コンピュータシステム、コンピュータシステムの制御方法、プログラム及び情報記憶媒体
【課題】ポインティングデバイスの操作フィーリングの変化をユーザに感じさせないようにすること。
【解決手段】位置座標を算出するための基礎データを生成する座標指示システムを備えるコンピュータシステムの制御方法であって、前記基礎データに基づいて算出される位置座標を取得するステップと、所定のアプリケーションプログラムが他のアプリケーションプログラムにより起動される場合に、前記他のアプリケーションプログラムにより通知される位置座標を取得し、取得される位置座標に基づいて表示画面に指示位置画像を表示させるステップ(S204,S205)と、前記所定のアプリケーションプログラムがオペレーティングシステムにより起動される場合に、前記取得するステップにより取得される位置座標に基づいて前記表示画面に指示位置画像を表示させるステップ(S203,S205)と、を含む。
【解決手段】位置座標を算出するための基礎データを生成する座標指示システムを備えるコンピュータシステムの制御方法であって、前記基礎データに基づいて算出される位置座標を取得するステップと、所定のアプリケーションプログラムが他のアプリケーションプログラムにより起動される場合に、前記他のアプリケーションプログラムにより通知される位置座標を取得し、取得される位置座標に基づいて表示画面に指示位置画像を表示させるステップ(S204,S205)と、前記所定のアプリケーションプログラムがオペレーティングシステムにより起動される場合に、前記取得するステップにより取得される位置座標に基づいて前記表示画面に指示位置画像を表示させるステップ(S203,S205)と、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンピュータシステム、コンピュータシステムの制御方法、プログラム及び情報記憶媒体に関し、特にポインティングデバイスにより操作されるプログラムの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータの入力デバイスとしてポインティングデバイスが広く用いられるようになっており、特にコンピュータゲームシステムでは、カメラ、赤外線信号、超音波信号などを用いてポインティングデバイスの位置を測定し、測定された位置によってメニュー項目を指示するためのカーソル画像やガンシューティングゲームの照準画像などの指示位置画像の表示位置を決定する、新しいタイプのポインティングデバイスも用いられるようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本願発明者らは、こうしたポインティングデバイスを用いるゲームアプリケーションプログラムの起動中に、ウェブブラウザ、時計/カレンダー、音楽プレイヤなど、他のアプリケーションプログラムを起動できるようにすることを検討している。この際、ポインティングデバイスを操作したときの指示位置画像の挙動が、ゲームアプリケーションプログラムの場合と該ゲームアプリケーションプログラムにより起動される他のアプリケーションプログラムの場合とで異なると、ユーザに戸惑いを与えるという課題を見いだすに至った。
【0004】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、ポインティングデバイスの操作フィーリングの変化をユーザに感じさせずに済むコンピュータシステム、コンピュータシステムの制御方法、プログラム及び情報記憶媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明に係るコンピュータシステムは、位置座標を算出するための基礎データを生成する座標指示システムを備え、第1アプリケーションプログラム、第2アプリケーションプログラム、及び第1及び第2アプリケーションプログラムを起動するオペレーティングシステムを記憶するコンピュータシステムにおいて、前記第1アプリケーションプログラムは、前記コンピュータシステムを、前記基礎データに基づいて算出される位置座標を取得する第1位置座標取得手段、前記第1位置座標取得手段により取得される位置座標に基づいて表示画面に指示位置画像を表示させる第1指示位置画像表示手段、前記第2アプリケーションプログラムを起動する起動手段、前記第1位置座標取得手段により取得される位置座標を、当該第1アプリケーションプログラムにより起動される前記第2アプリケーションプログラムに通知する通知手段、として機能させ、前記第2アプリケーションプログラムは、前記コンピュータシステムを、前記基礎データに基づいて算出される位置座標を取得する第2位置座標取得手段、前記第1アプリケーションプログラムにより当該第2アプリケーションプログラムが起動される場合に、前記通知手段により通知される位置座標を取得し、取得される位置座標に基づいて前記表示画面に指示位置画像を表示させ、前記オペレーティングシステムにより当該第2アプリケーションプログラムが起動される場合に、前記第2位置座標取得手段により取得される位置座標に基づいて前記表示画面に指示位置画像を表示させる第2指示位置画像表示手段、として機能させる、ことを特徴とする。
【0006】
また、前記基礎データは、ポインティングデバイスの位置を示す2次元座標データ及び該ポインティングデバイスの姿勢を示す姿勢データを含んでよい。前記第1位置座標取得手段は、前記基礎データに基づいて、前記ポインティングデバイスの指示方向を示す位置座標を取得してよい。前記第2位置座標取得手段は、前記基礎データに基づいて、前記ポインティングデバイスの所定部位の空間位置に対応する位置座標を取得してよい。
【0007】
さらに、前記第2アプリケーションプログラムは、前記コンピュータを、前記第1アプリケーションにより起動されたか、前記オペレーションシステムにより起動されたか、を判断する判断手段として更に機能させてよい。
【0008】
また、本発明に係るコンピュータシステムの制御方法は、位置座標を算出するための基礎データを生成する座標指示システムを備えるコンピュータシステムの制御方法であって、前記基礎データに基づいて算出される位置座標を取得するステップと、所定のアプリケーションプログラムが他のアプリケーションプログラムにより起動される場合に、前記他のアプリケーションプログラムにより通知される位置座標を取得し、取得される位置座標に基づいて表示画面に指示位置画像を表示させるステップと、前記所定のアプリケーションプログラムがオペレーティングシステムにより起動される場合に、前記取得するステップにより取得される位置座標に基づいて前記表示画面に指示位置画像を表示させるステップと、を含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るプログラムは、位置座標を算出するための基礎データを生成する座標指示システムを備えるコンピュータシステムにより実行されるプログラムであって、前記コンピュータシステムを、前記基礎データに基づいて算出される位置座標を取得する位置座標取得手段、前記位置座標取得手段により取得される位置座標に基づいて表示画面に指示位置画像を表示させる指示位置画像表示手段、他のプログラムを起動する起動手段、前記位置座標取得手段により取得される位置座標を、前記他のプログラムに通知する通知手段、として機能させることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の他の側面に係るプログラムは、位置座標を算出するための基礎データを生成する座標指示システムを備えるコンピュータシステムにより実行されるプログラムであって、前記コンピュータシステムを、前記基礎データに基づいて算出される位置座標を取得する位置座標取得手段、当該プログラムとは異なる第1のプログラムにより当該プログラムが起動される場合に、前記第1のプログラムにより通知される位置座標を取得し、取得される位置座標に基づいて表示画面に指示位置画像を表示させ、当該プログラムとは異なる第2のプログラムにより当該プログラムが起動される場合に、前記位置座標取得手段により取得される位置座標に基づいて前記表示画面に指示位置画像を表示させる指示位置画像表示手段、として機能させる、ことを特徴とする。また、本発明に係るコンピュータ可読情報記憶媒体は、上記プログラムを記憶したものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係るコンピュータゲームシステムの利用形態を示す斜視図である。
【図2】ポインティングデバイスを示す斜視図である。
【図3】ポインティングデバイスの指示位置の算出方法を示す図である。
【図4】オペレーティングシステムのメニュー画面を示す図である。
【図5】オペレーティングシステムから起動されるウェブブラウザプログラムの画面を示す図である。
【図6】ゲームプログラムのメイン画面を示す図である。
【図7】ゲームプログラムのメニュー画面を示す図である。
【図8】ゲームプログラムから起動されるウェブブラウザプログラムの画面を示す図である。
【図9】コンピュータゲームシステムのハードウェア構成図である。
【図10】プログラム間の連携を説明する図である。
【図11】ゲームプログラムの動作フロー図である。
【図12】ウェブブラウザプログラムの動作フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面に基づき詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係るコンピュータゲームシステム1の利用形態を示す斜視図である。同図に示すようにコンピュータゲームシステム1は、本体30、テレビ受像器32、カメラ31及びポインティングデバイス10を含んでいる。本体30は、MPU(Micro Processing Unit)を中心に構成されたコンピュータであり、テレビ受像器32に接続されており、該テレビ受像器32により画像を表示したり音声を出力したりする。テレビ受像器32の上には本体30に接続されたカメラ31が前方を向いて載置されており、カメラ31により撮影されるポインティングデバイス10の動画像が本体30に取り込まれる。ポインティングデバイス10は、円柱状の本体の先端に球形の発光部12が取り付けられた形状をなしており、ユーザは本体を手にして先端の発光部12を任意の位置に移動させることで位置を指示したり、或いは本体の軸方向をテレビ受像器32の画面の任意の位置に向けることで位置を指示したりできる。
【0014】
すなわち、本体30では、動画像における発光部12の位置及び直径を検知し、これらの情報に基づいて発光部12の空間中の位置(3次元座標)を算出する。さらに、ポインティングデバイス30は、図2に示すように、3軸ジャイロセンサ10a、3軸加速度センサ10b及び地磁気センサ10cを内蔵しており、ポインティングデバイス10の回転方向、並進方向、方位が得られるようになっている。また、複数のボタン13を備えており、これらボタン13が押下されているか否かも得られるようになっている。これらの情報は、内蔵される近距離無線通信ユニット10dにより本体30に送信される。本体30では、受信するポインティングデバイス10の回転方向、並進方向、方位に基づいて、ポインティングデバイス30の現在の姿勢を判断したり、動画像に発光部12が写っていない場合において発光部12の位置を判断したりする。
【0015】
図3は、動画像における発光部12の位置及び直径を検知する方法を説明する図である。同図は、カメラ31により取得する動画像を構成する各フレーム画像をフィルタ処理して、発光部12の発光色の部分31bのみを残した画像31aを示している。本体30では、同図に示す画像31aを生成した後、発光部12が写った領域の直径D、画像31a全体における発光部12が写った領域の中心の座標(X,Y)を取得する。そして、直径Dに基づいて発光部12の空間中の奥行き(カメラ31からの距離)、すなわちZ座標成分を決定する。具体的には、直径Dが大きければ大きいほどカメラ31に近いと判断し、小さければ小さいほどカメラ31から遠いと判断する。こうして、発光部12の空間位置(X,Y,Z)を取得する。
【0016】
図4は、テレビ受像器32に表示されるオペレテーティングシステムのメニュー画面を示している。本体30ではオペレテーティングシステムが実行されており、このオペレーティングシステムはメニュー画面をテレビ受像器32の表示面32aに表示させる。メニュー画面は複数のアイコン40を含んでおり、そのうち1つには選択的にカーソル画像41が併せて表示される。カーソル画像41は、発光部12を移動させることにより、他のアイコン40の位置に移動させることができる。すなわち、本体30は、上記(X,Y)に従ってカーソル画像41を移動させる。例えば、発光部12をカメラ31の前方で右方向に並進移動させることにより、カーソル画像41を右隣のアイコン40の位置に移動させることができる。逆に、左方向に並進移動させることにより、カーソル画像41を左隣のアイコン40の位置に移動させることができる。カーソル画像41を「ウェブブラウザ」の文字が表されたアイコン40の位置に移動させ、ポインティングデバイス10の特定のボタン13を押下することにより、本体30にてウェブブラウザのアプリケーションプログラムを実行させることができる。また、カーソル画像41を「ゲームX」の文字が表されたアイコン40の位置に移動させ、ポインティングデバイス10の特定のボタン13を押下することにより、本体30にてゲームXのアプリケーションプログラムを実行させることができる。
【0017】
図5は、図4に示すメニュー画面によりウェブブラウザプログラムを起動させた場合にテレビ受像器32の表示面32aに表示される画面を示している。同図に示すように、ウェブブラウザプログラムは、図示しないURL(Uniform Resource Locator)入力フォームに入力されたURLに従って、インターネット上のコンテンツ42を受信し、このコンテンツを表示面32aに表示させる。表示面32aには、ボタン画像43が含まれる。また、カーソル画像44も表示面32aに表示される。カーソル画像44は、発光部12を移動させることにより任意の位置に移動させることができる。すなわち、本体30は、上記(X,Y)に従ってカーソル画像44を上下左右に移動させる。カーソル画像44をボタン画像43に重ねた状態で、ポインティングデバイス10の特定のボタン13を押下することにより、本体に次のコンテンツを受信させ、表示面32aに表示させることができる。
【0018】
図6は、図4に示すメニュー画面によりゲームプログラムを起動させた場合にテレビ受像器32の表示面32aに表示されるメイン画面を示している。同図に示すように、このゲームプログラムは、ガンシューティングゲームに関するものであり、表示面32aには複数の敵ゲームキャラクター46が表示され、さらに照準画像47も表示される。すなわち、ポインティングデバイス10の本体の軸方向をテレビ受像器32の表示面32aの任意の位置に向けると、その位置(画面指示位置)に照準画像47が表示される。本体30は、ポインティングデバイス10から送信される該ポインティングデバイス10の回転方向、並進方向、方位に基づいて、ポインティングデバイス30の現在の姿勢を判断する。さらに、上述したポインティングデバイス10の空間中の位置(X,Y,Z)を取得する。そして、それらの情報からポインティングデバイス10の本体の軸方向に伸びる直線と、テレビ受像器32の表示面32aとの交点を算出し、この点を照準画像47の表示位置(画面指示位置)とする。照準画像47が表示面32aに表示されているときに、ポインティングデバイス10の特定のボタン13を押下すると、弾丸が発射されるようになっている。
【0019】
図7は、ゲームプログラムのメニュー画面を示している。このメニュー画面は、ゲームのプレイ中にポインティングデバイス10の特定のボタン13を押下することにより表示される。このメニュー画面においても、表示面32aに照準画像47が表示されている。照準画像47の表示位置は、メイン画面の場合と同様にして算出されており、ポインティングデバイス10の向きを変えることにより、照準画像47を任意のメニュー項目画像48の位置に移動させることができる。そして、任意のメニュー項目画像48の位置に照準画像47を重ねた状態で、ポインティングデバイス10の特定のボタン13を押下することにより、そのメニュー項目画像48に対応する処理を実行させることができる。ここでは、メニュー項目画像48の1つ、「特設サイト」の文字が表されたメニュー項目画像48がウェブブラウザプログラムに関連づけられており、同メニュー項目画像48を選択することにより、ウェブブラウザプログラムがゲームプログラムの子プロセスとして起動させるようになっている。このとき、起動パラメータとして、例えばゲームプログラムの開発企業のURLが含められる。
【0020】
図8は、図7に示すメニュー画面において「特設サイト」の文字が表されたメニュー項目画像48が選択された場合に、テレビ受像器32の表示面32aに表示される画面を示している。同図に示される画面は、ゲームプログラムの子プロセスとして起動されたウェブブラウザプログラムが生成するものである。これに対して、図5に示される画面は、オペレーティングシステムにより直接、親プロセスとして起動されたウェブブラウザプログラムが生成するものである。図8に示すように、この場合には、ゲームプログラムにより起動パラメータとして指定されたURLのコンテンツが表示面32aに表示される。このコンテンツには、他のコンテンツにリンクされたボタン画像49も含まれており、表示面32aに表示されたカーソル画像44をポインティングデバイス10により移動させ、ボタン画像49の位置に重ねた状態で特定のボタン13を押下することにより、同ボタン画像49を押下することができる。
【0021】
ここで特徴的な点は、カーソル画像44が、発光体12の空間中の位置(X,Y,z)に従って表示面32aを移動するのではなく、照準画像47と同様、ポインティングデバイス10の本体が指し示す表示面32aの位置に従って表示面32aを移動することである。このようにすることで、ゲームプログラムを、ポインティングデバイス10を用いて楽しんでいたユーザが、そのままの操作フィーリングでウェブブラウザプログラムの画面に対する操作を続けることができる。
【0022】
ここで、以上のような動作を実現するための本コンピュータゲームシステム1の処理について詳細に説明する。
【0023】
図9は、本体30のハードウェア構成図である。同図に示すように、本体30は、メモリ50、MPU51,ハードディスクドライブ52、表示制御部53、媒体リーダ54、通信部55,56、周辺機器インタフェース57を含んでおり、これらはバス59に接続され、相互にデータ通信できるようになっている。MPU51は、本体30の制御や演算を行うものであり、メモリ50はその作業用に用いられる。ハードディスクドライブ52は各種プログラムやそれらが用いるデータを記憶する。表示制御部53はテレビ受像器32に接続されるものであり、MPU51が生成する表示データをビデオ信号に変換してテレビ受像器32に出力する。媒体リーダ54は、各種の光磁気ディスク58に記録されたデータを読み取る装置である。通信部55は、近距離無線通信を行うものであり、ここではポインティングデバイス10に内蔵される近距離無線通信ユニット10dとデータ通信を行う。通信部56は、インターネット等の広域データ通信ネットワークに接続されており、該ネットワークに接続されたコンピュータから所望のデータを受信したり、それらコンピュータにデータを送信したりする。周辺機器インタフェース57には、ここではカメラ31が接続されている。
【0024】
図10に示すように、本体30のハードディスクドライブ52には、図示しないオペレーティングシステムの他に、ゲームプログラム60、ウェブブラウザプログラム62、ドライバプログラム63が記憶されている。これらのプログラムは光磁気ディスク58に格納されてよく、そこからハードディスクドライブ52にインストールされてよい。あるいは、通信部56により広域データ通信ネットワークからダウンロードしてもよい。ドライバプログラム63は、カメラ31により取得される画像から上記の空間位置の座標(X,Y,Z)を算出するプログラム、カメラ31により取得される画像及び各種センサから出力されるデータから画面指示位置を算出するプログラムを含んでいる。ゲームプログラム60は、ウェブブラウザを子プロセスとして起動すると、ドライバプログラム63に画面指示位置の演算を指示し、演算された画面指示位置を取得する。そして、取得される画面指示位置を、メモリ50又はMPU51に内蔵されるレジスタなどから構成される記憶手段61に格納する。ゲームプログラム60の子プロセスとして起動されたウェブブラウザプログラム62は、記憶手段61に記憶される画面指示位置を読み出し、その位置にカーソル画像44を表示させる(図8参照)。一方、ウェブブラウザプログラム62がオペレーティングシステムから直接起動された場合には、該ウェブブラウザプログラムはドライバプログラムに空間位置(X,Y,Z)の演算を指示し、演算された座標を取得する。そして、取得される座標にカーソル画像44を表示させる。すなわち、本コンピュータゲームシステム1によれば、ウェブブラウザプログラムは、起動元がオペレーティングシステムであるか、他のアプリケーションプログラムであるか、によりカーソル画像の表示位置の取得方法が異なっている。他のアプリケーションプログラムにより起動される場合には、そのアプリケーションプログラムが自らドライバプログラム63に演算を指示した位置にカーソル画像を表示するので、操作フィーリングが急変することが無い。なお、ここではドライバプログラム63に画面指示位置や空間位置を算出させるようにしたが、カメラ31で取得される画像やポインティングデバイス10の各種センサで取得されるデータから、ゲームプログラム60やウェブブラウザプログラム62が、それぞれ独自に算出してよいのはもちろんである。たとえば、ゲームプログラム60とともに、カメラ31で取得される画像やポインティングデバイス10の各種センサで取得されるデータから指示位置座標を算出するプログラムを、光磁気ディスク58に記憶しておき、ゲームプログラム60は、このプログラムに指示位置座標を算出させてよい。一方、ウェブブラウザプログラム62は、ドライバプログラム63に指示位置座標を算出させてよい。この場合、ウェブブラウザプログラム62は、ゲームプログラム60により起動された場合に、該ゲームプログラム60と共に配布されたプログラムによって算出された指示位置座標を受け取り、この指示位置座標にカーソル画像を表示する。光磁気ディスク58にゲームプログラム60と共に記憶されるプログラムと、ドライバプログラム63は、カメラ31で取得される画像やポインティングデバイス10の各種センサで取得されるデータのうち、どれに基づいて、またどのようなアルゴリズムで指示位置座標を算出するかが異なり得るが、本実施形態によれば、こうした場合にも操作フィーリングの変化を防ぐことができる。なお、ウェブブラウザプログラム62の本来の操作フィーリングの方が好ましいと考える場合には、ゲームプログラム60は、ドライバプログラム63と同様のやり方で指示位置座標を算出して、これを記憶手段61に記憶してもよい。あるいは、ゲームプログラム60は記憶手段61に指示位置座標を格納せず、この場合にはウェブブラウザプログラム62がドライバプログラム63に指示位置座標を計算させて、この指示位置座標にカーソル画像を表示させてよい。
【0025】
図11は、ゲームプログラム60がウェブブラウザプログラム62を子プロセスとして起動している際の処理フロー図である。同図に示すように、ゲームプログラム60は、ドライバプログラム63を用いて照準画像47の位置、すなわちポインティングデバイス10の画面指示位置を算出する(S101)。次に、算出される画面指示位置を記憶手段61に書き込む(S102)。そして、ウェブブラウザプログラム62の実行が終了するまで、以上の処理を繰り返す(S103)。
【0026】
図12は、ウェブブラウザプログラム62の処理フロー図である。ウェブブラウザプログラム62では、起動されると、まず初期ページを表示面32aに表示させる(S201)。具体的には、オペレーティングシステムから起動されている場合には、予め設定されたURLのウェブページを初期ページとして表示面32aに表示させる。一方、ゲームプログラム60から起動されている場合には、起動パラメータに含まれているURLのウェブページを初期ページとして表示面32aに表示させる。
【0027】
その後、起動プログラムがオペレーティングシステムであれば(S202)、ドライバプログラム63により空間位置(X,Y,Z)を計算させ(S203)、計算される位置にカーソル画像44を表示させる(S205)。一方、起動プログラムがゲームプログラム60であれば(S202)、記憶手段61から位置を読み出す(S204)。そして、読み出された位置にカーソル画像44を表示させる(S205)。
【0028】
そして、ウェブブラウザプログラム62の実行終了がポインティングデバイス10により指示されていなければ、他のウェブページにリンクされたボタン画像が選択されたか否かを判断する(S207)。そして、そのようなボタン画像が選択されていなければ、S202に戻り、選択されていれば、選択されたボタン画像に関連づけられたURLから新たなウェブページを取得し、このウェブページを表示面32aに表示させてから、S202に戻る。
【0029】
以上説明したコンピュータゲームシステム1によれば、ゲームプログラム60からウェブブラウザプログラム62が子プロセスとして起動された場合には、ウェブブラウザプログラム62がゲームプログラム60から位置座標を受け取り、その位置座標にカーソル画像44を表示させるようにしたので、ポインティングデバイス10の操作フィーリングの変化をユーザに感じさせずに済むようになる。
【0030】
なお、ここではゲームプログラムとウェブブラウザプログラムを例にとって、本発明の実施形態を説明したが、どのようなプログラムにも本発明が適用できるのはもちろんである。また、ポインティングデバイスの種類も、図2に示した形態に限らず、カメラ、赤外線、超音波などを用いる他の形式のポインティングデバイスにも、本発明が適用できるのはもちろんである。
【符号の説明】
【0031】
1 コンピュータゲームシステム、10 ポインティングデバイス、10a 3軸ジャイロセンサ、10b 3軸加速度センサ、10c 地磁気センサ、10d 近距離無線通信ユニット、12 発光部、30 本体、31 カメラ、32 テレビ受像機。
【技術分野】
【0001】
本発明はコンピュータシステム、コンピュータシステムの制御方法、プログラム及び情報記憶媒体に関し、特にポインティングデバイスにより操作されるプログラムの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータの入力デバイスとしてポインティングデバイスが広く用いられるようになっており、特にコンピュータゲームシステムでは、カメラ、赤外線信号、超音波信号などを用いてポインティングデバイスの位置を測定し、測定された位置によってメニュー項目を指示するためのカーソル画像やガンシューティングゲームの照準画像などの指示位置画像の表示位置を決定する、新しいタイプのポインティングデバイスも用いられるようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本願発明者らは、こうしたポインティングデバイスを用いるゲームアプリケーションプログラムの起動中に、ウェブブラウザ、時計/カレンダー、音楽プレイヤなど、他のアプリケーションプログラムを起動できるようにすることを検討している。この際、ポインティングデバイスを操作したときの指示位置画像の挙動が、ゲームアプリケーションプログラムの場合と該ゲームアプリケーションプログラムにより起動される他のアプリケーションプログラムの場合とで異なると、ユーザに戸惑いを与えるという課題を見いだすに至った。
【0004】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、ポインティングデバイスの操作フィーリングの変化をユーザに感じさせずに済むコンピュータシステム、コンピュータシステムの制御方法、プログラム及び情報記憶媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明に係るコンピュータシステムは、位置座標を算出するための基礎データを生成する座標指示システムを備え、第1アプリケーションプログラム、第2アプリケーションプログラム、及び第1及び第2アプリケーションプログラムを起動するオペレーティングシステムを記憶するコンピュータシステムにおいて、前記第1アプリケーションプログラムは、前記コンピュータシステムを、前記基礎データに基づいて算出される位置座標を取得する第1位置座標取得手段、前記第1位置座標取得手段により取得される位置座標に基づいて表示画面に指示位置画像を表示させる第1指示位置画像表示手段、前記第2アプリケーションプログラムを起動する起動手段、前記第1位置座標取得手段により取得される位置座標を、当該第1アプリケーションプログラムにより起動される前記第2アプリケーションプログラムに通知する通知手段、として機能させ、前記第2アプリケーションプログラムは、前記コンピュータシステムを、前記基礎データに基づいて算出される位置座標を取得する第2位置座標取得手段、前記第1アプリケーションプログラムにより当該第2アプリケーションプログラムが起動される場合に、前記通知手段により通知される位置座標を取得し、取得される位置座標に基づいて前記表示画面に指示位置画像を表示させ、前記オペレーティングシステムにより当該第2アプリケーションプログラムが起動される場合に、前記第2位置座標取得手段により取得される位置座標に基づいて前記表示画面に指示位置画像を表示させる第2指示位置画像表示手段、として機能させる、ことを特徴とする。
【0006】
また、前記基礎データは、ポインティングデバイスの位置を示す2次元座標データ及び該ポインティングデバイスの姿勢を示す姿勢データを含んでよい。前記第1位置座標取得手段は、前記基礎データに基づいて、前記ポインティングデバイスの指示方向を示す位置座標を取得してよい。前記第2位置座標取得手段は、前記基礎データに基づいて、前記ポインティングデバイスの所定部位の空間位置に対応する位置座標を取得してよい。
【0007】
さらに、前記第2アプリケーションプログラムは、前記コンピュータを、前記第1アプリケーションにより起動されたか、前記オペレーションシステムにより起動されたか、を判断する判断手段として更に機能させてよい。
【0008】
また、本発明に係るコンピュータシステムの制御方法は、位置座標を算出するための基礎データを生成する座標指示システムを備えるコンピュータシステムの制御方法であって、前記基礎データに基づいて算出される位置座標を取得するステップと、所定のアプリケーションプログラムが他のアプリケーションプログラムにより起動される場合に、前記他のアプリケーションプログラムにより通知される位置座標を取得し、取得される位置座標に基づいて表示画面に指示位置画像を表示させるステップと、前記所定のアプリケーションプログラムがオペレーティングシステムにより起動される場合に、前記取得するステップにより取得される位置座標に基づいて前記表示画面に指示位置画像を表示させるステップと、を含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るプログラムは、位置座標を算出するための基礎データを生成する座標指示システムを備えるコンピュータシステムにより実行されるプログラムであって、前記コンピュータシステムを、前記基礎データに基づいて算出される位置座標を取得する位置座標取得手段、前記位置座標取得手段により取得される位置座標に基づいて表示画面に指示位置画像を表示させる指示位置画像表示手段、他のプログラムを起動する起動手段、前記位置座標取得手段により取得される位置座標を、前記他のプログラムに通知する通知手段、として機能させることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の他の側面に係るプログラムは、位置座標を算出するための基礎データを生成する座標指示システムを備えるコンピュータシステムにより実行されるプログラムであって、前記コンピュータシステムを、前記基礎データに基づいて算出される位置座標を取得する位置座標取得手段、当該プログラムとは異なる第1のプログラムにより当該プログラムが起動される場合に、前記第1のプログラムにより通知される位置座標を取得し、取得される位置座標に基づいて表示画面に指示位置画像を表示させ、当該プログラムとは異なる第2のプログラムにより当該プログラムが起動される場合に、前記位置座標取得手段により取得される位置座標に基づいて前記表示画面に指示位置画像を表示させる指示位置画像表示手段、として機能させる、ことを特徴とする。また、本発明に係るコンピュータ可読情報記憶媒体は、上記プログラムを記憶したものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係るコンピュータゲームシステムの利用形態を示す斜視図である。
【図2】ポインティングデバイスを示す斜視図である。
【図3】ポインティングデバイスの指示位置の算出方法を示す図である。
【図4】オペレーティングシステムのメニュー画面を示す図である。
【図5】オペレーティングシステムから起動されるウェブブラウザプログラムの画面を示す図である。
【図6】ゲームプログラムのメイン画面を示す図である。
【図7】ゲームプログラムのメニュー画面を示す図である。
【図8】ゲームプログラムから起動されるウェブブラウザプログラムの画面を示す図である。
【図9】コンピュータゲームシステムのハードウェア構成図である。
【図10】プログラム間の連携を説明する図である。
【図11】ゲームプログラムの動作フロー図である。
【図12】ウェブブラウザプログラムの動作フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面に基づき詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係るコンピュータゲームシステム1の利用形態を示す斜視図である。同図に示すようにコンピュータゲームシステム1は、本体30、テレビ受像器32、カメラ31及びポインティングデバイス10を含んでいる。本体30は、MPU(Micro Processing Unit)を中心に構成されたコンピュータであり、テレビ受像器32に接続されており、該テレビ受像器32により画像を表示したり音声を出力したりする。テレビ受像器32の上には本体30に接続されたカメラ31が前方を向いて載置されており、カメラ31により撮影されるポインティングデバイス10の動画像が本体30に取り込まれる。ポインティングデバイス10は、円柱状の本体の先端に球形の発光部12が取り付けられた形状をなしており、ユーザは本体を手にして先端の発光部12を任意の位置に移動させることで位置を指示したり、或いは本体の軸方向をテレビ受像器32の画面の任意の位置に向けることで位置を指示したりできる。
【0014】
すなわち、本体30では、動画像における発光部12の位置及び直径を検知し、これらの情報に基づいて発光部12の空間中の位置(3次元座標)を算出する。さらに、ポインティングデバイス30は、図2に示すように、3軸ジャイロセンサ10a、3軸加速度センサ10b及び地磁気センサ10cを内蔵しており、ポインティングデバイス10の回転方向、並進方向、方位が得られるようになっている。また、複数のボタン13を備えており、これらボタン13が押下されているか否かも得られるようになっている。これらの情報は、内蔵される近距離無線通信ユニット10dにより本体30に送信される。本体30では、受信するポインティングデバイス10の回転方向、並進方向、方位に基づいて、ポインティングデバイス30の現在の姿勢を判断したり、動画像に発光部12が写っていない場合において発光部12の位置を判断したりする。
【0015】
図3は、動画像における発光部12の位置及び直径を検知する方法を説明する図である。同図は、カメラ31により取得する動画像を構成する各フレーム画像をフィルタ処理して、発光部12の発光色の部分31bのみを残した画像31aを示している。本体30では、同図に示す画像31aを生成した後、発光部12が写った領域の直径D、画像31a全体における発光部12が写った領域の中心の座標(X,Y)を取得する。そして、直径Dに基づいて発光部12の空間中の奥行き(カメラ31からの距離)、すなわちZ座標成分を決定する。具体的には、直径Dが大きければ大きいほどカメラ31に近いと判断し、小さければ小さいほどカメラ31から遠いと判断する。こうして、発光部12の空間位置(X,Y,Z)を取得する。
【0016】
図4は、テレビ受像器32に表示されるオペレテーティングシステムのメニュー画面を示している。本体30ではオペレテーティングシステムが実行されており、このオペレーティングシステムはメニュー画面をテレビ受像器32の表示面32aに表示させる。メニュー画面は複数のアイコン40を含んでおり、そのうち1つには選択的にカーソル画像41が併せて表示される。カーソル画像41は、発光部12を移動させることにより、他のアイコン40の位置に移動させることができる。すなわち、本体30は、上記(X,Y)に従ってカーソル画像41を移動させる。例えば、発光部12をカメラ31の前方で右方向に並進移動させることにより、カーソル画像41を右隣のアイコン40の位置に移動させることができる。逆に、左方向に並進移動させることにより、カーソル画像41を左隣のアイコン40の位置に移動させることができる。カーソル画像41を「ウェブブラウザ」の文字が表されたアイコン40の位置に移動させ、ポインティングデバイス10の特定のボタン13を押下することにより、本体30にてウェブブラウザのアプリケーションプログラムを実行させることができる。また、カーソル画像41を「ゲームX」の文字が表されたアイコン40の位置に移動させ、ポインティングデバイス10の特定のボタン13を押下することにより、本体30にてゲームXのアプリケーションプログラムを実行させることができる。
【0017】
図5は、図4に示すメニュー画面によりウェブブラウザプログラムを起動させた場合にテレビ受像器32の表示面32aに表示される画面を示している。同図に示すように、ウェブブラウザプログラムは、図示しないURL(Uniform Resource Locator)入力フォームに入力されたURLに従って、インターネット上のコンテンツ42を受信し、このコンテンツを表示面32aに表示させる。表示面32aには、ボタン画像43が含まれる。また、カーソル画像44も表示面32aに表示される。カーソル画像44は、発光部12を移動させることにより任意の位置に移動させることができる。すなわち、本体30は、上記(X,Y)に従ってカーソル画像44を上下左右に移動させる。カーソル画像44をボタン画像43に重ねた状態で、ポインティングデバイス10の特定のボタン13を押下することにより、本体に次のコンテンツを受信させ、表示面32aに表示させることができる。
【0018】
図6は、図4に示すメニュー画面によりゲームプログラムを起動させた場合にテレビ受像器32の表示面32aに表示されるメイン画面を示している。同図に示すように、このゲームプログラムは、ガンシューティングゲームに関するものであり、表示面32aには複数の敵ゲームキャラクター46が表示され、さらに照準画像47も表示される。すなわち、ポインティングデバイス10の本体の軸方向をテレビ受像器32の表示面32aの任意の位置に向けると、その位置(画面指示位置)に照準画像47が表示される。本体30は、ポインティングデバイス10から送信される該ポインティングデバイス10の回転方向、並進方向、方位に基づいて、ポインティングデバイス30の現在の姿勢を判断する。さらに、上述したポインティングデバイス10の空間中の位置(X,Y,Z)を取得する。そして、それらの情報からポインティングデバイス10の本体の軸方向に伸びる直線と、テレビ受像器32の表示面32aとの交点を算出し、この点を照準画像47の表示位置(画面指示位置)とする。照準画像47が表示面32aに表示されているときに、ポインティングデバイス10の特定のボタン13を押下すると、弾丸が発射されるようになっている。
【0019】
図7は、ゲームプログラムのメニュー画面を示している。このメニュー画面は、ゲームのプレイ中にポインティングデバイス10の特定のボタン13を押下することにより表示される。このメニュー画面においても、表示面32aに照準画像47が表示されている。照準画像47の表示位置は、メイン画面の場合と同様にして算出されており、ポインティングデバイス10の向きを変えることにより、照準画像47を任意のメニュー項目画像48の位置に移動させることができる。そして、任意のメニュー項目画像48の位置に照準画像47を重ねた状態で、ポインティングデバイス10の特定のボタン13を押下することにより、そのメニュー項目画像48に対応する処理を実行させることができる。ここでは、メニュー項目画像48の1つ、「特設サイト」の文字が表されたメニュー項目画像48がウェブブラウザプログラムに関連づけられており、同メニュー項目画像48を選択することにより、ウェブブラウザプログラムがゲームプログラムの子プロセスとして起動させるようになっている。このとき、起動パラメータとして、例えばゲームプログラムの開発企業のURLが含められる。
【0020】
図8は、図7に示すメニュー画面において「特設サイト」の文字が表されたメニュー項目画像48が選択された場合に、テレビ受像器32の表示面32aに表示される画面を示している。同図に示される画面は、ゲームプログラムの子プロセスとして起動されたウェブブラウザプログラムが生成するものである。これに対して、図5に示される画面は、オペレーティングシステムにより直接、親プロセスとして起動されたウェブブラウザプログラムが生成するものである。図8に示すように、この場合には、ゲームプログラムにより起動パラメータとして指定されたURLのコンテンツが表示面32aに表示される。このコンテンツには、他のコンテンツにリンクされたボタン画像49も含まれており、表示面32aに表示されたカーソル画像44をポインティングデバイス10により移動させ、ボタン画像49の位置に重ねた状態で特定のボタン13を押下することにより、同ボタン画像49を押下することができる。
【0021】
ここで特徴的な点は、カーソル画像44が、発光体12の空間中の位置(X,Y,z)に従って表示面32aを移動するのではなく、照準画像47と同様、ポインティングデバイス10の本体が指し示す表示面32aの位置に従って表示面32aを移動することである。このようにすることで、ゲームプログラムを、ポインティングデバイス10を用いて楽しんでいたユーザが、そのままの操作フィーリングでウェブブラウザプログラムの画面に対する操作を続けることができる。
【0022】
ここで、以上のような動作を実現するための本コンピュータゲームシステム1の処理について詳細に説明する。
【0023】
図9は、本体30のハードウェア構成図である。同図に示すように、本体30は、メモリ50、MPU51,ハードディスクドライブ52、表示制御部53、媒体リーダ54、通信部55,56、周辺機器インタフェース57を含んでおり、これらはバス59に接続され、相互にデータ通信できるようになっている。MPU51は、本体30の制御や演算を行うものであり、メモリ50はその作業用に用いられる。ハードディスクドライブ52は各種プログラムやそれらが用いるデータを記憶する。表示制御部53はテレビ受像器32に接続されるものであり、MPU51が生成する表示データをビデオ信号に変換してテレビ受像器32に出力する。媒体リーダ54は、各種の光磁気ディスク58に記録されたデータを読み取る装置である。通信部55は、近距離無線通信を行うものであり、ここではポインティングデバイス10に内蔵される近距離無線通信ユニット10dとデータ通信を行う。通信部56は、インターネット等の広域データ通信ネットワークに接続されており、該ネットワークに接続されたコンピュータから所望のデータを受信したり、それらコンピュータにデータを送信したりする。周辺機器インタフェース57には、ここではカメラ31が接続されている。
【0024】
図10に示すように、本体30のハードディスクドライブ52には、図示しないオペレーティングシステムの他に、ゲームプログラム60、ウェブブラウザプログラム62、ドライバプログラム63が記憶されている。これらのプログラムは光磁気ディスク58に格納されてよく、そこからハードディスクドライブ52にインストールされてよい。あるいは、通信部56により広域データ通信ネットワークからダウンロードしてもよい。ドライバプログラム63は、カメラ31により取得される画像から上記の空間位置の座標(X,Y,Z)を算出するプログラム、カメラ31により取得される画像及び各種センサから出力されるデータから画面指示位置を算出するプログラムを含んでいる。ゲームプログラム60は、ウェブブラウザを子プロセスとして起動すると、ドライバプログラム63に画面指示位置の演算を指示し、演算された画面指示位置を取得する。そして、取得される画面指示位置を、メモリ50又はMPU51に内蔵されるレジスタなどから構成される記憶手段61に格納する。ゲームプログラム60の子プロセスとして起動されたウェブブラウザプログラム62は、記憶手段61に記憶される画面指示位置を読み出し、その位置にカーソル画像44を表示させる(図8参照)。一方、ウェブブラウザプログラム62がオペレーティングシステムから直接起動された場合には、該ウェブブラウザプログラムはドライバプログラムに空間位置(X,Y,Z)の演算を指示し、演算された座標を取得する。そして、取得される座標にカーソル画像44を表示させる。すなわち、本コンピュータゲームシステム1によれば、ウェブブラウザプログラムは、起動元がオペレーティングシステムであるか、他のアプリケーションプログラムであるか、によりカーソル画像の表示位置の取得方法が異なっている。他のアプリケーションプログラムにより起動される場合には、そのアプリケーションプログラムが自らドライバプログラム63に演算を指示した位置にカーソル画像を表示するので、操作フィーリングが急変することが無い。なお、ここではドライバプログラム63に画面指示位置や空間位置を算出させるようにしたが、カメラ31で取得される画像やポインティングデバイス10の各種センサで取得されるデータから、ゲームプログラム60やウェブブラウザプログラム62が、それぞれ独自に算出してよいのはもちろんである。たとえば、ゲームプログラム60とともに、カメラ31で取得される画像やポインティングデバイス10の各種センサで取得されるデータから指示位置座標を算出するプログラムを、光磁気ディスク58に記憶しておき、ゲームプログラム60は、このプログラムに指示位置座標を算出させてよい。一方、ウェブブラウザプログラム62は、ドライバプログラム63に指示位置座標を算出させてよい。この場合、ウェブブラウザプログラム62は、ゲームプログラム60により起動された場合に、該ゲームプログラム60と共に配布されたプログラムによって算出された指示位置座標を受け取り、この指示位置座標にカーソル画像を表示する。光磁気ディスク58にゲームプログラム60と共に記憶されるプログラムと、ドライバプログラム63は、カメラ31で取得される画像やポインティングデバイス10の各種センサで取得されるデータのうち、どれに基づいて、またどのようなアルゴリズムで指示位置座標を算出するかが異なり得るが、本実施形態によれば、こうした場合にも操作フィーリングの変化を防ぐことができる。なお、ウェブブラウザプログラム62の本来の操作フィーリングの方が好ましいと考える場合には、ゲームプログラム60は、ドライバプログラム63と同様のやり方で指示位置座標を算出して、これを記憶手段61に記憶してもよい。あるいは、ゲームプログラム60は記憶手段61に指示位置座標を格納せず、この場合にはウェブブラウザプログラム62がドライバプログラム63に指示位置座標を計算させて、この指示位置座標にカーソル画像を表示させてよい。
【0025】
図11は、ゲームプログラム60がウェブブラウザプログラム62を子プロセスとして起動している際の処理フロー図である。同図に示すように、ゲームプログラム60は、ドライバプログラム63を用いて照準画像47の位置、すなわちポインティングデバイス10の画面指示位置を算出する(S101)。次に、算出される画面指示位置を記憶手段61に書き込む(S102)。そして、ウェブブラウザプログラム62の実行が終了するまで、以上の処理を繰り返す(S103)。
【0026】
図12は、ウェブブラウザプログラム62の処理フロー図である。ウェブブラウザプログラム62では、起動されると、まず初期ページを表示面32aに表示させる(S201)。具体的には、オペレーティングシステムから起動されている場合には、予め設定されたURLのウェブページを初期ページとして表示面32aに表示させる。一方、ゲームプログラム60から起動されている場合には、起動パラメータに含まれているURLのウェブページを初期ページとして表示面32aに表示させる。
【0027】
その後、起動プログラムがオペレーティングシステムであれば(S202)、ドライバプログラム63により空間位置(X,Y,Z)を計算させ(S203)、計算される位置にカーソル画像44を表示させる(S205)。一方、起動プログラムがゲームプログラム60であれば(S202)、記憶手段61から位置を読み出す(S204)。そして、読み出された位置にカーソル画像44を表示させる(S205)。
【0028】
そして、ウェブブラウザプログラム62の実行終了がポインティングデバイス10により指示されていなければ、他のウェブページにリンクされたボタン画像が選択されたか否かを判断する(S207)。そして、そのようなボタン画像が選択されていなければ、S202に戻り、選択されていれば、選択されたボタン画像に関連づけられたURLから新たなウェブページを取得し、このウェブページを表示面32aに表示させてから、S202に戻る。
【0029】
以上説明したコンピュータゲームシステム1によれば、ゲームプログラム60からウェブブラウザプログラム62が子プロセスとして起動された場合には、ウェブブラウザプログラム62がゲームプログラム60から位置座標を受け取り、その位置座標にカーソル画像44を表示させるようにしたので、ポインティングデバイス10の操作フィーリングの変化をユーザに感じさせずに済むようになる。
【0030】
なお、ここではゲームプログラムとウェブブラウザプログラムを例にとって、本発明の実施形態を説明したが、どのようなプログラムにも本発明が適用できるのはもちろんである。また、ポインティングデバイスの種類も、図2に示した形態に限らず、カメラ、赤外線、超音波などを用いる他の形式のポインティングデバイスにも、本発明が適用できるのはもちろんである。
【符号の説明】
【0031】
1 コンピュータゲームシステム、10 ポインティングデバイス、10a 3軸ジャイロセンサ、10b 3軸加速度センサ、10c 地磁気センサ、10d 近距離無線通信ユニット、12 発光部、30 本体、31 カメラ、32 テレビ受像機。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置座標を算出するための基礎データを生成する座標指示システムを備え、第1アプリケーションプログラム、第2アプリケーションプログラム、及び第1及び第2アプリケーションプログラムを起動するオペレーティングシステムを記憶するコンピュータシステムにおいて、
前記第1アプリケーションプログラムは、前記コンピュータシステムを、
前記基礎データに基づいて算出される位置座標を取得する第1位置座標取得手段、
前記第1位置座標取得手段により取得される位置座標に基づいて表示画面に指示位置画像を表示させる第1指示位置画像表示手段、
前記第2アプリケーションプログラムを起動する起動手段、
前記第1位置座標取得手段により取得される位置座標を、当該第1アプリケーションプログラムにより起動される前記第2アプリケーションプログラムに通知する通知手段、として機能させ、
前記第2アプリケーションプログラムは、前記コンピュータシステムを、
前記基礎データに基づいて算出される位置座標を取得する第2位置座標取得手段、
前記第1アプリケーションプログラムにより当該第2アプリケーションプログラムが起動される場合に、前記通知手段により通知される位置座標を取得し、取得される位置座標に基づいて前記表示画面に指示位置画像を表示させ、前記オペレーティングシステムにより当該第2アプリケーションプログラムが起動される場合に、前記第2位置座標取得手段により取得される位置座標に基づいて前記表示画面に指示位置画像を表示させる第2指示位置画像表示手段、として機能させる、
ことを特徴とするコンピュータシステム。
【請求項2】
前記基礎データは、ポインティングデバイスの位置を示す2次元座標データ及び該ポインティングデバイスの姿勢を示す姿勢データを含み、
前記第1位置座標取得手段は、前記基礎データに基づいて、前記ポインティングデバイスの指示方向を示す位置座標を取得し、
前記第2位置座標取得手段は、前記基礎データに基づいて、前記ポインティングデバイスの所定部位の空間位置に対応する位置座標を取得する、
ことを特徴とする請求項1に記載のコンピュータシステム。
【請求項3】
前記第2アプリケーションプログラムは、前記コンピュータを、
前記第1アプリケーションにより起動されたか、前記オペレーションシステムにより起動されたか、を判断する判断手段として更に機能させる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のコンピュータシステム。
【請求項4】
位置座標を算出するための基礎データを生成する座標指示システムを備えるコンピュータシステムの制御方法であって、
前記基礎データに基づいて算出される位置座標を取得するステップと、
所定のアプリケーションプログラムが他のアプリケーションプログラムにより起動される場合に、前記他のアプリケーションプログラムにより通知される位置座標を取得し、取得される位置座標に基づいて表示画面に指示位置画像を表示させるステップと、
前記所定のアプリケーションプログラムがオペレーティングシステムにより起動される場合に、前記取得するステップにより取得される位置座標に基づいて前記表示画面に指示位置画像を表示させるステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
位置座標を算出するための基礎データを生成する座標指示システムを備えるコンピュータシステムにより実行されるプログラムであって、
前記コンピュータシステムを、
前記基礎データに基づいて算出される位置座標を取得する位置座標取得手段、
前記位置座標取得手段により取得される位置座標に基づいて表示画面に指示位置画像を表示させる指示位置画像表示手段、
他のプログラムを起動する起動手段、
前記位置座標取得手段により取得される位置座標を、前記他のプログラムに通知する通知手段、として機能させる、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項6】
位置座標を算出するための基礎データを生成する座標指示システムを備えるコンピュータシステムにより実行されるプログラムであって、
前記コンピュータシステムを、
前記基礎データに基づいて算出される位置座標を取得する位置座標取得手段、
当該プログラムとは異なる第1のプログラムにより当該プログラムが起動される場合に、前記第1のプログラムにより通知される位置座標を取得し、取得される位置座標に基づいて表示画面に指示位置画像を表示させ、当該プログラムとは異なる第2のプログラムにより当該プログラムが起動される場合に、前記位置座標取得手段により取得される位置座標に基づいて前記表示画面に指示位置画像を表示させる指示位置画像表示手段、として機能させる、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項7】
請求項5又は6に記載のプログラムを記憶したコンピュータ可読情報記憶媒体。
【請求項1】
位置座標を算出するための基礎データを生成する座標指示システムを備え、第1アプリケーションプログラム、第2アプリケーションプログラム、及び第1及び第2アプリケーションプログラムを起動するオペレーティングシステムを記憶するコンピュータシステムにおいて、
前記第1アプリケーションプログラムは、前記コンピュータシステムを、
前記基礎データに基づいて算出される位置座標を取得する第1位置座標取得手段、
前記第1位置座標取得手段により取得される位置座標に基づいて表示画面に指示位置画像を表示させる第1指示位置画像表示手段、
前記第2アプリケーションプログラムを起動する起動手段、
前記第1位置座標取得手段により取得される位置座標を、当該第1アプリケーションプログラムにより起動される前記第2アプリケーションプログラムに通知する通知手段、として機能させ、
前記第2アプリケーションプログラムは、前記コンピュータシステムを、
前記基礎データに基づいて算出される位置座標を取得する第2位置座標取得手段、
前記第1アプリケーションプログラムにより当該第2アプリケーションプログラムが起動される場合に、前記通知手段により通知される位置座標を取得し、取得される位置座標に基づいて前記表示画面に指示位置画像を表示させ、前記オペレーティングシステムにより当該第2アプリケーションプログラムが起動される場合に、前記第2位置座標取得手段により取得される位置座標に基づいて前記表示画面に指示位置画像を表示させる第2指示位置画像表示手段、として機能させる、
ことを特徴とするコンピュータシステム。
【請求項2】
前記基礎データは、ポインティングデバイスの位置を示す2次元座標データ及び該ポインティングデバイスの姿勢を示す姿勢データを含み、
前記第1位置座標取得手段は、前記基礎データに基づいて、前記ポインティングデバイスの指示方向を示す位置座標を取得し、
前記第2位置座標取得手段は、前記基礎データに基づいて、前記ポインティングデバイスの所定部位の空間位置に対応する位置座標を取得する、
ことを特徴とする請求項1に記載のコンピュータシステム。
【請求項3】
前記第2アプリケーションプログラムは、前記コンピュータを、
前記第1アプリケーションにより起動されたか、前記オペレーションシステムにより起動されたか、を判断する判断手段として更に機能させる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のコンピュータシステム。
【請求項4】
位置座標を算出するための基礎データを生成する座標指示システムを備えるコンピュータシステムの制御方法であって、
前記基礎データに基づいて算出される位置座標を取得するステップと、
所定のアプリケーションプログラムが他のアプリケーションプログラムにより起動される場合に、前記他のアプリケーションプログラムにより通知される位置座標を取得し、取得される位置座標に基づいて表示画面に指示位置画像を表示させるステップと、
前記所定のアプリケーションプログラムがオペレーティングシステムにより起動される場合に、前記取得するステップにより取得される位置座標に基づいて前記表示画面に指示位置画像を表示させるステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
位置座標を算出するための基礎データを生成する座標指示システムを備えるコンピュータシステムにより実行されるプログラムであって、
前記コンピュータシステムを、
前記基礎データに基づいて算出される位置座標を取得する位置座標取得手段、
前記位置座標取得手段により取得される位置座標に基づいて表示画面に指示位置画像を表示させる指示位置画像表示手段、
他のプログラムを起動する起動手段、
前記位置座標取得手段により取得される位置座標を、前記他のプログラムに通知する通知手段、として機能させる、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項6】
位置座標を算出するための基礎データを生成する座標指示システムを備えるコンピュータシステムにより実行されるプログラムであって、
前記コンピュータシステムを、
前記基礎データに基づいて算出される位置座標を取得する位置座標取得手段、
当該プログラムとは異なる第1のプログラムにより当該プログラムが起動される場合に、前記第1のプログラムにより通知される位置座標を取得し、取得される位置座標に基づいて表示画面に指示位置画像を表示させ、当該プログラムとは異なる第2のプログラムにより当該プログラムが起動される場合に、前記位置座標取得手段により取得される位置座標に基づいて前記表示画面に指示位置画像を表示させる指示位置画像表示手段、として機能させる、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項7】
請求項5又は6に記載のプログラムを記憶したコンピュータ可読情報記憶媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−61249(P2012−61249A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−209778(P2010−209778)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(310021766)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (417)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(310021766)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (417)
【Fターム(参考)】
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