説明

コンピュータ周辺機器用電流制御回路および該電流制御回路を備えたコンピュータ周辺機器

【課題】 コンピュータに接続されて使用される周辺機器の消費電力の低減を図ることができる電流制御用回路および該電流制御回路を備えたコンピュータ周辺機器を提供すること。
【解決手段】 コンピュータに接続されると共に該コンピュータから電源供給を受ける周辺機器(FDD装置)のFDD制御用IC2内に設けられ、該FDD制御用IC2と該制御用IC2を介して電力供給を受けるスピンドルモータドライバ6との間に設けたプルアップ回路3の電子スイッチ32とを制御する電流制御回路であって、ホストコンピュータからのサスペンド信号を受信した際に電子スイッチ32をOFFとし、スピンドルモータドライバ6への電力供給を制限し、FDD装置全体としての消費電力を抑える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータ周辺機器用電流制御回路および該電流制御回路を備えたコンピュータ周辺機器に関し、より詳しくは、コンピュータに接続されて使用される周辺機器に設けられ、該周辺機器のスタンバイ時における消費電力の低減を図るコンピュータ周辺機器用電流制御回路および該電流制御回路を備えたコンピュータ周辺機器に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ周辺機器として、フロッピーディスクドライブ(以下、「FDD」とする)や光ディスク装置等の各種機器が使用されている。これらの様々な周辺機器には、コンピュータ本体内部に内蔵されるものやコンピュータの外部に外付けで設置されるものがある。
【0003】
これらのコンピュータ周辺機器の中には、機器自体が電源を持たず、コンピュータ(ホストコンピュータ)から電源の供給を受けて作動するものがある。例えば、USB(Universal Serial Bus)ケーブル等を介してホストコンピュータと接続される周辺機器は、一般的にUSBケーブルを介してホストコンピュータから電力供給を受けて作動する。
【0004】
従来のこれら周辺機器では、その周辺機器の作動時とスタンバイ時とのいずれの状態においても一定の電流が消費されていた。例えば、USB接続により電力供給を受けているFDDの場合、スピンドルモータのモータドライバICには、定常的に電流が供給され、スタンバイ時には電力が無駄に消費されていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、従来のコンピュータ周辺機器では、スタンバイ時にも作動時と同等の電流が常時流れており、ホストコンピュータの電源供給能力を無駄に使用していた。
【0006】
また、各周辺機器が必要とする電流の総和がUSB等の消費電力規格を超えると、ホストコンピュータの電源部に対する過負荷や、周辺機器の誤動作を招くという問題点があった。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、ホストコンピュータに接続されて使用される周辺機器の消費電力の低減を図ることができるコンピュータ周辺機器用電流制御回路および該電流制御回路を備えたコンピュータ周辺機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のコンピュータ周辺機器用電流制御回路は、コンピュータに接続されると共に該コンピュータから電源供給を受ける周辺機器に設けられるコンピュータ周辺機器用電流制御回路であって、該周辺機器は、前記コンピュータからの電力供給を受ける第1の回路と、前記コンピュータからの電力を前記第1の回路を介して供給を受ける第2の回路と、前記第1の回路と前記第2の回路との間に設けられたプルアップ回路と、該プルアップ回路をON/OFFするスイッチとを有しており、前記電流制御回路は、前記コンピュータからのサスペンド信号を受信し、前記周辺機器がスタンバイモードになった際に、前記電流制御回路は、前記スイッチを介して、前記第1の回路から前記第2の回路への電力供給を停止させることを特徴とする。
【0009】
上記構成を有する本発明によれば、電流制御回路は、コンピュータからのサスペンド信号を受信し、周辺機器(第1の回路)がスタンバイモードになった際に、第1の回路から第2の回路への電力供給を停止させるので、第2の回路における無駄な電力消費を防ぐことが可能となる。この場合、コンピュータの周辺機器では、一般的に、制御用ICなどの第1の回路とモータドライバなどの第2の回路との間では、両者の間の電位を第1の回路側を高く保つために、プルアップ回路が用いられているが、本発明では、そのプルアップ回路をON/OFFするスイッチを設け、それを電流制御回路で制御するようにしているので、簡単な構成で以上の効果を実現できる。
【0010】
また、本発明に係るコンピュータ周辺機器用電流制御回路では、好ましくは、前記電流制御回路は、前記周辺機器のファームウェアにより動作し、前記コンピュータからのサスペンド信号を受信しない場合には前記スイッチをONとし、前記第1の回路から前記第2の回路への電力供給を続行し、前記コンピュータからのサスペンド信号を受信した際は、前記スイッチをOFFとし、前記第1の回路から前記第2の回路への電流供給を停止させるようになっていることが好ましい。本発明の電流制御回路は、このようにファームウェアによるソフト的な処理も実現できるので、各種周辺機器に簡単に装着することが可能となる。
【0011】
また、本発明に係るコンピュータ周辺機器用電流制御回路では、前記第1の回路が前記周辺機器の制御用回路であり、前記第2の回路が前記周辺機器が備えているモータの制御を行うためのドライバ回路であることが好ましい。モータの制御を行うドライバ回路は、特に、定常的な消費電力が大きいので、本発明の適用にあたって特に有効である。
【0012】
さらに、本発明に係るコンピュータ周辺機器用電流制御回路では、前記コンピュータと前記周辺機器との接続は、USBコネクタを介して接続されることが好ましい。USB接続の場合には、消費電流規格に上限が設けられているので、本発明の適用にあたって、特に、有効である。
【0013】
本発明の他の特徴は、前述したようなコンピュータ周辺機器用電流制御回路を備えたことを特徴とするコンピュータ周辺機器に関する。
【0014】
上述したおよびそれ以外の本発明の構成、作用および効果は、図面を参照して行う以下の実施例の記載からより明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る実施形態のコンピュータ周辺機器用電流制御回路(以下、単に「電流制御回路」ともいう)について図面を参照して説明する。図1は、ホストコンピュータ(図示せず)にUSB接続されるFDDのブロック図である。
【0016】
このFDDは、USB接続に対応したいわゆる外付けFDDであり、主に、USBコネクタ1、該コネクタ1と接続された1チップICであるFDD制御用IC2、ステッピングモータ4、磁気ヘッド5、スピンドルモータドライバ6、スピンドルモータ7とから構成されている。FDD制御用IC2は、FDDの駆動に必用なリード・ライト回路、CPU、USBコントローラ、フロッピーディスクコントローラ、ステッピングモータドライバ、RAM、ROMおよびクロック発信器等の種々の回路が集積されたLSIであり、FDDのファームウェアも搭載されている。
【0017】
本実施形態において、FDD制御用IC2は、USBコネクタ1を介して、ホストコンピュータから電力供給を受け、またスピンドルモータドライバ6などは、ホストコンピュータからの電力をFDD制御用IC2を介して受けるようになっている。このFDD制御用IC2は、ホストコンピュータからサスペンド信号の入力があると、スタンバイモードとなるようになっている。また、本実施形態においては、FDD制御用IC2が本発明の第1の回路に相当し、またスピンドルモータドライバ6(スピンドルモータ7)が構成する回路が第2の回路に相当する。
【0018】
本実施形態におけるFDDは、その作動時において、スピンドルモータドライバ6やスピンドルモータ7が多くの電流を消費するが、スタンバイ時においては、スピンドルモータドライバ6やスピンドルモータ7への電流供給は本来的には不要である。したがって、本実施形態においては、このスピンドルモータドライバ6が、FDDのスタンバイ時において電流供給を制限可能な第2の回路に該当する。本発明の第2の回路としては、このような周辺機器において、このスピンドルモータドライバ6のようなモータの制御を行うためのモータドライバ回路が典型例として挙げられる。
【0019】
本発明に係る電流制御回路は、第1の回路であるFDD制御用IC2内に設けられている。この電流制御用回路は、FDD制御用IC2内に設けられたプルアップ回路3の電子スイッチ32のON/OFFを制御している。このプルアップ回路3は、抵抗31を介してUSBコネクタ1から給電されている電源VDDのプラス側に接続されている。
【0020】
このプルアップ回路3は、FDD制御用IC2とスピンドルモータドライバ6間の信号線33がハイインピーダンス状態となった場合でもハイレベルを保証するものである。即ち、FDD制御用IC2とスピンドルモータドライバ6間をスイッチにより直接開閉すると、回路がオープン状態となり、両者の間の電位が不安定になるため、このプルアップ回路3をFDD制御用IC2とスピンドルモータドライバ6間に挿入することにより、両者の間の電位をFDD制御用IC2側が高い状態で安定させるようにしている。
【0021】
このプルアップ回路3の電子スイッチ32のON/OFFは、コンピュータからUSBコネクタ1を介して送られてくるサスペンド信号の入力論理により切り替えられる。そして、この切り替えは、電流制御用回路に組み込まれたファームウェアによって行う。本発明の電流制御回路では、このようなコンピュータ周辺機器が一般的に備えているプルアップ回路3に電子スイッチ32を設け、その電子スイッチ32をソフトウェアにより制御することにより制御することにより、FDDのスタンバイ時において第2の回路への電流供給を制限している。したがって、簡単な構成で実現できるので、既存の機器に対して大幅な設計変更やコストアップすることなく、消費電力を抑えることが可能となる。
【0022】
次に、本発明に係る電流制御回路のファームウェアのアルゴリズムを示した図2のフローチャートを参照しつつ、本発明の電流制御用回路の動作について説明する。
【0023】
本プログラムがスタートすると(S1)、サスペンド信号がホストコンピュータからUSBコネクタ1を介してFDD制御用IC2に入力されたかを判断する(S2)。サスペンド信号の入力がないと判断された場合(S3)、電子スイッチ32はON状態を維持し待機状態となる。この場合、プルアップ回路3が作動し、スピンドルモータドライバ6やスピンドルモータ7などに電流が供給される。
【0024】
次に、ホストコンピュータからサスペンド信号がUSBコネクタ1を介してFDD制御用IC2に入力されると(S2)、電流制御用回路(FDD制御用IC2)はスタンバイモードとなり(S4)、電子スイッチ32がOFFとなる(S5)。この場合、プルアップ回路3が切断され、スピンドルモータドライバ6(スピンドルモータ7)への電力供給が停止される。このため、スタンバイ時においては、スピンドルモータドライバ6(スピンドルモータ7)において電流が消費されることがない。
【0025】
以上述べた本実施形態によれば、ホストコンピュータからサスペンド信号を受信すると、プルアップ回路3の電子スイッチ32をOFFとし、FDD制御用IC2からスピンドルモータドライバ6への電力供給を停止するようにしている。それにより、FDDのスタンバイ時におけるスピンドルモータドライバ6への無駄な電流供給を制限し、FDD全体としての消費電力を抑えることを実現している。
【0026】
なお、本実施形態はFDDに関するものであるが、これは一例であり、コンピュータ周辺機器であってコンピュータから電源供給を受ける装置であれば本発明を適用することが可能である。そのような周辺機器としては、CD−ROMドライブなどの光ディスク装置やハードディスク装置などが挙げられる。また、本実施形態のUSB接続も一例であり、コンピュータからの電源供給を可能とする接続方法を用いた周辺機器であれば本発明を適用することができる。そのような周辺機器として、たとえば、RS232Cコネクタを使った周辺機器などが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る実施形態のコンピュータ周辺機器用電流制御回路を用いたFDDのブロック図である。
【図2】図1に示すコンピュータ周辺機器用電流制御回路のファームウェアのアルゴリズムを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0028】
1 USBコネクタ
2 FDD制御用IC(第1の回路)
3 プルアップ回路
31 抵抗
32 電子スイッチ
33 信号線
4 ステッピングモータ
5 磁気ヘッド
6 スピンドルモータドライバ(第2の回路)
7 スピンドルモータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに接続されると共に該コンピュータから電源供給を受ける周辺機器に設けられるコンピュータ周辺機器用電流制御回路であって、該周辺機器は、前記コンピュータからの電力供給を受ける第1の回路と、前記コンピュータからの電力を前記第1の回路を介して供給を受ける第2の回路と、前記第1の回路と前記第2の回路との間に設けられたプルアップ回路と、該プルアップ回路をON/OFFするスイッチとを有しており、前記電流制御回路は、前記コンピュータからのサスペンド信号を受信し、前記周辺機器がスタンバイモードになった際に、前記電流制御回路は、前記スイッチを介して、前記第1の回路から前記第2の回路への電力供給を停止させることを特徴とするコンピュータ周辺機器用電流制御回路。
【請求項2】
前記電流制御回路は、前記周辺機器のファームウェアにより動作し、前記コンピュータからのサスペンド信号を受信しない場合には前記スイッチをONとし、前記第1の回路から前記第2の回路への電力供給を続行し、前記コンピュータからのサスペンド信号を受信した際は、前記スイッチをOFFとし、前記第1の回路から前記第2の回路への電流供給を停止させることを特徴とする請求項1に記載のコンピュータ周辺機器用電流制御回路。
【請求項3】
前記第1の回路は、前記周辺機器の制御用回路であり、前記第2の回路は、前記周辺機器が備えているモータの制御を行うためのドライバ回路であることを特徴とする請求項1または2に記載のコンピュータ周辺機器用電流制御回路。
【請求項4】
前記コンピュータと前記周辺機器との接続は、USBコネクタを介して接続されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のコンピュータ周辺機器用電流制御回路。
【請求項5】
前記請求項1ないし4のいずれかに記載のコンピュータ周辺機器用電流制御回路を備えたことを特徴とするコンピュータ周辺機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2006−48306(P2006−48306A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−227201(P2004−227201)
【出願日】平成16年8月3日(2004.8.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】