説明

コンバイン

【課題】煩雑な確認動作を要することなく、結束紐の残量を確認することができるコンバインを提供する。
【解決手段】排藁を所定の量ずつ結束紐100で結束する結束装置30を具備するコンバインであって、前記結束紐100の残量を検出する残量検出手段74と、前記残量検出手段74による検出結果に基づいて、前記結束紐100の残量に係る情報を報知する残量報知手段301とを具備し、前記残量検出手段74は、前記排藁を結束するために繰り出される結束紐の量、または結束紐の重量を検出する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインの技術に関する。より詳細には、排藁を結束する際に用いられる結束紐の残量を検出し、報知する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバインの脱穀装置により脱穀された後の排藁を、結束紐により結束する結束装置の技術は知られている。結束装置の一つには、脱穀装置から搬送されてきた排藁を横倒れ姿勢で収容する収容空間の上側に結節部および放出アーム等を具備するとともに、前記収容空間の下側にパッカー及び結束紐供給用のニードル等を具備し、かつ、前記収容空間の出口側に収容圧感知用のドアを具備したものがある。排藁は、上記結束装置によって所定量ずつ結束紐で結束された後、コンバインの外部へ放出される。
【0003】
上述のような結束装置において使用される結束紐の残量を確認するための技術は、公知となっている。例えば、特許文献1に記載の技術の如くである。特許文献1に開示された技術は、前記結束紐が収容される結束紐ケースをコンバインの上部に配置し、前記結束紐ケースの前面中央部に窓を設けたものである。
【0004】
上述した特許文献1に開示された構成では、オペレータが運転席から前記結束紐ケースの窓を目視することにより、前記結束紐の残量を確認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−248036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の構成では、前記結束紐の残量を確認するためにオペレータは後方を振り返る必要があり、当該動作が煩雑な点で不利であった。また、目視による前記結束紐の残量の確認を忘れると、作業中に突然前記結束紐が無くなる場合もある。このような場合、特に圃場の中央付近で前記結束紐が無くなると、予備の結束紐を補給するための作業が非常に煩雑であり、結果として作業効率の低下を招く点で不利であった。
【0007】
本発明は係る課題を鑑みてなされたものであり、煩雑な確認動作を要することなく、前記結束紐の残量を確認することができるコンバインの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
即ち、請求項1においては、排藁を所定の量ずつ結束紐で結束する結束装置を具備するコンバインであって、前記結束紐の残量を検出する残量検出手段と、前記残量検出手段による検出結果に基づいて、前記結束紐の残量に係る情報を報知する残量報知手段とを具備し、前記残量検出手段は、前記排藁を結束するために繰り出される結束紐の量、または結束紐の重量を検出する構成としたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0011】
請求項1の如く構成したので、残量報知手段による報知により結束紐の残量を知ることが可能となる。これによって、オペレータの目視等による結束紐の残量確認のための動作が不要となる。また、前記結束紐の残量に基づいて、予め結束紐を補給するための準備をすることができるため、作業効率の向上を図ることが可能となる。さらに、前記結束紐の正確な残量を常時知ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】コンバインの全体構成を示す左側面図。
【図2】同じく平面図。
【図3】排藁処理装置の構成を示す平面模式図。
【図4】同じく左側面図。
【図5】結束紐収容部の第一の実施形態を示す平面模式図。
【図6】結束紐収容部の第一の実施形態における報知の様子を示す平面模式図。
【図7】結束紐収容部の第二の実施形態を示す平面模式図。
【図8】同じく第三の実施形態を示す背面模式図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、コンバイン1について、図面を参照して説明する。
【0014】
まず、図1及び図2を用いてコンバイン1の概略構成について説明する。コンバイン1は稲の収穫作業、より詳細には、圃場を走行しつつ圃場から穀稈を刈取り、穀粒を脱穀する。本実施形態のコンバイン1は、刈り取られた穀稈のうち、穀粒の付いた穂先部のみを脱穀する自脱型のコンバインである。コンバイン1は、主として刈取り装置2、脱穀装置3、選別装置4、排藁処理装置5等を具備する。
【0015】
刈取り装置2は、コンバイン1の前部に配置される。刈取り装置2は、引起し装置や下部搬送装置や穂先搬送装置や刈刃等を具備し、圃場から穀稈を刈取り、当該穀稈を脱穀装置3へと渡す。脱穀装置3は、刈取り装置2の後方に配置される。脱穀装置3は、主としてフィードチェーン3a、扱胴3b等を具備する。脱穀装置3は、フィードチェーン3aにより、刈取り装置2から受け取った穀稈を横に倒した状態で前方から後方へと搬送しながら、扱胴3bの回転により、穀稈から穀粒を分離(脱穀)する。選別装置4は、脱穀装置3の下方に配置される。選別装置4は、脱穀装置3によって脱穀された穀粒に混じった藁屑や塵挨等を、風力選別や揺動選別により分離する。排藁処理装置5は、脱穀装置3の後方に配置される。排藁処理装置5は、フィードチェーン3aから受け取った脱穀された穀稈(以下、単に「排藁」と記す)を排藁チェーン5aにより後方へ搬送し、所定の処理を施す。
【0016】
選別装置4により藁屑等と分離された精粒は、揚穀筒6を経て脱穀装置3の右方に設けられたグレンタンク7に搬入され、貯溜される。グレンタンク7には排出オーガ8が連通接続される。排出オーガ8を作動することにより、グレンタンク7に貯溜された精粒を、排出オーガ8を経てグレンタンク7の外部に搬出することが可能である。グレンタンク7の前方には、オペレータがコンバイン1を運転するための運転部9が配置される。
【0017】
以下では、図2から図4を用いて排藁処理装置5の構成について説明する。排藁処理装置5は、主として排藁切断装置20、結束装置30、排藁放出装置60等を具備する。
【0018】
排藁切断装置20は、排藁チェーン5aにより搬送されてきた排藁を所定の長さに切断する。図3に示すように、排藁切断装置20は、主として高速回転軸21、高速回転刃22、低速回転軸23、低速回転刃24、切断切替カバー25等を具備する。
【0019】
高速回転軸21及び低速回転軸23は、排藁チェーン5aの終端部の下方に配置される。高速回転軸21及び低速回転軸23は互いに平行に左右方向に横架される。高速回転軸21及び低速回転軸23上には、それぞれ円板状の高速回転刃22・22・・・及び低速回転刃24・24・・・が互いに交互に並ぶように固設される。
【0020】
高速回転軸21の左端部には、高速ギア21a、入力プーリ21b、出力プーリ21cが具備される。入力プーリ21bには、コンバイン1のエンジンからの動力を伝達する入力ベルト21dが巻回される。低速回転軸23の左端部には、低速ギア23aが具備され、高速ギア21aと歯合される。高速回転軸21は、入力ベルト21d及び入力プーリ21bを介して伝達されるコンバイン1のエンジンからの動力により、左側面視で反時計回りに回転される。低速回転軸23は、高速ギア21a及び低速ギア23aを介して伝達される動力により、左側面視で時計回りに回転される。また、高速回転軸21は低速回転軸23よりも高速で回転されるよう構成される。
【0021】
切断切替カバー25は、高速回転刃22・22・・・及び低速回転刃24・24・・・を上方から覆うように配置される。切断切替カバー25の後部は、左右方向に枢支された回動支点軸25aに固設される。
【0022】
回動支点軸25aは図示しないアームやワイヤー等を介して運転部9付近に設けた切替レバーと連結される。当該切替レバーを操作することにより、切断切替カバー25を開閉することができる。切断切替カバー25が開放され、排藁チェーン5aの下方に配置される図示せぬ挟扼杆が縮められた場合、排藁チェーン5aにより搬送される排藁は切断切替カバー25の下方へと投入される。切断切替カバー25が閉鎖され、前記挟扼杆が伸ばされた場合、排藁チェーン5aにより搬送される排藁は、結束装置30へと搬入される。切断切替カバー25が開放され、切断切替カバー25の下方へと投入された排藁は、回転する高速回転刃22及び低速回転刃24により所定の長さに切断され、排藁切断装置20の下方から圃場へと排出される。
【0023】
結束装置30は、排藁チェーン5aにより搬送されてきた排藁を結束する。図3に示すように、結束装置30は、主として結束装置ケース31、動力伝達ケース32、株元搬送部40、結束部50等を具備する。株元搬送部40及び結束部50は、結束装置ケース31内に配置される。
【0024】
株元搬送部40は、排藁チェーン5aにより搬送されてきた排藁を左右方向に向けたまま株元端を揃えて、結束部50へ搬送する。株元搬送部40は、主として結束入力軸41、ギアボックス42、支持板43、タイン44、株元揃え板45等を具備する。
【0025】
結束入力軸41は、左右方向に枢支される。結束入力軸41の左端部は、結束装置30の左側部に配置される動力伝達ケース32内に延設される。結束入力軸41の左端部には、結束入力プーリ41aが具備さる。結束入力プーリ41aと出力プーリ21cとの間に巻回される結束入力ベルト41bにより、コンバイン1のエンジンからの動力が結束入力軸41へと伝達される。
【0026】
ギアボックス42の下面には支持板43が固設される。支持板43の後端部及び前端部には図示しない駆動スプロケット及び従動スプロケットが枢支される。前記駆動スプロケット及び前記従動スプロケットの間には図示しないチェーンが巻回され、当該チェーンの外周部にタイン44・44・・・が支持される。結束入力軸41により伝達される動力によって、ギアボックス42内のギア等を介して前記駆動スプロケットが回転し、これによりタイン44・44・・・が平面視時計回りに回転する。
【0027】
株元揃え板45は、回動支点45aに枢支される。株元揃え板45の前端は、タイン44の回転後端部まで延出される。株元揃え板45は、結束入力軸41により伝達される動力によって、図示しないリンク機構を介して左右方向に揺動駆動される。
【0028】
排藁切断装置20の切断切替カバー25が閉鎖されている(高速回転刃22・22・・・及び低速回転刃24・24・・・を上方から覆っている)場合、排藁チェーン5aにより搬送される排藁を、切断切替カバー25の上方を経て結束装置30の株元搬送部40へと搬入することができる。株元搬送部40へと搬入された排藁は、回転するタイン44・44・・・に押されて後方へ搬送される。タイン44・44・・・の回転後端部において、揺動駆動される株元揃え板45によって排藁の株元端が叩かれて揃えられながら、当該排藁は結束部50へと搬送される。
【0029】
結束部50は、株元搬送部40により搬送されてきた排藁を所定量ずつ結束する。図3及び図4に示すように、結束部50は、主としてパッカー51、ドア52、ニードル53、結節部54、放出アーム55、結束紐収容部70等を具備する。結束部50は、結束入力軸41により伝達される動力によって駆動される。
【0030】
パッカー51は、株元搬送部40により搬送されてきた排藁を、当該排藁を一時的に収容するための収容空間に掻き込む。ドア52は、前記収容空間の出口(前記収容空間の後部)を閉鎖する。所定量の排藁が前記収容空間に収容されると、ドア52は、前記収容空間の出口を開放する。ドア52が開放されるとニードル53が回動され、結束紐収容部70に収容される結束紐100を、前記収容空間に収容されていた排藁に巻き付けながら結節部54へと供給する。結節部54は、排藁に巻き付けられた結束紐100を結節する。結束紐100により結束された排藁は、放出アーム55により前記収容空間の出口から掻き出され、排藁放出装置60へと受け渡される。
【0031】
排藁放出装置60は、結束装置30により結束された排藁を外部(圃場)へと放出する。図2及び図4に示すように、排藁放出装置60は、結束装置30の後方に配置される。排藁放出装置60は、主として放出ガイド61、放出部62等を具備する。
【0032】
放出ガイド61は、結束装置30の後方に配置される。放出部62は、放出ガイド61と対向するように放出ガイド61の右方に配置される。放出部62の前部及び後部には、それぞれ図示しない放出駆動スプロケット及び放出従動スプロケットが具備される。前記放出駆動スプロケット及び前記放出従動スプロケットの間には、図示しない放出チェーンが巻回される。前記放出チェーンの外周部には、放出タイン62a・62a・・・が支持される。コンバイン1のエンジンからの動力により前記放出駆動スプロケットが回転することにより、放出タイン62a・62a・・・は平面視反時計回りに回転される。
【0033】
結束装置30により結束された排藁は、放出ガイド61と放出部62とに挟持されるように排藁放出装置60へと受け渡される。当該排藁は、回転する放出タイン62a・62a・・・に押されることにより、放出ガイド61に沿って後方へ搬送され、排藁放出装置60の後端から圃場へと放出される。
【0034】
以下では、図5を用いて結束紐収容部70の構成について説明する。結束紐収容部70は、結束紐100がボビン等の芯材に円筒状に巻かれた結束紐ロール200を収容し、結束紐100をニードル53へと繰り出すものである。結束紐収容部70は、主として結束紐ケース71、結束紐ブレーキ72、ガイド73、残量検出手段74等を具備する。
【0035】
結束紐ケース71は箱状の部材であり、結束装置ケース31の右側面に固設される(図2、図3参照)。結束紐ケース71内には、結束紐ロール200が収容される。結束紐ロール200は略円柱状であり、軸心が上下方向(左右または前後水平方向であってもよい)を向くように配置される。結束紐ケース71の右側面には結束紐ケースカバー71aが設けられる。結束紐ロール200を補充する際には、結束紐ケースカバー71aを開放することができる。結束紐ケース71の上面には、結束紐ケース71の内部と外部とを連通する結束紐繰り出し孔71bが設けられる。結束紐ケース71内の結束紐100は、結束紐繰り出し孔71bから導出される。
【0036】
結束紐ブレーキ72は、結束紐ケース71から繰り出される結束紐100が弛まないように、当該結束紐100に対して所定の抵抗力を付与するものである。結束紐ブレーキ72及びガイド73は、結束紐ケース71の上面に配設される。結束紐繰り出し孔71bから導出された結束紐100は、結束紐ブレーキ72により所定の抵抗力を付与された後、ガイド73や図示せぬ供給管等に案内され、結束部50のニードル53へと供給される。
【0037】
残量検出手段74は、結束紐ロール200の径が所定の値以下になったことを検出するものである。残量検出手段74は、接触式のスイッチで構成される。残量検出手段74は、摺動部材75によって結束紐ケース71の内側上面に、結束紐ロール200の直径方向に摺動可能に支持される。残量検出手段74は、摺動部材75上の所望の位置で固定することが可能であり、結束紐ロール200の上面に接触可能な高さに配設される。
【0038】
なお、本実施形態において、残量検出手段74は接触式のスイッチで構成されるものとしたが、残量検出手段74は、非接触式の光センサや超音波センサや静電センサ等のその他のセンサにより、前記芯材から結束紐ロール200の外周までの距離を検出できるものであればよい。また、本実施形態において、残量検出手段74は結束紐ケース71の上面内側に支持されるものとしたが、残量検出手段74は、結束紐ロール200の径を検出できる位置に配置されていればよく、結束紐ロール200の配設位置等に合わせて、結束紐ケース71の下面や側面の内側に配置することも可能である。
【0039】
コンバイン1には、制御部300、残量報知手段301等が具備される。制御部300は、具体的にはCPU、ROM、RAM、HDD等がバスで接続される構成であってもよく、あるいはワンチップのLSI等からなる構成であってもよい。
【0040】
制御部300は、残量検出手段74に接続され、残量検出手段74による結束紐ロール200の径の検出に係る信号を取得することが可能である。制御部300は、残量報知手段301に接続され、結束紐100(結束紐ロール200)の残量報知の指令に係る信号を残量報知手段301に送信することが可能である。
【0041】
残量報知手段301は、結束紐100(結束紐ロール200)の残量に係る情報をオペレータに報知するものである。残量報知手段301は、運転部9に配設される。残量報知手段301は、ランプやブザー、モニター等で構成することが可能であり、オペレータに対して音や表示により報知することが可能である。
【0042】
以下では図5及び図6を用いて、第一の実施形態における結束紐100の残量報知の態様について説明する。
【0043】
図5に示すように、平面視において残量検出手段74が結束紐ロール200と重複している場合、残量検出手段74は結束紐ロール200の上面に接触している。この場合、残量検出手段74は、結束紐ロール200の径が所定の値を超えていること検出することができる。なお、前記所定の値は、残量検出手段74の摺動部材75における固定位置を変更することにより、所望の値に設定することが可能である。
【0044】
結束紐100が結束装置30により消費されることにより、結束紐ロール200の径は減少する。この結果、図6に示すように、平面視において残量検出手段74が結束紐ロール200と重複しなくなると、残量検出手段74は結束紐ロール200の上面から離間する。この場合、残量検出手段74は、結束紐ロール200の径が所定の値以下になったことを検出し、その旨の検出に係る信号を制御部300へ送信する。
【0045】
制御部300は、結束紐ロール200の径が所定の値以下になった旨の検出に係る信号を残量検出手段74から受信すると、残量報知手段301に残量報知の指令に係る信号を送信する。なお、残量検出手段74に、結束紐ロール200と接触している場合には常時検出信号を送信させ、結束紐ロール200と離間した場合に当該検出信号の送信を停止させるように構成することも可能である。このように構成した場合、制御部300は前記検出信号の送信が停止した場合に、結束紐ロール200の径が所定の値以下になったものと判断し、残量報知手段301に残量報知の指令に係る信号を送信する。
【0046】
残量報知手段301は、残量報知の指令に係る信号に従い、結束紐ロール200の径が所定の値以下になった旨(結束紐100の残量が所定量以下になった旨)をオペレータに対して報知する。具体的には、ランプの点灯や点滅、ブザーによる警報音の発生、モニターによる表示等により報知することが可能である。
【0047】
上記の如く構成することにより、オペレータは、残量報知手段301による報知により結束紐100の残量が所定量以下になったことを知ることが可能となる。これによって、オペレータの目視等による残量確認のための動作が不要となる。また、当該報知に基づいて、予め結束紐100を補給するための準備をすることができるため、圃場の中央や端から結束紐ロール200を取りに戻る必要がなく、作業効率の向上を図ることが可能となる。さらに、残量検出手段74の固定位置を変更することにより、残量報知手段301により報知する際の結束紐100の残量を所望の量に設定することが可能となる。
【0048】
以下では図7を用いて、第二の実施形態について説明する。本実施形態は、前述した第一の実施形態における結束紐収容部70の代わりに結束紐収容部80を具備する点で、第一の実施形態と異なる。なお、第一の実施形態と略同一の構成の部材には、第一の実施形態と同じ符号を付して説明を省略する。
【0049】
結束紐収容部80は、結束紐ロール200を収容し、結束紐100をニードル53へと繰り出すものである。結束紐収容部80は、主として結束紐ケース71、結束紐ブレーキ72、ローラガイド81、回転数検出手段82等を具備する。
【0050】
ローラガイド81は円板状の部材である。ローラガイド81の中心部は、結束紐ケース71の上面にブラケット81aにより回動可能に支持される。回転数検出手段82は、ローラガイド81の回転数(回転の回数)を検出するものである。回転数検出手段82は、ブラケット81aに配設される。本実施形態においては、残量検出手段74をローラガイド81及び回転数検出手段82により構成している。
【0051】
結束紐繰り出し孔71bから導出された結束紐100は、ローラガイド81の外周に設けられた溝部を介して図示せぬ供給管等に案内され、結束部50のニードル53へと供給される。この際ローラガイド81は、繰り出される結束紐100の移動に伴って回転し、回転数検出手段82は、ローラガイド81の回転数を検出する。
【0052】
制御部300は、回転数検出手段82に接続され、回転数検出手段82によるローラガイド81の回転数の検出に係る信号を取得することが可能である。制御部300は、残量報知手段301に接続され、結束紐100(結束紐ロール200)の残量報知の指令に係る信号を残量報知手段301に送信することが可能である。
【0053】
以下では、第二の実施形態における結束紐100の残量報知の態様について説明する。回転数検出手段82は、検出したローラガイド81の回転数を信号として制御部300へと常時送信する。
【0054】
制御部300は、ローラガイド81の回転数及び予め記憶されるローラガイド81の溝部の径に基づいて、結束紐収容部80から繰り出された結束紐100の長さを算出する。ただし、残量報知手段301はローラガイド(回転体)81と回転数検出手段82とにより、繰り出された結束紐100の長さを算出する構成に限定するものではない。つまり、結束紐100が引き出される時間に基づいて長さを算出したり、結束回数に基づいて長さを算出したりすることも可能である。制御部300は、結束紐100が結束紐収容部80から所定の長さ以上繰り出されたと判断した場合、残量報知手段301に残量報知の指令に係る信号を送信する。前記所定の長さとは、予め制御部300に記憶される値であり、図示しない制御部300に接続された設定器により所望の値に変更することも可能である。
【0055】
残量報知手段301は、残量報知の指令に係る信号に従い、結束紐100が所定の長さ以上繰り出された旨をオペレータに対して報知する。結束紐ロール200を構成する結束紐100の長さは予め分かっているため、オペレータは前記報知によって結束紐100の残量を知ることができる。
【0056】
上記の如く構成することにより、残量報知手段301による報知により結束紐100の残量を知ることが可能となる。これによって、オペレータの目視等による結束紐100の残量確認のための動作が不要となる。また、結束紐100の残量に基づいて、予め結束紐100を補給するための準備をすることができるため、作業効率の向上を図ることが可能となる。
【0057】
なお、残量報知手段301をモニターで構成し、当該モニターにより繰り出された結束紐100の長さ(若しくは結束紐100の残りの長さ)を常時表示するように構成することも可能である。このように構成することにより、結束紐100の正確な残量を常時知ることが可能となる。また、繰り出された結束紐100の長さ(若しくは結束紐100の残りの長さ)が所定長さに達すると、前記モニターに表示させる内容を変更するように構成することも可能である。このような構成により、結束紐100の残りの長さが所定長さ未満になると、前記モニターに結束作業ができる残りの距離を表示させることもできる。なお、この場合コンバインの刈取条数等は予め設定できるようにしておく。
【0058】
以下では図8を用いて、第三の実施形態について説明する。本実施形態は、前述した第一の実施形態における結束紐収容部70の代わりに結束紐収容部90を具備する点で、第一の実施形態と異なる。なお、第一の実施形態と略同一の構成の部材には、第一の実施形態と同じ符号を付して説明を省略する。
【0059】
結束紐収容部90は、結束紐ロール200を収容し、結束紐100をニードル53へと繰り出すものである。結束紐収容部70は、主として結束紐ケース71、結束紐ブレーキ72、ガイド73、重量検出手段91等を具備する。
【0060】
重量検出手段91は、結束紐ロール200の重量を検出するものである。重量検出手段91は、結束紐ケース71内の下部に配置される。結束紐ロール200は、重量検出手段91上に載置される。重量検出手段91は、重量検出手段91上に載置された結束紐ロール200の重量を検出する。本実施形態においては、残量検出手段74を重量検出手段91により構成している。
【0061】
結束紐ケース71内の結束紐100は、結束紐繰り出し孔71bから導出され、結束紐ブレーキ72により所定の抵抗力を付与された後、ガイド73や図示せぬ供給管等に案内され、結束部50のニードル53へと供給される。
【0062】
制御部300は、重量検出手段91に接続され、重量検出手段91による結束紐ロール200の重量の検出に係る信号を取得することが可能である。制御部300は、残量報知手段301に接続され、結束紐(結束紐ロール200)の残量報知の指令に係る信号を残量報知手段301に送信することが可能である。
【0063】
以下では、第三の実施形態における結束紐100の残量報知の態様について説明する。
【0064】
重量検出手段91は、検出した結束紐ロール200(結束紐100)の重量を信号として制御部300へと常時送信する。
【0065】
制御部300は、重量検出手段91より受信した信号に基づいて、結束紐ロール200の重量が所定の値以下になったと判断した場合、残量報知手段301に残量報知の指令に係る信号を送信する。前記所定の値とは、予め制御部300に記憶される値であり、所望の値に変更することも可能である。
【0066】
残量報知手段301は、残量報知の指令に係る信号に従い、結束紐ロール200の重量が所定の値以下になった旨をオペレータに対して報知する。結束紐ロール200を構成する結束紐100の長さ及び重量は予め分かっているため、オペレータは前記報知によって結束紐100の残量を知ることができる。
【0067】
上記の如く構成することにより、残量報知手段301による報知により結束紐100の残量を知ることが可能となる。これによって、オペレータの目視等による結束紐100の残量確認のための動作が不要となる。また、結束紐100の残量に基づいて、予め結束紐100を補給するための準備をすることができるため、作業効率の向上を図ることが可能となる。
【0068】
なお、残量報知手段301をモニターで構成し、当該モニターにより結束紐100の残量を常時表示するように構成することも可能である。このように構成することにより、結束紐100の正確な残量を常時知ることが可能となる。
【符号の説明】
【0069】
1 コンバイン
30 結束装置
74 残量検出手段
100 結束紐
301 残量報知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排藁を所定の量ずつ結束紐で結束する結束装置を具備するコンバインであって、前記結束紐の残量を検出する残量検出手段と、前記残量検出手段による検出結果に基づいて、前記結束紐の残量に係る情報を報知する残量報知手段とを具備し、前記残量検出手段は、前記排藁を結束するために繰り出される結束紐の量、または結束紐の重量を検出する構成としたことを特徴とするコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−179063(P2012−179063A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−146158(P2012−146158)
【出願日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【分割の表示】特願2008−1683(P2008−1683)の分割
【原出願日】平成20年1月8日(2008.1.8)
【出願人】(391025914)八鹿鉄工株式会社 (131)
【Fターム(参考)】