説明

コンピュータ室及びコンピュータ室の設置機器管理方法

【課題】データセンターのコンピュータ室の効率的な利用を可能にする。
【解決手段】第1の期間を標準的な耐用年数とする第1のコンピュータ関連機器と、第1の期間より長い第2の期間を標準的な耐用年数とする第2のコンピュータ関連機器と、を収納したコンピュータ室は、設置からの経過期間が第1の期間より長く第2の期間より短い第1世代のコンピュータ関連機器が設置されている第1のエリア31と、設置からの経過期間が第1の期間より短い第2世代のコンピュータ関連機器が設置されている第2のエリア21と、進行中の管理年度にコンピュータ室に新たに収納済み、収納中、および収納予定の第3世代のコンピュータ関連機器を設置する第3のエリア33と、記進行中の管理年度の翌年以降の管理年度にコンピュータ室に新たに収納するコンピュータ関連機器を配置するための空間とされた第4のエリア34とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多くのサーバ等のコンピュータ関連機器が収容されているデータセンター内のコンピュータ室に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のサーバ等のコンピュータ関連機器をラックに収容し、このラックをコンピュータ室内に多数収容するデータセンターが知られている。このようなデータセンターに関する代表的な特許出願としては、例えば、特許文献1に記載されているような空調管理システムに関するものが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−127606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような空調管理以外にもデータセンターには様々な課題がある。例えば、その中の一つとしてエリア管理がある。コンピュータ室内に任意にコンピュータ関連機器を配置すると、その後の管理が煩雑になり、コンピュータ関連機器の搬入、運用及び撤去などの各作業の効率低下などを招く。
【0005】
そこで、本発明の目的は、データセンターのコンピュータ室の効率的な利用を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの実施態様に従うコンピュータ室は、第1の期間を標準的な耐用年数とする第1のコンピュータ関連機器と、第1の期間より長い第2の期間を標準的な耐用年数とする第2のコンピュータ関連機器と、を含む多数のコンピュータ関連機器を収納したコンピュータ室であって、設置からの経過期間が前記第1の期間より長く前記第2の期間より短い第1世代のコンピュータ関連機器が設置されている第1のエリアと、設置からの経過期間が前記第1の期間より短い第2世代のコンピュータ関連機器が設置されている第2のエリアと、進行中の管理年度に前記コンピュータ室に新たに収納済み、収納中、および収納予定の第3世代のコンピュータ関連機器を設置する第3のエリアと、前記進行中の管理年度の翌年以降の管理年度に前記コンピュータ室に新たに収納するコンピュータ関連機器を配置するための空間とされた第4のエリアと、を有する。
【0007】
好適な実施態様では、前記第2のエリアは、前記第1のコンピュータ関連機器が設置される第1ゾーンと、前記第2のコンピュータ関連機器が設置される第2ゾーンと、を有してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係る、デーセンター1のコンピュータ室2のある管理年度におけるラックの配置及び管理エリアの分割図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る、デーセンター1のコンピュータ室2の翌管理年度におけるラックの配置及び管理エリアの分割図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態に係るデータセンターについて、図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、本実施形態に係るデータセンター1のコンピュータ室2のある管理年度におけるラックの配置及び管理エリアの分割図である。データセンター1は、同図に示すように、多数のコンピュータ関連機器をまとめて収納するためのコンピュータ室2を有する。コンピュータ室2内には、複数のラック列10,10,・・・が互いに平行に配置されている。例えば、ラック列10は、一以上のコンピュータ関連機器を収納した複数のラックを一列に並べて配置して構成されている。ここで、コンピュータ関連機器は、例えば、サーバ、ネットワーク機器及びストレージ装置などを含む。種類の異なるコンピュータ関連機器は標準的な耐用年数が異なり、例えば大型サーバ(自立型)は約10年でそれ以外の通常のサーバおよびネットワーク機器は約5年、大型のストレージ装置は7〜10年である。
【0011】
図1の例では、互いに平行に並べた複数のラック列10,10,・・・により構成されるラック列群が複数あるが、ラック列群の数は任意である。ラック列群内で、各ラック列10の間隔は等間隔でもよいし、各ラック列10の長さは同じでもよい。なお、コンピュータ室2内にいくつのラック列10を収容するかは任意である。
【0012】
一部のラック列10では、その列内の一部のラックが抜けているものがある。これは、抜けている位置のラックが未設置であるか、または既に撤去済みである。
【0013】
本実施形態では、コンピュータ室2の床面を複数のエリアに分割してエリア管理が行われる。例えば、図1の例では、コンピュータ室2の床面を第1エリア31、第2エリア32,第3エリア33,及び第4エリア34の4つのエリアに区分する。各エリア31〜34は、それぞれ連続する一定の広がり(面積)を有するエリアである。ここで、分割するエリア数、各エリアの広さは、エリア管理の目的やコンピュータ室2の床面積などに応じて任意に定めることができる。各エリアには、それぞれ異なる機能が割り当てられている。
【0014】
ところで、一般に、コンピュータシステムは一定の期間使用したら新しいコンピュータシステムに更新される。つまり、コンピュータシステムは定期的に世代交代するので、コンピュータ室2内のコンピュータ関連機器もそれに伴って世代交代が必要となる。そこで、各エリア31〜34にそれぞれの世代を割り当ててコンピュータ室2の床面を効率的に利用する。例えば、各エリアには以下のように世代を割り当てる。
【0015】
第1エリア31は、設置してからの経過年数が、第1のコンピュータ関連機器(例えば通常のサーバまたはネットワーク機器)の耐用年数(例えば5年)を超え、かつ、第2のコンピュータ関連機器(例えば大型ストレージ装置)の耐用年数(例えば10年)未満であるコンピュータ関連機器(第1世代のコンピュータ機器)が設置されている。つまり、第1のエリア31には、この例では設置から5〜10年が経過した第1世代のコンピュータ関連機器が設置済みであり、第1世代のコンピュータ関連機器は稼働開始から5〜10年程度が経過している。一部のラック10ないしラック列10は既に撤去されている。残存しているラック10に搭載されているコンピュータ関連機器は稼働していてもよい。第1エリア31内のコンピュータ関連機器は、現在進行中の管理年度(例えば2010年度)内に耐用年数を超え、順次撤去される。
【0016】
第2エリア32は、設置してからの経過年数が第1のコンピュータ関連機器の耐用年数より短い第2世代のコンピュータ関連機器が設置されているエリアである。つまり、第2のエリアには第2世代のコンピュータ関連機器が設置済みである。第2世代のコンピュータ関連機器が現在の主力システム(現行システム)であり、例えば稼働開始から1〜5年程度が経過している。第2エリア32にはコンピュータ関連機器が撤去済みまたは未設置のラックは原則として存在していない。また、第2エリア32内において、種類が異なり標準的な耐用年数が異なるコンピュータ関連機器同士は異なるゾーンに配置されている。具体的には本実施態様では、第2エリア32には、設置数は少ないが耐用年数が長い大型ストレージ装置が配置されるストレージゾーン41、設置数が多く耐用年数は比較的短いサーバが配置されるサーバゾーン42、設置数はストレージ装置に比べて多いがサーバほど多くなく耐用年数は比較的短いネットワーク機器が配置されるネットワークゾーン43、および、サーバまたはネットワーク機器のどちらでも配置可能な共用ゾーン44が設けられている。
【0017】
第3のエリア33は、現在進行中の管理年度(例えば2010年度)に設置されたコンピュータ関連機器、および当該年度に設置するコンピュータ関連機器を設置するためのエリアである。第3のエリア33は、現在進行中の管理年度内の過去の時点で導入されたコンピュータ関連機器が設置されている部分と、第3世代のコンピュータ関連機器を将来設置するための部分とを有する。つまり、第3のエリアには現在進行中の管理年度においてコンピュータ関連機器が設置されている途中である。第3世代は現行システムの次世代システムであって、既に一部の導入が開始されていてもよい。第3世代のコンピュータ関連機器は、今後順次導入されていく予定である。
【0018】
第4のエリア34は、現在進行中の管理年度の翌年以降に設置するコンピュータ関連機器を設置するためのエリアである。第4のエリア34は、現時点で空エリアである。
図2は、現在進行中の管理年度(例えば2010年度)の翌年の管理年度(例えば2011年度)におけるコンピュータ室2の平面模式図である。コンピュータ室2は、第1〜第4のエリア31〜34を有する。各エリア31〜34の位置・形状は、図1に示す前の管理年度のものとは異なるが、第1エリア31は、この管理年度(2011年度)において設置からの経過年数が5〜10年のコンピュータ関連機器を有しこの管理年度においてはこの第1のエリアのコンピュータ関連機器が撤去される。また、第2エリア32はこの管理年度において、設置からの経過年数が1〜5年のコンピュータ関連機器を有し、この管理年度においてこの第2エリア32内でコンピュータ関連機器の導入・撤去は原則として行われない。第3エリア33は、この管理年度において導入されるコンピュータ関連機器が設置された部分と、この管理年度において導入される予定のコンピュータ関連機器のための空き部分とがある。第4エリア34は、この管理年度の翌年以降に設置するコンピュータ関連機器を設置するための空き部分となっており、この管理年度の前の管理年度に第1エリア31であってコンピュータ関連機器が廃棄されることで空き部分となった部分を含んでいる。
【0019】
本実施形態にかかるエリア管理では、このような第1〜第4エリアを巡回しつつ利用する。つまり、第1〜第4のエリア31〜34に設置されたコンピュータ関連機器を所定期間毎に第1、第2、第3、第4のエリアの順で廃棄する。これにより、コンピュータ室2内でラックないしラック列10が虫食い状態で配置されることを未然に防止するとともに、常に所定の広がりのまとまったエリアを確保することができる。その結果、現在及び将来にわたって、同じ世代のコンピュータ関連機器がコンピュータ室2内にまとまって配置されることになる。その結果、コンピュータ関連機器の搬入及び設置作業、撤去時の搬出作業を容易かつ効率的に行うことができるとともに、運用及び管理を行うときにも作業者が効率的に作業を行うことができる。さらには、各エリアを参照することによって、世代交代の進行状況も容易に把握することが可能となる。
【0020】
なお本実施態様では設置数が多く耐用年数が比較的短いサーバまたはネットワーク機器を第1のコンピュータ関連機器とし、設置数が少なく耐用年数が比較的長い大型ストレージ装置を第2のコンピュータ関連機器としている。このように、耐用年数が比較的短く設置数が多いコンピュータ関連機器を第1のコンピュータ関連機器とし、耐用年数が比較的長く設置数は少ないコンピュータ関連機器を第2のコンピュータ関連機器とすることで、第1のコンピュータ関連機器の耐用年数が経過し、第2のコンピュータ関連機器の耐用年数が経過する前の第1世代のコンピュータ関連機器が設置されている第1のエリア31には、まもなく撤去が必要な多くの古い世代のコンピュータ関連機器が集中しており、撤去することが容易になる。
【0021】
また、本実施態様のように第1エリア31、第3エリア33も第2エリア32と同様に、種類が異なり標準的な耐用年数が異なるコンピュータ関連機器同士を別々に配置するためのゾーンを設けることが好ましい。
【0022】
以上述べたように、本実施形態ではコンピュータ室2をコンピュータの設置(導入)年で複数のエリア31〜34の区分する一方、エリア内を標準的な耐用年数が異なり種類が異なるコンピュータ関連機器同士を別々に配置するゾーンで区分する。これにより、コンピュータ関連機器を資産として管理する際にはエリアの単位で管理することができ、また各エリア内についてはゾーンに分けて機器を管理することでそのエリア内でコンピュータ関連機器がランダムに設置、または撤去され、エリア内に未利用空間が虫食い状態で発生することを防止できる。
【0023】
上述した本発明の実施形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。
【符号の説明】
【0024】
1 データセンター
2 コンピュータ室
10 ラック列
31 第1エリア
32 第2エリア
33 第3エリア
34 第4エリア
41 ストレージゾーン
42 サーバゾーン
43 ネットワークゾーン
44 共用ゾーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の期間を標準的な耐用年数とする第1のコンピュータ関連機器と、第1の期間より長い第2の期間を標準的な耐用年数とする第2のコンピュータ関連機器と、を含む多数のコンピュータ関連機器を収納したコンピュータ室であって、
設置からの経過期間が前記第1の期間より長く前記第2の期間より短い第1世代のコンピュータ関連機器が設置されている第1のエリアと、
設置からの経過期間が前記第1の期間より短い第2世代のコンピュータ関連機器が設置されている第2のエリアと、
進行中の管理年度に前記コンピュータ室に新たに収納済み、収納中、および収納予定の第3世代のコンピュータ関連機器を設置する第3のエリアと、
前記進行中の管理年度の翌年以降の管理年度に前記コンピュータ室に新たに収納するコンピュータ関連機器を配置するための空間とされた第4のエリアと、を有するコンピュータ室。
【請求項2】
前記第2のエリアは、前記第1のコンピュータ関連機器が設置される第1ゾーンと、前記第2のコンピュータ関連機器が設置される第2ゾーンと、を有する請求項1記載のコンピュータ室。
【請求項3】
第1の期間を標準的な耐用年数とする第1のコンピュータ関連機器と、第1の期間より長い第2の期間を標準的な耐用年数とする第2のコンピュータ関連機器と、を含む多数のコンピュータ関連機器を収納したコンピュータ室を、第1、第2、第3、および第4のエリアに区分し、
前記第1のエリアには、設置からの経過期間が前記第1の期間より長く前記第2の期間より短い第1世代のコンピュータ関連機器を配置し、
前記第2のエリアには設置からの経過期間が前記第1の期間より短い第2世代のコンピュータ関連機器を配置し、
進行中の管理年度中に前記コンピュータ室に新たに収納するコンピュータ関連機器を前記第3のエリアに配置し、
前記第4のエリアは、前記進行中の管理年度の翌年以降の管理年度に前記コンピュータ室に新たに収納するコンピュータ関連機器を配置するための空間とするコンピュータ室の設置機器管理方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−128740(P2012−128740A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280913(P2010−280913)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000155469)株式会社野村総合研究所 (1,067)