説明

コンピュータシステム、及び省電力制御方法

【課題】OSやSMSの仕様に関わらず、プロセッサの省電力制御機能を実現することができる、コンピュータシステム、及び省電力制御方法を提供すること。
【解決手段】BMCが、各プロセッサにおける消費電力に関連する情報を電力情報として取得し、前記電力情報に基づいて、前記複数のプロセッサ全体において、処理性能が維持され、消費電力が低減される条件を識別し、識別結果に基づいて、電源をオン又はオフに変更するべきプロセッサを特定プロセッサとして特定し、前記特定プロセッサを示す最適化情報を生成し、前記最適化情報に基づいて、前記特定プロセッサを前記OSの配下から切り離す旨、又は、前記特定プロセッサを前記OSの配下に組み込む旨を示す割り込み要求を生成し、前記割り込み要求を前記OSに通知する。OSは、前記割り込み要求に従って、前記特定プロセッサを、配下に組み込み、又は、配下から切り離す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータシステム、及びコンピュータシステムにおける省電力制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータシステムでは、消費電力を抑制するために、省電力機能が搭載される。現在、ほとんどのコンピュータシステムでは、省電力動作を実現するために、OS(Operating System)とハードウェア部分との間のインターフェースとして、ACPI(Advanced Configuration and Power Interface)規格に従う手段が採用されている。特に、プロセッサを省電力で動作させるために、ACPI Specification (Revision 3.0a)の「8 Processor Power and Performance State Configuration and Control 」の章に記載されている手段が利用されている。
【0003】
コンピュータシステムとして、複数のプロセッサを備えるマルチプロセッサシステムが知られている。マルチプロセッサシステムにおいても、上述のように、ACPI規格を利用して、省電力機能が実現される。
【0004】
図1は、コンピュータシステムにおける省電力動作を概念的に示す図である。コンピュータシステムにおいては、ハードウェア部分101(ハードウェア及びファームウェア)上において、OS(Operating System)102が動作する。また、OS102上においては、API(Application Program Interface)105を介して、SMS(System Management Software)103が動作する。ハードウェア部分101には、プロセッサの電力を制御するためのプロセッサ電力制御手段106が設けられる。OS102は、プロセッサ電力制御手段107を有している。また、OS102又はSMS103は、プロセッサ状態監視手段108を有している。プロセッサ電力制御手段106及びプロセッサ電力制御手段107は、ACPI規格に規定される機能により、プロセッサの省電力動作を実現する。
【0005】
図1に示されるコンピュータシステムにおいては、OS102又はSMS103が、プロセッサ状態監視手段108により、プロセッサの動作状態を監視し、省電力モードに移行するか否かを決定する。省電力モードに移行する場合、OS102において、プロセッサ電力制御手段107が、どの状態(ステート)でプロセッサを動作させるかを決定する。そして、プロセッサ電力制御手段107は、ACPI104を介して、決定された状態でプロセッサが動作するように、ハードウェア部分101を制御する。ハードウェア部分101では、プロセッサ電力制御手段106により、決定された状態で動作するように、プロセッサが制御される。
【0006】
尚、省電力動作に関連する技術として、特許文献1(特開2005−18662号公報)には、パワーマネージメントシステムが開示されている。特許文献1には、マルチタスクのシステムにおいて、全てのプログラムが休止状態であることを知る手段と、CPU_Idleの発生割合を計測する手段と、マルチタスクシステムであっても、CPU_Idleの発生頻度から各プログラムの処理終了を認識する手段と、プログラムが動作していないときは、周辺デバイスへの電源供給を停止し、または、CPUクロックを停止又は低下させる手段を有する点が記載されている。
【0007】
他の関連技術として、特許文献2(特開2010−250792号公報)には、節電電子装置が開示されている。この節電電子装置においては、ACPIのS3状態などのメモリサスペンド状態にあるとき、サウスブリッジチップとSIOチップの電源を強制的に切断し、電力を節減する点が開示されている。
【0008】
更に他の関連技術として、特許文献3(特開2008−165803号公報)には、ブレードサーバ管理システムが開示されている。基板管理制御器(Baseboard Management Controller : BMC)がブレードサーバの動作パラメータを監視制御し、各ブレードのオン、オフ、電源管理の制御を提供する点が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−18662号公報
【特許文献2】特開2010−250792号公報
【特許文献3】特開2008−165803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図1に示したように、ACPI規格を利用してプロセッサの省電力制御機能を実現する場合には、以下の課題がある。
【0011】
まず、OS102は、プロセッサ電力制御手段107を実現するために、ACPIに規定される機能を有していなければならない。ACPI規格では、プロセッサの動作状態として、C0ステート(Processor Power State C0)、C1ステート(Processor Power State C1)、C2ステート(Processor Power State C2)、C3ステート(Processor Power State C3)、及びPxステート(Processor Performance State Px)などが規定されている。従って、OS102は、これらACPI規格によって規定される動作状態でプロセッサを制御することができるような機能を有していなければならない。ACPI規格では、OS102に対し、ステートC0及びステートC1でプロセッサを制御することができるような機能をサポートしていることが義務付けられている。従って、殆どの場合、OS102は、ステートC0及びステートC1に関する機能をサポートしている。しかしながら、しかし、C2ステート、C3ステート、及びPxステートなどは、ACPI規格においてオプションとして規定されている。また、C2ステート、C4ステート、及びPxステートでプロセッサを動作させるためには、プロセッサがこれらのステートで動作するような機能をサポートしている必要がある。そのため、殆どの場合、OS102は、C2ステート、C3ステート、及びPxステートに関する機能をサポートしていない。
【0012】
すなわち、殆どの場合、OS102は、ステートC0及びステートC1によって、プロセッサの省電力動作を実現する。ステートC0では、プロセッサが、通常状態で動作する。ステートC1では、プロセッサにおいて命令の実行が停止される。プロセッサの動作状態がステートC1になるように制御されたとしても、プロセッサの命令実行が停止されるだけであり、プロセッサ自身の電源がオフ状態にされるわけではない。従って、省電力効果は、低い。
【0013】
また、ACPI規格を利用する場合、OS102又はSMS103は、プロセッサ状態監視手段108を備えてなければならない。すなわち、OS102又はSMS103が、プロセッサの状態を監視する機能を有していなければならない。コンピュータシステムにおいては、OS102又はSM103が、プロセッサの状態を監視する機能を有していない場合もある。そのような場合、プロセッサの省電力制御機能を実現することができない。
【0014】
従って、本発明の課題は、OSやSMSの仕様に関わらず、プロセッサの省電力制御機能を実現することができる、コンピュータシステム、及び省電力制御方法を提供することにある。
【0015】
尚、引用文献1乃至3のいずれにおいても、OSやSMSの仕様に関わらずプロセッサの省電力制御機能を実現する点については、触れられていない。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係るコンピュータシステムは、複数のプロセッサと、前記複数のプロセッサに対応して設けられ、対応する前記各プロセッサに電源電圧を供給する、複数の電源制御回路と、複数の処理を前記複数のプロセッサに分散させて処理させるOS(Operating System)を記憶する、メモリと、前記複数の電源制御回路の動作を制御する、BMC(Base Management Controller)とを具備する。前記BMCは、前記各プロセッサにおける消費電力に関連する情報を電力情報として取得する、監視部と、前記電力情報に基づいて、前記複数のプロセッサ全体において、処理性能が維持され、消費電力が低減されるように、前記各プロセッサを動作させるか否かを決定し、決定結果を示す最適化情報を生成する最適化部と、前記最適化情報に基づいて、前記各プロセッサを前記OSの配下から切り離す旨、又は、前記各プロセッサを前記OSの配下に組み込む旨を示す割り込み要求を生成し、前記割り込み要求を前記OSに通知する、プラグアンドプレイ部とを備える。前記OSは、前記割り込み要求に従って、前記各プロセッサを、配下に組み込み、又は、配下から切り離す。前記プラグアンドプレイ部は、前記各プロセッサが組み込まれた後、又は前記各プロセッサが切り離された後に、前記各プロセッサに対する電源電圧の供給が開始又は停止されるように、前記複数の電源制御回路の動作を制御する。
【0017】
本発明に係る省電力制御方法は、複数のプロセッサと、前記複数のプロセッサに対応して設けられ、対応する前記各プロセッサに電源電圧を供給する、複数の電源制御回路と、複数の処理を前記複数のプロセッサに分散させて処理させるOS(Operating System)を記憶する、メモリと、前記複数の電源制御回路の動作を制御する、BMC(Base Management Controller)とを具備するコンピュータシステムにおける省電力制御方法である。この省電力制御方法は、前記BMCが、前記各プロセッサにおける消費電力に関連する情報を電力情報として取得するステップと、前記BMCが、前記電力情報に基づいて、前記複数のプロセッサ全体において、処理性能が維持され、消費電力が低減されるように、前記各プロセッサを動作させるか否かを決定し、決定結果を示す最適化情報を生成するステップと、前記BMCが、前記最適化情報に基づいて、前記各プロセッサを前記OSの配下から切り離す旨、又は、前記各プロセッサを前記OSの配下に組み込む旨を示す割り込み要求を生成し、前記割り込み要求を前記OSに通知するステップと、前記OSが、前記割り込み要求に従って、前記各プロセッサを、配下に組み込み、又は、配下から切り離すステップと、前記BMCが、前記各プロセッサが組み込まれた後、又は前記各プロセッサが切り離された後に、前記各プロセッサに対する電源電圧の供給が開始又は停止されるように、前記複数の電源制御回路の動作を制御するステップとを具備する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の課題は、OSやSMSの仕様に関わらず、プロセッサの省電力制御機能を実現することができる、コンピュータシステム、及び省電力制御方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】コンピュータシステムにおける省電力動作を概念的に示す図である。
【図2】実施形態に係るコンピュータシステムの機能構成を概略的に示す概念図である。
【図3】実施形態に係るコンピュータシステムを示すブロック図である。
【図4】BMCの機能構成を示す概略図である。
【図5】性能テーブルの一例を示す概念図である。
【図6】コンピュータシステムの動作方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
【0021】
まず、本実施形態に係るコンピュータシステム1について、概略的に説明する。
【0022】
図2は、本実施形態に係るコンピュータシステム1の機能構成を概略的に示す概念図である。尚、本実施形態に係るコンピュータシステム1は、複数のプロセッサを備えるマルチプロセッサコンピュータシステムであるものとする。
【0023】
図2に示されるように、コンピュータシステム1では、ハードウェア部分2上において、OS3が動作する。OS3は、複数のプロセッサにより実行される。また、OS3上において、SMS4(システムマネジメントソフトウェア)が動作する。
【0024】
ハードウェア部分2は、ハードウェア及びファームウェアによって構成される部分であり、監視部7、最適化部6、及びプラグアンドプレイ部5を備えている。監視部7は、複数のプロセッサそれぞれにおける消費電力に関する情報(電力情報)を取得(監視)する機能を有している。最適化部6は、電力情報に基づいて、コンピュータシステム1の全体における電力パフォーマンスの最適解を解き、電源をオン又はオフに変更するプロセッサを特定する機能を有している。プラグアンドプレイ部5は、最適化部6において得られた結果に基づいて、特定したプロセッサの電源をオン又はオフにする機能を有している。
【0025】
一方、OS3は、プラグアンドプレイ部8を備えている。プラグアンドプレイ部8は、特定のプロセッサをOS3の配下に組み込む機能(オンラインにする機能)、及び、特定のプロセッサをOS3の配下から切り離す機能(オフラインにする機能)を有している。これらの機能は、ACPIにより規定されるプラグアンドプレイ(Plug and Play)機能である。
【0026】
本実施形態に係るコンピュータシステム1では、ハードウェア部分2において、監視部7が、複数のプロセッサの各々状態を監視し、電力情報を取得する。そして、最適化部6が、電力情報に基づいて、電力パフォーマンスの最適解を解き、電源をオン又はオフに変更するべきプロセッサを特定する。プラグアンドプレイ部5は、最適化部6において特定されたプロセッサをオフライン又はオンラインにする旨を示す割り込み要求を生成し、OS3に通知する。OS3は、割り込み要求を受け付けると、プラグアンドプレイ部8により、特定されたプロセッサをオフライン又はオンラインにする。その後、ハードウェア部分2において、プラグアンドプレイ部5が、特定されたプロセッサの電源をオン又はオフに変更する。
【0027】
上述のような動作方法により、複数のプロセッサが、最適化部6において最適化された状態で動作し、消費電力が抑制される。本実施形態によれば、OS3は、ACPIにおいて規定されるプラグアンドプレイ機能さえサポートしていればよく、ACPIに規定される電力制御機能(ステートC0、C1、C2、C3、Px)などをサポートしている必要はない。すなわち、OS3やSMS4の仕様にさほど依存することなく、プロセッサに対する省電力制御を実現することができる。また、動作する必要がないプロセッサの電源はオフにされるため、ACPIに規定されるステートC1とは異なり、複数のプロセッサにおいて消費される電力量を大きく減らすことができる。
【0028】
続いて、本実施形態に係るコンピュータシステム1について、詳細に説明する。
【0029】
図3は、本実施形態に係るコンピュータシステム1を示すブロック図である。図3に示されるように、コンピュータシステム1は、複数のプロセッサ9−1〜9−3、複数の電源制御回路10−1〜10−3、ホストブリッジ12、メモリ13、IOブリッジ14、複数のIOデバイス15、及びBMC(管理コントローラ;Base Management Controller)11を備えている。
【0030】
ホストブリッジ12は、複数のプロセッサ9−1〜9−3、メモリ13、及びIOブリッジ14に接続されている。IOブリッジ14の配下には、複数のIOデバイス15が接続されている。ホストブリッジ12は、複数のプロセッサ9−1〜9−3、メモリ13、及び複数のIOデバイス間におけるデータの転送を制御する機能を有している。IOブリッジ14は、ホストブリッジ12と複数のIOデバイス15との間におけるデータの転送を制御する。複数のIOデバイス15は、ネットワークデバイス、DISKデバイス等であり、コンピュータシステム1を周辺装置と接続するために用いられる。
【0031】
メモリ13には、OS及びSMSが格納されている。既述のように、OSは、複数のプロセッサ9−1〜9−3によって実行される。OSは、複数の処理を複数のプロセッサ9−1〜9−3に分散させ、実行する。SMSは、OS上で動作する。また、既述のように、OSは、ACPIに規定されるプラグアンドプレイ機能をサポートしている。
【0032】
複数のプロセッサ9−1〜9−3の各々には、温度を計測し、温度データを生成する温度モニタが設けられている。
【0033】
複数の電源制御回路10−1〜10−3は、複数のプロセッサ9−1〜9−3に対応して設けられている。複数の電源制御回路10の各々は、対応するプロセッサの電源として機能する。各電源制御回路10には、電流モニタが設けられている。電流モニタは、対応するプロセッサ9における消費電流を計測し、電流データを生成する。
【0034】
BMC11は、コンピュータシステム1に含まれる主要なハードウェア部品(複数のプロセッサ9−1〜9−3、ホストブリッジ12、IOブリッジ14等)を管理し、制御するために設けられている。BMC11は、管理バス16を介して、プロセッサ9−1〜9−3、ホストブリッジ12、IOブリッジ14、および複数の電源制御回路10−1〜10−3に接続されている。
【0035】
図4は、本発明に関連するBMC11の機能構成を示す概略図である。図4に示されるように、BMC11は、監視部7、最適化部6、及びプラグアンドプレイ部5を有している。
【0036】
監視部7は、各プロセッサ9の状態を監視する部分である。具体的には、監視部7は、各プロセッサにおける消費電流及び温度を監視する。すなわち、監視部7は、管理バス16を介して、各プロセッサ9に設けられた温度モニタから、温度データを取得する。また、監視部7は、管理バス16を介して、各電源制御回路10に設けられた電流モニタから、電流データを取得する。監視部7は、温度データ及び電流データを、電力情報として、最適化部6に通知する。
【0037】
最適化部6は、電力情報に基づいて、コンピュータシステム1における電力パフォーマンスの最適解を解き、電源をオン又はオフに変更するべきプロセッサを、特定プロセッサとして特定する。特定プロセッサの特定手法については、特に限定されるものではないが、例えば次のような手法を採用することができる。最適化部6は、予め設定された性能テーブルを保持している。図5は、性能テーブルの一例を示す概念図である。図5に示されるように、性能テーブルは、各プロセッサ10について、消費電流、温度、及び性能の対応関係を示している。最適化部6は、性能テーブルを参照し、電力情報に基づいて、現在複数のプロセッサ9−1〜9−3が有している性能を認識する。そして、最適化部6は、認識した現在の性能が維持できる条件のうちで、消費電流が最小となるような条件を特定する。更に、最適化部6は、特定した条件において、電源をオン又はオフに変更するべきプロセッサが存在する場合には、そのプロセッサを特定プロセッサとして特定する。
【0038】
プラグアンドプレイ部5は、ACPIに規定されるプラグアンドプレイ機能を有している。すなわち、プラグアンドプレイ部5は、特定プロセッサをオンライン(OSの配下に組み込む)又はオフライン(OSの配下から切り離す)旨を示す割り込み要求を生成し、OSに通知する機能を有している。また、プラグアンドプレイ部5は、OSによって特定プロセッサがオフライン又はオンラインに変更された後に、特定プロセッサに対する電源がオフ又はオンにされるように、特定プロセッサに対応する電源制御回路10の動作を制御する。
【0039】
続いて、本実施形態に係るコンピュータシステム1の動作方法について説明する。図6は、コンピュータシステム1の動作方法を示すフローチャートである。
【0040】
ステップS1:プロセッサ状態の監視
BMC11では、監視部7が、定期的に、全てのプロセッサの消費電流及び温度を監視する。すなわち、監視部7は、管理バス16を介して、各電源制御回路10−1から、電流データを取得する。また、監視部7は、管理バス16を介して、各プロセッサ9から、温度データを取得する。監視部7は、電流データ及び温度データを、電力情報として、最適化部6に通知する。
【0041】
ステップS2:電力パフォーマンス最適解の算出
次いで、BMC11において、最適化部6が、電力情報に基づいて、コンピュータシステム1における電力パフォーマンスを分析し、コンピュータシステムの性能が維持されたまま電力パフォーマンスが最良となるような条件(消費電流が最小となるような条件)を算出する。
【0042】
ステップS3:プロセッサの電源をON又はOFFに変更?
次いで、最適化部6により、電源をオン又はオフにするべきプロセッサが存在するか否かが判定され、存在する場合には、当該プロセッサが特定プロセッサとして特定される。例えば、全てのプロセッサが平均的に動作している場合、1/3のプロセッサの電源をオフに変更し、残り2/3のプロセッサに処理を集中させることにより、コンピュータシステム1全体における処理性能を維持したまま、消費電力を抑制できることがある。このような場合には、最適化部6により、1/3のプロセッサが、電源をオフにするべき特定プロセッサとして特定される。最適化部6は、特定プロセッサを示す情報を、最適化情報として、プラグアンドプレイ部5に通知する。
【0043】
ステップS4;OSにオンラインorオフライン指示
次いで、BMC11において、プラグアンドプレイ部5が、特定プロセッサがオフライン又はオンラインにされるように、割り込み要求を生成し、OSに通知する。割り込み要求は、ACPIに規定されているSCI(System Control Interrupt)に従って、通知される。
【0044】
ステップS5;OSがプロセッサをオフライン又はオンラインに変更
OSは、SCIによる割り込み要求を受け付けると、プラグアンドプレイ部8により、特定プロセッサをオフライン又はオンラインに変更する。その後、OSは、処理が完了した旨をBMC11に通知する。
【0045】
ステップS6;特定プロセッサの電源をオン又はオフ
BMC11では、OSから処理が完了した旨の通知を受け取ると、プラグアンドプレイ部5により、特定プロセッサの電源を、オン又はオフに変更する。具体的には、プラグアンドプレイ部5は、管理バス16を介して、特定プロセッサに対応する電源制御回路10に対して、指示を送る。
【0046】
以上説明したように、本実施形態によれば、最適化部6により、コンピュータシステム1全体における処理性能が維持されたまま消費電力が低減されるように、特定プロセッサが特定される。例えば、あるプロセッサの電源をオフに変更することにより、性能を維持したまま消費電力を抑制できる場合には、最適化部6によって、そのプロセッサが電源をオフにするべきプロセッサであると特定される。そして、OSにより特定プロセッサがオフラインにされ、BMC11により特定プロセッサの電源がオフ状態に変更される。逆に、電源がオフ状態であるプロセッサをオン状態にすることにより、性能を維持したまま省電力化が図れる場合には、その特定プロセッサの電源がオンにされ、OSの配下に組み込まれる。すなわち、特定プロセッサの電源をオン又はオフにすることにより、省電力化を図ることができる。ACPIでサポートが必須になっているステートC0及びステートC1によって省電力制御を実現する場合よりも、より大きな省電力効果を得ることができる。
【0047】
また、本実施形態では、OSが、プロセッサに対してACPIで規定されているプラグアンドプレイ機能をサポートしてさえいれば、OS又はSMSがプロセッサの省電力制御に関する機能をサポートしているか否かにかかわらず、プロセッサを省電力で動作するように制御することが可能である。
【0048】
本発明は、マルチプロセッサシステムであり、且つ、ハードウェア部品を管理・制御するBMCが搭載されたコンピュータシステムにおいて適用することができ、ACPIにより規定されているプラグアンドプレイ機能をプロセッサに対してサポートしているOSが動作するコンピュータシステムに適用できる。
【符号の説明】
【0049】
1 コンピュータシステム
2 サーバ
3 OS
4 SMS
5 プラグアンドプレイ部
6 最適化部
7 監視部
8 プラグアンドプレイ部
9(9−1〜9−3) プロセッサ
10 電源制御回路
11 BMC
12 ホストブリッジ
13 メモリ
14 I/Oブリッジ
15 I/Oデバイス
16 管理バス
17 ACPI
18 API
101 サーバ
102 OS
103 SMS
104 ACPI
105 API
106 プロセッサ電力制御手段
107 プロセッサ電力制御手段
108 プロセッサ状態監視手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプロセッサと、
前記複数のプロセッサに対応して設けられ、対応する前記各プロセッサに電源電圧を供給する、複数の電源制御回路と、
複数の処理を前記複数のプロセッサに分散させて処理させるOS(Operating System)を記憶する、メモリと、
前記複数の電源制御回路の動作を制御する、BMC(Base Management Controller)と、
を具備し、
前記BMCは、
前記各プロセッサにおける消費電力に関連する情報を電力情報として取得する、監視部と、
前記電力情報に基づいて、前記複数のプロセッサ全体において、処理性能が維持され、消費電力が低減される条件を識別し、識別結果に基づいて、電源をオン又はオフに変更するべきプロセッサを特定プロセッサとして特定し、前記特定プロセッサを示す最適化情報を生成する最適化部と、
前記最適化情報に基づいて、前記特定プロセッサを前記OSの配下から切り離す旨、又は、前記特定プロセッサを前記OSの配下に組み込む旨を示す割り込み要求を生成し、前記割り込み要求を前記OSに通知する、プラグアンドプレイ部とを備え、
前記OSは、前記割り込み要求に従って、前記特定プロセッサを、配下に組み込み、又は、配下から切り離し、
前記プラグアンドプレイ部は、前記特定プロセッサが組み込まれた後、又は前記特定プロセッサが切り離された後に、前記特定プロセッサに対する電源電圧の供給が開始又は停止されるように、前記複数の電源制御回路の動作を制御する
コンピュータシステム。
【請求項2】
請求項1に記載されたコンピュータシステムであって、
前記各プロセッサには、前記各プロセッサにおける温度を測定し、温度データを生成する、温度モニタが設けられ、
前記各電源制御回路には、対応する前記各プロセッサにおける消費電流を測定し、消費電流データを生成する、電流モニタが設けられ、
前記監視部は、前記電力情報として、前記温度データ及び前記消費電流データを含む情報を取得する
コンピュータシステム。
【請求項3】
複数のプロセッサと、前記複数のプロセッサに対応して設けられ、対応する前記各プロセッサに電源電圧を供給する、複数の電源制御回路と、複数の処理を前記複数のプロセッサに分散させて処理させるOS(Operating System)を記憶する、メモリと、前記複数の電源制御回路の動作を制御する、BMC(Base Management Controller)とを具備するコンピュータシステムにおける省電力制御方法であって、
前記BMCが、前記各プロセッサにおける消費電力に関連する情報を電力情報として取得するステップと、
前記BMCが、前記電力情報に基づいて、前記複数のプロセッサ全体において、処理性能が維持され、消費電力が低減される条件を識別し、識別結果に基づいて、電源をオン又はオフに変更するべきプロセッサを特定プロセッサとして特定し、前記特定プロセッサを示す最適化情報を生成するステップと、
前記BMCが、前記最適化情報に基づいて、前記特定プロセッサを前記OSの配下から切り離す旨、又は、前記特定プロセッサを前記OSの配下に組み込む旨を示す割り込み要求を生成し、前記割り込み要求を前記OSに通知するステップと、
前記OSが、前記割り込み要求に従って、前記特定プロセッサを、配下に組み込み、又は、配下から切り離すステップと、
前記BMCが、前記特定プロセッサが組み込まれた後、又は前記特定プロセッサが切り離された後に、前記特定プロセッサに対する電源電圧の供給が開始又は停止されるように、前記複数の電源制御回路の動作を制御するステップと、
を具備する
省電力制御方法。
【請求項4】
請求項3に記載されたコンピュータシステムにおける省電力制御方法であって、
更に、
前記各プロセッサが、前記各プロセッサにおける温度を測定し、温度データを生成するステップと、
前記各電源制御回路が、対応する前記各プロセッサにおける消費電流を測定し、消費電流データを生成するステップと、
を具備し、
前記電力情報として取得するステップは、前記電力情報として、前記温度データ及び前記消費電流データを含む情報を取得するステップを含んでいる
省電力制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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