説明

コンバイン

【課題】本発明は、穀粒搬出筒の格納用支持台を設けるに当たって、下部に位置する自走機体の機体フレームから専用の長い支柱を設けることなく、穀粒搬出筒を支持する支柱の軽量化を図るものである。
【解決手段】本発明のコンバインは、グレンタンク4内の脱穀物を搬出する穀粒搬出筒70を格納支持する格納用支持台30を、脱穀装置13の外枠を形成する脱穀装置前部の左右の縦フレーム58の上部に架設した横フレーム57から立設したステー64を介して設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱穀したグレンタンク内の脱穀物を搬出する穀粒搬出筒を備えたコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の図1、図2に示されているように、自走機体2の左右方向の一方に脱穀装置3を、他方にグレンタンク9を備え、グレンタンク9内の脱穀物を搬出する穀粒搬出筒の長手方向中間部を載置支持する格納用支持台を、脱穀装置の前部に設けた技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−102504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示されている穀粒搬出筒の格納用支持台は、図1、図2からみて、脱穀装置3前部における脱穀装置の右側部位置に配設されている。
【0005】
穀粒搬出筒の格納用支持台は、脱穀装置の側部に立設した長い支柱に穀粒搬出筒の格納用支持台を固定されていた。上記構造のものでは、重量物である穀粒排出筒の格納用支持台を長い支柱に支持させていたので、穀粒排出筒を支持するための丈夫な支柱を設けなければならなかった。
【0006】
本発明は、穀粒搬出筒の格納用支持台を設けるに当たって、下部に位置する自走機体の機体フレームから専用の長い支柱を設けることなく、穀粒搬出筒を支持する支柱の軽量化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
〔第1発明の構成〕
第1発明は、自走機体の左右方向の一方に脱穀装置を、他方にグレンタンクを備え、前記グレンタンク内の脱穀物を搬出する穀粒搬出筒を、前記グレンタンクの後部に位置する上下向き軸心回りに旋回自在に且つ横向き軸心回りに上下方向に揺動自在に備え、前記穀粒搬出筒の長手方向中間部を載置支持する格納用支持台を前記脱穀装置の前部に設けてあるコンバインであって、前記脱穀装置の外枠を形成する該脱穀装置前部の左右の縦フレームの上部に横フレームを架設し、この横フレームの左右方向中間部に立設したステーを介して前記穀粒搬出筒の格納用支持台を設けてある。
【0008】
〔第1発明の作用〕
第1発明によれば、穀粒搬出筒の格納用支持台を、左右の縦フレームと、この縦フレームの上部に架設された横フレームとで構成された丈夫な門形のフレーム枠の上部に設けたので、前記横フレームと格納用支持台との間に介装されるステーの丈を短くできる。
脱穀装置の横幅に相当する間隔を備えた左右の縦フレームにより、ステー及び格納用支持台が二股状に十分な強度で支持される。
【0009】
〔第1発明の効果〕
したがって、穀粒搬出筒の格納用支持台を設けるに当たって、脱穀装置の外枠を形成する既存の部材である左右の縦フレームを有効利用することにより、機体フレームから専用の長い支柱を設ける必要はなく(ステーを支持するための専用の部材を備えたとしても、小規模のものでよく)、短い丈のステーで簡便に形成することができる。そして、ステーの強度としては短柱としての強度があればよく、小型軽量のステーとすることができ、軽量化を図ることができた。
【0010】
〔第2発明の構成〕
第2発明は、第1発明の構成において、前記横フレームが脱穀装置の扱胴を駆動する伝動装置を内蔵した伝動ケースとしたものである。
【0011】
〔第2発明の作用効果〕
脱穀装置を駆動する伝動装置を内蔵した既存の部材である伝動ケースを、ステーを支持する横フレームを兼ねているので、ステー及び格納用支持台の支持構造を簡略化することができた。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】普通型コンバインの右側面図である。
【図2】普通型コンバインの平面図である。
【図3】普通型コンバインの左側面図である。
【図4】穀粒回収装置のスイッチ操作具の取付位置を示す斜視図である。
【図5】脱穀装置前部の外枠と外枠に支持した穀粒搬出筒の格納用支持台を示す正面図である。
【図6】格納用支持台の取付構造を示す一部破断側面図である。
【図7】通常使用状態の格納用支持台の取付位置を示す平面図である。
【図8】出荷時の格納用支持台の取付位置を示す平面図である。
【図9】(a)は穀粒回収装置のスイッチ操作具の取付構造を示す断面図、(b)は同正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面の記載に基づいて説明する。
【0014】
〔全体構成〕
図1〜図3に、本発明でいうコンバインの一例としての普通型コンバインが示されている。
この普通型コンバインは、機体フレーム10を左右一対のクローラ走行装置11,11上に搭載して自走機体1を構成し、自走機体1上に、運転座席20が装備された搭乗運転部2と、運転座席20の下方に位置するエンジン12と、脱穀対象の被処理物を投入して脱穀及び選別処理する脱穀装置13と、脱穀された被処理物を回収するための穀粒回収装置3とを搭載設置してある。
そして、自走機体1の機体前方側には、刈り取り対象茎稈を収穫するための刈取前処理装置14のフィーダ15を、その後端部の横向き軸心(図外)周りで上下揺動自在に連結してあり、これらの各装置の組み合わせによって、刈り取られた脱穀処理対象物の全稈を脱穀処理する普通型コンバインを構成してある。
【0015】
〔クローラ走行装置〕
前記クローラ走行装置11は、機体フレーム10にフレーム脚8を介して連結している機体前後向きのトラックフレーム9、このトラックフレーム9の長手方向に並んでトラックフレーム9に遊転自在に支持させてある複数個の接地転輪33、トラックフレーム9の後端部に遊転自在に支持させてある緊張輪体34、トラックフレーム9の前端側に取付けたブラケット16に駆動回動自在に支持されているクローラ駆動輪体35、トラックフレーム9の前後方向の中間部に間隔を隔てて立設した前後のブラケット19,19に遊転支持されている前後2個の上部転輪36,36、トラックフレーム9の中央部に枢支した左右向き支軸46の軸心P回りで上下に揺動自在なアーム21の下端部に取り付けられた上下揺動自在な揺動輪37、前記の全ての輪体33〜37にわたって巻回してあるゴム製のクローラ無端帯としてのクローラベルト38を備えて構成してある。揺動輪37は、前後の上部転輪36,36の間(前後中間位置)に配設されている。
【0016】
前側の3個の接地転輪33,33間、及び後側2個の接地転輪33,33と緊張輪体34との間に渡って脱輪防止用の橇状ガイド39を備えている。
【0017】
前記アーム21の上端部に固定した支軸46がトラックフレーム9の上端面に固定されたボスに支承され、アーム21が図示しない付勢機構によって下降揺動する方向に付勢されている。付勢機構によるアーム21の下降は、トラックフレーム9に固定された下ストッパー48によって阻止される。下ストッパー48によってアーム21の下端部に軸支した揺動輪37の下限位置が決定されている。対地反力によるアーム21の上昇は、トラックフレーム9に固定された上ストッパー49によって阻止される。これによって揺動輪37の上限位置が決定されている。
【0018】
〔搭乗運転部〕
前記搭乗運転部2では、エンジン12の上方側を覆うように箱状に形成された原動部カバー22の上側に運転座席20を配備してあり、原動部カバー22が座席支持台を兼用するように構成されている。
運転座席20の前方側には、機体フレーム10上の運転部フロア23の前端部から立設された操縦搭24を備え、その操縦搭24の左側部から後方の原動部カバー22にわたって操縦ボックス25を設けてあり、運転座席20の右側部には、エンジン12側に機体の横外側部上方から防塵網26aを介して外気を取り込むための吸気ダクト26を、原動部カバー22に対して一体に連設してある。
【0019】
前記操縦搭24の上面側には、機体進行方向を制御する操向操作レバー27を設けてあり、操縦ボックス25の上面側には機体走行速度を制御する変速レバー28や、刈取前処理装置14の駆動を断続する刈取クラッチレバー29を設けてある。また、その他の各種計器類が操縦搭24及び操縦ボックス25の上面側に形成される操作パネル面に装備されている。
【0020】
前記吸気ダクト26の前下がり姿勢の上面側には、図1、図4に示すように、穀粒回収装置3を構成するグレンタンク4と穀粒搬出装置5のうちの穀粒搬出装置5に対して、その穀粒搬出位置を選択操作するためのスイッチ操作具32を設けてある。
また、前記吸気ダクト26の機体内方側の側面と運転座席20との間には、穀粒回収装置3のグレンタンク4に貯留されている穀粒を外部へ取り出すための、穀粒搬出装置5を駆動する状態と駆動停止する状態とに切換操作可能な穀粒搬出用クラッチ87の操作具としての穀粒搬出クラッチレバー31を設けてある。
これらのスイッチ操作具32及び穀粒搬出クラッチレバー31の操作については後ほど詳述する。
【0021】
前記運転座席20の後方側には、エンジン12に対する吸気用のエアクリーナ17を設けてあり、そのエアクリーナ17には、上下に長い円筒状の吸気管51が接続されており、この吸気管17aの上部にプレクリーナ18が接続されている。吸気管51は、グレンタンク4の内側面に沿って上方に延出されて、その上下方向の中間部がグレンタンク4の内側の面に固定されている。これにより、比較的塵埃の少ない機体上部箇所の外気がプレクリーナ18及びエアクリーナ17を介して浄化されてエンジン12の燃焼用空気として供給される。
【0022】
前記吸気管51のうち、プレクリーナ18に接続された筒52(内筒)は、その下の筒53(外筒)に内嵌されている。外筒53には、上部位置に対称に形成された一対の長孔53aとその下方位置に対称に形成された一対のボルト孔53bが形成され、内筒52には対称に形成された一対のボルト孔52aが形成されている。図示しないボルトを内筒52の一対のボルト孔52aと外筒53の一対の上の長孔53aまたは下のボルト孔53bに亘って挿通してボルト締めすることで、プレクリーナ18を上下方向に位置変更可能に固定することができる。出荷搬送時等には、コンテナに格納して運送するために、図1〜図3に示すように、プレクリーナ18の内筒52をエアクリーナ17の外筒53内に押し込んで、プレクリーナ18の上端高さを低くする。
【0023】
〔脱穀部〕
前記脱穀装置13は、下部に風選別室が形成され、上部に前端がフィーダ15に接続された扱室を備えている。扱室の前壁の前方には、扱胴軸を駆動する入力軸等の伝動装置を内蔵した筒状の伝動ケース57を備えている。伝動ケース57は、脱穀装置13の外枠を形成する脱穀装置13の前部の左右の縦フレーム58の上部に架設されている。伝動ケース57の左右の上下に伝動ケース57を縦フレーム58の前面に取り付けるボルト挿通用の取付部59が形成されており、この取付部59のボルト挿通孔にボルトを通して、縦フレーム58の前部に螺着してある。伝動ケース57は、脱穀装置13の外枠を構成する横フレームとして機能している。
前記脱穀装置13は、扱室に供給された刈取り穀稈を走行機体前後向きの軸芯周りに回動する軸流型の扱胴(図外)によって脱穀処理するように構成してあり、その脱穀された被処理物を扱胴の下方に配備された選別処理装置(図外)で脱穀処理物を脱穀粒と藁屑とに選別処理し、脱穀粒を穀粒回収装置3のグレンタンク4に供給するように構成してある。前記グレンタンク4に貯留される対象の脱穀処理物(脱穀粒)以外の藁屑などは、自走機体1の後方に落下放出するように構成してある。
【0024】
〔グレンタンク関係〕
前記グレンタンク4は、タンク本体40の下部に貯留した穀粒を後方に向けて送り出す底スクリュー41を備えて構成されている。
また、図1に示すように、前記グレンタンク4の下部後端には、底スクリュー41の後端部を支承する搬出ケース42が連結されるとともに、グレンタンク4が搬出ケース42とともに上下向き軸心y回りで旋回可能に支持されている。
【0025】
前記タンク本体40の天井部43は、自走機体1上に位置しているタンク本体40の前部側の天井部43aよりも後部側の天井部43bが低くなるように形成されている。そして、低く形成された後部側の天井部43bに設けたメンテナンス用開口を蓋体44で閉塞するように構成してあるとともに、その蓋体44に、穀粒搬出装置5の穀粒搬出筒70を案内するためのガイド体45を設け、このガイド体45を手で持つことによりメンテナンス用開口の開閉操作が行い易くなるように構成してある。
【0026】
図1〜図3は、ガイド体45を取付けた蓋体44を取り外した状態を示し、図1、図2では、蓋体44及びガイド体45を二点鎖線で示してある。図1〜図3に示す穀粒排出筒70は、格納用支持台30を最下位置に下げ、機体の中央寄り位置に移動させた状態で穀粒搬出筒70を格納用支持台30に支持させた状態の図を示す。図1〜図3に示すプレクリーナ18も最下位置に下げた状態を示す。
【0027】
前記ガイド体45は、穀粒搬出装置5の穀粒搬出筒70が自走機体1の上方を移動するに伴って、水平よりも下向き姿勢にある穀粒搬出筒70を上方側へ持ち上げ案内するように機能させるためのものであり、上下向き軸心y回りで旋回する穀粒搬出筒70が、自走機体1上を移動する際に、横向き軸心x回りで上下揺動して、比較的機体上の高さが高いプレクリーナ18を交わして、機体上の格納用支持台30に載置させるようにするためのものである。
このガイド体45による案内作用は、穀粒搬出筒70の上下向き軸心y回りの回動範囲で、格納用支持台30が存在する位置から搭乗運転部2が存在する側の機体横端部との間で機能するものであり、これ以外の範囲ではガイド体45による案内作用は生じない。
【0028】
〔格納用支持台〕
前記格納用支持台30は、脱穀装置13の天板13aよりも上位に位置していて、縦フレーム58の上部に架設した伝動ケース57の左右横方向中間部に立設したステー64の上端に取り付けてある。
ステー64は、上部ステー64aと下部ステー64bとからなり、両者に形成したピン挿通孔66に挿通したピン65によって固定されている。下部ステー64bには上下2箇所にピン挿通孔66が形成されており、通常使用状態は下部ステー64bの上側のピン挿通孔66にピン65を通して下部ステー64bと上部ステー64aとを連結している(図6の二点鎖線で示す状態)。下部ステー64bの下側のピン挿通孔66にピン65を通して、下部ステー64bに上部ステー64aを連結すると(図5及び図6の実線で示す状態)、格納用支持台30に穀粒搬出筒70を載置したとき、穀粒搬出筒70の前端高さを下げることができ、出荷搬送(コンテナ格納)時のコンバインの最大車高を低くすることができる。
【0029】
伝動ケース57の左側(図5の右側)にはエンジンの動力を受ける入力プーリ74を備え、右側(図5の左側)には反転用の入力プーリ74aを備えている。伝動ケース57の内部には、入力プーリ74からの動力を伝達する正転用入力軸(図示せず)と、反転用の入力プーリ74aから動力を伝達する反転用入力軸(図示せず)が内蔵され、左右何れからの入力軸から左右中央部に設けたベベルギヤを介して、扱胴に動力が伝達されるように構成されている。伝動ケース57の左右中央部には、ベベルケース75が装着されており、このベベルケース75にベベルギヤ及び扱胴軸のベベルギヤが内蔵されている。
ベベルケース75の後部の開口外周にフランジ76が形成されていて、このフランジ76と扱室前壁77が固定連結されている。
通常は、反転用入力軸は動力遮断状態で、正転用入力軸からの動力で扱胴が駆動するようにしており、詰まりが生じた場合に、正転用の入力軸への動力を断って、逆転用の入力軸に伝動するクラッチを入れて扱胴を反転させて詰まりを解消するようにしてある。
【0030】
前記伝動ケース57の中央部左側とベベルケース75の上部にステー取付部72が形成されている。ステー取付部72に下部ステー64bの下端の板状支持部材64cがボルト79で固定されている。
【0031】
上部ステー64aの上部には、穀粒搬出筒70を左右2箇所で格納用支持台30に支持させるための、格納用支持台30の取付け部としての取付板80を固設してある。取付板80には、格納用支持台30を左右2箇所に位置変更できるように、複数のボルト孔81a,81bが形成されている。取付板80に形成されたボルト孔81aは、通常使用状態の孔で、このボルト孔81aにボルト82を通して、図7に示すように、格納用支持台30をボルト止めしている。ボルト孔81bは、図8に示すように、コンバインをコンテナに積載するときに、下部ステー64bの下側のピン挿通孔66にピン65を通して、格納用支持台30を下げた状態において、穀粒搬出筒70の先端を自走機体1の左右方向中央部寄りに寄せるために出荷時に格納用支持台30をボルト止めする孔である。この場合は、穀粒搬出筒70を左右方向中央部寄りに寄せるときに障害とならないように、ガイド体45を取り外しておくとともに、プレクリーナ18を下げる。
【0032】
前記格納用支持台30は、上部ステー64aの上端の取付板80にボルト止めされる側面視L字状で、正面視で上が広がったU字状凹部が形成された支持板30aと、U字状凹部の端縁に沿って取付けられた穀粒搬出筒載置用帯板30bとで構成されている。
【0033】
〔穀粒搬出装置関係〕
前記グレンタンク4の後方には、底スクリュー41によって送出された穀粒を揚送した後に、横搬送して機外に搬出するスクリュー式の穀粒搬出装置5が装備されている。この穀粒搬出装置5は、グレンタンク4の後面下端に連通接続されたスクリュー式の縦搬送機構6と、この縦搬送機構6の上端に連通接続されたスクリュー式の横搬送機構7とから構成されており、穀粒搬出装置5全体が、縦搬送機構6のスクリュー軸心と同芯である上下向き軸心yを中心にして、搬出ケース42に対して旋回可能となっている。
【0034】
前記縦搬送機構6は、上下向き軸心yと同心位置に設けられる縦スクリュー61と、その縦スクリュー61を内装する縦送り筒60との組み合わせで構成してある。
前記縦送り筒60は、その下端側が搬出ケース42の上端側に接続されているとともに、その接続箇所の少し上部の外周にギヤ部60aを備え、そのギヤ部60aに咬合するピニオン62を備えた旋回用電動モータ63によって上下向き軸心y回りで旋回駆動されるように構成してある。旋回用電動モータ63は、搬出ケース42側に固定されている。
【0035】
前記底スクリュー41と縦スクリュー61とは連動機構50を介して連動連結されている。縦送り筒60の上端側には、図1及び図2に示すように、上端ケース67が設けられ、この上端ケース67から縦搬送機構6の動力が横搬送機構7に伝達されるように構成されている。
【0036】
前記横搬送機構7は、縦送り筒60内を揚送された穀粒を受け取って外部へ搬出するための穀粒搬出筒70と、その穀粒搬出筒70内に設けられた搬送スクリュー71との組み合わせで構成してある。
前記穀粒搬出筒70は、縦送り筒60の上端ケース67から穀粒搬出方向の下手側に接続された横送り筒部73を備えており、穀粒搬出筒70内部に搬送スクリュー71を装備してある。
【0037】
前記横送り筒部73とこれと一体に揺動するアーム部材78とに亘って油圧シリンダ56の上端部を接続し、下端部を縦送り筒60の上端部に取り付けたシリンダ取付用ブラケット68に接続してある。
【0038】
底スクリュー41へのベルト式の動力伝達系には穀粒搬出用クラッチ87が備えられている。この穀粒搬出用クラッチ87は、図1に示すように、テンションローラ88を伝動ベルト85に押圧作用させるテンションクラッチに構成されており、後述するよう、搭乗運転部2からの穀粒搬出用クラッチ87を、クラッチ操作具の一例である穀粒搬出用レバー31の操作で入り切り操作が行われる。
【0039】
〔穀粒搬出装置の作動に関する構成〕
穀粒搬出装置5の上下向き軸心y回りでの旋回動作、及び横向き軸心x回りでの上下揺動は次のようにして行われる。
【0040】
前記吸気ダクト26の前下がり姿勢の傾斜面54における上部側に該傾斜面54より上方に突出するカバー55を設け、このカバー55の上面よりも低い位置に前記スイッチ操作具32を設けている。スイッチ操作具32は、図4、図9に示すように、上方側に設けた第1操作スイッチ32aと、下方側に設けた第2操作スイッチ32bとの組み合わせで構成され、これら2つの第1スイッチ32a及び第2スイッチ32bは、カバー55の上面を窪ませた凹部内に配置されて、第1スイッチスイッチ32aと第2スイッチ32bは側面視で、カバー55に隠れるように配置されている。第1操作スイッチ32aが、穀粒搬出筒70の水平方向における旋回方向の左右何れかを選択操作するシーソースイッチであり、第2操作スイッチ32bが、穀粒搬出筒70の揺動方向を上下何れかに選択するシーソースイッチである。
【0041】
前記第1操作スイッチ32aは、中立復帰された正逆押し込み操作型に構成されて横向き姿勢で配備されており、左右いずれかの押し込み部を押し込み操作している間だけ押し込んだ方向に横搬送機構7を旋回作動させ、押し込みを解除すると旋回が停止されるようになっている。第2操作スイッチ32bは、中立復帰された正逆押し込み操作型に構成されて縦向き姿勢で配備されており、上下いずれかの押し込み部を押し込み操作している間だけ押し込んだ方向に横搬送機構7を上下揺動作動させ、押し込みを解除すると上下動が停止されるようになっている。
【0042】
前記第1操作スイッチ32a及び第2操作スイッチ32bの配線は、吸気ダクト26の内部を通して図示されていない制御装置に接続され、第1操作スイッチ32aの操作に基づいて制御装置が旋回用電動モータ63に作動指令を出力し、第2操作スイッチ32bの操作に基づいて油圧シリンダ56を伸縮操作する指令を制御用の電磁弁(図外)に対して出力するように構成されている。
これらの第1操作スイッチ32a及び第2操作スイッチ32bは、運転座席20よりも機体外側に位置するように配置されているので、運転座席20に着座して操作できるとともに、自走機体1から降りて地上からでも操作可能となっている。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、稲麦の穀物や、稗、粟、豆類を脱穀する普通型コンバインの他、刈り取った穀稈をフィードチェーンで挟持しながら脱穀する自脱型コンバインにも適用できる。
【符号の説明】
【0044】
1 自走機体
4 グレンタンク
13 脱穀装置
30 格納用支持台
57 横フレーム
58 縦フレーム
64 ステー
70 穀粒搬出筒
x 横向き軸心
y 上下向き軸心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走機体の左右方向の一方に脱穀装置を、他方にグレンタンクを備え、前記グレンタンク内の脱穀物を搬出する穀粒搬出筒を、前記グレンタンクの後部に位置する上下向き軸心回りに旋回自在に且つ横向き軸心回りに上下方向に揺動自在に備え、前記穀粒搬出筒の長手方向中間部を載置支持する格納用支持台を前記脱穀装置の前部に設けてあるコンバインであって、
前記脱穀装置の外枠を形成する該脱穀装置前部の左右の縦フレームの上部に横フレームを架設し、この横フレームの左右方向中間部に立設したステーを介して前記穀粒搬出筒の格納用支持台を設けてあるコンバイン。
【請求項2】
前記横フレームが前記脱穀装置の扱胴を駆動する伝動装置を内蔵した伝動ケースである請求項1記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−172265(P2010−172265A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−18565(P2009−18565)
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】