コンバイン
【課題】グレンタンクを回動させた場合でも、穀粒が零れ落ちないように構成したコンバインを提供する。
【解決手段】グレンタンク8と、グレンタンク8に一端が接続され、グレンタンク8に貯溜された穀粒を他端から排出する排出用縦オーガ30と、を備え、排出用縦オーガ30を、機体外側に向けて傾動可能となるようにグレンタンク8に相対回動可能に接続するとともに、グレンタンク8及び排出用縦オーガ30の両方を支持しながら機体フレーム2に対して垂直軸周りに相対回動可能な支持部材51を設けた。
【解決手段】グレンタンク8と、グレンタンク8に一端が接続され、グレンタンク8に貯溜された穀粒を他端から排出する排出用縦オーガ30と、を備え、排出用縦オーガ30を、機体外側に向けて傾動可能となるようにグレンタンク8に相対回動可能に接続するとともに、グレンタンク8及び排出用縦オーガ30の両方を支持しながら機体フレーム2に対して垂直軸周りに相対回動可能な支持部材51を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンバインの技術に関し、特に、グレンタンクと、当該グレンタンクに一端が接続され、当該グレンタンク内に貯溜された穀粒を他端から排出する排出用縦オーガと、を備えるコンバインの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、グレンタンクと、当該グレンタンクに一端が接続され、当該グレンタンク内に貯溜された穀粒を他端から排出する排出用縦オーガと、を備えるコンバインが公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載のコンバインにおいては、排出用縦オーガを、機体外側に向かって傾倒させた状態で穀粒の排出を行う。
また、グレンタンクと排出用縦オーガとを接続部材を介して接続させている。排出用縦オーガは、接続部材に対して相対的に回動可能であり、穀粒の排出時には外側に向かって傾倒させることができる。
一方、グレンタンクは、接続部材に設けられ垂直方向に延設された軸を中心として側方に回動可能であり、メンテナンス時には開放させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−98966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のコンバインは、グレンタンクを側方に回動させた場合、当該グレンタンクと接続部材との間の接続部は解放されて開口部が露出するため、この解放された部分からグレンタンクや接続部材内に残留している穀粒が零れ落ちてしまう可能性がある。また、排出用縦オーガの傾動角度の調整が困難であり、任意の角度傾倒した状態で固定することができなかった。
【0006】
そこで、本発明は係る課題に鑑み、グレンタンクを回動させた場合でも、穀粒が零れ落ちないように構成したコンバインを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
請求項1の発明は、グレンタンクと、前記グレンタンクに一端が接続され、前記グレンタンクに貯溜された穀粒を他端から排出する排出用縦オーガと、を備え、前記排出用縦オーガを、機体外側に向けて傾動可能となるように前記グレンタンクに相対回動可能に接続するとともに、前記グレンタンク及び排出用縦オーガの両方を支持しながら機体フレームに対して垂直軸周りに相対回動可能な支持部材を設けたものである。
【0009】
請求項2の発明は、前記支持部材は、排出用縦オーガの傾動軸を、グレンタンクと反対側から軸支するものとしたものである。
【0010】
請求項3の発明は、前記グレンタンクが収納位置にある場合には前記グレンタンクと機体フレームとを係合させるとともに、グレンタンクを開放させる場合には前記グレンタンクと垂直方向に立設された状態の排出用縦オーガとを係合させる係合部材を備えたものである。
【0011】
請求項4の発明は、前記排出用縦オーガが傾倒している場合には、機体フレームと係合してグレンタンク及び排出用縦オーガが回動するのを規制する規制部材を設けたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0013】
請求項1においては、グレンタンクを側方に回動(開放)させた場合、当該グレンタンクと一体的に排出用縦オーガも回動するため、グレンタンクと排出用縦オーガとの接続部が解放されることがなく、穀粒がこぼれ落ちるのを防止することができる。
【0014】
また、請求項2においては、排出用縦オーガは、グレンタンク及び支持部材によって両側から軸支されることになるため、当該排出用縦オーガの取り付け強度を向上させることができる。また、排出用縦オーガ及びグレンタンクをコンパクトに配置することができる。
【0015】
また、請求項3においては、グレンタンクが収納位置にある場合には、係合部材によって当該グレンタンクを収納位置に保持し、グレンタンクを側方に開放させる場合には、係合部材によって排出用縦オーガを収納位置に保持することができる。このようにして、グレンタンクの開放と排出用縦オーガの傾倒が同時に行われるのを防止することができる。また、そのための部材を1つの係合部材で兼用することができる。
【0016】
また、請求項4においては、排出用縦オーガが傾倒している場合にはグレンタンクの回動(開放)を禁止することで、重量バランスの悪化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の一形態に係るコンバインの全体的な構成を示す右側面図。
【図2】コンバインの操縦部を示す左側面図。
【図3】グレンタンク及び排出用縦オーガを示す右後方斜視図。
【図4】排出用縦オーガ及び接続部材を示す右後方斜視図。
【図5】排出用縦オーガ及び接続部材を示す右側面図。
【図6】排出用縦オーガ及び排出用縦オーガ収納部材を示す平面図。
【図7】排出用縦オーガ及び排出用縦オーガ収納部材を示す左側面図。
【図8】グレンタンク及び排出用縦オーガの回動を示す平面図。
【図9】排出用縦オーガの傾倒を示す正面図。
【図10】排出用縦オーガの下部を示す正面図。
【図11】収納状態の排出用縦オーガ及びグレンタンクの回動を示す平面図。
【図12】傾倒状態の排出用縦オーガ及びグレンタンクの回動を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図1に基づいて説明する。
【0019】
まず、本発明の実施の一形態に係るコンバイン1の全体的な構成について、図1を参照して説明する。なお、以下では、図中の矢印Fで示す方向すなわちコンバイン1の前進方向を「前方」と定義し、矢印Uで示す方向すなわち鉛直上方を「上方」と定義し、矢印「L」で示す方向すなわち前進方向に対して左方を「左方」と定義して、説明を行う。
【0020】
本実施形態のコンバイン1は、稲や麦や蕎麦や小豆や大豆等の種々の収穫物を刈り取りながら脱穀する機能を備えた汎用型のコンバインである。コンバイン1は、骨格を成す機体フレーム2に対してエンジン3や変速装置等を搭載し、機体フレーム2の下部に走行部4を装備し、機体フレーム2の前部に刈取部5を搭載し、機体フレーム2の左半部に脱穀部6及び選別部を搭載し、機体フレーム2の右半部に穀粒貯溜部としてのグレンタンク8を搭載し、当該グレンタンク8の前方箇所に操縦部9を装備して構成されている。
【0021】
このように、本実施形態のコンバイン1は、操縦部9におけるオペレーターの操作に応じて、エンジン3の動力を各部の装置に供給して、走行部4にて機体を走行させながら、刈取部5にて圃場の収穫物を刈取り、脱穀部6にて刈取部5からの収穫物を脱穀し、選別部にて脱穀部6からの脱穀物を選別することができるように構成されている。
【0022】
エンジン3が搭載される箇所について、図2を参照してより具体的に説明すると、エンジン3は、機体フレーム2の右側前部上に設けられた直方体形状の空間であるエンジンルーム10内に搭載される。当該エンジンルーム10は、機体フレーム2の右側前部上に左右一対のフレーム11・11を立設し、当該フレーム11・11間の前方箇所にエンジン3を配置し、当該エンジン3の前方、後方、側方、及び上方を板状のエンジンルームカバーで覆うことにより構成されている。
【0023】
エンジンルーム10の上方には、操縦部9の構成部材である座席シート12が配置される。当該座席シート12は、コンバイン1の操縦を行うオペレーターが着座するためのものであり、エンジンルーム10の上面を成すエンジンルームカバー13の上に設けられる。座席シート12の周辺には種々の操作具が設けられる。座席シート12の後方にはグレンタンク8が配置される。座席シート12の上方には日除けのためのサンバイザー20が配置される。
【0024】
次に、グレンタンク8及び排出用縦オーガ30について、図3及び図4を参照して説明する。
グレンタンク8は、箱状に形成されており、後方の高さが一段低くなるように形成されている。グレンタンク8の底部内には穀粒を排出するコンベア等からなる穀粒排出装置18が設けられている。グレンタンク8はその後面下端付近に排出孔31が設けられている。
【0025】
排出用縦オーガ30は、グレンタンク8に貯溜された穀粒を外部に排出するための筒状部材であり、機体フレーム2の右半部であってグレンタンク8の後方に配置されている。排出用縦オーガ30は、グレンタンク8に一端が接続され、グレンタンク8に貯溜された穀粒を他端から排出する。排出用縦オーガ30の一端にはフランジ30aが設けられており、グレンタンク8の排出孔31に接続部材41を介して接続されている。
排出用縦オーガ30は、他端に穀粒排出孔32を有しており、穀粒排出孔32は、収納時に右方向(機体外側)を向いて開口するように形成されている。グレンタンク8の後部と排出用縦オーガ30の間の左部には機体フレーム2から柱状の支持フレーム2aが立設されている。
【0026】
また、図5に示すように、排出用縦オーガ30の中途部であって前側の側面には、傾倒姿勢保持用部材としてのフック33が設けられている。フック33は、排出用縦オーガ30が垂直状態(収納状態)である場合において、排出用縦オーガ30の上下中途部の前側側面から前方に突設され、その先端は右方向(機体外側)へ屈曲された形状としている。
また、排出用縦オーガ30の前側側面であってフック33よりも上方には、縦オーガ側係合部材34が設けられている。縦オーガ側係合部材34は板状の部材で水平前左側方に突設され、縦オーガ側係合部材34の平面視略中央部には係合孔34a(図6参照)が設けられている。
また、排出用縦オーガ30の中途部右側(機体外側)側面には、平面視略U字状に棒材を折り曲げ形成されて、作業者が排出用縦オーガ30を傾動する際に把持するための傾動用把手38が設けられている。作業者は、傾動用把手38を把持して機体外側へ排出用縦オーガ30を傾動させ、穀粒排出孔32を図示せぬ袋等の上部へ移動させて穀粒を排出させることができる。
【0027】
また、図3及び図4に示すように、排出用縦オーガ30は、右方向(機体外側)へ傾動可能となるようにグレンタンク8に接続部材41を介して相対回動可能に接続されている。
グレンタンク8及び排出用縦オーガ30を接続するための接続部材41は、側面視L字状の管材であり、前方に向いて開放したグレンタンク側開口部42と、上方に向いて開放した排出用縦オーガ側開口部43とを有している。グレンタンク側開口部42はグレンタンク8の排出孔31に軸心を合わせて嵌合され、排出用縦オーガ30が前後中心軸周りに側方へ回動可能に固定されている。また、排出用縦オーガ側開口部43はフランジ43aを有しており、フランジ43aを排出用縦オーガ30の下端に設けられたフランジ30aと重ね合わせて、ねじ等で締結することにより固設されている。
接続部材41の後端下部には、傾動軸45が設けられている。傾動軸45は前後水平方向であって、グレンタンク8内の下部に前後方向に設けられた穀粒排出装置18のコンベア軸心の後延長上に配設され、排出用縦オーガ30の傾動時の軸となる部材であり、接続部材41の後面から後方に向けて突設されている。
【0028】
また、図9及び図10に示すように、接続部材41の下部であって支持フレーム2aの近くには規制部材としての突出板37が設けられている。突出板37は、排出用縦オーガ30が傾倒状態にある場合において、排出用縦オーガ30及びグレンタンク8が垂直軸周りに回動するのを防止するための部材であり、多角形の板状の部材である。突出板37は、図10の実線に示すように、排出用縦オーガ30が垂直状態(収納状態)である場合において、排出用縦オーガ30及びグレンタンク8が垂直軸周りに機体外側へ向かって回動すると支持フレーム2aと接触しないが、図10の二点鎖線に示すように、排出用縦オーガ30が傾倒状態にある場合において、排出用縦オーガ30及びグレンタンク8が垂直軸周りに回動すると支持フレーム2aと接触するように形成されている。より詳しくは、図10の二点鎖線に示すように、突出板37の墨付き部分が支持フレーム2aと接触する。
【0029】
接続部材41及び排出孔31は、図3及び図4に示すように、支持部材51に支持されている。即ち、支持部材51は、グレンタンク8及び排出用縦オーガ30の両方を支持しながら機体フレーム2に対して垂直軸周りに相対回動可能とするための部材である。
支持部材51は、平面視略台形状の底板部51aと、底板部51a前端から上方へ突設させた接続部材支持部51bと、底板部51a後端から上方へ突設させた傾動軸受部51cとから構成されている。つまり、支持部材51は板材を側面視略U字状に折り曲げ形成されている。
【0030】
また、底板部51aの略中央部には貫通孔51dが開口され、該貫通孔51dに垂直回動軸46の上部が挿入されて溶接等で固設されている。垂直回動軸46は、図4、図5に示すように、支持部材51から下方へ突設しており、機体フレーム2に固設された垂直回動軸軸受部55に側方へ回動軸支されている。垂直回動軸46は排出用縦オーガ30内に収納されているコンベア軸の下方延長上に配設される。このように構成することにより、支持部材51はグレンタンク8及び排出用縦オーガ30の両方を支持しながら機体フレーム2に対して垂直回動軸46を中心として、側方へ回動することができる。また、排出用縦オーガ30は側方への回動時に偏心することがない。
【0031】
接続部材41の後端下部から後方に突出された傾動軸45は、支持部材51に設けられた傾動軸受部51cに側方へ回動軸支されている。このように構成することにより、接続部材41及び接続部材41に接続された排出用縦オーガ30が、傾動軸45及びグレンタンク側開口部42に軸支されつつその軸心周りに側方へ回動し、排出用縦オーガ30を機体外側へ傾動させることができる。
【0032】
また、図3、図5及び図6に示すように、グレンタンク8の後部に排出用縦オーガ収納部材61が設けられている。排出用縦オーガ収納部材61は、箱状の部材であり、図6に示すように、その右面(機体外側)に排出用縦オーガ30の直径とほぼ同径の半円状の凹部61aを形成し、排出用縦オーガ30を嵌め込めるように構成している。また、排出用縦オーガ収納部材61の前面はグレンタンク8後面に固設されている。
また、排出用縦オーガ収納部材61の左前部には、上面から下面に貫通する貫入孔61bが設けられ、排出用縦オーガ収納部材61の右上面の前後中途部には、挿入孔61cが設けられている。貫入孔61b及び挿入孔61cにはそれぞれピンで構成した係合部材65を貫入可能としている。そして、貫入孔61bの位置に合わせて支持フレーム2aの上面に図示せぬ支持フレーム側貫入孔が開口され、該支持フレーム側貫入孔と貫入孔61bとに係合部材65を貫入することで、グレンタンク8を支持フレーム2aに固定可能としている。
一方、図5及び図7に示すように、排出用縦オーガ30が垂直状態(収納状態)である場合において、排出用縦オーガ30の排出用縦オーガ収納部材61の上面よりも高い位置から排出用縦オーガ収納部材61側に向けて縦オーガ側係合部材34が突設されている。該縦オーガ側係合部材34には、前記挿入孔61cの位置と平面視で一致するように係合孔34aが開口され、挿入孔61cと係合孔34aに係合部材65を貫入して排出用縦オーガ30を排出用縦オーガ収納部材61に固定可能としている。
【0033】
次に、グレンタンク8の収納及び開放並びに排出用縦オーガ30の収納及び傾動について図3、図8及び図9を参照して説明する。
グレンタンク8は、図3及び図8の実線で示すように、収納時においては、機体フレーム2の右側上に配置されており、その後面下部に設けられた排出孔31は後方を向いて開口しており、前方に向いて開放した接続部材41のグレンタンク側開口部42と回動可能に接続されている。また、排出用縦オーガ収納部材61の貫入孔61bに係合部材65が貫入されており、支持フレーム2aと排出用縦オーガ収納部材61とが固定されている。排出用縦オーガ収納部材61は、グレンタンク8後面に固設されているので、グレンタンク8は、排出用縦オーガ収納部材61を介して機体フレーム2に固定され、係合部材65を抜かない限り回動することができないように構成されている。こうしてグレンタンク8が意図せず側方に回動しないように構成している。なお、グレンタンク8の前部上とサンバイザー20の支持フレームの間に連結部材が連結されて、強固にグレンタンク8を機体フレームに固定している。
【0034】
また、清掃やメンテナンス等のためにグレンタンク8を開放状態にする場合においては、図8の二点鎖線で示すように、連結部材を外してから係合部材65を排出用縦オーガ収納部材61の貫入孔61bから抜き、排出用縦オーガ収納部材61の挿入孔61cに挿入する。これにより、排出用縦オーガ収納部材61と機体フレーム2との固定が解除されるので、グレンタンク8は回動可能となる。
【0035】
グレンタンク8を開放状態にする場合においては、グレンタンク8は、接続部材41の下部に設けられた垂直回動軸46を中心として垂直軸周りに相対回動する。この際、グレンタンク8は接続部材41を介して排出用縦オーガ30に接続されたままの状態で回動する。すなわち、接続部材41に接続されたグレンタンク8及び排出用縦オーガ30が一体となって垂直回動軸46を中心として垂直周りに相対回動する。このように構成することにより、グレンタンク8を側方に開放(回動)させた場合、グレンタンク8と一体的に排出用縦オーガ30も回動するため、グレンタンク8と排出用縦オーガ30との接続が解除されることがない。
グレンタンク8は、最大で収納時の状態から約90°側方へ回動できる。
【0036】
次に、排出用縦オーガ30の収納及び傾動について、図9を参照して説明する。グレンタンク8が収納状態にある場合においては、係合部材65が排出用縦オーガ収納部材61の貫入孔61bに貫入されており(図8の実線参照)、排出用縦オーガ収納部材61の挿入孔61c及び排出用縦オーガ30の係合孔34aには係合部材65が挿入されていないことから、排出用縦オーガ30は排出用縦オーガ収納部材61から独立して傾動可能となっている。
【0037】
前記状態において、排出用縦オーガ30は、機体フレーム2外側に向けて傾動軸45及びグレンタンク側開口部42に軸支されつつ前後中心軸周りに回動(傾動)する。この際、排出用縦オーガ30及び接続部材41は一体的に回動する。接続部材41のグレンタンク側開口部42とグレンタンク8の排出孔31とは相対回動可能に固定されているため、接続部材41とグレンタンク8との接続が外れることなく傾動させることができる。
【0038】
また、排出用縦オーガ収納部材61の側面(機体外側面)には傾倒姿勢保持用部材としてのチェーン71が設けられている。チェーン71は、排出用縦オーガ30を任意の角度に傾倒した状態で保持するための部材であり、排出用縦オーガ30に設けられたフック33にチェーン71をかけることにより排出用縦オーガ30を任意の角度に傾倒した状態で保持する。例えば、図9の二点鎖線Aの状態まで排出用縦オーガ30を傾倒させた状態にあっては、排出用縦オーガ収納部材61側のチェーン71の始端とフック33とを結ぶ直線上にチェーン71を配置し、フック33の位置に最も近い輪をフック33にかける。これにより、排出用縦オーガ30が現在位置から更に機体フレーム2外側へ傾動するのを制限し、排出用縦オーガ30を傾倒させた状態で保持する。図9の二点鎖線Bの状態まで排出用縦オーガ30を傾倒させた状態にあっても同様に、フック33の位置に最も近い輪をフック33にかけることにより、排出用縦オーガ30を傾倒させた状態で保持する。
【0039】
グレンタンク8が開放状態である場合においては、係合部材65が排出用縦オーガ収納部材61の挿入孔61c及び排出用縦オーガ30の係合孔34aには係合部材65が挿入されており、排出用縦オーガ30が排出用縦オーガ収納部材61に対して固定されて傾動できないようになっている。
このように構成することにより、グレンタンク8の開放と排出用縦オーガ30の傾倒が同時に行われるのを防止することができる。このように、係合部材65は、グレンタンク8が収納状態にある場合におけるグレンタンク8の機体フレーム2への固定と、グレンタンク8が開放状態にある場合における排出用縦オーガ30の傾倒の防止という二つの用途に用いることができる。係合部材65はいずれか一方の貫入孔に挿入されるため紛失のおそれもない。
【0040】
また、係合部材65が排出用縦オーガ収納部材61の挿入孔61cまたは貫入孔61bのどちらにも配置されていなかった場合、排出用縦オーガ30が傾倒した状態では、グレンタンク8が開放しないように構成している。
排出用縦オーガ30が収納状態にある場合は、図10の二点鎖線に示すように、排出用縦オーガ30が垂直回動軸46の軸周りに回動させることができる。しかし、排出用縦オーガ30が傾倒した状態では、図11の二点鎖線に示すように、排出用縦オーガ30及びグレンタンクが垂直回動軸46の軸周りに回動すると突出板37が支持フレーム2aと接触し、回動できないように形成されている。
このように構成することにより、排出用縦オーガ30が傾倒している場合に、グレンタンク8の回動を禁止することができる。
【0041】
以上のように、コンバイン1は、グレンタンク8と、グレンタンク8に一端が接続され、グレンタンク8に貯溜された穀粒を他端から排出する排出用縦オーガ30と、を備え、排出用縦オーガ30を、機体外側に向けて傾動可能となるようにグレンタンク8に相対回動可能に接続するとともに、グレンタンク8及び排出用縦オーガ30の両方を支持しながら機体フレーム2に対して垂直軸周りに相対回動可能な支持部材51を設けたものである。
このように構成することにより、グレンタンク8を側方に回動(開放)させた場合、グレンタンク8と一体的に排出用縦オーガ30も回動するため、グレンタンク8と排出用縦オーガ30との接続が解除されて開口部が露出することがなく、穀粒がこぼれ落ちるのを防止することができる。
【0042】
また、支持部材51は、排出用縦オーガ30の傾動軸45を、グレンタンク8と反対側から軸支するものとしたものである。
このように構成することにより、排出用縦オーガ30は、グレンタンク8の排出孔31及び支持部材51の傾動軸受部51cによって両側から軸支されることになるため、当該排出用縦オーガ30の取り付け強度を向上させることができる。また、排出用縦オーガ30及びグレンタンク8をコンパクトに配置することができる。
【0043】
また、グレンタンク8が収納位置にある場合にはグレンタンク8と機体フレーム2とを係合させるとともに、グレンタンク8を開放させる場合にはグレンタンク8と垂直方向に立設された状態の排出用縦オーガ30とを係合させる係合部材65を備えたものである。
このように構成することにより、グレンタンク8が収納位置にある場合には、係合部材65によってグレンタンク8を収納位置に保持し、グレンタンク8を開放させる場合には、係合部材65によって排出用縦オーガ30を収納位置に保持することができる。このようにして、グレンタンク8の開放と排出用縦オーガの傾倒が同時に行われるのを防止することができる。また、そのための部材を1つの係合部材65で兼用することができる。
【0044】
また、排出用縦オーガ30が傾倒している場合には、機体フレーム2と係合してグレンタンク8及び排出用縦オーガ30が回動するのを規制する突出板37を設けたものである。
このように構成することにより、排出用縦オーガ30が傾倒している場合にはグレンタンク8の回動(開放)を禁止することで、重量バランスの悪化を防止することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 コンバイン
8 グレンタンク
10 エンジンルーム
12 座席シート
20 サンバイザー
30 排出用縦オーガ
37 突出板(規制部材)
45 傾動軸
51 支持部材
65 係合部材
【技術分野】
【0001】
本発明はコンバインの技術に関し、特に、グレンタンクと、当該グレンタンクに一端が接続され、当該グレンタンク内に貯溜された穀粒を他端から排出する排出用縦オーガと、を備えるコンバインの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、グレンタンクと、当該グレンタンクに一端が接続され、当該グレンタンク内に貯溜された穀粒を他端から排出する排出用縦オーガと、を備えるコンバインが公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載のコンバインにおいては、排出用縦オーガを、機体外側に向かって傾倒させた状態で穀粒の排出を行う。
また、グレンタンクと排出用縦オーガとを接続部材を介して接続させている。排出用縦オーガは、接続部材に対して相対的に回動可能であり、穀粒の排出時には外側に向かって傾倒させることができる。
一方、グレンタンクは、接続部材に設けられ垂直方向に延設された軸を中心として側方に回動可能であり、メンテナンス時には開放させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−98966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のコンバインは、グレンタンクを側方に回動させた場合、当該グレンタンクと接続部材との間の接続部は解放されて開口部が露出するため、この解放された部分からグレンタンクや接続部材内に残留している穀粒が零れ落ちてしまう可能性がある。また、排出用縦オーガの傾動角度の調整が困難であり、任意の角度傾倒した状態で固定することができなかった。
【0006】
そこで、本発明は係る課題に鑑み、グレンタンクを回動させた場合でも、穀粒が零れ落ちないように構成したコンバインを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
請求項1の発明は、グレンタンクと、前記グレンタンクに一端が接続され、前記グレンタンクに貯溜された穀粒を他端から排出する排出用縦オーガと、を備え、前記排出用縦オーガを、機体外側に向けて傾動可能となるように前記グレンタンクに相対回動可能に接続するとともに、前記グレンタンク及び排出用縦オーガの両方を支持しながら機体フレームに対して垂直軸周りに相対回動可能な支持部材を設けたものである。
【0009】
請求項2の発明は、前記支持部材は、排出用縦オーガの傾動軸を、グレンタンクと反対側から軸支するものとしたものである。
【0010】
請求項3の発明は、前記グレンタンクが収納位置にある場合には前記グレンタンクと機体フレームとを係合させるとともに、グレンタンクを開放させる場合には前記グレンタンクと垂直方向に立設された状態の排出用縦オーガとを係合させる係合部材を備えたものである。
【0011】
請求項4の発明は、前記排出用縦オーガが傾倒している場合には、機体フレームと係合してグレンタンク及び排出用縦オーガが回動するのを規制する規制部材を設けたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0013】
請求項1においては、グレンタンクを側方に回動(開放)させた場合、当該グレンタンクと一体的に排出用縦オーガも回動するため、グレンタンクと排出用縦オーガとの接続部が解放されることがなく、穀粒がこぼれ落ちるのを防止することができる。
【0014】
また、請求項2においては、排出用縦オーガは、グレンタンク及び支持部材によって両側から軸支されることになるため、当該排出用縦オーガの取り付け強度を向上させることができる。また、排出用縦オーガ及びグレンタンクをコンパクトに配置することができる。
【0015】
また、請求項3においては、グレンタンクが収納位置にある場合には、係合部材によって当該グレンタンクを収納位置に保持し、グレンタンクを側方に開放させる場合には、係合部材によって排出用縦オーガを収納位置に保持することができる。このようにして、グレンタンクの開放と排出用縦オーガの傾倒が同時に行われるのを防止することができる。また、そのための部材を1つの係合部材で兼用することができる。
【0016】
また、請求項4においては、排出用縦オーガが傾倒している場合にはグレンタンクの回動(開放)を禁止することで、重量バランスの悪化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の一形態に係るコンバインの全体的な構成を示す右側面図。
【図2】コンバインの操縦部を示す左側面図。
【図3】グレンタンク及び排出用縦オーガを示す右後方斜視図。
【図4】排出用縦オーガ及び接続部材を示す右後方斜視図。
【図5】排出用縦オーガ及び接続部材を示す右側面図。
【図6】排出用縦オーガ及び排出用縦オーガ収納部材を示す平面図。
【図7】排出用縦オーガ及び排出用縦オーガ収納部材を示す左側面図。
【図8】グレンタンク及び排出用縦オーガの回動を示す平面図。
【図9】排出用縦オーガの傾倒を示す正面図。
【図10】排出用縦オーガの下部を示す正面図。
【図11】収納状態の排出用縦オーガ及びグレンタンクの回動を示す平面図。
【図12】傾倒状態の排出用縦オーガ及びグレンタンクの回動を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図1に基づいて説明する。
【0019】
まず、本発明の実施の一形態に係るコンバイン1の全体的な構成について、図1を参照して説明する。なお、以下では、図中の矢印Fで示す方向すなわちコンバイン1の前進方向を「前方」と定義し、矢印Uで示す方向すなわち鉛直上方を「上方」と定義し、矢印「L」で示す方向すなわち前進方向に対して左方を「左方」と定義して、説明を行う。
【0020】
本実施形態のコンバイン1は、稲や麦や蕎麦や小豆や大豆等の種々の収穫物を刈り取りながら脱穀する機能を備えた汎用型のコンバインである。コンバイン1は、骨格を成す機体フレーム2に対してエンジン3や変速装置等を搭載し、機体フレーム2の下部に走行部4を装備し、機体フレーム2の前部に刈取部5を搭載し、機体フレーム2の左半部に脱穀部6及び選別部を搭載し、機体フレーム2の右半部に穀粒貯溜部としてのグレンタンク8を搭載し、当該グレンタンク8の前方箇所に操縦部9を装備して構成されている。
【0021】
このように、本実施形態のコンバイン1は、操縦部9におけるオペレーターの操作に応じて、エンジン3の動力を各部の装置に供給して、走行部4にて機体を走行させながら、刈取部5にて圃場の収穫物を刈取り、脱穀部6にて刈取部5からの収穫物を脱穀し、選別部にて脱穀部6からの脱穀物を選別することができるように構成されている。
【0022】
エンジン3が搭載される箇所について、図2を参照してより具体的に説明すると、エンジン3は、機体フレーム2の右側前部上に設けられた直方体形状の空間であるエンジンルーム10内に搭載される。当該エンジンルーム10は、機体フレーム2の右側前部上に左右一対のフレーム11・11を立設し、当該フレーム11・11間の前方箇所にエンジン3を配置し、当該エンジン3の前方、後方、側方、及び上方を板状のエンジンルームカバーで覆うことにより構成されている。
【0023】
エンジンルーム10の上方には、操縦部9の構成部材である座席シート12が配置される。当該座席シート12は、コンバイン1の操縦を行うオペレーターが着座するためのものであり、エンジンルーム10の上面を成すエンジンルームカバー13の上に設けられる。座席シート12の周辺には種々の操作具が設けられる。座席シート12の後方にはグレンタンク8が配置される。座席シート12の上方には日除けのためのサンバイザー20が配置される。
【0024】
次に、グレンタンク8及び排出用縦オーガ30について、図3及び図4を参照して説明する。
グレンタンク8は、箱状に形成されており、後方の高さが一段低くなるように形成されている。グレンタンク8の底部内には穀粒を排出するコンベア等からなる穀粒排出装置18が設けられている。グレンタンク8はその後面下端付近に排出孔31が設けられている。
【0025】
排出用縦オーガ30は、グレンタンク8に貯溜された穀粒を外部に排出するための筒状部材であり、機体フレーム2の右半部であってグレンタンク8の後方に配置されている。排出用縦オーガ30は、グレンタンク8に一端が接続され、グレンタンク8に貯溜された穀粒を他端から排出する。排出用縦オーガ30の一端にはフランジ30aが設けられており、グレンタンク8の排出孔31に接続部材41を介して接続されている。
排出用縦オーガ30は、他端に穀粒排出孔32を有しており、穀粒排出孔32は、収納時に右方向(機体外側)を向いて開口するように形成されている。グレンタンク8の後部と排出用縦オーガ30の間の左部には機体フレーム2から柱状の支持フレーム2aが立設されている。
【0026】
また、図5に示すように、排出用縦オーガ30の中途部であって前側の側面には、傾倒姿勢保持用部材としてのフック33が設けられている。フック33は、排出用縦オーガ30が垂直状態(収納状態)である場合において、排出用縦オーガ30の上下中途部の前側側面から前方に突設され、その先端は右方向(機体外側)へ屈曲された形状としている。
また、排出用縦オーガ30の前側側面であってフック33よりも上方には、縦オーガ側係合部材34が設けられている。縦オーガ側係合部材34は板状の部材で水平前左側方に突設され、縦オーガ側係合部材34の平面視略中央部には係合孔34a(図6参照)が設けられている。
また、排出用縦オーガ30の中途部右側(機体外側)側面には、平面視略U字状に棒材を折り曲げ形成されて、作業者が排出用縦オーガ30を傾動する際に把持するための傾動用把手38が設けられている。作業者は、傾動用把手38を把持して機体外側へ排出用縦オーガ30を傾動させ、穀粒排出孔32を図示せぬ袋等の上部へ移動させて穀粒を排出させることができる。
【0027】
また、図3及び図4に示すように、排出用縦オーガ30は、右方向(機体外側)へ傾動可能となるようにグレンタンク8に接続部材41を介して相対回動可能に接続されている。
グレンタンク8及び排出用縦オーガ30を接続するための接続部材41は、側面視L字状の管材であり、前方に向いて開放したグレンタンク側開口部42と、上方に向いて開放した排出用縦オーガ側開口部43とを有している。グレンタンク側開口部42はグレンタンク8の排出孔31に軸心を合わせて嵌合され、排出用縦オーガ30が前後中心軸周りに側方へ回動可能に固定されている。また、排出用縦オーガ側開口部43はフランジ43aを有しており、フランジ43aを排出用縦オーガ30の下端に設けられたフランジ30aと重ね合わせて、ねじ等で締結することにより固設されている。
接続部材41の後端下部には、傾動軸45が設けられている。傾動軸45は前後水平方向であって、グレンタンク8内の下部に前後方向に設けられた穀粒排出装置18のコンベア軸心の後延長上に配設され、排出用縦オーガ30の傾動時の軸となる部材であり、接続部材41の後面から後方に向けて突設されている。
【0028】
また、図9及び図10に示すように、接続部材41の下部であって支持フレーム2aの近くには規制部材としての突出板37が設けられている。突出板37は、排出用縦オーガ30が傾倒状態にある場合において、排出用縦オーガ30及びグレンタンク8が垂直軸周りに回動するのを防止するための部材であり、多角形の板状の部材である。突出板37は、図10の実線に示すように、排出用縦オーガ30が垂直状態(収納状態)である場合において、排出用縦オーガ30及びグレンタンク8が垂直軸周りに機体外側へ向かって回動すると支持フレーム2aと接触しないが、図10の二点鎖線に示すように、排出用縦オーガ30が傾倒状態にある場合において、排出用縦オーガ30及びグレンタンク8が垂直軸周りに回動すると支持フレーム2aと接触するように形成されている。より詳しくは、図10の二点鎖線に示すように、突出板37の墨付き部分が支持フレーム2aと接触する。
【0029】
接続部材41及び排出孔31は、図3及び図4に示すように、支持部材51に支持されている。即ち、支持部材51は、グレンタンク8及び排出用縦オーガ30の両方を支持しながら機体フレーム2に対して垂直軸周りに相対回動可能とするための部材である。
支持部材51は、平面視略台形状の底板部51aと、底板部51a前端から上方へ突設させた接続部材支持部51bと、底板部51a後端から上方へ突設させた傾動軸受部51cとから構成されている。つまり、支持部材51は板材を側面視略U字状に折り曲げ形成されている。
【0030】
また、底板部51aの略中央部には貫通孔51dが開口され、該貫通孔51dに垂直回動軸46の上部が挿入されて溶接等で固設されている。垂直回動軸46は、図4、図5に示すように、支持部材51から下方へ突設しており、機体フレーム2に固設された垂直回動軸軸受部55に側方へ回動軸支されている。垂直回動軸46は排出用縦オーガ30内に収納されているコンベア軸の下方延長上に配設される。このように構成することにより、支持部材51はグレンタンク8及び排出用縦オーガ30の両方を支持しながら機体フレーム2に対して垂直回動軸46を中心として、側方へ回動することができる。また、排出用縦オーガ30は側方への回動時に偏心することがない。
【0031】
接続部材41の後端下部から後方に突出された傾動軸45は、支持部材51に設けられた傾動軸受部51cに側方へ回動軸支されている。このように構成することにより、接続部材41及び接続部材41に接続された排出用縦オーガ30が、傾動軸45及びグレンタンク側開口部42に軸支されつつその軸心周りに側方へ回動し、排出用縦オーガ30を機体外側へ傾動させることができる。
【0032】
また、図3、図5及び図6に示すように、グレンタンク8の後部に排出用縦オーガ収納部材61が設けられている。排出用縦オーガ収納部材61は、箱状の部材であり、図6に示すように、その右面(機体外側)に排出用縦オーガ30の直径とほぼ同径の半円状の凹部61aを形成し、排出用縦オーガ30を嵌め込めるように構成している。また、排出用縦オーガ収納部材61の前面はグレンタンク8後面に固設されている。
また、排出用縦オーガ収納部材61の左前部には、上面から下面に貫通する貫入孔61bが設けられ、排出用縦オーガ収納部材61の右上面の前後中途部には、挿入孔61cが設けられている。貫入孔61b及び挿入孔61cにはそれぞれピンで構成した係合部材65を貫入可能としている。そして、貫入孔61bの位置に合わせて支持フレーム2aの上面に図示せぬ支持フレーム側貫入孔が開口され、該支持フレーム側貫入孔と貫入孔61bとに係合部材65を貫入することで、グレンタンク8を支持フレーム2aに固定可能としている。
一方、図5及び図7に示すように、排出用縦オーガ30が垂直状態(収納状態)である場合において、排出用縦オーガ30の排出用縦オーガ収納部材61の上面よりも高い位置から排出用縦オーガ収納部材61側に向けて縦オーガ側係合部材34が突設されている。該縦オーガ側係合部材34には、前記挿入孔61cの位置と平面視で一致するように係合孔34aが開口され、挿入孔61cと係合孔34aに係合部材65を貫入して排出用縦オーガ30を排出用縦オーガ収納部材61に固定可能としている。
【0033】
次に、グレンタンク8の収納及び開放並びに排出用縦オーガ30の収納及び傾動について図3、図8及び図9を参照して説明する。
グレンタンク8は、図3及び図8の実線で示すように、収納時においては、機体フレーム2の右側上に配置されており、その後面下部に設けられた排出孔31は後方を向いて開口しており、前方に向いて開放した接続部材41のグレンタンク側開口部42と回動可能に接続されている。また、排出用縦オーガ収納部材61の貫入孔61bに係合部材65が貫入されており、支持フレーム2aと排出用縦オーガ収納部材61とが固定されている。排出用縦オーガ収納部材61は、グレンタンク8後面に固設されているので、グレンタンク8は、排出用縦オーガ収納部材61を介して機体フレーム2に固定され、係合部材65を抜かない限り回動することができないように構成されている。こうしてグレンタンク8が意図せず側方に回動しないように構成している。なお、グレンタンク8の前部上とサンバイザー20の支持フレームの間に連結部材が連結されて、強固にグレンタンク8を機体フレームに固定している。
【0034】
また、清掃やメンテナンス等のためにグレンタンク8を開放状態にする場合においては、図8の二点鎖線で示すように、連結部材を外してから係合部材65を排出用縦オーガ収納部材61の貫入孔61bから抜き、排出用縦オーガ収納部材61の挿入孔61cに挿入する。これにより、排出用縦オーガ収納部材61と機体フレーム2との固定が解除されるので、グレンタンク8は回動可能となる。
【0035】
グレンタンク8を開放状態にする場合においては、グレンタンク8は、接続部材41の下部に設けられた垂直回動軸46を中心として垂直軸周りに相対回動する。この際、グレンタンク8は接続部材41を介して排出用縦オーガ30に接続されたままの状態で回動する。すなわち、接続部材41に接続されたグレンタンク8及び排出用縦オーガ30が一体となって垂直回動軸46を中心として垂直周りに相対回動する。このように構成することにより、グレンタンク8を側方に開放(回動)させた場合、グレンタンク8と一体的に排出用縦オーガ30も回動するため、グレンタンク8と排出用縦オーガ30との接続が解除されることがない。
グレンタンク8は、最大で収納時の状態から約90°側方へ回動できる。
【0036】
次に、排出用縦オーガ30の収納及び傾動について、図9を参照して説明する。グレンタンク8が収納状態にある場合においては、係合部材65が排出用縦オーガ収納部材61の貫入孔61bに貫入されており(図8の実線参照)、排出用縦オーガ収納部材61の挿入孔61c及び排出用縦オーガ30の係合孔34aには係合部材65が挿入されていないことから、排出用縦オーガ30は排出用縦オーガ収納部材61から独立して傾動可能となっている。
【0037】
前記状態において、排出用縦オーガ30は、機体フレーム2外側に向けて傾動軸45及びグレンタンク側開口部42に軸支されつつ前後中心軸周りに回動(傾動)する。この際、排出用縦オーガ30及び接続部材41は一体的に回動する。接続部材41のグレンタンク側開口部42とグレンタンク8の排出孔31とは相対回動可能に固定されているため、接続部材41とグレンタンク8との接続が外れることなく傾動させることができる。
【0038】
また、排出用縦オーガ収納部材61の側面(機体外側面)には傾倒姿勢保持用部材としてのチェーン71が設けられている。チェーン71は、排出用縦オーガ30を任意の角度に傾倒した状態で保持するための部材であり、排出用縦オーガ30に設けられたフック33にチェーン71をかけることにより排出用縦オーガ30を任意の角度に傾倒した状態で保持する。例えば、図9の二点鎖線Aの状態まで排出用縦オーガ30を傾倒させた状態にあっては、排出用縦オーガ収納部材61側のチェーン71の始端とフック33とを結ぶ直線上にチェーン71を配置し、フック33の位置に最も近い輪をフック33にかける。これにより、排出用縦オーガ30が現在位置から更に機体フレーム2外側へ傾動するのを制限し、排出用縦オーガ30を傾倒させた状態で保持する。図9の二点鎖線Bの状態まで排出用縦オーガ30を傾倒させた状態にあっても同様に、フック33の位置に最も近い輪をフック33にかけることにより、排出用縦オーガ30を傾倒させた状態で保持する。
【0039】
グレンタンク8が開放状態である場合においては、係合部材65が排出用縦オーガ収納部材61の挿入孔61c及び排出用縦オーガ30の係合孔34aには係合部材65が挿入されており、排出用縦オーガ30が排出用縦オーガ収納部材61に対して固定されて傾動できないようになっている。
このように構成することにより、グレンタンク8の開放と排出用縦オーガ30の傾倒が同時に行われるのを防止することができる。このように、係合部材65は、グレンタンク8が収納状態にある場合におけるグレンタンク8の機体フレーム2への固定と、グレンタンク8が開放状態にある場合における排出用縦オーガ30の傾倒の防止という二つの用途に用いることができる。係合部材65はいずれか一方の貫入孔に挿入されるため紛失のおそれもない。
【0040】
また、係合部材65が排出用縦オーガ収納部材61の挿入孔61cまたは貫入孔61bのどちらにも配置されていなかった場合、排出用縦オーガ30が傾倒した状態では、グレンタンク8が開放しないように構成している。
排出用縦オーガ30が収納状態にある場合は、図10の二点鎖線に示すように、排出用縦オーガ30が垂直回動軸46の軸周りに回動させることができる。しかし、排出用縦オーガ30が傾倒した状態では、図11の二点鎖線に示すように、排出用縦オーガ30及びグレンタンクが垂直回動軸46の軸周りに回動すると突出板37が支持フレーム2aと接触し、回動できないように形成されている。
このように構成することにより、排出用縦オーガ30が傾倒している場合に、グレンタンク8の回動を禁止することができる。
【0041】
以上のように、コンバイン1は、グレンタンク8と、グレンタンク8に一端が接続され、グレンタンク8に貯溜された穀粒を他端から排出する排出用縦オーガ30と、を備え、排出用縦オーガ30を、機体外側に向けて傾動可能となるようにグレンタンク8に相対回動可能に接続するとともに、グレンタンク8及び排出用縦オーガ30の両方を支持しながら機体フレーム2に対して垂直軸周りに相対回動可能な支持部材51を設けたものである。
このように構成することにより、グレンタンク8を側方に回動(開放)させた場合、グレンタンク8と一体的に排出用縦オーガ30も回動するため、グレンタンク8と排出用縦オーガ30との接続が解除されて開口部が露出することがなく、穀粒がこぼれ落ちるのを防止することができる。
【0042】
また、支持部材51は、排出用縦オーガ30の傾動軸45を、グレンタンク8と反対側から軸支するものとしたものである。
このように構成することにより、排出用縦オーガ30は、グレンタンク8の排出孔31及び支持部材51の傾動軸受部51cによって両側から軸支されることになるため、当該排出用縦オーガ30の取り付け強度を向上させることができる。また、排出用縦オーガ30及びグレンタンク8をコンパクトに配置することができる。
【0043】
また、グレンタンク8が収納位置にある場合にはグレンタンク8と機体フレーム2とを係合させるとともに、グレンタンク8を開放させる場合にはグレンタンク8と垂直方向に立設された状態の排出用縦オーガ30とを係合させる係合部材65を備えたものである。
このように構成することにより、グレンタンク8が収納位置にある場合には、係合部材65によってグレンタンク8を収納位置に保持し、グレンタンク8を開放させる場合には、係合部材65によって排出用縦オーガ30を収納位置に保持することができる。このようにして、グレンタンク8の開放と排出用縦オーガの傾倒が同時に行われるのを防止することができる。また、そのための部材を1つの係合部材65で兼用することができる。
【0044】
また、排出用縦オーガ30が傾倒している場合には、機体フレーム2と係合してグレンタンク8及び排出用縦オーガ30が回動するのを規制する突出板37を設けたものである。
このように構成することにより、排出用縦オーガ30が傾倒している場合にはグレンタンク8の回動(開放)を禁止することで、重量バランスの悪化を防止することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 コンバイン
8 グレンタンク
10 エンジンルーム
12 座席シート
20 サンバイザー
30 排出用縦オーガ
37 突出板(規制部材)
45 傾動軸
51 支持部材
65 係合部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グレンタンクと、
前記グレンタンクに一端が接続され、前記グレンタンクに貯溜された穀粒を他端から排出する排出用縦オーガと、を備え、
前記排出用縦オーガを、機体外側に向けて傾動可能となるように前記グレンタンクに相対回動可能に接続するとともに、前記グレンタンク及び排出用縦オーガの両方を支持しながら機体フレームに対して垂直軸周りに相対回動可能な支持部材を設けたコンバイン。
【請求項2】
前記支持部材は、排出用縦オーガの傾動軸を、グレンタンクと反対側から軸支するものとした請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記グレンタンクが収納位置にある場合には前記グレンタンクと機体フレームとを係合させるとともに、グレンタンクを開放させる場合には前記グレンタンクと垂直方向に立設された状態の排出用縦オーガとを係合させる係合部材を備えた請求項1または2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記排出用縦オーガが傾倒している場合には、機体フレームと係合してグレンタンク及び排出用縦オーガが回動するのを規制する規制部材を設けた請求項1から3のいずれか一項に記載のコンバイン。
【請求項1】
グレンタンクと、
前記グレンタンクに一端が接続され、前記グレンタンクに貯溜された穀粒を他端から排出する排出用縦オーガと、を備え、
前記排出用縦オーガを、機体外側に向けて傾動可能となるように前記グレンタンクに相対回動可能に接続するとともに、前記グレンタンク及び排出用縦オーガの両方を支持しながら機体フレームに対して垂直軸周りに相対回動可能な支持部材を設けたコンバイン。
【請求項2】
前記支持部材は、排出用縦オーガの傾動軸を、グレンタンクと反対側から軸支するものとした請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記グレンタンクが収納位置にある場合には前記グレンタンクと機体フレームとを係合させるとともに、グレンタンクを開放させる場合には前記グレンタンクと垂直方向に立設された状態の排出用縦オーガとを係合させる係合部材を備えた請求項1または2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記排出用縦オーガが傾倒している場合には、機体フレームと係合してグレンタンク及び排出用縦オーガが回動するのを規制する規制部材を設けた請求項1から3のいずれか一項に記載のコンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−85545(P2013−85545A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232300(P2011−232300)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
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