説明

コンバイン

【課題】扱胴伝動機構のメンテナンス時等において正面カバーの内部空間へアクセスする必要がある場合に、正面カバーの内部空間へ容易にアクセスすることができるコンバインを提供する。
【解決手段】脱穀機枠41の上方が開口とされ、脱穀機枠41に連結された扱室カバー400を枢支軸401回りに回動することにより、脱穀機枠41の上方開口が閉塞および開放される。脱穀機枠41の前側端壁41aには、正面下側カバー502が支持され、扱室カバー400には、正面上側カバー501が支持されて正面カバー500が形成される。正面カバー500の内部空間へは扱室カバー400を枢支軸401回りに回動することにより、正面上側カバー501も枢支軸401回りに回動し、正面カバー500の内部空間が開放される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱穀機枠の前側端壁に形成された穀稈入口用スリットを介して、フィードチェーン装置によって搬送される穀稈の穂先側が前方から前記脱穀機枠によって画される扱室に進入するように構成されると共に、前記脱穀機枠に、前記穀稈が該脱穀機枠の前方側に設けられた扱胴伝動機構に接触することを防止する正面カバーが設けられているコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
扱胴駆動軸の前端部が挿通される挿通口が形成された前側端壁と、前記扱胴駆動軸の後端部が挿通される挿通口が設けられた後側端壁と、前記前側端壁および前記後側端壁を連結する周壁とを有する脱穀機枠の上方を開口とし、前記上方開口を前記脱穀機枠に枢支軸回り回動可能とされた扱室カバーによって閉塞および開放し得るように構成されたコンバインは、従来から公知である(例えば、下記特許文献1参照)。
前記特許文献1に記載のコンバインは、扱室カバーが脱穀機枠に対して脱着される構成に比して、前記脱穀機枠の内部空間へ容易にアクセスすることができ、前記扱胴のメンテナンス作業の効率化が可能となっている。
【0003】
ところで、前記脱穀機枠の前方には、駆動源から前記扱胴駆動軸へ動力を伝達するための扱胴伝動機構が配置されている。詳しくは、前記扱胴駆動軸は、前端部が前記前側端壁の前記挿通口を介して前方へ延在されており、該扱胴駆動軸の前方延在部に前記扱胴伝動機構を介して駆動源からの動力が伝達されるようになっている。
【0004】
さらに、前記脱穀機枠の前面を構成する前記前側端壁には、フィードチェーン装置によって搬送される穀稈が前方から前記脱穀機枠によって画される扱室内へ進入することを許容する為の穀稈入口用スリットが形成されている。
【0005】
このように、前記脱穀機枠の前方側は、前記扱胴伝動機構の設置スペースを形成すると共に、前記フィードチェーン装置による穀稈の搬送スペースを形成している。
従って、一般的には、前記脱穀機枠には、前記フィードチェーン装置によって搬送される穀稈が前記扱胴伝動機構に接触しないように、該扱胴伝動機構を覆う正面カバーが設けられる。
【0006】
しかしながら、従来のコンバインにおいては、前記正面カバーはボルト等の締結手段によって前記脱穀機枠に着脱可能に連結されていた為、前記扱胴伝動機構のメンテナンス作業時等において、前記正面カバーの内部空間にアクセスする必要がある場合には、前記正面カバーを取り外さなければならず、作業効率が悪いという問題があった。
【特許文献1】特開平5−84015号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記従来技術に鑑みなされたものであり、脱穀機枠の前側端壁に形成された穀稈入口用スリットを介して、フィードチェーン装置によって搬送される穀稈の穂先側が前方から前記脱穀機枠によって画される扱室に進入するように構成されると共に、前記脱穀機枠に、前記穀稈が該脱穀機枠の前方側に設けられた扱胴伝動機構に接触することを防止する正面カバーが設けられたコンバインにおいて、前記扱胴伝動機構のメンテナンス時等において前記正面カバーの内部空間へアクセスする必要がある場合に、前記正面カバーの内部空間へ容易にアクセスすることができるコンバインの提供を、一の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るコンバインは、上方が開口とされた脱穀機枠と、前記上方開口を閉塞および開放し得るように枢支軸回り回動可能に前記脱穀機枠に連結された扱室カバーと、前記脱穀機枠の前側端壁および後側端壁に支持された扱胴駆動軸と、前記脱穀機枠によって画される扱室内において前記扱胴駆動軸に相対回転不能に支持された扱胴と、前記前側端壁に形成された穀稈入口用スリットを介して穀稈の穂先側が前方から前記扱室内に進入するように穀稈を搬送するフィードチェーン装置とを備え、前記脱穀機枠には、前記穀稈入口用スリットを介して前記扱室内に進入する穀稈が、前記前側端壁の前方に配設された扱胴伝動機構に接触することを防止する正面カバーが設けられたコンバインであって、前記正面カバーは、前記前側端壁に支持された正面下側カバーと、前記扱室カバーに支持された正面上側カバーとを含むことを特徴とするものである。
【0009】
上記構成のコンバインによれば、脱穀機枠の上方が開口とされ、脱穀機枠に連結された扱室カバーを枢支軸回りに回動することにより、脱穀機枠の上方開口が閉塞および開放される。脱穀機枠によって画される扱室内には、扱胴が脱穀機枠の前側端壁および後側端壁に支持された扱胴駆動軸に相対回転不能に支持される。前側端壁には穀稈入口用スリットが形成され、フィードチェーン装置により穀稈の穂先側が前方から扱室内に進入するように搬送される。
また、脱穀機枠には、正面カバーが設けられ、穀稈入口用スリットを介して前記扱室内に進入する穀稈が前側端壁の前方に配設された扱胴伝動機構に接触することが防止される。
この正面カバーには、前側端壁に支持された正面下側カバーと、扱室カバーに支持された正面上側カバーとが含まれる。したがって、扱室カバーを枢支軸回りに回動することにより、正面上側カバーも枢支軸回りに回動し、正面カバーの内部空間が開放される。
【0010】
このように、扱胴伝動機構への穀稈の接触を防止するための正面カバーが上下に分かれており、かつ、そのうちの正面上側カバーが扱室カバーに支持されていることにより、扱胴伝動機構のメンテナンス時等において正面カバーの内部空間へアクセスする必要がある場合には、扱室カバーを枢支軸回りに回動させることにより、正面上側カバーを枢支軸回りに回動させることができるため、正面カバーの内部空間へ容易にアクセスすることができる。また、正面カバーが上下に分かれていることにより、回動させる正面カバーの重量および面積を可及的に小さくすることができ、省スペースかつ小さい力で正面カバーの開閉を行うことができる。
【0011】
好ましくは、前記正面下側カバーは、前記扱胴伝動機構の少なくとも一部を下方から囲繞するように構成され、前記正面上側カバーは、前記扱胴伝動機構の少なくとも一部を上方から囲繞するように構成されている。
【0012】
この場合、扱胴伝動機構の少なくとも一部は、正面下側カバーにより下方から囲繞され、正面上側カバーにより上方から囲繞される。
したがって、正面上側カバーおよび正面下側カバーが扱胴伝動機構に直接接触することを避けつつ、扱胴伝動機構への穀稈の接触をより有効に防止することができる。
【0013】
好ましくは、前記扱胴駆動軸と前記扱胴伝動機構との連結部分近傍に、前記正面下側カバーと前記正面上側カバーとの境界が位置しているように構成される。
【0014】
この場合、扱胴駆動軸と扱胴伝動機構との連結部分近傍を境界として、下側に正面下側カバーが設けられ、上側に正面上側カバーが設けられる。
したがって、正面上側カバーを回動させて開放することにより、扱胴伝動機構へのアクセスを容易に行うことができ、扱胴伝動機構のメンテナンス等をより容易に行うことができる。
【0015】
好ましくは、前記扱室カバーには、下方へ延びる支持フレームが連結され、前記正面上側カバーの内表面には、後方へ延在するように取付ステーが連結されており、前記正面上側カバーによって前記支持フレームを囲繞した状態で、前記取付ステーおよび前記支持フレームを側方から締結することで、前記正面上側カバーが前記扱室カバーに連結されているように構成される。
【0016】
この場合、扱室カバーに連結された下方へ延びる支持フレームと正面上側カバーの内表面に後方へ延在するように連結された取付ステーとが、側方から締結されることにより、正面上側カバーが支持フレームを囲繞した状態で連結される。
これにより、正面上側カバーの外表面にねじ、ボルト等の締結部材を設けなくて済み、美観が向上するとともに、締結部材等による突起をなくして作業者に対する安全性を向上させることができる。また、正面上側カバーを側方から締結することにより、締結時に、扱室カバーを開放させる必要をなくし、組み立て性能を向上させることができる。
【0017】
好ましくは、前記正面下側カバーは、側面視において、下方へ行くに従って後方に位置するように傾斜されたガイド面を有しているように構成される。
【0018】
この場合、正面下側カバーは、ガイド面が後方へ行くに従って穀稈入口用スリットに近接されるように下方へ傾斜される。
これにより、フィードチェーン装置による穀稈の扱室への搬入を確実に行うことができ、脱穀精度を向上させることができる。
【0019】
好ましくは、少なくとも一部が正面視において前記穀稈入口用スリットとオーバーラップするように、上端部が前記正面下側カバーに連結された弾性シートが備えられているように構成される。
【0020】
この場合、弾性シートの上端部が正面下側カバーに連結され、弾性シートの少なくとも一部が正面視において穀稈入口用スリットとオーバーラップされる。
したがって、扱室内で脱穀される穀稈が穀稈入口用スリットから逆流して外部に飛散することを弾性シートにより防止することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るコンバインによれば、扱胴伝動機構への穀稈の接触を防止するための正面カバーが上下に分かれており、かつ、そのうちの正面上側カバーが扱室カバーに支持されていることにより、扱胴伝動機構のメンテナンス時等において正面カバーの内部空間へアクセスする必要がある場合には、扱室カバーを枢支軸回りに回動させることにより、正面上側カバーを枢支軸回りに回動させることができるため、正面カバーの内部空間へ容易にアクセスすることができる。また、正面カバーが上下に分かれていることにより、回動させる正面カバーの重量および面積を可及的に小さくすることができ、省スペースかつ小さい力で正面カバーの開閉を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、添付図面を参照しつつ説明する。図1〜図3は、それぞれ、本発明の一実施形態が適用されたコンバインの斜視図、側面図および正面図である。また、図4は図1のコンバインにおける伝動模式図である。
【0023】
本実施形態のコンバイン1は、図1〜図3および図4に示すように、本機フレーム2と、前記本機フレーム2に支持された駆動源9と、前記本機フレーム2に連結された左右一対のクローラ式走行装置10と、前記駆動源9からの回転動力を変速して前記一対のクローラ式走行装置10へ出力するトランスミッション15と、前記本機フレーム2の前方において該本機フレーム2に昇降可能に支持された刈取装置30と、前記刈取装置30によって刈り取られた穀稈を前記本機フレーム2の左側方において後方へ搬送するフィードチェーン装置20と、前記フィードチェーン装置20によって搬送される穀稈に対して脱穀処理を行うように、前記本機フレーム2の左部分に配設された脱穀装置40と、前記本機フレーム2の右前方部分に配設された運転席5と、脱穀装置によって脱穀された穀粒を収容するグレンタンク6と、前記フィードチェーン装置20から脱穀済の排藁を受け継ぎ、該排藁を後方へ搬送する排藁搬送装置7とを備えている。なお、フィードチェーン装置20はフィードチェーンカバー200(図1〜図3参照)によって覆われている。
【0024】
前記刈取装置30は、穀稈を刈り取る刈取部31と、該刈取部31によって刈り取られた穀稈をフィードチェーン装置20へ搬送する搬送部36とを備えている。
前記刈取部31は、引起ケースおよび引起タインを含む引起機構32と、前記引起ケースの下方部から前方へ突出された分草板33と、前記引起ケースの後方に配設された刈刃34とを有している。
前記搬送部36は、上部搬送機構および縦搬送機構を含み、刈り取られた穀稈の株元を前記フィードチェーン装置20へ受け継ぐように構成されている。
【0025】
図5および図6は、それぞれ、前記脱穀装置40および前記フィードチェーン装置500の斜視図および平面図である。また、図7は、本実施形態のコンバインにおいて扱室カバーが脱穀機枠の上方開口の開放状態位置にある場合の脱穀装置近傍の部分斜視図である。
脱穀装置40は、フィードチェーン装置20により搬送された穀稈を脱穀する扱胴45と、扱胴45を収容し、上方が開口とされた脱穀機枠41と、前記上方開口を閉塞および開放し得るように脱穀機枠41に枢支軸401回りに回動可能に連結された扱室カバー400とを備えている。扱胴45は、前記脱穀機枠41の前側端壁41aおよび後側端壁41bに支持された扱胴駆動軸46に相対回転不能に支持されている。脱穀機枠41の前方には、駆動源9から扱胴駆動軸46へ動力を伝達するための扱胴伝動機構47が配置されている。より詳しくは、扱胴駆動軸46は、前端部が脱穀機枠41の前側端壁41aの挿通口を介して前方へ延在されており、扱胴駆動軸46の前方延在部に扱胴伝動機構47を介して駆動源9からの動力が伝達されるようになっている。
【0026】
さらに、脱穀機枠41の前面を構成する前側端壁41aには、フィードチェーン装置20によって搬送される穀稈が前方から脱穀機枠41によって画される扱室内へ進入することを許容するための穀稈入口用スリット41sが形成されている。
一方、フィードチェーン装置20は、刈取装置30から受け継いだ刈取穀稈を穂先側が脱穀装置40の脱穀機枠41の前側端壁41aに形成された穀稈入口用スリット41sから扱室内に進入した状態で搬送する。より具体的には、フィードチェーン装置20は、本機フレーム2に対して回動軸201回り回動自在とされたFCレール部材21と、前記駆動源9に作動連結された駆動スプロケット202および従動スプロケット203を含むFC駆動機構22と、FC駆動機構22およびFCレール部材21に巻き回されたフィードチェーン23とを備えている。フィードチェーン装置20は、図5および図6に示すように、FCレール部材21の車輌幅方向内側面に支持された内側カバー部材25をさらに具備する。この内側カバー部材25は、脱穀装置40の外側面のうち下方部分を覆うように構成されており、本機フレーム2に対してフィードチェーン装置20を回動軸201回りに回動可能とされることにより、脱穀装置40の左側面下方が開閉可能に構成される。つまり、扱室は、脱穀機枠41および扱室カバー400により構成される脱穀ハウジングとフィードチェーン装置20の内側カバー部材25により形成される。
【0027】
コンバイン1は、さらに、図5および図6に示すように、前記フィードチェーン装置20の上方に位置し、前記フィードチェーン装置20によって搬送される穀稈を前記フィードチェーン23に向けて押圧する藁押さえ装置24を有している。より具体的には、前記藁押さえ装置24は、穀稈搬送方向に沿った固定レール241と、前記フィードチェーン23と対向配置される可動レール242と、前記固定レール241および前記可動レール242の間に配置され、前記可動レール242を前記フィードチェーン23へ向けて押圧するコイルスプリング等の付勢部材243とを備えている。
藁押さえ装置24は、扱室カバー400に支持されており、扱室カバー400に着脱可能に装着または回動可能に連結された藁押さえカバー240(図1〜図3参照)によって覆われている。
【0028】
なお、脱穀装置40は、脱穀機枠41の下方に配設された揺動選別装置(図示せず)と、前記揺動選別装置によって選別された穀粒を集約する樋構造体(図示せず)とをさらに備えている。
揺動選別装置は、扱胴45によって脱穀された被脱穀物から穀粒を、比重選別すると共に、唐箕ファン(図示せず)からの選別風によって風選別するように構成されている。
また、樋構造体は、フィードチェーン装置20の搬送方向上流側から下流側へ直列配置された一番樋および二番樋(ともに図示せず)を有している。
一番樋および二番樋には、図4に示すように、それぞれ一番コンベア58aおよび二番コンベア59aが配置されており、一番樋に集約された一番穀粒は一番コンベア58aおよび揚穀コンベア58bを介して前記グレンタンク6内に搬入され、二番樋に集約された二番穀粒は二番コンベア59aと二番還元コンベア59bを含む二番還元装置とによって、揺動選別装置へ戻されるようになっている。
【0029】
前述したように、脱穀機枠41の前方側は、扱胴伝動機構47の設置スペースを形成するとともに、フィードチェーン装置20による穀稈の搬送スペースを形成している。そして、脱穀機枠41には、正面カバー500が設けられ、フィードチェーン装置20によって穀稈入口用スリット41sを介して前記扱室内に進入する穀稈が、脱穀機枠41の前側端壁41aの前方に配設された扱胴伝動機構47に接触することが防止される。
【0030】
ここで、本実施形態のコンバインに備えられた正面カバーの構造について説明する。図8および図9は、それぞれ本実施形態のコンバインにおいて扱室カバーが脱穀機枠の上方開口の閉塞状態位置にある場合の脱穀装置近傍の部分斜視図および部分分解側面図であり、図10は、本実施形態のコンバインにおいて扱室カバーが脱穀機枠の上方開口の開放状態位置にある場合の脱穀装置近傍の部分正面図である。なお、図8および図9においては図7および図10に示される扱胴45は省略している。
【0031】
本実施形態における正面カバー500は、図7〜9に示すように、脱穀機枠41の前側端壁41aに支持された正面下側カバー502と、前記扱室カバー400に支持された正面上側カバー501とを含むことを特徴とするものである。
より具体的には、図9に示すように、扱室カバー400には、下方へ延びる支持フレーム510が連結されている。支持フレーム510は、扱室カバー400に連結された下方延在フレーム512および当該下方延在フレーム512に着脱可能に連結される取付フレーム513を有している。一方、正面上側カバー501の内表面には、後方へ延在するように取付ステー511が連結されている。正面上側カバー501によって支持フレーム510を囲繞した状態で、取付ステー511および支持フレーム511をボルトやねじ等の締結部材を用いて側方から締結することにより、正面上側カバー501は、扱室カバー400に連結されている。このとき、扱室カバー400が閉塞した際、正面上側カバー501が扱胴伝動機構47の少なくとも一部を上方から囲繞するように構成されている。一方、正面下側カバー502は、脱穀機枠41の前側端壁41aに、扱胴伝動機構47の少なくとも一部を下方から囲繞するように取付ステー(図示せず)を介して取り付けられている。
【0032】
また、本実施形態においては、少なくとも一部が正面視において穀稈入口用スリット41sとオーバーラップするように、上端部が正面下側カバー502に連結された弾性シート503が備えられている。本実施形態においては、正面下側カバー502の正面および側面にそれぞれ弾性シート503が備えられている。なお、図7および図8においては弾性シート503の全部および側面部を省略してある。
【0033】
上記構成のコンバイン1によれば、脱穀機枠41の上方が開口とされ、脱穀機枠41に連結された扱室カバー400を枢支軸401回りに回動することにより、脱穀機枠41の上方開口が閉塞および開放される。なお、扱室カバー400には、開閉操作部材403が設けられており、これを押動することにより、扱室カバー400を枢支軸401回りに回動させることができる。
このように枢支軸401回りに回動する扱室カバー440には、正面上側カバー501が支持されるため、当該正面上側カバー501も扱室カバー400の回動に応じて枢支軸401回りに回動することとなる。一方、正面下側カバー502は、脱穀機枠41の前側端壁41aに支持される。
【0034】
したがって、扱胴伝動機構47のメンテナンス時等において正面カバー500の内部空間へアクセスする必要がある場合には、扱室カバー400を枢支軸401回りに回動させることにより、正面上側カバー501を枢支軸401回りに回動させることができる。このように、扱胴伝動機構47への穀稈の接触を防止するための正面カバー500が上下に分かれており、かつ、そのうちの正面上側カバー501が扱室カバー400に支持されていることにより、扱室カバー400とともに正面上側カバー501を枢支軸401回りに回動させて、正面カバー500の内部空間へ容易にアクセスすることができる。また、正面カバー500が上下に分かれていることにより、回動させる正面カバー(すなわち、正面上側カバー501)の重量および面積を可及的に小さくすることができ、省スペースかつ小さい力で正面カバー(正面上側カバー501)の開閉を行うことができる。
【0035】
なお、本実施形態においては、扱胴伝動機構47の少なくとも一部が、正面下側カバー502により下方から囲繞され、正面上側カバー501により上方から囲繞される。
したがって、正面上側カバー501および正面下側カバー502が扱胴伝動機構47に直接接触することを避けつつ、扱胴伝動機構47への穀稈の接触をより有効に防止することができる。
【0036】
また、前述の通り、扱室カバー400に連結された下方へ延びる支持フレーム510と正面上側カバー501の内表面に後方へ延在するように連結された取付ステー511とが、側方から締結されることにより、正面上側カバー501が支持フレーム510を囲繞した状態で連結される。
これにより、正面上側カバー501の外表面にねじ、ボルト等の締結部材を設けなくて済み、美観が向上するとともに、締結部材等による突起をなくして作業者に対する安全性を向上させることができる。また、正面上側カバー501を側方から締結することにより、締結時に、扱室カバー400を開放させる必要をなくし、組み立て性能を向上させることができる。
【0037】
加えて、本実施形態においては、扱胴駆動軸46と扱胴伝動機構47との連結部分近傍に、正面下側カバー502と正面上側カバー501との境界(図10の破線)が位置している。
【0038】
この場合、扱胴駆動軸46と扱胴伝動機構47との連結部分近傍を境界として、下側に正面下側カバー502が設けられ、上側に正面上側カバー501が設けられる。
したがって、正面上側カバー501を回動させて開放することにより、扱胴伝動機構47へのアクセスを容易に行うことができ、扱胴伝動機構47のメンテナンス等をより容易に行うことができる。
【0039】
さらに、正面下側カバー502は、側面視において、下方へ行くに従って後方に位置するように傾斜されたガイド面502aを有している。
かかる構成により、フィードチェーン装置20によって搬送される穀稈の扱室内への進入を無理なく行うことができ、扱室内に搬入される前に、穀稈から脱粒が生じることを有効に防止することができる。
加えて、正面下側カバー402に弾性シート503の上端部が連結され、弾性シート503の少なくとも一部が正面視において穀稈入口用スリット41sとオーバーラップされる。
かかる構成により、フィードチェーン装置20による穀稈の扱室内への搬入を阻害することなく、穀稈入口用スリット41sを介して扱室から穀稈が漏れ出ることを有効に防止することができる。
【0040】
詳しく説明すると、フィードチェーン装置20により搬送される穀稈は、まず、弾性シート503に接触し、弾性シート503が穀稈に押される形で撓むことにより、穀稈が弾性シート503を越えて脱穀機枠41に向かって搬送される。このとき、弾性シート503は自身の弾性力によりもとの位置に復帰する。
さらに、穀稈が脱穀機枠41の前側端壁41aに設けられた穀稈入口用スリット41sに搬送されるまでに、一部の穀稈が正面下側カバー502のガイド面502aに当接される。正面下側カバー502のガイド面502aは、後方へ行くに従って穀稈入口用スリット41sへ近接するように下方へ傾斜されている(穀稈入口用スリット41sに向かうほど先窄まりとなっている)。これにより、搬送される穀稈をもれなく穀稈入口用スリット41sから扱室内へと確実に搬送することができ、脱穀精度を向上させることができる。
【0041】
こうして穀稈入口用スリット41sへと搬送された穀稈は、当該穀稈入口用スリット41sから脱穀機枠41で画された扱室内に進入し、扱胴45の回転により穀稈が脱穀される。この際、扱胴45の回転により脱穀された籾や藁屑等が穀稈入口用スリット41sを通じて外部に飛散するおそれがある。これに対し、正面下側カバー402に連結された弾性シート503の少なくとも一部が穀稈入口用スリット41sにオーバーラップしていることにより、穀稈の外部への飛散を防止することができる。
【0042】
以上、本発明に係る実施の形態を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更、修正が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施形態が適用されたコンバインの斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態が適用されたコンバインの側面図である。
【図3】本発明の一実施形態が適用されたコンバインの正面図である。
【図4】図1のコンバインにおける伝動模式図である。
【図5】脱穀装置およびフィードチェーン装置の斜視図である。
【図6】脱穀装置およびフィードチェーン装置の平面図である。
【図7】本実施形態のコンバインにおいて扱室カバーが脱穀機枠の上方開口の開放状態位置にある場合の脱穀装置近傍の部分斜視図である。
【図8】本実施形態のコンバインにおいて扱室カバーが脱穀機枠の上方開口の閉塞状態位置にある場合の脱穀装置近傍の部分斜視図である。
【図9】本実施形態のコンバインにおいて扱室カバーが脱穀機枠の上方開口の閉塞状態位置にある場合の脱穀装置近傍の部分分解側面図である。
【図10】本実施形態のコンバインにおいて扱室カバーが脱穀機枠の上方開口の開放状態位置にある場合の脱穀装置近傍の部分正面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 コンバイン
2 本機フレーム
20 フィードチェーン装置
40 脱穀装置
41 脱穀機枠
41a 前側端壁
41b 後側端壁
41s 穀稈入口用スリット
45 扱胴
46 扱胴駆動軸
47 扱胴伝動機構
400 扱室カバー
401 枢支軸
500 正面カバー
501 正面上側カバー
502 正面下側カバー
503 弾性シート
510 支持フレーム
511 取付ステー
512 下方延在フレーム
513 取付フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方が開口とされた脱穀機枠と、前記上方開口を閉塞および開放し得るように枢支軸回り回動可能に前記脱穀機枠に連結された扱室カバーと、前記脱穀機枠の前側端壁および後側端壁に支持された扱胴駆動軸と、前記脱穀機枠によって画される扱室内において前記扱胴駆動軸に相対回転不能に支持された扱胴と、前記前側端壁に形成された穀稈入口用スリットを介して穀稈の穂先側が前方から前記扱室内に進入するように穀稈を搬送するフィードチェーン装置とを備え、前記脱穀機枠には、前記穀稈入口用スリットを介して前記扱室内に進入する穀稈が、前記前側端壁の前方に配設された扱胴伝動機構に接触することを防止する正面カバーが設けられたコンバインであって、
前記正面カバーは、前記前側端壁に支持された正面下側カバーと、前記扱室カバーに支持された正面上側カバーとを含むことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記正面下側カバーは、前記扱胴伝動機構の少なくとも一部を下方から囲繞するように構成され、
前記正面上側カバーは、前記扱胴伝動機構の少なくとも一部を上方から囲繞するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記扱胴駆動軸と前記扱胴伝動機構との連結部分近傍に、前記正面下側カバーと前記正面上側カバーとの境界が位置していることを特徴とする請求項1または2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記扱室カバーには、下方へ延びる支持フレームが連結され、
前記正面上側カバーの内表面には、後方へ延在するように取付ステーが連結されており、
前記正面上側カバーによって前記支持フレームを囲繞した状態で、前記取付ステーおよび前記支持フレームを側方から締結することで、前記正面上側カバーが前記扱室カバーに連結されていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のコンバイン。
【請求項5】
前記正面下側カバーは、側面視において、下方へ行くに従って後方に位置するように傾斜されたガイド面を有していることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載のコンバイン。
【請求項6】
少なくとも一部が正面視において前記穀稈入口用スリットとオーバーラップするように、上端部が前記正面下側カバーに連結された弾性シートが備えられていることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載のコンバイン。

【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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