイドガラス45の下方部位に、縦向きの支軸70を備えた摺動部材71を前後方向に摺動案内する前後向きのガイドレール72が装備されている。上側の揺動アーム67の支軸66には、ガラス板55の前部側上端に連結される連結具73が相対回動可能に外嵌され、下側の揺動アーム69の支軸68には、ガラス板55の前部側下端に連結される連結具74が相対回動可能に外嵌され、摺動部材71の支軸70には、ガラス板55の後部側に連結される連結具75が相対回動可能に外嵌されている。
【0053】
つまり、スライドドア49は、その前部側が前後揺動する上下一対の揺動アーム67,69で支持され、その後部側が前後向きのガイドレール72に沿って摺動する摺動部材71で支持されており、これによって、その開閉時には、その前端が円弧軌道K1を描き、かつ、その後端が直線軌道K2を描くようになり、開閉途中の半開位置では、その前端側ほど乗降口40から右外方に離間する状態となって、乗降口40との間に前向きの開口を形成することになり、機体の右前方に対する視界性が向上する。
【0054】
その結果、刈取搬送部3における右端のデバイダ10を植立穀稈に対する適切な位置に位置させる条合わせ作業や、右端のデバイダ10を畦に対する適切な位置に位置させる畦際作業などを行う際には、スライドドア49を半開位置に位置させて、スライドドア49と乗降口40との間に形成される前向きの開口から前方を覗き込むようにすれば、植立穀稈や畦などに対する右端のデバイダ10の位置関係を容易かつ確実に把握することができ、条合わせ作業や畦際作業などを簡単に効率良く行える。
【0055】
又、その条合わせ作業や畦際作業などをより簡単に効率良く行えるようにするために、摺動部材71とガイドレール72との間には、閉塞位置と全開位置とに加えてスライドドア49の半開位置での位置保持を可能にする保持機構76が介装されており、この保持機構76は、摺動部材71におけるガイドレール72で案内される前後のローラ77の間に設けたボール78と、このボール78をガイドレール72に向けて突出付勢する押しバネ79、及び、ガイドレール72の前後と前後中間部に形成した凹部80、などによって、押しバネ79の付勢による凹部80に対するボール78の係入でスライドドア49を閉塞位置や全開位置又は半開位置に位置保持するボールデテント式に構成されている(図10〜12参照)。
【0056】
尚、保持機構76としては、上下いずれか一方の揺動アーム67,69に対する作用で、スライドドア49を半開位置に位置保持するように構成されたものであってもよい。又、保持機構76によるスライドドア49の保持位置を、半開位置以外の例えば1/3開位置や2/3開位置などに設定してもよく、更に、保持機構76を、複数位置でのスライドドア49の位置保持が可能となるように構成してよい。
【0057】
図1、図3及び図5〜11に示すように、ガイドレール72は、ドアフレーム部41との接合箇所に施された曲げ加工によって、その前端部においては、その前端側ほどキャビン9の内方に向かうようになっている。そのため、スライドドア49を閉塞位置に向けて摺動させる閉じ操作時には、その曲げ加工部位を摺動部材71が越えるのに伴って、スライドドア49の後部側が、上下の揺動アーム67,69で揺動操作される前部側とともに、ドアフレーム部41に向けて左方に変位するようになっており、その結果、スライドドア49の閉塞位置においては、スライドドア49が、ドアフレーム部41の全周にわたって付設したウェザーストリップ81を介して密着するようになっている。
【0058】
又、ガイドレール72は、エンジンボンネット28の右側壁30の上方を通るように配備されており、これによって、ラジエータ36やコンデンサ37などに対するメンテナンス作業を行うための右側壁30の開閉操作時には、その右側壁30の横側方を通るようにガイドレール72をキャビン9に配備した場合に生じる、ガイドレール72が右側壁30の開閉操作に支障を来すようになる、といった不都合を招くことなく、右側壁30を簡単に開閉することができ、結果、ラジエータ36やコンデンサ37などに対するメンテナンス作業が行い易くなる。
【0059】
尚、ガイドレール72の前後両端には、連結具75との接当でスライドドア49の開閉操作範囲からの外れを防止するゴム製のストッパ82が装備されている。
【0060】
図6に示すように、スライドドア49は、上下の揺動アーム67,69による支持位置が、スライドドア49における下部側の前後中心を通る線L上に設定され、摺動部材71による支持位置が、スライドドア49における上部側の後端部に設定されている。
【0061】
つまり、この設定によって、スライドドア49において後方寄りとなる上部側のドア部分は、その上端における前端部が上側の揺動アーム67で支持され、かつ、その後端下部が摺動部材71で支持された安定状態となり、又、前方寄りとなる下部側のドア部分は、その下端における前後中心が下側の揺動アーム69で支持された安定状態となり、もって、スライドドア49を、その上部側に対して下部側を前方寄りに偏倚させた特異な形状としながらも、上下の揺動アーム67,69と摺動部材71による3点で安定的に支持することができ、結果、スライドドア49の開閉操作をガタツキのない安定状態で円滑に行える。
【0062】
又、スライドドア49において、内外の各ハンドル58,59は、上下の揺動アーム67,69による支持位置と同様に、スライドドア49における下部側の前後中心を通る線L上に設定されており、これによって、スライドドア49を、その上部側に対して下部側を前方寄りに偏倚させた特異な形状としながらも、内外のハンドル58,59によるスライドドア49の開閉操作を拗れのない安定状態で円滑に行える。又、閉塞位置においては、内外のハンドル58,59による操作で、ドアフレーム部41の全周に付設したウェザーストリップ81に対してスライドドア49を均等に押し当てることができ、結果、閉塞位置でのドアフレーム部41に対するスライドドア49の密着度を高めることができる。
【0063】
図6〜8、図10及び図11に示すように、上下の各揺動アーム67,69は、それらの揺動支点P4,P5から支軸66,68にわたる延出長さが長くなるように、それらの揺動支点P4,P5が搭乗ステップ26よりも後方に位置するように配置設定されており、又、ガイドレール72は、その後部がキャビン9の後部から後方に向けて延出する長尺に形成されており、その結果、スライドドア49の閉塞位置から開方向への移動距離を長くすることができ、その分、スライドドア49を全開位置に位置させた全開状態での乗降口40の開口量を大きくすることができ、結果、乗降口40からの乗降が行い易くなる。
【0064】
又、上下の揺動アーム67,69は、その揺動支点P4,P5がドアフレーム部41よりも左側の機体内方寄りの位置に配置設定されており、これによって、それらの揺動支点P4,P5から支軸66,68にわたる延出長さを長くしながらも、揺動操作時におけるドアフレーム部41から右外方への延出が抑制されている。その結果、スライドドア49の開閉時において、スライドドア49の前端が、刈取搬送部3の右側部に備えた分草ガイド14の延出端よりも機体右外方に張り出すことを防止でき、もって、畦際作業時などにおいて、スライドドア49の開閉操作時に、スライドドア49が畦などの他物に接触することに起因したスライドドア49の破損を防止できる(図10参照)。
【0065】
図7に示すように、上側の揺動アーム67は、機体内方寄りの位置に配置設定した揺動支点P4が、ルーフ部47に形成した空調風路52の内部に位置する高い位置に配置されており、これによって、その揺動支点P4が空調風路52よりも下方に位置するように配置する場合に比較して、キャビン9の内部における上部空間を広く確保することができ、その分、キャビン9内での居住性が向上することになる。
【0066】
図5、図6及び図8に示すように、下側の揺動アーム69は、搭乗ステップ26よりも下方の位置に配置されており、これによって、搭乗ステップ26よりも上方の位置に配置する場合に比較して、キャビン9の内部における下部空間を広く確保することができ、その分、キャビン9内での居住性が向上することになる。又、スライドドア49が閉塞位置に位置する状態では、下側の揺動アーム69が搭乗ステップ26の下方に隠れるようになり、もって、乗降口40を閉塞した状態でのキャビン9内部の見栄えが向上することになる。
【0067】
図10及び図11に示すように、下側の揺動アーム69は、スライドドア49を全開位置に位置させた状態では、その揺動支点P5の右外方に隣接するドアフレーム部41を迂回して後方に向けて延出するように、略L字状に曲げ形成されており、これによって、その揺動支点P5から支軸68にわたる延出長さが長くなるように、その揺動支点P5の位置を搭乗ステップ26よりも後方の位置に設定し、又、その揺動操作時におけるドアフレーム部41からの延出が抑制されるように、その揺動支点P5の位置をドアフレーム部41よりも機体内方寄りの位置に設定しながらも、その揺動がドアフレーム部41によって規制されることを回避でき、又、下側の揺動アーム69が乗降口40からの乗降の際に邪魔になる虞を回避でき、結果、スライドドア49の操作並びに乗降口40からの乗降が行い易くなる。
【0068】
図3及び図8に示すように、搭乗ステップ26の右側端部には、乗降口40に入り込む状態に膨出する中空状のシール83が一体形成されており、これによって、スライドドア49を閉塞位置に位置させた状態では、そのシール83にスライドドア49が密着して、スライドドア49との間に隙間が形成されることを阻止するようになっている。つまり、作業時の切り屑などが吹き込み易い乗降口40の下部をダブルシール構造とすることでシール性の向上を図れるとともに、搭乗ステップ26とスライドドア49の隙間から下側の揺動アーム69が覗くことによる見栄えの低下を防止できる。
【0069】
図1、図6、図8、図10及び図11に示すように、ドアフレーム部41における上部側の前端には、乗降口40からの乗降時に使用する補助ハンドル84が、ドアフレーム部41の上部側前端に沿う上下向きで、ドアフレーム部41から右外方に向けて突出する状態に装備されている。
【0070】
又、搭乗ステップ26を支持する機体フレーム1のステップ支持部85には、乗降口40からの乗降時に使用する補助ステップ86が、ステップ支持部85から右外方に向けて張り出す作用位置と、ステップ支持部85に沿って起立する格納位置とに、前後向きの軸心P6周りの揺動による位置切り換え操作が可能に装備されている。
【0071】
補助ステップ86は、作用位置でのキャビン9からの突出量が補助ハンドル84のキャビン9からの突出量と略同じになるように設定され、スライドドア49は、全開位置に位置する状態では、キャビン9からの突出量が、補助ハンドル84及び張り出した補助ステップ86のキャビン9からの突出量よりも小さくなるように、上下の揺動アーム67,69と摺動部材71とで支持されている。
【0072】
つまり、スライドドア49は、全開位置に位置する状態では、補助ハンドル84や張り出した補助ステップ86の右側端よりも右外方に張り出さないようになっており、これによって、畦際作業時などにおいてスライドドア49を全開位置に位置させた状態であっても、スライドドア49が畦などの他物に接触する虞を抑制することができ、その接触に起因したスライドドア49の破損を防止できる。
【0073】
図13に示すように、補助ステップ86は、スライドドア49の全開位置から閉塞位置への摺動に連動して格納位置に切り換わり、かつ、スライドドア49の閉塞位置から全開位置への摺動に連動して作用位置に切り換わるように、プッシュプルワイヤなどからなる連動機構87を介して下側の揺動アーム69に連係されており、これによって、補助ステップ86の位置切り換え操作に要する手間を省くことができる。
【0074】
尚、補助ステップ86としては、その作用位置と格納位置との位置切り換えを、縦向きの軸心周りの揺動、又は、左右方向の摺動で行うものであってもよく、又、その位置切り換えがスライドドア49の摺動に連動しないものであってもよく、更に、位置変更不能に構成したものであってもよい。
【0075】
図1に示すように、穀粒タンク6の前端部には、その位置変更時におけるガイドレール72の後端部との接触を回避する凹部88が形成されており、これによって、穀粒タンク6を、その前端部がキャビン9に近接する収容量の増大が図られたものとし、又、ガイドレール72の後端部を穀粒タンク6側に延出して全開状態での乗降口40の開口量を大きく確保できるようにしながらも、穀粒タンク6の開閉操作を、ガイドレール72によって阻害されることなく良好に行うことができ、結果、穀粒タンク6の位置変更時に、穀粒タンク6がガイドレール72に接触することに起因した穀粒タンク6やガイドレール72などの破損を未然に回避できるとともに、脱穀装置4と穀粒タンク6との間や穀粒タンク6と搭乗運転部8との間などに配備された各種機器や伝動系あるいは操作系などに対するメンテナンス作業が行い易くなる。
【0076】
尚、図14に示すように、穀粒タンク6を、その前端部の高さ位置が、ガイドレール72の高さ位置よりも低くなるように形成することで、穀粒タンク6の位置変更時に、穀粒タンク6がガイドレール72に接触することに起因した穀粒タンク6やガイドレール72などの破損を回避するようにしてもよい。
【0077】
又、図示は省略するが、穀粒タンク6を、その全体の高さ位置が、ガイドレール72の高さ位置よりも低くなるように形成することで、穀粒タンク6の位置変更時に、穀粒タンク6がガイドレール72に接触することに起因した穀粒タンク6やガイドレール72などの破損を回避するようにしてもよく、更に、その作業位置とメンテナンス位置との位置変更を左右方向の摺動で行うように構成してもよい。
【0078】
〔別実施例〕
以下、本発明の別実施例を列記する。
〔1〕スライドドア49としては、ガラス板55を囲むフレームを備えるものであってもよい。又、補助ハンドル84のキャビン9からの突出量と、補助ステップ86のキャビン9からの突出量とが大きく異なる場合には、その全開位置において、キャビン9からの突出量が大きい補助ハンドル84又は補助ステップ86よりも機体横外方に張り出さないように構成したものであってもよい。
【0079】
〔2〕上下の揺動アーム67,69としては、双方ともに一直線状に形成したもの、又は、双方ともに略L字状などに曲げ形成したものであってもよい。又、上下の揺動アーム67,69における揺動支点P4,P5の位置や、揺動支点P4,P5から支軸66,68にわたる延出長さなどは、スライドドア49の形状や摺動長さなどに応じて種々の変更が可能である。
【0080】
〔3〕ガイドレール72の長さや本数及び高さ位置の設定などは、キャビン9の形状やスライドドア49摺動長さなどに応じて種々の変更が可能であり、例えば、ガイドレール72の長さを、ガイドレール72の後端部がキャビン9の後部から後方に向けて延出しない長さに設定してもよく、又、スライドドア49に対するより安定性の高い支持構造を得るために、ガイドレール72の高さ位置を、摺動部材71がスライドドア49の上下中心位置を支持する高さ位置に設定してもよい。
【0081】
〔4〕図15に示すように、ガイドレール72を、キャビンフレーム42に装備される前レール部89と、エンジンボンネット28の右側壁30に装備される中間レール部90と、穀粒タンク6に装備される後レール部91との3分割構造に構成してもよい。この構成によると、摺動部材71がスライドドア49の上下中心位置を支持する高さ位置にガイドレール72を配置して、スライドドア49に対するより安定性の高い支持構造を得られるようにしながら、ラジエータ36やコンデンサ37などに対するメンテナンス作業を行うための右側壁30の開閉操作を可能にすることができる上に、穀粒タンク6における前端部の凹部88を不要にして貯留容量の増大を図りながら、脱穀装置4と穀粒タンク6との間や穀粒タンク6と搭乗運転部8との間などに配備された各種機器や伝動系あるいは操作系などに対するメンテナンス作業を行うための穀粒タンク6の位置変更操作を可能にすることができる。
【0082】
〔5〕図示は省略するが、ガイドレール72を、キャビンフレーム42に装備される前レール部と、エンジンボンネット28の右側壁30に装備される後レール部との2分割構造に構成してもよい。
【0083】
〔6〕図16に示すように、ガイドレール72を分割構成する場合には、保持機構76を、ガイドレール72における各レール部89〜91間の継ぎ目に対するボール78の係入で、スライドドア49を開閉途中位置に保持する継ぎ目利用のデテント式に構成してもよい。
【0084】
〔7〕シール83としては、搭乗ステップ26とは別構成のゴム製のものなどであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】コンバインの全体側面図
【図2】コンバインの全体平面図
【図3】搭乗運転部の平面図
【図4】エンジンボンネットの構成を示す要部の縦断正面図
【図5】エンジンボンネットの構成を示す要部の横断平面図
【図6】キャビンの構成を示す要部の側面図
【図7】スライドドアの支持構造を示すキャビン上部の一部切り欠き正面図
【図8】スライドドアの支持構造を示すキャビン下部の縦断正面図
【図9】スライドドアにおけるハンドル周りの構成を示す要部の斜視図
【図10】スライドドアの半開状態を示す要部の縦断平面図
【図11】スライドドアの全開状態と全閉状態とを示す要部の縦断平面図
【図12】保持機構の構成を示す要部の横断平面図
【図13】スライドドアと補助ステップの連係構成を示す要部の斜視図
【図14】別実施形態での穀粒タンクとガイドレールの高さ関係を示すコンバインの全体側面図
【図15】別実施形態でのガイドレールの構成を示すコンバインの全体側面図
【図16】別実施形態での保持機構の構成を示す要部の横断平面図
【符号の説明】
【0086】
8 搭乗運転部
9 キャビン
26 搭乗ステップ
40 乗降口
47 ルーフ部
49 スライドドア
52 空調風路
58 ハンドル
59 ハンドル
67 揺動アーム
69 揺動アーム
71 摺動部材
72 ガイドレール
83 シール
K1 円弧軌道
K2 直線軌道
L スライドドア下部側の前後中心を通る線
P4 揺動支点(揺動アーム)
【技術分野】
【0001】
本発明は、搭乗運転部を覆うキャビンの横側部に形成した乗降口を前後方向の摺動で開閉するスライドドアを備えたコンバインのドア開閉構造に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のようなコンバインのドア開閉構造としては、スライドドアがキャビンの横側面に沿って前後方向に摺動するように構成したものがある(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−222639号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
コンバインにおいては、畦際でキャビン乗降口側の畦に沿って植立穀稈を刈り取る畦際作業を行う場合などがあり、このような場合に畦との接触を避けるためには、刈取搬送装置のキャビン乗降口側端部に配置されたデバイダなどを畦に対する適切な位置に位置させる必要がある。
【0004】
そして、この必要性が高い場合には、畦に対するデバイダなどの位置関係を運転者が目視して把握する必要が生じることになるが、上述した従来のドア開閉構造において、その目視確認を行うためには、キャビンのスライドドアを全開位置まで摺動させて全開位置に保持した後、全開の乗降口から顔など覗かせることになる。
【0005】
つまり、従来のドア開閉構造では、乗降口側の対象物に対する作業装置などの位置関係を、運転者がキャビンの乗降口から目視確認するためには、キャビンのスライドドアを全開位置まで摺動操作して全開位置に保持する必要があることから、その目視確認が煩わしいものになっていた。
【0006】
本発明の目的は、キャビンの乗降口からの目視による対象物に対する作業装置などの位置確認を容易に行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のうちの請求項1に記載の発明では、搭乗運転部を覆うキャビンの横側部に形成した乗降口を閉塞する前方の閉塞位置と、前記乗降口を大きく開放する後方の全開位置とにわたって摺動可能に構成したスライドドアを備えてあるコンバインのドア開閉構造において、前記スライドドアを、その上部側に対して下部側が前方寄りに偏倚した形状に形成し、前記スライドドアの前部側を前後揺動する上下一対の揺動アームで支持し、前記スライドドアの後部側を前後向きのガイドレールに沿って摺動する摺動部材で支持して、前記スライドドアの開閉時に、前記スライドドアの前端が円弧軌道を描き、かつ、前記スライドドアの後端が直線軌道を描くように構成し、前記スライドドアに対する前記摺動部材の支持位置を、前記スライドドアにおける前記上部側の後端部に設定し、前記スライドドアに対する前記揺動アームの支持位置を、前記スライドドアにおける前記下部側の前後中心を通る線上に設定してあるコンバインのドア開閉構造。
【0008】
この構成によると、スライドドアを、その開閉途中の例えば半開位置まで摺動操作すると、その前端側ほどキャビンの乗降口から横外方に離間する状態となって、キャビンの乗降口との間に前向きの開口が形成されることになり、機体における乗降口側の横外側前方に対する視界性が向上する。
【0009】
又、スライドドアを、その上部側に対して下部側が前方寄りに偏倚した形状に形成することで、スライドドアを開いた状態での乗降口側の機体前下方に対する視界をより広く確保でき、機体における乗降口側の横外側前方に対する視界性が更に向上する。
【0010】
つまり、畦際でキャビン乗降口側の畦に沿って植立穀稈を刈り取る畦際作業や、刈取搬送部におけるキャビン乗降口側のデバイダを植立穀稈に対する適切な位置に位置合わせする条合わせ作業などを行う場合には、スライドドアを開閉途中の例えば半開位置まで摺動させると、キャビンの乗降口とスライドドアとの間に形成される視界性に優れた前向きの開口から、畦や植立穀稈と刈取搬送装置のキャビン乗降口側に配置されたデバイダなどとの位置関係を容易に把握することができ、そのデバイダなどを畦や植立穀稈に対する適切な位置に容易に位置させることができる。
【0011】
しかも、スライドドアにおいて後方寄りとなる上部側のドア部分は、その上端における前端部が上側の揺動アームで支持され、かつ、その後端下部が摺動部材で支持された安定状態となり、又、前方寄りとなる下部側のドア部分は、その下端における前後中心が下側の揺動アームで支持された安定状態となり、もって、スライドドアを、その上部側に対して下部側を前方寄りに偏倚させた特異な形状としながらも、上下の揺動アームと摺動部材による3点で安定的に支持することができ、結果、スライドドアの開閉操作をガタツキのない安定状態で円滑に行える。
【0012】
従って、スライドドアを全開位置まで摺動操作しなくても、開閉途中の例えば半開位置まで摺動させるだけの操作で、視界性に優れた前向きの開口を形成できて、乗降口側の対象物に対する作業装置などの位置関係を容易に目視確認することができ、結果、乗降口側の状況判断が必要な作業での作業性の向上を効果的に図れる。
【0013】
本発明のうちの請求項2に記載の発明では、上記請求項1に記載の発明において、前記スライドドアのハンドルを、前記スライドドアにおける前記下部側の前後中心を通る前記線上に配置してある。
【0014】
この構成によると、スライドドアを、その上部側に対して下部側を前方寄りに偏倚させた特異な形状としながらも、ハンドルによるスライドドアの開閉操作を拗れのない安定状態で円滑に行える。
【0015】
又、閉塞位置においては、ハンドルによる操作で、乗降口の周囲に付設されるウェザーストリップに対してスライドドアを均等に押し当てることができ、結果、閉塞位置でのスライドドアの密閉度を高めることができる。
【0016】
従って、スライドドアの操作性の向上、及び、スライドドアの閉塞位置でのシール性の向上を図れる。
【0017】
本発明のうちの請求項3に記載の発明では、上記請求項1又は2に記載の発明において、前記スライドドアの上部側を支持する前記揺動アームの揺動支点を、前記キャビンのルーフ部に形成した空調風路の内部に設けてある。
【0018】
この構成によると、上側の揺動アームを、その揺動支点がキャビンルーフ部の空調風路内に位置する高い位置に配置でき、その分、キャビンの内部における上部空間を広くすることができる。
【0019】
従って、キャビン内での居住性の向上を図れる。
【0020】
本発明のうちの請求項4に記載の発明では、上記請求項1〜3のいずれか一つに記載の発明において、前記スライドドアの下部側を支持する前記揺動アームを、前記搭乗運転部に敷設した搭乗ステップの下方に配設してある。
【0021】
この構成によると、乗降口からの乗降時に下側の揺動アームが邪魔になる虞を抑制でき、又、キャビンの内部における下部空間を広くすることができ、更に、スライドドアを閉塞位置に位置させた状態では、下側の揺動アームが搭乗ステップの下方に隠れるようになる。
【0022】
従って、乗降口からの乗降性の向上、キャビン内での居住性の向上、並びに、スライドドアを閉塞位置に位置させた状態でのキャビン内部の見栄えの向上を図れる。
【0023】
本発明のうちの請求項5に記載の発明では、上記請求項4に記載の発明において、前記搭乗ステップに、前記閉塞位置の前記スライドドアとの間に形成される隙間を塞ぐシールを設けてある。
【0024】
この構成によると、乗降口の下部側を、乗降口とスライドドアとの間に介装されるウェザーストリップとシールとのダブルシール構造にすることができ、作業時に下方から舞い上がる切り屑などの乗降口の下部からの吹き込みをより確実に防止できる。
【0025】
又、搭乗ステップと閉塞位置のスライドドアとの隙間から下側の揺動アームが覗くことによる見栄えの低下を防止できる。
【0026】
従って、スライドドアの閉塞位置でのシール性の向上、及び、スライドドアを閉塞位置に位置させた状態でのキャビン内部の見栄えの向上を図れる。
【0027】
本発明のうちの請求項6に記載の発明では、上記請求項5に記載の発明において、前記搭乗ステップを、前記シールが一側端部に中空状に一体形成された樹脂成型品で構成してある。
【0028】
この構成によると、搭乗ステップの一側端部に別体のシールを付設する場合に比較して部品点数の削減を図れる。
【0029】
従って、部品管理の容易化や組み付け性の向上などを図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図1にはコンバインの全体側面が、図2にはその全体平面が示されており、このコンバインは、パイプ材などで形成される機体フレーム1の下部に左右一対のクローラ式走行装置2を装備し、機体フレーム1の前部に刈取搬送部3を昇降揺動可能に連結し、機体フレーム1の左半部に脱穀装置4を搭載し、その脱穀装置4の後部に排ワラ処理部5を連結し、機体フレーム1の右後部に穀粒タンク6を搭載し、その穀粒タンク6にスクリュー搬送式の穀粒排出装置7を装備し、機体フレーム1の右前部に搭乗運転部8を形成するとともにその搭乗運転部8を覆うキャビン9を装備して構成されている。
【0031】
左右のクローラ式走行装置2は、それらの等速駆動で直進状態を現出し、かつ、それらの差動で旋回状態を現出する。
【0032】
刈取搬送部3は、機体の走行に伴って、刈取対象となる所定条数の植立穀稈を、複数のデバイダ10や複数の引起装置11で分草して引き起こすとともに、それらの株元側をバリカン型の切断装置12で切断し、切断後の刈取穀稈を、穀稈搬送装置13で起立姿勢から横倒れ姿勢に姿勢変更しながら後方の脱穀装置4に向けて搬送するように構成されている。刈取搬送部3の左右には、刈取対象外の植立穀稈を機体横外方に案内して、それらの左右のクローラ式走行装置2による踏み付けを防止する分草ガイド14が、左右両端のデバイダ10を支持する分草フレーム15の前端部から機体フレーム1の前部横外方に向けて延出する状態に配備されている。
【0033】
図示は省略するが、脱穀装置4は、刈取搬送部3からの刈取穀稈の株元側に対して脱穀処理を施す脱穀部、脱穀部からの処理物に対して選別処理を施す選別部、及び、選別された単粒化穀粒を1番物として回収し、枝梗付き穀粒などを2番物として回収する回収部、などを備え、回収した1番物を揚送コンベヤを介して穀粒タンク6に供給し、2番物を2番還元装置を介して選別部に還元し、切れワラなどの塵埃を排塵口から機外に排出し、脱穀処理後の排ワラを排ワラ処理部5に供給する。2番還元装置には、2番物に対して再び脱穀処理を施す処理部が備えられている。
【0034】
図示は省略するが、排ワラ処理部5は、脱穀部からの排ワラをそのまま機体後方に搬送して機外に放出する長ワラ放出状態と、脱穀部からの排ワラを細断装置に供給して細断してから機外に放出する細断放出状態とに切り換え可能に構成されている。
【0035】
図1及び図2に示すように、穀粒タンク6は、搭乗運転部8の後方に位置する作業位置と、搭乗運転部8の後方を開放するメンテナンス位置とに、穀粒タンク6の後方に設定した縦向きの軸心P1周りに位置変更可能に構成されており、作業位置に位置変更した状態では、揚送コンベヤで搬送される穀粒の貯留や、貯留した穀粒の穀粒排出装置7による機外への排出が可能となり、メンテナンス位置に位置変更した状態では、脱穀装置4と穀粒タンク6との間や穀粒タンク6と搭乗運転部8との間などに配備された図示しない各種機器や伝動系あるいは操作系などに対するメンテナンス作業が行い易くなる。
【0036】
穀粒排出装置7は、穀粒タンク6に貯留した穀粒を、穀粒タンク6の底部に前後向きに配備した底スクリュー(図示せず)で後方に向けて搬送し、その底スクリューの搬送端に縦向きに連設したスクリュー式の縦搬送部16で揚送し、その縦搬送部16の搬送端に上下揺動可能かつ旋回可能に連設したスクリュー式の排出搬送部17で、トラックの荷台などの所望の排出位置に向けて搬送し、排出搬送部17の搬送端に形成した排出口18から機外に排出する。
【0037】
そして、穀粒タンク6の後方に立設される縦搬送部16のスクリュー軸心P1が、穀粒タンク6の位置変更用の軸心P1に設定され、縦搬送部16が穀粒タンク6の位置変更用の支柱に兼用されている。
【0038】
図1及び図3に示すように、搭乗運転部8は、機体フレーム1の右前端部に立設したフロントパネル19に、機体の操向と刈取搬送部3の昇降操作とを可能にする十字揺動式の操縦レバー20や、走行速度などを表示する表示パネル21などを装備し、フロントパネル19の左端に連接する状態で機体フレーム1の前部左右中央側に立設したサイドパネル22に、主変速装置として装備した静油圧式無段変速装置(図示せず)の変速操作を可能にする主変速レバー23、副変速装置としてミッションケース(図示せず)に内装したギヤ式変速装置(図示せず)の変速操作を可能にする副変速レバー24、及び、刈取搬送部3に対する伝動を断続する刈取クラッチ(図示せず)の切り換え操作と脱穀装置4に対する伝動を断続する脱穀クラッチ(図示せず)の切り換え操作とを可能にするクラッチレバー25などを装備し、フロントパネル19とサイドパネル22とで区画された機体フレーム1の右前部に樹脂成型品からなる搭乗ステップ26を敷設し、その搭乗ステップ26の後上方に運転座席27を配備して形成されている。
【0039】
尚、図示は省略するが、フロントパネル19及びサイドパネル22は、角パイプ材などで形成したパネルフレームに板金製の化粧パネルを装着して構成されている。
【0040】
図1及び図3〜6に示すように、運転座席27は、その下方にエンジンルームを形成するエンジンボンネット28の上部に位置調節可能に支持されており、エンジンボンネット28は、その右下部に設定した前後向きの軸心P2周りに開閉揺動可能となるように機体フレーム1に連結されるボンネット本体29や、そのボンネット本体29の右後部に設定した縦向きの軸心P3周りに開閉揺動可能となるようにボンネット本体29に連結される右側壁30、などを備えて構成され、その右側壁30に吸気口31が形成されるとともに防塵網32が張設されている。
【0041】
そして、エンジンボンネット28の全体的な開閉操作は、キャビン9を取り外した場合に行えるようになっている。
【0042】
尚、図示は省略するが、ボンネット本体29と右側壁30との間には、右側壁30の閉じ位置での固定保持を可能にするロック機構が備えられている。又、エンジンボンネット28としては、その全体的な開閉操作が不能で、右側壁30の開閉操作のみが可能となるように構成したものであってもよい。
【0043】
図1、図4及び図5に示すように、エンジンルームには、出力軸33が左右向きになる姿勢で防振搭載される水冷式のエンジン34、そのエンジン34の右側部に装備される冷却ファン35、その冷却ファン35の右側方に立設されるラジエータ36、そのラジエータ36の右側方に配備される空調用のコンデンサ37やレシーバ38、及び、エンジン34の上方に配備されるエアークリーナ39、などが収容されており、冷却ファン35の吸引作用で、防塵網32で除塵される外気を吸気口31からエンジンルーム内に導いてエンジン34の冷却などを行うように構成されている。
【0044】
そして、ラジエータ36やコンデンサ37に付着した塵埃の除去、空調用冷媒の補充、及び、エアークリーナ39のエレメント交換、などのメンテナンス作業は、右側壁30を開き操作してエンジンルームの右側方を開放することで行えるようになっている。
【0045】
図1、図3及び図5〜8に示すように、キャビン9は、乗降口40を形成するドアフレーム部41を右側部に設けたキャビンフレーム42に、フロントガラス43、左サイドガラス44、右サイドガラス45、リヤガラス46、及びルーフ部47、などを装備してキャビン本体48を形成し、そのキャビン本体48の右側部に、乗降口40を閉塞する前方の閉塞位置と乗降口40を大きく開放する後方の全開位置とにわたって摺動可能なスライドドア49を備えて構成されている。
【0046】
図1及び図6に示すように、ドアフレーム部41は、搭乗運転部8がその後下部である運転座席27の下方にエンジンボンネット28を備えることから、乗降口40として、その上部側に対して下部側が前方寄りに偏倚した形状のものを形成するように構成されており、これによって、搭乗運転部8の後下部にエンジンボンネット28を備えるものでありながら、その影響で狭くなる虞のある乗降口40の下部側を広く確保することができ、結果、乗降口40からの乗降を良好に行える。
【0047】
図6及び図7に示すように、ルーフ部47は、空調装置50などが載置されるルーフ基板51、そのルーフ基板51との間に空調風路52を形成するインナールーフ53、及び、それらを上方から覆い隠すアウタールーフ54、などによって構成されている。
【0048】
図1、図3及び図5〜12に示すように、スライドドア49は、乗降口40の閉塞が可能な形状に形成されたガラス板55に、その上下中間前端部(上部側下端の前端部)を内外から挟み込む状態に一対のプレート56,57を連結し、その外側のプレート56に、スライドドア49の外部からの摺動操作を可能にする外部ハンドル58などを装備し、かつ、その内側のプレート57に、スライドドア49の内部からの摺動操作を可能にする内部ハンドル59、スライドドア49の閉塞位置への到達に伴って、ドアフレーム部41の上部側前部に一体装備した第1固定ピン60に係止して、スライドドア49を閉塞位置に保持する第1キャッチャ61、及び、スライドドア49の全開位置への到達に伴って、ドアフレーム部41の上部側後部に一体装備した第2固定ピン62に係止して、スライドドア49を閉塞位置に保持する第2キャッチャ63、などを装備したフレームレス構造で、フレームを備える場合に比較して軽量・安価に構成され、構成の簡素化及び操作性や視界性の向上が図られている。
【0049】
又、ガラス板55を、乗降口40の閉塞が可能な形状、つまり乗降口40と同様に、上部側に対して下部側が前方寄りに偏倚した形状に形成することで、スライドドア49を閉塞位置に位置させた状態での機体の右前下方に対する視界を広く確保することができる。
【0050】
図9に示すように、第1キャッチャ61及び第2キャッチャ63は、外部ハンドル58の基部に備えた解除ボタン64の押圧操作で外部からの解除操作が可能となるように、又、内部ハンドル59の近傍に配備した解除レバー65の押し下げ操作で内部からの解除操作が可能となるように構成されている。
【0051】
尚、図示は省略するが、ガラス板55と内外のプレート56,57との間には薄板状の弾性体が介装されている。
【0052】
図1、図3及び図5〜12に示すように、キャビンフレーム42は、そのドアフレーム部41の上端に、遊端部に縦向きの支軸66を備えた揺動アーム67が前後揺動可能に装備され、又、そのドアフレーム部41の下端側に、遊端部に縦向きの支軸68を備えた揺動アーム69が前後揺動可能に装備され、更に、その右サイドガラス45の下方部位に、縦向きの支軸70を備えた摺動部材71を前後方向に摺動案内する前後向きのガイドレール72が装備されている。上側の揺動アーム67の支軸66には、ガラス板55の前部側上端に連結される連結具73が相対回動可能に外嵌され、下側の揺動アーム69の支軸68には、ガラス板55の前部側下端に連結される連結具74が相対回動可能に外嵌され、摺動部材71の支軸70には、ガラス板55の後部側に連結される連結具75が相対回動可能に外嵌されている。
【0053】
つまり、スライドドア49は、その前部側が前後揺動する上下一対の揺動アーム67,69で支持され、その後部側が前後向きのガイドレール72に沿って摺動する摺動部材71で支持されており、これによって、その開閉時には、その前端が円弧軌道K1を描き、かつ、その後端が直線軌道K2を描くようになり、開閉途中の半開位置では、その前端側ほど乗降口40から右外方に離間する状態となって、乗降口40との間に前向きの開口を形成することになり、機体の右前方に対する視界性が向上する。
【0054】
その結果、刈取搬送部3における右端のデバイダ10を植立穀稈に対する適切な位置に位置させる条合わせ作業や、右端のデバイダ10を畦に対する適切な位置に位置させる畦際作業などを行う際には、スライドドア49を半開位置に位置させて、スライドドア49と乗降口40との間に形成される前向きの開口から前方を覗き込むようにすれば、植立穀稈や畦などに対する右端のデバイダ10の位置関係を容易かつ確実に把握することができ、条合わせ作業や畦際作業などを簡単に効率良く行える。
【0055】
又、その条合わせ作業や畦際作業などをより簡単に効率良く行えるようにするために、摺動部材71とガイドレール72との間には、閉塞位置と全開位置とに加えてスライドドア49の半開位置での位置保持を可能にする保持機構76が介装されており、この保持機構76は、摺動部材71におけるガイドレール72で案内される前後のローラ77の間に設けたボール78と、このボール78をガイドレール72に向けて突出付勢する押しバネ79、及び、ガイドレール72の前後と前後中間部に形成した凹部80、などによって、押しバネ79の付勢による凹部80に対するボール78の係入でスライドドア49を閉塞位置や全開位置又は半開位置に位置保持するボールデテント式に構成されている(図10〜12参照)。
【0056】
尚、保持機構76としては、上下いずれか一方の揺動アーム67,69に対する作用で、スライドドア49を半開位置に位置保持するように構成されたものであってもよい。又、保持機構76によるスライドドア49の保持位置を、半開位置以外の例えば1/3開位置や2/3開位置などに設定してもよく、更に、保持機構76を、複数位置でのスライドドア49の位置保持が可能となるように構成してよい。
【0057】
図1、図3及び図5〜11に示すように、ガイドレール72は、ドアフレーム部41との接合箇所に施された曲げ加工によって、その前端部においては、その前端側ほどキャビン9の内方に向かうようになっている。そのため、スライドドア49を閉塞位置に向けて摺動させる閉じ操作時には、その曲げ加工部位を摺動部材71が越えるのに伴って、スライドドア49の後部側が、上下の揺動アーム67,69で揺動操作される前部側とともに、ドアフレーム部41に向けて左方に変位するようになっており、その結果、スライドドア49の閉塞位置においては、スライドドア49が、ドアフレーム部41の全周にわたって付設したウェザーストリップ81を介して密着するようになっている。
【0058】
又、ガイドレール72は、エンジンボンネット28の右側壁30の上方を通るように配備されており、これによって、ラジエータ36やコンデンサ37などに対するメンテナンス作業を行うための右側壁30の開閉操作時には、その右側壁30の横側方を通るようにガイドレール72をキャビン9に配備した場合に生じる、ガイドレール72が右側壁30の開閉操作に支障を来すようになる、といった不都合を招くことなく、右側壁30を簡単に開閉することができ、結果、ラジエータ36やコンデンサ37などに対するメンテナンス作業が行い易くなる。
【0059】
尚、ガイドレール72の前後両端には、連結具75との接当でスライドドア49の開閉操作範囲からの外れを防止するゴム製のストッパ82が装備されている。
【0060】
図6に示すように、スライドドア49は、上下の揺動アーム67,69による支持位置が、スライドドア49における下部側の前後中心を通る線L上に設定され、摺動部材71による支持位置が、スライドドア49における上部側の後端部に設定されている。
【0061】
つまり、この設定によって、スライドドア49において後方寄りとなる上部側のドア部分は、その上端における前端部が上側の揺動アーム67で支持され、かつ、その後端下部が摺動部材71で支持された安定状態となり、又、前方寄りとなる下部側のドア部分は、その下端における前後中心が下側の揺動アーム69で支持された安定状態となり、もって、スライドドア49を、その上部側に対して下部側を前方寄りに偏倚させた特異な形状としながらも、上下の揺動アーム67,69と摺動部材71による3点で安定的に支持することができ、結果、スライドドア49の開閉操作をガタツキのない安定状態で円滑に行える。
【0062】
又、スライドドア49において、内外の各ハンドル58,59は、上下の揺動アーム67,69による支持位置と同様に、スライドドア49における下部側の前後中心を通る線L上に設定されており、これによって、スライドドア49を、その上部側に対して下部側を前方寄りに偏倚させた特異な形状としながらも、内外のハンドル58,59によるスライドドア49の開閉操作を拗れのない安定状態で円滑に行える。又、閉塞位置においては、内外のハンドル58,59による操作で、ドアフレーム部41の全周に付設したウェザーストリップ81に対してスライドドア49を均等に押し当てることができ、結果、閉塞位置でのドアフレーム部41に対するスライドドア49の密着度を高めることができる。
【0063】
図6〜8、図10及び図11に示すように、上下の各揺動アーム67,69は、それらの揺動支点P4,P5から支軸66,68にわたる延出長さが長くなるように、それらの揺動支点P4,P5が搭乗ステップ26よりも後方に位置するように配置設定されており、又、ガイドレール72は、その後部がキャビン9の後部から後方に向けて延出する長尺に形成されており、その結果、スライドドア49の閉塞位置から開方向への移動距離を長くすることができ、その分、スライドドア49を全開位置に位置させた全開状態での乗降口40の開口量を大きくすることができ、結果、乗降口40からの乗降が行い易くなる。
【0064】
又、上下の揺動アーム67,69は、その揺動支点P4,P5がドアフレーム部41よりも左側の機体内方寄りの位置に配置設定されており、これによって、それらの揺動支点P4,P5から支軸66,68にわたる延出長さを長くしながらも、揺動操作時におけるドアフレーム部41から右外方への延出が抑制されている。その結果、スライドドア49の開閉時において、スライドドア49の前端が、刈取搬送部3の右側部に備えた分草ガイド14の延出端よりも機体右外方に張り出すことを防止でき、もって、畦際作業時などにおいて、スライドドア49の開閉操作時に、スライドドア49が畦などの他物に接触することに起因したスライドドア49の破損を防止できる(図10参照)。
【0065】
図7に示すように、上側の揺動アーム67は、機体内方寄りの位置に配置設定した揺動支点P4が、ルーフ部47に形成した空調風路52の内部に位置する高い位置に配置されており、これによって、その揺動支点P4が空調風路52よりも下方に位置するように配置する場合に比較して、キャビン9の内部における上部空間を広く確保することができ、その分、キャビン9内での居住性が向上することになる。
【0066】
図5、図6及び図8に示すように、下側の揺動アーム69は、搭乗ステップ26よりも下方の位置に配置されており、これによって、搭乗ステップ26よりも上方の位置に配置する場合に比較して、キャビン9の内部における下部空間を広く確保することができ、その分、キャビン9内での居住性が向上することになる。又、スライドドア49が閉塞位置に位置する状態では、下側の揺動アーム69が搭乗ステップ26の下方に隠れるようになり、もって、乗降口40を閉塞した状態でのキャビン9内部の見栄えが向上することになる。
【0067】
図10及び図11に示すように、下側の揺動アーム69は、スライドドア49を全開位置に位置させた状態では、その揺動支点P5の右外方に隣接するドアフレーム部41を迂回して後方に向けて延出するように、略L字状に曲げ形成されており、これによって、その揺動支点P5から支軸68にわたる延出長さが長くなるように、その揺動支点P5の位置を搭乗ステップ26よりも後方の位置に設定し、又、その揺動操作時におけるドアフレーム部41からの延出が抑制されるように、その揺動支点P5の位置をドアフレーム部41よりも機体内方寄りの位置に設定しながらも、その揺動がドアフレーム部41によって規制されることを回避でき、又、下側の揺動アーム69が乗降口40からの乗降の際に邪魔になる虞を回避でき、結果、スライドドア49の操作並びに乗降口40からの乗降が行い易くなる。
【0068】
図3及び図8に示すように、搭乗ステップ26の右側端部には、乗降口40に入り込む状態に膨出する中空状のシール83が一体形成されており、これによって、スライドドア49を閉塞位置に位置させた状態では、そのシール83にスライドドア49が密着して、スライドドア49との間に隙間が形成されることを阻止するようになっている。つまり、作業時の切り屑などが吹き込み易い乗降口40の下部をダブルシール構造とすることでシール性の向上を図れるとともに、搭乗ステップ26とスライドドア49の隙間から下側の揺動アーム69が覗くことによる見栄えの低下を防止できる。
【0069】
図1、図6、図8、図10及び図11に示すように、ドアフレーム部41における上部側の前端には、乗降口40からの乗降時に使用する補助ハンドル84が、ドアフレーム部41の上部側前端に沿う上下向きで、ドアフレーム部41から右外方に向けて突出する状態に装備されている。
【0070】
又、搭乗ステップ26を支持する機体フレーム1のステップ支持部85には、乗降口40からの乗降時に使用する補助ステップ86が、ステップ支持部85から右外方に向けて張り出す作用位置と、ステップ支持部85に沿って起立する格納位置とに、前後向きの軸心P6周りの揺動による位置切り換え操作が可能に装備されている。
【0071】
補助ステップ86は、作用位置でのキャビン9からの突出量が補助ハンドル84のキャビン9からの突出量と略同じになるように設定され、スライドドア49は、全開位置に位置する状態では、キャビン9からの突出量が、補助ハンドル84及び張り出した補助ステップ86のキャビン9からの突出量よりも小さくなるように、上下の揺動アーム67,69と摺動部材71とで支持されている。
【0072】
つまり、スライドドア49は、全開位置に位置する状態では、補助ハンドル84や張り出した補助ステップ86の右側端よりも右外方に張り出さないようになっており、これによって、畦際作業時などにおいてスライドドア49を全開位置に位置させた状態であっても、スライドドア49が畦などの他物に接触する虞を抑制することができ、その接触に起因したスライドドア49の破損を防止できる。
【0073】
図13に示すように、補助ステップ86は、スライドドア49の全開位置から閉塞位置への摺動に連動して格納位置に切り換わり、かつ、スライドドア49の閉塞位置から全開位置への摺動に連動して作用位置に切り換わるように、プッシュプルワイヤなどからなる連動機構87を介して下側の揺動アーム69に連係されており、これによって、補助ステップ86の位置切り換え操作に要する手間を省くことができる。
【0074】
尚、補助ステップ86としては、その作用位置と格納位置との位置切り換えを、縦向きの軸心周りの揺動、又は、左右方向の摺動で行うものであってもよく、又、その位置切り換えがスライドドア49の摺動に連動しないものであってもよく、更に、位置変更不能に構成したものであってもよい。
【0075】
図1に示すように、穀粒タンク6の前端部には、その位置変更時におけるガイドレール72の後端部との接触を回避する凹部88が形成されており、これによって、穀粒タンク6を、その前端部がキャビン9に近接する収容量の増大が図られたものとし、又、ガイドレール72の後端部を穀粒タンク6側に延出して全開状態での乗降口40の開口量を大きく確保できるようにしながらも、穀粒タンク6の開閉操作を、ガイドレール72によって阻害されることなく良好に行うことができ、結果、穀粒タンク6の位置変更時に、穀粒タンク6がガイドレール72に接触することに起因した穀粒タンク6やガイドレール72などの破損を未然に回避できるとともに、脱穀装置4と穀粒タンク6との間や穀粒タンク6と搭乗運転部8との間などに配備された各種機器や伝動系あるいは操作系などに対するメンテナンス作業が行い易くなる。
【0076】
尚、図14に示すように、穀粒タンク6を、その前端部の高さ位置が、ガイドレール72の高さ位置よりも低くなるように形成することで、穀粒タンク6の位置変更時に、穀粒タンク6がガイドレール72に接触することに起因した穀粒タンク6やガイドレール72などの破損を回避するようにしてもよい。
【0077】
又、図示は省略するが、穀粒タンク6を、その全体の高さ位置が、ガイドレール72の高さ位置よりも低くなるように形成することで、穀粒タンク6の位置変更時に、穀粒タンク6がガイドレール72に接触することに起因した穀粒タンク6やガイドレール72などの破損を回避するようにしてもよく、更に、その作業位置とメンテナンス位置との位置変更を左右方向の摺動で行うように構成してもよい。
【0078】
〔別実施例〕
以下、本発明の別実施例を列記する。
〔1〕スライドドア49としては、ガラス板55を囲むフレームを備えるものであってもよい。又、補助ハンドル84のキャビン9からの突出量と、補助ステップ86のキャビン9からの突出量とが大きく異なる場合には、その全開位置において、キャビン9からの突出量が大きい補助ハンドル84又は補助ステップ86よりも機体横外方に張り出さないように構成したものであってもよい。
【0079】
〔2〕上下の揺動アーム67,69としては、双方ともに一直線状に形成したもの、又は、双方ともに略L字状などに曲げ形成したものであってもよい。又、上下の揺動アーム67,69における揺動支点P4,P5の位置や、揺動支点P4,P5から支軸66,68にわたる延出長さなどは、スライドドア49の形状や摺動長さなどに応じて種々の変更が可能である。
【0080】
〔3〕ガイドレール72の長さや本数及び高さ位置の設定などは、キャビン9の形状やスライドドア49摺動長さなどに応じて種々の変更が可能であり、例えば、ガイドレール72の長さを、ガイドレール72の後端部がキャビン9の後部から後方に向けて延出しない長さに設定してもよく、又、スライドドア49に対するより安定性の高い支持構造を得るために、ガイドレール72の高さ位置を、摺動部材71がスライドドア49の上下中心位置を支持する高さ位置に設定してもよい。
【0081】
〔4〕図15に示すように、ガイドレール72を、キャビンフレーム42に装備される前レール部89と、エンジンボンネット28の右側壁30に装備される中間レール部90と、穀粒タンク6に装備される後レール部91との3分割構造に構成してもよい。この構成によると、摺動部材71がスライドドア49の上下中心位置を支持する高さ位置にガイドレール72を配置して、スライドドア49に対するより安定性の高い支持構造を得られるようにしながら、ラジエータ36やコンデンサ37などに対するメンテナンス作業を行うための右側壁30の開閉操作を可能にすることができる上に、穀粒タンク6における前端部の凹部88を不要にして貯留容量の増大を図りながら、脱穀装置4と穀粒タンク6との間や穀粒タンク6と搭乗運転部8との間などに配備された各種機器や伝動系あるいは操作系などに対するメンテナンス作業を行うための穀粒タンク6の位置変更操作を可能にすることができる。
【0082】
〔5〕図示は省略するが、ガイドレール72を、キャビンフレーム42に装備される前レール部と、エンジンボンネット28の右側壁30に装備される後レール部との2分割構造に構成してもよい。
【0083】
〔6〕図16に示すように、ガイドレール72を分割構成する場合には、保持機構76を、ガイドレール72における各レール部89〜91間の継ぎ目に対するボール78の係入で、スライドドア49を開閉途中位置に保持する継ぎ目利用のデテント式に構成してもよい。
【0084】
〔7〕シール83としては、搭乗ステップ26とは別構成のゴム製のものなどであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】コンバインの全体側面図
【図2】コンバインの全体平面図
【図3】搭乗運転部の平面図
【図4】エンジンボンネットの構成を示す要部の縦断正面図
【図5】エンジンボンネットの構成を示す要部の横断平面図
【図6】キャビンの構成を示す要部の側面図
【図7】スライドドアの支持構造を示すキャビン上部の一部切り欠き正面図
【図8】スライドドアの支持構造を示すキャビン下部の縦断正面図
【図9】スライドドアにおけるハンドル周りの構成を示す要部の斜視図
【図10】スライドドアの半開状態を示す要部の縦断平面図
【図11】スライドドアの全開状態と全閉状態とを示す要部の縦断平面図
【図12】保持機構の構成を示す要部の横断平面図
【図13】スライドドアと補助ステップの連係構成を示す要部の斜視図
【図14】別実施形態での穀粒タンクとガイドレールの高さ関係を示すコンバインの全体側面図
【図15】別実施形態でのガイドレールの構成を示すコンバインの全体側面図
【図16】別実施形態での保持機構の構成を示す要部の横断平面図
【符号の説明】
【0086】
8 搭乗運転部
9 キャビン
26 搭乗ステップ
40 乗降口
47 ルーフ部
49 スライドドア
52 空調風路
58 ハンドル
59 ハンドル
67 揺動アーム
69 揺動アーム
71 摺動部材
72 ガイドレール
83 シール
K1 円弧軌道
K2 直線軌道
L スライドドア下部側の前後中心を通る線
P4 揺動支点(揺動アーム)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搭乗運転部を覆うキャビンの横側部に形成した乗降口を閉塞する前方の閉塞位置と、前記乗降口を大きく開放する後方の全開位置とにわたって摺動可能に構成したスライドドアを備えてあるコンバインのドア開閉構造であって、
前記スライドドアを、その上部側に対して下部側が前方寄りに偏倚した形状に形成し、
前記スライドドアの前部側を前後揺動する上下一対の揺動アームで支持し、前記スライドドアの後部側を前後向きのガイドレールに沿って摺動する摺動部材で支持して、前記スライドドアの開閉時に、前記スライドドアの前端が円弧軌道を描き、かつ、前記スライドドアの後端が直線軌道を描くように構成し、
前記スライドドアに対する前記摺動部材の支持位置を、前記スライドドアにおける前記上部側の後端部に設定し、
前記スライドドアに対する前記揺動アームの支持位置を、前記スライドドアにおける前記下部側の前後中心を通る線上に設定してあるコンバインのドア開閉構造。
【請求項2】
前記スライドドアのハンドルを、前記スライドドアにおける前記下部側の前後中心を通る前記線上に配置してある請求項1に記載のコンバインのドア開閉構造。
【請求項3】
前記スライドドアの上部側を支持する前記揺動アームの揺動支点を、前記キャビンのルーフ部に形成した空調風路の内部に設けてある請求項1又は2に記載のコンバインのドア開閉構造。
【請求項4】
前記スライドドアの下部側を支持する前記揺動アームを、前記搭乗運転部に敷設した搭乗ステップの下方に配設してある請求項1〜3のいずれか一つに記載のコンバインのドア開閉構造。
【請求項5】
前記搭乗ステップに、前記閉塞位置の前記スライドドアとの間に形成される隙間を塞ぐシールを設けてある請求項4に記載のコンバインのドア開閉構造。
【請求項6】
前記搭乗ステップを、前記シールが一側端部に中空状に一体形成された樹脂成型品で構成してある請求項5に記載のコンバインのドア開閉構造。
【請求項1】
搭乗運転部を覆うキャビンの横側部に形成した乗降口を閉塞する前方の閉塞位置と、前記乗降口を大きく開放する後方の全開位置とにわたって摺動可能に構成したスライドドアを備えてあるコンバインのドア開閉構造であって、
前記スライドドアを、その上部側に対して下部側が前方寄りに偏倚した形状に形成し、
前記スライドドアの前部側を前後揺動する上下一対の揺動アームで支持し、前記スライドドアの後部側を前後向きのガイドレールに沿って摺動する摺動部材で支持して、前記スライドドアの開閉時に、前記スライドドアの前端が円弧軌道を描き、かつ、前記スライドドアの後端が直線軌道を描くように構成し、
前記スライドドアに対する前記摺動部材の支持位置を、前記スライドドアにおける前記上部側の後端部に設定し、
前記スライドドアに対する前記揺動アームの支持位置を、前記スライドドアにおける前記下部側の前後中心を通る線上に設定してあるコンバインのドア開閉構造。
【請求項2】
前記スライドドアのハンドルを、前記スライドドアにおける前記下部側の前後中心を通る前記線上に配置してある請求項1に記載のコンバインのドア開閉構造。
【請求項3】
前記スライドドアの上部側を支持する前記揺動アームの揺動支点を、前記キャビンのルーフ部に形成した空調風路の内部に設けてある請求項1又は2に記載のコンバインのドア開閉構造。
【請求項4】
前記スライドドアの下部側を支持する前記揺動アームを、前記搭乗運転部に敷設した搭乗ステップの下方に配設してある請求項1〜3のいずれか一つに記載のコンバインのドア開閉構造。
【請求項5】
前記搭乗ステップに、前記閉塞位置の前記スライドドアとの間に形成される隙間を塞ぐシールを設けてある請求項4に記載のコンバインのドア開閉構造。
【請求項6】
前記搭乗ステップを、前記シールが一側端部に中空状に一体形成された樹脂成型品で構成してある請求項5に記載のコンバインのドア開閉構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−238792(P2006−238792A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−58865(P2005−58865)
【出願日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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