説明

コンピュータカラーマッチング方法およびコンピュータカラーマッチングプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体

【課題】4色以上の配合処方を容易に、かつ、精度よく算出することのできるコンピュータカラーマッチング方法およびコンピュータカラーマッチングプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体提供する。
【解決手段】4色以上の着色剤から3色を選択して、仮の配合量を算出した後、その配合量を基に、他の着色剤の配合量を算出する。その際、仮の配合量の値を変動させて、もっとも適切な配合量を算出することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータカラーマッチング方法およびコンピュータカラーマッチングプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関し、詳細には、4種類(色)以上の配合処方を精度よく算出することのできるコンピュータカラーマッチング方法、およびコンピュータカラーマッチングプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
染料や顔料などの着色剤を複数個組み合わせて所望の色にするには、着色剤の選定およびその調合量・調合割合を正確に決定する必要がある。これまでは技術者が試行錯誤して、所望となる色になるよう着色剤の選定およびその調合量・調合割合を求めていたが、近年、着色剤の濃度毎の光学データおよびコンピュータを用いて、所望の色となる着色剤の選定及びその調合量・調合割合を求めるコンピュータカラーマッチング(以下、CCMと称する)が提案されている(たとえば、特許文献1、2および3)。この方法は、着色剤の調合に関して熟練者でなくとも比較的簡単に適当に色合わせができることから有用な方法である。
【0003】
一般的なCCMの手順は、次の通りである。まず、提示された目標となる色見本の分光反射率を測定する。続いて、着色剤の基礎データ群の中から注文素材の種類に応じた基礎データを指定する。指定された基礎データを用いてアイソメリックマッチまたはメタメリックマッチ計算を行い、最適な着色剤の組み合わせと処方を算出する。この算出された着色剤と処方に基づいて試験着色を行う。このときに色見本と試験着色物間に色の差があれば修正計算を行って、補正処方を算出する。この操作を、前もって取り決められた許容色差内に入るまで繰り返し、許容内に入れば、その処方で量産する。量産において、色がずれていれば前記操作と同様の修正計算を実施し、合格範囲に入れば、最終の色彩管理を行うこととなる。
【0004】
CCMでは、リファレンスからの相対量を変化させて、数段階の濃度別・混合割合別のサンプルを作成し、その光学濃度と染色濃度或いは混合割合とを基礎データとして、クベルカ-ムンクの混色理論による式(数1)、および、ダンカンの混色理論式(数2)、さらには、必要に応じてサンダーソンの反射率補正式(数3)などを用いて予測色の三刺激値を計算し、目標色との色差ΔEが収束色差以内になるまで計算を繰り返すメタメリックマッチにより、色を一致させる計算を行っている。(非特許文献1)
【0005】
【数1】

【0006】
【数2】

【0007】
【数3】

【0008】
前記したように、CCMでは、得られた予測三刺激値と目標色の三刺激値との差を小さくするメタメリックマッチによって色を一致させる計算を行い、初期の配合を修正していく。この手法は、三刺激値を利用したものであるため、初期の配合が3つの着色剤で構成されていることを前提条件とした計算式を用いている。
【0009】
そのため、4色以上の配合でなければ目標色が得られないなど、4種類以上の着色剤を使用する場合は、単純にこの手法を使用することはできず、三刺激値XYZに加えて反射率差も合致させる計算がよく行われている。しかし、この反射率は、元見本と同じ着色剤を用いなければ合致させることが困難であり、元見本とは異なった手持ちの着色剤を使用して反射率を合わせることは、非常に複雑な作業となる。そのため、人の経験などによって試行を繰り返すしかなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特公平6−98880号公報
【特許文献2】特開平4−181129号公報
【特許文献3】特開平9−229773号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】新編 色彩科学ハンドブック第二版 P.567−585
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、前記課題を解決するものであり、4種類(色)以上の配合処方を容易に、かつ、精度よく算出することのできるコンピュータカラーマッチング方法およびコンピュータカラーマッチングプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
すなわち、本発明は、任意の目標色に対して、4種類以上の着色剤を用いて色合わせを行うコンピュータカラーマッチング方法であって、
(a)目標色について、所定の表色系における色彩値を計測するステップ、
(b)使用するn種類(n≧4)の着色剤を選定するステップ、
(c)ステップbで選定された着色剤の中から3種類選択するステップ、
(d)ステップcで選択された3種類の着色剤を使用して、配合量を算出するステップ、
(e)ステップdで得られる予測色と目標色との色差およびメタメリズムインデックスを算出するステップ、
(f)ステップcからステップeを、すべての着色剤の組み合わせについて繰り返すステップ、
(g)メタメリズムインデックスが最小となる着色剤3種類の配合および組み合わせを決定するステップ、
(h)ステップgで得られる3種類の着色剤のうち、(n−3)種類の着色剤を選択し固定着色剤とし、その配合量に固定係数を掛けて仮の配合量として固定するステップ、
(i)ステップhで選択されなかった3種類の着色剤について、ステップhで固定した他の着色剤の仮の配合量をふまえて、配合量およびメタメリズムインデックスを算出するステップ、
(j)該固定着色剤を変更し、ステップhおよびiを繰り返すステップ、
(k)該固定係数を変更し、ステップh、iおよびjを繰り返すステップ、および
(l)メタメリズムインデックスが最小となる着色剤n種類の配合および組み合わせを決定するステップ
を含むコンピュータカラーマッチング方法に関する。
【0014】
また、本発明は、任意の目標色に対して、4種類以上の着色剤を用いて色合わせを行うコンピュータカラーマッチングを実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、コンピュータに、
(a)目標色について、所定の表色系における色彩値を計測するステップ、
(b)使用するn種類(n≧4)の着色剤を選定するステップ、
(c)ステップbで選定された着色剤の中から3種類選択するステップ、
(d)ステップcで選択された3種類の着色剤を使用して、配合量を算出するステップ、
(e)ステップdで得られる予測色と目標色との色差およびメタメリズムインデックスを算出するステップ、
(f)ステップcからステップeを、すべての着色剤の組み合わせについて繰り返すステップ、
(g)メタメリズムインデックスが最小となる着色剤3種類の配合および組み合わせを決定するステップ、
(h)ステップgで得られる3種類の着色剤のうち、(n−3)種類の着色剤を選択し固定着色剤とし、その配合量に固定係数を掛けて仮の配合量として固定するステップ、
(i)ステップhで選択されなかった3種類の着色剤について、ステップhで固定した他の着色剤の仮の配合量をふまえて、配合量およびメタメリズムインデックスを算出するステップ、
(j)該固定着色剤を変更し、ステップhおよびiを繰り返すステップ、
(k)該固定係数を変更し、ステップh、iおよびjを繰り返すステップ、および
(l)メタメリズムインデックスが最小となる着色剤n種類の配合および組み合わせを決定するステップ
を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、人の経験などによることなく、自動総当たりの組み合わせ計算をすることにより4種類(色)以上の配合処方を容易に、かつ、精度よく算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の全体手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、
(a)目標色について、所定の表色系における色彩値を計測するステップ、
(b)使用するn種類(n≧4)の着色剤を選定するステップ、
(c)ステップbで選定された着色剤の中から3種類選択するステップ、
(d)ステップcで選択された3種類の着色剤を使用して、配合量を算出するステップ、
(e)ステップdで得られる予測色と目標色との色差およびメタメリズムインデックスを算出するステップ、
(f)ステップcからステップeを、すべての着色剤の組み合わせについて繰り返すステップ、
(g)メタメリズムインデックスが最小となる着色剤3種類の配合および組み合わせを決定するステップ、
(h)ステップgで得られる3種類の着色剤のうち、(n−3)種類の着色剤を選択し固定着色剤とし、その配合量に固定係数を掛けて仮の配合量として固定するステップ、
(i)ステップhで選択されなかった3種類の着色剤について、ステップhで固定した他の着色剤の仮の配合量をふまえて、配合量およびメタメリズムインデックスを算出するステップ、
(j)該固定着色剤を変更し、ステップhおよびiを繰り返すステップ、
(k)該固定係数を変更し、ステップh、iおよびjを繰り返すステップ、および
(l)メタメリズムインデックスが最小となる着色剤n種類の配合および組み合わせを決定するステップを含む、
任意の目標色に対して、4種類以上の着色剤を用いて色合わせを行うコンピュータカラーマッチング方法、および、この方法を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0018】
ここで、色彩値とは、分光反射率を基本としたXYZやL*a*b*などの表色系の値に限らず、あらゆる色彩値を対象とし、色差とは、XYZ表色系のΔX、ΔY、ΔZや、CIELAB表色系のΔL*、Δa*、Δb*に限らず、ΔE*ab、ΔEcmc、CIEDE2000など、あらゆる表色系のあらゆる色差を対象とする。なかでも、一般的で分かりやすいという点で、分光反射率を計測し、それをもとにL表色系を使用することが好ましい。
【0019】
本発明では、CCM方法において、4種類以上(以下、n種類とする)の着色剤を用いて目標色に合致させる配合量を計算させる際に、まず、選択したn種類の着色剤の中から3種類を選び、すべての組み合わせを作る()。それら組み合わせの中から、目標色との色差が収束し、複数光源でのメタメリズムインデックスが最も小さくなる配合結果を求める。これはまだ、3種類の着色剤のみを使用した結果であり、おおよその見当をつけるための過程である。
【0020】
つぎに、前記手法により選択された3種類のうち、任意の(n−3)種類を固定して、前過程で算出されたその配合量に固定係数を掛ける。ここでは、固定係数とは、0.1〜1.0の値をとるものとして設定する。前過程で求められた配合は、前記の通り3種類の着色剤のみを使用した結果であるため、この配合を、4種類以上使用する場合にそのまま適用することはできない。そこで、選択された3種類の各着色剤の配合量が、前過程で求められた配合量よりも多くはならないという前提で、その3種類の中からある任意の色を(n−3)個選択し、その配合量に0.1〜1.0までの固定係数を掛けた結果を、その色の仮の配合量として固定する。ここでは、この固定係数を0.1間隔で変動させることとして、まずは、0.1を掛ける。なお、固定係数の値や間隔は、とくに限定されるものではない。たとえば、0.02〜1.0の値として、0.02間隔で変動させてもよい。
【0021】
n種類の着色剤のうち、0.1を掛けて仮の配合量を固定した(n−3)色と、それ以外の3色について、再びCCM方法によって、目標色との色差が収束し、複数光源でのメタメリズムインデックスが最も小さくなる配合結果を求める。ついで、固定する色を、前記で選択した3色の中で変更して、これをすべてについて繰り返す。さらに、固定係数を0.2、0.3、・・・1.0と変更し、すべての組み合わせについて繰り返す。そして、最終的にメタメリズムインデックスが最も小さくなった配合結果を、最終配合として決定する。
【0022】
ここで、複数光源でのメタメリズムインデックスを配合の決定要素とすることで、メタメリズムの極力小さい配合処方を決定することができる。
【0023】
本発明の方法を、図1に示すフローチャートに従って、4種類の着色剤を配合する場合について具体的に説明する。手順1でスタートさせ、手順2で目標色の反射率を分光光度計で計測して、コンピュータに反射率データを取り込む。手順3で目標色の三刺激値XYZを算出する。手順4で使用する4種類の着色剤(A、B、C、D)を選択し、手順5で着色剤のK/S、または、吸収係数・散乱係数を算出する。手順6で、選択した着色剤から3色さらに選択し(たとえば、A・B・C)、手順7で、アレン法またはニュートンラプソン法などを使って配合量を計算する。手順8で、手順7で求めた配合の予測色の三刺激値を求める。手順9で目標色と予測色との色差および複数光源でのメタメリズムインデックスを計算する。ここまでを選択した着色剤の全組み合わせで行う(手順10)。4色から3色を選択する場合の組み合わせ数は4C3=4通り。この場合は、A・B・C、A・B・D、A・C・DおよびB・C・Dの4通りである。
【0024】
手順11で、手順6〜10で求めた配合から、計算が収束し、複数光源でのメタメリズムインデックスが最小の組み合わせを決定する。その組み合わせをA・B・Cとする。手順12で固定係数を0.1として、手順13で、手順11で決定した配合A・B・Cから1色(A)を固定着色剤とて選択し、その配合量を、手順11で求められた仮の配合量に前記固定係数を掛けたものとする。手順14で、残りの3着色剤(B・C・D)の配合量を再計算し、手順15で、下記数4にしたがって予測色の三刺激値を算出する。手順16で、目標色との色差、複数光源でのメタメリズムインデックスを計算する。ここまでの手順13〜16を、手順11で選ばれた組み合わせA・B・Cから、先ほどのAを除く着色剤(BおよびC)を固定着色剤として、同じように計算する。次に、手順12〜16について、固定係数を0.2、0.3・・・1.0に変更して行う。手順19で、その中で計算が収束し、複数光源でのメタメリズムインデックスが最小の配合を、最終の計算結果として出力する。
【0025】
【数4】

【0026】
なお、三刺激値XYZの算出の方法は、分光反射率を用いて以下の計算式から算出することができる。
【0027】
【数5】

【0028】
また、得られた三刺激値XYZから、以下の計算式によりL値を算出することができる。
【0029】
【数6】

【0030】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
【0031】
1.使用したコンピュータカラーマッチングシステムの構成
パーソナルコンピュータ:CPU インテル製Pentium(登録商標)D 2.8GHz メモリ 1G
OS:Windouws XP
ディスプレイ:SXGA(解像度1280×1024)
分光光度計:X−rite社製 Color i5
【0032】
このパーソナルコンピュータに、目標色に合致する配合計算を行うことができる計算機構、データベース参照機構、着色剤配合シミュレーション機構および計算機構を実行するための着色剤のデータベース機構を、プログラムとして搭載した。
【0033】
実施例1(染料でのカラーマッチング)
染料種:分散染料4種類
YELLOW
BORDEAUX
BLUE
TURQUOISE BLUE
色合わせ光源:D65(10)
第二光源:F6(10)
【0034】
(初回配合量計算)
前記染料4色を用いて、表1の配合にしたがって、目標色を作成した。ついで、この4色から3色を選択した全4通りの組み合わせについて、配合量を算出した。その結果、メタメリズムインデックスが最小となる染料の組み合わせ、および、それらの配合量は以下の通りであった。
【0035】
YELLOW 0.0536(%owf)
BORDEAUX 0.0365(%owf)
BLUE 0.5490(%owf)
【0036】
ついで、固定着色剤をYELLOWとして、固定係数0.02をかけ、YELLOWの仮の配合量を0.00107(%owf)とした。なお、ここでは、固定係数を0.02〜1.0の値に設定し、0.02間隔で変動させた。これを加味して、残りのBORDEAUX、BLUE、TURQUOISEの3色について、その配合量を算出した。ついで、固定着色剤をBORDEAUX、BLUEに変更し、同様にして配合量を算出した。さらに、固定係数を0.04、0.06、・・・1.0と変更して、同様に配合量を算出した。その結果、固定係数0.86のとき、以下の配合量(初回)の組み合わせで、メタメリズムインデックス値(MI値)が最小となった。
【0037】
得られた初回配合量にしたがって染色し、目標色に対する色差(ΔE)およびMI値を計測した。結果を表1に示す。初回配合量と目標色との配合割合差が小さく、色合わせの精度が高いことがわかる。
【0038】
参考までに、この初回配合量をもとに、本発明の方法と同様にして配合量を再計算した(修正1回)。この修正1回配合量にしたがって染色し、目標色に対する色差およびMI値を計測した。結果を表1に示す。色差(ΔE)、MI値ともに小さく、よく色合わせされていることがわかる。この修正1回の配合量をもとに、同様にしてさらに再計算を行った(修正2回)。結果を表1に示す。
【0039】
【表1】

【0040】
実施例2(染料でのカラーマッチング)
染料種:分散染料4種類
YELLOW
Y.BROWN
RED
BLUE
色合わせ光源:D65(10)
第二光源:F6(10)
【0041】
(初回配合量計算)
前記染料4色を用いて、表2の配合にしたがって、目標色を作成した。ついで、この4色から3色を選択した全4通りの組み合わせについて、配合量を算出した。その結果、メタメリズムインデックスが最小となる染料の組み合わせ、および、それらの配合量は以下の通りであった。
【0042】
YELLOW 0.1010(%owf)
Y.BROWN 1.2700(%owf)
BLUE 0.1940(%owf)
【0043】
ついで、固定着色剤をYELLOWとして、固定係数0.1をかけ、YELLOWの仮の配合量を0.0101(%owf)とした。なお、ここでは、固定係数を0.1〜1.0の値に設定し、0.1間隔で変動させた。これを加味して、残りのY.BROWN、RED、BLUEの3色について、その配合量を算出した。ついで、固定着色剤を、Y.BROWN、BLUEに変更し、同様にして配合量を算出した。さらに、固定係数を0.2、0.3・・・1.0と変更して、同様に配合量を算出した。その結果、固定係数0.8のとき、以下の配合量(初回)の組み合わせで、メタメリズムインデックス値(MI値)が最小となった。
【0044】
得られた初回配合量にしたがって染色し、目標色に対する色差(ΔE)およびMI値を計測した。結果を表2に示す。初回配合量と目標色との配合割合差が小さく、色合わせの精度が高いことがわかる。
【0045】
参考までに、この初回配合量をもとに、本発明の方法と同様にして配合量を再計算した(修正1回)。この修正1回配合量にしたがって染色し、目標色に対する色差およびMI値を計測した。結果を表2に示す。色差(ΔE)、MI値ともに小さく、よく色合わせされていることがわかる。この修正1回の配合量をもとに、同様にしてさらに再計算を行った(修正2回)。結果を表2に示す。
【0046】
【表2】

【0047】
実施例3(染料でのカラーマッチング)
染料種:分散染料5種類
YELLOW
RED
BORDEAUX
BLUE
TURQUOISE BLUE
色合わせ光源:D65(10)
第二光源:F6(10)
【0048】
(初回配合量計算)
前記染料5色を用いて、表3の配合にしたがって、目標色を作成した。ついで、この5色から3色を選択した全10通りの組み合わせについて、配合量を算出した。その結果、メタメリズムインデックスが最小となる染料の組み合わせ、および、それらの配合量は以下の通りであった。
【0049】
YELLOW 0.0449(%owf)
RED 0.1940(%owf)
BLUE 0.6410(%owf)
【0050】
ついで、固定着色剤をYELLOWおよびREDとして、固定係数0.1をかけ、それぞれの仮の配合量を0.00449(%owf)および0.01940(%owf)とした。なお、ここでは、固定係数を0.1〜1.0の値に設定し、0.1間隔で変動させた。これを加味して、残りのBORDEAUX、BLUE、TURQUOISE BLUEの3色について、その配合量を算出した。ついで、固定着色剤を、YELLOWおよびBLUEに変更し、同様にして配合量を算出した。さらに、固定係数を0.2、0.3・・・1.0と変更して、同様に配合量を算出した。その結果、固定係数0.8のとき、以下の配合量(初回)の組み合わせで、メタメリズムインデックス値(MI値)が最小となった。結果を表3に示す。初回配合量と目標色との配合割合差が小さく、色合わせの精度が高いことがわかる。
【0051】
【表3】

【0052】
実施例4(顔料でのカラーマッチング)
顔料5種類
目標色(D65(10))
32.78 a 11.7 b 0.15
【0053】
(初回配合量計算)
表4に記載の顔料5色を用いて、目標色を作成した。なお、一般的に顔料のカラーマッチングでは、白をリファレンスとした有彩色の基礎データを用いて行うため、有彩色だけでの計算をしている。この有彩色4色から3色を選択した全4通りの組み合わせについて、配合量を算出した。その結果、メタメリズムインデックスが最小となる染料の組み合わせ、および、それらの配合量は以下の通りであった。
【0054】
CARAMEL 10.67(%)
RED 67.61(%)
BLUE 11.77(%)
WHITE 9.95(%)
【0055】
ついで、固定着色剤をCARAMELとして、固定係数0.1をかけ、それぞれの仮の配合量を1.067(%)とした。なお、ここでは、固定係数を0.1〜1.0の値に設定し、0.1間隔で変動させた。これを加味して、残りのBORDEAUX、BLUE、REDの有彩色3色について、その配合量を算出した。ついで、固定着色剤を、REDおよびBLUEに変更し、同様にして配合量を算出した。さらに、固定係数を0.2、0.3・・・1.0と変更して、同様に配合量を算出した。その結果、固定係数0.6のとき、以下の配合量(初回)の組み合わせで、メタメリズムインデックス値(MI値)が最小となった。結果を表4に示す。初回配合量と目標色との配合割合差が小さく、色合わせの精度が高いことがわかる。
【0056】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意の目標色に対して、4種類以上の着色剤を用いて色合わせを行うコンピュータカラーマッチング方法であって、
(a)目標色について、所定の表色系における色彩値を計測するステップ、
(b)使用するn種類(n≧4)の着色剤を選定するステップ、
(c)ステップbで選定された着色剤の中から3種類選択するステップ、
(d)ステップcで選択された3種類の着色剤を使用して、配合量を算出するステップ、
(e)ステップdで得られる予測色と目標色との色差およびメタメリズムインデックスを算出するステップ、
(f)ステップcからステップeを、すべての着色剤の組み合わせについて繰り返すステップ、
(g)メタメリズムインデックスが最小となる着色剤3種類の配合および組み合わせを決定するステップ、
(h)ステップgで得られる3種類の着色剤のうち、(n−3)種類の着色剤を選択し固定着色剤とし、その配合量に固定係数を掛けて仮の配合量として固定するステップ、
(i)ステップhで選択されなかった3種類の着色剤について、ステップhで固定した他の着色剤の仮の配合量をふまえて、配合量およびメタメリズムインデックスを算出するステップ、
(j)該固定着色剤を変更し、ステップhおよびiを繰り返すステップ、
(k)該固定係数を変更し、ステップh、iおよびjを繰り返すステップ、および
(l)メタメリズムインデックスが最小となる着色剤n種類の配合および組み合わせを決定するステップ
を含むコンピュータカラーマッチング方法。
【請求項2】
任意の目標色に対して、4種類以上の着色剤を用いて色合わせを行うコンピュータカラーマッチングを実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、コンピュータに、
(a)目標色について、所定の表色系における色彩値を計測するステップ、
(b)使用するn種類(n≧4)の着色剤を選定するステップ、
(c)ステップbで選定された着色剤の中から3種類選択するステップ、
(d)ステップcで選択された3種類の着色剤を使用して、配合量を算出するステップ、
(e)ステップdで得られる予測色と目標色との色差およびメタメリズムインデックスを算出するステップ、
(f)ステップcからステップeを、すべての着色剤の組み合わせについて繰り返すステップ、
(g)メタメリズムインデックスが最小となる着色剤3種類の配合および組み合わせを決定するステップ、
(h)ステップgで得られる3種類の着色剤のうち、(n−3)種類の着色剤を選択し固定着色剤とし、その配合量に固定係数を掛けて仮の配合量として固定するステップ、
(i)ステップhで選択されなかった3種類の着色剤について、ステップhで固定した他の着色剤の仮の配合量をふまえて、配合量およびメタメリズムインデックスを算出するステップ、
(j)該固定着色剤を変更し、ステップhおよびiを繰り返すステップ、
(k)該固定係数を変更し、ステップh、iおよびjを繰り返すステップ、および
(l)メタメリズムインデックスが最小となる着色剤n種類の配合および組み合わせを決定するステップ
を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【公開番号】特開2011−59061(P2011−59061A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−211880(P2009−211880)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【出願人】(000107907)セーレン株式会社 (462)
【Fターム(参考)】