説明

コンピュータープログラム製品および磁気データから電流情報を得るコンピューターシステム

【課題】対象臓器の電流分布を再構成する試みにおいて、磁場源描画という解決法にて臓
器を可及的に正確にモデル化する方法を提供すること。
【解決手段】磁場源描画(MSI)は測定された磁場データから臓器などの身体の部分にお
ける電流源の再構成に係わる。測定された磁場データは一次元または三次元センサーから
であり得る。臓器の電流を再構成するシステムおよび方法を含む。三次元電流源の再構成
は線形方程式のセットを形成するために患者に対するセンサー面の位置またはオフセット
を知るか推定して達成される。あるいは、三次元電流源の再構成は患者に対するセンサー
面のオフセットを知らないで達成される。そして、電流源情報を得るために方程式の線形
および非線形システムが反復的に用いられる。また、多重スケールの方法が用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的にデータ処理に関し、より具体的に磁気センサーのアレイから得られた
データから三次元(3D)電流を得ることに関する。
【背景技術】
【0002】
診断テストは患者治療の要である。医療従事者は病気を正しく診断するために患者を評
価できることが必要である。診断手順は侵襲的または非侵襲的であり得る。侵襲的テスト
は関連リスクがあるため、非侵襲的手順がしばしば好まれる。非侵襲的テストは心臓や脳
など危険臓器を調べる場合特に好まれる。
非侵襲的テストの一つの形態は磁場源描画である。心臓や脳など、身体のある臓器は電
流を発する。これらの電流は臓器におけるニューロンの同時の活動で生じる。心臓により
形成される磁場を記録することは心磁図法(MCG)として知られ、脳により形成される磁
場を記録することは脳磁気図記録法(MEG)として知られる。
【0003】
これらの磁場を診断ツールとして用いることは課題を呈する。第1に、これらの磁場は
身体外に広がるが、通常非常に弱く、極めて感度の高い計測器を必要とする。例えば、超
伝導量子干渉装置(SQUID)の検出器を対象臓器の付近に配置し磁場を検出することがで
きる。
第2に、一旦測定データが得られると、次の障害はデータを有意義にすることである。
このような測定データの利用は以前にいくつか試みられている。MCGセンサーデータを用
いて二次元(2D)画像が形成されている。データの別の利用は磁場マッピングに係わり、
これは特定の測定点および時間の精密な瞬間において得られた磁場の分布を示す(特許文
献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5594849明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
対象臓器の電流分布を再構成する試みがなされている。しかし、このような結果を達成
するためには逆問題を解決しなければならない。つまり、得られた磁場を仮定すると、臓
器のどの電流源システムがそれを形成したかを確認しようとする必要がある。この逆問題
の解決は相当複雑で、この複雑さを低減するために以前の試みの多くは結果に到達するた
めに逆問題を簡略化している。しかし、簡略化はより不正確または不完全な結果をもたら
しがちである。従って、磁場源描画という解決法は臓器を可及的に正確にモデル化するこ
とが重要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のコンピュータープログラム製品は、1つ以上の命令のシーケンスを記憶する少
なくとも1つのコンピューター読み取り可能な媒体を有してなるコンピュータープログラ
ム製品であって、1つ以上のプロセッサーによる前記1つ以上の命令のシーケンスの実行は
前記1つ以上のプロセッサーに身体部分の電流分布を再構成するコンピューター実施方法
を実行させ、前記方法は、
(a)前記身体の部分を境界域内の電流双極子のセットとして表すステップであって、
前記電流双極子の各々は前記境界域内において定義された位置を有するステップと、
(b)センサーアレイにおける磁場を前記電流双極子のセットの規模および配向に関す
る非線形方程式のセットならびに前記センサーアレイの境界域に対するオフセットとして
表すステップと、
(c)前記オフセットの値を設定するステップと、
(d)前記センサーアレイにおける磁場を前記電流双極子のセットの規模および前記配
向に関する線形方程式のセットならびに前記オフセットの値として表すステップと、
(e)前記線形方程式のセットを解いて前記電流双極子のセットの規模および配向を得
るステップと、
(f)前記線形方程式のセットを解くことにより得られた前記電流双極子のセットの規
模および配向を前記非線形方程式のセットに入力し、前記非線形方程式のセットを解いて
更新オフセットを得るステップと、
(g)停止条件が満足されないことに応答して、前記更新オフセットを前記オフセット
の値として用いて、前記ステップ(d)に戻るステップと、
を有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明のコンピュータープログラム製品において、前記非線形方程式のセットを
解いて前記更新オフセットを得るステップは、前記非線形方程式のセットを解いて更新値
を得て、前記更新値を用いて前記オフセットを調節して前記更新オフセットを得るステッ
プを有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明のコンピュータープログラム製品において、前記非線形方程式のセットを
解いて前記更新オフセットを得るステップは、
前記非線形方程式のセットを解くための反復的最適化の一部として、更新値にパラメー
ターを掛けその積を前記オフセットに加え、前記反復的最適化の次の反復に用いる更新オ
フセットを得るステップを有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明のコンピュータープログラム製品において、前記パラメーターは擬似焼き
なましの一部であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明のコンピュータープログラム製品において、前記非線形方程式のセットは
一次元方程式のセットを有し、前記線形方程式のセットは一次元方程式のセットを有する
ことを特徴とする。
【0011】
また、本発明のコンピュータープログラム製品において、前記停止条件は、
前記オフセットと前記更新オフセットとの間の差が閾値未満であること、
ある回数の反復がなされたこと、
前記オフセットと更新オフセットとの間の差が前の反復の差に対し増えていること、ま
たは、測定再構成エラーが閾値未満であること、
の少なくとも1つであることを特徴とする。
【0012】
また、本発明のコンピュータープログラム製品において、(h)前記電流双極子を図形
的に描くステップをさらに有することを特徴とする。
【0013】
一方、本発明のコンピュータープログラム製品は、1つ以上の命令のシーケンスを記憶
する少なくとも1つのコンピューター読み取り可能な媒体を有するコンピュータープログ
ラム製品であって、1つ以上のプロセッサーによる前記1つ以上の命令のシーケンスの実行
は前記1つ以上のプロセッサーに身体部分の電流分布を再構成するコンピューター実施方
法を実行させ、前記方法は、
(a)オフセットの値を設定するステップと、
(b)身体の部分を境界域内の電流双極子のセットとして表すステップであって、前記
電流双極子の各々は前記境界域内において定義された位置および関連する位置を有するス
テップと、
(c)センサーアレイにおける磁場を前記電流双極子のセットの規模および配向に関す
る非線形方程式のセットならびに前記センサーアレイの境界域に対するオフセットとして
表すステップと、
(d)前記センサーアレイにおける磁場を前記電流双極子のセットの規模および配向に
関する線形方程式のセットならびにオフセットの値として表すステップと、
(e)前記線形方程式のセットを解いて前記電流双極子のセットの規模および配向を得
るステップと、
(f)前記線形方程式のセットを解くことにより得られた前記電流双極子のセットの規
模および配向を前記非線形方程式のセットに入力し、前記非線形方程式のセットを解いて
更新オフセットを得るステップと、
(g)停止条件が満足されないことに応答して、
前記更新オフセットを前記オフセットの値として用いる工程と、
前記電流双極子領域の少なくともいくつかを細分化することにより残りの電流双極子の
数を増やす工程と、
前記ステップ(b)に戻る工程とを有するステップと、を有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明のコンピュータープログラム製品において、前記電流双極子領域の少なく
ともいくつかを細分化することにより残りの電流双極子の数を増やす工程は、
前記電流双極子の規模が閾値未満の値を有することに応答して、その電流双極子および
境界域内のその関連する領域を無視するステップと、
無視されなかった前記電流双極子領域の少なくともいくつかを細分化することにより残
りの電流双極子の数を増やすステップとを有することを特徴とする。
【0015】
また、本発明のコンピュータープログラム製品において、前記非線形方程式のセットは
一次元方程式のセットを有し、前記線形方程式のセットは一次元方程式のセットを有する
ことを特徴とする。
【0016】
また、本発明のコンピュータープログラム製品において、1つの停止条件は、再度の細
分化は前記センサーアレイにおけるセンサーの数に関連する閾値を前記電流双極子の数が
超える結果になることであることを特徴とする。
【0017】
また、本発明のコンピュータープログラム製品において前記非線形方程式のセットを解
いて更新オフセットを得るステップは、レーベンベルグマルカート法を用いて前記更新オ
フセットを得るステップを有することを特徴とする。
【0018】
また、本発明のコンピュータープログラム製品において、前記レーベンベルグマルカー
ト法と併せてパラメーターを用いるステップをさらに有し、
前記パラメーターは前記レーベンベルグマルカート法の少なくともいくつかの反復にお
いて前記更新オフセット値と掛けられ、前記更新オフセットは現在のオフセットと前記更
新オフセット値との和であることを特徴とする。
【0019】
また、本発明のコンピュータープログラム製品において、前記電流双極子を図形的に描
くステップをさらに有することを特徴とする。
【0020】
一方、本発明の磁気データから電流情報を得るコンピューターシステムは、
1つ以上のプロセッサーと、
前記1つ以上のプロセッサーと通信する1つ以上のコンピューター読み取り可能な媒体で
あって、前記1つ以上のプロセッサーにより実行可能な命令のセットを搭載したコンピュ
ーター読み取り可能な媒体と、を有し、
前記命令のセットは、
(a)身体の部分を境界域内の電流双極子のセットとして表すステップであって、各電
流双極子は境界域内において定義された位置を有するステップと、
(b)センサーアレイにおける磁場を前記電流双極子のセットの規模および配向に関す
る非線形方程式のセットならびに前記センサーアレイの境界域に対するオフセットとして
表すステップと、
(c)前記オフセットの値を設定するステップと、
(d)前記センサーアレイにおける磁場を前記電流双極子のセットの規模および配向に
関する線形方程式のセットならびに前記オフセットの値として表すステップと、
(e)前記線形方程式のセットを解いて前記電流双極子のセットの規模および配向を得
るステップと、
(f)前記線形方程式のセットを解くことにより得られた前記電流双極子のセットの規
模および配向を前記非線形方程式のセットに入力し、前記非線形方程式のセットを解いて
更新オフセットを得るステップと、
(g)停止条件が満足されないことに応答して、前記更新オフセットを前記オフセット
の値として用い、前記ステップ(d)に戻るステップと、を有することを特徴とする。
【0021】
また、本発明の磁気データから電流情報を得るコンピューターシステムにおいて、前記
非線形方程式のセットを解いて前記更新オフセットを得るステップは、
前記非線形方程式のセットを解いて更新値を得て、前記更新値を用いて前記オフセット
を調節して前記更新オフセットを得るステップを有することを特徴とする。
【0022】
また、本発明の磁気データから電流情報を得るコンピューターシステムにおいて、前記
更新値を用いて前記オフセットを調節して前記更新オフセットを得るステップは、
前記更新値にパラメーターを掛けてその積を前記オフセットに加えて前記更新オフセッ
トを得るステップを有することを特徴とする。
【0023】
また、本発明の磁気データから電流情報を得るコンピューターシステムにおいて、前記
非線形方程式のセットは一次元方程式のセットを有し、前記線形方程式のセットは一次元
方程式のセットを有することを特徴とする。
【0024】
また、本発明の磁気データから電流情報を得るコンピューターシステムにおいて、前記
停止条件は、
前記オフセットと前記更新オフセットとの間の差が閾値未満であること、
ある回数の反復がなされたこと、
前記オフセットと更新オフセットとの間の差が前の反復の差に対し増えていること、ま
たは、測定再構成エラーが閾値未満であること、
の少なくとも1つであることを特徴とする。
【0025】
また、本発明の磁気データから電流情報を得るコンピューターシステムにおいて、ディ
スプレイをさらに有し、
前記1つ以上のコンピューター読み取り可能な媒体は、前記電流双極子を図形的に描く
命令のセットをさらに有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の各種実施形態による、センサーアレイならびに心臓における電流分布をモデル化するために用いられる三次元容積および電流源の三次元アレイとして表された心臓を描く図である。
【図2.A】本発明の各種実施形態による、1つの双極子および1つのセンサーを描く図である。
【図2.B】本発明の各種実施形態による、1つの双極子および複数センサーのアレイを描く図である。
【図2.C】本発明の各種実施形態による、複数の双極子および1つのセンサーを描く図である。
【図3.A】本発明の各種実施形態により得られたシミュレーション結果の図である。
【図3.B】本発明の各種実施形態により得られたシミュレーション結果の図である。
【図3.C】本発明の各種実施形態により得られたシミュレーション結果の図である。
【図4】本発明の各種実施形態による、センサーアレイに対する双極子の未知の位置ベクターを描く図である。
【図5】本発明の各種実施形態による、臓器の電流分布を再構成する方法を描く図である。
【図6】本発明の各種実施形態による、臓器の電流分布を再構成する別の方法を描く図である。
【図7】本発明の各種実施形態により得られたシミュレーション結果および関連エラーの図である。
【図8】本発明の各種実施形態により解への収束を向上させるために臓器の電流分布を再構成する方法の態様を描く図である。
【図9.A】本発明の各種実施形態による、推定された電流源エラーを描く図である。
【図9.B】本発明の各種実施形態による、再構成磁気信号エラーを描く図である。
【図9.C】本発明の各種実施形態による、反復中のオフセットの軌跡を描く図である。
【図10】本発明の各種実施形態による、一次元センサーを用いて臓器の電流分布を再構成する方法を描く図である。
【図11】本発明の各種実施形態による、多重スケールの方法を用いて臓器の電流分布を再構成する方法を描く図である。
【図12】本発明の各種実施形態による、多重スケールの方法を用いて臓器の電流分布を再構成する別の方法を描く図である。
【図13】本発明の各種実施形態による、多重スケールの方法の異なるレベルの例を描く図である。
【図14】本発明の各種実施形態による、演算システムを描く図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の概要を要約すると以下のようになる。
磁場源描画(MSI)は測定された磁場データから臓器における電流源の再構成に係わる
。測定された磁場データは一次元または三次元センサーからであり得る。本発明の態様は
磁気データが与えられた場合心臓または脳のような臓器など、身体の一部分の電流を再構
成するシステムおよび方法を含む。実施形態において三次元電流源の再構成は線形方程式
のセットを形成するために患者に対するセンサー面の位置またはオフセットを知るか推定
して達成される。あるいは、三次元電流源の再構成は患者に対するセンサー面のオフセッ
トを知らないで達成される。実施形態において、電流源情報を得るために方程式の線形お
よび非線形システムが反復的に用いられる。実施形態において、多重スケールの方法が用
いられる。
【0028】
実施形態において、身体の一部分の電流分布を再構成する方法は身体のその部分を境界
域内の電流双極子のセットとして表すことで、各電流双極子は境界域内において定義され
た位置を有すること、ならびにセンサーアレイにおける磁場を電流双極子のセットの規模
および配向の線形方程式のセットおよび境界域とセンサーアレイ間のオフセットの値とし
て表すことを有してなる。オフセットが与えられると、線形システムを解いて電流情報を
得ることができる。
【0029】
オフセットが知られていないか、仮定される実施形態において、センサーアレイにおけ
る磁場は電流双極子のセットの規模および配向の非線形方程式のセットならびに境界域に
対するセンサーアレイのオフセットとして表される。電流双極子情報はオフセットに値を
設定し、線形方程式のセットとオフセットの値を用いて電流双極子のセットの規模および
配向を得ることにより得られる。線形方程式のセットから得られた電流双極子情報を非線
形方程式のセットに入力し、更新オフセットを得る。プロセスは停止条件が満足されるま
で反復される。
【0030】
実施形態において、停止条件は次の:オフセットと更新オフセット間の差が閾値未満で
ある;ある回数の反復がなされた;解が発散している;および測定再構成エラーが閾値未
満である;の少なくとも1つを含むことができる。
【0031】
実施形態において、更新オフセットを解く際、大域的な最適値への収束を向上させるた
めにパラメーターが用いられる。例えば、実施形態において、更新値が非局部的な最適に
収束するのを補助するために擬似焼きなましが用いられる。
【0032】
実施形態において、センサーアレイのセンサーは一次元センサーを有してなり、非線形
方程式のセットおよび線形方程式のセットは各々一次元方程式のセットを有してなる。
実施形態において、電流双極子情報を用いて検査される身体の部分をモデル化すること
ができる。また実施形態において、モデル化された身体の電流双極子情報を画像として描
くことができる。実施形態において、電流双極子情報は診断および/または治療の補助と
して用いることができる。
【0033】
実施形態において、ある反復において電流双極子領域の少なくともいくつかを再分割す
ることにより電流双極子の数が増やされる多重スケールの方法を用いることができる。実
施形態において、充分に強い電流を有する領域のみが再分割される。
【0034】
本明細書において呈示される方法な1つ以上の命令シーケンスコンピューターなくとも1
つのコンピューター読み取り可能な媒体を有してなるコンピュータープログラムに含まコ
ンピューターき、1つ以上のプロセッサーによる1つ以上の命令シーケンスの実行により1
つ以上のプロセッサーは身体の一部分の電流分布を再構成するコンピューター実施の方法
を実行する。
【0035】
本発明の実施形態は磁気データから電流情報を得る1つまたは複数のコンピューターシ
ステムを含む。
本要約部において発明の特徴および利点のいくつかが全般的に説明されたが、本明細書
においてさらなる特徴、利点、および実施形態が呈示され、または本出願の図面、明細書
およびクレームに照らし当業者であれば明らかになろう。従って、発明の範囲は本要約部
に開示された特定の実施形態により限定されないことが理解されよう。
【0036】
以下に発明の実施形態が参照され、その例は添付図面に図示されることができる。これ
らの図面は限定的ではなく例示的である。発明は全般的にこれらの実施形態との関連で説
明されるが、これは発明の範囲をこれら特定実施形態に限定する意図ではないことが理解
されよう。
【0037】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
以下の記述では説明の目的から、発明の理解を提供すべく具体的な詳細が述べられる。
しかし当業者であれば発明はこれらの詳細なしでも実施できることが明らかであろう。当
業者であれば以下にいくつか説明される本発明の実施形態は、例示として医療診断機器を
含むがこれに限定されず、いくつかの異なるシステムおよび装置に組み入れられ得る。本
発明の態様はソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、またはその組み合わせにお
いて実施することができる。
【0038】
ブロック図に示される構成要素、またはモジュール、は発明の典型的な実施形態を図示
するもので、発明を分かりにくくすることを避けることが意図される。また、本考察を通
して構成要素はサブユニットを有してなり得る別個の機能ユニットとして説明され得るが
、当業者であれば各種構成要素、またはその部分は別個の構成要素に分割でき、または単
一システムまたは構成要素への統合を含みまとめて統合し得ることを理解しよう。
【0039】
さらに、図面内の構成要素間の接続は直接接続に限定されることを意図していない。逆
に、これら構成要素間のデータは中間構成要素により修正、再フォーマット、または別途
変更され得る。さらに、付加的またはより少数の接続を用いることもできる。さらに「連
結される」または「通信上連結される」の用語は直接接続、1つ以上の中間装置を通した
間接接続、および無線接続を含むと理解されることが特筆される。
【0040】
明細書において「一実施形態」、「ある実施形態」、または「実施形態」への言及はそ
の実施形態に関係して説明される特定の特徴、構造、特性、または機能は発明の少なくと
も1つの実施形態に含まれ、1つを超える実施形態に含まれ得ることを意味する。明細書の
さまざまな個所で「一実施形態において」、「ある実施形態において」、または「実施形
態において」の言い回しが現れる場合、必ずしも同じ実施形態を指しているわけではない
。以下に呈示されるシステムおよび方法において、停止条件の検査は最初(またそれ以上
の)反復に対し飛ばし得ることが特筆される。
【0041】
A.概要
磁場源描画(MSI)は臓器における電流源を測定された磁場データから再構成すること
に係わり得る。すなわち磁場源描画手法は身体内における電流源の位置、配向、および規
模を得ようと試みる。磁場源描画の用途として心磁図法および脳磁気図記録法の2つがあ
る。心磁図法(MCG)は心臓の励起電流により生じる磁場を身体表面で記録する非侵襲的
および危険のない手法が係わる。脳磁気図記録法(MEG)は脳の励起電流により生じる磁
場を身体表面で記録する非侵襲的および危険のない手法が係わる。現行のMCGおよびMEGシ
ステムは通常超感度磁気センサー(SQUID:超伝導量子干渉装置)を使用しており、これ
が心臓および脳の非侵襲的評価を可能にする。
【0042】
これらの磁気センサーから得られたデータを用いて対象の身体部分をモデル化すること
ができる。未知の電流分布を未知の位置、配向、および規模を有する1つ以上の電流双極
子としてモデル化することは極めて複雑である。この逆問題に対する解を求めようとする
これまでの試みは問題を何らかの形でモデルを簡略化しようとすることが係わった。例え
ば、以前の方法のほとんどは表面上の二次元電流源のみを扱い、これらの方法は一般的に
源を電流双極子ではなく磁気双極子としてモデル化する。心筋の異常な動きまたは別の臓
器における異常を発見するためには三次元励起電流に対する解が必要である。
【0043】
他の方法は未知の1つ以上を取り除くことによりモデル化を簡略化している。例えば、
いくつかの方法は各双極子の振幅を固定し、位置および配向に対してのみ解を出した。さ
らに他の方法は双極子を既知の要素源の加重和として扱い、これは各要素減の位置を固定
し、振幅のみが未知である。このようなモデルの根底にある仮定はこれらの源双極子は互
いに対し依存しているということである。これらの簡略化によっても、これらの方法は演
算コストが高く、しばしば数的に不安定である。
【0044】
本明細書では三次元電流源を最構成するシステムおよび方法が呈示される。実施形態に
おいて、三次元電流源の再構成は患者に対しセンサー面の位置、またはオフセットを知る
ことなく達成される。リアルタイムシステムを構築するために、電流分布は電流双極子の
アレイとして定式化される。以下の考察において例示の目的から検査される対象臓器とし
て心臓を用いることができる。しかし本明細書において開示されるシステムおよび方法は
身体の他の部分にも用い得ることが特筆される。
【0045】
B.初期設定
図1は本発明の各種実施形態による、センサーアレイ140ならびに心臓110における電流
分布をモデル化するために用いられる三次元容積130および電流源の三次元アレイ(例、1
20)として表された心臓110を描く。実施形態において、電流双極子源は明確な関係をも
って位置付けされることができる。例えば、電流双極子は境界箱130内で均一に分布され
ることができる。図1に示されるように、センサーのアレイ140が心臓容積130の上に三次
元オフセットベクター(例、160)のオフセットで配置される。患者と装置が固定化され
ると、医療従事者はセンサーアレイの中心を心臓の約中心上に位置付けるだけで良い。実
施形態において、本方法およびシステムは人間の心臓に関する統計に基づき自動的に境界
箱130のサイズを推定する。
【0046】
1.各時間瞬間における順問題
図2.A-C は電気双極子が磁場を形成する順問題を示す。図2.Aは1つの双極子、p、お
よび1つのセンサー、r、を描く。
【0047】

【0048】
例えば、図2.Bは1つの双極子(p)および双極子により形成される磁場を検出する複数
センサーのアレイ(r1‐r9)を描く。
心臓などの臓器における生理的プロセスのより正確な説明は多くの一次的電流源が存在
するということである。従って、より正確なモデルは複数の双極子を含む。図2.Cは本発
明の各種実施形態による、複数の双極子(p1‐p7)および1つのセンサー(r)を描く。図
2.Cに示すように、各双極子(p1‐p7)は各センサー位置(例、r)において測定された
磁場に寄与する。
【0049】

【0050】
2.逆問題の解の実施形態
いくつかの従来方法において、順問題は線形方程式のセットに簡略化され、解は線形方
程式の逆である。実施形態において、オフセットも未知として扱うことができ、非線形方
程式のセットが解かれる。
逆問題を解く2つの一般的な方法が以下に呈示される。第1の方法はセンサーアレイと境
界箱との間のオフセットが分かっている場合を扱う。正しいオフセットが常に利用できる
とは限らないので、第2の方法は未知のオフセットに対応している。
【0051】

【0052】

【0053】
ここでB は3M × 1 のベクター、R は 3M × 3N のベクター行列で、J は3N × 1 のベ
クターである。rank(R) ≧ 3Nの場合、最小二乗解を用いて次のようにJを解くことがで
きる。
J = (RT R) -1RT B (8)
【0054】
図3.A‐3.Cはいくつかのシミュレーション結果を描く。
図3.Aに描かれるrank(R) = 3Nの例において、測定雑音の規模が10-11のレベルであ
ると再構成エラーはまだ小さいことが見られる。センサーアレイのサイズを増やすと解を
より安定させられることも留意されたい。他方、再構成エラーは電流アレイのサイズを増
やすと測定雑音により敏感になるようである。
例えば図3.Bに描かれるシミュレーション結果を考察する。図3.Bに描かれるrank(R
) = 3Nの例において、再構成は電流アレイのサイズを増やすと測定雑音(10-17)によ
り敏感になることが見られる。さらに、オフセットが知られていてもセンサーアレイの位
置は解に影響することに留意されたい。
例えば図3.Cに描かれるシミュレーション結果を考察する。図3.Cにおいて、センサー
アレイの中心は電流アレイの中央軸から非常に離れている。描かれる結果において、測定
雑音は10‐19のレベルであるが、センサーアレイの位置のためにrank(R)< 3Nである。
大きな変位のために、電流アレイから非常に離れているセンサーのほとんどは磁場を検出
できない。その結果、逆問題の解を演算するのに用いられるセンサーが事実上少なくなる

【0055】

【0056】
図4に描かれる制約を考察する。図4は発明の各種実施形態による、センサーおよび電流
双極子間の未知の位置ベクターを図示する。図4には境界域430が描かれ、中には複数の電
流双極子420があり、これらは互いに固定された関係を有する円で図形的に表される(図
の簡略化するために双極子のすべてには符号が付けられていない)。さらに図4にはセン
サー450のアレイ440が描かれ、これらは互いに固定された関係を有する長方形で図形的に
表される(図の簡略化するためにセンサーのすべてには符号が付けられていない)。電流
双極子構成は原点、p0 410、を有し、センサーアレイも原点、r0460、を有する。
【0057】

【0058】

【0059】

【0060】

【0061】
(i)非線形システムを同時の解き方
図5は本発明の各種実施形態による、臓器の電流分布を再構成する方法を描く。実施形
態において、検査される臓器は境界域内の電流双極子のセットとして描かれ(505)、各
電流双極子は境界域内において定義された位置を有する。例えば、実施形態において、電
流双極子は境界域内で均一に分布され得るが、当業者であれば他の分布を用い得ることを
理解しよう。臓器の電流により生じた磁場を検出するセンサーアレイにおける磁場は電流
双極子のセットの規模および配向に関する非線形方程式のセットならびにセンサーアレイ
の境界域に対するオフセットとして表される(510)。方程式(12)(上記)の非線形シ
ステムはこのような非線形システムの一実施形態である。方程式(12)を同時に解いて電
流双極子のセットの規模および配向に関する非線形方程式のセットならびにセンサーアレ
イの境界域に対するオフセットを得ることができる。
【0062】

【0063】
(ii)反復を用いた非線形システムの解き方
実施形態において、未知のオフセットの問題に対応するために、2段階更新方法を用い
ることができる。実施形態において、2段階更新方法は線形システム(限定ではなく例と
して方程式(8))および非線形システム(限定ではなく例として方程式(12))間で反
復することができる。
【0064】
図6は本発明の各種実施形態による、線形システムおよび非線形システムを用いて反復
することにより臓器の電流分布を再構成する方法を描く。前の方法と同様に、対象の身体
部分は境界域内の電流双極子のセットとして描かれ(605)、各電流双極子は境界域内に
おいて定義された位置を有する。またセンサーアレイにおける磁場は方程式(12)(上記
)のように、電流双極子のセットの規模および配向に関する非線形方程式のセットならび
にセンサーアレイの境界域に対するオフセットとして表される(610)。オフセットの値
が選択される(615)。実施形態において、オフセットの初期値は推定であることができ
る。推定は解剖学の統計データ、患者からの採寸、機器構成の採寸、設定の採寸、または
これらの組み合わせに基づくことができる。
【0065】
前記に記述したとおり、センサーアレイにおけるアレイは電流双極子のセットの規模お
よび配向に関する線形方程式のセットならびにセンサーアレイのオフセットとして表すこ
とができる(620)。例えば、方程式(8)は電流源、J、を得る線形システムを規定する
。従って、線形方程式のセットを解いて電流双極子のセットの規模および配向を得ること
ができる(625)。方程式(8)は線形システムに対する最小二乗解を規定する。
【0066】
線形方程式のセットから得られた電流双極子のセットの規模および配向を非線形方程式
のセットに入力することができる(630)。非線形方程式のセットを解いてオフセットの
更新値を得ることができる。実施形態において、レーベンベルグマルカート最適化を用い
て解を得ることができる。
【0067】
実施形態において、停止条件が満足されると(635)、方法は停止する(640)。停止条
件は、(1)前のオフセット値と更新オフセット値との差が閾値内である;(2)規定数の
反復が起こった;(3)解が発散しているようである;および(4)測定された再構成エラ
ーは閾値未満である;を含みえるが、これらに限定されない。停止条件が満足されないと
(635)、方法は反復され、オフセットの更新値は次の反復に対するオフセットの値とし
て用いられる(工程615)。
【0068】

【0069】
図7は本発明の各種実施形態による、シミュレーション結果および関連エラーを図示す
る。グラフ700はセンサーアレイにおける磁場および対応する電流双極子を描く。グラフ7
50はエラー対反復数を描く。図7に描かれるシミュレーション結果においれ、エラーは500
0反復の後0.025に減る。
場合により、エラーは反復に沿って単調に減少していないかもしれないことに留意され
たい。従って実施形態において、局部的最適を避ける方法を用いることができる。実施形
態において、良好な初期開始が大域的最適につながる可能性が高い。しかし常に正しい初
期推定を有することは必ずしも可能でない。
【0070】
一旦最適に到達した際局部的最適を避ける方法の1つは現在の最適より良い解があるか
最適の近傍を検索することである。実施形態において、近傍を検索することは現在の最適
から無作為に離れ、より良い解がみつかるか反復することである。一旦最適が達成され近
傍が検索されてより良い結果が規定数の反復内で見出されない場合、初期の最適が解とし
て保持される。
図8は本発明の各種実施形態により解への収束を向上させるために臓器の電流分布を再
構成する方法の態様を描く。実施形態において、方程式(12)により例示されるような非
線形システムを仮定すると、レーベンベルグマルカート法を用いてオフセットについて解
くことができる(805)。レーベンベルグマルカート法は最急降下法および準ニュートン
法の組み合わせとして考えることができる。
【0071】

【0072】
実施形態において、非線形システムの費用関数が減少するとT は反復にわたり減少する
。実施形態において、パラメーターは自動的に減少する。例えば、実施形態においてTは
ある値に初期化され測定再構成エラーが10%減少すると50%減少する。当業者であれば他
の割合を用い得ることを理解しよう。この手段により、最初の数回の反復においてオフセ
ットの変化は局部最小を避けるだけ大きくあり得る。オフセットが真の値に近くなると、
パラメーターは減少し、オフセットの変化は小さくなり解に到達する。当業者であれば上
記はTが温度パラメーターである擬似焼きなましの実施であることを理解しよう。
【0073】
図9.A-Cは推定された電流源エラー(図9.A)および再構成された磁気信号エラー(図
9.B)を示す。図9.Cは初期オフセット推定910および真のオフセット905に向かい各反復
に沿ったオフセットの軌跡を描く。温度パラメーターが高いのでエラーは最初の数回の反
復内で相当減少することが分かる。温度パラメーターが低くなると、方法はより慎重に進
む。オフセット軌跡は高いパラメーター値のため最初にある程度のジッタまたは大きなス
テップがあるかもしれないが、パラメーターが低くなるとオフセット軌跡はより一貫して
くる。
【0074】
C.一次元センサー
ここまでの実施形態は三次元測定を実現するセンサー向けに構成されていた。これらの
方法は他種のセンサーにも適用できることが特筆される。三次元センサーアレイと比較し
て同数の一次元センサーがセンサーアレイに使用された場合、制約がより少なくなる。
【0075】

【0076】
一次元センサーを用いるには、センサーのいくつかは磁場の“x”成分を測定し、いく
つかは“y”成分を測定し、他は“z”成分を測定する。従って方程式(6)(上記)は個
々の方程式として書き直すことができる。
【0077】

【0078】

【0079】

【0080】
ここでB’ は M × 1 のベクター、R’ はM × 3N の行列、およびJ は3N × 1 のベク
ターである。rank(R’) ≧ 3Nの場合、Jに対し最小二乗解を得ることができる。
J = (R’T R’) -1R’T B’ (8’)
方程式12 (上記)は次のように適応することができる。
【0081】

【0082】
当業者であれば、三次元センサーに関して説明された電流値を得るこれまでの方法は一
次元センサー構成にも適用できることを理解しよう。限定ではなく例として図10に描かれ
る方法を考察する。
図10は本発明の各種実施形態による、一次元センサーを用いて臓器の電流分布を再構成
する方法を描く。当業者であれば図10に描かれる方法1000は図6に描かれる方法600に相似
していることを理解しよう。
【0083】
これまでの方法と同様に、対象の身体部分は境界域内の電流双極子のセットとして描か
れ(1005)、各電流双極子は境界域内において定義された位置を有する。またセンサーア
レイにおける磁場は電流双極子のセットの規模および配向に関する非線形方程式のセット
ならびにセンサーアレイの境界域に対するオフセットとして表され(1010)、非線形方程
式のセットは方程式(12’)(上記)のように、複数の一次元方程式のセットを有してな
る。オフセットの値が選択される(1015)。実施形態において、オフセットの初期値は推
定であることができる。推定は解剖学の統計データ、患者からの採寸、機器構成の採寸、
設定の採寸、またはこれらの組み合わせに基づくことができる。
【0084】
前記に記述したとおり、センサーアレイにおけるアレイは電流双極子のセットの規模お
よび配向に関する線形方程式のセットならびにセンサーアレイのオフセットとして表すこ
とができ(1020)、非線形方程式のセットは複数の一次元方程式のセットを有してなる。
例えば、方程式(8’)は電流源、J、を得る線形システムを規定する。従って、線形方程
式のセットを解いて電流双極子のセットの規模および配向を得ることができる(1025)。
方程式(8’)は線形システムに対する最小二乗解を規定する。
【0085】
線形方程式のセットから得られた電流双極子のセットの規模および配向を非線形方程式
のセットに入力することができる(1030)。非線形方程式のセットを解いてオフセットの
更新値を得ることができる。実施形態において、レーベンベルグマルカート方法を用いて
非線形システムが解かれる。
実施形態において、停止条件が満足されると(1035)、方法は停止する(1040)。停止
条件は方法600に関し記載されたものと同じまたは類似していることができる。停止条件
が満足されないと(1035)、方法は反復され、オフセットの更新値は次の反復に対するオ
フセットの値として用いられる(工程1015)。
【0086】

【0087】
前記のとおり、当業者であれば、三次元センサーに関して説明された電流値を得る他の
方法は一次元センサー構成にも適用できることを理解しよう。
【0088】
D.多重スケールの実施形態
上述の反復的方法の初期推定を向上させるために、多重スケール方法を用いてオフセッ
トを粗いものから精緻なものに解決することができる。実施形態において、八分木構造の
システムを用いることができるが、当業者であれば他の多重スケール構成を用い得ること
を理解しよう。
【0089】
1.一般的な多重スケールの実施形態
図11は本発明の各種実施形態による、多重スケールの方法を用いて臓器の電流分布を再
構成する方法を描く。まず最初に、方法はレベルをレベル1に初期化する(1105)。任意
のレベルkにおいて、境界箱は2k-1 × 2k-1 × 2k-1の双極子アレイに分割される。従っ
てレベル1において、1つのみの電流双極子があり、世界または大域的座標の原点に位置し
ていると仮定される(1115)。この実施形態において、双極子は分割された境界域の中心
にあると仮定される(1115)が、当業者であれば他の双極子配置を用い得ることを理解し
よう。電流ベクターはその双極子およびオフセットにおいて得られる(例えば工程620-63
0または1020-1030を参照)。停止条件が達成されていない場合(1125)、レベルは増分し
(1140)プロセスは工程1110に戻って繰り返される。例えば、レベル2において境界箱は2
× 2 × 2の双極子アレイに分割され、今しがた得られた更新オフセットが推定として用
いられ、方法は繰り返される。停止条件は前に考察されたものと同じまたは類似している
ことができる。rank(R)は3N以上でなければならないので、さらなる停止条件はrank(R
)が3N に等しい場合であり得る。当業者であれば停止条件の確認は第1(またはそれ以上
の)反復について飛ばし得ることを理解しよう。
【0090】
2.原点の解像度を向上させる多重スケールの実施形態
オフセットの推定を向上させることに加え、多重スケール方法は源の解像度を向上させ
ることもできる。上述のように、源の数はセンサーの数を超えることができなく(つまり
、rank(R)は3N 以上でなければならない)、これは要素源のアレイの解像度を限定する
。源の解像度を向上される1つの方法はセンサーの数を増やすことである。解像度を向上
させる別の方法は源のアレイの表し方を変えることである。多重スケールの枠組みに関連
して源のアレイの動的な割り当てを用いることにより、源のアレイの解像度を高めること
ができる。実施形態において、多重スケールの枠組みのレベルkで任意の双極子の推定規
模が数に入れるのに小さ過ぎると、次のレベル(k + 1)においてこの双極子/ノードは
無視されサブノードを生成しないと仮定される。例として図12に描かれる方法1200を考察
する。
【0091】
図12は本発明の各種実施形態による、多重スケールの方法を用いて臓器の電流分布を再
構成する別の方法を描く。まず最初に方法はレベルをレベル1に初期化する(1205)。あ
るレベルkにおいて、境界箱は2k-1 × 2k-1 × 2k-1の双極子アレイに分割される(1210
)。従ってレベル1において、1つのみの電流双極子があり、世界または大域的座標の原点
に位置していると仮定される(1215)。前述のとおり、双極子の位置付けは実施の問題で
あり、本発明に肝要ではない。図13は本発明の各種実施形態による、多重スケールの方法
の異なるレベルにおける境界域の一部の断面例を描く。レベル1において、単一の双極子1
330を有する1つの境界域1310-1がある。臓器の活動領域も描かれる1320。
【0092】
方法1100に関して説明したように、電流ベクターはその双極子において、またオフセッ
トにおいて得られる(例えば工程620-630または1020-1030を参照)。停止条件が達成され
ない場合(1225)、電流の規模が調べられる。ある双極子の規模が閾値未満の場合、その
双極子に関連する領域は無視される。当業者であれば停止条件の確認は第1(またはそれ
以上の)反復について飛ばし得ることを理解しよう。
【0093】
レベルは増分し(1240)、プロセス1210は工程に戻り繰り返される。例えばレベル2に
おいて、境界箱は2 × 2 × 2の双極子のアレイに分割される。断面1302はレベル2におけ
る細分されたセグメントまたは領域を描く。境界箱1310-2は各々自分の電流双極子を有す
る4つの細分化境界域を含むことことに留意されたい。今しがた得られたオフセットを用
い、方法は繰り返され新しい電流値が得られる。検査すると双極子の1つ、1340、は閾値
未満の規模を有することが判定される。実施形態において、閾値は双極子の一部またはす
べての規模値を調べることにより得ることができる。例えば、2番目に小さい双極子電流
値の10%など一定百分率未満の値を有する双極子は無視することができる。
【0094】
あるいは、またはさらに、閾値は以前の経験および/または他の統計的尺度に基づくこ
とができる。双極子1340は無視されたので、次の反復においてその領域は区分化されない
。例示として図13におけるレベル3の断面1303を考察する。無視された双極子1340に関連
する領域1350は細分化されなかった一方、他の領域は細分化され境界域1310-3を形成する
。電流双極子がないか低い領域を無視することにより、他の領域はより多くの双極子を有
することができ、それにより源の解像度を高める。
プロセスは停止条件が満足されるまで反復される(1225)。停止条件は前の多重スケー
ル方法(方法1100)に関し記述されたものと同じまたは類似することができることが特筆
される。
【0095】
E.システムの実施
実施形態において、本明細書に呈示される方法の1つ以上を実施するよう演算システム
を構成することができる。本明細書に説明される方法の1つ以上を実施するシステムは1つ
以上のセンサーアレイとインターフェイスを取り、またはそれからデータを受信する(直
接的および/または間接的に)コンピューターシステム上で稼動する磁気データから電流
を得るアプリケーションを有してなることができる。
【0096】
コンピューターシステムは1つ以上のコンピューターおよび1つ以上のデータベースを有
してなることができる。実施形態において、磁気データから電流を得るアプリケーション
は診断機器の一部であることができ、または独立の装置であることができる。実施形態に
おいて、コンピューターシステムは電流双極子情報を用いて身体の部分をモデル化するこ
とができ、それを図形的に描くことができる。実施形態において、コンピューターシステ
ムは電流双極子情報を用いて診断および/または治療に役立てることができる。
【0097】
本発明はデータを処理し得る任意の命令実行/演算装置またはシステムにおいて実施で
きることが特筆され、これには汎用コンピューターおよびデータまたは画像処理用の特定
コンピューターが含まれるがこれらに限定されない。本発明の態様はデジタルカメラ、プ
ロジェクター、マルチメディア装置、および画像を投影、処理、取り込み、伝送、または
記憶する他の任意の装置を含むがこれらに限定されず、他の演算装置およびシステムに実
装されることができる。
【0098】
さらに、本発明の態様は任意の装置内でソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア
、またはこれらの組み合わせを含み、広範囲な形で実施することができる。例えば、本発
明の様々な態様を実施する機能は個々の論理部品、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASI
C)、および/またはプログラム制御プロセッサーを含み広範囲な形で実装される部品に
より実施することができる。これらの部品が実装される形は本発明に肝要ではないことが
特筆される。
【0099】
図14は本発明の実施形態を実施または具現し得る命令実行/演算装置1400の実施形態の
機能的ブロック図を描く。図14に示すように、プロセッサー1402がソフトウェア命令を実
行し、他のシステムコンポーネントとやりとりする。一実施形態において、プロセッサー
1402は(限定ではなく例として)AMD(登録商標)プロセッサー、INTEL(登録商標)プロ
セッサー、SUN MICROSYSTEMS(登録商標)プロセッサー、またはPOWERPC(登録商標)対
応CPUなどの汎用プロセッサーであることができ、またはプロセッサーは特定用途向けの1
つまたは複数のプロセッサーであることができる。
【0100】
プロセッサー1404に連結された記憶装置1404はデータおよびソフトウェアプログラムの
長期的記憶を提供する。記憶装置1404はハードディスクドライブおよび/またはコンピュ
ーター読み取り可能な媒体(例、ディスケット、テープ、コンパクトディスク、DVD、等
々)のドライブまたはソリッドステート記憶装置などデータを記憶できる別の装置であっ
て良い。記憶装置1404はプロセッサー1402で使用するプログラム、命令、および/または
データを収納することができる。一実施形態において、記憶装置1404に記憶されそこから
ロードされるプログラムまたは命令はメモリー1406にロードされ、プロセッサー1402によ
り実行される。一実施形態において、記憶装置1404はプロセッサー1402でオペレーティン
グシステムを実施するプログラムまたは命令を収納する。実施形態において、考えられる
オペレーティングシステムはUNIX(登録商標)、AIX(登録商標)、LINUX、Microsoft(
登録商標) Windows(登録商標)、およびApple(登録商標) Macintosh(登録
商標) OSが含まれるが、これらに限定されない。実施形態において、オペレーティング
システムは演算システム1400上で実行し、システムの稼動を制御する。
【0101】
プロセッサー1406に連結されるアドレス可能なメモリー1406はデータおよびプロセッサ
ー1402により実行されるソフトウェア命令を記憶するのに使用することができる。メモリ
ー1406は例えばファームウェア、読み取り専用メモリー(ROM)、フラッシュメモリー、
不揮発性ランダムアクセスメモリー(NVRAM)、ランダムアクセスメモリー(RAM)、また
はこれらの任意の組み合わせであって良い。一実施形態において、メモリー1406は別途サ
ービス、ユーティリティー、コンポーネント、またはモジュールとして知られるソフトウ
ェアオブジェクトをいくつか記憶している。当業者であれば、さらに記憶1404およびメモ
リー1406は同じ品目で双方の立場で機能し得ることを理解しよう。一実施形態において、
本明細書に描かれる方法1つ以上はソフトウェア構成要素またはモジュールがメモリー140
4、1406などのコンピューター読み取り可能な媒体に記憶される1つ以上のモジュールに具
現されプロセッサー1402により実行され得る。
【0102】
一実施形態において、演算システム1400は他の装置、他のネットワーク、または双方と
通信する能力を提供する。演算システム1400は1つ以上のネットワークインターフェイス
またはアダプター1412、1414を含むことができ、演算システム1400を他のネットワークお
よび装置と通信できるよう連結する。例えば、演算システム1400はネットワークインター
フェイス1412、通信ポート1414、または双方、を含むことができ、これらの各々はプロセ
ッサー1402に通信できるよう連結され、演算システム1400を他のコンピューターシステム
、ネットワーク、および装置に連結するために使用することができる。
【0103】
一実施形態において、演算システム1400はプロセッサー1402に連結されグラフィックス
およびテキストの表示を容易にする1つ以上の出力装置1408を含むことができる。出力装
置1408はディスプレイ、LCD画面、CRTモニター、プリンター、タッチ画面、または情報を
表示する他の装置を含むことができるが、これらに限定されない。実施形態において、双
極子情報を用いて検査される身体部分を図形的に描くことができる。演算システム1400は
さらに出力装置1408に情報または画像を表示するのを助けるグラフィックスアダプター(
図示せず)を含むことができる。
【0104】
プロセッサー1402に通信できるよう連結される1つ以上の入力装置1410を用いてユーザ
ー入力を円滑にすることができる。入力装置1410はマウス、トラックボール、またはタッ
チパッドなどのポインター装置を含むことができるが、これらに限定されず、さらにデー
タまたは命令を演算システム1400に入力するためにキーボードまたはキーパッドを含むこ
とができる。
【0105】
一実施形態において、演算システム1400は通信ポート1414、ネットワークインターフェ
イス1412、メモリー1404/1406に記憶されるデータ、または入力装置1410を通して、スキ
ャナー、コピー機、ファクシミリ機、または他の演算装置から入力を受信することができ
る。
当業者であれば、本発明の実施にいずれの演算システムも重要ではないことを理解しよ
う。当業者であればさらに上述の構成要素のいくつかはサブモジュールに物理的および/
または機能的に分けられ、または組み合わせられることを理解しよう。
【0106】
本発明の実施形態はさらに各種コンピューター実施の操作を行なうためのコンピュータ
ーコードを有するコンピューター読み取り可能な媒体を有するコンピューター製品に関わ
ることができることが特記される。媒体およびコンピューターコードは本発明の目的のた
めに特別に設計され構築されたものでも良く、または該当技術の当事者に知られ、利用可
能な種類のものであっても良い。コンピューター読み取り可能な媒体の例は:ハードディ
スク、フロッピーディスク(登録商標)、および磁気テープなどの磁気媒体;CD‐ROMお
よびホログラフィ装置などの光媒体;光磁気媒体;および特定用途向け集積回路(ASIC)
、プログラマブル論理装置(PLD)、フラッシュメモリー装置、およびROMやRAM装置など
、プログラムコードを記憶し、または記憶して実行するよう特別に構成されるハードウェ
ア装置;を含むがこれらに限定されない。コンピューターコードの例はコンパイラーによ
り作成されるような機械コード、およびインタープリターを用いてコンピューターにより
実行されるより高レベルのコードを含むファイルを含む。
【0107】
本発明の実施形態は全体としてまたは一部コンピューターにより実行されるプログラム
モジュールにある機械実行可能な命令として実施することができる。プログラムモジュー
ルの例はライブラリー、プログラム、ルーチン、オブジェクト、コンポーネント、および
データ構造を含む。分散演算システムにおいて、プログラムモジュールは物理的にローカ
ル、遠隔、または双方の環境に所在することができる。
【0108】
発明は各種の改変および代わりの形を許すが、その具体的な例が図面に示され、本明細
書において詳細に説明される。しかし、発明は開示される特定の形に限定されるものでは
なく、逆に発明は添付クレームの範囲内に入るすべての改変、同等のもの、および代わり
のものを包含することが理解されよう。
【符号の説明】
【0109】
110 心臓、130 三次元(心臓)容積、140 センサーアレイ、410 原点
、420 電流双極子、440 アレイ、450 センサー、1330 双極子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の命令のシーケンスを記憶する少なくとも1つのコンピューター読み取り可能な
媒体を有してなるコンピュータープログラム製品であって、1つ以上のプロセッサーによ
る前記1つ以上の命令のシーケンスの実行は前記1つ以上のプロセッサーに身体部分の電流
分布を再構成するコンピューター実施方法を実行させ、前記方法は、
(a)前記身体の部分を境界域内の電流双極子のセットとして表すステップであって、
前記電流双極子の各々は前記境界域内において定義された位置を有するステップと、
(b)センサーアレイにおける磁場を前記電流双極子のセットの規模および配向に関す
る非線形方程式のセットならびに前記センサーアレイの境界域に対するオフセットとして
表すステップと、
(c)前記オフセットの値を設定するステップと、
(d)前記センサーアレイにおける磁場を前記電流双極子のセットの規模および前記配
向に関する線形方程式のセットならびに前記オフセットの値として表すステップと、
(e)前記線形方程式のセットを解いて前記電流双極子のセットの規模および配向を得
るステップと、
(f)前記線形方程式のセットを解くことにより得られた前記電流双極子のセットの規
模および配向を前記非線形方程式のセットに入力し、前記非線形方程式のセットを解いて
更新オフセットを得るステップと、
(g)停止条件が満足されないことに応答して、前記更新オフセットを前記オフセット
の値として用いて、前記ステップ(d)に戻るステップと、
を有するコンピュータープログラム製品。
【請求項2】
前記非線形方程式のセットを解いて前記更新オフセットを得るステップは、前記非線形
方程式のセットを解いて更新値を得て、前記更新値を用いて前記オフセットを調節して前
記更新オフセットを得るステップを有する請求項1に記載のコンピュータープログラム製
品。
【請求項3】
前記非線形方程式のセットを解いて前記更新オフセットを得るステップは、
前記非線形方程式のセットを解くための反復的最適化の一部として、更新値にパラメー
ターを掛けその積を前記オフセットに加え、前記反復的最適化の次の反復に用いる更新オ
フセットを得るステップを有する請求項2に記載のコンピュータープログラム製品。
【請求項4】
前記パラメーターは擬似焼きなましの一部である請求項3に記載のコンピュータープロ
グラム製品。
【請求項5】
前記非線形方程式のセットは一次元方程式のセットを有し、前記線形方程式のセットは
一次元方程式のセットを有する請求項1に記載のコンピュータープログラム製品。
【請求項6】
前記停止条件は、
前記オフセットと前記更新オフセットとの間の差が閾値未満であること、
ある回数の反復がなされたこと、
前記オフセットと更新オフセットとの間の差が前の反復の差に対し増えていること、ま
たは、測定再構成エラーが閾値未満であること、
の少なくとも1つである請求項1に記載のコンピュータープログラム製品。
【請求項7】
(h)前記電流双極子を図形的に描くステップをさらに有する請求項1に記載のコンピ
ュータープログラム製品。
【請求項8】
1つ以上の命令のシーケンスを記憶する少なくとも1つのコンピューター読み取り可能な
媒体を有するコンピュータープログラム製品であって、1つ以上のプロセッサーによる前
記1つ以上の命令のシーケンスの実行は前記1つ以上のプロセッサーに身体部分の電流分布
を再構成するコンピューター実施方法を実行させ、前記方法は、
(a)オフセットの値を設定するステップと、
(b)身体の部分を境界域内の電流双極子のセットとして表すステップであって、前記
電流双極子の各々は前記境界域内において定義された位置および関連する位置を有するス
テップと、
(c)センサーアレイにおける磁場を前記電流双極子のセットの規模および配向に関す
る非線形方程式のセットならびに前記センサーアレイの境界域に対するオフセットとして
表すステップと、
(d)前記センサーアレイにおける磁場を前記電流双極子のセットの規模および配向に
関する線形方程式のセットならびにオフセットの値として表すステップと、
(e)前記線形方程式のセットを解いて前記電流双極子のセットの規模および配向を得
るステップと、
(f)前記線形方程式のセットを解くことにより得られた前記電流双極子のセットの規
模および配向を前記非線形方程式のセットに入力し、前記非線形方程式のセットを解いて
更新オフセットを得るステップと、
(g)停止条件が満足されないことに応答して、
前記更新オフセットを前記オフセットの値として用いる工程と、
前記電流双極子領域の少なくともいくつかを細分化することにより残りの電流双極子の
数を増やす工程と、
前記ステップ(b)に戻る工程とを有するステップと、を有するコンピュータープログ
ラム製品。
【請求項9】
前記電流双極子領域の少なくともいくつかを細分化することにより残りの電流双極子の
数を増やす工程は、
前記電流双極子の規模が閾値未満の値を有することに応答して、その電流双極子および
境界域内のその関連する領域を無視するステップと、
無視されなかった前記電流双極子領域の少なくともいくつかを細分化することにより残
りの電流双極子の数を増やすステップとを有する請求項8に記載のコンピュータープログ
ラム製品。
【請求項10】
前記非線形方程式のセットは一次元方程式のセットを有し、前記線形方程式のセットは
一次元方程式のセットを有する請求項8に記載のコンピュータープログラム製品。
【請求項11】
1つの停止条件は、再度の細分化は前記センサーアレイにおけるセンサーの数に関連す
る閾値を前記電流双極子の数が超える結果になることである、請求項8に記載のコンピュ
ータープログラム製品。
【請求項12】
前記非線形方程式のセットを解いて更新オフセットを得るステップは、レーベンベルグ
マルカート法を用いて前記更新オフセットを得るステップを有する請求項8に記載のコン
ピュータープログラム製品。
【請求項13】
前記レーベンベルグマルカート法と併せてパラメーターを用いるステップをさらに有し

前記パラメーターは前記レーベンベルグマルカート法の少なくともいくつかの反復にお
いて前記更新オフセット値と掛けられ、前記更新オフセットは現在のオフセットと前記更
新オフセット値との和である請求項12に記載のコンピュータープログラム製品。
【請求項14】
前記電流双極子を図形的に描くステップをさらに有する請求項8に記載のコンピュータ
ープログラム製品。
【請求項15】
磁気データから電流情報を得るコンピューターシステムであって、
1つ以上のプロセッサーと、
前記1つ以上のプロセッサーと通信する1つ以上のコンピューター読み取り可能な媒体で
あって、前記1つ以上のプロセッサーにより実行可能な命令のセットを搭載したコンピュ
ーター読み取り可能な媒体と、を有し
前記命令のセットは、
(a)身体の部分を境界域内の電流双極子のセットとして表すステップであって、各電
流双極子は境界域内において定義された位置を有するステップと、
(b)センサーアレイにおける磁場を前記電流双極子のセットの規模および配向に関す
る非線形方程式のセットならびに前記センサーアレイの境界域に対するオフセットとして
表すステップと、
(c)前記オフセットの値を設定するステップと、
(d)前記センサーアレイにおける磁場を前記電流双極子のセットの規模および配向に
関する線形方程式のセットならびに前記オフセットの値として表すステップと、
(e)前記線形方程式のセットを解いて前記電流双極子のセットの規模および配向を得
るステップと、
(f)前記線形方程式のセットを解くことにより得られた前記電流双極子のセットの規
模および配向を前記非線形方程式のセットに入力し、前記非線形方程式のセットを解いて
更新オフセットを得るステップと、
(g)停止条件が満足されないことに応答して、前記更新オフセットを前記オフセット
の値として用い、前記ステップ(d)に戻るステップと、を有する、磁気データから電流
情報を得るコンピューターシステム。
【請求項16】
前記非線形方程式のセットを解いて前記更新オフセットを得るステップは、
前記非線形方程式のセットを解いて更新値を得て、前記更新値を用いて前記オフセット
を調節して前記更新オフセットを得るステップを有する請求項15に記載の磁気データか
ら電流情報を得るコンピューターシステム。
【請求項17】
前記更新値を用いて前記オフセットを調節して前記更新オフセットを得るステップは、
前記更新値にパラメーターを掛けてその積を前記オフセットに加えて前記更新オフセッ
トを得るステップを有する請求項16に記載の磁気データから電流情報を得るコンピュー
ターシステム。
【請求項18】
前記非線形方程式のセットは一次元方程式のセットを有し、前記線形方程式のセットは
一次元方程式のセットを有する請求項15に記載の磁気データから電流情報を得るコンピ
ューターシステム。
【請求項19】
前記停止条件は、
前記オフセットと前記更新オフセットとの間の差が閾値未満であること、
ある回数の反復がなされたこと、
前記オフセットと更新オフセットとの間の差が前の反復の差に対し増えていること、ま
たは、測定再構成エラーが閾値未満であること、
の少なくとも1つである請求項15に記載の磁気データから電流情報を得るコンピュー
ターシステム。
【請求項20】
ディスプレイをさらに有し、
前記1つ以上のコンピューター読み取り可能な媒体は、前記電流双極子を図形的に描く
命令のセットをさらに有する請求項15に記載の磁気データから電流情報を得るコンピュ
ーターシステム。

【図1】
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【図2.A】
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【図2.B】
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【図2.C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図3.A】
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【図3.B】
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【図3.C】
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【図7】
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【図9.A】
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【図9.B】
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【図9.C】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−78760(P2011−78760A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−223572(P2010−223572)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Linux
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】