説明

コンピュータ装置の構成作成支援システム及び構成作成支援方法

【課題】コンピュータ装置を構成する機器相互間のケーブル接続の設定を、接続関係や制約条件を考慮して支援する。
【解決手段】コンピュータ装置、周辺装置、電源装置を搭載する1または複数のラックを作成して描画する手段と、前記描画したラックの左右の所定の位置に電力配分装置を配置して描画する手段と、コンピュータ装置、周辺装置及び電源装置を前記描画したラックの所定の位置に搭載して描画する手段と、電力分配装置のコンセント、コンピュータ装置のコンセント、周辺装置のコンセント、電源装置のコンセントの全てに一意的な番号を定義して設定する手段と、前記コンピュータ装置、周辺装置に定義された電源ケーブルを前記電力分配装置のコンセントに接続して描画する手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータ装置の構成作成を支援するコンピュータ装置の構成作成支援システム及び構成作成支援方法に係り、特に、コンピュータ装置を構成する主要な機器、周辺装置、電源装置相互間のケーブル接続の設定を支援することを可能としたコンピュータ装置の構成作成支援システム及び構成作成支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多様で複雑な構成を有するコンピュータ装置の構成を作成するには、多くの制約条件を考慮する必要がある。このため、コンピュータ装置の構成を作成する設計者は、構成すべきコンピュータ装置、そのコンピュータ装置を構成する構成部品等の製品仕様書を熟読しなければ、正確なコンピュータ装置の構成を作成することが困難である。
【0003】
前述したようなコンピュータ装置の構成を作成することの困難さを解決することを可能としたコンピュータ装置の構成作成支援システムの従来技術として、例えば、特許文献1等に記載された技術が知られている。この従来技術は、コンピュータ装置の構成を作成する設計者である利用者に、端末機器から、プロセッサ、メモリ、ハードディスク、PCIアダプタカード等のコンピュータ装置の構成品や周辺装置を選択させ、コンピュータ装置の構成作成を容易に行うことができるように支援を行うというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−139368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した従来技術は、複数のコンピュータ装置からなるコンピュータシステムの構成作成を支援する技術に関するものであり、個々のコンピュータ装置を構成する主要な機器、周辺装置、電源装置等の機器相互間のケーブル接続の設定を支援することについては考慮されておらず、機器相互間のケーブル接続の設定を支援することができないという問題点を有している。
【0006】
本発明の目的は、前述したような従来技術の問題点を解決し、コンピュータ装置を構成する機器相互間のケーブル接続の設定を、接続関係や制約条件を考慮して支援することができるようにしたコンピュータ装置の構成作成支援システム及び構成作成支援方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば前記目的は、コンピュータ装置及び周辺装置と電源装置との間のケーブル接続の設定を支援することを可能としたコンピュータ装置の構成作成支援システムにおいて、コンピュータ装置、周辺装置、電源装置を搭載する1または複数のラックを作成して描画する手段と、前記描画したラックの左右の所定の位置に電力配分装置を配置して描画する手段と、コンピュータ装置、周辺装置及び電源装置を前記描画したラックの所定の位置に搭載して描画する手段と、電力分配装置のコンセント、コンピュータ装置のコンセント、周辺装置のコンセント、電源装置のコンセントの全てに一意的な番号を定義して設定する手段と、前記コンピュータ装置、周辺装置に定義された電源ケーブルを前記電力分配装置のコンセントに接続して描画する手段とを備えることにより達成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、多様で複雑なコンピュータ装置におけるケーブルの接続設定を、接続関係や制約条件を設計者が意識することがなく、容易に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態によるコンピュータ装置の構成作成支援システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態によるコンピュータ装置の構成作成支援システムの動作の遷移を示す概念図である。
【図3】UPS・ラッキング19の処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図4】図3に示すフローの処理で作成されるシステム構成図の例を示す図である。
【図5】ラック搭載に関する搭載制限項目の一覧を示す図である。
【図6】図3に示すフローのステップ35でのケーブル接続の設定処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図7】ケーブル接続設定の例を示す図である。
【図8】電源ケーブルの接続位置情報の取得と接続情報の作成とについて説明する図である。
【図9】接続元及び接続先の一覧表の構成例を示す図である。
【図10】図2に示したSTEP9のケーブリングの処理で作成されたケーブル接続表の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明によるコンピュータ装置の構成作成支援システム及び構成作成支援方法の実施形態を図面により詳細に説明する。
【0011】
図1は本発明の一実施形態によるコンピュータ装置の構成作成支援システムの概略構成を示すブロック図である。
【0012】
本発明の実施形態によるコンピュータ装置の構成作成支援システムは、構成作成支援システムデータベース1と、コンピュータ装置の構成を作成する設計者である利用者(以下、単に、利用者という)が使用する端末機器2とがネットワークを介して接続されて構成されている。
【0013】
端末機器2は、PCに代表される情報処理装置としてよく知られているように、図示していないが、CPU、メモリ、HDD等の記憶装置、入出力装置を備えて構成されており、本発明で必要とする後述する各種の機能は、プログラムとして記憶装置内に格納され、メモリにロードされCPUにより実行されることにより構築される。
【0014】
本発明の実施形態では、ネットワークを介して接続されている構成作成支援システムデータベース1からプログラムとして記述されているコンピュータ装置の構成作成支援システムのファイルである構成作成支援ファイル1aを端末機器2にダウンロードして使用することとしている。このように、構成作成支援システムは、通常、ネットワークに接続された端末機器2で使用されるが、スタンドアローンの端末機器でも利用可能なため、事前に構成作成支援システムを端末機器2にダウンロードしておけば、ネットワーク環境がない場所でも利用することができる。
【0015】
図1には、コンピュータ装置の構成作成支援システムがダウンロードされた端末機器2内のメモリ100に構成作成支援システムがロードされた状態を示している。そして、コンピュータ装置の構成作成支援システムは、構成作成支援システム起動ファイル3、第1の製品構成情報(コンピュータ装置)用ファイル3a、第2の製品構成情報(周辺装置)用ファイル3b、製品価格情報用ファイル3c、生産図面雛形用ファイル3d、ライブラリ用ファイル3eにより構成されている。
【0016】
前述において、構成作成支援システム起動ファイル3は、構成作成支援システムの本体である。第1の製品構成情報(コンピュータ装置)用ファイル3aは、コンピュータ装置の構成情報を格納している。第2の製品構成情報(周辺装置)用ファイル3bは、周辺装置(テープ装置、ディスク装置等)の構成情報を格納している。製品価格情報用ファイル3cは、コンピュータ装置(コンピュータ装置を構成している主要機器)や周辺装置の価格情報を格納している。生産図面雛形用ファイル3dは、生産図面の雛形を格納している。ライブラリ用ファイル3eは、コンピュータ装置の構成作成支援システムを動作させる種々のライブラリを格納している。
【0017】
前述のように構成される本発明の実施形態におけるコンピュータ装置の構成作成支援システムにおいて、利用者が、端末機器2を使用し、その入力装置からコンピュータ装置のハードウエアの詳細情報を入力して設定すると、構成作成支援システムは、システム構成情報ファイル4を作成する。システム構成情報ファイル4は、見積りシステムデータベース5、受発注チェックシステム6等と連携することができる。そして、システム構成情報ファイル4は、見積りシステムデータベース5と連携することにより、コンピュータ装置の作成業務に活用することができ、また、受発注チェックシステム6と連携することにより、受発注内容をチェックすることができる。さらに、システム構成情報ファイル4は、生産システムデータベース7に登録することにより、生産図面として利用することができる。
【0018】
図2は本発明の実施形態によるコンピュータ装置の構成作成支援システムの動作の遷移を示す概念図であり、次に、図2を参照して、コンピュータ装置の構成作成支援システムの動作の流れについて説明する。なお、以下に説明するSTEP1〜STEP13の各処理は、コンピュータ装置の構成作成支援システムにより実行される処理である。
【0019】
利用者が、端末機器2を用いてコンピュータ装置の構成作成支援システムを起動すると、メニュー画面が端末機器2の画面に表示され、システム構成情報ファイルブック8の新規作成または既存ファイル選択の画面が表示される。利用者が新規作成を選択すると、システム構成情報ファイルブック8が新規に作成され、既存ファイルを選択すると、既存のシステム構成情報ファイルブック8が開く。
【0020】
次に、STEP1の顧客情報入力9の処理に移行し、利用者が顧客情報の入力を行うための顧客情報入力画面が端末機器2の画面に表示される。利用者は、この画面からコンピュータ装置の構成作成、製品の製造等の注文を行った顧客名、受注番号、納期、作成者等の情報を入力する。入力が完了すると、REV管理票ワークシートであるREV管理表10がシステム構成情報ファイルブック8内に作成される。
【0021】
次に、STEP2システム装置の作成11の処理に移行し、利用者がコンピュータ装置のハードウエアの構成情報を入力するためのコンピュータ装置のハードウエア入力画面が端末機器2の画面に表示される。利用者は、この画面からプロセッサ、メモリ、ハードディスク、PCIアダプタカード等のコンピュータ装置を構成する主要機器の情報を設定する。また、ここでの設定で、利用者は、コンピュータ装置と電源装置との間のケーブル接続関係をも設定する。設定が完了すると、設定データが構成作成支援システムのライブラリ用ファイル3eに格納されコンピュータ装置の構成情報が登録される。
【0022】
次に、STEP3のデバイスの設定12の処理に移行し、利用者がコンピュータ装置の周辺装置の構成情報を入力するための周辺装置入力画面が端末機器2の画面に表示される。利用者は、この画面から周辺装置の種別やコンピュータ装置との間の接続ケーブル選択等の情報を設定する。また、ここでの設定で、利用者は、周辺装置と電源装置との間のケーブル接続関係をも設定する。設定が完了すると、設定データが構成作成支援システムのライブラリ用ファイル3eに格納され周辺装置の構成情報が登録される。ここでの周辺装置とは、例えば、バックアップ装置やディスク装置、コンソール装置等である。バックアップ装置とは、テープ装置等をいい、ディスク装置とは、ディスクアレイ等の記憶装置である。
【0023】
次に、STEP4のインストール設定13の処理に移行し、利用者がシステムディスクやOS(オペレーティングシステム)の情報を入力するためのインストール設定画面が端末機器2の画面に表示される。利用者は、この画面からシステムディスクの選択やOS種別等の情報を設定する。設定が完了すると、設定データが構成作成支援システムのライブラリ用ファイル3eに格納されインストール設定の構成情報が登録される。
【0024】
次に、STEP5のプロファイル設定14の処理とSTEP6のパーティション設定の15に移行し、利用者がハードディスクのパーティションの環境設定情報を入力するためのプロファイル設定画面が端末機器2の画面に表示される。利用者は、この画面から分割するパーティション数、容量、OS種別等の情報を設定する。設定が完了すると、パーティション設定シート16がシステム構成情報ファイルブック8内に作成される。
【0025】
次に、STEP7ディスク設定17の処理に移行し、利用者が搭載するハードディスクの詳細設定情報を入力するためのディスク設定画面が端末機器2の画面に表示される。利用者は、この画面からシステムディスクの設定、RAID設定などの情報を設定する。設定が完了すると、ディスク設定シート18がシステム構成情報ファイルブック8内に作成される。
【0026】
次に、STEP8のUPS(無停電電源装置(Uninterruptible Power Supply))・ラッキング19の処理に移行し、利用者が前述のSTEP2のシステム装置の作成11の処理で作成したコンピュータ装置と、STEP3のデバイスの設定12の処理で作成した周辺装置とをラックに搭載する設定を行うラック搭載設定画面が端末機器2の画面に表示される。ここでの設定は、図4により後述するように、コンピュータ装置と周辺装置とのラック搭載が自動的に設定され、また、電源ケーブルの電源装置への接続も自動的に設定される。この設定が完了すると、装置搭載条件やケーブル接続条件により設定内容の自動チェックが行われ、設定内容に不備がある場合、エラーリストを表示して、再度設定のやり直しが行われる。また、設定内容が正しい場合、システム構成図20がシステム構成情報ファイルブック8内に作成される。なお、STEP8のUPS・ラッキング19の処理についての詳細は後述する。
【0027】
次に、STEP9のケーブリング21の処理に移行し、前述したSTEP8のUPS・ラッキング19の処理で作成されたシステム構成図20、及び、STEP2、STEP3の処理で利用者により設定されたコンピュータ装置及び周辺装置と電源装置との間のケーブル接続関係に従って、コンピュータシステムのケーブル接続表22が、システム構成情報ファイルブック8内に自動的に作成される。作成されたケーブル接続表22は、端末機器2の画面に表示される。
【0028】
次に、STEP10の拡張作業23の処理に移行するが、この処理は、特殊な作業を行う場合にだけ行われるもので、拡張作業23の処理への移行が利用者により入力されると、拡張作業設定画面が端末機器2の画面に表示されるので、利用者は、この画面から作業名称を設定する。設定が完了すると、拡張作業表24がシステム構成情報ファイルブック8内に作成される。
【0029】
次に、STEP11の見積り価格一覧25の処理に移行し、前述で説明したSTEP2からSTEP10までの処理で設定した、ハードウエアの見積り価格一覧表26が、システム構成情報ファイルブック8内に自動的に作成される。作成された見積り価格一覧表26は、端末機器2の画面に表示される。
【0030】
次に、STEP12のサービス見積り/ツール連携27の処理に移行し、コンピュータシステムを導入する際に必要な経費を見積もった導入経費見積表28が、システム構成情報ファイルブック8内に自動的に作成される。作成された導入経費見積表28は、端末機器2の画面に表示される。また、図1に示している前述の見積りシステムデータベース5や、受発注チェックシステム6と連携するための連携ファイル29が出力される。
【0031】
次に、STEP13の設定シート出力30の処理に移行し、前述したSTEP1からSTEP12までの処理で設定した内容が、生産図面31としてシステム構成情報ファイルブック8内に自動的に作成される。作成された生産図面31は、端末機器2の画面に表示される。
【0032】
図3は前述したSTEP8のUPS・ラッキング19の処理の詳細を説明するフローチャート、図4は図3に示して説明するフローの処理で作成されるシステム構成図20の例を示す図であり、次に、図3に示す処理によりシステム構成図20を作成する処理と、作成されたシステム構成図20の例とについて説明する。
【0033】
(1)ラッキング(ラック搭載)の処理が開始されると、図4に示すように、ラック37が作成描画される。図4に示す例では、図4(a)、図4(b)に示すように、Rack1、Rack2の2台のラックが描画されている(ステップ31、32)。
【0034】
(2)次に、ラック37の左右の所定の位置にPDU(電力配分装置(Power Distribution Unit))38が配置されて描画される。図4に示す例では、2台のラックの左右のそれぞれに2台ずつの全部で8台のPDU38が描画されている(ステップ33)。
【0035】
(3)次に、前述のSTEP2のシステム装置の作成11の処理及びSTEP3のデバイスの設定12の処理で設定されたシステム装置であるコンピュータ装置41、周辺装置39が、図4に示すように、ラック37の所定の位置に自動的に搭載描画される。搭載位置を変更する場合、利用者は、マウスを用いて、図4に示すように自動的に搭載された各コンピュータ装置41、周辺装置39を任意の位置にドラックしてドロップすることにより、搭載位置を変更することができる。また、ここでの処理で、UPS42がラック37の最下段に搭載描画される(ステップ34)。
【0036】
(4)次に、図4に示すように、コンピュータ装置41、周辺装置39に定義された電源ケーブル40をPDU38のコンセントに自動的に接続する。電源ケーブル40の接続位置を変更する場合、利用者は、マウスを用いて、各電源ケーブル40を任意のPDU38のコンセント位置にドラックしてドロップすることにより、電源ケーブル40の接続位置を変更することができる。なお、電源ケーブルの接続についての詳細は後述する(ステップ35)。
【0037】
(5)次に、図4(c)、図4(d)に示すように、外装の種類を設定してその内容を外装43として描画するオプション設定の処理を行う(ステップ36)。
【0038】
(6)前述までの処理が完了した後、前述の各処理の設定を変更するか否かを判定し、前述の各処理の設定を変更する場合、ステップ34の装置搭載からの処理に戻り、ステップ36のオプション設定までの処理を行って再設定する(ステップ37)。
【0039】
(7)ステップ37の判定で、設定変更がなかった場合、設定した内容に間違いがないかのチェックを実施し、チェックの結果、誤りがあった場合、エラーリストが表示され、ステップ34からの処理に戻って、ステップ36のオプション設定までの処理を行って誤りを修正するように再設定する(ステップ38)。
【0040】
(8)ステップ38のチェックの結果、誤りがなかった場合、図4に示すようなシステム構成図20が作成され、端末機器2の画面に表示される(ステップ39)。
【0041】
作成されて端末機器2の画面に表示されたシステム構成図20には、図4(c)、図4(d)に示しているように、ラック37毎に搭載された各コンピュータ装置41、周辺装置39、PDU38、UPS装置42の総重量が計算され、機器の総重量44として表示される。これにより、ラック37の許容搭載重量を超えていないかどうかを確認することができ、許容搭載重量を超えている場合、エラーが表示される。
【0042】
また、作成されて端末機器2の画面に表示されたシステム構成図20には、図4(c)、図4(d)に示しているように、ラック37毎のPDU38やUPS装置42に接続された各コンピュータ装置41、周辺装置39の総消費電力量が計算され、機器の消費電力45として表示される。これにより、PDU38やUPS装置42の許容電力量を超えていないかどうかを確認することができ、許容電力量を超えている場合、エラーが表示される。
【0043】
図5はラック搭載に関する搭載制限項目の一覧を示す図である。この搭載制限項目の一覧は、予め、構成作成支援システムデータベース1内に備えられているものであって、前述した図3に示すフローのステップ38で設定チェックのために利用される。
【0044】
設定チェックは、図5に示す各項目について自動的に行われる。そして、図5に示している項目に違反する場合、エラーリストが表示されるので、図3に示すフローでは、ステップ34の装置搭載の処理に戻って、エラーリストの項目について修正を行う。例えば、PDU38が100ボルト対応PDUで、コンピュータ装置41に定義された電源ケーブル40が200ボルトケーブルであった場合、電源ケーブル40をPDU38のコンセントにドラックしドロップして接続すると、図5の項番7に記載の100ボルト/200ボルトの誤接続チェックにより、接続エラーとしてエラーリストに表示されることになる。
【0045】
また、図5に示している各項目に違反がない場合、図4に示して説明したようなシステム構成図20が作成され、端末機器2の画面に表示されることになる。
【0046】
図4に示して説明したシステム構成図20におけるケーブル接続の設定処理は、すでに説明したように、コンピュータ装置41、周辺装置39に定義された電源ケーブル40を、PDU38のコンセントに自動的に接続する処理である。そして、電源ケーブル40の接続位置を変更する場合、利用者が、マウスを用いて、各電源ケーブル40を任意のPDU38のコンセント位置にドラックしてドロップすることにより接続位置の変更を行うことができ、実際のケーブルを装置に接続するようなイメージで接続の設定を行うことができる。接続の設定が完了すると、コンピュータ装置の作成支援システムは、接続元と接続先とを認識してケーブル接続表22を自動的に作成する。
【0047】
図6は図3に示すフローのステップ35でのケーブル接続の設定処理の詳細を説明するフローチャート、図7はケーブル接続設定の例を示す図であり、次に、ケーブル接続の設定処理の詳細について説明する。なお、図7は、図4に示すシステム構成図20の一部を拡大して示したものである。
【0048】
(1)まず、図7(a)に示しているように、装置、図7に示す例ではシステム装置(1)から延びている電源ケーブル46をマウスでクリックして選択する。電源ケーブル46を選択すると、選択した電源ケーブル46が色が変わる等によりアクティブ状態に表示される(ステップ61、62)。
【0049】
(2)次に、選択した電源ケーブル46をPDU47のコンセントに接続するか否かを判断し、接続する場合は、PDU47のコンセントの接続する場所を決めて、選択している電源ケーブル46を接続する場所にドロップする。すると、電源ケーブル46が図7(b)に電源ケーブル48として示すようにPDU47のコンセントに接続される(ステップ63〜65)。
【0050】
(3)次に、接続された電源ケーブル48の接続位置情報を取得し、ケーブルの接続元及び接続先の一覧表を接続情報として自動作成し、構成作成支援システムのライブラリ用ファイル3eに格納する。なお、ここでの電源ケーブル48の接続位置情報の取得処理と、接続情報の作成の処理との詳細については後述する(ステップ66、67)。
【0051】
(4)前述までの処理でケーブルの接続設定の処理が完了すると、設定した接続の内容に間違いがないか否かをチェックし、誤りがあった場合、ステップ64からの処理に戻って、誤りの修正が行われる。この設定内容のチェックは、図5に示したラック搭載に関する搭載制限項目の一覧の項目により自動的に行われ、項目に違反していた場合、エラーリストが表示されるので、エラーリストの項目について修正する(ステップ68)。
【0052】
(5)ステップ68のチェックで、図5に示している項目に対する違反がない場合、図4に示して接続したシステム構成図20が作成され、端末機器2の画面に表示されて、ここでの処理を終了する(ステップ69)。
【0053】
図8は電源ケーブルの接続位置情報の取得と接続情報の作成とについて説明する図であり、図8を参照して、図6に示すフローにおけるステップ66、67の処理で一意的に定義された番号情報の定義と取得方法とを説明する。なお、図8は図4の図4(a)、図4(b)として示した部分を抽出したものである。
【0054】
番号情報の定義は、図8に示しているように、まず、PDU49の全てのコンセントにR1からR12等の番号を与えることにより行われる。複数台のPDUがある場合、PDUの名称を重複しないようにする。図8に示す例では、8台のPDUのそれぞれに、PDU−a〜PDU−hの名称が与えられており、これにより、PDUのコンセント番号を一意的な番号に定義することができる。
【0055】
次に、コンピュータ装置50のコンセントに個別の番号、例えば、A、A’等を定義する。この場合、標準電源に接続すべきコンセントはA、冗長電源に接続すべきコンセントはA’のように区別して定義するとよい。複数台のコンピュータ装置がある場合、コンピュータ装置の名称を重複しないように、例えば、システム装置(1)、システム装置(2)等の名称とすることにより、コンピュータ装置50のコンセント番号を一意的な番号に定義する。
【0056】
次に、周辺装置51のコンセントに個別の番号、例えば、A、A’等を定義する。この場合、標準電源に接続すべきコンセントはA、冗長電源に接続すべきコンセントはA’のように区別して定義するとよい。複数台の周辺装置がある場合、周辺装置の名称を重複しないように、例えば、テープ装置(1)、テープ装置(2)等の名称とすることにより、周辺装置51のコンセント番号を一意的な番号に定義する。
【0057】
次に、UPS装置52のコンセントに個別の番号、例えば、A、A’等を定義する。この場合、出力1はA、出力2はA’のように区別して定義するとよい。複数台のUPS装置がある場合、UPS装置の名称を重複しないように、例えば、UPS装置(1)、UPS装置(2)等の名称とすることにより、UPS装置52のコンセント番号を一意的な番号に定義する。
【0058】
次に、ラック57に個別の名称を定義する。複数台のラックがある場合、ラックの名称が重複しないように、例えば、Rack1、Rack2等の名称とすることにより、ラック57を一意的な名称に定義する。
【0059】
前述のような方法で、各搭載機器のコンセントに一意的な番号情報を定義することができる。そして、このように定義した番号情報への電源ケーブル58の接続の有無は、前述で定義された番号を全て検索して、電源ケーブル58の接続の有無情報を自動取得することにより行うことができる。また、電源ケーブル58のコンセントへの接続の有無の判定は、電源ケーブル58の先端がコンセントの枠につなげられたときに、そのコンセントが電源ケーブル58の終点として認識されて行うことができる。電源ケーブルの始点は、コンピュータ装置50や、周辺装置51のコンセントとなる。このようにして自動的に取得された電源ケーブル58の接続有無情報からケーブルの接続元及び接続先の一覧表を自動的に作成し、構成作成支援システムのライブラリ用ファイル3eに格納する。
【0060】
図9は作成された接続元及び接続先の一覧表の構成例を示す図である。図9に示す接続元及び接続先の一覧は、装置名とその装置が持つ電源番号との組毎に、電源ケーブル名称、PDU番号、PDUコンセント番号、UPS番号、UPS出力番号等を対応付けたものであり、前述の他に、電圧値、電力値、コネクタ数、コネクタ形状等を対応付けている。
【0061】
図10は図2に示して説明したSTEP9のケーブリング21の処理で作成されたケーブル接続表22の構成例を示す図である。図10に示すケーブル接続表22は、図9により説明した接続元及び接続先の一覧表から必要な情報を抽出し作成されたものである。そして、このケーブル接続表22は、装置・デバイス名、スロット番号、ポート番号、接続番号を含む接続元と、同様に、装置・デバイス名、スロット番号、ポート番号、接続番号を含む接続先と、それらの間を接続するケーブル・終端名称とを対応付けたものである。
【0062】
前述した本発明の実施形態によれば、多様で複雑なコンピュータ装置を作成するためのケーブル接続の設定を、接続関係や制約条件を設計者が意識する必要なく、容易に設定することができる。また、前述した本発明の実施形態によれば、ケーブル接続の設定で取得したケーブル接続設定情報を、ケーブル接続表として自動的に作成することができるので、ケーブル接続表をコンピュータ装置の生産にそのまま利用することができ、コンピュータ装置の生産時に、新たに生産図面を作成する必要をなくすことができる。
【0063】
前述で説明した本発明の実施形態での各処理は、処理プログラムとして構成することができ、この処理プログラムは、HD、DAT、FD、MO、DVD−ROM、CD−ROM等の記録媒体に格納して、あるいは、ネットワークを介して提供することができる。
【符号の説明】
【0064】
1 構成作成支援システムデータベース
1a 構成作成支援ファイル
2 端末機器
3 構成作成支援システム起動ファイル
3a 第1の製品構成情報(コンピュータ装置)用ファイル
3b 第2の製品構成情報(周辺装置)用ファイル
3c 製品価格情報用ファイル
3d 生産図面雛形用ファイル
3e ライブラリ用ファイル
4 システム構成情報ファイル
5 見積りシステムデータベース
6 受発注チェックシステム
7 生産システムデータベース
37、57 ラック
38、47 PDU
39 周辺装置(テープ装置、ディスク装置等)
40、46、48 電源ケーブル
41 コンピュータ装置(システム装置)
42 UPS装置
43 外装
44 機器の総重量
45 機器の総電力量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ装置及び周辺装置と電源装置との間のケーブル接続の設定を支援することを可能としたコンピュータ装置の構成作成支援システムにおいて、
コンピュータ装置、周辺装置、電源装置を搭載する1または複数のラックを作成して描画する手段と、
前記描画したラックの左右の所定の位置に電力配分装置を配置して描画する手段と、
コンピュータ装置、周辺装置及び電源装置を前記描画したラックの所定の位置に搭載して描画する手段と、
電力分配装置のコンセント、コンピュータ装置のコンセント、周辺装置のコンセント、電源装置のコンセントの全てに一意的な番号を定義して設定する手段と、
前記コンピュータ装置、周辺装置に定義された電源ケーブルを前記電力分配装置のコンセントに接続して描画する手段とを備えることを特徴とするコンピュータ装置の構成作成支援システム。
【請求項2】
前記定義された一意的な番号を持つコンセントへの電源ケーブルの接続の有無を取得する手段と、
前記取得した電源ケーブルの接続の有無の情報に基づいて、ケーブルの接続元とケーブルの接続先とをそれらの間を接続するケーブル・終端名称とを対応付けたケーブル接続表を作成して描画する手段とを備えることを特徴とする請求項1記載のコンピュータ装置の構成作成支援システム。
【請求項3】
ラック搭載に関する搭載制限項目の一覧を示す搭載制限項目一覧表を備えると共に、前記ラックへの前記コンピュータ装置、周辺装置及び電源装置の搭載位置、前述電源ケーブルのコンセントとの接続が、前記搭載制限項目に違反していないか否かを判定するチェック手段とを備えることを特徴とする請求項1記載のコンピュータ装置の構成作成支援システム。
【請求項4】
コンピュータ装置及び周辺装置と電源装置との間のケーブル接続の設定を支援することを可能としたコンピュータ装置の構成作成支援システムにおけるコンピュータ装置の構成作成支援方法において、
コンピュータ装置、周辺装置、電源装置を搭載する1または複数のラックを作成して描し、
前記描画したラックの左右の所定の位置に電力配分装置を配置して描画し、
コンピュータ装置、周辺装置及び電源装置を前記描画したラックの所定の位置に搭載して描画し、
電力分配装置のコンセント、コンピュータ装置のコンセント、周辺装置のコンセント、電源装置のコンセントの全てに一意的な番号を定義して設定し、
前記コンピュータ装置、周辺装置に定義された電源ケーブルを前記電力分配装置のコンセントに接続して描画することを特徴とするコンピュータ装置の構成作成支援方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図4】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−93830(P2012−93830A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238538(P2010−238538)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000233295)日立情報通信エンジニアリング株式会社 (195)
【Fターム(参考)】