説明

コンバーチブルファンエンジン

コンバーチブルファンシステムを有するガスタービンエンジン(576)が開示されており、低圧タービン(583)に連結された前段ファンロータ(506)及び後方ファンロータ(542)と、高圧タービン(581)に連結された圧縮機(579)を有するコア(578)と、環状内側バイパス通路(571)及び環状外側バイパス通路(572)とを備えたファンシステム(501)を有している。後方ファンロータ(542)は、内側流路(573)及び外側流路(574)の一部を形成する弓形スプリッタ(547)を有する後方ファンブレード(544)の列を有しており、後方ファンブレード(544)が内側流(563)及び外側流(564)を加圧し、前段ファンロータ(506)への空気流をほぼ一定に保ちながらファン先端圧力比を変化させることができる。コンバーチブルファンシステムを有するガスタービンエンジン(576)の運転方法も開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概してジェット推進エンジンに関し、より詳細には、可変流動条件及び圧力比の下で作動することができるコンバーチブルファンシステムを有する汎用エンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
現行の多くの航空機及び将来型のほとんどの航空機は、多様な飛行条件において、且つ様々なミッションに対する多種多様な推力設定にわたって効果的に実装された推進システム実行能力を必要とする。現行のターボファンエンジンはこの種のミッション適応性能を提供する能力に限界があるが、これは大部分において、高レベルのファン流量を維持しながらファン圧力比を効率的に減少させる柔軟性に限界がある既存のファンシステムの基本的な作動特性によるものである。従来技術において、現行のターボファンエンジンは、エンジンが部分出力運転中に減速するとき、可変スロート排気ノズルシステムに加えてファンロータ速度減少を利用してファン圧力比及び空気流の両方を減少させることもある。この運転柔軟性の欠如によって、部分出力未実装燃料消費率レベルを完全に最適化する可能性が制限される。更に、現行のファンシステムの限界によって、部分出力実装燃料消費率レベルの大幅な増加を引き起こすスピレージ及びノズルクロージャ抗力損失の大幅な改善が著しく制限される。
【0003】
将来型のミックストミッション・モーフィング航空機並びに高い値の離陸推力/離陸総重量、即ち0.8〜1.2カテゴリの推力荷重を有するより従来型のミックストミッション高性能軍用システムは、推進システムに対する多くの課題に直面している。それらは、多様な飛行速度及び高度において、また特に低出力設定時において、効率的な推進運転を必要とするが、従来型のエンジンは、このような低出力設定時において、非実装性能に関してもまた亜音速及び超音速入口に関連したスピレージ抗力損失の影響を含む完全実装性能では一層大きな程度に関しても非効率的な設計外条件で運転される。
【0004】
ミックストミッション用途のための従来型のエンジンサイクル及び構成を決定する場合に、適度な寸法のエンジンが亜音速及び超音速飛行条件の両方において効率的に運転されるのを可能にするためには、ファン圧力比、バイパス比、及び総圧力比の選択において妥協しなければならない。特に、戦闘操縦及び超音速作動に必要な推力を発生することができる適度な寸法のエンジンを得るのに必要なファン圧力比及び関連のバイパス比の選択は、効率的な低出力亜音速飛行には最適ではない。基本的な非実装亜音速エンジン性能は悪化し、完全実装性能は、低出力設定において発生する入口/エンジン流量不整合のために更に劣化する。
【0005】
従来技術において、コンバーチブルエンジンに用いられるコア概念は、複雑な配管及び弁を必要とする多重コアを有し、極めて複雑である。エンジンの現行の従来型ブレードコアは、コア流量が減少すると、一定又はほぼ一定の作動圧力比を維持することができない。現行の従来型ブレードファンロータは、高レベルのファン流量を維持しながらファン圧力比を効率的に減少させる柔軟性がない。この運転柔軟性の欠如によって、部分出力未実装燃料消費率レベルを完全に最適化する可能性が制限される。これにより、周知の可変バイパスコンバーチブルエンジン概念によって提供される潜在的な燃料消費率(SFC)効果が著しく制限される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第1895142号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、例えば、巡航運転時に推力を低下させて航空機抗力に対抗する場合などの部分出力エンジン運転中に、一定又はほぼ一定の総入口流量を維持しながら推力有効全ファン圧力比を効率的に減少させることができるコンバーチブルファンシステムを有するエンジンを備えることが望ましいであろう。また、様々な飛行様式にわたってSFC効果を提供しながら可変流量及び圧力比設定条件の下でコンバーチブルファンを作動させる方法を有することが望ましいであろう。更にまた、様々な推力設定においてコンバーチブルファンエンジン及び低SFCの利点を組み合わせた適応型コアを有するコンバーチブルファンエンジンを備えることが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の要求は、ガスタービンエンジンを提供する本明細書に開示した実施例によって満たすことができ、ガスタービンエンジンは、低圧タービンに連結された前段ファンロータ及び後方ファンロータと、高圧タービンに連結された圧縮機を有するコアと、環状内側バイパス通路及び環状外側バイパス通路とを備えたファンシステムを有する。後方ファンロータは、内側流路及び外側流路の一部を形成する弓形スプリッタを有する後方ファンブレードの列を有しており、後方ファンブレードが内側流及び外側流を加圧し、前段ファンロータへの空気流をほぼ一定に保ちながらファン先端圧力比を変化させることができる。
【0009】
本発明の一態様では、ガスタービンエンジンは、外側バイパス通路及び内側バイパス通路を有するコンバーチブルファンシステムを有する。本発明の別の態様では、ガスタービンエンジンは、コアバイパス流を制御するように構成されたバイパスドアを有する。本発明の別の態様では、ガスタービンエンジンは、外側バイパス通路における逆流を防止するように構成されたブロッカドアを有する。本発明の別の態様では、ガスタービンエンジンは、内側バイパス流及び外側バイパス流の混合を強化するように構成された前方ミキサを有する。本発明の別の態様では、ガスタービンエンジンは、前段ファンロータから半径方向外側に配置され、ファンブレードと共に回転して外側流路内の外側流ストリームを加圧するように構成された外側ファンブレードの円周方向列を有する外側ファンシステムを有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明と見なされる主題は、本明細書の結びの部分の特許請求の範囲において具体的に指摘され明確に請求されている。しかしながら、本発明は、添付図面に関連してなされる以下の説明を参照することによって最も良く理解することができるであろう。
【図1】本発明の実施例に従った汎用ガスタービンエンジンの概略断面図である。
【図2】本発明の実施例に従ったコンバーチブルファンシステムの概略断面図である。
【図3】本発明の別の実施例に従ったコンバーチブルファンシステムの概略断面図である。
【図4】本発明の別の実施例に従ったコンバーチブルファンシステムの概略断面図である。
【図5】本発明の別の実施例に従った汎用ガスタービンエンジンの概略断面図である。
【図6】図2,5及び9に示すコンバーチブルファンシステムの前ブロックのファン作動特性の一例である。
【図7】図2,5及び9に示すコンバーチブルファンシステムの後方ファンの外側部分のファン作動特性の一例である。
【図8】図2,5及び9に示すコンバーチブルファンシステムの後方ファンの内側部分のファン作動特性の一例である。
【図9】本発明の別の実施例に従った適応型コアを有する例示的な汎用ガスタービンエンジンの概略断面図である。
【図10】図9の示す例示的な汎用ガスタービンエンジンの圧縮機の作動特性の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
様々な図を通して同じ参照番号が同じ要素を示す図面を参照すると、図1は、本発明の実施例に従った適応型汎用ガスタービンエンジン10の概略断面図である。ガスタービンエンジン10は、ファン14と、高圧タービン(HPT)16の軸24によって駆動される圧縮機13を含むコア12とを有する。ファン14は、長手方向軸11を有するコンバーチブルファンシステム40を備え、低圧タービン(LPT)18の軸28によって駆動される。HPT16及びLPT28は、燃焼器15からの高温燃焼ガスによって駆動される。一部の応用例では、エンジン10は、外側流ストリーム3を受け入れる外側流路4と、本明細書において後述するような外側ファンシステムとを任意選択で有してもよい。入口空気流ストリーム1は、エンジン10の前部に入る。ファン流ストリーム2は、ファン14によって加圧され、1つ以上のバイパス流ストリーム6とコア流ストリーム5に分かれる。1つ以上のバイパス流ストリーム6は、エンジンのコア12をバイパスし、排気システム22に入る。コア流ストリーム5は、エンジンのコア12に入り、燃焼器15に入る前に圧縮機13によって更に圧縮される。コアバイパス流とLPTからの排気は混合されて内側排気ストリーム9を形成し、これが主エンジン排気流ストリーム23を形成する可変スロート領域排気システム22内で更に膨張する。
【0012】
図1〜5及び9に示し、様々な実施例で本明細書において説明するように、エンジン10は、例えば、図1における項目40のようなコンバーチブルファンシステムを備えており、これはエンジン中心線軸11と同軸であり、支柱35のような周知の枠組構造によって支持されたコンバーチブルファンケーシング33の内部に配置される。図1に示すコンバーチブルファンシステム40は、複数のコンバーチブルファンブレード34と、一組以上の可変ベーン38,39とを備えて、後述するように空気量及び圧力比を制御する。図1に示す実施例では、コンバーチブルファンロータは、LPT軸28に連結されたコンバーチブルファン軸36によって駆動される。
【0013】
外側流路4が存在する場合、外側流ストリーム4は、外側ファンシステムによって更に加圧され、外側排気ストリーム8を形成する。外側ファンは、本明細書において代替的に「Fan tip on BLADE(ブレード上のファン先端)」の頭字語である用語「FLADE(フレード)(登録商標)」で呼ばれる。本明細書で用いられる用語フレード(登録商標)は、半径方向内側ファンに連結された外側ファンを特徴とする。フレード(登録商標)は、内側ファンダクトとほぼ共環状であってこれを囲む外側ファンにフレード(登録商標)空気ストリーム8を吐出する。本明細書に開示した本発明の一部の実施例では、熱交換器システム68(例えば、図1参照)が設けられており、この熱交換器システムは空気ストリーム8を用いてエンジン冷却空気を冷却することができる。一部の実施形態では、熱交換器システム68は、航空機システムの廃熱エネルギーを収集及び回収するために使用することもできる。更に、本明細書に開示した本発明の実施例では、可変スロート領域69(例えば、図1参照)がエンジン排気システム22内に設けられており、主排気ノズルスロート領域は、例えば、エンジン推力が低下した場合にスロート領域を開くことによって、必要に応じて変化させることができる。
【0014】
図2は、本発明の好適な実施形態に従ったコンバーチブルファンシステム(「CF」)140の概略断面図である。図5及び9は、例えば、図2に示すようなコンバーチブルファンシステムを有するガスタービンエンジン576,676の実施例を示す。図2,5及び9に示すように、コンバーチブルファンシステム140,540,640は、ハブ145,545,645から半径方向に延在し、長手方向軸11の周囲に円周方向に配設された複数のCFファンブレード144,544,644(本明細書において代替的に「後方ファンブレード」と呼ばれる)を有するコンバーチブル(CF)ファンロータ142,542,642(本明細書において代替的に「後方ファンロータ」と呼ばれる)を備えている。各々のCFファンブレード144,544,644は、ハブから半径方向外側に配置された弓形シュラウド147,547,647(本明細書において代替的に「弓形スプリッタ」と呼ばれる)を有する。CFファンロータ142,542,642の組み立てられた状態において、CFファンブレード144,544,644の弓形シュラウドは、円周方向に隣接するCFファンブレード144,544,644の弓形シュラウドに当接して、CFファンロータ142,542,642内で環状スプリッタを形成する。本発明の代替的実施形態では、CFファンロータ142,542,642を単一部品(「BLISK(BLADE+DISK)(ブリスク)」として代替的に知られる)として、周知のブリスク製造方法を用いて製造してもよい。他の代替的実施形態では、1つ以上の前方ファン段をブリスクとして製造してもよい。本明細書に示すファンブレード及びロータは部品の組立体として記載されることもあるが、本明細書に記載した特徴を有するブリスクを用いたファンシステムも本発明の技術的範囲内にある。CFファンロータ142,542,642は、CFファンロータ142,542,642を円周方向に囲むCFファンケーシング133,533,633内で半径方向に配置され、ケーシング133,533,633とCFファンブレード先端との間に小さなクリアランスを有している。組み立てられた状態において、弓形シュラウド147,547,647は、環状スプリッタとCFファンロータ142,542,642のハブとの間の内側流路173,573,673と、環状スプリッタとケーシング133,533,633との間の外側流路174,574,674とを形成する。CFファンシステム140,540,640の動作中、CFファンブレード144,544,644の内側部分146,546,646は内側流路173,573,673内の内側流163,563,663を加圧し、ファンブレード144,544,644の外側部分148,548,648は外側流路174,574,674内の外側流164,564,664を加圧する。
【0015】
図2,5及び9に示す例示的なコンバーチブルファンシステム140,540,640は、コンバーチブルファンロータ142,542,642から軸方向前方に配置されたベーンシステム150,550,650を備えている。図2,5及び9に示す例示的なベーンシステム150,550,650は、長手方向軸11の周囲に円周方向に配設され、且つファンブレード144,544,644の外側部分148,548,648から軸方向前方に配置された複数の外側ベーン154,554,654を有する。外側ベーン154,554,654は、周知の方法を用いて、例えばCFファンケーシング133,533,633のような静的構造によって適切に支持される。図2,5及び9に示す例示的なコンバーチブルファンシステム140,540,640は、流入するCF流ストリーム160,560,660を半径方向外側流164,564,664及び半径方向内側流163,563,663に分ける静的環状流スプリッタ151,551,651を備えている。静的環状流スプリッタ151,551,651は、CFファンロータ142,542,642から軸方向前方に配置される。静的CF流スプリッタ151,551,651は、外側ベーン154,554,654がCFファン外側流164,564,664をCFファンブレード外側部分148,548,648に案内するように、CFブレード144,544,644上の弓形スプリッタ147,547,647の半径方向位置に対応して半径方向に配置される。外側ベーン154,554,654は、CFファンブレード144,544,644及び外側流路174,574,674に入る流れの容量及び方向を変化させることができるような可変ベーンであって、ファンシステム140,540,640のファン先端圧力比を変化させることができるようになっている。可変外側ベーン154,554,654は、周知の外側ベーンアクチュエータ155,555,655を用いて約0度(開放)と約90度(閉鎖)との間で外側ベーンの食い違い角を変化させるために、周知の方法によって作動させられる。
【0016】
図2,5及び9に示す例示的なベーンシステム150,550,650はまた、長手方向軸11の周囲に円周方向に配設され、且つファンブレード144,544,644の内側部分146,546,646から軸方向前方に配置された複数の半径方向内側ベーン152,552,652を備えている。内側ベーン152,552,652は、周知の方法を用いて、例えば環状スプリッタ151,551,651及びCFファンケーシング133,533,633のような静的構造によって適切に支持される。内側ベーン152,552,652は、CFファン内側流163,563,663をCFファンブレード内側部分146,546,646に案内する。内側ベーン152,552,652は、CFファンブレード144,544,644及び内側流路173,573,673に入る流れの容量及び方向を変化させることができるような可変ベーンであって、ファンシステム140,540,640のファンハブ圧力比を変化させることができるようになっている。可変内側ベーン152,552,652は、周知の内側ベーンアクチュエータ153,553,653を用いて約0度(開放)と約40〜50度(部分閉鎖)との間で内側ベーンの食い違い角を変化させるために、周知の方法によって作動させられる。一部の応用例では、内側ベーン152,552,652は、CFファンブレード144,544,644の内側部分146,546,646に対する適切なレベルのCFファンハブ失速マージンを維持するために、始動及び低出力動作中に任意選択で使用される。
【0017】
CFファンシステム140,540,640の動作中、CFファンブレード144,544,644の外側部分148,548,648によって加圧される外側流ストリーム164,564,664は、内側バイパス通路171,571,671に入るようにCFファン出口案内翼(OGV)157,557,657の円周配列によって案内される。CFファンブレード144,544,644の内側部分146,546,646によって加圧される内側流ストリーム163,563,663は、内側通路に入るようにCFファン出口案内翼の円周配列によって案内され、エンジンコアに入るコア流ストリーム5を形成する。本発明の一態様では、コンバーチブルファンシステム140,540,640は、図2,5及び9のコアバイパス流159,559,659として示すコア流5の一部が内側バイパス通路171,571,671に吹き込まれるように、周知の方法を用いて選択的に開放することができるバイパス抽気ドア158,558,658を有するハブ抽気システムを任意選択で備えている。一部の応用例では、バイパスドア158,558,658を用いたハブ抽気システムは、CFファンブレード144,544,644の内側部分146,546,646に対する適切なレベルのCFファンハブ失速マージンを維持するために、始動及び低出力動作中に任意選択で使用される。
【0018】
例示的なコンバーチブルファンシステム140は、環状後方内側ケーシング125,525,625と環状外側ケーシング107,507,607との間に形成された外側バイパス通路172,572,672を更に備えている。環状外側バイパス流162,562,662は、外側バイパス通路172,572,672内を流れる。外側バイパス流162,562,662と、内側バイパス通路171,571,671内の内側バイパス流161,561,661とは、コンバーチブルファンシステム140,540,640の下流で混合する。周知の空力設計を用いて適切に成形された任意選択の可変ミキサ165,565,665は内側ケーシング133,533,633の後方端で使用されて、外側バイパス流162,562,662と内側バイパス流161,561,661との混合を強化して適切な静圧平衡を達成し、CFファンブレード144,544,644の外側部分148,548,648に対する適切なレベルのCFファン失速マージンを維持する。例示的なコンバーチブルファンシステム140,540,640は、外側バイパス通路172,572,672の入口部分付近に配置されたブロッカドア156,556,656を備えていて、これは外側バイパス流162,562,662の量を制御するために周知の作動方法を用いて制御可能に開閉されるようになっている。ブロッカドア156,556,656は、CFファンロータ142,542,642の下流の高い圧力によって生じることがある、外側バイパス流172,572,672の逆流を防止するために必要に応じて閉じるように調整される。ブロッカドア156,556,656は、後方内側ケーシング125,525,625又はフレームのような静的構造によって適切に支持される。
【0019】
図2は、前方ファンシステム100及び後方ファンシステム139を有する多段ファンシステム101を示す。図示の後方ファンシステム139は、本明細書において前述したコンバーチブルファンシステム140である。前方ファンシステム101は、第1ファン段102及び第2ファン段103を備えている。本発明の代替的実施形態では、前方ファンシステム101は、例えば図5に示すような1段のみを備えていてもよい。図2に示すように、第1ファン段102は、ハブ119から半径方向に延在し、長手方向軸11の周囲に円周方向に配設された複数の第1段ファンブレード118を有する第1段ファンロータ106を備えている。ファン入口案内翼111(ファンIGV)の円周配列は、第1ファン段102から軸方向前方に配置される。ファンIGV111は、周知の型式のアクチュエータ113によって作動する可変ベーン112部分を有してもよい。第1段ファンブレード118は、ファン内側流路116の一部を形成する環状前方内側ケーシング115の内部に配置される。内側ケーシング115は、例えば支柱108のような静的構造によって適切に支持される。図2に示す一実施形態では、第1段ファンブレード118によって加圧された後にファン流ストリーム2を再配向するために、ベーン127の円周配列が第1段ファンロータ106から軸方向後方に配置される。
【0020】
第2ファン段103は、第1ファン段102から軸方向後方に配置され、駆動軸104のような適切な手段によって連結される。図2に示すように、第2ファン段103は、長手方向軸11の周囲に円周方向に配設された複数の第2段ファンブレード122を有する第2段ファンロータ120を備えている。図2に示す実施例では、第2段ファンブレード122は、ブレード122の先端に配置された弓形プラットホーム124に連結される。弓形プラットホーム124は、ファンブレード122によって支持される隣接プラットホームセグメントの円周配列を組み立てることによって適切に形成することができる。代替的実施形態では、他の前方ファン段の1つ以上も上述のように弓形プラットホーム(例えば、図5参照)を有してもよい。
【0021】
図2に示すように、コンバーチブルファンシステム140は、弓形プラットホーム124によって支持され、第2ファン段103によって駆動される外側ファンブレード132(フレード(登録商標)ブレード)の円周方向列を有する外側ファンシステム130を備えている。外側ファンシステム130は、外側ケーシング107と、内側ケーシング115、弓形プラットホーム124及び後方内側ケーシング125との間に形成された外側流路117に配置される。外側ファンシステム130は、上流に配置され、周知のアクチュエータ136によって作動する可変食い違い角形状を有する外側ファン入口案内翼135の円周方向列を備えている。外側ファン出口案内翼(OGV)137の円周方向列は、外側ファンブレード132の下流に配置される。動作中、外側ファンブレード132は、外側流ストリーム3を加圧し、加圧された外側排気ストリーム8(本明細書において代替的にフレード(登録商標)ストリームと呼ばれる)を形成する。加圧された外側排気ストリーム8は、例えば、エンジン排気ノズルシステムの冷却、温度管理、又は翼吹出しのような様々な目的に使用することができる。例えば図1における項目68のような熱交換器システムは、冷却及び/又は温度管理に使用することができる。
【0022】
図3は、本発明の別の実施例に従ったコンバーチブルファンシステム240の概略断面図を示す。コンバーチブルファンシステム240は、内側部分246及び外側部分248を形成する弓形シュラウド247を備えたコンバーチブルファンブレード244を有するコンバーチブルファンロータ242を備えている。例示的なコンバーチブルファンシステム240は、コンバーチブルファンロータ242から軸方向前方に配置されたベーンシステム250を更に備えている。図3に示す例示的なベーンシステム250は、長手方向軸11の周囲に円周方向に配設され、ファンブレード244の外側部分248から軸方向前方に配置された複数の外側ベーン254を有する。静的環状流スプリッタ251が設けられ(図3参照)、流入するCF流ストリーム260を半径方向外側流264及び半径方向内側流263に分ける。静的環状流スプリッタ251は、CFファンロータ242から軸方向前方に配置される。静的CF流スプリッタ251は、外側ベーン254がCFファン外側流264をCFファンブレード外側部分248に案内するように、CFブレード244上の弓形スプリッタの半径方向位置に対応して半径方向に配置される。外側ベーン250は、CFファンブレード244及び外側流路274に入る流れの容量及び方向を変化させることができるような可変食い違い角を有する可変ベーンであって、ファンシステム240のファン先端圧力比を変化させることができるようになっている。可変外側ベーン254は、周知の外側ベーンアクチュエータ255を用いて周知の方法によって作動させられる。図2に示す実施例とは違って、図3に示す実施例は、流れ263をファンブレード246の内側部分に案内するための可変ベーンシステムを有していない。コア流5の制御及び最適化は、バイパスドア258を作動させてコアバイパス流259(ハブ抽気流)を生成及び制御することによって行なわれる。バイパスドア258の作動によって、始動及び低出力動作中のファンハブ失速マージンの改善が促進される。図3に示すその他の特徴、それらの構造及びそれらの機能は、実質的に、対応する項目番号によって図2において示し説明した実施形態に関して本明細書において前述した通りである。
【0023】
図4は、本発明の別の実施例に従ったコンバーチブルファンシステム340の概略断面図を示す。コンバーチブルファンシステム340は、後方ファンブレード344の円周方向列を有する後方ファンロータ342を備えている。例示的ファンシステム340は、後方ファンロータ342から軸方向前方に配置されたベーンシステム350を更に備えている。図4に示す例示的なベーンシステム350は、長手方向軸11の周囲に円周方向に配設され、ファンブレード344から軸方向前方に配置された複数のベーン354を有する。図4に示す実施例では、図3に示すような静的環状流スプリッタ251及び弓形シュラウド247は排除される。流入するCF流ストリーム360は、後方ファンロータブレード344によって加圧され、後方ファンロータ342から軸方向後方に配置されたスプリッタ326に向かって吐出される。スプリッタ326は、後方ファンロータ342から吐出された加圧流を半径方向外側流361及び半径方向内側コア流5に分ける。ベーンシステム350は、後方ファン流入流360をファンブレード344に案内する。ベーン354は、後方ファンブレード344に入る流れの容量及び方向を変化させることができるような可変食い違い角を有する可変ベーンであって、ファンシステム340の全ファン圧力比を変化させることができるようになっている。可変ベーン354は、周知のアクチュエータ355を用いた周知の方法によって作動させられる。図3に示す実施例とは違って、図4に示す実施例は、流れ360をファンブレード344のほぼ全スパンに案内する可変ベーンシステム350を有する。コア流5の制御及び最適化は、任意選択のバイパスドア(図4には図示せず)を作動させることによって行なわれる。図4に示すように、ファンシステム340は、第2ファン段303によって支持されて駆動される外側ファンブレード332(フレード(登録商標)ブレード)の円周方向列を有する外側ファンシステム330を備えている。外側ファンシステム330は、外側ケーシング307と、内側ケーシング315、弓形プラットホーム324及び後方内側ケーシング325との間に形成された外側流路317に配置される。外側ファンシステム330は、上流に配置され、周知のアクチュエータ336によって作動する可変食い違い角形状を有する外側ファン入口案内翼335の円周方向列を備えている。図4に示すフレード(登録商標)システム330,332の使用は、後方ファン先端及びハブ作動圧力レベルを独立して直接制御するのではないが、ファンシステム340に運転柔軟性を与える。図4に示すその他の特徴、それらの構造及びそれらの機能は、実質的に、対応する項目番号によって図3において示し説明した実施形態に関して本明細書において前述した通りである。
【0024】
図5は、コンバーチブルファンシステム540を組み込んだ本発明の実施例に従った適応型汎用ガスタービンエンジン576の概略断面図である。図9は、本発明の別の実施例に従ったコンバーチブルファンシステム640及び適応型コア678を組み込んだ適応型汎用ガスタービンエンジン676の別の実施例を概略断面図で示す。図5及び9に示すように、ガスタービンエンジン576,676は、軸方向前方(「FWD」)ファンシステム500,600と、FWDファンシステムから軸方向後方に配置された後方(「AFT」)ファンシステム540,640(本明細書において代替的にコンバーチブルファンシステムと呼ばれる)とを有する多段ファンシステム501,601を備えている。図5に示す実施例のFWDファンシステム500は単一の前段ファンロータ506を備えて示されているが、本発明はこのように制限されるものではない。多段FWDファンシステムもまた使用することができる。例えば、図9の実施例に示すFWDファンシステム600は、第1段ファンロータ606及び第2段ファンロータ620を有する多段FWDファンシステムである。図5及び9に示す実施例では、ガスタービンエンジンは、前段ファンロータ506,606から軸方向後方に配置された後方ファンロータ542,642(本明細書において代替的にコンバーチブルファンロータ又はCFファンロータと呼ばれる)を有するAFTファンシステム540,640を備えている。圧縮機579,679を備えたコア578,678は、高圧タービン581,681(HPT)に連結されてそれによって駆動される。後方ファンロータ542,642は、低圧タービン583,683(LPT)によって、LPT軸528,628を用いて駆動される。FWDファンシステムもまた、図5及び9に示すように、LPTによって駆動される。代替的には、FWDファンシステム500,600は他の別個のLPT(図示せず)によって駆動されてもよい。
【0025】
例示的なコンバーチブルファンシステム540,640は、図2に示し本明細書において先に詳述した例示的なコンバーチブルファンシステムと構造及び機能において実質的に同様である。コンバーチブルファンの特徴、それらの構造及びそれらの機能は、実質的に、対応する項目番号によって図2において示し説明した実施形態に関して本明細書において前述した通りである。後方ファンロータ542,642は、エンジン軸11の周囲に円周方向に配設された後方ファンブレード544,644(本明細書において代替的にコンバーチブルファンブレード又はCFファンブレードと呼ばれる)の列を有する。弓形スプリッタ547,647(本明細書において代替的に弓形シュラウドと呼ばれる)は、ファンブレード544,644上に配置される。後方ファンロータの組み立てられた状態において、弓形シュラウド547,647は、内側流路573,673及び外側流路574,674の一部を形成する。エンジンの運転中、後方ファンブレード544,644の内側部分546,646は、内側流路573,673内の内側流563,663を加圧してハブ圧力比を得る。後方ファンブレード544,644の外側部分548,648は、外側流路574,674内の外側流564,664を加圧して先端圧力比を得る。本発明の一態様では、前段ファンロータ506,606への空気流2(図5及び9参照)がほぼ一定に保たれている時でも、後方ファンシステム540,640におけるファン先端圧力比及びファンハブ圧力比は変化させることができる。本発明の別の態様では、ガスタービンエンジン576,676は、エンジン軸11の周囲に環状内側バイパス通路571,671を備え、内側バイパス流561,661がファンシステム501,601から流れるようになっている。ガスタービンエンジン576,676は、エンジン軸11の周囲に環状外側バイパス通路572,672を更に備え、外側バイパス流562,662がファンシステム501,601から流れるようになっている。後方ファンロータ542,642によって加圧された外側流564,664は、内側バイパス通路571,671に流れ込む。ファンブレード544,644の内側部分546,646によって加圧された内側流563,663の少なくとも一部は、圧縮機579,679へのコア流5を形成する。コアバイパス流559,659を制御するように構成されたコアバイパスドア558,658を設けてもよい(図5,9参照)。本明細書において前述したように外側バイパス通路572,672における逆流を防止するように構成されたブロッカドア556,656を、図5及び9に示すように使用することもできる。
【0026】
本発明の一態様では、エンジン576,676は、後方ファンロータ542,642から軸方向前方に配置された静的環状スプリッタ551,651を有しており、後方ファンロータ542,642への流れストリーム560,660が分岐して内側流路573,673内の内側流563,663及び外側流路574,674内の外側流564,664を形成する。本発明の別の態様では、図5及び9に示すようなガスタービンエンジン576,676は、後方ファンロータ542,642から軸方向前方に配置されたベーンシステム550,650を有する。ベーンシステム550,650は、内側流路573,673及び外側流路574,674内の流量を変化させることができるように周知の方法を用いて構成されて、エンジン運転中にファンシステム501,601の全圧力比を必要に応じて変化させることができるようになっている。ベーンシステム550,650は、スプリッタ551,651から半径方向外側に配置された外側ベーン554,654を有する。後方ファンロータへの流量及び方向を変化させるために、外側ベーン554,654の一部をアクチュエータ555,655によって動かせるようになっていてベーン食い違い角を変化させることができる。周知の可変ベーンアクチュエータをこの目的のために使用してもよい。一実施形態(図5及び9に示す)では、ベーンシステム501,601は、スプリッタ551,651から半径方向内側に配置された内側ベーン552,652を更に備え、周知のアクチュエータ553,653によって動かせるようになっている。これらの特徴を用いたエンジン576,676の運転方法を本明細書において後述する。
【0027】
本発明の一態様では、ガスタービンエンジン576,676は、後方ファンロータ542,642の下流に配置された前方ミキサ565,665(本明細書において代替的に可変面積バイパスインジェクタ又は「VABI」と呼ばれる)を有する。前方VABIは、周知の構造方法を用いて内側バイパス流561,661及び外側バイパス流562,662の混合を強化して、混合バイパス流566,666を形成するようになっている。内側バイパス流及び外側バイパス流は、異なる圧力レベル及び流量を有してもよい。ファンシステムの下流の混合圧力損失を最小限にするために、それらの混合が前方VABIによって行なわれる。ガスタービンエンジン576,676はまた、低圧タービン583,683からのコアストリーム567,667(高温排気ストリーム)と、比較的低温の混合バイパス流566,666との混合を強化するために、低圧タービン583,683の下流に配置された後方ミキサ584,684(後方VABI)を有してもよい。周知のVABIシステムを使用してもよい。本発明の代替的実施形態では、前方VABIミキサ565,665及び/又は後方VABIミキサ584,684は、可変型式であっても固定型式であってもよい。可変である場合、それらは、エンジン576,676の特定の作動限界を満たすと共に、混合損失を最小限にする(即ち、性能を最大限にする)ようにスケジューリングされる。それらが固定である場合、それらは流れ混合プロセスを向上させて性能を向上させる働きをする。一部の応用例では、ガスタービンエンジン576,676は、前方ファン段ファンロータ506,606から軸方向前方に配置された可変入口案内翼511,611(IGV)の円周方向列を有することもできる。周知のアクチュエータを用いて作動するIGVを使用して、前段ファンロータ506,606への空気流2を制御することができる。
【0028】
本発明の別の態様では、ガスタービンエンジン576,676は、エンジン軸11の周囲に円周方向に配設されて、外側ファン530,630(本明細書において代替的にフレード(登録商標)ファンと呼ばれる)を支持及び駆動するファンブレード518,622の円周方向列を有する前段ファンロータ506,620を有する。図5は、前段ファンロータ506から半径方向外側に配置された外側ファンブレード532(フレード(登録商標)ブレード)の円周方向列を有する外側ファンシステム530を示す。図9に示す実施形態では、外側ファンシステム630は、第2段ファンロータ620によって支持及び駆動される外側ファンブレード632の円周方向列を有する。フレード(登録商標)ブレード532,632は、ファンブレード518,622と共に回転して外側流路517,617内の外側流ストリーム3を加圧するように構成される。外側ファンシステム530,630は、外側流路517,617内の外側流ストリーム3を制御するように構成された複数の外側ファン入口案内翼535,635を更に備えていてもよい。一実施形態(図5及び9参照)では、ガスタービンエンジン576,676は、抽気導管585,685及び抽気ドア586,686を備え、必要に応じて外側流路517内の流れ8の一部を取り出して、例えば翼吹出しに利用するようになっている。実施例では、流れストリーム8は、例えば、排気ノズル(図1参照)のようなエンジン576の一部を冷却するのに利用される。
【0029】
本明細書において示した様々な図及び説明は、従来型のファンシステム及びエンジンが提供することができない運転柔軟性を提供するコンバーチブルファンシステム及び適応型エンジンを示している。本明細書に開示したように、コンバーチブルファンシステムと、そのようなファンシステムを有するエンジンは、本明細書に示したようなロータを介して、環状スプリッタを有する特有の後方ファンロータに連結された前方ファンロータにおいて、フレード(登録商標)システムのような開示した外側ファンシステムを用いて更なる利点を提供することができる。従来型のファンシステムとは違って、本明細書に開示したコンバーチブルファンシステムの使用によって、異なる先端及びハブ設計のファン圧力比レベルが可能になる。更に、本明細書に示す更なるシステム及び特徴、例えば、可変形状を有する先端入口案内翼(IGV)154,254,554,654、バイパスドア158,258,558,658、短い外側バイパス通路(ダクト)172,272,572,672、前方可変面積バイパスインジェクタ(「VABI」)165,265,365,565,665システム、後方VABI584,684システムなどの使用によって、コンバーチブルファンロータ142,242,342,542,642における先端圧力比及び流量を部分出力(即ち、最大出力/推力から低下した)エンジン運転中に大幅に低下させることが可能になる。従来型のガスタービンエンジンとは違って、エンジン推力が部分出力運転のために50〜60%に低下する場合であっても、前方ファンシステム100,200,300,500,600の前段における主ファン流2を一定又はほぼ一定の設計流量レベルに維持することができる。これは、バイパスダクト171,271,371,571,671における効果的なファン圧力比レベル(及び前方VABI165,265,365,565,665付近の静的圧力平衡面)を減少させることができ、それによってコンバーチブルエンジン576,676のコア578,678を減速させてコアストリーム567,667の出口圧力及び温度を低下させることができるので、本明細書に記載したコンバーチブルエンジンの特徴を利用することによって可能となる。本明細書に記載したように、フレード(登録商標)ストリーム3の圧力及び流量は、フレード(登録商標)可変IGVシステム135,136,235,236,335,336,535,536を用いて調整して、非実装及び実装燃料消費率(SFC)レベルの両方を最小化するために総作動空気流及び全推力有効ファンシステム圧力レベルを更に最適化することができる。
【0030】
図6,7及び8は、図2に示し、且つ図5及び9に示す例示的なエンジンで実行された好適な実施形態の可変先端及びハブIGVが、ファン先端及びファンハブの両方の全ファン圧力比及び圧力比の両方を調整するためにどのように使用されるかを説明している。前ブロックファン段102,103は、エンジン出力及び/又は推力が40〜50%に低下する場合であっても、一定の流量で維持することができる。二段前ブロックファンが図3に示されているが、一部のファンシステム設計は、例えば図5に示すような1つの単段前方ファン506のみを有することがある。CFファンシステム140,240,540,640の先端IGV154,254,554,654(本明細書において代替的に外側ベーンと呼ばれる)は、エンジン推力が一定のファン流量に減少した場合に閉じて全先端圧力比を減少させる。フレード(登録商標)外側ファンセクション流3及び作動圧力比は、主ファンシステム140,240,540,640から独立していて、そのIGV135,235,335,535,635の適切なスケジューリングによって必要に応じて調整することができる。
【0031】
最終段の独立した可変ハブIGVは、全てのエンジン出力/推力設定においてコアストリーム流5を最適化するために使用することができ、一部の応用例では、ハブ抽気システムの必要性さえも排除することができる。また、主前方ファン流を一定に保ちながら、単一バイパスモード(即ち、最大ファン先端圧力)から二重バイパスモード(即ち、最小ファン先端圧力)への移行中に前ブロック作動ラインを制御するのに役立つように寸法決め/スケジューリングすることもできる。単一バイパスから二重バイパスへのスムーズな移行は、可変IGV、バイパスドア、ブロッカドア、前方VABI、及び後方VABIの適切なスケジューリングによって可能となる。このスケジューリングシステムは、圧力調整バイパスドアシステムを用いて自己作動させることも可能である。
【0032】
実施例のコンバーチブルファンシステムを有する例示的なガスタービンエンジン576を図5に示す。本発明の実施例に従ったガスタービンエンジンの運転方法を、図6,7及び8を参照して以下に説明する。本方法では、第1運転出力レベルが選択される。この出力レベルは、例えば、最大出力レベルに対応することになる。この出力レベルは、エンジンの最大推力レベルにも対応することになる。「最大出力レベル」及び「最大推力レベル」という表現は、本明細書において置き換え可能に使用され、本発明の説明の必要上同じ意味を有する。図6は、例えば図5における項目502のような前ブロックファンシステムのファン作動特性の一例である。空気流2は、エンジン576の前部付近に配置された前方ファン段502に案内される。図6を参照すると、選択された最大出力レベルに対応する質量流量が「W1」701として示されている。選択された最大出力レベルに対応するファン速度は「S1」703として示され、選択された最大出力レベルに対応する前方ファン段502の圧縮比は「P1」705として示されている。本発明の実施例では、「W1」は前段ファン502の100%修正流量であり、「S1」は前方ファン段502の100%修正速度であり、前段ファン502の圧力比「P1」は約2.9である。
【0033】
前方ファン段502からの流れ560の一部分564(図5参照)は、前方ファン段502から軸方向後方に配置された後方ファンロータ542に案内される。図7は、コンバーチブルファンシステムの後方ファンロータ542の外側部分のファン作動特性の一例である。空気流の一部分564は、修正流量が「W2」731である(図7参照)時、後方ファンロータ542によって第1先端圧力比「P3」735まで加圧される。実施例では、「W2」は後方ファン外側部分548の100%修正流量であり、外側部分548の圧力比「P3」は約1.48であり、対応する後方ファンロータ542の修正速度は約100%である。前方ファンシステム及び後方ファンによる加圧を合わせた結果、エンジンにおいて第1の全ファン圧力比「A」が生じることになる。上記の実施例に関しては、「A」は約4.3(=2.9×1.48)である。空気流の一部分563は、修正流が「W3」751である(図8参照)時、後方ファンハブ546によって第1ハブ圧力比「P5」755まで加圧される。実施例では、「W3」は後方ファンハブ部分546に対する100%修正流量であり、内側部分546の圧力比「P5」は約1.48であり、対応する後方ファンロータ542の修正速度は約100%である。前方ファンシステム及び後方ファンによる加圧を合わせた結果、エンジンにおいて第1の全ファンハブ圧力比「AA」が生じることになる。上記の実施例に関しては、「AA」は約4.3(2.9×1.48)である。
【0034】
前方ファン段502からの空気流の一部分563(図5参照)は、加圧されて内側バイパス通路571(図5参照)に吐出される。この加圧流の別の部分は、圧縮機579に案内されてコア流5を形成する。抽気ドア558が開くと、流れ563の一部分559が内側バイパスダクト571に入り、コア流5の量が減少する。コア流5は、コア入口通路の圧縮機579に向かって流れ、燃焼器580における燃焼の前に圧縮機579を用いて圧縮される。
【0035】
エンジンの運転方法は、第1運転出力レベルよりも低い第2運転出力レベルを選択するステップを更に備えている。この低出力/推力設定の対応するファンマップを、図6〜8に破線で示す。この低出力/推力設定において、前方ファン段502の流量はおよそ「W1」且つ修正速度(図6参照)でほぼ一定に保たれ、前方ファン段圧力は「P2」に低下する。本明細書において用いられる例では、P2は約2.5の値を有する。更に、後方ファンロータ542の外側部分548の流量は、例えば可変入口案内翼554を閉じることによって減少する。外側部分548の減少した流量は、低出力/推力レベル(図7参照)に対応して「W4」733で示される。後方ファンロータ542の外側部分548の流れは、第2先端圧力比「P4」737(図7参照)まで加圧される。これにより、前方ファン段502の流量「W1」がほぼ一定に保たれている時でも、第1の全ファン圧力比「A」(高出力/推力設定時)よりも実質的に低い第2の全圧力比「B」(低出力/推力設定時)が生じる。上記の実施例では、圧力比「P4」は約1.05であり、全圧力比「B」は約2.63(=2.5×1.05)である。エンジンの低出力/推力設定は通常は最も多く使用されるエンジン運転サイクルの一部に選択され、圧力比及び移行運転プロセスは低出力設定時の燃料消費率を最小限にするように選択される。
【0036】
本明細書に示す実施例では、後方ファンロータ542における流量を減少させるステップは、周知のアクチュエータ555によって作動する可変入口案内翼554を部分的に閉じることによって実行される。後方ファンロータの外側部分の流量が減少すると、前方ファン段502からの流れの一部分562が外側バイパス通路572に流れ込むようにブロッカドア556が少なくとも部分的に開かれる。後方ファン542の下流に配置されたミキサ565は、内側バイパス流561及び外側バイパス流562が、後方ファンロータ542の下流で混合した時に実質的な圧力平衡が得られるように連動する。一部の運転条件では、本明細書に記載した方法は、バイパスドア558を開いて、コア圧縮機特性により適合するようにコア流5を制御するためにコアバイパス流559を形成するステップを更に備えている。
【0037】
本発明の実施例では、本方法は、後方ファンロータ542の内側部分546の前方ファン段502からの流れの一部分563を第1運転出力レベル(本例の最大出力/推力設定)の第1ハブ圧力比P6まで加圧するステップを更に備えている。図8参照。コア流5は、後方ファンロータ542の内側部分546の上流の可変入口案内翼(IGV)552を開くことによって制御することができる。本明細書に記載した例では、「P6」は約1.38の値を有し、IGVは約15度に閉じられる。低出力設定では、IGV552は、圧縮機579の要件に適合するように必要に応じて適切な角度(例えば40〜50度)まで閉じることができる。一部の応用例、例えば図5に示す実施例では、前方ファン段502への空気流2は、周知のアクチュエータ513を用いて前方ファン段502から軸方向前方に配置された可変入口案内翼511を作動させることによって制御される。
【0038】
一部の応用例、例えば図5に示す実施例では、外側流路517を通る外側流ストリーム3は、前方ファン段ロータ506上に配置された外側ファン532を用いて圧縮される。これらの外側ファンは、本明細書に前述したように、代替的にはフレード(登録商標)としても知られている。外側流ストリーム3の制御は、周知のアクチュエータ536を用いて外側ファン532の上流に配置された可変入口案内翼535を開くことによって実行される。
【0039】
図5に示すガスタービンエンジンの別の例示的な運転方法では、前方ファン段502の圧力比が高レベルの「P1」(図6参照)からレベル「P2」に低下する、高出力/推力設定から低出力/推力設定への移行を促進するために、前方ファン段の圧力比は「P1」よりも高レベル(項目番号706によって示された動作点を参照)まで上昇させることができる。これは、ブロッカドア556が開かれる直前に起こる(それによって、前方ファン段502からの流れ562の一部分が外側バイパス通路572に流れ込む)。前方ファン段及び後方ファン段の流れの連続性を維持するために、コンバーチブルファン外側入口案内翼554は、前方ファン段552のほぼ一定のファン流を維持しながら全ファン先端圧力比を減少させるプロセスを開始するために閉じ始める。この移行中、コンバーチブルファン内側案内翼552は、より多くのコア流5がエンジンシステム576の動作を最適化することができるように開かれることになる(図7の項目736を参照)。コア流5は、バイパスドア558を開き、それによってコアバイパス流559を形成することによって更に微調整することができる。図5に示すエンジンシステム576の実施例では、可変スロート領域(図5には示さないが、図1に示す項目69と実質的に同様である)がエンジン排気システムに設けられており、主排気ノズルスロート領域は、例えば、エンジン推力が減少した場合にスロート領域を開くことによって、必要に応じて変化させることができる。
【0040】
図9は、本発明の実施例に従った適応型コア678を有する例示的な汎用ガスタービンエンジン676の概略断面図を示す。例示的な汎用ガスタービンエンジン676は、コンバーチブルファンシステム640への空気流をほぼ一定の状態に維持しながら可変ファン圧力比を有するように構成されたコンバーチブルファンシステム640を備えている。図9に示す例示的な汎用ガスタービンエンジン676は、コア空気流5の流量を様々な飛行条件の下で効率的なエンジン運転が可能になるように変化させながら、ほぼ一定のコア圧力比を維持することができる圧縮機679を有する適応型コア678を更に備えている。コンバーチブルファンシステム、例えば図9の項目640とその動作については、本明細書において前述した。コンバーチブルファンシステムは、コンバーチブルファンシステム640からの内側バイパス流661を流すように構成された、エンジン軸11の周囲の環状内側バイパス通路671と、コンバーチブルファンシステム640からの外側バイパス流662を流すように構成された、エンジン軸11の周囲の環状外側バイパス通路672とを備えている。例示的なコンバーチブルファンシステム640は、前段ファンロータ622と、前段ファンロータ622から軸方向後方に配置され、エンジン軸11の周囲に円周方向に配設された後方ファンブレード644の列を有する後方ファンロータ642とを有する。後方ファンロータ642は、ファンブレード644上に、内側流路673及び外側流路674の一部を形成する弓形スプリッタ647を有する。後方ファンブレード644の内側部分646は、内側流路673内の内側流663を加圧してハブ圧力比を得る。後方ファンブレード644の外側部分648は、外側流路673内の外側流664を加圧して先端圧力比を得る。コンバーチブルファンシステム640は、後方ファンロータ642から軸方向前方に配置されたベーンシステム650を有する。ベーンシステム650は、後方ファンブレード644における流量を変化させることができるように構成された可変ベーンを有し、ファンシステム640の全圧力比を必要に応じて変化させて様々な飛行出力/推力条件に対して柔軟且つ効率的なエンジン運転を達成することができるようになっている。コンバーチブルファンシステム640の使用によって、エンジン676は、コンバーチブルファンシステム640への空気流2をほぼ一定の状態に維持しながら可変ファン圧力比を得ることができる。後方ファンロータ642によって加圧された外側流664は、環状内側バイパス通路671に流れ込む。ファンブレード644の内側部分646によって加圧された内側流663の一部分は、圧縮機679に流れ込むコア流5を形成する。例示的なエンジン676は、コアバイパス流659を制御するように構成されたコアバイパスドア658(図9参照)を有する。外側バイパス流662を制御すると共に、下流の圧力が高い場合に外側バイパス通路672における逆流を防止するために、外側バイパス通路672においてブロッカドア656を使用してもよい。
【0041】
図9は、本発明の実施例に従った汎用適応型エンジン676における例示的な適応型コア678を示す。例示的な適応型コア678は、前ブロック圧縮機691及び後ブロック圧縮機692を有しており、圧縮機を駆動するタービン681に連結されている。図9において、前ブロック圧縮機691は多段軸流圧縮機として示されており、後ブロック圧縮機692は遠心圧縮機として示されている。代替的には、後ブロック圧縮機692もまた軸流圧縮機であってもよい。図9に示すような適応型コア678において2ブロック圧縮機システムを使用することによって、定流量でコア圧力を調整して最大圧縮機吐出温度及び圧力レベルを制御すると共に、更に圧縮機へのコア空気流5の流量が低下している間、例えば、エンジン676の低出力又は低推力運転時にほぼ一定のコア圧縮機圧力比を維持する汎用能力が圧縮機システムに与えられる。このことは、図10に示す圧縮機動作マップに示し、本明細書において後述する。図9に示す2ブロック圧縮機の前ブロックへの流量制御は、前ブロック圧縮機691への流量を変化させることができる前ブロック入口案内翼689を開くことによって行なわれる。2ブロック圧縮機の後ブロックへの流量制御は、後ブロック圧縮機692への流量を変化させることができる後ブロック入口案内翼694を開くことによって行なわれる。適応型コア678は、後ブロックIGV694が部分的又は完全に閉じている場合に環状ブロック間通路696からの流れを受け入れることができる後ブロックバイパス通路693を有する。環状ブロック間通路696は、前ブロック圧縮機691と後ブロック圧縮機692との間に配置される。可変面積燃焼器ディフューザシステム699は、エンジン運転の「後ブロックオン」モードと「後ブロックオフ」モードの間の移行を助けるために使用することができる。例示的なガスタービンエンジン672は、図9に概略的に示すような可変高圧タービンノズルシステム697及び/又は可変低圧タービンノズルシステム698を任意選択で有することができる。可変タービンノズル697,698を周知の手段によって作動させて、エンジン676の運転中にタービン流量と機能の整合を得ることができる。例示的なガスタービンエンジン676は、内側バイパス流661及び外側バイパス流662の混合を強化して混合バイパス流666(図9参照)を形成するように構成された前方ミキサ665(代替的に「前方VABI」としても知られる)を更に備えている。低圧タービン683の下流に配置された後方ミキサ684(代替的に「後方VABI」として知られる)は、混合バイパス流666と低圧タービン683からの高温排気の混合を強化するために使用することができる。可変面積バイパスインジェクタ(「VABI」)は従来技術において周知である。図9に示すエンジンシステム676の実施例では、可変スロート領域(図9には示さないが、図1に示す項目69と実質的に同様である)がエンジン排気システムに設けられており、主排気ノズルスロート領域は、例えば、エンジン推力が減少した場合にスロート領域を開くことによって、必要に応じて変化させることができる。
【0042】
例示的な汎用ガスタービンエンジン676は、図9に示すように、外側ファンシステム630を任意選択で備えている。外側ファンシステム630は、前段ファンロータ620から半径方向外側に配置された外側ファンブレード632(本明細書において代替的にフレード(登録商標)ブレードと呼ばれる)の円周方向列を備えている。外側ファンブレード632は、前段ファンロータ、例えば図9の第2段ファンロータ620によって担持される。外側ファンブレード632は前段ファンロータ620と共に回転して、外側流路617内の外側流ストリーム3を加圧する。加圧された外側流ストリーム8は、様々な目的に使用することができる。例えば、図9に示す例示的なガスタービンエンジンは抽気導管685を有し、外側流路617内の流れ8の一部分を取り出してエンジンの外側で、例えば翼吹出しに利用するようになっている。外側流路617内の流れ8の一部分は、エンジン676の一部、例えば、図1に概略的に示すような排気ノズルを冷却するのに利用することができる。
【0043】
図10は、例えば図9に示す、2ブロック適応型圧縮機690の動作マップ上の異なる飛行条件に対しての、図9に示す例示的なエンジンの使用法を示す。2つの動作マップ、1つは「後ブロックオフ」のもの、1つは「後ブロックオン」のものを図10に示す。後ブロック圧縮機692は、周知のアクチュエータ695を用いて後ブロック可変入口案内翼(IGV)694を閉じることによって後ブロック圧縮機692への流れが実質的に遮断される場合に「オフ」になる。項目番号800は、速度線(図10に示す100%、98%、96%のような%速度)を表す。「後ブロックオフ」(例えば、エンジン676の離陸運転中)の作動ラインを項目814として示し、対応する失速ラインを項目811として示す。項目番号813,803等は、一定の効率の輪郭線を表す。「後ブロックオフ」の適応型コア678の圧力比は100%速度における項目812として示し、例えば、前ブロック圧縮機に関する設計圧力比を表すことができる。汎用適応型エンジン676の別の運転モード中、例えば巡航運転中、例えば動作点項目812から動作点項目808に流れが減少することになる。「後ブロックオン」(例えば、エンジン676の巡航運転中)の作動ラインを項目802として示し、対応する失速ラインを項目810として示す。「後ブロックオン」は、後ブロックIGV694を開いて前ブロック圧縮機691から後ブロック圧縮機692流への流れの一部分を許可することによって行なわれる。「後ブロックオン」に切り換えることによって、修正流量が低出力/推力条件で減少した時(項目812及び808参照)であっても、適応型コア678の圧力比(項目808参照)を前とほぼ同じレベル(項目812参照)で維持することができる。代替的には、その他のエンジン運転様式に関して、コア流量及び修正速度(項目800)をほぼ一定にして、例えば項目812から項目804までの高い圧力比を得るようにエンジンを作動させることができる。
【0044】
本明細書は、本発明を開示すると共に、当業者であれば誰でも本発明を製造し使用することができるように、最良の形態を含む例を用いている。本発明の特許性を有する範囲は、特許請求項によって定義され、当業者が想到し得る他の例も包含する。かかる他の例は、特許請求項の文言と相違しない構成要素を有する場合、或いは特許請求項の文言と実質的な差異のない同等の構成要素を含む場合、特許請求の範囲に属するものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハブ(145)から半径方向に延在し、長手方向軸(11)の周囲に円周方向に配設された複数のファンブレード(144)であって、各々のブレードが前記ハブから半径方向外側に配置荒れた弓形スプリッタ(147)を有しており、前記弓形スプリッタは内側流路(173)及び外側流路(174)の一部を形成し、前記ファンブレード(144)の内側部分(146)は前記内側流路(173)内の内側流(163)を加圧し、前記ファンブレード(144)の外側部分(148)は前記外側流路(173)内の外側流(164)を加圧する前記複数のファンブレードを有するコンバーチブルファンロータ(142と、
前記コンバーチブルファンロータ(142)から軸方向前方に配置されたベーンシステム(150)であって、前記内側流路(173)及び前記外側流路(174)の流量を変化させることができるように構成されて、前記ファンシステム(140)の圧力比を変化させることができるようになっている前記ベーンシステム(150)とを備える、
コンバーチブルファンシステム(140)。
【請求項2】
前記コンバーチブルファンロータ(142)に連結され、そこから軸方向前方に配置された前方ファン段(102)を更に備える、請求項1に記載のコンバーチブルファンシステム140。
【請求項3】
前記コンバーチブルファンロータ(142)から軸方向前方に配置されたスプリッタ(151)を更に備えており、前記コンバーチブルファンロータ(142)への流れストリーム(160)が分岐して前記内側流路(173)内の前記内側流(163)及び前記外側流路(174)内の前記外側流(164)を形成する、請求項1に記載のコンバーチブルファンシステム(140)。
【請求項4】
前記ベーンシステム(150)が前記スプリッタ(151)から半径方向外側に配置された外側ベーン(154)を備える、請求項3に記載のコンバーチブルファンシステム(140)。
【請求項5】
前記外側ベーン(154)の一部がアクチュエータ(155)によって動かせる、請求項4に記載のコンバーチブルファンシステム(140)。
【請求項6】
前記ベーンシステム(150)が前記スプリッタ(151)から半径方向内側に配置された内側ベーン(152)を備える、請求項3に記載のコンバーチブルファンシステム(140)。
【請求項7】
前記内側ベーン(152)の一部がアクチュエータ(153)によって動かせる、請求項6に記載のコンバーチブルファンシステム(140)。
【請求項8】
前記コンバーチブルファンロータ(142)の下流に配置された出口案内翼(157)を更に備える、請求項3に記載のコンバーチブルファンシステム(140)。
【請求項9】
前記ファンブレード(144)の前記内側部分(146)によって加圧された前記内側流(163)の一部分がコア流(5)を形成する、請求項3に記載のコンバーチブルファンシステム140。
【請求項10】
コアバイパス流(159)を制御するように構成されたバイパスドア(158)を更に備える、請求項3に記載のコンバーチブルファンシステム(140)。
【請求項11】
外側バイパス通路(172)及び内側バイパス通路(171)を更に備える、請求項2に記載のコンバーチブルファンシステム(140)。
【請求項12】
前記外側バイパス通路(172)における逆流を防止するように構成されたブロッカドア(156)を更に備える、請求項11に記載のコンバーチブルファンシステム(140)。
【請求項13】
前記前方ファン段(103)が、複数のファンブレード(122)から半径方向外側に配置され、前記ファンブレード(122)と共に回転して外側流路(117)内の外側流ストリーム(3)を加圧するように構成された複数の外側ファンブレード(132)を有する外側ファンシステム(130)を備える、請求項2に記載のコンバーチブルファンシステム(140)。
【請求項14】
前段ファンロータ(506)と、前記前段ファンロータ(506)から軸方向後方に配置された後方ファンロータ(542)とを有するファンシステム(501)と、
高圧タービン(581)に連結された圧縮機(579)を備えるコア(578)と、
前記後方ファンロータ(542)に連結された低圧タービン(583)と、
前記ファンシステム(501)からの内側バイパス流(561)を流すように構成された、エンジン軸(11)の周囲の環状内側バイパス通路(571)と、
前記ファンシステム(501)からの外側バイパス流(562)を流すように構成された、前記エンジン軸(11)の周囲の環状外側バイパス通路(572)とを備えており、
前記後方ファンロータ(542)は、前記エンジン軸(11)の周囲に円周方向に配設された後方ファンブレード(544)の列と、内側流路(573)及び外側流路(574)の一部を形成する弓形スプリッタ(547)とを有し、前記後方ファンブレード(544)の内側部分(546)はハブ圧力比を得るように前記内側流路(573)内の内側流(563)を加圧し、前記後方ファンブレード(544)の外側部分(548)は先端圧力比を得るように前記外側流路(574)内の外側流(564)を加圧し、前記前段ファンロータ(506)への空気流をほぼ一定に保ちながら前記先端圧力比及びハブ圧力比を変化させることができる、
ガスタービンエンジン(576)。
【請求項15】
前記後方ファンロータ(542)から軸方向前方に配置されたベーンシステム(550)であって、前記内側流路(573)及び前記外側流路(574)の流量を変化させることができるように構成されて、前記ファンシステム(501)の圧力比を変化させることができるようになっているベーンシステム(150)を更に備える、請求項14に記載のガスタービンエンジン。
【請求項16】
後方ファンロータ(542)によって加圧された前記外側流(564)が前記内側バイパス通路(571)に流れ込む、請求項14に記載のガスタービンエンジン。
【請求項17】
前記ファンブレード(544)の前記内側部分(546)によって加圧された前記内側流(563)の少なくとも一部分が前記圧縮機(579)へのコア流(5)を形成する、請求項14に記載のガスタービンエンジン。
【請求項18】
エンジン軸(11)の周囲に円周方向に配設され、空気(2)の流入を受け入れるように構成されたファンブレード(518)の円周方向列を有する前段ファンロータ(506)と、
前記前段ファンロータ(506)から半径方向外側に配置され、前記ファンブレード(518と共に回転して外側流路(517)内の外側流ストリーム(3)を加圧するように構成された、外側ファンブレード(532)の円周方向列を有する外側ファンシステム(530)と、
前記前段ファンロータ(506)から軸方向後方に配置され、前記エンジン軸(11)の周囲に円周方向に配設された後方ファンブレード(544)の列を有する後方ファンロータ(542)と、
高圧タービン(581)に連結された圧縮機(579)を備えるコア(578)と、
前記後方ファンロータ(542)に連結された低圧タービン(583)と、
前記ファンシステム(501)からの内側バイパス流(561)を流すように構成された、前記エンジン軸(11)の周囲の環状内側バイパス通路(571)と、
前記ファンシステム(501)からの外側バイパス流(562)を流すように構成された、前記エンジン軸(11)の周囲の環状外側バイパス通路(572)とを備えており、
前記後方ファンロータ(542)は、内側流路(573)及び外側流路(574)の一部を形成する弓形スプリッタ(547)を有し、前記後方ファンブレード(544)の内側部分(546)はハブ圧力比を得るように前記内側流路(573)内の内側流(563)を加圧し、前記後方ファンブレード(544)の外側部分(548)は先端圧力比を得るように前記外側流路(574)内の外側流(564)を加圧し、前記前段ファンロータ(506)への空気流をほぼ一定に保ちながら前記先端圧力比及びハブ圧力比を変化させることができる、
ガスタービンエンジン(576)。
【請求項19】
第1運転出力レベルを選択するステップと、
最大運転出力レベルに対応して選択されたファン流量「W1」(701)、ファン速度「S1」(703)、及び前方ファン段(502)の圧力比「P1」(705)で空気流2を前方ファン段(502)に案内するステップと、
前記前方ファン段(502)から軸方向後方に配置された後方ファンロータ(542)において前記前方ファン段(502)からの流れの一部分(564)を、第1先端圧力比「P3」(735)まで加圧して第1全ファン圧力比「A」を生じさせると共に、内側バイパス通路(571)に吐出するステップと、
前記前方ファン段(502)からの流れの一部分(565)を圧縮機(579)に案内すると共に、前記圧縮機(579)を用いてコア流(5)を加圧するステップと、
前記第1運転出力レベルよりも低い第2運転出力レベルを選択するステップと、
前記後方ファンロータ(542)における流量を減少させると共に、前記前方ファン段(502)の前記流量「W1」をほぼ一定に保ちながら第2先端圧力比「P4」(737)に加圧して前記第1全ファン圧力比「A」よりも実質的に低い第2全圧力比「B」を生じさせるステップとを備える、
ガスタービンエンジン(576)の運転方法。
【請求項20】
前記前方ファン段(502)からの流れの一部分(562)が外側バイパス通路(572)に流れ込むように少なくとも部分的にブロッカドア(556)を開くステップを更に備える、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記後方ファンロータ(542)の内側部分(546)において前記前方ファン段(502からの流れの一部分(563)を前記第1運転出力レベルの第1ハブ圧力比P6まで加圧するステップを更に備える、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
バイパスドア(558)を開いてコアバイパス流(559)を形成することによって前記コア流(5)を制御するステップを更に備える、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前方ファン段ロータ(506)上に配置された外側ファン(532)を用いて外側流路(517)内の外側流ストリーム(3)を加圧するステップを更に備える、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
第1運転出力レベルを選択するステップと、
最大運転出力レベルに対応して選択されたファン流量「W1」(701)、ファン速度「S1」(703)、及び前方ファン段(502)の圧力比「P1」(705)で空気流2を前方ファン段(502)に案内するステップと、
前記前方ファン段(502)から軸方向後方に配置された後方ファンロータ(542)において前記前方ファン段(502)からの流れの一部分564を、第1先端圧力比「P3」(735)まで加圧して第1全ファン圧力比「A」を生じさせると共に、内側バイパス通路(571)に吐出するステップと、
前記後方ファンロータ(542)の内側部分(546)において前記前方ファン段(502)からの流れの一部分(563)を第1ハブ圧力比「P6」(749)まで加圧すると共に、コア流5を更に加圧する圧縮機(579)に流すステップと、
前記後方ファンロータ(542)の前記外側部分(548)における流量を減少させ、それによって前記前方ファン段(502)の圧力比をまず「P1」よりも高いレベルまで増加させることによって、前記第1運転出力レベルから前記第1運転出力レベルよりも低い第2運転出力レベルに移行するステップと、
前記前方ファン段(502)からの流れ(562)の一部分が外側バイパス通路(572)に流れ込むようにブロッカドア(556)を開くことによって、前方ファン段(502の圧力比を「P1」よりも低いレベル「P2」まで減少させて、前方ファン段(502)における流量をほぼ一定に保ちながら前記第2運転出力レベルでのエンジンの燃料消費率を減少させるステップとを備える、
ガスタービンエンジン(576)の運転方法。
【請求項25】
前記移行中に前記後方ファンロータ(542)の前記内側部分(546)における流量を増加させるステップを更に備える、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記コア流(5)が前記第2運転出力レベルでの前記圧縮機(579)の能力に適合するように、前記移行後に前記後方ファンロータ(542)の前記内側部分における流量及び圧力比を減少させるステップを更に備える、請求項25に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2013−506081(P2013−506081A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−531064(P2012−531064)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際出願番号】PCT/US2010/050178
【国際公開番号】WO2011/038213
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】