説明

コンパニオンアニマルによる使用に適合された食用組成物

本明細書で開示されたのは、各々がコンパニオンアニマルによる使用に適合された組成物及び方法の多様な実施形態である。1つの実施形態では、可溶性ミネラル成分の量を含む食用組成物が開示され、可溶性ミネラル成分は、亜鉛、マンガン、スズ、銅及びこれらの混合物からなる群から選択される1つ以上のミネラルを含み、この量は、口腔用薬剤として使用するのに有効な量である。更なる実施形態では、リン酸塩成分が包含される。食用組成物は、有利にコンパニオンアニマル用フード又はサプリメントである。更に開示されたのは、記載される組成物をコンパニオンアニマルに経口投与することを含む、口腔歯石、口腔歯垢、歯周病、歯肉炎、口臭及びこれらの組み合わせを治療することから選択される方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンパニオンアニマルの口腔に関連する病気の治療に有用な組成物及び方法に関する。特に、本発明は、コンパニオンアニマルによる使用に適合された、定義された食用組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
歯垢は、細菌が歯の表面上にタンパク性被膜を形成する時に開始される。付着した細菌は、食物構成要素を代謝し、繁殖し及び集まって歯垢として既知の頑強な堆積物を形成する。歯垢は、一般に細菌、多糖類のような細菌による最終生成物、無機塩及び唾液タンパク質からなる。歯垢の細菌は、食物炭水化物を有機酸に発酵させるが、これはエナメル質を脱灰して結果として歯のう触をもたらす。
【0003】
結石及び歯石は、リン酸カルシウム塩により石灰化した本質的に歯垢である。結石が歯石にまで硬化すると、食物色原体(chromagens)の吸着のために、目立つ染みになる傾向がある。それらの外見が美しくないことに加えて、歯肉線におけるこうした付着物は、歯肉炎及び歯周病を導く原因である。口臭の主な原因は、これを結果として生じる衛生上及び健康上の問題に加えて、正常な、健康な口腔により、連続的に剥がされる死んだ細胞物質の保持及びその後の分解によることが研究により示されている。
【0004】
歯垢の発生又は結石及び歯石の成長は、イヌ又はネコのようなコンパニオンアニマルにおいては、こうした動物の口腔及び歯は、定期的な基準で洗浄されない又は更には全く洗浄されない場合があるため、特別な課題を提示する。そのため、歯石及び歯垢、悪臭などのような問題は、特に困難である。なお更には、歯の専門家による予防的及び治療的処置、又は更には定期的な歯のブラッシング又はフロッシングのような、口腔を洗浄するためにヒトが使用する従来の方法は、すべてのコンパニオンアニマルに関しては実用的でないか又は困難である。なお更には、フード又はその他の経口で利用可能な組成物については、これらの問題に取り組むための可能性のある手段としてつい最近になって研究がなされたところである。口腔の健康が芳しくないと、全身的な影響又は他の問題をもたらす場合があるため、これらの問題は、コンパニオンアニマルの口腔の健康だけでなく、全身の健康についても同様に危うくする。そのため、コンパニオンアニマルの口腔の健康への処置を進歩させることへの著しい要求が依然として存在する。
【0005】
最近では、ポリリン酸塩又はその他のリン酸塩成分が、前述の問題を解決するためにコンパニオンアニマル用の餌の一部として包含されている。例えば、特定のコンパニオンアニマル用に適合された、アイムス(IAMS)及びユーカヌバ(EUKANUBA)のフード(オハイオ州デートンのアイムス社(The Iams Company)から市販される)は、リン酸塩成分を現在のところ提供しており、口腔の健康の改善のために設計されている。更に改善するチャンスはまだ残されている。しかしながら、官能的要求、その他の成分との組み合わせの際の有効性の減少などが挙げられる多様な理由によって、ヒトの口腔の健康用に使用される多くの手法が、コンパニオンアニマル用には直ちに適合できない場合もある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、コンパニオンアニマルによる使用に適合できる組成物の一部として、ミネラル成分を使用する。ミネラル成分は、多様な実施形態において提供されるが、これは、亜鉛、銅、スズ及びマンガンのような特定のミネラルにより提示される問題を軽減するために本発明の発明者達によって設計されている。例えば、本発明者達は、ミネラル成分が、コンパニオンアニマルの使用に適合された組成物中に提供されてもよいこと及びリン酸塩との錯化及び受け入れ難い風味のような問題を回避するために、他の好ましい実施が設計されてもよいことを発見した。本発明におけるこれらの及びその他の利益が本明細書に記載される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、各々がコンパニオンアニマルによる使用に適合された組成物及び方法の多様な実施形態を対象とする。
【0008】
1つの実施形態では、本発明は可溶性ミネラル成分の量を含む食用組成物を対象とし、可溶性ミネラル成分は、亜鉛、マンガン、スズ、銅及びこれらの混合物からなる群から選択される2つ以上のミネラルを含み、この量は、口腔用薬剤として使用するのに有効な量である。
【0009】
別の実施形態では、本発明は、
(a)可溶性ミネラル成分の量であって、可溶性ミネラル成分が、亜鉛、マンガン、スズ、銅及びこれらの混合物からなる群から選択される1つ以上のミネラルを含み、この量が、口腔用薬剤として使用するのに有効な量である、可溶性ミネラル成分の量と、
(b)リン酸塩成分の更なる量であって、この更なる量が、口腔用薬剤として使用するのに有効な量である、リン酸塩成分の更なる量を含む食用組成物を対象とし、
この食用組成物は、コンパニオンアニマル用フード、コンパニオンアニマル用サプリメント及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、コンパニオンアニマル用サプリメントは噛み物ではない。
【0010】
更に別の実施形態では、本発明は、
(a)亜鉛、マンガン、スズ、銅及びこれらの混合物からなる群から選択される1つ以上のミネラルを含むミネラル成分の量であって、この量が口腔用薬剤として使用するのに有効な量でありかつミネラル成分の少なくとも一部が食用組成物の表面上にコーティングされるミネラル成分の量と、
(b)リン酸塩成分の更なる量であって、この更なる量が、口腔用薬剤として使用するのに有効な量である、リン酸塩成分の更なる量を含む食用組成物を対象とし、
この食用組成物は、コンパニオンアニマルの噛み物である。
【0011】
更に別の実施形態では、本発明は、
(a)亜鉛、マンガン、スズ、銅及びこれらの混合物からなる群から選択されるミネラルを含むミネラル成分の量であって、この量が口腔用薬剤として使用するのに有効な量であるミネラル成分の量と、
(b)リン酸塩成分の更なる量であって、この更なる量が、口腔用薬剤として使用するのに有効な量であり、かつリン酸塩成分の少なくとも一部が食用組成物の表面上にコーティングされるリン酸塩成分の更なる量を含む食用組成物を対象とし、
この食用組成物は、コンパニオンアニマルの噛み物である。
【0012】
更に別の実施形態では、本発明は、
(a)マンガン、スズ、銅及びこれらの混合物からなる群から選択されるミネラルを含むミネラル成分の量であって、この量が口腔用薬剤として使用するのに有効な量であるミネラル成分の量と、
(b)リン酸塩成分の更なる量であって、この更なる量が、口腔用薬剤として使用するのに有効な量であるリン酸塩成分の更なる量を含む食用組成物を対象とし、
この食用組成物は、コンパニオンアニマルの噛み物である。
【0013】
本発明は、本明細書で提供される組成物をコンパニオンアニマルに経口投与することを含む、口腔歯垢、口腔歯石(結石を包含するとして本明細書では定義される)、歯周病、歯肉炎、口臭及びこれらの組み合わせを治療することから選択される方法を更に対象とする。
【0014】
各実施形態は、コンパニオンアニマルによる使用に適合したものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
例えば刊行物及び特許を含む様々な文書が、本開示を通して引用される。このようなすべての文書は参考として本明細書に組み込まれる。所与のいずれの文書の引用も、それが本発明に関して先行技術であることを容認するものとして解釈されるべきではない。
【0016】
百分率及び比率はすべて、特に指示しない限り、重量で計算される。百分率及び比率はすべて、特に指示しない限り、組成物全体を基準にして計算される。
【0017】
本明細書で参照するのは、本発明で使用する様々な成分を包含する構成要素の商品名である。本発明者達は本明細書において、ある特定の商品名の物質により限定されることを目的としていない。商品名により参照されているものと同等の物質(例えば、異なる名称又は参照番号で異なる供給源から得られるもの)は、本明細書の記載において置き換えられて使用されてもよい。
【0018】
本発明の記載において、様々な実施形態又は個々の特徴が開示される。当業者には明らかであるが、これらの実施形態及び特徴のあらゆる組み合わせが可能であり、並びに結果として本発明の好ましい実施となり得る。
【0019】
本明細書の組成物は、本明細書に記載されるようないずれかの特徴若しくは実施形態を含んでもよく、本質的になってもよいし、又はなってもよい。
【0020】
本発明の様々な実施形態及び個々の特徴を説明し記載したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び修正を実施できる。これも明らかであるが、先行する開示で教示された実施形態及び特徴のあらゆる組み合わせが可能であり、並びに結果として本発明の好ましい実施となり得る。
【0021】
本発明は、コンパニオンアニマルによる使用に適合された組成物、キット及び方法を対象とする。本明細書で使用する時、「コンパニオンアニマル」とは家畜を意味する。好ましくは、「コンパニオンアニマル」とは、飼いイヌ、ネコ、ウサギ、フェレット、ウマ、ウシ、又は同様なものを意味する。より好ましくは、「コンパニオンアニマル」とは、飼いイヌ又はネコ、特に飼いイヌを意味する。
【0022】
本明細書に記載される時、用語「有効な量」は、当業者によって容易に決定できる。本明細書で使用する時、具体的な成分に関して、用語「有効な量」とは、コンパニオンアニマルの該当する治療の著しい改善を提供するのに十分であるが、なお有害反応(例えば、毒性、炎症、又はアレルギー反応)を回避するのに十分低く、本発明の方式で使用される時に合理的な利益対危険性比に釣り合った成分の量を意味する。具体的な「有効な量」は、治療される特別な病気、投与される組成物が頻繁に又は散発的に摂取されるか否か、併用療法の性質(存在する場合)、使用される具体的な剤形(例えば、フード、ビスケット、噛み物)などのような要因によって変化してもよい。
【0023】
(本発明の組成物)
本明細書の組成物は、コンパニオンアニマルによる使用に適合したものである。この点で、当業者にはよく理解されるように、本明細書に記載される組成物の主な用途は、コンパニオンアニマル用であり、そのため組成物は、そのように配合される。
【0024】
本発明の組成物は、最も有利な実施形態では、栄養上望ましく、安定であり、カルシウムを封鎖する、細菌の繁殖を抑制する、歯垢を抑制する、歯石(結石を包含するとして本明細書では定義される)を抑制する、口腔の悪臭を改善する及び/又は同様なものの能力を有する。本発明は、歯周病、歯肉炎、口臭などの抑制に更に有利である。
【0025】
本明細書に記載される様々な実施形態は、各々が可溶性ミネラル成分を含む。本明細書で使用する時、ミネラル成分に関して、用語「可溶性」とは、ミネラル成分の重量で、少なくとも約50重量%のミネラル成分が、水のサンプル(咀嚼中に典型的に存在する量)中に周囲温度で溶解することを意味する。任意に、ミネラル成分に関して、用語「可溶性」とは、再びミネラル成分の重量で、少なくとも約75重量%、又は少なくとも約90重量%のミネラル成分が、水のこの同じサンプル(咀嚼中に典型的に存在する量)中に周囲温度で溶解することを意味する。
【0026】
組成物は、本明細書の以上に定義されたように、口腔用薬剤として使用するのに有効な量である可溶性ミネラル成分の量を含む。例として、組成物は任意に、組成物の少なくとも約0.01重量%、又は少なくとも約0.02重量%、又は少なくとも約0.05重量%、又は少なくとも約0.1重量%、又は少なくとも約0.15重量%のミネラル成分を含んでもよい。更なる例として、組成物は任意に、組成物の約0.01重量%〜約10重量%、又は約0.02重量%〜約5重量%、又は約0.05重量%〜約5重量%、又は約0.1重量%〜約2重量%、又は約0.15重量%〜約1重量%のミネラル成分を含んでもよい。ミネラル成分中に使用されてもよい各ミネラルの具体的な実例となる量は、以下に記載される。
【0027】
可溶性ミネラル成分は、亜鉛、マンガン、スズ、銅及びこれらの混合物から選択される1つ以上のミネラルを含む。本明細書に記載される様々な実施形態は、これらのミネラルの2つ以上、又は3つ、又は4つすべてを含んでもよい。その上、選択がなされてもよいミネラルは修正されてもよく、例えばミネラルはマンガン、スズ、銅及びこれらの混合物から選択される。これらのミネラルの各々は、代表的な供給源及び量を包含して、次のように記載される。
【0028】
可溶性ミネラル成分は、亜鉛を含んでもよい。可溶性ミネラル成分に寄与する亜鉛の供給源は、当業者に周知である。亜鉛の実例となる供給源には、硫酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、塩化亜鉛、クエン酸亜鉛、乳酸亜鉛、リンゴ酸亜鉛、酒石酸亜鉛及びこれらの混合物が挙げられる。硫酸亜鉛一水和物が特に好ましい亜鉛供給源である。クエン酸亜鉛は、クエン酸塩によるキレート化のために幾つかの他の亜鉛供給源と比べて美味性の向上を付与する場合がある。組成物が亜鉛を含む場合には、組成物は任意に、組成物の少なくとも約0.001重量%の亜鉛イオン、少なくとも約0.01重量%の亜鉛イオン、少なくとも約0.05重量%の亜鉛イオン、又は少なくとも約0.07重量%の亜鉛イオン、又は少なくとも約0.1重量%の亜鉛イオンを含んでもよい。更なる例として、組成物が亜鉛を含む場合には、組成物は任意に、すべて組成物の重量で、約0.001重量%〜約1重量%、又は約0.005重量%〜約0.75重量%、又は約0.05重量%〜約0.5重量%、又は約0.1重量%〜約0.4重量%の亜鉛イオンを含んでもよい。
【0029】
可溶性ミネラル成分は、スズを含んでもよい。可溶性ミネラル成分に寄与するスズの供給源は、当業者に周知である。スズの実例となる供給源には、乳酸スズ、グルコン酸スズ、酢酸スズ、硫酸スズ、リンゴ酸スズ及びこれらの混合物が挙げられる。組成物がスズを含む場合には、組成物は任意に、組成物の少なくとも約0.0001重量%のスズイオン、少なくとも約0.0005重量%のスズイオン、又は少なくとも約0.001重量%のスズイオン、又は少なくとも約0.0015重量%のスズイオンを含んでもよい。更なる例として、組成物がスズを含む場合には、組成物は任意に、すべて組成物の重量で、約0.0001重量%〜約0.5重量%、又は約0.0005重量%〜約0.1重量%、又は約0.001重量%〜約0.05重量%、又は約0.001重量%〜約0.25重量%のスズイオンを含んでもよい。
【0030】
可溶性ミネラル成分は、銅を含んでもよい。可溶性ミネラル成分に寄与する銅の供給源は、当業者に周知である。銅の実例となる供給源には、塩化銅、グルコン酸銅、硫酸銅、ビスグリシン酸銅、乳酸銅、リンゴ酸銅、酢酸銅、クエン酸銅、酒石酸銅及びこれらの混合物が挙げられる。硫酸銅五水和物が、本明細書において特に好ましい。組成物が銅を含む場合には、組成物は任意に、すべて組成物の重量で、少なくとも約0.0005重量%、又は少なくとも約0.01重量%、又は少なくとも約0.015重量%、又は少なくとも約0.02重量%の銅イオンを含んでもよい。更なる例として、組成物が銅を含む場合には、組成物は任意に、すべて組成物の重量で、約0.0005重量%〜約0.5重量%、又は約0.0005重量%〜約0.1重量%、又は約0.01重量%〜約0.1重量%、又は約0.015重量%〜約0.05重量%、又は約0.02重量%〜約0.25重量%の銅イオンを含んでもよい。
【0031】
可溶性ミネラル成分は、マンガンを含んでもよい。可溶性ミネラル成分に寄与するマンガンの供給源は、当業者に周知である。マンガンの実例となる供給源には、塩化マンガン、硫酸マンガン、グルコン酸マンガン、酢酸マンガン、リンゴ酸マンガン、酒石酸マンガン、クエン酸マンガン、乳酸マンガン、グリシン酸マンガン及びこれらの混合物が挙げられる。硫酸マンガン一水和物が、本明細書において特に好ましい。組成物がマンガンを含む場合には、組成物は任意に、組成物の少なくとも約0.0001重量%のマンガンイオン、又は少なくとも約0.001重量%、又は少なくとも約0.01重量%、又は少なくとも約0.015重量%、又は少なくとも約0.02重量%のマンガンイオンを含んでもよい。更なる例として、組成物がマンガンを含む場合には、組成物は任意に、すべて組成物の重量で、約0.0001重量%〜約1重量%、又は約0.001重量%〜約0.5重量%、又は約0.01重量%〜約0.5重量%、又は約0.05重量%〜約0.4重量%のマンガンイオンを含んでもよい。
【0032】
本明細書の任意の実施形態では、ミネラル成分の少なくとも一部は、組成物の表面上にコーティングされる。この実施形態に一致して、ミネラル成分は、組成物の表面上に、組成物の官能的、又は他の重要な特性を著しく妥協することなく提供され得ることを本発明者達は発見した。そのため、ミネラル成分が容易に利用可能であり及びコンパニオンアニマルの口腔に迅速に可溶化するため、組成物は、最適化された有効性を提供する一方で、コンパニオンアニマルに十分に投与される。ビスケット又は噛み物を包含する、フード及びサプリメントのような剤形は、この実施形態に関して望ましい。更に好ましい実施形態では、すべてミネラル成分の重量で、少なくとも約50重量%のミネラル成分、又は少なくとも約75重量%のミネラル成分、又は少なくとも約90重量%のミネラル成分、又は少なくとも約95重量%のミネラル成分が組成物の表面上にコーティングされる。
【0033】
本明細書の別の任意の実施形態では、ミネラル成分の少なくとも一部が、食用組成物内に統合される。これは、組成物がコンパニオンアニマルの噛み物の剤形であり、動物が組成物を長期間にわたって噛む場合には、特に望ましい。この実施形態では、長期間にわたるミネラル成分の利用可能性により、有効性が高められることを本発明者達は発見した。
【0034】
本明細書の1つの実施形態では、組成物はミネラル成分及びリン酸塩成分を含む。意外なことに、これらの成分の両方を含有する組成物の利益は、どちらかの成分だけにより達成される利益より優れている場合があり、それにより真に相乗的な利益を結果としてもたらす場合があることを、本発明者達は本明細書において実証した。この発見は、リン酸塩成分の利益は、使用されるリン酸塩の鎖長により限定されるのではなく、むしろミネラル成分と組み合わされる時には、鎖長に関係なく高められる場合があるとして見出された。本組成物は、本明細書の以上に定義されたように、口腔用薬剤として使用するのに有効な量であるリン酸塩成分の量を任意に含んでもよい。好ましくは、米国特許第5,000,944号に記載された錯体とは異なり、ミネラル成分及びリン酸塩成分、又はそれらのいずれかの個々の成分は、組成物中に錯体として存在しない。
【0035】
リン酸塩成分は、少なくとも2つのリン原子を含有する成分を含む。リン酸塩成分として使用されてもよい実例となる化合物には、ピロリン酸塩、ポリリン酸塩、又はこれらの混合物が挙げられる。カーク・アンド・オスマー(Kirk & Othmer)の工業化学百科事典(Encyclopedia of Chemical Technology)、第2版、15巻(1965年)、232〜276ページは、幾つかの水溶性無機ピロリン酸塩を開示する。
【0036】
本明細書の1つの実施形態では、リン酸塩成分の少なくとも一部はピロリン酸塩である。例えば、酸性ピロリン酸ナトリウム(SAPP)及びピロリン酸四カリウム(TKPP)を包含するアルカリ金属ピロリン酸塩のような無機ピロリン酸塩を使用してもよい。SAPPの実例となる例には、約222の分子量を有するSAPPが挙げられる。また有用なのは、ピロリン酸四リチウムのような四アルカリ金属ピロリン酸塩であってもよい。二アルカリ金属ピロリン酸塩の例は、ピロリン酸二カルシウム、ピロリン酸二バリウム及びピロリン酸二マグネシウムである。ピロリン酸水素三ナトリウムのような、三アルカリ金属一酸ピロリン酸塩(Trialkali metal monoacid pyrophosphates)もまた使用してもよい。
【0037】
別の実施形態では、リン酸塩成分の少なくとも一部はポリリン酸塩である。当該技術分野において容易に理解されるように、ポリリン酸塩の鎖長が増えると、ポリリン酸塩は平均鎖長を有する複数の長さの種として提供される。3つ以上の平均鎖長を有するポリリン酸塩のようなポリリン酸塩もまた本明細書で使用してもよい。例には、トリポリリン酸塩、例えばトリポリリン酸ナトリウム(STPP)、ソーダフォス(SODAPHOS)(平均鎖長7)、ヘキサフォス(HEXAPHOS)(平均鎖長13)(FMC社(FMC Corporation)から市販される)、その他のヘキサメタリン酸塩(例えば平均鎖長21)及び酸性メタリン酸ナトリウムが挙げられる。ヘキサメタリン酸塩の実例となる例には、約2200の分子量を有するヘキサメタリン酸ナトリウム又はヘキサメタリン酸カリウムが挙げられる。
【0038】
リン酸塩成分は提供されてもよいが、リン酸塩成分の少なくとも一部は組成物の表面上にコーティングされる、リン酸塩成分の少なくとも一部は組成物内に統合される、又は両方である。
【0039】
特に好ましい実施形態には、ミネラル成分の少なくとも一部が組成物の表面上にコーティングされ及びリン酸塩成分の少なくとも一部が組成物内に統合されるか、又はリン酸塩成分の少なくとも一部が組成物の表面上にコーティングされ及びミネラル成分の少なくとも一部が組成物内に統合されるか、又はミネラル及びリン酸塩成分の両方の少なくとも一部が組成物の表面上にコーティングされるか、又はミネラル及びリン酸塩成分の両方の少なくとも一部が組成物内に統合されるコンパニオンアニマル用フード組成物(例えば、ビスケット又は噛み物)が挙げられる。その他の特に好ましい実施形態には、ミネラル成分の少なくとも一部が組成物の表面上にコーティングされ及びリン酸塩成分の少なくとも一部が組成物内に統合されるか、又はリン酸塩成分の少なくとも一部が組成物の表面上にコーティングされ及びミネラル成分の少なくとも一部が組成物内に統合されるか、又はミネラル及びリン酸塩成分の両方の少なくとも一部が組成物の表面上にコーティングされるか、又はミネラル及びリン酸塩成分の両方の少なくとも一部が組成物内に統合されるコンパニオンアニマル用サプリメント組成物(例えば、ビスケット又は噛み物(chew))が挙げられる。
【0040】
例として、組成物は任意に、組成物の少なくとも約0.05重量%、又は少なくとも約0.1重量%、又は少なくとも約0.2重量%、又は少なくとも約0.5重量%、又は少なくとも約1重量%のリン酸塩成分を含んでもよい。更なる例として、組成物は任意に、組成物の約0.05重量%〜約10重量%、又は約0.1重量%〜約5重量%、約0.2重量%〜約4重量%、又は約0.5重量%〜約4重量%のリン酸塩成分を含んでもよい。
【0041】
本発明の組成物は、コンパニオンアニマルの使用に適合したものであるフード組成物又はサプリメント組成物を包含する多様な剤形のいずれかとして提供されてもよい。例には、フード(例えば、ドッグフード、キャットフードなど)及びサプリメント(例えば、ビスケット、噛み物)など)が挙げられる。
【0042】
任意に、本明細書の組成物は、乾燥組成物(例えば、キブル)、半湿潤性(semi-moist)組成物、湿った組成物、又はこれらのいずれかの混合物のようなフード組成物であってもよい。本発明に従って使用される時、乾燥組成物、又は半湿潤性である組成物は特に好ましい。コンパニオンアニマル用フードは当該技術分野において特に周知である。
【0043】
あるいは又は更には、組成物はサプリメントであり、例えばコンパニオンアニマル用噛み物又はコンパニオンアニマル用ビスケット、又はネコ若しくはイヌ用トリーツ(treat)のようなコンパニオンアニマル用の他のトリーツである。ドッグビスケットのようなコンパニオンアニマル用ビスケットは、当該技術分野において周知である。ビスケットの例には、次の文書、米国特許第5,405,836号、第5,000,940号、第5,000,943号、第5,000,973号、第5,094、870号及び第5,015,485号に記載されるものが挙げられる。噛み物もまた広く知られており、並びにベーキング、押出成形、射出成形、トランスファー成形及び/又は圧縮成形により調製されるものを包含する多様な形態で提供され得る。典型的には、成形物品の質感、柔軟さ及び堅さはかじることを促す。かじる行為により、コンパニオンアニマルは、噛むことができるペット用おもちゃを柔らかく噛み通し、きれいな、健康な歯及び臭くない息を作っていくことができる。噛み物は、典型的には、コンパニオンアニマルにより少なくとも約1分、又は少なくとも約2分、又は少なくとも約5分、又は少なくとも約10分、又は少なくとも約30分の期間にわたって消費される。典型的な噛み物の例は、次の文書、米国特許第6,379,725号、第6,455,083号、第5,922,379号、第6,265,011号、第6,517,877号、第6,274,182号、第6,056,991号、第6,159,516号、第6,086,940号、第6,110,521号、第6,093,441号、第6,126、978号、第6,180,161号、第6,277,420号、第6,238,726号、第5,431,927号、第6,228,418号及び第5,296,209号及び米国特許出願公開2002/0119241、同2002/0119224、同2001/00434941及び同2002/0090444に開示されている。
【0044】
1つの実施形態では、組成物は、栄養的にバランスがとれている。本明細書で使用する時、組成物に関して用語「栄養的にバランスがとれている」とは、組成物が、コンパニオンアニマルの栄養学分野の第一人者の推奨に基づいた適切な量及び割合で、生命を維持するために必要な既知の栄養素を有することを意味する。組成物がフード組成物である場合には、それは最も好ましくは栄養的にバランスがとれている。
【0045】
本明細書の組成物は、任意に1つ以上の更なる成分を含んでもよい。他の成分は、本明細書で使用される組成物に包含するのに有益であるが、本発明の目的には任意である。例えば、本明細書の組成物は、タンパク質、炭水化物及び/又は脂肪、好ましくはタンパク質、炭水化物及び脂肪の供給源を有利に含む。
【0046】
粗タンパク質物質は、大豆、綿種子及び落花生のような植物性タンパク質、又はカゼイン、アルブミン及び肉タンパク質のような動物性タンパク質を含んでもよい。本明細書で有用な肉タンパク質の非限定例には、牛肉、豚肉、子羊肉、鶏肉、魚、野菜及びこれらの混合物からなる群から選択されるタンパク質供給源が挙げられる。組成物はまた、乾燥乳清及び他の乳製品副産物のような他の物質も含有してもよい。
【0047】
本発明の組成物は、炭水化物供給源を更に含んでもよい。米、トウモロコシ、ミロ、サトウモロコシ、大麦、アルファルファ、小麦などのようなグレイン又はシリアルは、実例となる供給源である。大豆タンパク質は、例えばコンパニオンアニマル用噛み物に関して本明細書において特に有用である場合がある。
【0048】
1つ以上の保湿剤もまた使用してもよい。保湿剤は、例えば噛み物のような押出成形組成物に特に有用である場合がある。保湿剤の例には、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、他の食用多価アルコール及びこれらの混合物が挙げられる。保湿剤が使用される場合には、組成物は任意に、すべて組成物の重量で、約0.001重量%〜約25重量%、又は約0.01重量%〜約20重量%、又は約0.1重量%〜約15重量%の保湿剤を含んでもよい。
【0049】
任意に、本明細書の組成物は、生皮を実質的に含まない。用語「生皮を実質的に含まない」とは、言及された組成物が、すべて組成物の重量で、約1重量%未満の生皮、好ましくは約0.5重量%未満及び最も好ましくは約0.2重量%未満の生皮を含むことを意味する。
【0050】
(本発明の方法)
本発明の方法は、本発明の組成物をコンパニオンアニマルに経口投与し(即ち摂取を通じて)、コンパニオンアニマルの口臭の改善、又は口腔歯石(結石を包含するとして本明細書では定義される)、口腔歯垢、歯周病、歯肉炎の治療、口腔内の細菌の繁殖の抑制及びこれらの組み合わせを規定どおりに提供することを含む。
【0051】
本明細書で使用する時、コンパニオンアニマルに関する用語「経口投与」とは、動物が摂食すること、又は本明細書の1つ以上の組成物を動物に与えるように人が指示されること、若しくは人が実際に与えることを意味する。組成物を与えるようにヒトが指示される場合には、こうした指示は、組成物の使用が言及された利益、例えば口臭の改善、口腔歯垢又は歯石の治療、又は同様なものを提供する場合がある及び/又は提供することになることを、ヒトに指導し及び/又はヒトに知らせるものであってもよい。例えば、こうした指示は、口頭指示(例えば、獣医、若しくは他の保健専門家からの口頭指導を通じて)、ラジオ若しくはテレビ媒体(即ち、広告)、又は書面での指示(例えば、獣医、若しくは他の保健専門家からの書面での指示(例えば、手書きメモ)を通じて、専門販売員若しくは組織からの書面での指示(例えば、広告用チラシ、パンフレット、若しくは他の教育用品)を通じて、文字媒体(例えば、インターネット、電子メール、若しくは他のコンピュータ関連媒体)を通じて)及び/又は、組成物に関連した包装(例えば、組成物を入れる容器上に存在するラベル)であってもよい。本明細書で使用する時、「書面の」とは、言葉、絵、記号及び/又はその他の視覚的記述子によることを意味する。こうした情報は、本明細書で使用される実際の用語、例えば「臭い」、「口」、「腔」、「コンパニオン」、又は「使用に適合された」を使用する必要はなく、むしろ同じ又は同様の意味を伝える言葉、絵、記号などの使用が、本発明の範囲内で考えられる。
【0052】
本明細書に記載される組成物は、通常の栄養所要量へのサプリメントとして使用されてもよいし、又はコンパニオンアニマルのための主食としの機能を果たしてもよい(及びそのようなものとして、サプリメント又はフードは、栄養的にバランスのとれたものであってもよい)。投与は、必要な時又は望ましい時を基準としたものであってもよく、例えば、月1回、週1回、又は毎日(1日に複数回を包含する)であってもよい。通常の栄養所要量へのサプリメントとして使用される時、組成物はコンパニオンアニマルに直接投与されてもよいし、ないしは別の方法でコンパニオンアニマル用フードに接触又は混合されてもよい。コンパニオンアニマル用フードとして使用される時、投与は当業者に周知である。使用される組成物の量は多様な要因に依存してもよく、それには動物の口腔の健康の質、動物の飼い主又は組成物を投与する他の人により決定されるような動物の嗜好、コンパニオンアニマル用フードの質及び大きさ、年齢、又は品種又はコンパニオンアニマルが挙げられる。
【0053】
(分析方法)
本発明の組成物は、コンパニオンアニマルの口腔の健康又は関連する病気(例えば、歯肉炎の場合)をよくするために使用されてもよい。こうした向上又は改善を実証する様々な方法、又は他の該当する方法が当業者に周知である。例として、次のものは使用されてもよい特定の方法の実例を提供する。これらの方法は本発明の範囲を限定することを目的としていない。
【0054】
組成物の表面からの放出
有効になるためには、組成物中に使用されるミネラル成分の少なくとも一部がコンパニオンアニマルの唾液中に溶解されなければならない。これについて試験するために、組成物の表面上にコーティングされたミネラル成分の既知量を含有するビスケット、又はトリーツ、又は噛み物が、50mLの試験管の中に設置され、約5mLの水が加えられる。濾過用蓋が上部に設置され、内容物は短時間(約15秒間)振盪される。次に管は逆さにされ、溶解していない物質は濾過器上に保持されるが、溶解された物質を含有する水は濾過器を通過して別の管の中に収集される(「溶解したコーティング」)。次に水のサンプルはミネラル成分の量について、又は生体外試験システムにおける有効性について分析される。これは、溶解度を決定するために、組成物の表面上にコーティングされたミネラル成分の既知量と比べられる。
【0055】
悪臭の減少
口腔の悪臭の減少は、多様な技術に従って測定できる。実例となる技術は、クラインバーグ唾液堆積物システムモデル(Kleinberg Salivary Sediment System Model)であり、これは次のように一般に要約される。新鮮な唾液がコンパニオンアニマルから収集され及び遠心分離されて細胞の破片、微生物、フード粒子などが濃縮される。堆積物の一部が戻され、次に管は、対照物質により、ミネラル成分、リン酸塩成分により、又は「溶解されたコーティング」(上記の組成物の表面からの放出を参照のこと)により処置される。2〜24時間の範囲の時間後、管から発する臭いが官能的に測定されるか、又はハリメーター(Halimeter)(カリフォルニア州チャッツワースのインタースキャン社(Interscan Corp.))を使用して測定される。方法は、「口臭形成の生物学的基礎(The Biological Basis of Oral Malodor Formation)」、クラインバーグ(Kleinberg)及びコドピリー(Codpilly)、口臭(Bad Breath)の2章(Chapter 2)、研究の展望(Research Perspectives)、M.ローゼンバーグ(M.Rosenberg)編集者、ラモット出版(Ramot Publishing)、テル・アビブ大学(Tel Aviv University)、1995年に、より具体的に記載されている。
【0056】
口腔微生物の繁殖の抑制
コンパニオンアニマルから唾液が収集され及びミューラー・ヒントン(Mueller Hinton)ブロス培地中で1:100で希釈される。この摂取材料の3mLがピペットで無菌培養管の中に入れられ及びミネラル成分、リン酸塩成分、又は「溶解されたコーティング」(上記の組成物の表面からの放出を参照のこと)の溶液の様々な量が加えられる。管は5%CO雰囲気中でインキュベートされ、24〜48時間後に微生物の繁殖について観察される。
【0057】
バイオプラークフィルムの抑制
この分析は、歯垢中の有害な有機体又は口腔の不快な臭いを生成する有機体の繁殖を予防又は抑制する所与の組成物の能力を決定する。ヒドロキシアパタイトチップ(歯の表面を模擬する)が、イヌ科動物又はネコ科動物の新鮮な唾液系培地の中に穏やかに攪拌しながら浸漬されて、チップ上にバイオフィルムの増殖が開始する。チップは、唾液系培地に連続して浸され、間欠的に、対照、ミネラル成分、リン酸塩成分、又は「溶解されたコーティング」(上記の組成物の表面からの放出を参照のこと)により処置される。実験の終わりには、バイオフィルムは処置の有効性を評価される。例えばグッゲンハイム(Guggenheim)らの「歯肉縁上歯垢の生体外バイオフィルムモデルの検証(Validation of an in vitro biofilm model of supragingival plaque)」、歯科研究誌(Journal of Dental Research)、80巻、363〜370ページ(2001年)に記載されるように、歯垢バイオフィルムモデルにおける幾つかの変形が利用可能である。
【0058】
(製造方法)
現在記載される組成物は、当業者に周知の方法により製造される。例えば、本発明の組成物は、すべての成分を単独で又は適した組み合わせで一緒に混合することにより調製されてもよく、水中では規定通りに、すべての成分が可溶化されるか、分散されるか、ないしは別の方法で混合されるまで、適切に機械的に攪拌される。押出成形(例えば、キブル又は噛み物を形成するために)又はベーキングのような特定のプロセスが使用される場合、こうしたプロセスは当該技術分野において周知である。
【実施例】
【0059】
次のものは従来の方法を使用して調製した本発明の組成物の非限定実施例である。次の実施例は本発明を説明するために提供され及びいかなる方式においても本発明の範囲を限定することを目的としない。
【0060】
(実施例1)
ミネラル成分を、2.19gの硫酸亜鉛一水和物、2.88gの塩化マンガン四水和物及び0.79gの硫酸銅五水和物を、すり鉢とすりこぎにより組み合わせることにより調製する。粉末は細かく挽かれ及び完全に混合される。食欲をそそるマスキング風味を、3重量%の量でミネラル成分に加える。12gの焼いたドッグビスケットは、片側に、固形コーンシロップのつや出し(米国ニュージャージー州ブリッジウォーターのナショナル・スターチ・アンド・ケミカル社(National Starch and Chemical Co.)から市販されるN−タック(N-TACK)(登録商標))の30%溶液を塗られる。ミネラル成分及び食欲をそそるマスキング風味の組み合わせが、ビスケット当たり、組み合わせ121mgの量で、濡れたつや出し上に振りかけられ、つや出しは乾燥される。
【0061】
(実施例2)
硫酸亜鉛一水和物(2.20g)、硫酸マンガン一水和物(2.46g)及び硫酸銅五水和物(0.79g)を、すり鉢とすりこぎにより微細粉末に組み合わせ及び共に挽いて粉末にする。この混合物は、順番をまもって混合される標準的調剤技法を使用して26.58gの粒状マンニトールキャリア(ペアリトール(PEARLITOL)100SD、ロケット社(Roquette Corp.))を加える。粒状マンニトールキャリアは、ミネラル成分の風味をマスクするのを援助し、唾液中のミネラルの溶解を大いに高める。4gの押出成形されたイヌ用噛み物は、片側に、固形コーンシロップのつや出し(米国ニュージャージー州ブリッジウォーターのナショナル・スターチ・アンド・ケミカル社(National Starch and Chemical Co.)から市販されるN−タック(N-TACK)(登録商標))の30%溶液を塗られる。ビスケットの濡れた側がミネラル成分とマンニトールキャリアの混合物中に押し込まれ、及びいずれかの離れた粉末は軽くたたいて落とされる。約185mgの物質がビスケットの表面上に残る。つや出し溶液が、対流オーブン中で70℃で約20分間乾燥される。
【0062】
(実施例3)
50gの水がビーカーに加えられ及び激しく攪拌される。50gのポリリン酸ナトリウムが加えられ、及び攪拌は約1時間、透明な粘稠溶液が得られるまで続く。4gの焼かれたドッグビスケットを粘稠溶液中に浸し、約400mgの溶液が残るまで溶液を滴らせて抜く。次にビスケットは対流オーブン中で70℃で約20分間にわたって乾燥され、次いで室温に冷却される。
【0063】
6.59gの硫酸亜鉛一水和物及び7.39gの硫酸マンガン一水和物がすり鉢とすりこぎにより組み合わされ、細かく挽かれる。20.96gの粒状マンニトール(ペアリトール(PEARLITOL)100SD)が順番をまもって混合され、ミネラル成分に加えられて粉砕により完全に混合される。
【0064】
ポリリン酸塩がコーティングされたビスケットの下側に、固形コーンシロップのつや出し(米国ニュージャージー州ブリッジウォーターのナショナル・スターチ・アンド・ケミカル社(National Starch and Chemical Co.)から市販されるN−タック(N-TACK)(登録商標))の30%水溶液が塗られ、次いでビスケットのつや出し側がミネラル成分とマンニトールキャリアの組み合わせの床中に押し込まれる。ビスケットは軽くたたかれてゆるく保持された粉末が取り除かれ、約67mgの粉末が残される。次にビスケットは、対流オーブン中で70℃で約20分間にわたって乾燥される。ビスケットの粉末側の上部に食欲をそそる風味が振りかけられる。
【0065】
(実施例4)
44.4gの水がビーカーに加えられ、及び攪拌が開始される。一定攪拌しながら、34.7gのガラスH(GLASS H)ポリリン酸塩が加えられ、透明溶液が得られるまで攪拌が続けられる。この溶液に次のもの、2.72gの硫酸亜鉛一水和物、3.06gの硫酸マンガン一水和物及び0.98gの硫酸銅五水和物が加えられる。透明な青い色合いの溶液が得られるまで攪拌が続けられる。4gの焼かれたドッグビスケットを溶液中に浸し、約500mgの溶液が各ビスケットに付着するまで溶液を滴らせて抜く。ビスケットは、対流オーブン中で70℃で約30分間にわたって乾燥される。
【0066】
(実施例5)
48.5gの水がビーカーに加えられる。攪拌しながら、3gのグルコン酸銅(II)が加えられる。激しく攪拌しながら、48.5gのポリリン酸ナトリウム(ガラスH(GLASS H))が振りかけられ、及び透明な青い色合いの溶液が得られるまで攪拌が続けられる。
【0067】
12gの動物の足形状のドッグビスケットを銅及びリン酸塩成分の溶液中に浸し、約928mgの溶液がビスケット上に残るまで溶液を滴らせて抜く。乾燥が対流オーブン中で70℃で約30分間にわたって行われる。
【0068】
コーティング粉末が、2.63gの硫酸亜鉛一水和物及び2.96gの硫酸マンガン一水和物をすり鉢とすりこぎにより組み合わせることにより調製される。これらは細かく挽かれる。8.39gの粒状マンニトールがこの順番をまもって順次混合され、スパチュラで粉砕される。2.34gの噴霧乾燥鶏肉及び1.26gの噴霧乾燥鶏肝臓が粉末に加えられ、及び均一になるまで混合される。
【0069】
ビスケットの下側に、固形コーンシロップのつや出し(米国ニュージャージー州ブリッジウォーターのナショナル・スターチ・アンド・ケミカル社(National Starch and Chemical Co.)から市販されるN−タック(N-TACK)(登録商標))の30%水溶液が塗られ、次いで濡れた側が前の段落に記載されたような粉末の床中に押し込まれる。ビスケットは粉末側を上にしてトレイ上に設置され、対流オーブン中で70℃で約30分間にわたって乾燥される。ビスケット当たりに適用された粉末の総量はおよそ293mgである。
【0070】
(実施例6)
実施例1及び3〜5のいずれかのために使用されてもよいビスケットは、次の成分を指示量で使用して調製されてもよい。
【表1】

【0071】
成分は組み合わされ、所望のように成形され及び焼かれてビスケットを形成する。
【0072】
(実施例7)
実施例2に使用されてもよい噛み物は、次の成分を指示量で使用して調製されてもよい。
【表2】

【0073】
成分は組み合わされ及び従来の方法によって所望のように押出成形されて噛み物を形成する。任意に、噛み物は、ミネラル成分を除いてすべての成分を組み合わせ、高温で押出成形し、適切な堅さ又は質感が得られるまでグリセリンを連続的にプレコンディショナ中に供給することにより調製される。次に製品は所望の長さに切断され及び冷却されてもよい。
【0074】
次に噛み物はいずれかの脂肪又は油中のミネラル成分の懸濁液により噴霧コーティングされてもよい。次の技術は実例となってもよい。100gの精製液体鶏脂肪中に3gの微粉状のリンゴ酸亜鉛及び3gの微粉状のリンゴ酸マンガンを含有する分散液が調製される。この分散液が、25gの噛み物上に、噛み物当たり0.33gの分散液の割合で噴霧される。
【0075】
(実施例8)
おおよその指示量で次の成分を有する2つのキブル組成物が、当該技術分野において標準である方法を使用して調製され及びイヌに与えられ、各々が、歯石又は歯垢の減少及び口臭の改善を包含する口腔の健康の改善を結果としてもたらす。実施例1Aについては、銅の供給源がキブル全体に統合され、一方亜鉛供給源はキブルの表面上に(美味剤(palatant)と共に)コーティングされる。実施例1Bについては、亜鉛供給源がキブル全体に統合され、一方ヘキサメタリン酸塩はキブルの表面上に(美味剤(palatant)と共に)コーティングされる。
【表3】

*ビタミン及びミネラルには、ビタミンE、β−カロチン及びビタミンA、酸化亜鉛、アスコルビン酸、硫酸マンガン、硫酸銅、酸化マンガン、パントテン酸カルシウム、ビオチン、ビタミンB12、ビタミンB、ナイアシン、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンD、葉酸が挙げられる。
【0076】
(実施例9)
表面コーティングされたコンパニオンアニマル用フード中に、リン酸塩成分とミネラル成分を組み合わせることの効果を測定するために二つの研究が行われる。短鎖ポリリン酸塩(ピロリン酸塩)がネコ科動物給餌モデルにおいて分析され及び長鎖ポリリン酸塩がイヌ科動物給餌モデルにおいて分析される。
【0077】
一般手順は次のようである。動物は正式認可を受けた施設に収容される。すべての研究は、製品を評価するためにクロスオーバー・デザインを伴う。各試験期間の開始において、すべての動物は麻酔を受けた後、徹底的歯科予防によりすべての歯肉縁上下の堆積物を取り除かれる。予防後、各動物は、試験期間の持続時間中に体重を維持するために適切なエネルギーを提供するように計算された乾燥した餌(コンパニオンアニマル用フード)で維持される。すべての研究は4週間の最小給餌期間及び9週間の最大給餌期間を有する。試験期間の終わりに、動物は結石の存在について検査される。検査後、予防が行われ、動物はそれらのそれぞれの家に戻され及び第2期間のための新しい餌を与えられる。すべての口腔検査について、イヌ科動物の研究のための目標となる歯の部位には、次の位置の口の両側の頬面が挙げられる。上顎、I3、C、P2、P3、P4及びM1、並びに下顎、C、P2、P3、P4及びM1。ネコ科動物の研究のための目標となる歯の部位には、次の位置の口の両側の頬面が挙げられる。上顎、C、P3及びP4、並びに下顎、C、P3、P4及びM1。
【0078】
結果は、次の通りである。
【表4】

*餌2は、餌1より統計的に結石が少ないという結果をもたらす。
【表5】

*餌2は、餌1より統計的に結石が少ないという結果をもたらす。
【0079】
データは、ミネラル及びリン酸塩成分の組み合わせは、同濃度のリン酸塩成分単独に対して、イヌ科動物及びネコ科動物の両方において結石の成長速度を減少することを示す。
【0080】
「発明を実施するための最良の形態」で引用したすべての文書は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文書の引用も、それが本発明に関して先行技術であることを容認するものとして解釈されるべきではない。
【0081】
本発明の特定の実施形態を説明し記載したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には明らかであろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可溶性ミネラル成分の量を特徴とする食用組成物であって、前記可溶性ミネラル成分が、亜鉛、マンガン、スズ、銅及びこれらの混合物からなる群から選択される2つ以上のミネラルを含み、前記量が、口腔用薬剤として使用するのに有効な量であり、かつ前記食用組成物が、コンパニオンアニマルによる使用に適合したものである、食用組成物。
【請求項2】
(a)可溶性ミネラル成分の量であって、前記可溶性ミネラル成分が、亜鉛、マンガン、スズ、銅及びこれらの混合物からなる群から選択される1つ以上のミネラルを含み、前記量が、口腔用薬剤として使用するのに有効な量である、可溶性ミネラル成分の量と、
(b)リン酸塩成分の更なる量であって、該更なる量が、口腔用薬剤として使用するのに有効な量である、リン酸塩成分の更なる量と
を特徴とする食用組成物であって、
前記食用組成物が、コンパニオンアニマル用フード、コンパニオンアニマル用サプリメント及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、前記コンパニオンアニマル用サプリメントが噛み物ではない、食用組成物。
【請求項3】
食用組成物であって、
(a)亜鉛、マンガン、スズ、銅及びこれらの混合物からなる群から選択される1つ以上のミネラルを含む可溶性ミネラル成分の量であって、該量が、口腔用薬剤として使用するのに有効な量であり、かつ前記ミネラル成分の少なくとも一部が前記食用組成物の表面上にコーティングされる、可溶性ミネラル成分の量と、
(b)リン酸塩成分の更なる量であって、該更なる量が、口腔用薬剤として使用するのに有効な量である、リン酸塩成分の更なる量と
を特徴とするものであり、
前記食用組成物が、コンパニオンアニマルの噛み物である、食用組成物。
【請求項4】
食用組成物であって、
(a)亜鉛、マンガン、スズ、銅及びこれらの混合物からなる群から選択されるミネラルを含む可溶性ミネラル成分の量であって、該量が、口腔用薬剤として使用するのに有効な量である、可溶性ミネラル成分の量と、
(b)リン酸塩成分の更なる量であって、該更なる量が、口腔用薬剤として使用するのに有効な量であり、かつ前記リン酸塩成分の少なくとも一部が前記食用組成物の表面上にコーティングされる、リン酸塩成分の更なる量と
を特徴とするものであり、
前記食用組成物が、コンパニオンアニマルの噛み物である、食用組成物。
【請求項5】
(a)マンガン、スズ、銅及びこれらの混合物からなる群から選択されるミネラルを含む可溶性ミネラル成分の量であって、該量が、口腔用薬剤として使用するのに有効な量である、可溶性ミネラル成分の量と、
(b)リン酸塩成分の更なる量であって、該更なる量が、口腔用薬剤として使用するのに有効な量である、リン酸塩成分の更なる量と
を特徴とする食用組成物であって、
前記食用組成物が、コンパニオンアニマルの噛み物である、食用組成物。
【請求項6】
前記ミネラル成分の少なくとも一部が、前記組成物の表面上にコーティングされる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の食用組成物。
【請求項7】
(a)前記ミネラル成分が亜鉛を含む場合、前記組成物が、該組成物の0.001重量%〜1重量%の亜鉛イオンを含み、かつ前記ミネラル成分が、硫酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、塩化亜鉛、クエン酸亜鉛、乳酸亜鉛、リンゴ酸亜鉛及びこれらの混合物からなる群から選択される塩を含み、
(b)前記ミネラル成分がスズを含む場合、前記組成物が、該組成物の0.0005重量%〜0.1重量%のスズイオンを含み、かつ前記ミネラル成分が、乳酸スズ、グルコン酸スズ、酢酸スズ、硫酸スズ、リンゴ酸スズ及びこれらの混合物からなる群から選択される塩を含み、
(c)前記ミネラル成分が銅を含む場合、前記組成物が、該組成物の0.0005重量%〜0.1重量%の銅イオンを含み、かつ前記ミネラル成分が、塩化銅、グルコン酸銅、硫酸銅、ビスグリシン酸銅、乳酸銅、リンゴ酸銅、酢酸銅及びこれらの混合物からなる群から選択される塩を含み、
(d)前記ミネラル成分がマンガンを含む場合、前記組成物が、該組成物の0.001重量%〜0.5重量%のマンガンイオンを含み、かつ前記ミネラル成分が、塩化マンガン、硫酸マンガン、グルコン酸マンガン、酢酸マンガン及びこれらの混合物からなる群から選択される塩を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の食用組成物。
【請求項8】
リン酸塩成分の更なる量を更に含み、該更なる量が、口腔用薬剤として使用するのに有効な量である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の食用組成物。
【請求項9】
亜鉛、マンガン、スズ、銅及びこれらの混合物からなる群から選択される3以上のミネラルを含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の食用組成物。
【請求項10】
亜鉛、マンガン及び銅を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の食用組成物。

【公表番号】特表2007−512849(P2007−512849A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−542885(P2006−542885)
【出願日】平成16年12月8日(2004.12.8)
【国際出願番号】PCT/US2004/040992
【国際公開番号】WO2005/055739
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(595056859)ザ・アイムス・カンパニー (52)
【氏名又は名称原語表記】The Iams Company
【Fターム(参考)】